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少子化に関する意識調査研究
(報告書概要版)

1. 調査目的

 少子化の大きな要因として、結婚することや子どもを持つことに対する国民の意識の変化があることを踏まえ、結婚することや子どもを持つことに対する国民の意識を体系的に把握し、今後の政策の検討に資する。

2. 調査の趣旨

 結婚や子育ての中心となる20〜40代の男女を対象に、ライフステージ別に下図の7グループを設定。
 このライフステージ別分類は、何らかの意識要因等が働いて、
「(1)若年独身」から「(2)継続独身」又は「(3)若年無子家族」へ、
「(3)若年無子家族」から 「(4)継続無子家族」又は「(5)若年一人っ子家族」へ、
さらに「(5)若年一人っ子家族」から「(6)継続一人っ子家族」又は「(7)複数子家族」に至っているという前提によるものである。
 これら(1)〜(7)のグループ別に、意識要因(「結婚・家族意識」「育児意識」「就業意識」「家計・経済意識」「自己意識」「社会意識」)やライフスタイルの実態を比較・分析することにより、少子化を導く意識等の因果関係を把握する。

図

3. 調査方法・対象及び調査内容
(1) 調査対象とサンプル数
全国に居住する20〜49才の男女個人
グループ 本人年齢 妻年齢 集計数
男性 1 若年独身 20〜32才 150
2 継続独身 33〜49才 150
3 若年無子家族 20〜49才 20〜31才 150
4 継続無子家族 32〜49才 150
5 若年一人っ子家族 20〜35才 150
6 継続一人っ子家族 36〜49才 150
7 複数子家族 20〜49才 150
女性 8 若年独身 20〜30才 150
9 継続独身 31〜49才 150
10 若年無子家族 20〜31才 150
11 継続無子家族 32〜49才 150
12 若年一人っ子家族 20〜35才 150
13 継続一人っ子家族 36〜49才 150
14 複数子家族 20〜49才 150

(2) 調査方法
 郵送によるアンケート調査を実施。サンプルの抽出に当たっては、大都市・中都市・小都市・町村の4区分の人口比率に応じて実施。

(3) 調査内容
対象者の基本属性、結婚の状況と結婚意識、家族の状況と家族意識、子育ての状況と育児意識就労状況と就業意識、家計の状況と経済意識、自己意識・社会意識、少子化についての考え方

(4) 調査実施期間
郵送調査実施期間 2004年2月16日(月)〜3月2日(火)

(5) 委託機関
株式会社 電通
調査内容等の検討のため、研究会を設置。
〈委員〉
 板本洋子氏 (財団法人日本青年館 結婚相談所所長)
 高橋重郷氏 (国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部部長)
 山田昌弘氏 (東京学芸大学教育学部 教授)
 山本恵子氏 (NHK報道局社会部 記者) (50音順)



《調査結果》
I  「継続独身」と「若年独身」・「若年無子家族」の比較

1. 結婚意識

 結婚の意向について、男女とも、【若年独身】では「結婚意向なし」が1割弱であるのに対し、【継続独身】では3割弱となっている。

図表1-1.結婚意向(単数回答)(基数:全体) (%)
図表1-1.結婚意向(単数回答)(基数:全体)のグラフ

 結婚していない理由について、どのグループの男女とも、「適当な相手にめぐり合わないから」が最も高いが、【若年独身】では「経済力がないから」が、【継続独身】では「親の扶養・同居の問題を抱えているから」が相対的に高い状況となっている。
 また、【継続独身】の女性では、「義父母や親戚など人間関係が複雑になるから」が相対的に高い状況となっている。

図表1-2. 結婚していない理由(複数回答)(基数:婚約中を除く独身者) (%)
  N
適当な相手にめぐり合わないから 経済力がないから 自分の自由になる時間や お金が少なくなる 趣味やレジャーを楽しみたいから 異性と上手くつきあえないから 義父母や親戚など人間関係が複雑になるから 仕事に打ち込みたい仕事がしづらくなる まだ若いから 現在の生活レベルを落としたくないから 親の扶養・同居の問題を抱えているから もう少し、相手を知りたいから 相手に結婚できない事情があるから 相手が乗り気でないから 親や周囲が同意しないから
若年独身男性 143 60.8 46.9 19.6 21.0 16.8 3.5 11.2 18.2 5.6 2.1 5.6 0.7 2.8 0.7
継続独身男性 143 58.7 28.7 23.1 17.5 13.3 4.9 0.7 0.7 7.7 10.5 4.2 4.2 4.2 0.7
若年独身女性 143 58.0 28.7 34.3 22.4 9.8 10.5 16.1 15.4 8.4 4.9 9.8 5.6 0.7 2.8
継続独身女性 144 66.0 5.6 19.4 16.7 11.1 19.4 9.0 0.0 11.8 14.6 4.9 4.2 2.8 1.4

