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(資料5)

石綿及び同含有製品の代替化等の調査結果の概要

平成14年12月12日
厚生労働省労働基準局
安全衛生部化学物質調査課

1.調査目的
 厚生労働省は、石綿(アスベスト)のうち、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)については平成7年に製造、使用等を禁止したところであるが、近年、クリソタイル(白石綿)についても代替品の開発が進んできていることを踏まえ、国民の安全、社会経済にとって石綿製品の使用がやむを得ないものを除き、原則として、使用等を禁止する方向で、検討を進めることとした。
 このため、現時点で代替化が困難な商品及びその用途を明らかにするとともにそれら代替困難品の代替見込み時期を把握することを目的として、石綿製品製造企業等に対するアンケート調査を行った。

2.調査対象、調査方法
 調査時点で把握していた次の石綿関連企業及びその団体にアンケート調査票を送付するとともに、調査票の回答内容を明確にするため、電話により補足的な意見聴取を行った。
石綿製品製造企業 26社
 建材製品製造企業20社、建材以外の製品の製造企業7社(1社重複)
石綿製品製造企業の業界団体 10団体
石綿製品のユーザーの業界団体 19団体
 建材製品のユーザーの団体7団体、建材以外の製品のユーザーの団体12団体
石綿・石綿含有製品の輸入事業者 8社

3.主な調査事項
(1)共通事項
石綿の使用、代替化、禁止措置等に関する意見
(2)個別事項
石綿製品製造企業
 ・製造、使用等しないと安全確保が困難な石綿商品及びその理由(用途、使用条件等)
 ・安全確保以外の理由で製造、使用等が必要な石綿商品及びその理由(用途、使用条件等)
 ・代替見込時期
石綿含有製品のユーザーの業界団体
 ・安全確保等の観点から使用がやむを得ない石綿製品の種類及びその理由(用途、使用条件等)
 ・代替見込時期

4.調査結果の概要
(1)アンケート票の回収状況
 石綿製品製造企業26社に調査票を送付したところ、26社(100%)から回答があった。ただし、うち1社については、個別質問事項への回答が得られなかった。
 石綿製品製造企業の業界団体10団体に対し、自由な意見を聴取したところ、10団体(100%)から回答があった。
 石綿・石綿含有製品の輸入事業者8社に対し、自由な意見を聴取したところ、8社(100%)から回答があった。
 石綿含有製品のユーザーの業界団体19団体に対し、調査票を送付したところ、18団体(94.7%)から回答があった。うち7団体については、当該団体を通じて合計124の当該団体に所属する会員企業から回答があった。ただし、回答のあった18団体のうち1団体については、個別質問事項への回答が得られなかった。
(2)石綿製造企業の回答集計結果(別表1参照)
 調査対象の製造企業から回答が得られた197種(建材107種、非建材90種)の商品について、製品の種別ごとに集計を行った。
 197種の石綿製品のうち、石綿の使用の必要性がないとの回答があったものが140商品、石綿の使用の必要性があると回答があったものが57商品であった。
 石綿製品の使用の必要性があると回答のあった57商品のうち、安全確保のため必要と回答のあったものが25商品、安全確保以外の理由で必要と回答があったものが32商品であった。
使用等しないと安全確保が困難であると回答があったもの(25商品)
繊維強化セメント板(平板) 40商品中3商品
繊維強化セメント板(波板) 52商品中8商品
ジョイントシート 20商品中2商品
シール材 69商品中12商品
使用等しないと安全確保が困難であるものではないが、安全確保以外の理由で使用等を中止できない理由があると回答があったもの(32商品)
繊維強化セメント板(平板) 40商品中7商品
繊維強化セメント板(波板) 52商品中21商品
窯業系サイディング 2商品中2商品
石綿セメント円筒 2商品中2商品
 石綿製品の製造、使用等を中止できない理由がないと回答があったものは、
 押出成形セメント板
 住宅屋根用化粧スレート
 その他石綿製品
であった。
 なお、その他石綿製品に該当する商品で、当該商品を使用等しないと安全確保等が困難であるか否かを判断するのはユーザーでないと困難であると回答があった8種の商品は、集計から除いている。
 断熱材用接着剤及び耐熱、電気絶縁板については、該当商品はすでに製造中止との回答があった。
(3)石綿含有製品のユーザーの団体の回答集計結果(別表1参照)
 石綿含有製品のユーザーの業界団体17団体の回答について、製品の種別ごとに集計を行った結果、
 押出成形セメント板
 住宅屋根用化粧スレート
 石綿セメント円筒
 断熱材用接着剤
については、石綿の使用が必要であると回答した団体はなかった。
 繊維強化セメント板(平板)
 繊維強化セメント板(波板)
 窯業系サイディング
については1団体
 耐熱、電気絶縁板は2団体
 ジョイントシートは9団体
 シール材は6団体
 その他石綿製品は7団体
からそれぞれ石綿製品の使用が必要であると回答があった。
(4)石綿の代替化についての意見の概要
 石綿製品製造企業、石綿製品製造企業の業界団体、石綿・石綿含有製品の輸入事業者、石綿含有製品のユーザーの業界団体及びその所属の企業の石綿の代替化についての意見の概要は別表2及び別表3のとおりである。


別表1

石綿製品の代替化についての石綿製品のメーカー、ユーザーの回答の集計結果(石綿製品の種別毎)


別表2

石綿の代替化についての意見の概要(全般的な意見)

 石綿の代替化についての意見の概要
代替化が可能であるとするもの
 石綿含有建材の非石綿建材への代替は概ね可能である(建材メーカー)
 石綿含有商品の割合が毎年減少してきており、平成14年度末には石綿含有商品0を目指したい(建材メーカー団体)
 無石綿商品の割合が年々増加傾向にあり、2005年にはユーザーのほとんどが無石綿商品を選択するようになると思われる(建材メーカー団体)
代替化にあたって問題点があるとするもの
 石綿商品に比べて非石綿商品は耐熱性・耐圧性・耐薬品性・耐火性・耐候性に劣っており、価格も高価であるため非石綿商品への代替は困難である(非建材メーカー)
 代替化が可能な商品についても、新設の化学プラントでは問題ないが、既設のプラントについては代替品に取り替えた場合のリスクが不明な場合がある(非建材メーカー)
 代替品の使用を可能とするためには、構造規格等の改正が必要になるものがある(非建材メーカー)
 代替品の安全性が十分に実証されているか疑問である(輸入事業者)
 非石綿建材の耐久年数が石綿建材に比べて短いため、廃棄物の量の増加・維持管理コストの上昇という問題がある(建材メーカー)
 石綿代替繊維を使用して非石綿商品を製造するためには多額の設備投資等が必要となり、中小企業では困難であり廃業のおそれがある(建材メーカー)
その他
 クリソタイルとクロシドライト・アモサイトの有害性の差について十分吟味すべきである(建材・非建材メーカー、輸入事業者)
 代替化の検討にあたっては、健康影響、環境影響、性能、コスト等のバランスを考慮する必要がある(建材メーカー団体)
 石綿を全面的に禁止するのではなく、引き続き管理して使用すべきである(建材メーカー、輸入事業者)
 石綿製品の原則禁止にあたっては、十分な周知期間を設けるべきである(建材ユーザー団体)
 石綿の使用等を禁止する法令については施行時期を2005年以降にすべきである(輸入事業者)
 石綿商品を一律に禁止するのではなく、商品の種類毎に規制を行うことを考慮すべきである(建材・非建材メーカー団体)


別表3

石綿の代替化についての意見の概要(製品の種別の意見)

石綿の代替化についてに意見の概要(製品の種別の意見)


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