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平成15年5月1日
厚生労働省食品保健部
南 監視安全課長
担当:道野、齋藤(内線2455)

指定検査機関に対する緊急点検結果について

1.点検結果の概要について
 本年3月の(社)日本油料検定協会における不適正検査事例を踏まえ、食品衛生法に基づく指定検査機関における輸入食品の製品検査業務の管理の点検のため、平成14年度中に食品衛生法第15条第3項に基づく命令検査を受託した指定検査機関(22機関(36検査施設))を対象に、各地方厚生局による緊急立入点検を行った。
 今回の一斉点検では、検査の適正性の確認のため、主要な検査項目(サイクラミン酸、残留農薬(フェンバレレート、シペルメトリン、クロルピリホス)、合成抗菌剤(一斉分析法によるスルファキノキサリン、スルファジミジン)、抗生物質(ディスク法)、アフラトキシン(HPLC法)、麻痺性貝毒:計9項目)に対して、標準作業書及び検出下限値の設定の有無、添加回収試験の実施状況等の点検を行うとともに、検査施設の管理体制に関して、製品検査部門責任者及び検査区分責任者による確認の実施状況、信頼性確保部門の内部点検及び勧告並びに改善措置の実施状況等について確認を行った。
 その結果、2に掲げる2機関(2施設)を除き、概ね適正に検査が実施されていることが確認された。
2.問題が判明した機関・施設の概要及び改善措置について
1)(財)千葉県薬剤師会検査センター
 4月3日に実施した中国産パクチョイの残留農薬検査(クロルピリホス)の成績書と検疫所のモニタリング検査(クロスチェック)の結果に不一致が認められた。
 関東信越厚生局の調査の結果、当該検査機関においては標準作業書の作成や内部精度管理等については適切に実施され、内部点検も計画に従って実施されていたが、4月3日に実施した検査に関して、ワークシートへの転記ミスが確認された。また、検査は公定法(ガスクロマトグラフ法)ではなく検査機関独自のガスクロマトグラフ−質量分析器で行っていたが、当該機器の始業点検及び添加回収率が基準値を外れていたにもかかわらず試験を実施しており、機器の保守が不適切であったことなどが判明した。
 このため、関東信越厚生局より、当該機関に対し、食品衛生法第19条の12の規定に基づき、基準への適合措置命令を行った。
 機器の保守不良等が認められた4月3日及び4日に検査を実施した検体については、検疫所輸入食品・検疫検査センターにおいて再検査を行う予定である。
 なお、残留農薬検査以外の検査項目についても調査を行ったが、特に問題は認められなかった。
2)その他の事例について
 (財)宮崎県公衆衛生センターにおいて、手数料認可を受けていない検査項目を受託していたことが判明したため、当該機関を所管する九州厚生局より、当該検査項目の受託を停止するとともに、早急に検査手数料認可申請を行うよう是正指導を行った。なお、該当する検査項目について、標準作業書の整備、製品検査の実施状況及び成績書発給に至るまでの業務管理について調査を行ったが、概ね適正に実施されていた。
3.(社)日本油料検定協会の状況について
 (社)日本油料検定協会に対しては、3月17日付けで近畿厚生局より適合措置命令書を発出しているところであるが、4月28日付けで当該検査機関より近畿厚生局長に対し、受託件数の見直し、検査区分責任者及び製品部門責任者の交代、信頼性確保部門による点検の強化、標準作業書の作成・改訂等を骨子とする適合措置計画書が提出された。



(参考)

1.今回の緊急点検対象機関・施設

(社)青森県薬剤師会衛生検査センター
(財)千葉県薬剤師会検査センター
(財)東京顕微鏡院食と環境の科学センター日本橋研究所
(社)日本食品衛生協会(食品衛生研究所、食品衛生研究所試験検査センター)
(財)食品環境検査協会(横浜事業所、清水事業所、神戸事業所、福岡事業所)
(財)日本食品分析センター(東京本部、多摩研究所、名古屋支所、大阪支所)
(財)日本冷凍食品検査協会(札幌検査所、仙台検査所、東京検査所、横浜事業所、名古屋検査所、神戸事業所、福岡検査所)
(財)日本穀物検定協会中央研究所
(社)菓子総合技術センター
(社)日本海事検定協会理化学研究所
(財)新日本検定協会(中央研究所、中央研究所阪神支所)
(財)マイコトキシン検査協会
(財)畜産生物科学安全研究所
(財)新潟県環境衛生研究所
(財)石川県予防医学協会
(社)愛知県薬剤師会生活科学センター
(社)大阪食品衛生協会食品検査センター
(財)広島県環境保健協会生活科学センター
(財)北九州生活科学センター
(社)長崎県食品衛生協会食品環境検査センター
(財)宮崎県公衆衛生センター
(財)沖縄県環境科学センター
2.(財)千葉県薬剤師会検査センターに対する適合措置命令の概要
  1. ワークシートとクロマトグラフのチャートの識別手順及び検査成績書の発行手続きを見直すこと。
  2. 始業点検、添加回収試験等で基準値を外れた場合には、改善がなされるまで検査を行わないこと。また、その際の機器整備等については、関連する標準作業書等に規定すること
  3. 残留農薬検査で、作物(検査品目)毎の食品成分の検査結果に与える影響についての検討を行っていないものがあるが、検査対象品目の追加に当たっては、必ず事前に検査法の細部について、検討を行うこと。また、測定機器等の日常点検及び整備の方法については、標準作業書等に具体的に規定すること。
  4. GC−MSによる定量試験は、品目毎、残留農薬毎に確実に定量できることを確認するまでの間は中止すること。
  5. 受託件数が多く、検査業務管理上の十分な点検がなされていないことが考えられるので、検査能力に応じた適切な受託件数とするよう見直すこと。
  6. 1〜5について改善がなされるまでの間は、食品衛生法に基づく理化学検査区分のうち、残留農薬検査に係る項目について検査を受託しないこと。


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