 結婚のよい点について、男女とも【継続独身】は、「好きな人と一緒にいられる」が相対的に低く、「社会的な信用が得られる」が相対的に高い状況となっている。
 また、女性の場合には、「経済的な安定が得られる」も相対的に高い状況となっている。

図表1-3.結婚のよい点(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150% 家族や子どもを持てる 精神的な安定が得られる 好きな人と一緒にいられる 人生の喜びや悲しみを分かち合える 社会的な信用が得られる 経済的な安定が得られる 親や周囲の期待に応えられる 一人前の大人だと感じられる 親から独立できる 交友関係が広がる 生活上の不便が無くなる 性的な充足が得られる あてはまるものはない
若年独身男性 58.0 53.3 59.3 42.7 16.0 4.7 12.7 22.0 9.3 7.3 6.0 13.3 4.0
継続独身男性 52.0 51.3 54.7 49.3 28.0 2.0 16.7 16.0 4.7 14.7 10.7 16.7 6.7
若年無子家族男性 48.7 65.3 74.7 44.7 22.0 4.7 10.0 16.0 6.7 10.7 10.7 8.7 0.7
若年独身女性 70.0 52.7 62.0 56.7 12.7 15.3 14.7 8.0 10.0 12.0 2.7 6.0 2.7
継続独身女性 52.7 60.0 54.7 56.0 32.0 28.7 12.7 10.0 16.0 10.7 6.0 5.3 3.3
若年無子家族女性 51.3 74.7 71.3 60.7 17.3 22.7 14.0 11.3 20.0 8.7 9.3 7.3 0.7

 結婚のよくない点について、男女とも【継続独身】は、「義父母や親戚など人間関係が複雑になる」及び「ストレスがたまる」が相対的に高い状況となっている。

図表1-4.結婚のよくない点(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150 自分の自由になる時間が少なくなる 行動が制限される 自分の自由になるお金が少なくなる 義父母や親戚など人間関係が複雑になる 家事に縛られる ストレスがたまる 家族扶養の責任が生まれる 仕事がしづらくなるやめなければならない 交友関係が狭くなる 恋愛が自由にできなくなる 親元から離れなければならなくなる 生活のレベル・質が落ちる あてはまるものはない
若年独身男性 54.7 48.7 50.7 21.3 6.7 12.0 30.7 2.7 8.0 6.0 1.3 5.3 14.0
継続独身男性 50.7 47.3 38.7 26.7 4.7 21.3 31.3 4.0 3.3 12.7 0.7 7.3 12.7
若年無子家族男性 40.7 44.7 50.0 14.7 4.7 9.3 19.3 0.7 9.3 9.3 1.3 4.0 12.7
若年独身女性 61.3 56.0 46.7 50.7 36.0 19.3 14.0 16.0 12.7 5.3 15.3 8.7 4.0
継続独身女性 63.3 46.0 37.3 55.3 34.0 30.0 16.7 16.7 12.7 6.7 10.7 6.7 5.3
若年無子家族女性 33.3 34.0 37.3 42.7 26.7 16.0 8.0 14.7 10.7 11.3 16.7 4.0 10.0

 『結婚には喜びや希望を感じる』に対する意見について、【継続独身】は、男性で8割弱、女性で7割の者が肯定しているが、【若年無子家族】では男女とも9割を超えている。

図表1-5.『結婚には喜びや希望を感じる』に対する意見(単数回答)(基数:全体)
図表1-5.『結婚には喜びや希望を感じる』に対する意見(単数回答)(基数:全体)のグラフ

 『結婚したい人がいなければ無理に結婚することはない』に対する意見について、男女とも【継続独身】は、『女性の結婚』に関して6割の者が、『男性の結婚』に関して5割の者が肯定しているが、【若年無子家族】では、『女性の結婚』に関 して7割の者が、『男性の結婚』に関して6割の者が肯定している。

