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平成15年3月14日

コーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会(CTFBT)
第4回会議の概要について

1.日時平成15年3月11日(火)〜14日(金)
2.場所パシフィコ横浜会議センター3階大会議室
3.参加国34ヶ国
4.参加団体19団体
5.参加総数168名

6.主な合意内容
 (1) 「組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案(別紙1)」について、ステップ8に進めることで合意し、次回のコーデックス総会(本年6月末からローマで開催予定)で、その国際規格としての最終採択について討議されることとされた。
(主な討議内容)
このガイドラインは組換えDNA植物由来食品のガイドラインと同様に、安全性と栄養的観点を扱うことが確認された。
微生物ガイドラインの適用範囲の中に、細菌、酵母、糸状菌の他に、藻類やキノコ類も含めることが提案されたが、これらについては今回の討議では含めないこととされた。
組換えDNA微生物を用いて製造された食品の安全性の評価は、生きた微生物を含む食品も含まれることから、組換えDNA微生物のみならずそれを用いて製造された食品についても実質的同等性(既存の食品と同等と見なし得ること)の概念を適用し、各々の相違点について評価を行うことが確認された。また、ヒトの消化器官に対する影響(消化管内での生存能力や腸内フローラに対する影響等)や、抗生物質耐性、遺伝子移行についても評価が必要な項目として検討が行われた。
DNAの組換えにより発現されるタンパク質のアレルギー誘発性の評価については、組換えDNA植物の添付資料案と同様の内容とした。

 (2) リスク分析におけるトレーサビリティーについては、一般原則部会(CCGP)をはじめとするコーデックスの他の部会で議論されるべきであると決定されているが、当バイオテクノロジー応用食品特別部会では、安全性に問題が生じた場合の製品回収や上市後のモニタリングの目的として製品の追跡がリスク管理の一つの有用な手法である旨が、リスク分析に関する原則案に取り込まれており、各国ともこの概念の重要性を確認した。

 (3)その他
(1) 平成12年から開始された当特別部会のこれまで4回の会議の成果として、以下の文書がとりまとめられた。(別紙2
「モダンバイオテクノロジー応用食品のリスク分析に関する原則案」
「組換えDNA植物由来食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案(付属文書の「アレルギー誘発性評価に関する添付資料案」を含む。)」
「組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案(付属文書の「アレルギー誘発性評価に関する添付資料案」を含む。)」
なお、組換えDNA応用食品の分析法の一覧表を取りまとめ、分析・サンプリング部会(CCMAS)に送付した。

(2) バイオテクノロジー応用食品特別部会は、この第4回会議で当初の役目を終え、一旦終了することとされているが、組換えDNA由来植物又は組換えDNA利用微生物以外に、例えば、組換えDNA魚等の安全性評価等の課題について引き続き議論することの重要性が指摘された。次回のコーデックス総会において、今後、バイオテクノロジー応用食品の安全性評価の実施に関して新たに特別部会を設けて議論を重ねるかどうか、また、どこの国が主催するかも含め、検討される予定。


(照会先)
 医薬局食品保健部
  基準課 植村(2483)
 医薬局食品保健部
  企画課 小野(2445)


(別紙1)

「組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案」の概要

1.適用範囲

2.定義

3.食品安全性評価の導入

4.一般的検討項目

5.アレルギー誘発性評価に関する添付資料


(別紙2)

コーデックス・バイオテクノロジー応用食品特別部会におけるガイドライン案の概要

1.Draft Principles for the Risk Analysis of Foods Derived from Modern Biotechnology
「モダンバイオテクノロジー応用食品のリスク分析に関する原則案」

 食品の国際基準はリスク分析の原則に基づき設定されるべきであるというコーデックスの考え方に基づき、遺伝子組換え食品について、リスク分析の原則に従った科学に基づく意志決定プロセス等に関する広範な原則を策定

 リスク評価(安全性評価)
 既存の食品との比較による上市前の段階での安全性審査
 リスク管理
 表示、上市後のモニタリング、安全性に問題が生じた場合の製品追跡(tracing of products)など
 リスクコミュニケーション
 意志決定プロセスの一貫性、安全性評価やリスク管理の透明性
 その他
 開発途上国のキャパシティビルディング(能力強化)と情報交換の促進


2.Draft Guideline for the Conduct of Food Safety Assessment of Foods Derived from Recombinant-DNA Plants
「組換えDNA植物由来食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案」

 組換えDNA植物由来の食品の安全性評価を実施に行うためのアプローチを示すものであり、安全性評価の考え方・枠組みといった総論部分と個別評価を実施するための各論部分で構成されている。

<総論>
 ○ 実質的同等性(Substantial Equivalence)の概念 − 組換えDNA植物由来食品と既存の食品との間の異同を明らかにするところから安全性評価を開始するという考え方
 ○ 非意図的な影響の予測
 ○ 安全性評価の枠組み

<各論>
 ○ 個別評価項目の安全性評価
 ・ 発現するタンパク質の毒性、アレルギー誘発性の評価
 ・ 主要構成成分、栄養素等の変化に係る評価
 ・ 抗生物質耐性マーカー遺伝子の評価


3.Draft Guideline for the Conduct of Food Safety Assessment of Foods Produced Using Recombinant-DNA Microorganisms
「組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案」

 別紙1のとおり


(参考)

コーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会
第4回会議の概要について

1.日時平成15年3月11日(火)〜14日(金)
2.場所パシフィコ横浜会議センター3階大会議室
3.参加者34ヶ国及び19団体の計168名
4.主な議題
組換えDNA微生物を利用して製造される食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案の策定
トレーサビリティーに関する自由な意見交換
5.内容
 ヨーグルトやチーズのように、微生物の発酵作用を利用して生産される食品について、生産効率の改善等のため、微生物の遺伝子(DNA)の組換えが行われつつある。
国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が合同で設立した「コーデックス委員会」の下で組織された当特別部会は、このような食品の安全性評価の実施に関する国際的なガイドライン案を策定した。
 安全性評価の実施のためには、組換えDNA微生物のみならずそれを用いて製造された食品についても実質的同等性を確認することを基本に、ヒトの消化管に対する影響、アレルギー誘発性等についても評価が必要とされている。
 このガイドライン案は次回のコーデックス総会(本年6月末からローマで開催予定)に報告され、採択される予定。
 この特別部会は、平成12年以来計4回の会議で、以下の3文書を策定したが、組換え技術を応用して生産される魚など、他の課題に関する重要性についても指摘があった。
「モダンバイオテクノロジー応用食品のリスク分析に関する原則案」
「組換えDNA植物由来食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案」
「組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案」


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