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平成16年度 税制改正の概要



第1 活力ある高齢社会の実現と安定した年金制度の構築

第2 次世代育成支援対策の推進

第3 多様な働き方を可能とする労働環境の整備

第4 安心で質の高い効率的な医療の提供のための基盤整備

第5 各種施策の推進



平成15年12月
厚生労働省


第1 活力ある高齢社会の実現と安定した年金制度の構築

 高齢期の生活を支える安定した年金制度の構築

(1)年金制度改正に伴う税制上の所要の措置

 (1)基礎年金の国庫負担割合の引上げの所要財源等

 平成16年度税制改正において年金課税の適正化を行う。この改正により確保される財源は、平成16年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引上げに充てるものとする。

 平成17年度及び平成18年度において、わが国経済社会の動向を踏まえつつ、いわゆる恒久的減税(定率減税)の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う。 これにより、平成17年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保する。

 平成19年度を目途に、年金、医療、介護等の社会保障給付全般に要する費用の見通し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む抜本的税制改革を実現する。

 (2)年金課税の適正化 〔所得税、住民税〕

 現役世代、高齢者世代が公平に負担を分かち合う観点から、標準的及びそれ以下の年金収入だけで暮らす高齢者世帯には十分な配慮を行いながら、年金課税を見直す。

 公的年金等控除の65歳以上の者への上乗せ措置の廃止
 老年者控除の廃止
 65歳以上の者の公的年金等控除の最低保障額を50万円加算

(2)多様な老後生活を支える企業年金税制のあり方

 (1)確定拠出年金の拠出限度額の引上げ等 〔所得税、法人税、住民税、事業税〕

 確定拠出年金の拠出限度額について、次のとおり引き上げる。
(ア) 企業型 (現行) (改正案)
他の企業年金がない場合  月額3.6万円  月額4.6万円
他の企業年金がある場合  月額1.8万円  月額2.3万円
(イ) 個人型
企業年金がない場合  月額1.5万円  月額1.8万円
 少額資産の場合の中途引出し要件の緩和を図る。

 (2)確定給付企業年金等の資産移換時の非課税等(ポータビリティ【企業年金の通算措置】の確保) 〔所得税、住民税等〕

法案の内容を見て検討することとされた。

 (3)適格退職年金契約に係る資産の勤労者退職金共済機構への移換制度の拡充 〔所得税、住民税〕

法案の内容を見て検討することとされた。

(3)その他

 (1)年金資金の運用組織に係る税制上の所要の措置 〔所得税、住民税等〕

法案の内容を見て検討することとされた。

 (2)国民年金保険料に係る社会保険料控除の手続きの見直し 〔所得税、住民税〕

 国民年金の社会保険料控除の手続きにおいて、納付した保険料額をチェックできるような仕組みとする。


 高齢者介護に対する社会的支援の推進

(1)介護サービス利用者の負担の軽減

 民間介護保険加入者に係る所得控除制度の創設 〔所得税、住民税〕

税制改正大綱で「検討事項」として以下のように記述された。

 生損保控除については、医療、介護など高齢化社会における社会保障政策を踏まえた新たな商品開発の進展との関係、地震災害に対する国民的な備えが重要であるとの見地、制度創設の目的が達成されているとの指摘等を踏まえ、早急に制度のあり方の抜本的な見直しを行う。

(2)介護サービスの供給の促進

 (1)介護老人保健施設の用に供される建物等に係る固定資産税の軽減措置の適用期限の延長〔固定資産税〕

 介護保険事業支援計画に基づき整備が必要な地域において開設される介護老人保健施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、課税標準を最初の5年間価格の8分の7(現行6分の5)としたうえ、その適用期限を2年間延長する。

 (2)PFI制度を活用したケアハウス等の整備を推進するための税制上の所要の措置 〔不動産取得税、固定資産税、都市計画税〕

税制改正大綱で「検討事項」として以下のように記述された。

 民間の資金や人材、技術等を効率的に用い、公共事業に代わって公的インフラの整備・有効活用を促進するとともに、財政負担の縮減を図り、かつ景気対策にも資するPFI事業に関しては、各税の性質に応じて、税負担の公平性の確保等に留意しつつ、事業の形態、進展等を踏まえ、税制上の必要な措置のあり方について検討を進める。


