(別添1)
厚生労働省発基安第0124004号
労働政策審議会
会長 西川 俊作 殿
別紙「労働災害防止計画(案)」について、貴会の意見を求める。
平成15年1月24日
厚生労働大臣 坂口 力
労働災害防止計画(案)
ア 労働者の安全と健康の確保
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労働災害防止の実効を上げるには、事業者、事業者団体、国等の関係者がそれぞれの役割分担の下に緊密な連携を図りながら、労働災害防止対策を総合的かつ計画的に実施する必要がある。このため、国が労働災害防止についての総合的な計画を長期的な展望に立って策定し、自らが今後とるべき施策を明らかにするとともに、労働災害防止の実施主体である事業者等において取り組むことが求められる指針を示し、その自主的活動を促進することとしている。 このような趣旨から、昭和33年に産業災害防止総合5か年計画が策定されて以来、9次にわたって労働災害防止計画が定められてきた。昭和30年、40年代の第1次から第3次の計画では、最低労働条件を定めた労働基準法の下で、多発する死傷災害の防止が最も重要な課題であった。昭和47年に労働安全衛生法が施行された後の第4次から第9次の計画では、より高い安全衛生水準の確保が課題として取り上げられ、特に最近は、労働災害の防止を図るため、職場内のリスクを体系的に低減させる取組についても重要な課題として取り上げられてきている。 |
本計画は、以上の基本的考え方に基づき、社会経済情勢等の変化を踏まえ、すべての働く人々の安全と健康の確保の実現を目指して、次に示す基本方針に立って策定したものである。 ア 死亡災害の撲滅
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本計画は、平成15年度を初年度とし、平成19年度を目標年度とする5か年計画とする。 ただし、この計画期間中に労働災害防止に関し、特別の事情が生じた場合は、必要に応じ計画の見直しを行うものとする。 |
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労働災害防止を推進する上での主要な課題は、次のとおりである。 |
労働災害による死傷者数は、昭和43年の172万人を頂点として長期的に減少してきているが、今なお年間約55万人もの労働者が被災し、そのうち休業4日以上の死傷者が約13万人を占めている。また、死亡者数については、昭和36年の6,712人を頂点として、労働安全衛生法が施行された昭和47年から4年間で半減に近い減少を示してから漸減傾向にあったが、平成10年に2,000人の壁を破って以降、着実に減少しつつある。しかし、今なお年間1,800人近くもの労働者が労働災害により死亡している。他方、一度に3人以上が被災する重大災害の件数は、年間200件前後で推移しており、減少の傾向が認められない。 ア 業種別労働災害発生状況
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ア 職業性疾病の発生状況等
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我が国産業社会は大きな転換期にあり、今後の労働安全衛生の展望を考える上で、次の社会経済的要因が労働安全衛生問題に重大な影響を与えることが予想される。 ア 高年齢労働者や女性労働者の増加
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ア 新しい安全管理手法の普及の必要性
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次に掲げる業種別対策を重点的に推進する。また、林業、港湾貨物運送事業、鉱業その他の災害発生率の高い業種についても引き続き積極的に労働災害防止対策を推進していく。なお、実施に際して、労働災害防止団体等は業種等の特徴を踏まえた目標値等を設定することにより、その対策の推進を図る。 ア 建設業対策
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ア 機械に係る労働災害防止対策
