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(別添)

平成16年度
輸入食品監視指導計画監視結果

中間報告




平成16年11月

厚生労働省医薬食品局食品安全部


平成16年度輸入食品監視指導計画監視結果(中間報告)


1.はじめに

 輸入食品等について国が行う監視指導については、食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針(平成15年厚生労働省告示第301号)に基づき、食品衛生法第23条第1項に規定する平成16年度輸入食品監視指導計画(以下「計画」という。)を定め、同条第3項の規定に基づき官庁報告により公表した上で、本計画に基づき監視指導を行っているところです。
 厚生労働省は、本計画において、輸入食品等に係る監視指導の実施状況の概要について、翌年度の6月を目途に公表するほか、年度途中の状況についてもおおむね年度の半ばに公表することとしており、今般、平成16年4月から9月にかけての本計画に基づく監視結果の中間報告をとりまとめましたので公表します。

 参考:「輸入食品監視業務ホームページ」
https://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/tp0130-1.html

 問合せ先:医薬食品局食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室



2.輸入食品監視指導計画の概要

(1) 輸入食品監視指導計画とは

 輸入食品等について国が行う監視指導の実施に関する計画(食品衛生法第23条)をいう。
【目的】
   国が、輸入時の検査や輸入者の監視指導等を重点的、効果的かつ効率的に実施することを推進し、輸入食品等の一層の安全性確保を図る。

(2) 輸入食品等の監視指導の基本的な考え方

 食品安全基本法第4条
(食品の安全性確保は、国の内外における食品供給行程の各段階において適切な措置を講じることにより行わなければならない)の観点から、輸出国、輸入時、国内流通時の3段階での衛生対策確保を図るべく計画を策定。

(3) 重点的に監視指導を実施すべき項目

 ○輸入届出時における法違反の有無のチェック
 ○モニタリング検査※1(平成16年度計画:122食品群、約7万6千件)
 ○検査命令※2(平成16年9月30日現在:全ての国の13品目及び23カ国・1地域の113品目)
 ○包括禁止規定※3
 ○海外情報等に基づく緊急対応

(4) 輸出国における衛生対策の推進

 ○輸出国政府に対する衛生管理対策の確立の要請
 ○現地調査や二国間協議を通じて、農薬等の管理・監視体制の強化、輸出前検査の推進

(5) 輸入者への自主的な衛生管理の実施に関する指導

 ○輸入前指導
 ○自主検査の指導
 ○記録の保存
 ○輸入者等への食品衛生に関する知識の普及啓発

  ※1:食品の種類毎に輸入量、違反率等を勘案した統計学的な考え方に基づく計画的な検査
  ※2:違反の蓋然性が高いものについて輸入の都度、検査を命令し、検査に合格しなければ輸入・流通が認められない検査
  ※3:危害の発生防止の観点から必要と認められる場合、検査を要せずに販売、輸入を禁止できる規定



3.平成16年度輸入食品監視指導計画監視結果(中間報告)

表1 届出・検査・違反状況(平成16年4月〜9月:速報値)
届出件数 輸入重量 検査総数※1 割合※2 違反件数 割合※2
千トン
883,918 12,348 90,937 10.3 484 0.1
前年同月実績
838,507
12,510 81,461 9.7 508 0.1
※1 モニタリング検査、検査命令、指導検査等の合計から重複を除いた数値
※2 届出件数に対する割合


