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厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業)
分担研究報告書

ダイオキシンの汚染実態把握及び摂取低減化に関する研究
(1-2)ダイオキシン類の迅速測定法の開発及び分析の精密化に関する研究

分担研究者 豊田正武 国立医薬品食品衛生研究所

研究要旨
 近年開発されたCALUX(Chemically Activated Luciferase Expression)アッセイ(ルシフェラーゼ遺伝子を導入した培養細胞を利用したレポータージーンアッセイ)を利用し、市販魚中のダイオキシン類測定を試みた。
 その結果、本法は市販魚中のダイオキシン類を高感度に測定することが可能であった。従来法であるHRGC/HRMS分析との比較試験の結果、良好な相関が得られ、毒性等量を推測するスクリーニング法として適した性質を有していた。また、CALUXアッセイは従来法と比較すると、コストが安く(数分の1程度)、また迅速(5日以内)に結果が得られ、さらに多数検体にも応用可能なことから、食品中のダイオキシン類のスクリーニング法として期待できる。今後は、従来法との比較検体の追加、AhR結合能を有する物質に対する応答性を含めた、より詳細なバリデーションデータが必要とされる。

研究協力者
国立医薬品食品衛生研究所・食品部
 堤 智昭、天倉吉章
株式会社 日吉
 村田弘司、中村昌文

A.研究目的
 ダイオキシン類の摂取は、そのほとんどが食事経由である。わが国では、特に魚介類を介したダイオキシン類の摂取が多いため1)、魚介類のダイオキシン類の毒性等量(TEQ)濃度を迅速に測定できる方法の開発があれば、食品衛生上有意義である。
 近年開発されたCALUX(Chemically Activated Luciferase Expression)アッセイは、ルシフェラーゼ遺伝子を導入した培養細胞を利用し、ダイオキシン類と芳香族炭化水素レセプター(AhR)との結合を、ルシフェラーゼ活性により検出するレポータージーンアッセイである。本法はダイオキシン類を、AhRを介した毒性発現機構に基づいて検出するため、TEQ濃度を簡便に推定できる測定法として期待されている。
 そこで本研究では、CALUXアッセイによる、市販魚中のダイオキシン類測定を試みた。

B.研究方法
1.試薬、試液および器具

 CALUXアッセイの前処理で使用するアセトン、ジクロロメタン、ヘキサン、メタノールは高速液体クロマトグラフ用(和光純薬工業(株)又はキシダ化学)、トルエンはダイオキシン類分析用(和光純薬工業(株))、酢酸エチルは残留農薬・PCB試験用(和光純薬工業(株))を用いた。セライトはナカライテスク(株)製、活性炭はXenobiotic Detections Systems社製、無水硫酸ナトリウムは関東化学(株)製の特級試薬を使用した。33%硫酸シリカゲルおよび45%硫酸シリカゲルは、カラムクロマトグラフィー用シリカゲル(関東化学(株))に超微量分析用硫酸(和光純薬(株))を、33%および45%(w/w)になるように添加後、十分混合し調製した。また、抽出液ろ過用カラム、硫酸シリカゲルカラムおよび活性炭カラムの作製は、以下の手順で行った。
 抽出液ろ過用カラム:ガラス製カラム(内径13 mm&長さ320 mm)に、セライト(0.9 g)、無水硫酸ナトリウム(7.3 g)を順次、乾式充填し、ヘキサン(30 ml)で洗浄後、使用した。
 硫酸シリカゲルカラム:ガラス製カラム(内径7 mm&長さ300 mm)に無水硫酸ナトリウム(3.4 g)、45%硫酸シリカゲル(20.1 g)、33%硫酸シリカゲル(0.7 g)、および無水硫酸ナトリウム(3.4 g)を順次、乾式充填し、ヘキサン(50 ml)で洗浄後、使用した。
 活性炭カラム:ガラス製カラム(内径6 mm&長さ300 mm)に無水硫酸ナトリウム(0.5 g)、活性炭(0.3 g)および無水硫酸ナトリウム(1.0 g)を順次、乾式充填する。アセトン(5 ml)、トルエン(20 ml)およびヘキサン(10 ml)により洗浄後、使用した。 CALUXアッセイで使用する、ジメチルスルホキシド(DMSO)は和光純薬工業(株)製の生化学用試薬、1%ストレプトマイシン/ペニシリン、RPMI1640(with L-Glutamine)はナカライテスク(株)製、牛胎児血清(FBS)はインビトロジェン(株)製、2,3,7,8-TCDD標準品はAccustandard社製、96wellマイクロプレートはファルコン社製、ルシフェラーゼアッセイシステムはプロメガ社製を使用した。
 高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計(HRGC/HRMS)による分析で使用した溶媒は、全てダイオキシン類分析用(関東化学(株))を使用した。シリカゲルはPCB分析用(和光純薬工業(株))、10%硝酸シリカゲルはダイオキシン分析用(和光純薬工業(株))、アルミナはダイオキシン分析用(ICN社)、活性炭は活性炭分散シリカゲル(関東化学(株))を使用し、各カラムは食品のダイオキシン分析暫定ガイドライン2)に従い作製した。ダイオキシン類標準品はWellington社製を使用した。

