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No. | 医薬品等 | 対策 | 情報の概要 |
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1 | 注射用抗生物質製剤等によるショック等に対する安全対策について | 使 | 社団法人日本化学療法学会において皮内反応の有用性に関する検証が行われ,皮内反応の中止及びそれに代わるショック等に対する安全対策に関する提言がまとめられたこと及びこれを受けて,財団法人日本抗生物質学術協議会からも皮内反応の廃止を求める要望書が提出されたことから,薬事・食品衛生審議会の専門委員による検討を行ったので,その結果等についてお知らせするとともに,注射用抗生物質製剤等の適正な使用についてお願いする。 |
2 | イレッサ錠250プロスペクティブ調査(特別調査)調査報告書について | 使 | ゲフィチニブは,「手術不能又は再発非小細胞肺癌」を効能・効果とする抗悪性腫瘍剤であり,平成14年7月5日に海外に先駆け我が国で初めて承認された。 ゲフィチニブによる「間質性肺炎」については,承認時より添付文書の「重大な副作用」の項に記載して医療関係者に注意を喚起していたが,同年7月16日の販売から間質性肺炎を含む肺障害が厚生労働省に報告され,同年10月15日に急性肺障害,間質性肺炎について「緊急安全性情報」を配布し,医療関係者に注意を喚起した。更に,同年12月25日に医学・薬学等の専門家等からなる「ゲフィチニブ安全性問題検討会」を開催し,更なる適正使用の措置がとられた。 その指示に基づくプロスペクティブ調査の結果がまとまり報告されたので,紹介する。 |
3 | 血糖検査用グルコースキットの安全対策について | 使 症 |
糖尿病の治療は,合併症の発症を抑制するためにも食事療法,運動療法及び薬物療法による血糖コントロールが基本である。血糖コントロールの指標としては,血糖値やHbA1cが測定されるが,近年,簡易血糖自己測定器の開発により自宅でも血糖検査が行われるようになってきている。 今般,簡易血糖自己測定器を使用した患者で,低血糖を発症した事例等が報告されたことから,その原因等の分析を行い,安全対策として添付文書の改訂を行ったので紹介する。 |
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注射用抗生物質製剤及び合成抗菌剤については,まれにショック・アナフィラキシー様症状を起こすことが知られており,その安全対策として,添付文書の重要な基本的注意の項に,「(1)ショックがあらわれるおそれがあるので,問診を十分に行う。なお,事前に皮膚反応を実施することが望ましい。(2) ショック発生時には救急処置のとれる準備をしておく。また,投与後の患者を安静の状態に保たせ,十分な観察を行う。」旨が記載されている。これに従い,注射用抗生物質製剤等の使用に際しては,一般的に,事前の皮内反応が実施されている状況にある。
今般,社団法人日本化学療法学会において皮内反応の有用性に関する検証が行われ,皮内反応の中止及びそれに代わるショック等に対する安全対策に関する提言がまとめられたこと及びこれを受けて,財団法人日本抗生物質学術協議会からも皮内反応の廃止を求める要望書が提出されたことから,薬事・食品衛生審議会の専門委員による検討を行ったので,その結果等についてお知らせするとともに,注射用抗生物質製剤等の適正な使用についてお願いする。
(1) | 皮内反応ではショック・アナフィラキシー様症状を予知することはできないこと,真にアレルギーを有する者より偽陽性の者が圧倒的に多く,適切な治療を受ける機会を失っていること及び皮内反応の実施がアレルゲンを生じさせる可能性があることから皮内反応を実施することによる不利益もあること,などから,一般的に実施されている皮内反応について実施する意義が乏しい。 |
(2) | 安全対策としては,皮内反応を含む皮膚反応に頼ることよりも,既往歴等について十分に問診を行うとともに,ショック等を早期に発見し,早急な対応をとることがより大切である。 なお,今後,皮膚反応の実施を推奨しない理由は,注射用抗生物質製剤等によるショック等がなくなり安全となったためではなく,ショック等を予知する方法として皮膚反応を実施する意義が乏しいためであることについて,十分な情報を提供する必要がある。 |
(3) | アレルギー歴を有する者については,当該医薬品の投与を原則として行うべきでないが,治療の上で他剤に変更できない場合などに,皮膚反応を事前に実施した後に投与する事例も存在すると考えられる。この様な事例における皮膚反応の有用性を否定するものではない。ただし,このような場合の対応は,特殊な事例であり,一般的な添付文書への記載としては馴染まないと考えられ,むしろ実際の皮膚反応の実施方法も含め(社)日本化学療法学会でガイドラインを作成し,広く医薬関係者に周知することが適当である。 |
(1) | 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお,抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。 |