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労働者の健康確保対策については、特に、産業保健関連機関の連携を強化しつつ、次のような対策を推進する。 |
じん肺の新規有所見者を減少させるため、アーク溶接作業について工学的対策の改善を図り、その導入を促進するとともに、新規有所見者の多発している業種等を重点対象とした粉じん障害防止対策の徹底を図る。また、トンネル建設作業に従事する労働者の粉じんへのばく露を低減するため、「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」に基づく対策の徹底を図る。さらに、離職者を含めて、じん肺有所見者に対し、合併する肺がんの発生リスクに応じた健康管理を推進する。 作業環境管理については、個人ばく露量の測定の活用に係る検討を含め、作業の実態に合った測定方法を確立し、屋外作業場における粉じんへのばく露の低減を図る。さらに、作業環境測定結果を活用した効果的、効率的な作業環境管理の手法の確立を図る。防じんマスクについては、その性能の確保を図るため、買取試験を実施する。 腰痛等の減少を図るため、引き続き「職場における腰痛予防対策指針」による腰痛等の予防対策の徹底を図るとともに、人間工学的な観点等も踏まえた指針の見直し等の検討を行う。 VDT作業における健康障害の防止を図るため、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」の普及・定着を図る。 騒音障害及び振動障害の減少を図るため、騒音障害防止対策及び振動障害防止対策の実効性が確保されるよう見直しを検討し、必要な措置を講じる。 また、さく岩機、ピックハンマー等建設作業用の機器により騒音障害、振動障害が多発している現状に鑑み、機器を使用する事業者が機器の購入に際し低騒音・低振動のものを選択しやすくするため、騒音・振動発生機器について製造者による騒音・振動レベルの表示の導入を図る。 さらに、機械の包括的な安全基準に基づく措置の一環として、騒音・振動発生機器の製造事業者等に対して騒音、振動等の有害要因に係るリスク低減措置の実施、情報の提供等の徹底を図る。 また、電離放射線障害の発生の防止を図るため、被ばくの低減化等電離放射線障害防止対策の徹底を図る。 加えて、熱中症について、適切な予防対策の徹底を図る。 |
化学物質による健康障害を予防するため、化学物質の健康影響や労働者のばく露に係る国内外の情報の収集、化学物質による職業性疾病の発生事例の分析、国際貢献の観点も踏まえた日本バイオアッセイ研究センター等における化学物質の効率的・効果的な有害性の調査及びばく露状況の調査の実施を促進し、計画的かつ科学的に化学物質のリスク評価を行い、その結果に基づき、未規制の有害な化学物質による労働者の健康障害の予防対策を迅速に推進する。 また、職場で取り扱われる化学物質が多様で、作業形態等が固定的でなく変化している状況等に対応するためには、労働安全衛生法第58条の指針等に基づく、化学物質管理計画の策定、リスクアセスメントの実施及びその結果に基づく安全サイドの必要な措置などの事業者による自律的な化学物質管理の促進が必要である。 これらの事業者の取組を支援するため、効果的な実施方法の検討を行うとともに、事業者に対して、広範な化学物質に係る有害性情報、ばく露情報、リスクアセスメント事例、化学物質による健康障害の事例の提供、MSDSの普及・充実のためのデータベースの整備、化学物質管理を担当する者への研修等を行う。 さらに、国際機関による行動計画等に基づき、化学物質の危険・有害性の分類、MSDSを含めた表示方法の統一、開発途上国への支援等が求められており、これらを踏まえた表示制度の検討、整備等を行う。 がん原性を有する物質等、特に有害性の高い化学物質等については、専門家による検討等を踏まえ、その予防対策を推進するとともに、有害性が低い化学物質等に代替することが本質的な安全化につながることから、有害性の高い化学物質等の代替化を促進する。 特に、石綿については、国民の安全等のため必要なものを除きその使用等の原則禁止を速やかに図るとともに、建築物の解体作業等における労働者のばく露の防止対策の徹底等を図る。 廃棄物焼却施設におけるダイオキシン類、いわゆる「シックハウス症候群」に関連した化学物質、PCB廃棄物の無害化処理作業や化学物質に汚染した土壌の処理作業等における有害化学物質のばく露防止対策、内分泌かく乱物質に係る調査研究、有機溶剤や一酸化炭素による中毒防止対策及び酸素欠乏症等防止対策の推進を図る。 