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医薬品・医療用具等安全性情報
Pharmaceuticals and Medical Devices
Safety Information No.200

目   次
  1. オプチペンプロ1(インスリン自己注射用注入器)の使用に伴う過量投与の防止について
  2. 呼称が類似していることから,誤って輸入された場合に副作用が問題となる生薬及び製剤について
  3. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構設立に伴うホームページアドレスの変更
  4. 健康食品・無承認無許可医薬品による健康被害について
この医薬品・医療用具等安全性情報は,厚生労働省において収集された副作用情報をもとに,医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成16年(2004年)4月
厚生労働省医薬食品局

【情報の概要】
No.医薬品等対策情報の概要
1 手動式医薬品注入器
インスリン自己注射用注入器の使用に伴う過量投与の防止に関する緊急安全性情報(No. 03-02)を紹介するとともに医療関係者等に注意喚起を行う。
2 生薬(木通,防已,細辛,木香)    最近,アリストロキア酸を含有する広防已という生薬が誤って漢防已として国内に輸入されて流通し,日本薬局方ボウイとして用いられ,アリストロキア腎症を発症したと思われる事例が報告された。これらの生薬は形態が類似し,かつ,国や流通過程での呼称も類似していることが,取り違えを起こしやすい原因の一つと考えられる。したがって,国内で承認された医薬品(生薬及び漢方製剤)では問題とならないものの,渡航先での購入やネット販売による個人輸入の際に,アリストロキア酸の含有が疑われる生薬を用いた製剤を購入して服用する可能性があることから,中国などで用いられる生薬と呼称が類似することにより副作用等が問題となる生薬に関する注意点をまとめた。
3 医薬品情報提供のホームページの変更    4月より独立行政法人医薬品医療機器総合機構設立に伴い,医薬品医療機器情報提供のホームページアドレスが変更されたお知らせをする。
4 健康食品等による健康被害    健康食品・無承認無許可医薬品の健康被害については最寄りの保健所に連絡するお願いをする。
緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介

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1.オプチペンプロ1(インスリン自己注射用注入器)の使用に伴う過量投与の防止について

1.はじめに

 本品は手動式のインスリン自己注射用注入器として2003年12月12日に発売され,現在までにインスリン グラルギン(遺伝子組換え)(商品名:ランタス注カート300)用として,約50,000本以上が出荷されている。この中で,空打ち時に薬液が過量に排出されたとの報告があり,製造元において調査を行ったところ,使用中にインスリンカートリッジを本体から外す又はインスリンカートリッジ交換の際,誤ってピストン棒の位置がずれた場合,薬液が過量に排出されることが判明したことから,今般,緊急安全性情報を発出し,今回当該報告の内容について紹介し,改めて医療関係者に注意喚起を行うこととした。

2.緊急安全性情報について

(1)経緯
 2003年12月12日の発売から2004年3月4日までの報告によると,本邦において本品の空打ちを行った際に,薬液が過量に排出された事例が7例報告されている(実際に患者に投与された症例はない)。また,海外においては2003年9月から2004年3月4日までの報告によると,本品の使用に伴う過量投与が疑われる低血糖症例が3例報告されている。今般,これらの不具合報告を受け,製造元よりの調査結果を踏まえ,医療機関,医療従事者等に対し,当該報告内容について紹介することとした。

(2)症例の紹介
 本邦において報告された症例のうち7例を表1に紹介する。

表1 症例の概要

No. 健康被害の
有無
本品の機能
検査結果
医療機関からの報告内容
1 正常 看護師がインスリン グラルギン(遺伝子組換え)(商品名:ランタス注カート300)を患者に注射しようとして単位設定ダイアルを回したが3単位以上回らなかった。薬局にて2単位を設定して空打ちしたところ2単位以上出ていた。(患者:インスリン残り40単位で約20単位出ていたとのこと)カートリッジを交換し,再度試行したら正常であったが,心配だったので患者には,新しい本品を渡した。
2 正常 入院患者の本品で看護師が空打ち(2単位)をしたところ目視にて約10単位以上針先から出たとのこと。翌日にDM専門医が看護師とともに確認したところ,再度空打ち時に10単位以上針先から出たとのこと。2回目以降の空打ちは問題なかったとのことで,通常量が出たようであった。現在,単位量に不安があるため空打ちを2度しているケースもあるとのこと。
3 正常 カートリッジ交換操作時にピストン棒が動かなかった。試しに,カートリッジを装着し空打ち(2単位)を打ったところ設定単位以上のインスリンが出た。操作を繰り返しているうちにダイアルの設定も出来なくなった(くるくる空回りした)。同日,新しい本品に代えたところ,本日まで特に問題はないとのこと。
薬剤師の記憶では,カートリッジ交換時,ピストン棒の位置が正しい位置になかったとのこと。
4 正常 患者からカートリッジ交換直後,2単位の空打ちをしたところ2単位以上出たとのこと。MRが調べたところ正常に機能した。
5 正常 単位設定ダイアルのクリック感が無くなる。その後単位設定以上のインスリンが出た。
6 正常 患者より,ダイアルが回っても音がしない,空打ちしているか分からないと看護師に申し出があった。薬剤部でインスリン空打ち2単位の確認を行ったが,押し込むといくらでも押せる現象を何度も確認した。
7 正常 空打ち時に,設定以上の単位数のインスリンが出てしまう。