(2) | 投与に際しては,必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。 |
(3) | 投与開始から投与終了後まで,患者を安静の状態に保たせ,十分な観察を行うこと。特に,投与開始直後は注意深く観察すること。 |
(1) | 医薬品・医療用具等安全性情報への掲載 本誌に記事を掲載し,広く医薬関係者に本改訂に係る経緯,評価,対応について,お知らせする。 |
(2) | 抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドラインの作成 抗生物質等によるアナフィラキシーの防止策,発生後の対応策等の適正使用に関するガイドラインの作成を(社)日本化学療法学会に依頼し,以下の項目からなる「抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン(2004年版)」が作成された。本ガイドラインは,(社)日本化学療法学会のホームページ(http://www.chemotherapy.or.jp/)に掲載され,会員だけでなく広く医薬関係者への周知がなされている。 |
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(3) | 抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のリーフレットの配布等 上記ガイドラインの概要をまとめたリーフレット「抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策について(2004年版概要)」(表1参照)を日本製薬団体連合会から全医療機関に配布するとともに,各製薬企業の医薬情報担当者が医薬関係者を訪問等して適正使用情報の周知徹底を図ることとした。 |
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(1) | 本剤による治療を開始するに当たり,患者に本剤の有効性・安全性,息切れ等の副作用の初期症状,非小細胞肺癌の治療法,致命的となる症例があること等について十分に説明し,同意を得た上で投与すること。 企業による医療機関への有効性及び安全性等の適正使用に資する情報提供を徹底すること。 企業による副作用情報の収集に対して医療関係者は協力すること。 |
(2) | 肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師が使用するとともに,投与に際して緊急時に十分に措置できる医療機関で行うこと。 間質性肺炎が投与初期に発生し,致死的な転帰をたどる例が多いため,少なくとも投与開始後4週間は入院又はそれに準ずる管理の下で,間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。 |
(3) | 間質性肺炎が増悪し,致死的となる症例があるため,急性肺障害及び間質性肺炎,肺線維症又はこれらの疾患の既往歴のある患者を慎重投与とする。 |
(4) | 間質性肺炎等発生時の処置が手遅れとならないよう,「服用者向け情報提供資料」を適正に作成し,副作用発現数や死亡例について具体的に記載するなど,患者・家族等に受診を促すよう直接の注意喚起を徹底すること。 |
(5) | 承認条件として附された間質性肺炎等の科学的究明等の試験研究を早急に実施するとともに,その原因究明のための専門家による検討会等を設置し,それらの検討結果について逐次報告すること。 企業における重篤な副作用情報の収集や医療機関等への情報提供等の実施方法について再検討するとともに,急性肺障害・間質性肺炎の発現危険因子及びハイリスクの患者背景等を明らかにするためのプロスペクティブな調査・分析を行うこと等により,本剤の適正使用を推進すること。 |
(1) | [警告]の項に,「急性肺障害,間質性肺炎による致死的な転帰をたどる例は全身状態の良悪にかかわらず報告されているが,特に全身状態の悪い患者ほど,その発現率及び死亡率が上昇する傾向がある。本剤の投与に際しては患者の状態を慎重に観察するなど,十分に注意すること。」を追記した。 |
(2) | [慎重投与]の項に,「全身状態の悪い患者」を追記した。 |
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No. | 症例の概要 |
1 | マルトース含有輸液を投与中の患者の血糖値を簡易血糖自己測定器を用い測定し,その値に基づきインスリン投与したところ,結果的に過量投与となり意識障害を伴う低血糖を示した。低血糖状態はブドウ糖の投与により回復した。 当該施設の中央検査部での測定値と比較すると,100mg/dL前後の高値を示していた。 |
2 | 経静脈栄養輸液を投与中の患者の同じ血液を,簡易血糖自己測定器で測定すると557mg/dLであり,自動分析機器で測定すると187mg/dLであった。 |