図表1-6. 『女性の結婚』『男性の結婚』への意見(単数回答)(基数:全体)
 『結婚したい人がいなければ無理に結婚することはない』への肯定率
図表1-6.『女性の結婚』『男性の結婚』への意見(単数回答)(基数:全体)のグラフ

 結婚相手の条件について、どのグループの男女とも、「性格・パーソナリティー」及び「価値観・相性」が高い状況となっている。
 また、特に【若年独身】の女性は、「家事・育児に対する能力・姿勢」が相対的高い状況となっている。

図表1-7.結婚相手の条件(回答3つまで)(基数:全体) (%)
各グループN=150 性格・パーソナリティー 価値観・相性 相手の収入・経済力 容姿・容貌 自分の仕事に対する理解と協力 共通の趣味 家事・育児に対する能力・姿勢 夫婦の対等意識 年令 センス 職業 自分の親との同居 相手の親との別居 学歴 持ち家 財産・貯蓄額
若年独身男性 82.0 65.3 1.3 27.3 15.3 16.0 25.3 8.7 14.7 10.7 1.3 8.0 1.3 0.7 0.0 0.7
継続独身男性 80.0 52.7 4.0 22.7 14.7 22.7 22.7 8.0 18.0 12.7 1.3 12.7 0.0 0.7 0.7 0.0
若年無子家族男性 83.3 60.7 0.0 23.3 19.3 16.7 14.7 8.0 3.3 7.3 1.3 8.7 0.0 0.0 0.0 0.0
若年独身女性 78.7 61.3 47.3 7.3 14.0 8.0 30.0 8.7 9.3 6.0 9.3 1.3 6.7 2.0 0.7 0.7
継続独身女性 84.0 69.3 45.3 6.0 14.7 12.0 12.0 12.0 7.3 4.7 6.7 7.3 6.7 0.0 0.0 2.0
若年無子家族女性 88.7 68.0 22.0 6.0 11.3 18.7 8.7 17.3 4.7 6.0 8.0 2.7 4.7 3.3 0.7 2.0


2. 就業意識

 現在の仕事と私生活のバランスの状況について、【若年独身】及び【継続独身】は、男女間にほとんど差はないが、【若年無子家族】では、男性は「仕事中心」が 7割、女性は「バランスのとれた生活」が6割弱で最も多く、男女間の差が顕著である。

図表2-1.現在の仕事と私生活のバランスの状況(単数回答)(基数:勤労者)
図表2-1.現在の仕事と私生活のバランスの状況(単数回答)(基数:勤労者)のグラフ


3. 自己意識・社会意識

 価値観について、男女とも【継続独身】は、「「親孝行」や「恩返し」をすることは大事なことだ」という伝統的価値観が相対的に低い状況となっている。また、男性の場合は「自己の能力や生き方に自信を持っている」が相対的に低く、女性の場合は「個人の権利や自由を尊重することは大事なことだ」が相対的に低い状況となっている。

図表3-1.価値観(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150 親孝行をすることは大事なことだ 世の中には、不公平なことが多いと思う 日本の社会通念や習慣は男女平等と思わない 恩返しをすることは大事なことだ 個人の権利や自由を尊重することは大事なことだ 社会が良くなってこそ個人が幸せになる 日本人であることを誇りに思う 間違っていると思う人がいれば、注意する 政治や社会問題に関し議論するのが好き 自分の能力や生き方に自信を持っている まじめに努力すれば、報われる社会だと思う 自分の将来は明るい 誰もみてなければ多少規則を破って構わない 21世紀は希望に満ちた社会になると思う
若年独身男性 62.7 68.0 49.3 58.0 53.3 36.7 28.7 17.3 21.3 22.0 12.7 10.0 5.3 5.3
継続独身男性 58.7 67.3 40.0 49.3 51.3 46.0 34.7 22.0 23.3 14.0 15.3 6.0 4.7 1.3
若年無子家族男性 77.3 70.0 42.0 60.7 50.7 39.3 27.3 22.7 20.0 20.0 5.3 11.3 2.7 2.7
若年独身女性 80.7 70.7 59.3 53.3 57.3 37.3 20.0 14.7 10.7 12.7 3.3 8.7 4.0 0.7
継続独身女性 64.7 68.7 55.3 38.7 48.0 37.3 25.3 10.7 11.3 10.0 7.3 4.7 0.7 2.0
若年無子家族女性 82.7 54.0 50.7 57.3 56.7 36.0 23.3 10.7 7.3 15.3 5.3 12.7 1.3 0.0

