報道発表資料  厚生労働省ホームページ

厚生労働省発表
平成16年4月28日

担当 厚生労働省労働基準局安全衛生部
安全課長 西本 徳生
課長補佐 奥村 伸人
電話 (5253)1111内線5481
直通 (3595)3225


平成15年の労働災害による死亡者数は過去最少の1,628人
重大災害は249件発生し増加傾向

−平成15年における死亡災害・重大災害発生状況−

 死亡者数の前年度対比
 平成15年の労働災害による死亡者数は1,628人で、これまでで最少であった平成14年(1,658人)と比較して、さらに30人(前年比1.8%)減少した。

 死亡災害の業種別状況
 平成15年の労働災害による死亡者数を、業種別にみると、建設業が548人と最も多く、次いで製造業293人、陸上貨物運送事業241人となっている。平成14年と比較すると、建設業が59人減と大幅に減少した。一方で、製造業で18人、林業で12人の増加となった。
 増加の内訳を見ると、製造業では爆発による死亡者が3人から17人に、林業では墜落・転落による死亡者が5人から14人にそれぞれ増加している。

 重大災害発生状況
 また、平成15年の重大災害(一時に3人以上の労働者が 業務上死傷又はり病した災害事故)発生件数は、249件であり、平成14年(231件)と比較して18件(前年比7.8%)増加した。このうち、交通事故を除いた件数でも129件と、平成14年(93件)から36件増加した。

 厚生労働省の取り組み
 厚生労働省においては、特に昨年夏以降頻発した爆発・火災による災害を含め、死亡災害・重大災害の一層の減少を図るため、大規模製造業の経営トップ等に対する安全管理の徹底指導等を内容とする緊急対策の実施、労働安全衛生マネジメントシステムの普及促進、屋外型産業を中心として多発している墜落災害の防止対策の徹底等、労働災害防止対策の一層の推進を図ることとしている。


平成15年における死亡災害・重大災害発生状況の概要


 労働災害による死亡者数の推移[図1、図2参照]
 労働災害による死亡者数は、昭和36年をピークとして長期的には減少してきており、平成15年に労働災害による死亡者数は1,628人であり、ピーク時の1/4を下回る程度となっている。
 最近10年の傾向をみると、全業種における減少幅は、建設業の減少幅によるところが大きく、その結果、業種別の構成比を平成6年と平成15年で比較すると、建設業は40.9%が33.7%と7.2ポイント減少している。
 労働災害による死亡者数は、6年連続で2,000人を下回り、平成15年は、これまでで最少であった平成14年(1,658人)と比較して30人(前年比1.8%)減少した。

 業種別発生状況[図2、表1、表2、表3参照]
(1) 建設業における労働災害による死亡者数は548人で、平成14年と比較して59人(9.7%)減少している。全産業に占める割合は33.7%であり、依然として最も高いものの2.9ポイント下がった。
(2) 製造業における死亡者数は293人で、平成14年と比較して18人(6.5%)増加している。全産業に占める割合は18.0%であり、1.4ポイント上がった。
(3) 陸上貨物運送事業における死亡者数は241人で、平成14年と比較して7人(3.0%)増加している。全産業に占める割合は14.8%であり、0.7ポイント上がった。
(4) 特に林業における死亡者数は61人で、平成14年と比較して12人(24.5%)増加している。

 事故の型別発生状況[表2、表3参照]
(1) 「交通事故(道路)」による死亡災害の占める割合は29.6%(全産業合計の1,628人中482人)、高所からの「墜落・転落」による死亡災害の占める割合は25.4%(全産業合計の1,628人中413人)であり、この2つの災害で全体の55%を占めている。
(2) 建設業においては「墜落・転落」による死亡災害の占める割合が高く、45.1%(建設業全体の548人中247人)となっている。
(3) 陸上貨物運送事業においては、「道路上の交通事故」による死亡災害の占める割合が高く、70.1%(陸上貨物運送事業全体の241人中169人)となっている。
(4) 特に製造業では爆発による死亡者が3人から17人に、林業では墜落・転落による死亡者が5人から14人に増加している。

 重大災害発生状況[図3、表4、表5参照]
 全産業における重大災害発生状況は249件であり、平成14年(231件)と比較して18件(前年度比7.8%)増加している。また、交通事故を除いた件数でも129件と、平成14年(93件)から36件増加している。
 業種別発生状況は、陸上貨物運送事業における重大災害は22件であり、平成14年(11件)と比較して11件(前年度比100%)、 その他の事業における重大災害は85件であり、平成14年(74件)と比較して11件(前年度比14.9%)増加している。


図1 労働災害による死亡者数の推移


図2 平成15年 業種別死亡災害発生状況


図3 重大災害発生件数の推移


表1 業種別死亡災害発生状況(平成6年〜平成15年)

  15年 構成比(%) 14年 構成比(%) 13年 構成比(%) 12年 構成比(%) 11年 構成比(%)
全産業 1,628 100.0 1,658 100.0 1,790 100.0 1,889 100.0 1,992 100.0
製造業 293 18.0 275 16.6 326 18.2 323 17.1 344 17.3
鉱業 14 0.9 17 1.0 24 1.3 26 1.4 24 1.2
建設業 548 33.7 607 36.6 644 36.0 731 38.7 794 39.9
交通運輸業 32 2.0 35 2.1 32 1.8 29 1.5 29 1.5
陸上貨物運送事業 241 14.8 234 14.1 241 13.5 271 14.3 270 13.6
港湾荷役業 12 0.7 15 0.9 18 1.0 11 0.6 10 0.5
林業 61 3.7 49 3.0 54 3.0 53 2.8 71 3.6
その他 427 26.2 426 25.7 451 25.2 445 23.6 450 22.6
 