(3)使用者に対する注意事項
1) 使用中のインスリンカートリッジを本体から外さないこと。外した場合,決してそのカートリッジは再使用しないこと。[ピストン棒の位置がずれ,過量投与となる可能性があるため])
2) インスリンカートリッジ交換の際は下記の(図1)(PDF 46KB)に示すように上に向けピストン棒を(図2)(PDF 105KB)の示す一番下の位置に戻すこと。(決して指等で押し戻さないこと。)[ゴムピストンとピストン棒の間隙が正確に確保できなくなり,過量投与の可能性があるため])
3) インスリンカートリッジ交換後はもとより,毎回の注射の直前にも必ず空打ちを行うこと。[従来の目的である気泡などの除去の他,1),2)に関連する過量投与を避けるため])

 過量排出の原因としては,本品はインスリンを押し出すピストン棒とゴムピストンの間に通常の状態で約8mm(60単位相当)の間隙がある。投与量の設定を行うとその設定単位分ピストン棒が進む。投与時には,まず60単位分の長さが前に進み,その後,設定した投与単位分の長さがゴムピストンを押し進めインスリンが排出される仕組みである。(操作を誤って,ピストン棒とゴムピストンが密着している場合などでは,最大60単位まで排出される。) (説明図)(PDF 609KB)

 もし,上記の使用者に対する注意事項1),2),3)を守らない操作によりピストン棒の位置がゴムピストン側にずれた場合,その次の投与操作の際,インスリンが過量(最大で60単位)に排出される。

(4)医療機関へのお願い
 2004年3月5日,本品の使用に伴う過量投与の防止に関する「緊急安全性情報」の配布を行った。これは,2003年12月以降,本邦において本品の空打ちを行ったところ薬液が過量に排出された事例が7例報告されたことを受け実施されたもので,このペン型注入器の正しい使用方法の理解を促進することを目的としている。
 インスリンの過量投与や低血糖の危険性を避けるためには,正しく使用していただくことが重要であり,本品を使用する全ての患者に操作上の注意点を説明するようお願いしたい。

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2.呼称が類似していることから,誤って輸入された場合に副作用が問題となる生薬及び製剤について

(1)概要
 アリストロキア酸はウマノスズクサ科の植物に含有される成分であり,これにより腎障害が引き起こされることは,医薬品・医療用具等安全性情報No.161(平成12年7月号)にて既に注意喚起したところであるが,その後も国内外で,アリストロキア酸による腎障害(アリストロキア腎症,海外ではchinese herb nephropathy:CHNという)が報告されている。これらの報告は,中国や台湾などから個人使用を目的に国内に持ち込まれた伝統薬製剤(中国や台湾では,中薬又は中成薬といわれる),煎じ薬並びにこれらと類似する健康茶などの健康食品によるものである。なお,国内で医薬品として承認されている生薬及び漢方製剤にはアリストロキア酸は含有されていない。
 最近,アリストロキア酸を含有する広防已(現代中国の簡体字では「广防己」と記載)という生薬が誤って漢防已として国内に輸入されて流通し,日本薬局方ボウイとして用いられ,アリストロキア腎症を発症したと思われる事例が報告された。これらの生薬は形態が類似し,かつ,呼称も類似していることが,取り違えを起こしやすい原因の一つと考えられる。したがって,国内で承認された医薬品(生薬及び漢方製剤)では問題とならないものの,渡航先での購入やネット販売による個人輸入の際に,アリストロキア酸の含有が疑われる生薬を用いた製剤を購入して服用する可能性があることから,以下に,参考として,中国などで用いられる生薬であって呼称が類似することにより副作用等が問題となる生薬に関する注意点をまとめた。
 なお,「漢方薬」とは,日本で確立された漢方医学の治療に沿うように生薬を一定の規則により配合したものであり,中国などで販売されている「伝統薬製剤(中薬又は中成薬)」とは品質・規格が異なる。また,以下の「漢方製剤」とは,医薬品(一般用及び医療用)として承認を取得している「漢方薬」を指す。

(2)注意を要する生薬
1)木通(モクツウ Mutong)
 日本国内で「生薬として流通している木通」及び「漢方製剤の中で原料として用いられている木通」は日本薬局方で定められているモクツウである。この原植物はアケビ Akebia quinata Decaisne 及びミツバアケビ Akebia trifoliata Koidzumi(Lardizabalaceae)のつる性の茎であり,アリストロキア酸は含有していない。しかし,中国などでは,利尿作用などの薬効が顕著であるとのことから,腎毒性のある関木通(Guanmutong)が用いられることがあるので注意が必要である。
 関木通は現代中国の簡体字では「※木通」と記載されているが,単に「木通」と書いてあるものの実際には関木通が用いられている場合がある。関木通の起源植物は,キダチウマノスズクサ Aristolochia manshuriensis Kom.であり,これはアリストロキア酸を含有している。また,中国などでは,ウマノスズクサ科であるオオバウマノスズクサ Aristolochia kaempferi Willd.(淮通)なども木通として流通することがある。したがって,中国などの製品で「木通」と表示されている場合には注意が必要である。
※・・・「関」からもんがまえを除いた字である。(詳細については、医薬品医療機器情報提供ホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_anzen/anzen_index.html)にpdfファイルで掲載していますのでご参照ください。)

