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厚生労働省発表
平成16年9月29日(水)
担当 厚生労働省労働基準局
  安全衛生部計画課
 課長 中沖 剛
 課長補佐 木下 正人
 課長補佐 上野 康博
  電話  5253-1111 内線5478・5477
 3502-6753(夜間直通)
安全衛生部化学物質対策課
 課長 古川 祐二
 化学物質情報管理官 永野 和則
  電話  5253-1111 内線5515
 3502-6756(夜間直通)


「石綿障害予防規則案要綱」についての労働政策審議会に対する諮問及び答申について

−アスベスト(石綿)対策の充実強化に向け、25年ぶりに健康障害防止のための省令を新たに制定へ−


 厚生労働大臣より、本日、労働政策審議会(会長 西川 俊作 慶應義塾大学名誉教授)に対し、「石綿障害予防規則案要綱」(別添1)について諮問を行った。これらについては、同審議会安全衛生分科会(分科会長 櫻井 治彦 慶應義塾大学名誉教授・中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター所長)において審議が行われた結果、同審議会から厚生労働大臣に対して、別添2のとおり答申があった。

 厚生労働省では、この答申を受け、石綿による健康障害防止対策の充実強化を図るため、新たに「石綿障害予防規則」を制定することとする。
 なお、労働安全衛生関係法令においては、昭和54年に粉じん障害防止規則を制定して以来、25年ぶりに労働者の健康障害防止のための省令を新たに制定することとなる。



(別添1)

厚生労働省発基安第0929001号


労働政策審議会
 会長 西川 俊作 殿



 厚生労働省設置法第9条第1項第1号の規定に基づき、別紙「石綿障害予防規則案要綱」について、貴会の意見を求める。


 平成16年9月29日


厚生労働大臣 尾辻 秀久



(別紙)