  10年 構成比(%) 9年 構成比(%) 8年 構成比(%) 7年 構成比(%) 6年 構成比(%)
全産業 1,844 100.0 2,078 100.0 2,363 100.0 2,414 100.0 2,301 100.0
製造業 305 16.5 351 16.9 405 17.1 417 17.3 409 17.8
鉱業 29 1.6 40 1.9 32 1.4 45 1.9 27 1.2
建設業 725 39.3 848 40.8 1001 42.4 1,021 42.3 942 40.9
交通運輸業 47 2.5 38 1.8 36 1.5 47 1.9 47 2.0
陸上貨物運送事業 225 12.2 290 14.0 333 14.1 312 12.9 292 12.7
港湾荷役業 19 1.0 17 0.8 28 1.2 20 0.8 15 0.7
林業 69 3.7 56 2.7 80 3.4 74 3.1 83 3.6
その他 425 23.0 438 21.1 448 19.0 478 19.8 486 21.1



表2 業種、事故の型別死亡災害発生状況(平成15年)
(確定)
  墜落

転落
転倒 激突 飛来

落下
崩壊

倒壊
激突され はさまれ巻き込まれ 切れ

こすれ
踏抜き おぼれ 高温

低温物との接触
有害物との接触 感電 爆発 破裂 火災 交通事故
∧道路
交通事故
∧その他
動作の反動無理な動作 その他 分類不能 合計
全産業 413 37 15 79 104 74 229 11 2 27 20 24 14 21 0 22 482 10 0 39 5 1628
製造業 41 4 4 24 17 14 91 6 1 7 9 11 7 17 0 8 29 0 0 2 1 293
鉱業 2 0 0 0 3 0 3 0 0 1 0 0 0 1 0 3 1 0 0 0 0 14
建設業 247 13 3 26 59 23 58 1 1 9 9 7 4 0 0 7 70 2 0 9 0 548
交通運輸
事業
1 0 0 0 1 1 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 20 4 0 2 1 32
陸上貨物
運送事業
20 4 2 8 4 6 22 0 0 2 0 0 0 0 0 0 169 0 0 4 0 241
港湾荷役業 1 0 0 2 3 3 2 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 12
林業 14 2 0 7 11 13 2 3 0 0 1 0 0 0 0 0 2 0 0 5 1 61
その他 87 14 6 12 6 14 49 1 0 7 1 6 3 3 0 4 191 4 0 17 2 427



表3 業種、事故の型別死亡災害発生状況(平成14年)
(確定)
  墜落

転落
転倒 激突 飛来

落下
崩壊

倒壊
激突され はさまれ巻き込まれ 切れ

こすれ
踏抜き おぼれ 高温

低温物との接触
有害物との接触 感電 爆発 破裂 火災 交通事故
∧道路
交通事故
∧その他
動作の反動無理な動作 その他 分類不能 合計
全産業 411 34 4 90 110 104 245 8 3 26 26 32 16 5 1 4 492 16 0 25 6 1658
製造業 43 4 0 21 11 24 103 2 1 3 5 15 3 3 1 3 30 1 0 2 0 275
鉱業 6 1 0 1 3 2 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 17
建設業 256 15 3 37 72 32 66 2 1 10 17 3 11 2 0 1 66 7 0 4 2 607
交通運輸
事業
1 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 1 0 0 0 26 1 0 4 0 35
陸上貨物
運送事業
15 2 0 13 6 5 18 0 0 2 0 1 0 0 0 0 169 0 0 2 1 234
港湾荷役業 3 0 0 1 1 2 2 0 0 5 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 15
林業 5 1 0 4 8 21 2 4 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 2 0 49
その他 82 11 1 13 9 18 49 0 1 6 3 13 1 0 0 0 198 7 0 11 3 426



表4 平成15年における重大災害発生状況

業種 平成15年
(1月〜12月)
件数(件)
平成14年
(1月〜12月)
件数(件)
増減数
件数(件)
全産業 249 231 18
  製造業 38 45 -7
鉱業 2 1 1
建設業 88 82 6
交通運輸業 9 16 -7
陸上貨物運送事業 22 11 11
港湾荷役業 2 0 2
林業 3 2 1
その他の事業 85 74 11

(注) 1 重大災害報告より作成したもの。
 2 一時に3人以上の労働者が業務上死傷又はり病した災害事故について作成。
 3 「−」は減少を示す。
 4 被災者が属する業種が複数にまたがる場合には、主たる業種についてのみ計上している。



表5 平成15年における重大災害発生状況(交通事故を除いたもの)

業種 平成15年
(1月〜12月)
件数(件)
平成14年
(1月〜12月)
件数(件)
増減数
(件)
全産業 129 93 36
  製造業 29 27 2
鉱業 2 0 2
建設業 38 30 8
交通運輸業 2 1 1
陸上貨物運送事業 5 1 4
港湾荷役業 2 0 2
林業 1 0 1
その他の事業 50 34 16

(注) 1 重大災害報告より作成したもの。
 2 一時に3人以上の労働者が業務上死傷又はり病した災害事故について作成。
 3 「−」は減少を示す。
 4 被災者が属する業種が複数にまたがる場合には、主たる業種についてのみ計上している。


トップへ
報道発表資料  厚生労働省ホームページ