(1) | 家庭用品が原因と考えられる皮膚障害に関する報告
(1) | 健康被害の概要
・ | 原因家庭用品は、洗剤が23件、装飾品が18件等であった。 |
・ | 患者の性別では、女性が127件(73.8%)と大半を占めた。そのうち20代の女性が38件と全体の22.1%を占め、前年度と比較して増加しており、年齢・性別集計で最も多かった。 |
・ | 障害の種類のうち主なものは、アレルギー性接触皮膚炎が60件、刺激性皮膚炎が55件、KTPP型*の手の湿疹が22件等であった。
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* | KTPP(keratodermia tylodes palmaris progressiva:進行性指掌角皮症) 手の湿疹の1種で、水仕事、洗剤等の外的刺激により起こる。まず、利き手から始まることが多く、皮膚は乾燥し、落屑、小亀裂を生じ、手掌に及ぶ。程度が進むにつれて角質の肥厚を伴う。 |
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(2) | 原因製品別結果と考察 (装飾品)
・ | 装飾品に関する報告件数は18件(9.7%)であった。 |
・ | 製品別の内訳のうち主なものは、ネックレスが5件、ピアスが5件、イヤリングが2件、指輪が1件、不明が5件であった。 |
・ | アレルギー性接触皮膚炎が60件(34.8%)と昨年と比較して割合が減少した。 |
・ | 13件についてパッチテストが実施され、前年度同様ニッケルにアレルギー反応を示した例が13件と最も多かった。 |
・ | 汗を大量にかくような運動をする際には装飾品類をはずすことが望ましい。また、ピアスは表皮より深部に接触する可能性が高く、初めて装着したり、種類を変更したりした際には、症状の発現に特に注意して使用する必要がある。症状が発現した場合には、専門医を受診するとともに、原因製品の装着を避け、装飾品を使用する場合には別の素材のものに変更することが必要である。 |
(洗剤)
・ | 洗剤に関する報告件数は23件(12.4%)であった。 |
・ | 製品の種別のうち主なものは、洗濯用洗剤が4件、台所用洗剤が7件であった。 |
・ | 障害の種類のうち主なものは、刺激性の皮膚炎が6件、KTPP型の手の湿疹が14件、アレルギー性接触皮膚炎が2件等であった。 |
・ | 原液での使用など、不適切な使用法を避け、使用上の注意・表示をよく読んで正しく使用することが重要である。また、使用者の必要に応じて、保護手袋を装着することや、使用後保護クリームを塗ることなどの工夫も有効と思われる。それでもなお、症状が発現した場合は原因と思われる製品の使用を中止し、専門医を受診することを推奨する。 |
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(3) | 全般的な留意事項 家庭用品を主な原因とする皮膚障害は、原因家庭用品との接触によって発生する場合がほとんどであり、家庭用品を使用することにより接触部位に痒み、湿疹等の症状が発現した場合には、原因と考えられる家庭用品の使用を極力避け、様子をみることが必要である。再度使用して同様の症状が発現する場合には、同一の素材のものの使用は避けることが賢明であり、症状が改善しない場合には、専門医の診療を受けることが必要である。 また、毎年誤使用から障害が発生した事例が見受けられることからも、日頃から使用前には必ず注意書をよく読み、正しい使用方法を守ること、自己の体質について認識し、製品の素材について注意を払うことが大切である。 |
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(2) | 家庭用品等に係る小児の誤飲事故に関する報告
(1) | 健康被害の概要
・ | 誤飲事故の原因製品は、タバコが281件、医薬品・医薬部外品が101件等であった。 |
・ | 上位品目の全件数に占める割合の長期的傾向を見ると、変動はあるもののタバコの占める割合が依然として多かった。 |
・ | 誤飲事故全体の約52.8%が午後4時から午後10時の間に発生していた。 |
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(2) | 原因製品別考察 (タバコ)
・ | タバコに関する報告件数は281件(41.8%)で、小児科報告件数の約半数を占めていた。これは例年と同様の傾向であった。 |