2.試料
 鯉試料(CARP-1)はNational Research Council Canadaより購入し、ダイオキシン類の抽出効率を検討する試料として使用した。その他の魚試料は、東京都内のスーパーマーケットで購入したものを、ホモジナイザーで均一化し、使用した。

3.装置
 ホモジナイザーは(株)日本精機製作所製マルチブレンダーミルを用いた。また、ルミノメーターはanthos社製Lucy1を、HRGC/HRMSは日本電子製(JMS-700)を使用した。

4.CALUXアッセイによる魚試料中のダイオキシン類測定
4-1)前処理
 均一化した試料(10 g)を採取し、アセトン(15 ml)を加え、振とう(2分)した。その後、ジクロロメタン/ヘキサン(1:2)(10 ml)を加え、振とう抽出(2分×3回)を行った。抽出液を抽出液ろ過用カラムに添加し、ジクロロメタン/ヘキサン(1:2)(10 ml)で溶出させた後、溶出液を濃縮した。溶出物の重量(脂肪重量)測定後、ヘキサン(20 ml)に懸濁し、硫酸シリカゲルカラムに添加後、ヘキサン(25 ml)で溶出した。溶出液は濃縮後、さらに活性炭カラムに添加し、ヘキサン(10 ml)で洗浄後、トルエン/酢酸エチル/ヘキサン(1:1:8)(15 ml)でCo-PCBs画分を溶出、さらにトルエン(20 ml)でPCDD/Fs画分を溶出した。各画分は濃縮後、ヘキサン(4 ml)に置換した。また、分画を行わない場合は、活性炭カラムに試料を添加し、ヘキサン(10 ml)で洗浄後、トルエン(20 ml)によりPCDD/FsおよびCo-PCBsの溶出を行い、同様にヘキサンに置換した。
4-2)CALUXアッセイ
 H1L6.1細胞を1.5×105個/wellで96wellマイクロプレートにまき、CO2インキュベーター内(37℃)で一晩、前培養した。被検溶液は、前処理済みのヘキサン溶液を試験管に一部(最大量1 ml)分取し、DMSO(4 μl)に置換後、細胞培養培地(8% FBS, 1% ペニシリン, 1% ストレプトマイシン in RPMI1640)(400 μl)を加え調製した。標準溶液(2,3,7,8-TCDD)についても同様の操作を行い、被検溶液を調製した(2,3,7,8-TCDD濃度、0.5〜125 pg/ml)。被検溶液は2 well(190 μl/well)に分け、CO2インキュベーター内(37℃)で20〜24時間、細胞に暴露した。なお、実試料については、1検体につき上述した被検溶液の作製操作を2回行い、合計4wellで細胞に暴露した。暴露後、培地を取り除き、ルシフェラーゼアッセイシステムにより、誘導されたルシフェラーゼ活性(相対発光強度;RLU)を、ルミノメーターにより測定した。試料中のダイオキシン類量は、得られたRLUからバックグラウンド(溶媒対照のRLU)を差し引いた後、標準曲線のRLUと比較し、2,3,7,8-TCDD毒性換算量(CALUX-based TEQ)として表した。また、被検溶液で得られたRLUが、標準曲線の定量域を超える場合は、試料をヘキサンで希釈し再測定した。標準曲線はHillの式により近似を行い、Excel(マイクロソフト)により、測定値を算出した。
 なお図1に、CALUXアッセイによるダイオキシン類測定法の概略を示した。