 現在及び将来の不安について、 男女とも【継続独身】では「自分の健康・病気」、「老後の生活」及び「親の介護」という“自分に直接関わること”が相対的に高い状況となっている。

図表3-2.現在及び将来の不安(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150% 家族の健康・病気 自分の健康・病気 老後の生活 国の経済・景気 親の介護 社会の治安 給与・年収のダウン 日本の将来・行方 子どもの将来 リストラ・失業 自分の進路・将来 財産・貯蓄の目減り 妊娠・出産 結婚・離婚 自分の会社の業績・将来
若年独身男性 44.0 48.7 29.3 51.3 28.0 35.3 26.0 50.0 4.7 23.3 47.3 14.0 2.7 32.0 15.3
継続独身男性 42.0 68.0 44.7 43.3 38.7 40.7 35.3 38.0 10.7 33.3 29.3 20.7 2.7 35.3 17.3
若年無子家族男性 56.7 51.3 39.3 54.7 30.0 32.7 45.3 40.0 10.7 29.3 28.7 20.0 22.0 6.0 20.7
若年独身女性 52.0 52.0 40.0 39.3 39.3 34.7 26.7 31.3 5.3 18.7 51.3 17.3 34.7 50.0 6.0
継続独身女性 67.3 66.0 64.0 42.7 55.3 39.3 27.3 34.7 11.3 27.3 30.0 18.0 19.3 34.0 8.0
若年無子家族女性 66.0 44.7 50.7 43.3 37.3 39.3 38.0 30.7 9.3 21.3 14.0 23.3 60.7 4.7 3.3


4. 少子化についての考え方

 少子化問題のとらえ方について、【継続独身】は、「ただちに解決すべき重要な問題だと思う」又は「できるだけ解決すべき重要な問題だと思う」と回答した者の割合が、男性で5割、女性で4割にとどまり、【若年無子家族】に比べて1割程度低くなっている。

図表4-1.少子化問題のとらえ方(単数回答)(基数:全体)
図表4-1.少子化問題のとらえ方(単数回答)(基数:全体)のグラフ


5. 【継続独身】についてのまとめ

 【継続独身】は、【若年独身】や【若年無子家族】に比べて、結婚について、「好きな人と一緒にいられる」という精神的な満足を得るものよりは、「社会的な信用」や「経済的な安定」という物質的な満足を得るものと捉える傾向が強い。また、結婚に伴う「ストレス」や「義父母や親戚などとのつきあい」という面を強く意識する傾向がある。
 このような中で、『結婚には喜びや希望を感じる』と受け止める者が、男性では8割弱、女性では7割と他のグループに比べて少ないが、実際に結婚している【若年無子家族】では男女とも9割を超えている。
 さらに、「親孝行」や「恩返し」という伝統的価値観が低く、「自己の能力」や「生き方」に対する自信も幾分弱く、「自分の健康・病気」、「老後の生活」及び「親の介護」という“自分に直接関わること”に不安を抱く傾向がある。
 したがって、【継続独身】については、物質的な満足感を追求し、個人や自分を強く意識する傾向がある中で、精神的な満足感を含め、結婚の意義や大切さを伝える取組を更に推進することが必要である。



II  「継続無子家族」と「若年無子家族」・「若年一人っ子家族」の比較

1. 結婚意識

 平均結婚年齢について、男女とも【継続無子家族】は相対的に高く、他グループと3歳ほどの開きがある。

図表1-1.結婚年齢(単数回答)(基数:全体)
図表1-1.結婚年齢(単数回答)(基数:全体)のグラフ

 結婚のきっかけについて、 男女とも【継続無子家族】は「きっかけはないが一緒に暮らしたかった」が相対的に低く、「自分の年齢を考えて」が相対的に高い状況となっている。
 また、女性の場合は「交際期間の長さを考えて」も相対的に低い状況となっている。