・ | 事故は生後6〜11か月の乳児に発生が集中(186件,66.2%)しており、さらに12〜17か月の幼児とあわせると報告例の89.3%を占めた。 |
・ | タバコや灰皿は乳幼児の手の届かないところに保管するなど、生後6か月からの1年間は特にそれらの取扱いや置き場所に細心の注意を払うことが必要である。 |
(医薬品・医薬部外品)
・ | 医薬品・医薬部外品に関する報告件数は101件(15.0%)であった。 |
・ | 誤飲事故は、各年齢層においてみられたが、特に1〜2歳児に多い傾向があり、報告件数は48件(47.5%)で約半分を占めた。 |
・ | 誤飲事故の大半は、医薬品等の保管を適切に行っていなかった場合や、保護者が目を離したすきに発生していた。小児の医薬品の誤飲は症状が発現する可能性が高く、保管・管理に十分留意する必要がある。 |
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(3) | 全般的な留意事項 乳幼児は、身の回りのあらゆるものを分別なく口に入れてしまうことから、保護者は子供の周囲の環境に気を付けなければならない。食品類であっても状況次第では危険なものになるということを認識する必要がある。特に重篤な事例に陥る可能性のあるものについて認識し、対象物品には特に注意を怠らないよう努めることが重要である。また、毎年最も報告の多いタバコの誤飲事故は、発生が集中している生後6か月からの1年間の期間に保護者が一層注意を払うことにより、事故の発生を減らすことが可能と思われる。 乳幼児の口に入るサイズはおよそ直径3cmといわれており、このサイズ以下のものには注意が必要である。 |
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(3) | 家庭用品が原因と考えられる吸入事故等に関する報告
(1) | 健康被害の概要
・ | 吸入事故等の原因製品は、殺虫剤類(医薬品等を含む)が171件、洗浄剤が95件等であった。 |
・ | 防水スプレー、防虫剤に関する報告件数が、それぞれ3件、6件から12件、14件に増加したが、これらの変化については今後も経時的に追う必要があると考える。 |
・ | 主な製品形態は、スプレー式の製品が254件(うち、エアゾール式163件)、次いで液状の製品が191件等であった。 |
・ | 年齢別の内訳では265件(38.9%)が9歳以下の子供の事例であった。 |
・ | 性別の内訳では女性が372件と全体の54.6%を占めた。 |
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(2) | 原因製品別考察 (殺虫剤)
・ | 殺虫剤(医薬品等を含む)に関する事例は、171件(25.1%)であった。極端な大量使用や燻煙後に十分に換気をせずに室内に入った事例など、誤使用と思われる例も見られた。 |
(洗浄剤)
・ | 洗浄剤に関する事例は95件(14.0%)であり、そのうち最も多かったのが、次亜塩素酸系の製品で53件であった。そのうちの多くはポンプ式スプレー製品であった。 |
・ | 風呂場やトイレのような狭い場所で十分な換気をせずに使用した事例があった。また、酸性物質と混合し、塩素ガスを発生させてしまった事例も未だにみられた。塩素ガスは有毒であり、危険である。 |
・ | 屋内で使用する際には、換気状況が良好であることを確認のうえ、適正量を使用することが重要である。 |
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(3) | 全般的な留意事項 今回も、子供の健康被害に関する問い合わせが多くあった。保護者は家庭用品等の使用や保管には十分注意するとともに、事業者も子供のいたずらや誤使用等による健康被害が生じないような方策を施した製品開発が重要である。 事故の発生状況をみると、使用方法や製品の特性について正確に把握していれば事故の発生を防ぐことができた事例も多数あったことから、消費者も日頃から使用前には必ず注意書をよく読み、正しい使用方法を守ることが重要である。未だに塩素ガスを発生させた事例が見られることからも、事業者にあっては、より安全性の高い製品開発に努めるとともに、消費者に製品の特性等について表示等により継続的な注意喚起をし、適正使用方法の推進を図る必要がある。 |
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