5.HRGC/HRMSによる魚試料中のダイオキシン類測定
5-1)前処理
 均一化した試料(100 g)を採取し、クリーンアップスパイク(WHOが定めた毒性等価係数(TEF)を有する13C12ラベル化17種PCDD/Fs(40〜80 pg)、4種ノンオルトPCBs(100 pg)および8種モノオルトPCBs(2.5 ng))を添加後、2 mol/L水酸化ナトリウム水溶液(200 ml)を加え、室温で一晩放置しアルカリ処理を行った。ヘキサン(100 ml×3回)により振とう抽出し、抽出液をガイドライン2)に従い、硫酸処理、硝酸銀シリカゲルカラム操作後、アルミナカラムによりPCDD/Fs+ノンオルトPCBs画分とモノオルトPCBs画分に分画した。モノオルトPCBs分画は窒素気流下で濃縮後、シリンジスパイク(13C12ラベル化3,3’,4,5’-TCB(2.5 ng))を加え、最終検液とした。PCDD/Fs+ノンオルトPCBs画分については、ガイドライン2)に従い、さらに活性炭シリカゲルカラムにより精製を行った。溶出液は窒素気流下で濃縮した後、シリンジスパイク(13C12ラベル化1,2,3,4-TCDD( 40pg)および3,3’,4,5’-TCB(100 pg))を加え、最終検液とした。
5-2)HRGC/HRMS分析
 PCDD/Fsの測定にはJ&W Scientific社製のキャピラリ−カラムDB-5MS(内径0.32 mm、長さ60 m、膜厚0.25 μm)およびDB-17カラム(内径0.25 mm、長さ60 m、膜厚0.25 μm)を使用し、WHOが定めたTEFを有する17異性体PCDD/Fsの定量を行った。17異性体のうち、2,3,7,8-TCDD、1,2,3,7,8-PeCDD、1,2,3,7,8-PeCDF、1,2,3,4,7,8-HxCDFおよび1,2,3,6,7,8-HxCDFの定量はDB-5MSカラムで行い、その他の異性体の定量はDB-17カラムで行った。Co-PCBs分析にはSGE社製のキャピラリ−カラムHT-8(内径0.22 mm、長さ50 m、膜厚0.25 μm)カラムを使用し、TEFを有する12異性体(ノンオルト体およびモノオルト体)の定量を行った。GC部に、最終検液(1〜2μl)をスプリットレス注入(注入口温度250〜260℃)した後、DB-5MSカラムの昇温条件は、130℃(2分)→30℃/分→200℃→5℃/分→220℃(16分)→6℃/分→300℃(8分)、DB-17カラムの昇温条件は130℃(2分)→30℃/分→200℃→3℃/分→280℃(30分)、HT-8カラムの昇温条件は130℃(1分)→15℃/分→220℃(5分)→2℃/分→300℃(1分)で測定を行った。HRMSの各種条件は、イオン化エネルギー36 eV、イオン化電流600 μA、イオン源温度280℃とし、SIMモニターイオンの設定およびダイオキシン類の定量法はガイドライン2)に従った。

C.研究結果
1.振とう抽出法のダイオキシン類抽出効率

 CALUXアッセイの前処理である振とう抽出法の、ダイオキシン類抽出効率を検討した。表1には、鯉試料を本抽出法により抽出した場合の、ダイオキシン類測定結果(HRGC/HRMS分析)を示した。また、対照試験として、同一試料を従来法であるアルカリ分解・溶媒抽出した場合の、分析結果についても示した。本抽出法により得られた各異性体の実測濃度は、対照試験の測定結果と比べ若干低い値を示したものの、ほとんどの異性体で7割以上の濃度を示し、大差は無かった。本抽出法は従来法と比べ所要時間が10分の1程度(約1時間)で済むため、迅速法の抽出法として適当と判断した。

