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医薬品・医療用具等安全性情報
Pharmaceuticals and Medical Devices
Safety Information No.190

目   次

  1. ワイヤレスカードシステム等から発射される電波による植込み型の医用機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)への影響 について
  2. 重要な副作用等に関する情報
    1. ゲフィチニブ
    2. 炭酸リチウム
    3. メシル酸パズフロキサシン
  3. 使用上の注意の改訂について(その146)
    塩酸ドネペジル他(10件)
この医薬品・医療用具等安全性情報は,厚生労働省において収集された副作用情報をもとに,医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成15年(2003年)6月
厚生労働省医薬局

【情報の概要】
No.医薬品等対策情報の概要
1 植込み型の医用機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)     携帯電話端末等による医用機器への影響については,医薬品副作用情報No.136(平成8年3月号),No.137(平成8年5月号)及びNo.143(平成9年6月号)において注意喚起を行ってきたところである。
 総務省において,平成12年度より「電波の医用機器等への影響に関する調査研究」が実施され,今般,ワイヤレスカードシステム等から発射される電波の植込み型の医用機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)に及ぼす影響についての調査がまとめられたことから,当該報告の内容について紹介し,改めて医療関係者等に注意喚起を行うこととしたい。
2 ゲフィチニブ他
(2件)
使
 前号(医薬品・医療用具等安全性情報No.189)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介する。
3 塩酸ドネペジル他(10件)    使用上の注意の改訂について(その146)
緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介

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1. ワイヤレスカードシステム等から発射される電波による植込み型の医用機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)への影響について

 携帯電話端末等による医用機器への影響については,医薬品副作用情報No.136(平成8年3月号),No.137(平成8年5月号)及びNo.143(平成9年6月号)において注意喚起を行ってきたところである。
 総務省において,平成12年度より「電波の医用機器等への影響に関する調査研究」が実施され,今般,ワイヤレスカードシステム等から発射される電波の植込み型の医用機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)に及ぼす影響についての調査がまとめられた(http://www.soumu.go.jp/s-news/index.html)ことから,当該報告の内容について紹介し,改めて医療関係者等に注意喚起を行うこととしたい。

(1)経緯

 医薬品・医療用具等安全性情報No.179(平成14年7月号)において,携帯電話端末等から発射される電波が医用機器に及ぼす影響について紹介したところであるが,携帯電話端末等以外にも植込み型医用機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)に影響を及ぼす可能性があるものとして,ワイヤレスカードシステム及び盗難防止装置(電子商品監視機器)が指摘されており,今般,この調査を委託された(社)電波産業会に設置された「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」の調査報告書がまとまり,総務省より公表されたことから,医療機関,医療従事者,医療機器業者等に対し,当該報告内容について紹介することとした。

(2)調査概要

 今回実施された調査は,各種交通機関や入退出管理等に用いられているワイヤレスカードシステムや盗難防止装置を対象として,平成12,13年度に実施された携帯電話端末等から発射される電波による植込み型医用機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)に及ぼす影響の評価に用いられた評価方法と同様の方法で検討が行われた。

1)ワイヤレスカードシステムが植込み型医用機器に及ぼす影響
 現在,導入されている機種を網羅するよう平成7年以前の製品から平成11年以降に市場に流通している代表的な植込み型心臓ペースメーカ27台(47モード)及び植込み型除細動器6台(8モード)を試験対象医用機器とし,近接型(通信距離10cm以下)12機種及び近傍型(通信距離70cm以下)1機種の合計13機種を試験対象装置として,医用機器への影響の調査を行った。