図表1-2.結婚のきっかけ(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150 きっかけはないが一緒に暮らしたかった 自分の年令を考えて 交際期間の長さを考えて 家族・子どもが欲しくなったので 相手の年令を考えて 親が心配しているので 相手に結婚を迫られて 友達・仲間の多くが結婚したので 生活に変化が欲しくなったので 子どもができたので 結婚した方が経済的に楽になると思ったので 親の年令を考えて 転勤・海外赴任が決まったので 近親者が病気になったので 職場の上司から薦められて ライバルが出現したので
若年無子
家族男性
52.0 36.0 32.7 20.0 23.3 8.0 4.7 7.3 4.0 1.3 6.7 4.0 3.3 1.3 0.7 0.0
継続無子
家族男性
40.7 49.3 20.7 10.0 16.7 9.3 6.7 8.0 4.0 0.0 1.3 3.3 2.0 2.0 0.7 0.7
若年一人っ子
家族男性
46.7 35.3 20.7 24.7 18.0 3.3 4.7 8.0 5.3 11.3 2.0 4.0 4.7 1.3 0.7 0.7
若年無子
家族女性
50.0 25.3 27.3 13.3 9.3 12.0 13.3 6.7 11.3 0.7 10.0 2.0 2.7 0.7 0.7 0.0
継続無子
家族女性
36.0 42.0 13.3 10.0 8.7 15.3 11.3 10.0 8.0 1.3 5.3 2.0 1.3 1.3 0.0 0.0
若年一人っ子
家族女性
41.3 34.0 30.7 18.7 13.3 8.7 14.7 3.3 6.0 16.7 1.3 2.7 3.3 1.3 0.7 0.0

○ 結婚のよい点について、男女とも【継続無子家族】は、「家族や子どもを持てる」及び「好きな人と一緒にいられる」が相対的に低い状況となっている。
 また、男性の場合は、「精神的な安定が得られる」及び「人生の喜びや悲しみを分かち合える」が相対的に高く、女性の場合は、「経済的な安定が得られる」が相対的に高い状況となっている。

図表1-3.結婚のよい点(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150 家族や子どもを持てる 精神的な安定が得られる 好きな人と一緒にいられる 人生の喜びや悲しみを分かち合える 社会的な信用が得られる 経済的な安定が得られる 親や周囲の期待に応えられる 一人前の大人だと感じられる 親から独立できる 交友関係が広がる 生活上の不便が無くなる 性的な充足が得られる あてはまるものはない
若年無子家族男性 48.7 65.3 74.7 44.7 22.0 4.7 10.0 16.0 6.7 10.7 10.7 8.7 0.7
継続無子家族男性 32.0 75.3 56.7 54.0 32.0 6.7 11.3 17.3 6.0 9.3 17.3 12.0 0.7
若年一人っ子家族男性 83.3 61.3 62.7 45.3 29.3 4.0 8.0 14.7 8.7 8.7 16.0 14.0 0.7
若年無子家族女性 51.3 74.7 71.3 60.7 17.3 22.7 14.0 11.3 20.0 8.7 9.3 7.3 0.7
継続無子家族女性 24.7 69.3 53.3 49.3 19.3 29.3 13.3 8.7 18.0 13.3 8.7 3.3 3.3
若年一人っ子家族女性 84.7 56.0 62.0 50.0 15.3 16.7 18.7 6.7 10.7 8.7 6.0 4.0 0

○ 結婚のよくない点として、男女とも【継続無子家族】は「自分の自由になる時間が少なくなる」及び「自分の自由になるお金が少なくなる」が相対的に低く、「あてはまるものはない」が相対的に高い状況となっている。

図表1-4.結婚のよくない点(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150 自分の自由になる時間が少なくなる 行動が制限される 自分の自由になるお金が少なくなる 義父母や親戚など人間関係が複雑になる 家事に縛られる ストレスがたまる 家族扶養の責任が生まれる 仕事がしづらくなるやめなければならない 交友関係が狭くなる 恋愛が自由にできなくなる 親元から離れなければならなくなる 生活のレベル・質が落ちる あてはまるものはない
若年無子家族男性 40.7 44.7 50.0 14.7 4.7 9.3 19.3 0.7 9.3 9.3 1.3 4.0 12.7
継続無子家族男性 30.7 47.3 35.3 20.0 3.3 9.3 14.0 0.0 3.3 7.3 0.0 3.3 26.0
若年一人っ子家族男性 54.0 54.0 58.0 18.0 2.7 11.3 22.0 0.7 7.3 5.3 0.7 3.3 12.7
若年無子家族女性 33.3 34.0 37.3 42.7 26.7 16.0 8.0 14.7 10.7 11.3 16.7 4.0 10.0
継続無子家族女性 30.7 38.7 22.7 51.3 32.0 21.3 6.0 11.3 6.7 8.7 6.7 5.3 13.3
若年一人っ子家族女性 56.0 48.7 44.7 46.7 38.0 28.0 7.3 19.3 12.0 8.0 10.7 2.7 5.3