3 | 外科手術においてマルトース輸液を投与された可能性がある患者であり,実際(検査室測定11mg/dL)より高値(164mg/dL)を示した。 |
(社)日本臨床検査薬協会 |
試薬販売名 | 測定原理 | 酵素名 | 補酵素名 | 製造(輸入) 会社名 |
該当機器名 | 製造(輸入)会社名 | |
1 | フリースタイルキッセイセンサー | GDH電極法 | GDH | PQQ | ニプロ(株) | フリースタイルキッセイメーター | ニプロ(株) |
2 | ニプロフリースタイルセンサー | GDH電極法 | GDH | PQQ | ニプロ(株) | ニプロフリースタイルメーター | ニプロ(株) |
3 | アキュチェックコンパクトドラムII | GDH比色法 | GDH | PQQ | ロシュ・ダイアグノスティックス(株) | アキュチェックコンパクト | ロシュ・ダイアグノスティックス(株) |
4 | アキュチェックアクティブスティック | GDH比色法 | GDH | PQQ | ロシュ・ダイアグノスティックス(株) | アキュチェックアクティブ | ロシュ・ダイアグノスティックス(株) |
5 | アドバンテージテストストリップS | GDH電極法 | GDH | PQQ | ロシュ・ダイアグノスティックス(株) | アキュチェックコンフォート アドバンテージ アドバンテージII |
ロシュ・ダイアグノスティックス(株) |
6 | グルテストNeoセンサー | GDH電極法 | GDH | PQQ | 松下寿電子工業(株) | グルテストNeo | 松下寿電子工業(株) |
7 | Gセンサー | GDH電極法 | GDH | PQQ | 松下寿電子工業(株) | グルコカードGメーター | 松下寿電子工業(株) |
8 | GASTAT-miniセンサーカードグルコース測定用 | GDH電極法 | GDH | PQQ | (株)テクノメディカ | GASTAT-mini用センサーカード (多項目同時測定) |
(株)テクノメディカ |
注)GDH:グルコース脱水素酵素,PQQ:ピロロキノリンキノン | 2004年9月現在 |
生理食塩水添加 | 無添加 | マルトース添加 | ガラクトース添加 | |||||||||
糖添加濃度(mg/dL) | 0 | 120 | 240 | 360 | 480 | 600 | 60 | 120 | 180 | 240 | 300 | |
試薬 | 補酵素 | 測定結果(平均値:mg/dL) | 測定結果(平均値:mg/dL) | |||||||||
A | NAD | 97 | 97 | 98 | 97 | 98 | 97 | 97 | 97 | 96 | 97 | 97 |
B | NAD | 97 | 97 | 97 | 98 | 98 | 97 | 97 | 97 | 98 | 97 | 97 |
C | NAD | 98 | 98 | 100 | 99 | 99 | 99 | 98 | 99 | 99 | 99 | 99 |
D | NAD | 96 | 97 | 97 | 97 | 96 | 97 | 97 | 98 | 96 | 96 | 96 |
E | NAD | 98 | 98 | 100 | 99 | 99 | 99 | 100 | 99 | 99 | 99 | 100 |
F | NADP | 97 | 98 | 97 | 98 | 98 | 98 | 98 | 98 | 98 | 98 | 98 |
G | NAD | 99 | 99 | 99 | 98 | 100 | 99 | 97 | 98 | 99 | 100 | 98 |
H | NAD | 165 | 165 | 164 | 167 | 168 | 168 | 166 | 169 | 163 | 166 | 164 |
I | PQQ | 104 | 159 | 205 | 257 | 294 | 337 | 156 | 211 | 252 | 286 | 343 |
生理食塩水添加 | 無添加 | キシロース添加 | |||||
糖添加濃度(mg/dL) | 0 | 40 | 80 | 120 | 160 | 200 | |
試薬 | 補酵素 | 測定結果(平均値:mg/dL) | |||||
A | NAD | 97 | 99 | 103 | 105 | 107 | 110 |
B | NAD | 96 | 100 | 103 | 105 | 107 | 110 |
C | NAD | 99 | 101 | 103 | 105 | 107 | 109 |
D | NAD | 97 | 97 | 97 | 96 | 97 | 98 |
E | NAD | 99 | 99 | 99 | 100 | 100 | 100 |
F | NADP | 98 | 99 | 98 | 98 | 98 | 98 |
G | NAD | 99 | 103 | 109 | 116 | 119 | 125 |
H | NAD | 164 | 162 | 162 | 165 | 170 | 172 |
I | PQQ | 100 | 133 | 153 | 188 | 239 | 258 |