2)盗難防止装置が植込み型医用機器に及ぼす影響
 現在,導入されている機種を網羅するよう平成7年以前の製品から平成11年以降に市場に流通している代表的な植込み型心臓ペースメーカ27台(47モード)及び植込み型除細動器6台(8モード)を試験対象医用機器とし,電波方式4台,磁気方式3台,磁気自鳴方式1台及び音響磁気方式2台の合計10機種を試験対象装置として,医用機器への影響の調査を行った。
 以下の4種類の試験を行い,盗難防止装置による植込み型医用機器への影響を調査した。
<試験1>
 試験内容:植込み型医用機器装着者が,正面を向いたまま盗難防止装置の中央を通過する状況を再現し,医用機器に影響が出るゲートの中心からの距離を計測する。
<試験2>
 試験内容:植込み型医用機器装着者がゲート内で振り返る状況を再現し,ゲートの中心において電波が送受信されている方向との角度の違いによる医用機器への影響の発現状況を計測する。
<試験3>
 試験内容:植込み型医用機器装着者がゲート内で,ゲートと向き合った形でゲート自体(送受信板)に接近する状況を再現し,医用機器に影響が出るゲートからの距離を計測する。
<試験4>
 試験内容:<試験1>で影響を受けた植込み型医用機器を対象に,植込み型医用機器装着者がゲート外でゲートの周囲(送受信板)に接近する状況を再現し,医用機器に影響が出るゲートからの距離を計測する。

(3)調査結果の概要

 今回の調査の結果,調査を行った医用機器に対して,影響を及ぼしたワイヤレスカードシステムは,近接型(通信距離10cm以下)で植込み型心臓ペースメーカについて,総試験組み合わせ数564組中26組(4.6%)が影響(最大干渉距離8cm)を受けた。
 なお,植込み型除細動器については影響を受けた機種はなかった。

1)ワイヤレスカードシステムによる植込み型医用機器への影響について
(1)植込み型心臓ペースメーカ
   近傍型 近接型
干渉率 0% 4.6%
最大干渉距離 8cm
注1:干渉率は影響を受けた植込み型心臓ペースメーカの割合を意味する。
注2:最大干渉距離は,植込み型心臓ペースメーカが影響を受けた最大距離を意味する。
(2)植込み型除細動器
   近傍型 近接型
干渉率 0% 0%
最大干渉距離
注1:干渉率は影響を受けた植込み型除細動器の割合を意味する。
注2:最大干渉距離は,植込み型除細動器が影響を受けた最大距離を意味する。

2)盗難防止装置が植込み型医用機器に及ぼす影響
 植込み型心臓ペースメーカについて,総試験組み合わせ470組中,試験1においては50組(10.6%),試験2においては185組(39.4%),試験3においては222組(47.2%)の組み合わせにおいて何らかの影響が観測された。また,植込み型除細動器について,総試験組み合わせ80組中,試験2において7組(8.75%),試験3において11組(13.75%)の組み合わせにおいて何らかの影響が観測された。

(1)植込み型心臓ペースメーカ(総試験組み合わせ470組)
   試験1 試験2 試験3 試験4
干渉率 10.6% 39.4% 47.2% 10.6%
最大干渉距離 275cm 122.5cm 17.5cm 280cm
注1:干渉率は影響を受けた植込み型心臓ペースメーカの割合を意味する。
注2:最大干渉距離は,植込み型心臓ペースメーカが影響を受けた最大距離を意味する。

 なお,試験2又は試験3において,プログラムリセットされたケース(最大干渉距離25cm)があった。
(2)植込み型除細動器(総試験組み合わせ80組)
   試験1 試験2 試験3
干渉率 0% 8.75% 13.75%
最大干渉距離 42.5cm 15cm
注1:干渉率は影響を受けた植込み型除細動器の割合を意味する。
注2:最大干渉距離は,植込み型除細動器が影響を受けた最大距離を意味する。

 植込み型除細動器は,ペースメーカ機能を有しており,今回の試験では,ペースメーカ機能に影響を受けたものがほとんどであった。除細動器への影響としては試験2または試験3において,4台(11モード)で不要除細動ショックを起こす影響のみが確認された。この際の最大干渉距離は42.5cmと大きいものであったが,ゲートとの角度が90度(ゲートに対面する向き)であり,ゲートの間を,正面を向いてまっすぐ横切る角度0度の場合には,このような現象は観測されていない。

(4)植込み型医用機器を使用している患者に対する注意事項

1)ワイヤレスカードシステムについて
 植込み型心臓ペースメーカへの影響としては,最大8cmでの影響が観察されているが,その影響は一過性のものであり,速やかに通過することにより,ワイヤレスカードシステムによる影響を回避することが可能であると考えられる。電磁界強度が半分になる少なくとも約12cm距離を取ることによって,ワイヤレスカードシステムからの影響を回避できるものと考えられることから,ワイヤレスカードシステムについては,少なくとも12cm以上距離を取り,速やかに通過することが推奨される。