新規化学物質による健康障害を予防するため、新規化学物質を製造・輸入する事業者による有害性調査及びその結果に基づく健康障害防止措置の効率的でかつ効果的な実施を図る。 作業環境管理については、個人ばく露量の測定の活用に係る検討を含め、作業の実態に合った測定方法を確立し、屋外作業場における有害な化学物質へのばく露の低減を図る。また、作業環境測定結果を活用した効率的かつ効果的な作業環境管理の手法の確立を図り、化学物質のばく露防止対策の実施を促進する。作業環境測定結果による管理区分を決定するための指標である管理濃度については、科学的知見を踏まえ、その見直しを図る。さらに、防毒マスクについては、その性能の確保を図るため買取試験を実施する。 |
労働者の心の健康確保については、「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」に基づき、事業者が事業場の状況を踏まえた適切な「心の健康づくり計画」を作成し、その計画に沿ったセルフケア、ラインによるケア等を内容とするメンタルヘルスケアの積極的な推進を図る。また、職場においてうつ病等への偏見をなくし、うつ病等の予防、早期把握とそれに続く適切な治療、職場復帰に結びつけられる職場体制の整備を図るとともに、事業場外資源との効果的な連携を推進する。さらに、心的外傷後ストレス障害(PTSD)への対応方策についても検討する。なお、メンタルヘルス対策の推進に当たっては、プライバシーの保護について特に配慮する。 自殺予防については、「職場の自殺予防マニュアル」の周知を図るとともに、相談体制の確保、産業保健と地域保健の関係機関が連携した自殺防止対策を推進する。また、有効な対策の策定に資するため、引き続き労働者の自殺に関する調査研究を行う。 |
過重労働による健康障害の予防を的確に進めるため、過重労働となるような長時間の時間外労働の削減や年次有給休暇の取得促進などにより長時間労働を排除するとともに、長時間労働が発生し、疲労が蓄積するおそれがある場合には、産業医や地域産業保健センターの登録医の活用等により、その助言指導に基づく改善や、労働者への面接による保健指導等の健康管理対策の徹底を図る。さらに、過重労働による業務上の疾病が発生した場合の再発防止措置の徹底を図る。 |
労働者の心身の健康を確保し、職業性疾病や作業関連疾患を予防するため、産業医、衛生管理者等産業保健スタッフの選任の徹底と専門性の向上を図るとともに、健康診断の実施とその結果に基づく事後措置、職場巡視の実施とその結果に基づく改善措置等の作業関連疾患等の防止対策の一層の推進を図る。 また、産業医その他の産業保健関係者を支援する産業保健推進センター、小規模事業場に対して産業保健サービスを提供する地域産業保健センター等の連携を強化する。 なお、労働者の健康確保対策を効果的に推進するためには、労働者との信頼関係の確立が前提にあることから、健康診断結果等の健康情報等についてプライバシー保護の強化を図る。 以上の内容に加え、次の項目を推進する。 ア 小規模事業場対策
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労働力人口の高齢化、女性の就業分野の拡大、就業形態の多様化等に対し、すべての労働者にとって働きやすい職場環境の実現を図るため、人間工学的な観点等を踏まえた職場快適化のための手法の開発・普及を図るとともに、事業場が作成する快適職場推進計画を評価する制度に加え、継続的かつ計画的な取組を評価する制度の導入を図る。また、快適職場づくりの一層の普及定着を図るため、快適職場推進計画認定事業場の公表等を行う。 さらに、WHOのたばこ枠組み条約の動向等を踏まえ、職場における効果的な分煙対策の知見の収集、分煙対策手法の開発・普及等を推進するとともに、受動喫煙の防止対策等を一層の実効性のある観点から見直し、その周知を図る。 |