2. 家族意識

 子どもの位置づけについて、【継続無子家族】は、「生きがい・喜び・希望」、「無償の愛を捧げる対象」及び「夫婦の絆を深めるもの」が相対的に低く、「独立した一人の人間」及び「自分の血を後世に残せるもの」が相対的に高い状況となっている。

図表2-1.子どもの位置付け(回答3つまで)(基数:全体) (%)
各グループN=150 生きがい・喜び・希望 無償の愛を奉げる対象 夫婦の絆を深めるもの 独立した一人の人間 自分の血を後世に残せるもの 自分の分身 社会的資産 配偶者の分身 経済的負担を与えるもの 老後の面倒を見てくれる人 精神的負担を与えるもの ライバル
若年無子家族男性 66.0 36.7 46.0 28.0 32.0 21.3 3.3 8.7 4.7 2.0 1.3 0.0
継続無子家族男性 55.3 30.0 33.3 30.7 44.7 22.7 7.3 8.0 4.0 2.0 1.3 1.3
若年一人っ子家族男性 88.7 59.3 42.7 15.3 20.0 24.0 4.7 4.7 1.3 2.7 0.7 2.0
若年無子家族女性 66.0 53.3 48.0 26.0 19.3 17.3 2.0 10.7 8.0 1.3 3.3 0.0
継続無子家族女性 46.7 40.7 30.0 40.0 30.7 15.3 7.3 5.3 6.0 3.3 4.0 0.7
若年一人っ子家族女性 79.3 71.3 39.3 29.3 12.0 22.7 3.3 4.0 0.0 0.0 2.0 0.7

 子どもに残したい・伝えたいものについて、男女とも【継続無子家族】は、「親子の絆」が相対的に低い状況となっている。

図表2-2.子どもに残したい・伝えたいもの(回答3つまで)(基数:全体) (%)
各グループN=150% 生きて行く上での強さ・知恵 親子の絆 人生の素晴らしさ 自分の人生観 財産 家訓・先祖から守ってきたこと 自分のつきあいやネットワーク 自分の夢 仕事・家業 築いてきた地位
若年無子家族男性 71.3 30.0 35.3 28.7 21.3 15.3 4.7 5.3 4.0 4.7 0.0
継続無子家族男性 66.7 26.0 26.7 30.7 19.3 12.0 6.7 2.0 2.7 4.0 0.7
若年一人っ子家族男性 76.7 28.7 39.3 31.3 13.3 14.0 6.7 3.3 4.7 2.7 0.0
若年無子家族女性 74.0 50.7 38.0 30.7 8.7 8.0 6.7 6.0 4.7 0.7 0.0
継続無子家族女性 78.0 44.0 26.7 32.0 10.0 8.0 8.0 1.3 2.0 0.7 0.0
若年一人っ子家族女性 84.7 46.7 42.7 22.7 3.3 14.0 3.3 1.3 2.7 0.0 0.0


3. 育児意識

 『子育ては辛いことより楽しいことの方が多いはずだ』に対する意見について、【継続無子家族】では肯定する者の割合が男女とも7割前後であるのに対し、【若年一人っ子家族】では9割前後に達している。

図表3-1.『子育ては辛いことより楽しいことの方が多いはずだ』に対する意見(単数回答)(基数:全体)
図表3-1.『子育ては辛いことより楽しいことの方が多いはずだ』に対する意見(単数回答)(基数:全体)のグラフ

 理想の子ども数はどのグループの男女とも「2人」が最も多いが、【継続無子家族】の女性の平均は1.83人と少ないものの、理想の人数と持つつもりの人数の差は1.34と最も大きい。
 また、今後子どもをもうける意向のある者は、【継続無子家族】の男性では6割、女性では3割と男女間の差が大きい。