2)盗難防止装置について
 現時点で,どの方式の装置が特に植込み型医用機器に影響を与えるのかは明らかにされていないが,ゲート中央の通過で10%程度,ゲート中央において向きを変える場合に40%程度,ゲート(送受信板)への接近では50%近くの盗難防止装置と植込み型心臓ペースメーカの組み合わせで影響が観察されていることから,ゲート内から可能な限り速やかに退去することが重要であるといえる。
 また,ゲート内においては,ゲート間において体をねじるなど,ゲート(送受信板)に胸と背中を向けることにより,より影響を受けやすくなる傾向が見られており,ゲートを横切る際は,正面を向いて真っ直ぐに横切ることが推奨される。これは,植込み型除細動器においてゲートとの角度90度,42.5cmの距離で不要除細動ショックが観測されていることからも,特に重要なことといえる。
 ゲート外であっても,ゲート内と同様の距離で影響を受けることが示唆されているので,ゲート外であっても可能な限り盗難防止装置に近づかないように注意すること。

(5)医療機関へのお願い

 盗難防止装置については,今回は中間報告であり,盗難防止装置の型式やタイプに関する情報が不足していることに加え,試験実施機種数も少ないことから確定的なことはいえないものの,植込み型医用機器装着者の健康被害防止の観点からワイヤレスカードシステム通過時の注意も含めて以下の事項を遵守するよう患者への指導の徹底を引き続きお願いするとともに,患者が小児の場合には,保護者への指導の徹底も併せてお願いしたい。
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2. 重要な副作用等に関する情報

 医薬品・医療用具等安全性情報 No.166の『「医薬品・医療用具等安全性情報」の月刊化について』でお知らせしましたように,前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.189)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

【1】 ゲフィチニブ
販売名(会社名) イレッサ錠250(アストラゼネカ)
薬効分類等 その他の腫瘍用薬
効能効果 手術不能又は再発非小細胞肺癌


使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[警  告]
警  告
本剤による治療を開始するにあたり,患者に本剤の有効性・安全性,息切れ等の副作用の初期症状,非小細胞肺癌の治療法,致命的となる症例があること等について十分に説明し,同意を得た上で投与すること。
本剤の投与により急性肺障害,間質性肺炎があらわれることがあるので,胸部X線検査等を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
また,急性肺障害や間質性肺炎が本剤の投与初期に発生し,致死的な転帰をたどる例が多いため,少なくとも投与開始後4週間は入院又はそれに準ずる管理の下で,間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。
特発性肺線維症,間質性肺炎,じん肺症,放射線肺炎,薬剤性肺炎の合併は,本剤投与中に発現した急性肺障害,間質性肺炎発症後の転帰において,死亡につながる重要な危険因子である。このため,本剤による治療を開始するにあたり,特発性肺線維症,間質性肺炎,じん肺症,放射線肺炎,薬剤性肺炎の合併の有無を確認し,これらの合併症を有する患者に使用する場合には特に注意すること。
本剤は,肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師が使用するとともに,投与に際しては緊急時に十分に措置できる医療機関で行うこと。
[慎重投与] 急性肺障害,特発性肺線維症,間質性肺炎,じん肺症,放射線肺炎,薬剤性肺炎又はこれらの疾患の既往歴のある患者
[副作用
(重大な副作用)]
重度の下痢:重度の下痢があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には,速やかに適切な処置を行うこと。
脱水:下痢,嘔気,嘔吐又は食欲不振に伴う脱水があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には,速やかに適切な処置を行うこと。
急性膵炎:急性膵炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,腹痛,血清アミラーゼ値の上昇等が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
肺腺癌
(なし)
(1回目)
250mg
79日間

