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雇用保険法等の一部を改正する法律の概要

 厳しい雇用失業情勢が長期化する中で、経済社会の構造的変化に的確に対応し、雇用保険制度の安定的運営を確保するため、給付について(1)早期再就職の促進、(2)多様な働き方への対応、(3)再就職の困難な状況に対応した重点化を図るとともに、保険料率について労使負担の急増の緩和に配慮した上で、制度の安定的運営のために必要最小限の引上げを行うこと等を内容とする雇用保険法等の改正を本年5月1日より行うこととしたものである。

I 概要

 1 給付の見直し(雇用保険法の改正)
(1)早期再就職の促進
 基本手当日額と再就職時賃金の逆転現象の解消
(イ)基本手当日額が再就職時賃金を上回る者の多い高賃金、高給付層を中心に、給付率、上限額を見直す。
<給付率>
60歳未満 60歳以上65歳未満
賃金日額 給付率 賃金日額 給付率
2,140円以上 4,210円未満 80% 2,140円以上 4,210円未満 80%
4,210円以上12,220円以下
(←4,210円以上10,190円以下
80%〜50%
←80%〜60%
4,210円以上10,950円以下
(←4,210円以上13,180円以下
80%〜45%
←80%〜50%
12,220円超(←10,190円超) 50%←60% 10,950円超(←13,180円超) 45%←50%

<上限額>
賃金日額 賃金日額の上限額(基本手当日額の上限額)
30歳未満 13,160円(6,580円) ← 14,460円(8,676円)
30歳以上45歳未満 14,620円(7,310円) ← 16,070円(9,642円)
45歳以上60歳未満 16,080円(8,040円) ← 17,680円(10,608円)
60歳以上65歳未満 15,580円(7,011円) ← 19,280円(9,640円)

(ロ)定年退職者の再就職等における賃金実態との均衡を図るため、60歳時賃金日額の算定の特例を廃止する。(告示)

 多様な早期就業促進のための給付の創設
(イ)就業促進手当の創設
 就業促進手当(仮称)を創設し、支給残日数を3分の1以上残して常用以外の早期就業をした者に対し基本手当日額の30%を賃金に上乗せして支給する。
(ロ)現行の就職促進給付の整備
 再就職手当の上限額等を見直す。
 民間職業紹介所の紹介による場合も再就職手当及び常用就職支度金を支給する。(省令)
 再就職手当の受給後、直前の離職から1年以内に倒産・解雇等の理由により再離職した場合に、基本手当を受給する資格を有する期間の延長を行う。

(2)多様な働き方への対応
 通常労働者とパートタイム労働者の給付内容の一本化
(イ) 通常労働者とパートタイム労働者との基本手当の所定給付日数を一本化し、倒産・解雇等による離職者は通常労働者の日数に、それ以外の理由による離職者はパートタイム労働者の日数に、それぞれ合わせる。
 ただし、就職困難者については、離職理由の如何を問わず通常労働者の日数に合わせる。
(ロ) 通常労働者とパートタイム労働者との高年齢者求職者給付金の所定給付日数を一本化する。
 育児・介護休業法による休業・勤務時間短縮措置に係る基本手当日額の算定の特例
 育児・介護休業法による休業・勤務時間短縮措置により賃金が喪失・低下している期間中に倒産・解雇等の理由により離職した者について、措置前の賃金を用いて基本手当日額を算定する特例を設ける。(告示、要領)

(3)再就職の困難な状況に対応した給付の重点化
 壮年層の基本手当の給付日数の改善
 35歳以上45歳未満で雇用保険の加入期間が10年以上の倒産・解雇等による離職者について所定給付日数を30日間延長する。
 訓練延長制度における複数回受講制度の拡充
 雇用対策臨時特例法による公共職業訓練の複数回受講等の特例措置の対象年齢を拡大(45〜59歳→35〜59歳)するとともに、特例措置の終期を延長(16年度末→19年度末)する。
 在職者への給付の失業者への給付との均衡を考慮した見直し
(イ)教育訓練給付
 給付率及び上限額を引き下げる。
 (給付率:8割 → 4割、上限額(省令):30万円 → 20万円)
 加入期間要件を緩和する。
 (5年 → 3年(3年以上5年未満の場合は給付率2割、上限額(省令)10万円)
 育児等のため離職して1年以上経過した者について、基本手当と同様の仕組みにより教育訓練給付の受給期間を延長する。(省令)
(ロ)高年齢雇用継続給付
 支給要件及び給付率を見直す。
 (支給要件:15%超の賃金低下 → 25%超の賃金低下、給付率:25% → 15%)

(4)その他
 不正受給の場合の返還命令
 不正の行為により失業等給付の支給を受けた場合に納付を命ずることができる金額を当該失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額とする。
 連帯納付命令
 不正の行為により失業等給付の支給を受けた者と連帯して不正受給額の返還及び納付額の納付を命ずることができる対象として、職業紹介事業者等を加える。

 2  保険料率の改定及び前2年間の据置き(労働保険の保険料の徴収等に関する法律の改正)
 雇用保険の失業等給付に係る保険料率を1.6%とし、平成16年度末までの間は附則において1.4%とする。また、16年度末までの間も弾力条項の発動ができることとする。


II 施行期日

  平成15年5月1日


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