図表:3-2.理想の子ども数、今後子どもをもうける意向とその人数(各単数回答)(基数:全体)
各グループN=150 理想の子ども数 今後子どもをもうける意向率(%) 今後もうける予定の子ども数 平均子ども数(人)
1人 2人 3人 4人以上 子どもはもうけたくない 1人 2人以上 理想の人数 持つつもりの人数 理想と持つつもりの差
若年無子
家族男性
6.0 59.3 28.7 3.3 2.7 90.0 14.7 75.3 2.25 1.79 0.46
継続無子
家族男性
4.7 60.7 24.7 0.0 10.0 62.7 27.3 35.4 2.00 1.03 0.97
若年一人っ子
家族男性
4.0 61.3 32.0 2.7 0.0 76.7 62.7 14.1 2.34 1.93 0.41
若年無子
家族女性
6.0 54.7 30.7 4.0 4.7 92.7 23.3 69.3 2.23 1.76 0.47
継続無子
家族女性
6.0 51.3 21.3 2.7 18.7 32.7 16.7 16.0 1.83 0.49 1.34
若年一人っ子
女性家族
7.3 51.3 39.3 2.0 0.0 58.0 50.7 7.4 2.36 1.22 1.14

 今後持つ予定の子ども数が理想より少ない理由について、男女とも【継続無子家族】は、「経済的負担が大きいから」が相対的に低く、「子どもができないから」や「高年齢出産になるから」が相対的に高い状況となっている。

図表3-3.今後持つ予定の子ども数が理想より少ない理由(複数回答)
(基数:理想より持つ予定数が少ない人および子どもは持たない人)(%)
  n
経済的負担が大きいから 高年齢出産になるから 健康・体力に自信がないから 子どもができないから 心理的負担が大きいから 時間のゆとりがなくなるから 将来が子どもにとってよい環境とは思えない 子どもを育てる自信がないから 自分の人生を生きるのに精一杯だから 家が狭いから 末子が定年退職までに成人して欲しいから 配偶者の育児への協力が期待できないから 夫婦2人だけの生活を楽しみたいから もともと子どもが好きではないから
若年無子
家族男性
54 63.0 9.3 5.6 11.1 11.1 5.6 13.0 9.3 11.1 5.6 7.4 3.7 11.1 3.7
継続無子
家族男性
100 23.0 47.0 15.0 52.0 9.0 9.0 15.0 7.0 5.0 2.0 6.0 3.0 11.0 0.0
若年一人っ子
家族男性
57 73.7 5.3 14.0 12.3 12.3 10.5 5.3 1.8 3.5 14.0 5.3 1.8 1.8 0.0
若年無子
家族女性
61 67.2 13.1 14.8 18.0 14.8 16.4 13.1 18.0 11.5 4.9 3.3 6.6 11.5 8.2
継続無子
家族女性
132 22.7 46.2 21.2 53.8 13.6 8.3 18.9 17.4 13.6 1.5 2.3 4.5 10.6 11.4
若年一人っ子
女性家族
87 66.7 12.6 26.4 17.2 14.9 16.1 11.5 2.3 3.4 11.5 4.6 23.0 0.0 1.1


4. 自己意識・社会意識

 男女とも【継続無子家族】は、「「親孝行」や「恩返し」をすることは大事なことだ」といった伝統的価値観が相対的に低く、「社会がよくなってこそ個人が幸せになる」や「政治や社会問題に関し議論するのが好き」が相対的に高い状況となっている。

図表4-1.価値観(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150% 親孝行をすることは大事なことだ 世の中には、不公平なことが多いと思う 日本の社会通念や習慣は男女平等と思わない 恩返しをすることは大事なことだ 個人の権利や自由を尊重することは大事だ 社会が良くなってこそ個人が幸せになる 日本人であることを誇りに思う 間違っていると思う人がいれば、注意する 政治や社会問題に関し議論するのが好き 自分の能力や生き方に自信を持っている まじめに努力すれば、報われる社会だと思う 自分の将来は明るい 誰もみてなければ多少規則を破って構わない 21世紀は希望に満ちた社会になると思う
若年無子家族男性 77.3 70.0 42.0 60.7 50.7 39.3 27.3 22.7 20.0 20.0 5.3 11.3 2.7 2.7
継続無子家族男性 66.0 60.7 47.3 51.3 52.7 46.0 28.7 18.0 26.7 20.0 10.7 6.0 2.0 4.7
若年一人っ子
家族男性
67.3 70.0 46.7 56.0 44.7 39.3 30.7 22.7 13.3 19.3 7.3 8.7 5.3 1.3
若年無子家族女性 82.7 54.0 50.7 57.3 56.7 36.0 23.3 10.7 7.3 15.3 5.3 12.7 1.3 0.0
継続無子家族女性 67.3 69.3 46.7 44.7 41.3 50.0 23.3 10.0 11.3 6.7 4.7 2.0 0.0 0.7
若年一人っ子
家族女性
76.0 68.7 54.0 50.0 42.7 40.0 12.0 14.0 8.0 4.7 5.3 4.7 0.7 0.0

