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閣議付議案件
平成15年1月31日(金)
職業安定局雇用保険課
電話 03-5253-1111(内線5669)

「雇用保険法等の一部を改正する法律案」について


 厚生労働省においては、「雇用保険法等の一部を改正する法律案」を作成し、本日、同法案の国会提出について閣議に付議し、閣議決定がなされた。  なお、「雇用保険法等の一部を改正する法律案」の概要は別紙のとおりである。


雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要

 厳しい雇用失業情勢が長期化する中で、経済社会の構造的変化に的確に対応し、雇用保険制度の安定的運営を確保するため、給付について(1)早期再就職の促進、(2)多様な働き方への対応、(3)再就職の困難な状況に対応した重点化を図るとともに、保険料率について労使負担の急増の緩和に配慮した上で、制度の安定的運営のために必要最小限の引上げを行うこと等を内容とする雇用保険法等の改正を行う。

1 概要
 (1) 給付の見直し(雇用保険法の改正)
(1) 早期再就職の促進
 基本手当日額と再就職時賃金の逆転現象の解消
 基本手当日額が再就職時賃金を上回る者の多い高賃金層について、給付率、上限額を見直す。
(給付率:60%〜80% → 50%〜80%(60歳以上65歳未満は 50%〜80% → 45%〜80%)  上限額:10,608円 → 8,040円)
 多様な早期就業促進のための給付の創設
 就業促進手当(仮称)を創設し、支給残日数を3分の1以上残して常用以外の早期就業をした者に対し基本手当日額の30%を賃金に上乗せして支給する。
(2) 多様な働き方への対応
 通常労働者とパートタイム労働者との給付内容を一本化し、倒産・解雇等による離職者は通常労働者の所定給付日数に、それ以外の理由による離職者は原則としてパートタイム労働者の所定給付日数に、それぞれ合わせる。
(3) 再就職の困難な状況に対応した給付の重点化
 壮年層の基本手当の給付日数の改善
 35歳以上45歳未満で雇用保険の加入期間が10年以上の倒産・解雇等による離職者について所定給付日数を30日間延長する。
 在職者への給付の失業者への給付との均衡を考慮した見直し
(イ) 教育訓練給付
 給付率及び上限額を引き下げる。
(給付率:8割 → 4割、上限額(省令):30万円 → 20万円)
 加入期間要件を緩和する。
(5年 → 3年(3年以上5年未満の場合は給付率2割、上限額(省令)10万円)
(ロ) 高年齢雇用継続給付
 支給要件及び給付率を見直す。
(支給要件:15%超の賃金低下 → 25%超の賃金低下、給付率:25% → 15%)
 (2) 保険料率の改定及び前2年間の据置き(労働保険の保険料の徴収等に関する法律の改正)
 雇用保険の失業等給付に係る保険料率を1.6%とし、平成16年度末までの間は附則において1.4%とする。また、16年度末までの間も弾力条項の発動ができることとする。
 (3) 雇用安定資金の使用に関する特例(労働保険特別会計法の改正)
 失業等給付費を支弁するため必要があるときは、政令で定める日(平成19年度末)までの間は雇用安定資金を雇用勘定に受け入れて使用することができることとする。
 (4) 船員保険法の改正
 (1) に準じて所要の改正を行う。