2.CALUXアッセイの検出感度および定量範囲の設定
 図2には、異なった日に複数回作製した平均の2,3,7,8-TCDD標準曲線を示した。標準偏差は小さく、再現性良く標準曲線が作製可能であった。また、バックグラウンド(溶媒対照)のRLUと比較し、有意差(バックグラウンドにおける標準偏差の3倍以上)が認められた0.98 pg 2,3,7,8-TCDD/ml (0.19 pg 2,3,7,8-TCDD /assay)を、標準曲線における検出下限とした。
 次に定量範囲を設定するため、標準溶液の繰り返し測定を行い、測定精度・正確度に関する検討を行った(表2)。標準溶液を異なる日に複数回測定した結果、0.98〜15.6 pg/mlの間では、変動係数が20%以内(3.9〜17.5%)、測定値も真値から±20%以内(-15.1〜11.3%)におさまり、良好な精度および正確度を示した。定量域の上限については、実試料に存在する異性体の種類により、PCDD/Fs測定では標準曲線の最大RLUの約75%を超えた場合、Co-PCBs測定では最大RLUの約50%を超えた場合に、定量値の信頼性が低くなる可能性が報告されている3)。そこで、PCDD/Fs分画の定量範囲は0.98-15.6 pg/ml、Co-PCBs分画の定量範囲を0.98-9.0 pg/mlに設定した。魚試料10 gを使用した場合、試料中の定量下限値は各分画とも0.16 pg 2,3,7,8-TCDD/gに相当した。

3.魚試料に対する添加回収試験
 CALUXアッセイが魚試料中のダイオキシン類を測定可能か検討するため、魚試料に対して添加回収試験を行った(表3)。既知量のダイオキシン類を添加した魚試料(マグロ、スズキおよびブリ)を前処理後、CALUXアッセイにより分析した結果、良好な回収率(77〜117%)が各分画で得られた。また、変動係数についても30%以内に収まり、許容範囲内の値であった。このように、魚試料のマトリックス存在下でも、前処理法との組み合わせで、ダイオキシン類を正確に測定することが可能であった。なお、ダイオキシン類添加量が多い試料の被検溶液は、定量範囲内に十分に収まるように適宜希釈して測定した。

4.魚試料の希釈定量試験
 さらに実試料への本法の適応性を検討するため、実際にダイオキシン汚染が認められる試料(サケおよびブリ)を使用し、希釈定量試験を行った。各試料の前処理済み溶液を、各段階(2倍系列)にヘキサン希釈し、定量範囲内における希釈測定時の試料中の濃度を算出した。その結果、PCDD/Fs測定では最大で約2倍、Co-PCBs測定では最大で約3倍、得られる測定値が希釈により上昇する傾向が認められた(図3)。スクリーニング法としては高めの測定値が得られるほうが、安全な方法と考えられる。そこで、実試料を測定する際は、両分画において最大の測定値が得られると考えられる、4倍程度に希釈した状態で被検溶液の測定を行い、定量下限以下の値を得た場合は低希釈条件で測定することとした。

5.CALUXアッセイの測定再現性
 CALUXアッセイの測定値の再現性について検討するため、被検溶液(魚試料の精製済み溶液)および、前処理操作を含めた魚試料の繰り返し測定を行った(表4)。被検溶液の繰り返し測定では、同一プレート内で得られた測定値の変動係数は、PCDD/Fs測定で5.6%およびCo-PCBs測定で11.7%と良好な値であった(表4-1)。しかし、異なった日に測定した場合は、変動係数は大きくなり、PCDD/Fs測定で19.0%およびCo-PCBs測定で25.4%となった(表4-1)。また、前処理まで含めた一連の操作を行い、異なった日に測定した場合は、さらに変動係数は大きくなり、PCDD/Fs測定で25.0〜34.6%およびCo-PCBs測定で29.8〜36.4%となった(表4-2)。繰り返し測定試験の結果、最大約40%の変動が見られることから、実試料については、前処理操作を含めた測定を2回行い、その平均値を最終的な測定値とすることにした。