労働災害のリスクを合理的かつ体系的に減少させ、また、安全衛生管理のノウハウの的確な継承を図るため、さらに、就業形態の多様化等により、事業場において指揮命令系統が異なる労働者の混在が高まる中で、的確な安全衛生管理を進める仕組みとして、労働安全衛生マネジメントシステムは有効である。したがって、業種、企業規模等に応じた労働安全衛生マネジメントシステムの導入を積極的に推進する。 労働安全衛生マネジメントシステムの普及定着を促進するため、事業者の意欲を高める観点から、「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」に基づくシステムが適切に導入され、かつ、安全衛生水準の段階的向上のためシステムが適切に運用されているかを、事業場からの求めに応じ外部から確認することのできる仕組みの導入を検討する。 また、事業場がリスクアセスメントを効果的に実施するためのマニュアルを業種別に策定し、その普及を図ること等により、中小規模事業場の自律的な安全衛生管理の促進を図る。 さらに、自律的な安全衛生管理が定着し、安全衛生水準が優良な事業場に対しては、事業者の安全衛生管理活動を促進させるためのインセンティブ措置の在り方等を検討しその導入を図る。 |
中小規模事業場における労働災害の減少を図るため、法令で義務づけられた労働災害防止措置の履行の徹底を図るとともに、自主的安全衛生活動の促進を図る。 そのため、労働災害防止団体による自主的安全衛生活動の促進とその活動の中小規模事業場への浸透を強化するとともに、安全衛生情報の提供及びアクセスの強化を図る。安全衛生情報の提供に当たっては、労働保険事務組合、中小企業団体等のチャンネルを積極的に活用し、併せて、中小規模事業場からの求めに応じメールマガジン等の手法により安全衛生情報を提供する方式の導入を図る。 また、国から支援策を受けている期間だけでなく、その後も継続して自主的安全衛生活動に取り組めるよう、中小規模事業場内における自律的な安全衛生管理の仕組みづくりの整備等を積極的に推進する。 |
事業者及び労働者は、労働災害防止の当事者であると同時に、職場の状況についても最も熟知している立場にあることを自覚し、安全衛生委員会の活動の活性化を図るものとする。また、労働者を含めすべての関係者に安全衛生委員会の活動状況に関する情報を提供し、意見を求める仕組みを導入し、関係者の関心の高揚と参加意識の醸成を図る。 一方、安全衛生委員会の設置が義務付けられていない小規模事業場においては、安全衛生委員会に代わるものとして関係労働者の意見聴取の機会を設けることとなっており、この場を活用し、労働者の意見を積極的に吸い上げ、労働安全衛生対策への反映を推進する。 さらに、安全と健康を先取りする職場風土づくりを促進するものとして効果的な手法である危険予知活動等の導入を促進し、自主的な安全衛生活動の促進を図るとともに、労働者の安全意識の高揚を図る。 |
労働安全衛生分野の各種の資格については、技術の進歩等に応じる必要があることから、資格者に求められる知識、技能等のレベルを民間を活用して評価する仕組みを検討する。就業制限業務、作業主任者等の現場実務資格、現場作業者に対する安全衛生教育については、緊急時の対応に関し、講習内容の充実等を図る。さらに、危険に対する感受性を高め、その回避能力を体得する危険再認識教育等を実施する。 安全衛生意識の高い労働者を育成するためには、就業前の教育が効果的であることから、学校段階における教育との連携に努め、安全衛生に関する教育を普及する。 さらに、労働災害の防止を推進するためには、労働者の家族を含め国民一般の理解が必要であることから、あらゆる機会を通じて労働災害防止の重要性を訴え協力を求める。 |
就業形態の多様化が急速に進みつつある中で、働き方に関わらずに同等の安全衛生条件を確保する観点から、施設設備等の管理権限を有する者による下請け労働者等も含めた施設設備等に関する労働災害を防止するための方策を検討する。 また、雇用の流動化が急速に進みつつある中で、雇用期間の長短に関わらずに同等の安全衛生条件を確保する観点から、雇入れ時教育を始めとする安全衛生教育の促進を図るとともに、継続的な健康管理が可能となる仕組みを検討する。 |
高年齢労働者の労働災害を防止するため、高年齢労働者の身体的特性に配慮した機械設備、作業環境及び作業方法の改善を推進する。また、人間工学的な観点等を踏まえた職場快適化のための手法の開発・普及を推進し、高年齢労働者も含めた全ての労働者にとって働きやすい職場環境の実現を図る。さらに、快適職場認定事業場の公表、職業安定機関等との連携等により、その普及を図る。 |