2 施行期日
  平成15年5月1日


  雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱
第一 雇用保険法の一部改正
 一 求職者給付受給者の責務
 求職者給付の支給を受ける者は、必要に応じ職業能力の開発及び向上を図りつつ、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように努めなければならないものとすること。(雇用保険法第十条の二関係)
 二 返還命令等の金額の引上げ等
(一) 偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた場合に納付を命ずることのできる金額を当該失業等給付の額の二倍に相当する額以下の金額とするものとすること。(雇用保険法第十条の四第一項関係)
(二) 偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者と連帯して不正受給額の返還及び納付額の納付を命ぜられる対象として、職業紹介事業者等を加えるものとすること。(雇用保険法第十条の四第二項関係)
 三 一般被保険者の求職者給付の改正
(一) 失業認定の方法
 失業の認定は、受給資格者が求人者に面接したこと、公共職業安定所、職業紹介事業者等から職業を紹介され、又は職業指導を受けたことその他求職活動を行ったことを確認して行うものとすること。(雇用保険法第十五条第五項関係)
(二) 基本手当の日額の算定方法の変更
 基本手当の日額を、受給資格者の年齢及び賃金日額の区分に応じて、次の表に定めるとおりとするものとすること。(雇用保険法第十六条関係)
年齢 賃金日額 基本手当の日額
六十歳未満 二千百四十円以上
四千二百十円未満
賃金日額に百分の八十を乗じて得た額
四千二百十円以上
一万二千二百二十円以下
賃金日額に百分の八十から百分の五十までの範囲で賃金日額の逓増に応じ、逓減するように厚生労働省令で定める率を乗じて得た額
一万二千二百二十円超 賃金日額に百分の五十を乗じて得た額
六十歳以上
六十五歳未満
二千百四十円以上
四千二百十円未満
賃金日額に百分の八十を乗じて得た額
四千二百十円以上
一万九百五十円以下
賃金日額に百分の八十から百分の四十五までの範囲で賃金日額の逓増に応じ、逓減するように厚生労働省令で定める率を乗じて得た額
一万九百五十円超 賃金日額に百分の四十五を乗じて得た額
(三) 賃金日額の上限額等の変更
 賃金日額の上限額を受給資格者の年齢に応じ、次の表に掲げる額とし、下限額を二千百四十円とするものとすること。(雇用保険法第十七条第四項関係)
年齢 賃金日額の上限額
六十歳以上六十五歳未満 一万五千五百八十円
四十五歳以上六十歳未満 一万六千八十円
三十歳以上四十五歳未満 一万四千六百二十円
三十歳未満 一万三千百六十円
(四) 所定給付日数の変更
 所定給付日数を、被保険者であった期間に応じて、次の表に定めるとおりとするものとすること。(雇用保険法第二十二条第一項関係)
被保険者であった期間 二十年以上 十年以上
 二十年未満
十年未満
  百五十日 百二十日 九十日
 イにかかわらず、就職困難者に係る所定給付日数は、受給資格者の年齢及び被保険者であった期間に応じて、次の表に定めるとおりとするものとすること。(雇用保険法第二十二条第二項関係)
被保険者であった
期間
年齢
一年以上 一年未満
四十五歳以上六十五歳未満 三百六十日 百五十日
四十五歳未満 三百日 百五十日
 イにかかわらず、特定受給資格者に係る所定給付日数は、特定受給資格者の年齢及び被保険者であった期間に応じて、次の表に定めるとおりとするものとすること。(雇用保険法第二十三条第一項関係)
被保険者であった
期間
年齢
二十年以上 十年以上
二十年未満
五年以上
十年未満
一年以上
五年未満
一年未満
六十歳以上六十五歳未満 二百四十日 二百十日 百八十日 百五十日 九十日
四十五歳以上六十歳未満 三百三十日 二百七十日 二百四十日 百八十日 九十日
三十五歳以上四十五歳未満 二百七十日 二百四十日 百八十日 九十日 九十日
三十歳以上三十五歳未満 二百四十日 二百十日 百八十日 九十日 九十日
三十歳未満 百八十日 百八十日 百二十日 九十日 九十日
(五) 訓練延長給付に関する暫定措置
 三十五歳以上六十歳未満である受給資格者のうち、公共職業安定所長が指示した公共職業訓練等を受け終わってもなお職業に就くことができず、かつ、再就職を容易にするために公共職業訓練等を再度受けようとするものであると認められるものに対しては、政令で定める日までの間、当該公共職業訓練等を受け終わった後の失業している日について、所定給付日数を超えて基本手当を支給することができるものとすること。(雇用保険法附則第四条関係)
 四 高年齢継続被保険者の求職者給付の改正
 高年齢求職者給付金の額を、被保険者であった期間に応じて、次の表に定める日数分の基本手当の額に相当する額とするものとすること。(雇用保険法第三十七条の四関係)