 現在及び将来の不安について、男女とも【継続無子家族】は、「老後の生活」が相対的高い状況となっている。
 また、男性の場合には、「親の介護」が相対的に高く、「国の経済・景気」、「自分の進路・将来」及び「財産・貯蓄の目減り」が低い状況となっている。
 一方、女性の場合は、「自分の健康・病気」、「国の経済」、「日本の将来・行方」及び「リストラ・失業」が相対的に高い状況となっている。

図表4-2.現在及び将来の不安(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150% 家族の健康・病気 自分の健康・病気 老後の生活 国の経済・景気 親の介護 社会の治安 給与・年収のダウン 日本の将来・行方 子どもの将来 リストラ・失業 自分の進路・将来 財産・貯蓄の目減り 妊娠・出産 結婚・離婚 自分の会社の業績・将来
若年無子家族男性 56.7 51.3 39.3 54.7 30.0 32.7 45.3 40.0 10.7 29.3 28.7 20.0 22.0 6.0 20.7
継続無子家族男性 61.3 56.0 55.3 40.7 38.7 35.3 42.7 45.3 4.7 26.0 15.3 16.0 15.3 2.7 22.7
若年一人っ子
家族男性
68.0 55.3 40.0 49.3 27.3 37.3 47.3 44.0 56.0 20.0 22.7 21.3 2.0 3.3 27.3
若年無子家族女性 66.0 44.7 50.7 43.3 37.3 39.3 38.0 30.7 9.3 21.3 14.0 23.3 60.7 4.7 3.3
継続無子家族女性 70.7 60.0 73.3 53.3 56.7 46.0 40.7 39.3 0.7 27.3 14.0 22.0 21.3 1.3 4.0
若年一人っ子
家族女性
69.3 46.7 47.3 42.7 56.0 43.3 42.7 27.3 64.7 22.0 7.3 18.0 12.7 6.7 2.0


5. 少子化についての考え方

 少子化問題のとらえ方について、【継続無子家族】は、「ただちに解決すべき重要な問題だと思う」又は「できるだけ解決すべき重要な問題だと思う」と回答した者の割合が、男性で5割強、女性で4割強となっており、【若年一人っ子家族】と比べて女性で1割程度低くなっている。

図表5-1.少子化問題のとらえ方(単数回答)(基数:全体)
図表5-1.少子化問題のとらえ方(単数回答)(基数:全体)のグラフ


6. 【継続無子家族】についてのまとめ

 【継続無子家族】は、平均結婚年齢が【若年無子家族】及び【若年一人っ子家族】に比べて3歳ほど高く、年齢的なきっかけから結婚に至ったケースが多い。
 また、結婚のよくない点について「あてはまるものはない」と答える人が他のグループより多く、現在の結婚生活の満足度は高い傾向にある。
 今後持つ子どもの数と理想の子ども数との開きが他グループに比べて大きく、今後子どもをもうける意向がある人も男性では6割、女性では3割にとどまる。この要因としては、経済的負担が大きくなることよりも不妊や高年齢出産を避けたいという意識が働くことによるところが大きい。
 さらに、『子育ては辛いことより楽しいことが多い』と受け止める者が7割前後と他グループに比べて少ないが、実際に子どもを持っている【若年一人っ子家族】では9割前後に達している。
 また、「親孝行」や「恩返し」という伝統的価値観が低い一方で、社会への要求が高い状況が見受けられる。
 したがって、【継続無子家族】については、【継続独身】と同様に、個人や自分を強く意識する傾向がある中で、より若い時代から、子どもを生み、育てることの意義や大切さを伝える取組を推進することが必要である。


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