外国人労働者の労働災害を防止するため、コミュニケーション・ギャップを埋める上で有効な外国人労働者向けの分かり易い安全衛生教材の開発を進め、これらの教材を活用した雇入れ時の安全衛生教育等の徹底を図る。また、外国人労働者が日本の安全衛生情報を容易に入手できるようにするため、国際安全衛生センターによる外国語での情報提供を図る。さらに、外国人雇用事業場について労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント等による安全衛生診断を促進する。 |
安全衛生情報センターにおいては、既に、災害事例、法令通達等有用な安全衛生情報をインターネット上でアクセスできる体制をとっているが、引き続き、安全衛生情報センターから情報の提供を図る。 また、安全衛生情報センターにおいては、安全衛生意識の高揚に寄与するため、労働災害を疑似体験できるバーチャル・リアリティ(VR)シアター及び3次元(3D)シアター等による情報提供を推進する。さらに、併設された産業安全技術館では各種の機械設備、保護具等を展示しており、これら体験型の3施設の機能を連携強化することにより、安全衛生情報センターを労働安全衛生分野における情報発信の拠点として位置付け、広く国民全般の安全に貢献する。 |
労働安全衛生関係法令や施策を検討する際の基礎情報を得るために、科学的かつ実証的観点からリスクの評価、専門技術的な立場から労働災害の原因究明等を実施する調査研究機関の行政との連携を検討する。 また、労働災害の原因調査については、人的要因及び物的要因にとどまらずに、その背景にある管理的要因にも踏み込んだ本質的な原因の究明を図るための災害分析手法の開発を行い、有効な再発防止対策に結び付ける仕組みを検討する。 労働安全衛生分野の調査研究については、労働災害の発生原因、防止対策等の自然科学的観点からのアプローチが中心であったが、今後は同分野での研究に加えて、労働災害防止対策の普及のための条件、費用対効果分析、社会システムの在り方等の社会科学的視野も踏まえて、より一層効果的、効率的な労働災害防止対策に取り組むこととする。 さらに、労働安全衛生対策が産業現場全体のニーズ、科学的なリスク評価等を基礎として策定される必要があることから、調査研究機関、行政機関、産業界等の間で、調査研究課題の選定、調査研究成果の活用等に当たって緊密な連携を図る。 |
労働災害防止団体等の安全衛生関係団体が、事業者等のニーズを踏まえた有効な支援サービスの開発を進め、その普及定着に積極的に取り組むことを促進する。 特に、業種別労働災害防止団体において、業種特有の有効なリスク低減対策に関する継続的な調査研究の実施を促進し、その成果を各分野における労働災害防止対策に活用するとともに、安全衛生管理活動を引き続き効果的に進めるために、安全衛生に関する専門スタッフのノウハウを継承し活用する方策を検討する。 また、労使による労働災害防止活動を推進するという観点から、労災防止指導員の効果的な活用を行うことにより、中小規模事業場等における安全衛生管理の向上を図る。 |
中小企業においては労働安全衛生のすべての分野について専門的な知識・ノウハウを有したスタッフや機材を抱えておくことが困難であり、大企業においても専門的なサービスについてアウトソーシング化のニーズが高まりつつある状況を踏まえ、企業からの依頼に応じて専門的な労働安全衛生サービスを提供する質の高い外部専門機関の活用及びその活用による安全衛生管理の在り方の検討を行う。 |
ILO条約を始め安全衛生に関連する国際的な条約、規格等については、国内制度への取り入れを図るとともに、その策定段階から積極的に参画し、我が国から提案を積極的に行う等国際貢献の一層の推進を図る。 また、海外進出企業で働く日本人労働者の安全衛生を確保するため、海外進出企業に対する安全衛生セミナーの開催、国際安全衛生センターを通じた安全衛生情報の提供を推進するとともに、海外巡回健康相談の実施等を推進する。 さらに、開発途上国に対する安全衛生分野の技術協力については、積極的に推進する。 |
労働者の安全と健康の確保に関する施策の評価についても既に一部実施しているところであるが、労働市場の変化、科学技術の進展等に基づく今後の見通しを踏まえ、業種別等の労働災害防止対策、中小規模事業場対策、自律的な安全衛生管理体制の確立等の安全衛生の施策に係る適切な評価の方法を検討し、的確な評価を実施することにより、施策の効率的かつ効果的な実施を図る。 |