(2回目)
250mg
10日間

(3回目)
250mg
6日間

(4回目)
250mg
9日間
急性膵炎
投与約20ヵ月前 咳嗽発現。
投与約16ヵ月前 肺癌疑いのため入院。
投与約15ヵ月半前 気管支鏡にて右B6,経気管支生検にて肺癌と診断。全身検索の結果,StageIV(T4N3M1)と判明。
投与約15ヵ月前 右骨盤に30Gy(10回)放射線療法施行。
投与約14ヵ月前 化学療法(シスプラチン+酒石酸ビノレルビン)を3コース施行するもSD。
投与約11ヵ月前 全脳照射30Gy(10回)施行。
投与約10ヵ月前 左骨盤に新たな転移認め(PD),同部に30Gy(10回)照射。
投与約9ヵ月前 いったん退院。
投与約7ヵ月前 肝転移のため,再入院。
投与約6ヵ月半前 化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)を2コース施行するもPD。
投与約4ヵ月半前 化学療法(塩酸ゲムシタビン)を2コース施行するもPD。
投与約2ヵ月半前 退院。
投与約1ヵ月半前 全身骨痛増強し,再入院。
投与開始日
(1回目)
本剤投与開始。
その後肝転移による肝機能異常,CRP上昇,腫瘍熱,全身倦怠などの自覚症状は約1週間で改善。2週間後には画像的にも著明に縮小。4週間後にはPR。
投与73日目 経口摂取後,嘔吐,微熱,腹部膨満感が出現。
投与79日目
(投与中止日)
来院。来院までの間,排便なし。イレウスを疑い同日入院。本剤を含む経口薬を中断とする。アミラーゼ353IU/L,リパーゼ131IU/L(基準値:9〜55IU/L),エラスターゼ-1 1343ng/dL(基準値:72〜432ng/dL)と上昇。絶食持続点滴,メシル酸ガベキサート600mg/日にて腹痛改善。嘔気改善し,排ガスもみられるようになった。
中止4日後 膵臓食にて,経口摂取再開。
中止12日後 アミラーゼ95IU/Lと正常化。
中止13日後
(2回目投与開始日)
本剤服用再開。その後,順調であった。
投与10日目
(投与中止日)
再び嘔吐出現したため,本剤を含む経口薬服用中断。アミラーゼ3845IU/L。
中止2日後 アミラーゼ1233IU/L。
中止3日後
(3回目投与開始日)
この日以降,本人の希望強く,本剤のみ服用再開。
投与5日目 経口摂取量増加せず,高カロリー輸液施行。
投与6日目
(投与中止日)
本剤服用中断。
中止2日後 アミラーゼ2313IU/L。
中止5日後
(4回目投与開始日)
本人の希望強く,本剤服用開始。その後も麻痺性イレウスが一進一退。
投与9日目 胆汁様嘔吐出現。
投与10日目 急に呼吸が微弱,血圧低下となり,死亡。
企業報告
臨床検査値
  
投与
13日前
投与
1日目
投与
44日目
投与
58日目
1回目
投与中止日
1回目
中止12日後
2回目
投与10日目
4回目
投与4日目
白血球数(/mm3
13240
13200
10890
10270
14400
12100
7280
好中球(%)
76.5
72.7
82.7
82.3
86.3
78.8
82.2
リンパ球(%)
15.4
19.8
12.0
11.1
6.7
12.0
10.0
赤血球数(×104/mm3
319
330
373
406
401
327
269
ヘモグロビン(g/dL)
8.3
8.6
10.2
11.0
10.7
8.6
7.4
総蛋白(g/dL)
6.7
6.4
6.3
5.2
アルブミン(g/dL)
2.3
2.3
3.1
3.0
2.6
2.2
CRP(mg/dL)
7.5
7.8
1.1
3.6
10.7
7.5
4.0
アミラーゼ(IU/L)
60
58
108
145
353
95
3845
3082
併用薬:ファモチジン,フルニトラゼパム,プレドニゾロン,メトクロプラミド,アレンドロン酸ナトリウム水和物,ナプロキセン,塩酸モルヒネ,塩酸ミノサイクリン,硫酸モルヒネ


【2】 炭酸リチウム
販売名(会社名) リーマス錠100,同錠200(大正製薬)
リチオマール錠100mg,同錠200mg(藤永製薬)
炭酸リチウム錠100mg「アメル」,同錠200mg「アメル」(共和薬品工業)
炭酸リチウム錠100「ヨシトミ」,同錠200「ヨシトミ」(全星薬品工業)
薬効分類等 精神神経用剤
効能効果 躁病及び躁うつ病の躁状態