6.CALUXアッセイとHRGC/HRMSの比較試験
 CALUXアッセイと、従来法であるHRGC/HRMS分析の測定値の相関を検討するため、市販魚試料(22検体)について比較試験を行った(表5)。CALUXアッセイは従来法と比較し、PCDD/Fs測定で約3倍のTEQ値、Co-PCBs測定で約1/3のTEQ値が得られる場合が多かった。また、CALUXアッセイのTEQ値は、PCDD/FsとCo-PCBsに分画せずに測定した場合も、分画して測定した場合の加算値と、ほぼ同じ値であり、分画を行わない測定も可能であることが示唆された。両測定法の相関係数はPCDD/Fsで0.87、Co-PCBsで0.75、それらの加算値では0.77、およびCALUXアッセイで分画せずに測定した場合は0.81となり、いずれの場合も良好な値であった(図4)。
 さらに、CALUXアッセイと従来法で得られた測定値の違いについて検討した。本法では、各異性体の細胞応答性(CALUX-TEF)(付表1)に基づいた総毒性量が得られるが、従来法ではWHO-TEFを使用し毒性等量が算出される。CALUX-TEFはWHO-TEFと同一でないため、両者の測定値が異なる原因に、CALUX-TEFとWHO-TEFの違いが影響しているか検討を行った。そこで、従来法で得られた各異性体の実測濃度(付表2)に、CALUX-TEFをWHO-TEFの代わりに掛け合わせ、本法で得られると予測される測定値を算出した(表6)。CALUX-TEFは、実試料の定量に使用した範囲に近い標準曲線の20%の応答性(EC20)における値を使用し予測値を算出した。なお、一部のCo-PCBs異性体に対しては、CALUXアッセイにおける反応性が弱いため、CALUX-TEFが定められておらず、その場合はCALUX-TEFを0として計算した。その結果、本法で得られたPCDD/Fsの測定値は、予測値と比較しても数倍の値が得られることが多く、従来法との測定値の違いに対象異性体のCALUX-TEF以外の因子が大きく影響している可能性があった。一方、本法のCo-PCBsの測定値は予測値と比較し、ほぼ同等の値が得られる場合が多く、従来法との測定値の違いには対象異性体のCALUX-TEFが影響していたことが示唆された。

