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厚生労働省発表
平成16年10月28日
 
職業能力開発局能力評価課 
能力 評価課長 井上 真
課長補佐 山本 浩司
電話  03(5253)1111(内線5969)
夜間直通  03(3502)6958


 鉄筋工事業、型枠工事業、フルードパワー業(油圧・空気圧機器製造業)における能力評価基準が完成


(ポイント)
 現在、厚生労働省では職業能力が適正に評価される社会基盤づくりを進めており、労働者の能力を客観的に評価する仕組みとして、能力評価基準の策定に取り組んでいる。これまで、経理・人事等の事務系職務や、電気機械器具製造業、ホテル業等の能力評価基準が策定されたところである。

 「工事業(鉄筋/型枠)」、「フルードパワー業(油圧・空気圧機器製造業)」の能力評価基準については、それぞれ業界団体との連携のもと、企業実務家や学識者からなる職業能力評価制度整備委員会において作業が進められ、今般報告書が取りまとめられた。
 同委員会報告書において、各業界の職業能力や人材育成に関する状況が分析され、その結果を踏まえて能力評価基準が定められた。

 能力評価基準は業界内のニーズが高い職種について策定され、職務遂行に必要な職業能力や知識に関し、担当者に必要とされる能力水準から組織・部門の責任者に必要とされる能力水準まで4つのレベルを設定している。
 また、能力評価基準は、単に知識があるということにとどまらず、職務を確実に遂行できるか否かの判断基準となるよう、典型的なビジネスシーンにおける行動例を記述している。

 また、現在、自動車製造業、スーパーマーケット業等幅広い業種において能力評価基準の策定を進めているところである。


 能力評価基準の策定までの経緯
(1)  工事業(鉄筋/型枠)
(1)  鉄筋工事業については、(社)全国鉄筋工事業協会(会長・和田進)、型枠工事業については、(社)日本建設大工工事業協会(会長・高倉外治)との連携のもと、それぞれ能力評価制度整備委員会(以下「委員会」という。ともに座長は藤澤好一 芝浦工業大学教授)を設置し、検討を行った。
(2)  両委員会では、施工管理や営業活動等を行う「施工管理」と、現場において実作業等を行う「施工技能」の2つの職種について、能力評価基準の策定を行った(図1参照)。
(3)  鉄筋工事業では、建設の大型化への対応や効率的かつ安全面に優れた施工を行う必要性が高まっていることから、専門工事会社間の調整や総合的な現場管理能力が必要とされており、こうした鉄筋工事業界の現状を踏まえて能力評価基準が策定された。
 また、型枠工事業では、従来からみられる組立や解体等多岐にわたる作業に加え、近年では、曲面的な型枠や芸術性の高い構築物等への対応も求められていることから、現場で総合的な施工管理を行うことができる人材の育成等を課題と位置づけ、こうした型枠工事業界の現状を踏まえて能力評価基準が策定された。

図1.工事業(鉄筋/型枠)の能力評価基準の全体構成
図1.工事業(鉄筋/型枠)の能力評価基準の全体構成

(2)  フルードパワー業(油圧・空気圧機器製造業)
(1)  フルードパワー業については、(社)日本フルードパワー工業会(会長・江木正夫)との連携のもと、委員会(座長・中野和夫 東京工業大学名誉教授)を設置し、検討を行った。
(2)  同委員会は、「油圧」と「空気圧」関連の機器製造業について、8つの職種を選定し、能力評価基準の策定を行った(図2参照)。
 具体的には、技術系職種では新技術・新製品の研究を行う「研究」、製品化に向けた開発設計を行う「開発設計」、生産システムの設計等を行う「生産技術」、顧客と技術面での対応を行う「営業技術」について、また、技能系職種では作業工程に沿って「加工」「組立」「検査」「保全」について能力評価基準の策定を行った。
(3)  フルードパワー業では、高付加価値製品を生み出す優秀なエンジニアや多能工技能者の人材確保・育成が必要とされており、こうしたフルードパワー業の現状を踏まえて能力評価基準が策定された。

図2.フルードパワー業の能力評価基準の全体構成
図2.フルードパワー業の能力評価基準の全体構成


 レベルの設定
 能力評価基準の策定に当たっては、これが職業能力を評価する基準であると同時に、労働者にとってキャリア形成上の指針となるように、役職等とそれに必要とされる職業能力の関係の実態に照らし、担当者に必要とされる能力水準(レベル1)から組織・部門の責任者に必要とされる能力水準(レベル4)まで4つのレベルを設定した(図3参照)。

図3.レベル区分の目安
レベル4
広範かつ統合的な判断及び意思決定を行い、企業利益を先導・創造し遂行するために必要な能力水準。
レベル3
方針を踏まえて管理運営・計画作成等を行い、企業利益を創出し遂行するために必要な能力水準。
レベル2
グループやチームの中心メンバーとして、創意工夫を凝らして自主的な判断、改善、提案を行い遂行するために必要な能力水準。
レベル1
担当者として、上司の指示・助言を踏まえて定例的業務を確実に遂行するために必要な能力水準。


 能力評価の基準の記述内容
 能力評価基準の具体的な記述に当たっては、単に知識があるということにとどまらず、当該職務を確実に遂行できるか否かの判断基準となるように典型的なビジネスシーンにおける行動例を記述している(図4図5図6参照)。


 能力評価基準を活用するメリット
 能力評価基準が明らかになることによって、的確なキャリア形成を図ることができる環境が整備され、また、職業能力に関するミスマッチが縮小することが期待される。
(1)  求職者・労働者にとっては、職業選択やキャリア形成の目標を立てる際に、(1)自らの能力の客観的な把握、(2)企業が必要とする能力の把握が可能となり、職業能力の向上に向けた取組みにつなげることができる。
(2)  企業にとっては、人材に関する企業戦略を立てる際に、採用すべき人材の明確化、人材育成への効果的な投資、能力に基づいた人事評価・処遇等の導入・定着に関する新しいスタンダードとして活用できる。
(3)  ハローワーク等の労働力需給調整機関にとっては、労働者、企業の双方が職業能力を明確に示すことにより、雇用のミスマッチ解消につなげることができる。
(4)  教育訓練実施機関にとっては、職業訓練の対象者の能力レベル表示や修了時の能力評価を適切に行うことができる。


 今後の事業の取組み
 現在、自動車製造業、スーパーマーケット業等について、能力評価基準の策定作業を進めているところである。今後も引き続き、幅広い分野について能力評価基準の整備を行うこととしている(図7参照)。
 なお、現在、ハローワーク等で活用できる能力評価ツールの開発を進めている。


 「職業能力評価制度整備委員会活動報告書」及び「能力評価基準」の入手先
中央職業能力開発協会 能力評価部
〒112-8503 東京都文京区小石川1-4-1 住友不動産後楽園ビル
http://www.hyouka.javada.or.jp (こちらよりダウンロードできます)
E-mail hyouka@javada.or.jp TEL 03-5800-3689


(図4)鉄筋工事業の能力評価基準の例
(図4)鉄筋工事業の能力評価基準の例

(図5)型枠工事業の能力評価基準の例
(図5)型枠工事業の能力評価基準の例

(図6)フルードパワー業の能力評価基準の例
(図6)フルードパワー業の能力評価基準の例

(図7)能力評価基準の策定取組み状況

(図7)能力評価基準の策定取組み状況


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