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(別紙)

労災病院が重点的に取り組む12分野

対象疾病分野 課題等
 四肢切断、骨折等の職業性外傷
 製造現場や建設現場等で多発する四肢の損傷等のうち、手指切断、開放性骨折等緊急手術が必要なケースについて、神経接合を図るマイクロサージャリー(手術顕微鏡装置)等専門的な機器等による高度な医療が必要。
 せき髄損傷
 職場での転倒・転落、交通事故等による頸椎・せき髄損傷は、脊椎・泌尿器・リハビリテーション専門医、看護師、理学療法士等の専門スタッフの横断的、総合的な医療が必要。
 騒音、電磁波等による感覚器障害
 騒音作業による難聴、VDT作業による疾患、溶接、炉前作業等の紫外線・赤外線や通信業務等のレーザー光線等による眼疾患などが多数発生しており、エキシマレーザー等専門的な機器等による専門的な治療と、的確な検査・治療方法の研究開発が必要。
 高・低温、気圧、放射線等の物理的因子による疾患
 高温環境下での熱中症、物流現場における凍傷、高圧作業による潜水(潜函)病、放射性物質取扱現場での放射線障害等は、専門的な機器・設備による複数の診療科にわたる総合的な診断・治療等が必要。
 身体への過度の負担による筋・骨格系疾患
 職業性腰痛症や頸肩腕症候群等は、物流、介護、オフィス等多数な現場で依然多数発生しているが、その要因は多岐にわたり、また悪化・再発を繰り返すことが珍しくないことから、適正な療養管理と労災保険給付の観点からも、的確な診断方法の開発、職場の作業態様に応じた専門的な治療と予防策の確立、普及が必要。
 振動障害
 林業はもとより、建設業、製造業等でも依然多数発生しているが、加齢等の影響等未解明な点も多く、また療養が長期化する実態にあることから、適正な療養管理と労災保険給付の観点からも、一層有効かつ的確な診断・治療方法の研究開発が必要。
 化学物質の曝露による産業中毒
 化学物質による中毒症、がん等は、55,000種類以上の既存の多様な化学物質に加え、新規化学物質が次々と生成されることから、様々な職場、職域で発生する可能性があり、近年ではシックビル(シックハウス)といった事務系職場での問題の発生もみられるなど、これらの生体への影響分析と専門的な治療が必要。
 粉じん等による呼吸器疾患
 粉じんを発散する職場・業務は、セラミックス製造、金属切断・研磨等多数あり、じん肺及び肺がん等合併症は依然として多数発生しているが、じん肺は初期診断が難しい疾病であり、症例の集積を活用し、専門的な診断・治療と一層有効な診断・治療方法の研究開発とともに、全国の専門医の育成に貢献することが必要。
 業務の過重負荷による脳・心臓疾患(過労死)
 高血圧・糖尿病等の生活習慣病を抱える勤労者が業務の過重負荷により、脳・心臓疾患を発症し、いわゆる過労死に至るケースが増えており、社会問題化。
 血管内の手術等専門的な機器等による専門的な治療と、症例の集積に基づいて業務と脳・心臓疾患との因果関係等を分析し、予防策の確立、普及が必要。
10  勤労者のメンタルヘルス
 労働環境の変化に伴い、強い不安やストレスなど、業務による心理的負荷で精神障害を発症する勤労者の増加、3万人を超える自殺者など、勤労者のメンタルヘルス対策(心の健康問題)は喫緊の課題。
 的確なカウンセリングなど職場状況を踏まえた専門的な治療と、精神障害の予防、診断、職場復帰、再発防止策に関する研究開発が必要。
11  働く女性のためのメディカル・ケア
 女性の職場進出の拡大に伴い、職域の拡大、夜勤・交替制等勤務形態の多様化などが女性勤労者の健康に及ぼす影響を研究・解明し、女性が安心して働くことができるよう複数の診療科による医療面のサポートが必要。
12  職場復帰のためのリハビリテーション
 円滑な職場復帰を図るため、それぞれの患者の障害の状況、職場での作業内容等に対応した職場復帰プログラムに基づくリハビリテーション医療が必要。


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