生理食塩水添加 | 無添加 | マルトトリオース(G3)添加 | マルトテトラオース(G4)添加 | |||||||||
糖添加濃度(mg/dL) | 0 | 60 | 120 | 180 | 240 | 300 | 60 | 120 | 180 | 240 | 300 | |
試薬 | 補酵素 | 測定結果(平均値:mg/dL) | 測定結果(平均値:mg/dL) | |||||||||
A | NAD | 97 | 96 | 96 | 97 | 97 | 96 | 97 | 97 | 98 | 97 | 97 |
B | NAD | 96 | 97 | 98 | 97 | 97 | 98 | 99 | 97 | 97 | 97 | 98 |
C | NAD | 99 | 99 | 100 | 99 | 98 | 98 | 100 | 99 | 99 | 99 | 99 |
D | NAD | 96 | 98 | 97 | 97 | 97 | 97 | 96 | 97 | 98 | 97 | 96 |
E | NAD | 98 | 99 | 99 | 99 | 99 | 100 | 100 | 99 | 100 | 99 | 100 |
F | NADP | 98 | 98 | 97 | 98 | 98 | 98 | 99 | 98 | 99 | 98 | 98 |
G | NAD | 99 | 99 | 98 | 99 | 99 | 99 | 99 | 99 | 98 | 100 | 100 |
H | NAD | 160 | 159 | 158 | 164 | 159 | 161 | 159 | 162 | 163 | 160 | 170 |
I | PQQ | 101 | 123 | 142 | 164 | 180 | 198 | 119 | 130 | 145 | 155 | 170 |
生理食塩水添加 | 無添加 | マルトペンタオース(G5)添加 | マルトヘキサオース(G6)添加 | |||||||||
糖添加濃度(mg/dL) | 0 | 60 | 120 | 180 | 240 | 300 | 60 | 120 | 180 | 240 | 300 | |
試薬 | 補酵素 | 測定結果(平均値:mg/dL) | 測定結果(平均値:mg/dL) | |||||||||
A | NAD | 96 | 97 | 97 | 97 | 97 | 97 | 97 | 97 | 97 | 97 | 98 |
B | NAD | 97 | 96 | 97 | 97 | 97 | 98 | 97 | 97 | 97 | 97 | 98 |
C | NAD | 99 | 99 | 99 | 99 | 99 | 100 | 99 | 99 | 99 | 99 | 99 |
D | NAD | 97 | 96 | 97 | 97 | 97 | 96 | 96 | 96 | 97 | 97 | 96 |
E | NAD | 98 | 99 | 99 | 98 | 99 | 100 | 99 | 99 | 100 | 98 | 99 |
F | NADP | 98 | 99 | 99 | 99 | 98 | 99 | 98 | 99 | 99 | 98 | 98 |
G | NAD | 99 | 99 | 100 | 98 | 99 | 100 | 99 | 99 | 99 | 99 | 100 |
H | NAD | 163 | 164 | 163 | 163 | 167 | 164 | 165 | 162 | 164 | 165 | 163 |
I | PQQ | 102 | 111 | 119 | 131 | 139 | 150 | 110 | 117 | 125 | 134 | 145 |
注)グルコース濃度として97mg/dL。ただし,Hは全血サンプルで測定するために校正されているため,水溶液サンプルでのグルコース測定値は高値になっている。
注)IはPQQを補酵素とするグルコース脱水素酵素(EC1.1.5.2)を用いた測定システムである。
実際の血糖値より高い値を示すため,以下の患者には使用しないでください。
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また,マルトース含有輸液等の添付文書についても,「臨床検査結果に及ぼす影響」の項に,当該キットを用いた血糖測定ではマルトースが測定結果に影響を与え,実際の血糖値よりも高値を示す場合があることから,本剤を投与されている患者の血糖値の測定には,マルトースの影響を受ける旨の記載がある血糖測定用試薬及び測定器は使用しない旨を記載した。
なお,当該キットを試薬として使用する血糖測定器の添付文書についても,同様な改訂を行った。
〈参考文献〉
1)瀧本順三郎:糖尿病診断のための検査法 血糖,Medical Technology,30(13):1478-1479(2002)
2)佐野俊一他:わが国で使用される血糖自己測定器に及ぼすマルトース類の影響について,プラクティス,21(1):91-96(2004)
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