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医療提供体制の改革のビジョンについて


 我が国の医療提供体制は、国民皆保険制度の下で、国民が必要な医療を受けることができるよう整備が進められ、国民の健康を確保するための重要な基盤となっている。一方、少子高齢化の進展、医療技術の進歩、国民の意識の変化等を背景として、より質の高い効率的な医療サービスを提供するための改革を推進することが課題となっている。

 こうした改革を進めるに当たっては、医療提供体制の将来像について国民的な合意を得ていくことが重要である。このため、厚生労働省としては、平成14年3月8日に、厚生労働大臣を本部長とする「医療制度改革推進本部」の下に「医療提供体制の改革に関する検討チーム」(主査:医政局長)を設置して検討を行い、同年8月29日に「医療提供体制の改革の基本的方向」(中間まとめ)を公表したところである。

 その後も、様々な検討会等において、それぞれの課題について検討を進めるとともに、有識者や関係団体からのヒアリングの実施も含めて国民各層の幅広い御意見をいただきながら、更に検討を進め、本年4月30日に、21世紀における医療提供体制の改革のビジョン案として取りまとめ、公表した。さらに、その後、国会等での議論を踏まえ、8月に「医療提供体制の改革のビジョン」としたところである。

 今後の医療提供体制の改革は、患者と医療人との信頼関係の下に、患者が健康に対する自覚を高め、医療への参加意識をもつとともに、予防から治療までのニーズに応じた医療サービスが提供される患者本位の医療を確立することを基本として進めるべきである。具体的には、
 患者の選択のための情報提供の推進
 質の高い医療を効率的に提供するための医療機関の機能分化・連携の推進と地域医療の確保
 医療を担う人材の確保と資質の向上
 生命の世紀の医療を支える基盤の整備
などの分野で改革を進めることが必要であり、以下に、それぞれの分野ごとに将来像のイメージを示し、それに続いて、その実現に向けて当面進めるべき施策を掲げた。

 こうした改革は、法令改正による措置のみならず、公的補助、公的融資、税制による支援、診療報酬等による経済的評価、関係団体との共同した取組などを組み合わせて総合的に推進していくことが必要である。

 このビジョンをもとに、国民各層において更に幅広い議論が行われることを期待するとともに、国民全体で合意できる医療提供体制の将来像の形成を目指して、今後も適宜見直しを行っていくこととしたい。


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