 石綿障害予防規則案要綱
第一  総則
 事業者は、石綿による労働者の肺がん、中皮腫その他の健康障害を予防するため必要な措置を講じ、石綿にばく露される労働者の人数等を最小限度にするよう努めるとともに、石綿を含有する製品を計画的に石綿を含有しない製品に代替するよう努めること。
 この省令において使用する用語について必要な定義規定を設けること。
第二  石綿等を取り扱う業務等に係る措置
 一  解体等の業務に係る措置
 事前調査
(1)  事業者は、建築物等の解体等の作業を行うときは、あらかじめ、石綿等の使用の有無を目視等により調査し、その結果を記録すること。
(2)  事業者は、(1)の調査を行ったにもかかわらず石綿等の使用の有無が明らかとならなかったときは、石綿等が使用されているものとみなして措置を講ずる場合を除き、これを分析により調査し、その結果を記録すること。
 事業者は、石綿等が使用されている建築物等の解体等の作業を行うときは、あらかじめ、作業計画を定め、当該計画により作業を行うこと。
 事業者は、石綿等が張り付けられた一定の建築物等の解体等の作業を行うときは、あらかじめ、所轄労働基準監督署長に届け出ること。
 事業者は、石綿等が吹き付けられた建築物の解体等の作業を行う場合において、当該石綿等を除去するときは、当該除去を行う作業場所を隔離すること。
 保温材等の除去に係る措置
(1)  事業者は、石綿等が使用されている保温材等を張り付けた物の解体等の作業を行う場合において、当該保温材等を除去するときは、当該作業場所に当該作業に従事する労働者以外の者が立ち入ることを禁止し、その旨を表示すること。
(2)  特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が(1)の作業と同一の場所で行われるときは、関係請負人に当該作業の実施について通知するとともに、作業の時間帯の調整等必要な措置を講ずること。
 建築物等の解体等の作業を行う仕事の発注者は、当該仕事の請負人に対し、当該建築物等における石綿等の使用の状況を通知するよう努めること。
 建築物等の解体等の作業を行う仕事の注文者は、建築物の解体方法及びその費用等についてこの省令の規定の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないよう配慮すること。
 石綿等が吹き付けられた建築物等における業務に係る措置
 事業者は、その労働者を就業させる建築物の壁等(2に掲げるものを除く。)に吹き付けられた石綿等の粉じんが飛散し、及びその労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、当該石綿等の除去等の措置を講ずること。
 建築物貸与者は、当該建築物の貸与を受けた二以上の事業者が共用する廊下の壁等に吹き付けられた石綿等の粉じんが飛散し、及びその労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、1の措置を講ずること。
 その他の石綿等を取り扱う業務に係る措置
 事業者は、特定石綿等(製造等が禁止されていない石綿等をいう。以下同じ。)を吹き付ける作業に労働者を従事させてはならないものとすること。
 事業者は、特定石綿等の粉じんが発散する屋内作業場については、当該粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置等を設ける等の措置を講ずること。
 事業者は、石綿等の切断等の作業及び当該作業において発散した石綿等の粉じんの清掃作業に労働者を従事させるときは、石綿等を湿潤な状態のものとする等の措置を講ずるとともに、当該労働者に呼吸用保護具等を使用させること。
 事業者は、石綿等を取り扱う作業場には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、その旨を表示すること。
第三  設備の性能等
 第二の三の2により設けられる局所排気装置等のフード、ダクト等及び当該局所排気装置等の稼働について所要の要件を定めるとともに、特定石綿等の粉じんを含有する気体を排出する製造設備の排気筒等に所要の要件を満たす除じん装置を設けること。
第四  管理
 事業者は、特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、石綿作業主任者を選任するとともに、作業の方法の決定等の事項を行わせること。
 定期自主検査を行うべき機械等として第二の三の2により設けられる局所排気装置等を定め、その検査事項等を定めるとともに、点検、補修等について必要な事項を定めること。
 事業者は、石綿等が使用されている建築物等の解体等の作業に係る業務に労働者を従事させるときは、当該労働者に対し、石綿等の有害性その他石綿等の粉じんのばく露の防止に関し必要な事項について、当該作業に関する衛生のための特別の教育を行うこと。
 事業者は、特定石綿等を常時取り扱う作業等に労働者を従事させるときは、所要の休憩室を設けるとともに、当該作業場及び休憩室の床を水洗によって容易に掃除できる構造のものとすること。
 事業者は、作業場及び四の休憩室の床等については、水洗する等の方法によって、毎日一回以上、清掃を行うこと。
 洗浄設備等
 事業者は、石綿等を取り扱う作業等に労働者を従事させるときは、洗眼等のための設備等を設け、当該作業場で労働者が喫煙すること等を禁止するとともに、必要な事項の掲示及び記録の保存を行うこと。
 事業者は、石綿等を運搬等するときは、堅固な容器を使用する等の措置を講ずること。
第五  測定
 事業者は、特定石綿等を取り扱う屋内作業場について、定期に、その空気中における濃度を測定するとともに、その結果の評価を行い、必要な措置を講ずること。
第六  健康診断
 事業者は、特定石綿等を取り扱う業務等に常時従事する労働者等に対し、必要な健康診断を行う等の措置を講ずること。
第七  保護具
 事業者は、石綿等を製造し、又は取り扱う作業場には必要な数の呼吸用保護具を備え、これを常時有効かつ清潔に保持すること。
 事業者は、第二の三の3等の保護具等が使用された場合には、他の衣服から隔離して保管するとともに、当該保護具等について、付着した物を除去した後でなければ作業場外に持ち出してはならないものとすること。
第八  製造許可等
 製造等が禁止されている石綿等の試験研究に係る許可を受けようとする者は、所轄労働基準監督署長に申請しなければならないものとするとともに、当該許可に係る製造設備の構造等の基準を定めること。
第九  報告
 石綿等を取り扱う事業者は、事業を廃止するときは、所轄労働基準監督署長に報告すること。
第十  施行期日等
 この省令は、平成十七年七月一日から施行すること。
 この省令の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係省令について所要の規定の整備を行うこと。



(別添2)

労審発第174号
平成16年9月29日


厚生労働大臣
 尾辻 秀久 殿


労働政策審議会
 会長 西川 俊作


 平成16年9月29日付け厚生労働省発基安第0929001号をもって諮問のあった「石綿障害予防規則案要綱」については、本審議会は、下記のとおり答申する。





別紙「記」のとおり。



(別紙)

平成16年9月29日


労働政策審議会
 会長 西川 俊作 殿


安全衛生分科会
 分科会長 櫻井 治彦


「石綿障害予防規則案要綱」について


 平成16年9月29日付け厚生労働省発基安第0929001号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。





厚生労働省案は、妥当と認める。



参考

石綿に係る労働者の健康障害防止対策

石綿に係る労働者の健康障害防止対策の図


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