被保険者であった期間 一年以上 一年未満
  五十日 三十日
 五 就職促進給付の改正
(一) 就業促進手当の創設
 職業に就いた受給資格者(ロに該当する者を除く。)であって当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の三分の一以上かつ四十五日以上であるもののうち、厚生労働省令で定める要件に該当するものに対して、現に職業に就いている日(受給期間内に基本手当の支給を受けることができることとなる日があるときに限る。)について、基本手当の日額(その金額が一万二千二百二十円に百分の五十を乗じて得た金額(受給資格に係る離職の日において六十歳以上六十五歳未満である受給資格者にあつては、一万九百五十円に百分の四十五を乗じて得た金額)を超えるときは、当該金額とする。以下「基本手当日額」という。)に十分の三を乗じて得た額を支給するものとすること。
 この場合において、当該就業促進手当を支給した日数に相当する日数分の基本手当を支給したものとみなすものとすること。(雇用保険法第五十六条の二関係)
 安定した職業に就いた受給資格者であって当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の三分の一以上かつ四十五日以上であるもののうち、厚生労働省令で定める要件に該当するものに対して、基本手当日額に、支給残日数に相当する日数に十分の三を乗じて得た数を乗じて得た額を支給するものとすること。
 この場合において、当該就業促進手当の額を基本手当日額で除して得た日数に相当する日数分の基本手当を支給したものとみなすものとすること。(雇用保険法第五十六条の二関係)
 安定した職業に就いた受給資格者(当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の三分の一未満又は四十五日未満である者に限る。)、特例受給資格者又は日雇受給資格者であって、身体障害者その他の就職が困難なものとして厚生労働省令で定めるもののうち、厚生労働省令で定める要件に該当するものに対して、基本手当日額(特例受給資格者については基本手当の受給資格者とみなした場合に支給されることとなる基本手当日額とし、日雇受給資格者については日雇労働求職者給付金の日額とする。)に三十を乗じて得た額を限度として厚生労働省令で定める額を支給するものとすること。(雇用保険法第五十六条の二関係)
(二) 就業促進手当の支給を受けた場合の特例
 (一)のロに係る就業促進手当の支給を受けた者であって、当該就業促進手当の支給を受けた後の最初の離職(新たに受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得した場合における離職を除く。以下「再離職」という。)の日が受給期間内にあり、かつ、再離職が倒産等に伴うものである者として厚生労働省令で定めるもの又は解雇その他の厚生労働省令で定める理由により再離職したものについて、受給期間を延長することとし、延長する期間は、次のイの期間からロの期間を差し引いた期間とするものとすること。(雇用保険法第五十七条関係)
 離職日の翌日から再離職の日までの期間に、二十日以下の範囲内で厚生労働省令で定める日数及び職業に就いた日の前日における支給残日数から就業促進手当の支給により基本手当を支給したものとみなされた日数を差し引いた日数を加えた期間
 延長前の受給期間
(三) 就業促進手当に相当する給付との調整
 (一)のイ又はロの要件に該当する受給資格者が、就業促進手当に相当する給付の支給を受けることができる場合について、就業促進手当等と所要の調整を行うものとすること。(雇用保険法附則第七条関係)
 六 教育訓練給付の改正
 教育訓練給付金について、その支給の対象となる一般被保険者(高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の被保険者をいう。以下同じ。)又は一般被保険者であった者を、教育訓練を開始した日までの間に同一の事業主の適用事業に引き続いて被保険者(高年齢継続被保険者を除く。)として雇用された期間が三年以上である者とし、支給額を、当該教育訓練の受講のために支払った費用の額に百分の二十以上百分の四十以下の範囲内において厚生労働省令で定める率を乗じて得た額(厚生労働省令で定める額を上限とする。)とするものとすること。(雇用保険法第六十条の二関係)
 七 雇用継続給付の改正
(一) 高年齢雇用継続基本給付金の改正