表2 主な違反事例(平成16年4月〜9月:速報値)
違反条文 違反件数 構成比 主な違反内容
   
第6条
(販売を禁止される食品及び添加物)
48 9.1 落花生、ハトムギ、とうがらし、ピスタチオナッツ等へのアフラトキシンの付着、下痢性・麻痺性貝毒の検出、有毒魚類の混入等
第9条
(病肉等の販売等の制限)
3 0.6 食肉・食肉製品の衛生証明書の不備又は無添付
第10条
(添加物等の販売等の制限)
73 13.9 サイクラミン酸、ポリソルベート、TBHQ等の指定外添加物を使用した加工食品
第11条
(食品又は添加物の基準及び規格)
377 71.8 野菜及び野菜加工品の成分規格違反(農薬の残留基準違反)
水産物及びその加工品の成分規格違反(抗菌性物質の検出)
冷凍食品等の成分規格違反(一般生菌数、大腸菌、大腸菌群)
添加物の使用基準違反
対象外食品への使用:ソルビン酸、安息香酸等
過量残存:乾燥野菜に二酸化硫黄等
第18条
(器具又は容器包装の基準及び規格)
16 3.0 器具・容器包装の規格基準違反
原材料の材質別規格違反
第62条
(おもちゃ等についての準用規定)
8 1.5 乳幼児が接触するおもちゃから指定外着色料の溶出
525(延数)
484(違反届出件数)
 


表3 モニタリング検査実施状況(平成16年4月〜9月:速報値)
品名 検査項目 年度計画件数※ 実施件数 違反件数
畜産食品
牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉、その他食鳥肉等
抗生物質等 4,600 2,156 2
残留農薬 4,500 1,895 0
添加物 - 3 0
成分規格等 900 454 0
畜産加工食品
ナチュラルチーズ、食肉製品、アイスクリーム、冷凍食品(肉類)等
抗生物質等 1,000 687 0
添加物 1,100 1,025 2
成分規格等 2,200 1,194 13
水産食品
二枚貝、魚類、甲殻類(エビ、カニ)等
抗生物質等 2,300 1,818 6
添加物 700 546 0
成分規格等 600 489 0
水産加工食品
魚類加工品(切り身、乾燥、すり身等)、冷凍食品(水産動物類、魚類)、魚介類卵加工品等
抗生物質等 5,700 2,815 0
添加物 2,500 2,129 2
成分規格等 5,800 2,671 19
農産食品
野菜、果実、麦類、とうもろこし、豆類、 落花生、ナッツ類、種実類等
残留農薬 18,100 11,121 18
添加物 17 0
成分規格等 431 0
カビ毒 4,200 1,859 0
遺伝子組換え食品 1,600 815 0
農産加工食品
冷凍食品(野菜加工品)、野菜加工品、果実加工品、香辛料、即席めん類等
残留農薬 3,400 1,966 2
添加物 2,800 1,631 17
成分規格等 1,200 752 6
カビ毒 900 453 0
遺伝子組換え食品 100 11 0
その他の食料品
健康食品、スープ類、調味料、菓子類、食用油脂、冷凍食品等
添加物 3,400 1,371 4
成分規格等 700 410 6
カビ毒 9 0
飲料
ミネラルウォーター類、清涼飲料水、アルコール飲料等
添加物 1,200 713 5
成分規格等 700 478 0
カビ毒 59 0
添加物、器具及び容器包装、おもちゃ 成分規格等 1,300 494 7
総計(延数) 年度計画件数総計には、検査強化分として4,500件を計上
76,000 40,472
実施率約53%
109
 抗生物質、農薬等の検査項目別の計画件数の概算を示したもの