使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
腎性尿崩症:腎性尿崩症があらわれることがあるので,多飲,多尿等の症状が発現した場合には,電解質濃度の測定等の観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
痴呆様症状,意識障害:可逆性の痴呆様症状,昏睡に至るような意識障害(脳波所見上,周期性同期性放電(PSD)等を伴う)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
50代
躁うつ病
(高血圧)
400mg
約5年間

1200mg
約7ヵ月間
腎性尿崩症
投与開始日 本剤400mg服用開始。
投与約5年目 本剤を1200mgに増量。
発現7日前 躁うつ病の躁状態強くなり入院。
投与約5年7ヵ月目
(発現日/投与中止日)
脱力症状発現。本剤の投与中止。
中止1日後 臥床傾向。
中止2日後 血圧74/60mmHg。ショック状態となり意識レベル低下したため,当院救急受診。血中リチウム濃度は3.1mEq/L。大量輸液,昇圧剤等の投与にて全身状態,意識レベル改善傾向になる。
中止5日後 血中リチウム濃度1.1mEq/L。
中止6日後 尿量5〜7L/日続くため,トリクロルメチアジド(2mg/日)内服開始。
中止9日後 食事開始。
中止11日後 尿量も2〜3L/日とおちついたため,トリクロルメチアジド中止。
中止19日後 再び,5〜7L/日の尿を認めたため,トリクロルメチアジド(4mg/日)内服再開。また,一時水制限フリーにしていたが,水制限も1L/日開始した。
中止26日後 血清ナトリウム,浸透圧等のデータ正常となり,尿量も2〜3L/日とおちついたため,退院となる。トリクロルメチアジド(4mg/日)は継続。
企業報告
臨床検査値
  
発現14日前
中止2日後
中止3日後
中止4日後
中止5日後
中止22日後
血中ナトリウム(mEq/L)
156
160
175
165
140
血中カリウム(mEq/L)
4.0
4.4
4.0
4.7
3.0
クレアチニン(mg/dL)
3.7
3.0
1.6
1.3
0.8
BUN(mg/dL)
59
52
24
15
8
血漿浸透圧(mOsm/L)
332
368
354
344
285
血中リチウム(mEq/L)
0.94
3.1
2.9
1.9
1.1
併用薬:ハロペリドール,塩酸ビペリデン,エスタゾラム,塩酸クロルプロマジン・塩酸プロメタジン・フェノバルビタール配合剤,ブロチゾラム,フェロジピン,ロサルタンカリウム


症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
30代
躁状態
(精神発達遅延,てんかん)
300mgから
開始し,
35日間で
900mgまで
増量
900mg
183日間
800mg
1日間
腎性尿崩症
投与開始日 本剤300mg投与開始。
投与35日目 本剤900mgまで増量。
投与154日目 食思不振あり。高ナトリウム血症あり。
投与212日目 38.3℃の発熱を生じた。炎症所見は認めず。
投与218日目 本剤を900mgから800mgに減量。
投与219日目
(投与中止日)
尿量が10時間で1415mLと多く,傾眠傾向。
血中ナトリウム152mEq/L,血中塩素116mEq/L,BUN23.8mg/dL,血漿浸透圧327mOsm/Lと高値を示した。本剤の投与中止。
中止1日後 糖質の輸液開始。臥床状態,一点を凝視し開眼したまま動かず,無動性無言を呈した。
中止5日後 糖質の持続点滴で四肢を動かすなどの反応は少しずつみられていたが,血漿浸透圧の低下と血中リチウムの排泄を促進させる目的でD-マンニトールを開始。
中止15日後 高ナトリウム血症消失。
中止21日後 解熱。
中止26日後 D-マンニトール中止。
中止28日後 経口摂取可能。
中止33日後 歩行は不安ながら可能となる。
企業報告
臨床検査値
  