第2 次世代育成支援対策の推進

 次世代育成支援対策を推進するための児童福祉法等の改正に伴う税制上の所要の措置〔所得税、住民税等〕

法案の内容を見て検討することとされた。


第3 多様な働き方を可能とする労働環境の整備

 働く人の生活の安定に資する対策の充実

(1)転職者・退職者の生活の安定の確保

 退職等した場合における財形非課税貯蓄の転職継続措置の適用 要件の緩和〔所得税、住民税〕

 転職者等の非課税継続適用期間を2年間(現行1年間)に延長する。
 (注)上記の改正は、平成16年4月1日以後に離職等をした場合について適用する。

(2)住宅取得の促進

 (1)勤労者が使用者等から住宅資金の貸付け等を受けた場合の経済的利益等に関する課税特例措置の適用期限の延長 〔所得税〕

 現行の課税特例措置について、2年間延長とされた。

 (2)住宅の取得等をした場合の所得税額の特別控除措置の適用期限 の延長〔所得税〕

 現制度を平成16年(1年間)まで延長し、その後、住宅借入金等の年末残高の限度額等を段階的に縮小する。

 (3)新築住宅に対する固定資産税の減額措置に係る適用期限の延長 〔固定資産税〕

 現行の課税特例措置について、2年間延長とされた。


第4 安心で質の高い効率的な医療の提供のための基盤整備

 医業経営の安定の確保と近代化・効率化の促進

(1)医業経営の安定の確保

 以下の課税特例措置について全て存続とされた。

 (1)社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(四段階税制)の存続〔所得税、法人税〕


 (2)社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置の存続〔事業税〕


 (3)医療法人に係る事業税(社会保険診療報酬以外分)の軽減措置の存続〔事業税〕

(2)医業経営の近代化・効率化の促進

 (1)出資額限度法人への円滑な移行に係る課税関係の明確化 〔所得税、法人税、相続税、贈与税〕

 出資額限度法人への円滑な移行を促進するため、課税関係の明確化を図る。

 (2)PFI制度を活用した医療施設の整備を推進するための税制上の所要の措置 〔不動産取得税、固定資産税、都市計画税〕

税制改正大綱で「検討事項」として以下のように記述された。

 民間の資金や人材、技術等を効率的に用い、公共事業に代わって公的インフラの整備・有効活用を促進するとともに、財政負担の縮減を図り、かつ景気対策にも資するPFI事業に関しては、各税の性質に応じて、税負担の公平性の確保等に留意しつつ、事業の形態、進展等を踏まえ、税制上の必要な措置のあり方について検討を進める。


 救急医療体制の整備

 救急医療用機器に係る固定資産税の軽減措置の機器の追加・適用期限の延長〔固定資産税〕

 対象から頭蓋内圧モニタ及び緊急生化学検査装置を除外したうえ、保育器(新生児集中治療管理室において用いられる閉鎖式のものに限る。)を追加するとともに、その適用期限を2年間延長する。


 医療基盤の整備

(1)医薬品・医療機器の研究開発の促進

 (1)バイオテクノロジー試験研究設備に係る固定資産税の軽減措置の適用期限の延長〔固定資産税〕

 対象から密閉型バイオリアクター試験装置を除外したうえ、その適用期限を2年間延長する。

 (2)中小企業投資促進税制の適用期限の延長〔所得税、法人税〕

 器具備品の取得価額要件を100万円以上から120万円以上に、リース費用総額要件を140万円以上から160万円以上に引き上げたうえ、適用期限を2年間延長する。

(2)医薬品に係る基盤研究等を担う公的機関の整備

 独立行政法人医薬基盤研究所(仮称)に係る税制上の所要の措置〔法人税、固定資産税等〕

法案の内容を見て検討することとされた。


第5 各種施策の推進

 心神喪失者等医療観察法に基づく医療に関する税制上の所要の措置

 心神喪失者等医療観察法に基づく医療に係る医療費の概算経費控除の適用〔所得税、法人税〕
 心神喪失者等医療観察法に基づく医療に係る医療費の非課税措置の創設〔消費税、事業税〕

(所得税、法人税、消費税)
 社会保険診療報酬の所得計算の特例の適用対象となる社会保険診療の範囲に、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく医療を加えるとともに、同法に基づく医療を消費税が非課税とされる療養、医療等の範囲に加える。

(事業税)
 医療法人等が行う心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の規定に基づく医療について、課税標準の算定方法上、社会保険診療報酬と同様に特例措置を設ける。


 食品の安全確保対策の推進

 と畜場における牛海綿状脳症(BSE)対策実施のための償却資産に係る固定資産税の軽減措置の適用期限の延長 〔固定資産税〕

 現行の課税特例措置について、3年間延長とされた。


 生活衛生関係営業の振興

 (1)公害防止用設備に係る特別償却制度の適用期限の延長 〔所得税、法人税〕

 脱特定物質対応型設備についてドライクリーニング装置を除外したうえ、2年間延長する。

 (2)公害防止用施設に係る固定資産税の軽減措置の適用期限の延長 〔固定資産税〕

 指定物質の排出抑制施設については課税標準を価格の3分の1(現行6分の1)としたうえ、適用期限を2年間延長する。

 (3)中小企業投資促進税制の適用期限の延長〔所得税、法人税〕

 器具備品の取得価額要件を100万円以上から120万円以上に、リース費用総額要件を140万円以上から160万円以上に引き上げたうえ、適用期限を2年間延長する。

 (4)(財)理容師美容師試験研修センターにおける試験及び免許登録事業の取扱いの明確化〔法人税〕

税制改正大綱で「検討事項」として以下のように記述された。

 公益法人制度については、現在、政府において、平成17年度末までに法制上の措置等を講ずることを目指してその抜本的な見直しが検討されているところであり、新たな制度の骨格が明らかになった段階で、それに対応した税制上の措置について見直しを検討する。
 その際、理容師・美容師の試験事業等については、他の類似する国家資格に関する事業を国から委託されている公益法人に対する課税の取扱いと同様とする。


 消費生活協同組合が行う共済事業に係る税制上の所要の措置

 地震災害を保障する火災共済事業に係る異常危険準備金制度を充実させるための措置〔法人税、住民税、事業税〕

 現在有税で積み立てられている異常危険準備金について、一定部分を非課税とする。


 その他

 介護・子育て支援サービス事業を行う特定非営利活動法人に関する税制上の支援の充実 〔所得税、法人税、相続税、住民税、事業税〕

税制改正大綱で「検討事項」として以下のように記述された。

 NPO法人の行う民間非営利活動の役割が今後ますます高まることが期待されていることを踏まえ、その実態を見極めながら、活動の透明性の確保にも留意しつつ、認定要件の在り方について引き続き検討する。



問い合わせ先: 政策統括官付社会保障担当参事官室
政策第2係(内線7693)
政策統括官付労働政策担当参事官室
政策第2係(内線7716)


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