表4 モニタリング検査強化※1対象品目(平成16年9月30日現在)
対象国・地域 対象食品 検査項目
全輸出国 ハトムギ加工品 アフラトキシン
全輸出国
(ベトナムを除く)
もろこし アフラトキシン
中国 ローヤルゼリー ストレプトマイシン
いちご ジクロルボス
レタス(チシャ) クロルピリホス
がざみ クロルテトラサイクリン
モロヘイヤ フェンバレレート
未成熟えんどう クロルピリホス
生食用ウニ※2 腸炎ビブリオ
韓国 きゅうり クロルピリホス
わけぎ プロシミドン、クロルピリホス
にら デルタメトリン
エゴマ ビフェントリン
生食用ウニ※2 腸炎ビブリオ
生食用赤貝※2 腸炎ビブリオ
生食用タイラギガイ※2 腸炎ビブリオ
タイ ニオイタコノキ シペルメトリン
PUK PRIK プロチオホス
生鮮コショウ クロルピリホス
台湾 スイゼンジナ クロルピリホス
スッポン クロルテトラサイクリン、テトラサイクリン
養殖鰻 エンロフロキサシン
オーストラリア はちみつ オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン
鶏肉 ナイカルバジン
フィリピン マンゴー クロルピリホス
生食用ウニ※2 腸炎ビブリオ
米国 リンゴジュース パツリン
ブロッコリー ダイアジノン
アルゼンチン 鶏肉 ラサロシドナトリウム
インドネシア 生鮮コーヒー豆 シペルメトリン
スワジランド グレープフルーツ イマザリル
ブラジル 鶏肉(処理場限定) スルファキノキサリン
フランス リンゴジュース パツリン
ベトナム オオバコエンドロ クロルピリホス
ベルギー パースニップ クロルピリホス
※1 通常、違反発見後のモニタリング検査強化は、全届出件数の半数(50%)を対象に検査を実施
※2 夏期の検査強化として全届出件数(100%)を対象に検査を実施(平成16年7月〜10月)


表5 モニタリング検査強化後検査命令へ移行した品目(平成16年4月〜9月)
対象国・地域 対象品目 検査項目
中国 レイシ(ライチ) メタミドホス
チンゲンサイ フェンバレレート
フナ エンロフロキサシン
韓国 にら クロルピリホス
生食用たいらぎ 腸炎ビブリオ
台湾 DAY LILY クロルピリホス
フランス レンズ豆 デルタメトリン
ベネズエラ カカオ豆 ジクロルボス


表6 主な検査命令対象品目及び検査実績(平成16年4月〜9月:速報値)
対象国・地域 主な対象食品 主な検査項目 検査件数 違反
全輸出国
(13品目)
落花生、ナッツ類、ハトムギ、チリペッパー等 アフラトキシン 3,515 25
シアン化合物含有豆類 シアン化合物 248 1
すじこ等 亜硝酸根等 503 1
中国
(29品目)
鶏肉、はちみつ、鰻、エビ、フナ等 スルファキノキサリン、エンロフロキサシン等 7,084 7
野菜・果実(ほうれん草、枝豆、大葉、ニラ、レイシ、チンゲンサイ等) クロルピリホス、シペルメトリン等 3,634 8
二枚貝 麻痺性貝毒等 2,046 6
鰻加工品、ウニ 腸炎ビブリオ等 1,815 3
全ての加工食品 サイクラミン酸 5,820 2
はるさめ 過酸化ベンゾイル 714 3
タイ
(20品目)
えび オキソリン酸等 1,634 0
野菜(オオバコエンドロ、ケール、コリアンダー、ペパーミント等) クロルピリホス、パラチオンメチル等 221 1
韓国
(14品目)
豚肉、鰻、ひらめ オキシテトラサイクリン等 83 0
二枚貝、生食用たいらぎ 麻痺性貝毒等 4,308 0
野菜(きゅうり、ミニトマト、パプリカ、ニラ等) エトプロホス、クロルピリホス等 44 1
その他(20カ国・1地域、50品目) 8,997 6
総計 40,666 64