D.考察
 CALUXアッセイは、本研究で行った前処理法との組み合わせで、市販魚中のダイオキシン類を高感度に測定することが可能であった。本法の試料中の最小検出量(0.16 pg 2,3,7,8-TCDD/g)は、ダイオキシン類測定に用いられるイムノアッセイやバイオアッセイ4)の中で、最も高感度な部類に属した。特に、食品は他の媒体と比べダイオキシン類の汚染レベルが低いことから、本法の高感度性は有用であると考えられる。さらに、本法と従来法とのTEQ値に良好な相関性が見られ市販魚試料中のTEQ濃度の推定法としての利用が期待できた。しかし、従来法と比較した場合、実試料における測定値の変動が大きく、現段階では本法で得られた測定値の取り扱いには十分な注意を要すると考えられる。
 本法の魚試料におけるPCDD/Fs測定値は、従来法と比較し高めの値が得られることが多かった。予測値との比較から、測定値の差にCALUX-TEFとWHO-TEFの違いが影響している可能性は少なく、TEFを有するダイオキシン類の他に、AhR結合能を有する化合物が共存しているため、本法のPCDD/Fs測定では、高めの値が得られたと考えられる。このような化合物として、TEFを持たない塩素化ダイオキシン類、臭素化ダイオキシン類、ポリ塩化ナフタレンおよび臭素化ジフェニルエーテル類等の存在が考えられる5)。しかし、本研究では、これら化合物の分析を行っておらず、今後、これらの化合物が本法で得た魚試料の測定値に、どの程度影響しているか、明らかにしていく必要があると考えられる。一方、本法のCo-PCBs測定値は、従来法と比較し低めの測定値が多く、その原因にはCALUX-TEFとWHO-TEFの違いが影響している可能性があった。本研究のHRGC/HRMS分析結果から、ほとんどの魚試料において、Co-PCBsからなるTEQ中で最も大きい割合を占めていた異性体は#126であった(付表2)。#126に対するCALUX-TEFは、WHO-TEFと比較すると小さく(付表1)、細胞応答性が弱い。そのため従来法と比較し、低めの値が得られているものと考えられる。
 現在、市販魚試料におけるダイオキシン類の規制値は、カナダで設けられているだけである(2,3,7,8-TCDDについて20 ppt以下)。しかし、EUをはじめとする国においても規制値設定の動きがあり、魚試料に対して4 pg WHO-TEQ/gwet (PCDD/Fs)が提案されている6)。規制値が設けられた場合を想定すると、従来法では、分析時間および分析費用の面から十分に対応することは困難であり、従来法を補う迅速法の開発が早急に望まれている。上述したように、本法は従来法と同一の測定値は得られないが、従来法と良好な相関性を有することから、相関図の回帰直線(図4,)を用いて、本法の測定値から従来法のTEQ値を推定することが可能である。本法は従来法と比較すると、短時間(5日以内)で測定結果がわかり、多数検体に応用が可能で、1検体あたりのコストも約数分の1程度である。従って、本法をスクリーニング法として使用することで、従来法の負担を軽減できることが期待される。
 本法をスクリーニング法として応用する際は、個々の検体の中には回帰直線から大きく外れるものもあり、従来法のTEQ値を推定する際には注意が必要である。今後は、比較検体数を増加し、推定時の誤差範囲を明らかにしていく必要があると考えられる。また、PCBs類の中にはアンタゴニスト作用を示す異性体が報告されており、このような異性体が大量に共存した場合、本法ではルシフェラーゼ活性が抑制されるため、測定値を低めに見積もり疑陰性の結果を与えてしまう可能性がある5)。スクリーニング法としては、疑陰性の結果を与えることは望ましくない。本研究では、この点について詳細な検討は行っていないが、魚試料ではPCB汚染濃度が高いことが多く、特に、Co-PCBs分画の測定には注意を要する。実際に、本研究でも、希釈定量試験の結果においてCo-PCBs分画の測定時に希釈して測定した場合、得られる測定値が高くなる傾向があり、アンタゴニストの影響を否定できない結果が得られている。今後は、より詳細なバリデーションデータの収集をはかり、その可能性を高めていく必要があると考えられる。

E.結論
1) 本法は市販魚中のダイオキシン類を高感度に測定することが可能であった。
2) 従来法であるHRGC/HRMS分析との比較試験の結果、良好な相関が得られ、毒性等量を推測するスクリーニング法として適した性質を有していた。
3) CALUXアッセイは従来法と比較すると、コストが安く(数分の1程度)、また迅速(5日以内)に結果が得られ、さらに多数検体にも応用可能なことから、食品中のダイオキシン類のスクリーニング法として期待できる。
4) 今後は、従来法との比較検体の追加、AhR結合能を有する物質に対する応答性を含めた、より詳細なバリデーションデータが必要とされる。

F.参考文献
1)Tsutsumi T, Iida T, Hori T, Nakagawa R, Tobiishi K, Yanagi T, Kono Y, Uchibe H, Matsuda R, Sasaki K, Toyoda M. Update of daily intake of PCDDs, PCDFs, and dioxin-like PCBs from food in Japan. Chemosphere, 45 (2001) 1129-1137.
2)厚生省生活衛生局“食品中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの測定方法暫定ガイドライン”平成11年10月
3)Brown DJ, Chu M, Overmeire IV, Chu A, Clark GC. Detection of REP values for the CALUX R bioassay and comparison to the WHO TEF values. Organohalogen Compounds, 53 (2001) 211-214.
4)Behnisch PA, Hosoe K, Sakai S. Bioanalytical screening methods for dioxins and dioxin-like compounds −a review of bioassay/biomarker technology. Environ International, 27 (2001) 413-439.
5)Overmeire IV, Clark GC, Brown DJ, Chu MD, Cooke WM, Denison MS, Baeyens W, Srebrnik S, Goeyens L. Trace contamination with dioxin-like chemicals: evaluation of bioassay-based TEQ determination for hazard assessment and regulatory response. Environmental Science & Policy, 4 (2001) 345-357.
6)EU, 2001. Commission proposes strategy to reduce dioxin in food and feed, 20 July.