 高年齢雇用継続基本給付金は、支給対象月において一般被保険者に支払われた賃金の額が、当該一般被保険者を受給資格者と、当該一般被保険者が六十歳に達した日を受給資格に係る離職の日とみなした場合に算定されることとなる賃金日額に相当する額(以下「みなし賃金日額」という。)に三十を乗じて得た額の百分の七十五に相当する額を下った場合に支給するものとし、高年齢雇用継続基本給付金の額は、各支給対象月に支払われた賃金の額に百分の十五(当該賃金の額がみなし賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の六十一に相当する額以上であるときは、みなし賃金日額に三十を乗じて得た額に対する当該賃金の額の割合が逓増する程度に応じ、百分の十五から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率)を乗じて得た額とするものとすること。(雇用保険法第六十一条関係)
(二) 高年齢再就職給付金の改正
 高年齢再就職給付金は、支給対象月において支払われた賃金の額が、受給資格を取得したときに算定した賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の七十五に相当する額を下った場合に支給するものとし、高年齢再就職給付金の額は、(一)と同様の方法により算定して得た額とするものとすること。(雇用保険法第六十一条の二関係)
(三) 高年齢再就職給付金と就業促進手当との調整
 高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職につき五の(一)のロに係る就業促進手当の支給を受けることができる場合において、その者が、当該就業促進手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金を支給せず、高年齢再就職給付金の支給を受けたときは当該就業促進手当を支給しないものとすること。(雇用保険法第六十一条の二第四項関係)
 八 報告徴収の対象の追加
 報告徴収の対象に、受給資格者等を雇用しようとする事業主及び職業紹介事業者等を加えるものとすること。(雇用保険法第七十六条第二項関係)
 九 その他
 その他所要の規定の整備を行うものとすること。
第二 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正
 一 雇用保険率の改正
 雇用保険率を千分の十九・五(うち失業等給付に係る率千分の十六)(農林水産業及び清酒製造業については千分の二十一・五(同千分の十八)、建設業については千分の二十二・五(同千分の十八))とするものとすること。(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第四項関係)
 ただし、平成十七年三月三十一日までの間については、雇用保険率を千分の十七・五(うち失業等給付に係る率千分の十四)(農林水産業及び清酒製造業については千分の十九・五(同千分の十六)、建設業については千分の二十・五(同千分の十六))とするものとすること。(労働保険の保険料の徴収等に関する法律附則第九条関係)
 二 雇用保険率の弾力的変更の範囲の改正
 労働保険特別会計の雇用勘定の積立金の状況による雇用保険率の変更は、千分の十七・五から千分の二十一・五まで(農林水産業及び清酒製造業については千分の十九・五から千分の二十三・五まで、建設業については千分の二十・五から千分の二十四・五まで)の範囲で行うものとすること。(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第五項関係)
 ただし、平成十七年三月三十一日までの間については、雇用保険率の変更は、千分の十五・五から千分の十九・五まで(農林水産業及び清酒製造業については千分の十七・五から千分の二十一・五まで、建設業については千分の十八・五から千分の二十二・五まで)とするものとすること。(労働保険の保険料の徴収等に関する法律附則第九条関係)
 三 その他
 その他所要の規定の整備を行うものとすること。
第三 船員保険法の一部改正
 求職者給付受給者の責務、求職者給付の改正、就業促進手当の創設、教育訓練給付の改正、雇用継続給付の改正、報告徴収の対象の追加等について、雇用保険法と同様の改正を行うものとすること。(船員保険法第九条第二項、第三十三条ノ二ノ二、第三十三条ノ十二第一項、第三十三ノ十五ノ二、第三十三条ノ十六ノ四、第三十四条等関係)
第四 その他
 一 施行期日
 この法律は、平成十五年五月一日から施行するものとすること。(附則第一条関係)
 二 経過措置
 この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるものとすること。(附則第二条から第二十二条まで関係)
 三 労働保険特別会計法その他関係法律の一部改正等
(一) 労働保険特別会計法の一部改正
 失業等給付費を支弁するために必要があるときは、政令で定める日までの間、雇用安定資金を雇用勘定に受け入れて使用することができるものとすること。(附則第三十四条関係)
(二) 関係法律の整備
 その他関係法律について所要の規定の整備を行うものとすること。(附則第二十三条から第三十三条まで及び附則第三十五条から第四十二条まで関係)


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