2)防已(ボウイ Fangji)
 日本国内で「生薬として流通している防已,漢防已並びに木防已」及び「漢方製剤の中で原料として用いられている防已,漢防已並びに木防已」は,いずれも日本薬局方で定めるボウイである。この原植物は,オオツヅラフジ Sinomenium acutum Rehder et Wilson(Menispermaceae)のつる性の茎及び根茎であり,アリストロキア酸は含有していない。しかし,中国などでは,利尿作用などの薬効が顕著であることから,アリストロキア酸を含有する「广防己(Guangfangji)」(Aristolochia fangchi Y.C. Wu ex L.D. Chow)が用いられている場合があるので注意が必要である。類似した名称で「粉防己」(原植物はツヅラフジ科のシマハスノハカズラ Stephania tetrandra S. Moore)があり,これ自体はアリストロキア酸を含有せず毒性はないが,外国で广防己と取り違えたために多数の腎障害の患者が発生したとの報告がある。また,単に「防己」と記載してあっても,略称表示であり,実際には「广防己」が用いられている場合があるので注意が必要である。
 なお,日本,中国とも歴代の本草書では,防已(ボウイ),防己(ボウギ,ボウキ)の両者を用いているが,現代では日本薬局方では,防已(ボウイ)と規定され,中国では,薬典で防己(Fangji)と規定しており,両国で,以下のとおり漢字表記も異なっている点にも注意が必要である。

ボウイ = 防已  ……日本
ボウキ = 防己  ……中国
(已と己で字が異なる。)

3)細辛(サイシン Xixin)
 細辛は,日本では地下部の根と根茎を生薬として用いており,腎毒性のあるアリストロキア酸を含有する地上部は,第14改正日本薬局方において用いてはならないこととされている。日本国内で流通している「生薬としての細辛」及び「漢方製剤の中で原料として用いられている細辛」は,日本薬局方で定める細辛である限り,アリストロキア酸を含有していないため問題はない。この原植物は,ケイリンサイシン Asiasarum heterotropoides F. Maekawa var. mandshuricum F. Maekawa(Aristolochiaceae)及びウスバサイシン Asiasarum sieboldii F. Maekawaである。しかし,中国などでは,アリストロキア酸を含有する可能性のある地上部を含めた全草が生薬として流通しており,日本においても混入する可能性があるので注意が必要である。

4)木香(モッコウ Muxiang)
 木香は,日本薬局方ではSaussurea lappa Clarke(Compositae)の根とされており,アリストロキア酸は含有していない。中国などではアリストロキア酸を含有する「青木香」(ウマノスズクサ Aristolochia debilis Sieb. et Zucc.)及び「南木香」(Aristolochia yunnanensis Franch.)が木香として用いられることがあるので注意が必要である。

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3.独立行政法人医薬品医療機器総合機構設立に伴うホームページアドレスの変更

 従来より,医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構のホームページの医薬品情報提供ホームページで,医薬品の添付文書情報,副作用に関する情報,承認審査に関する情報等を提供してきたところです。平成16年4月1日より,医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構,国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センター及び(財)医療機器センターの一部を統合し,独立行政法人医薬品医療機器総合機構が設立されたことに伴い,次のとおりホームページのアドレスが変更されていますので御留意いただくとともに,今後とも御利用いただきますようお願い申し上げます。

独立行政法人医薬品医療機器総合機構
   http://www.pmda.go.jp
医薬品医療機器情報提供ホームページ
   http://www.info.pmda.go.jp

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4.健康食品・無承認無許可医薬品による健康被害について

○ 健康食品・無承認無許可医薬品による健康被害は保健所へ御連絡ください。

 健康食品・無承認無許可医薬品による健康被害については,全国各地の保健所において健康食品・無承認無許可医薬品に関する苦情相談を受け付け,必要な調査を実施し,健康被害事例については,厚生労働省に報告されます。つきましては,健康食品・無承認無許可医薬品による健康被害が疑われた場合は,最寄りの保健所へ速やかに御連絡ください。情報が速やかに集積されることにより,迅速に健康被害の拡大を防ぐことが可能となります。



お知らせ
 NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ,最近1年間の「医薬品・医療用具等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。
「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120-161-011
 なお,厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)又は医薬品医療機器情報提供ホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/)からも入手可能です。



照 会 先
厚生労働省医薬食品局安全対策課
03-5253-1111(内線)2751、2753


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