G.研究業績
1.論文発表
1)Fujino J, Tsutsumi T, Amakura Y, Nakamura M, Kitagawa H, Yamamoto T, Sasaki K, Toyoda M. Application of the CALUXTM assay to the analysis of DXNs in fish (The First Report) Organohalogen Compounds, 51(2001)348-351.

2.学会発表
1)堤 智昭, 天倉吉章,中村昌文, 藤野潤子, 北川宏子, Brown DJ, Clark GC, 佐々木久美子, 豊田正武. CALUXバイオアッセイによる市販魚中ダイオキシン類のスクリーニング法の開発.第4回環境ホルモン学会(2001.12)


表1 振とう抽出法とアルカリ分解・溶媒抽出法のダイオキシン類抽出効率の比較


表2 2,3,7,8-TCDDの測定精度及び正確度


表3 魚試料への添加回収試験


表4-1 被検溶液(前処理済み溶液)の繰り返し測定


表4-2 魚試料の繰り返し測定


表5 CALUXアッセイとHRGC/HRMS分析のダイオキシン類分析の比較


表6 HRGC/HRMS測定値より推定したCALUXアッセイの予測値



図1 CALUXアッセイによる魚試料中のダイオキシン類スクリーニング法


図1 CALUXアッセイによる魚試料中のダイオキシン類スクリーニング法



図2 CALUXアッセイにおける2,3,7,8-TCDD標準曲線



図3 魚試料測定における希釈定量試験


図4 CALUXアッセイとHRGC/HRMS分析のダイオキシン類測定における相関


付表1 ダイオキシン類に対するCALUXアッセイの反応性(CALUX-TEF)とWHO-TEFの比較
Compound CALUX TEF 1) WHO TEF CALUX TEF/WHO TEF
EC20 EC50 EC20 EC50
PCDDs   TCDD 1.00 1.00 1 1.0 1.0
12378-PeCDD 1.02 0.73 1 1.0 0.7
123478-HxCDD 0.137 0.075 0.1 1.4 0.7
123678-HxCDD 0.183 0.098 0.1 1.8 1.0
123789-HxCDD 0.114 0.061 0.1 1.1 0.6
1234678-HpCDD 0.058 0.031 0.01 5.8 3.1
OCDD 0.00049 0.00034 0.0001 4.9 3.4
PCDFs   2378-TCDF 0.104 0.067 0.1 1.0 0.7
12378-PeCDF 0.14 0.14 0.05 2.8 2.8
23478-PeCDF 0.78 0.58 0.5 1.6 1.2
123478-HxCDF 0.2 0.13 0.1 2.0 1.3
123678-HxCDF 0.19 0.14 0.1 1.9 1.4
123789-HxCDF 0.18 0.11 0.1 1.8 1.1
234678-HxCDF 0.31 0.31 0.1 3.1 3.1
1234678-HpCDF 0.031 0.024 0.01 3.1 2.4
1234789-HpCDF 0.059 0.044 0.01 5.9 4.4
OCDF 0.0058 0.0016 0.0001 58.0 15.8
Co-PCBs Non-ortho 3,3',4,4'-TCB (#77) 0.0017 0.0014 0.0001 17.0 13.8
3,4,4',5-TCB (#81) 0.0085 0.0045 0.0001 85.0 44.8
3,3',4,4',5-PeCB (#126) 0.042 0.038 0.1 0.4 0.4
3,3',4,4',5,5'-HxCB (#169) 0.0017 0.0011 0.01 0.2 0.1
Mono-ortho 2,3,3',4,4'-PeCB (#105) nd 2) nd 0.0001
2,3,4,4',5-PeCB (#114) 0.00014 0.00014 0.0005 0.3 0.3
2,3',4,4',5-PeCB (#118) nd nd 0.0001
2',3,4,4',5-PeCB (#123) nd nd 0.0001
2,3,3',4,4',5-HxCB (#156) 0.00013 0.00014 0.0005 0.3 0.3
2,3,3',4,4',5'-HxCB (#157) nd nd 0.0005
2,3',4,4',5,5'-HxCB (#167) nd nd 0.00001
2,3,3',4,4',5,5'-HpCB (#189) nd nd 0.0001
1) 2,3,7,8-TCDD標準曲線における20%(EC20)及び50%(EC50)結合濃度を1とした時の、各異性体における20%及び50%結合濃度の割合の逆数を示す(Brown DJ et al., Organohalogen compounds 2001, 53, 211-214.及びBrown DJ, personal communication)。
2) 未決定