投与77日目
投与154日目
投与219日目
中止1日後
中止5日後
中止15日後
血中ナトリウム(mEq/L)
144
152
159
150
139
血中カリウム(mEq/L)
3.7
4.7
4.2
4.5
4.8
血中塩素(mEq/L)
109
116
120
110
103
BUN(mg/dL)
9.0
23.8
24.7
24.0
12.2
ADH(pg/mL)
7.1
血漿浸透圧(mOsm/L)
327
341
324
297
血中リチウム(mEq/L)
1.28
0.14
併用薬:バルプロ酸ナトリウム,ジアゼパム,クアゼパム,トリアゾラム,フマル酸クエチアピン,パンテチン,酸化マグネシウム


【3】 メシル酸パズフロキサシン
販売名(会社名) パシル点滴静注液300mg,同点滴静注液500mg(富山化学工業)
パズクロス注300,同注500(三菱ウェルファーマ)
薬効分類等 合成抗菌剤
効能効果 ブドウ球菌属,レンサ球菌属(肺炎球菌を除く),腸球菌,モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス,大腸菌,シトロバクター属,クレブシエラ属,エンテロバクター属,セラチア属,プロテウス属,モルガネラ属,プロビデンシア属,インフルエンザ菌,緑膿菌,アシネトバクター属,バクテロイデス属,プレボテラ属のうち本剤感受性菌による下記感染症。
  • 熱傷創感染,手術創感染
  • 慢性呼吸器疾患の二次感染(慢性気管支炎,びまん性汎細気管支炎,気管支拡張症,肺気腫,肺線維症,気管支喘息,陳旧性肺結核など),肺炎,肺化膿症
  • 腎盂腎炎,複雑性膀胱炎,前立腺炎
  • 胆嚢炎,胆管炎,肝膿瘍
  • 腹腔内膿瘍,腹膜炎
  • 内性器感染症(子宮付属器炎,子宮旁結合織炎),骨盤腹膜炎


使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
急性腎不全:急性腎不全があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
肝機能障害,黄疸:肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
偽膜性大腸炎:偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛,頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
血小板減少:血小板減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。また,横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
痙攣:痙攣があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
50代
重症感染症
〔拡張型心筋症(重症)〕
1g
3日間
急性肝不全
投与開始日 重症感染症に対し,本剤投与開始。(注射に要した時間:60分間)本剤皮内反応陰性。
投与3日目
(投与中止日)
採血上,重篤な肝機能障害を認めたため,本剤及びポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンを投与中止。熱発及び黄疸を認め,その後急速に呼吸困難に陥る。
中止3日後 死亡。(死因:急性肝不全)
HCVウイルス(−),HBs抗原(−)
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臨床検査値
  
投与2日前
投与開始日
投与2日目
投与3日目
(投与中止日)
中止3日後
AST(GOT)(IU/L)
44
83
709
6000以上
11000以上
ALT(GPT)(IU/L)
39
57
251
2730
5071
γ-GTP(IU/L)
201
185
Al-P(IU/L)
722
765
910
743
705
LDH(IU/L)
303
454
1662
6966以上
10373
総ビリルビン(mg/dL)
1.7
5.7
併用薬:ミダゾラム,臭化パンクロニウム,ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン


症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
80代
腎盂腎炎
(慢性尿路感染症)
500mg
5日間
黄疸
投与開始日 腎盂腎炎に対し,本剤投与開始。(注射に要した時間:60分間)
投与4日目 前日まで黄疸の所見は認められなかったが,朝診察時に皮膚の黄染に気付く。同日採血の上,検査に提出。
投与5日目
(投与中止日)
前日の検査結果にて,総ビリルビン3.3mg/dL,直接ビリルビン2.5mg/dLを確認した上で,本剤投与中止。尿細菌培養実施。投与前39.8℃の高熱は投与2日目から37.5℃程度に解熱し,感染症の改善は著明であった。
中止1日後 塩酸セフェピム1gを投与開始。
中止2日後 この頃より,皮膚黄染消失。
中止4日後 検査成績で総ビリルビン1.3mg/dLに低下を確認。
中止5日後 尿細菌培養にてMRSA(+)のため,塩酸セフェピムから塩酸ミノサイクリン100mgに変更。
軽快。
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臨床検査値
  