表7 検疫所別届出・検査・違反状況(平成16年4月〜9月:速報値)
検疫所名 輸入・届出数量 検査数量 違反数量
件数 重量 件数 重量 件数 重量
  トン トン トン
小樽 15,115 277,414 727 45,267 8 29
千歳空港 920 206 68 35 0 0
仙台 8,939 204,663 870 23,954 1 18
仙台空港 117 21 21 7 0 0
成田空港 139,156 81,757 10,216 6,443 54 10
東京 191,313 2,526,468 17,033 192,493 78 187
東京二課 15,483 109,953 3,558 19,478 5 7
千葉 2,073 327,938 291 136,345 2 1
川崎 39,397 528,393 6,095 62,177 46 136
横浜 93,116 1,518,787 8,118 193,470 64 385
新潟 8,369 90,790 329 12,290 1 0
名古屋 39,870 1,802,151 4,920 407,373 12 61
清水 14,249 626,188 1,306 66,663 2 20
名古屋空港 6,928 3,310 1,906 192 11 2
四日市 1,351 142,288 211 38,253 1 0
大阪 104,166 1,180,760 8,357 112,956 54 151
関西空港 38,930 31,038 2,805 1,737 20 1
神戸 41,987 980,063 5,349 120,438 31 216
神戸二課 33,880 881,039 4,843 217,280 24 133
広島 8,172 80,766 643 9,800 8 76
1,000 15,810 129 5,833 1 3
広島空港 35 7 13 1 0 0
福岡 29,169 506,163 3,711 111,087 24 52
門司 8,698 122,423 1,316 15,369 15 74
下関 24,405 80,336 6,109 21,233 1 0
福岡空港 4,663 3,438 778 328 4 1
長崎 5,334 17,576 63 1,678 0 0
鹿児島 1,146 138,537 165 11,898 0 0
那覇 5,530 69,843 852 18,805 16 41
那覇空港 407 82 135 23 1 0
合計 883,918 12,348,209 90,937 1,852,905 484 1,604



(参考)中間報告中の主な検査項目
検査項目 分類
亜硝酸塩 添加物(発色剤)
安息香酸 添加物(保存料)
アフラトキシン カビ毒(アスペルギルス属等の真菌により産生される)
イマザリル 添加物(防かび剤)
エトプロホス 農薬(有機リン系殺虫剤)
エンロフロキサシン 合成抗菌剤(ニューキノロン系)
オキシテトラサイクリン 抗生物質(テトラサイクリン系)
オキソリン酸 合成抗菌剤(キノロン系)
過酸化ベンゾイル 添加物(小麦粉処理剤)
クロルテトラサイクリン 抗生物質(テトラサイクリン系)
クロルピリホス 農薬(有機リン系殺虫剤)
サイクラミン酸 指定外添加物(甘味料)
シアン化合物 有害有毒物質(一部豆類などの植物に含まれるシアン配糖体などのシアン関連化合物)
ジクロルボス 農薬(有機リン系殺虫剤)
シペルメトリン 農薬(ピレスロイド系殺虫剤)
ストレプトマイシン 抗生物質(アミノグリコシド系)
スルファキノキサリン 合成抗菌剤(サルファ剤)
ソルビン酸 添加物(保存料)
ダイアジノン 農薬(有機リン系殺虫剤)
腸炎ビブリオ 病原微生物(海水中の常在菌でビブリオ属の一種、急性胃腸炎の原因となる菌)
テトラサイクリン 抗生物質(テトラサイクリン系)
デルタメトリン 農薬(ピレスロイド系殺虫剤)
ナイカルバジン 合成抗菌剤
二酸化硫黄(亜硫酸塩) 添加物(酸化防止剤、漂白剤)
パツリン カビ毒(ペニシリウム属やアスペルギルス属等の真菌により産生される)
パラチオンメチル 農薬(有機リン系殺虫剤)
ビフェントリン 農薬(ピレスロイド系殺虫剤)
フェンバレレート 農薬(ピレスロイド系殺虫剤)
プロシミドン 農薬(殺菌剤)
プロチオホス 農薬(有機リン系殺虫剤)
ポリソルベート 指定外添加物(乳化剤)
麻痺性貝毒 貝毒(主に有害プランクトンの産生した毒を二枚貝が蓄積し、毒化することにより引き起こされる麻痺性中毒)
メタミドホス 農薬(有機リン系殺虫剤)
ラサロシドナトリウム 抗生物質(ポリエーテル系)
TBHQ 指定外添加物(酸化防止剤)


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