投与38日前
投与4日目
中止4日後
体温(℃)
37.2
38.3
37.9
AST(GOT)(IU/L)
17
248
22
ALT(GPT)(IU/L)
8
120
28
γ-GTP(IU/L)
21
212
87
総ビリルビン(mg/dL)
3.3
1.3
直接ビリルビン(mg/dL)
2.5
0.7
白血球数(/mm3
4800
19500
16200
併用薬:なし


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3. 使用上の注意の改訂について(その146)

 前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.189)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「2 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について,改訂内容,主な該当販売名,参考文献等をお知らせいたします。

〈その他の中枢神経系用薬〉
塩酸ドネペジル
[販 売 名] アリセプト錠3mg,同錠5mg,同細粒0.5%(エーザイ)
[副作用(重大な副作用)] 急性膵炎:急性膵炎があらわれることがあるので,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈眼科用剤〉
ブロムフェナクナトリウム水和物
[販 売 名] ブロナック点眼液(千寿製薬)
[慎重投与] 角膜上皮障害のある患者
[副作用(重大な副作用)] 角膜潰瘍,角膜穿孔があらわれることがあるので,角膜上皮障害等があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈血圧降下剤〉
塩酸エホニジピン
[販 売 名] ランデル錠10,同錠20,同錠40(日産化学工業)
[副作用(重大な副作用)] 洞不全症候群,房室接合部調律,房室ブロック等があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈血管収縮剤〉
臭化水素酸エレトリプタン
[販 売 名] レルパックス錠20mg(ファイザー製薬)
[副作用(重大な副作用)] アナフィラキシーショック,アナフィラキシー様症状:アナフィラキシーショック,アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈その他の循環器官用薬〉
アルプロスタジル
[販 売 名] パルクス注5μg,同注10μg(大正製薬),リプル注5μg,同注10μg(三菱ウェルファーマ)他
[副作用(重大な副作用)] 意識消失:血圧低下に伴い一過性の意識消失があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈去たん剤〉
フドステイン
[販 売 名] クリアナール錠200mg(三菱ウェルファーマ),スペリア錠200(エスエス製薬)
[副作用(重大な副作用)] 肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,LDHの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈副腎ホルモン剤〉
プラステロン硫酸ナトリウム(腟坐剤)
[販 売 名] マイリス膣坐剤(日本オルガノン)
[副作用(重大な副作用)] 胎児徐脈,胎児仮死胎児徐脈あるいは胎児仮死を来すことがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,腟洗浄を含め適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈副腎ホルモン剤〉
プラステロン硫酸ナトリウム(注射剤)
[販 売 名] マイリス注(100mg),同注(200mg)(日本オルガノン)他
[副作用(重大な副作用)] 胎児徐脈,胎児仮死胎児徐脈あるいは胎児仮死を来すことがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈血液製剤類〉
乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体
[販 売 名] ファイバ(500単位品),同(1000単位品)(バクスター)
[重要な基本的注意] DIC及び心筋梗塞等を誘発することがあるので,1回に体重1kg当り100単位をこえる投与や,1日に体重1kg当り200単位をこえる場合には特に注意すること。
[副作用(重大な副作用)] DIC:DICを起こすことがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

10 〈X線造影剤〉
イオキサグル酸
[販 売 名] ヘキサブリックス320(栄研化学),カルディオブリックス320(ゲルベジャパン)
[副作用(重大な副作用)] 間質性肺炎があらわれることがあるので,発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常等が認められた場合には,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

11 〈他に分類されない治療を主目的としない医薬品〉
ヒトフィブリノゲン・トロンビン画分・アプロチニン
[販 売 名] タココンブ(鳥居薬品)
[重要な基本的注意] 使用された本剤に対し周辺臓器の癒着が起こる場合があるので,症状が認められた場合には適切な処置を行うこと。
なお,腸管との癒着が起こった場合,イレウスを引き起こすことがある。
〈参   考〉 企業報告


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 なお,厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)又は医薬品情報提供ホームページ(http://www.pharmasys.gr.jp/)からも入手可能です。



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厚生労働省医薬局安全対策課
03-5253-1111(内線)2750、2753


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