付表2-1 魚比較検体のHRGC/HRMS分析
化合物名 WHO
TEF
カツオ(#1) カツオ(#2) タラ(#3) タラ(#4) アナゴ(#5) アナゴ(#6)
pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g
2,3,7,8-TetraCDD 1 ND - 0.006 0.006 0.040 0.040 0.070 0.070 0.075 0.075 0.015 0.015
1,2,3,7,8-PentaCDD 1 0.030 0.030 0.050 0.050 0.090 0.090 0.140 0.140 0.078 0.078 0.013 0.013
1,2,3,4,7,8-HexaCDD 0.1 ND - ND - ND - ND - 0.012 0.001 ND -
1,2,3,6,7,8-HexaCDD 0.1 ND - 0.024 0.002 0.070 0.007 0.100 0.010 0.114 0.011 0.042 0.004
1,2,3,7,8,9-HexaCDD 0.1 ND - 0.008 0.001 ND - ND - 0.020 0.002 0.008 0.001
1,2,3,4,6,7,8-HeptaCDD 0.01 ND - 0.010 <0.001 0.030 <0.001 0.040 <0.001 0.045 <0.001 0.020 <0.001
OctaCDD 0.0001 ND - ND - ND - ND - 0.051 <0.001 0.027 <0.001
PCDDs TEQ     0.030   0.059   0.137 0.350 0.220   0.168   0.033
2,3,7,8-TetraCDF 0.1 0.070 0.007 0.056 0.006 0.600 0.060 0.650 0.065 0.804 0.080 0.174 0.017
1,2,3,7,8-PentaCDF 0.05 0.020 0.001 0.046 0.002 0.060 0.003 0.070 0.004 0.371 0.019 0.098 0.005
2,3,4,7,8-PentaCDF 0.5 0.060 0.030 0.116 0.058 0.140 0.070 0.210 0.105 0.353 0.177 0.053 0.027
1,2,3,4,7,8-HexaCDF 0.1 ND - 0.021 0.002 ND - ND - 0.043 0.004 0.016 0.002
1,2,3,6,7,8-HexaCDF 0.1 ND - 0.037 0.004 ND - ND - 0.089 0.009 0.020 0.002
1,2,3,7,8,9-HexaCDF 0.1 ND - ND - ND - ND - 0.013 0.001 ND -
2,3,4,6,7,8-HexaCDF 0.1 ND - 0.038 0.004 ND - 0.020 0.002 0.143 0.014 0.036 0.004
1,2,3,4,6,7,8-HeptaCDF 0.01 ND - 0.019 <0.001 0.020 <0.001 0.030 <0.001 0.033 <0.001 0.011 <0.001
1,2,3,4,7,8,9-HeptaCDF 0.01 ND - ND - ND - ND - 0.004 <0.001 ND -
OctaCDF 0.0001 ND - ND - ND - ND - 0.032 <0.001 ND -
PCDFs TEQ     0.038   0.076   0.133 1.0 0.176   0.305   0.056
PCDDs&PCDFs TEQ     0.068   0.135   0.271 1.33 0.396   0.473   0.089
3,3',4,4'-TetraCB (#77) 0.0001 3.00 <0.001 1.74 <0.001 17.00 0.002 9.60 0.001 23.06 0.002 2.83 <0.001
3,4,4',5-TetraCB (#81) 0.0001 0.30 <0.001 0.33 <0.001 0.50 <0.001 0.20 <0.001 1.22 <0.001 0.26 <0.001
3,3',4,4',5-PentaCB (#126) 0.1 2.00 0.200 2.41 0.241 11.00 1.100 14.00 1.400 12.26 1.226 3.20 0.320
3,3',4,4',5,5'-HexaCB (#169) 0.01 0.60 0.006 0.88 0.009 1.20 0.012 1.80 0.018 3.10 0.031 1.02 0.010
2,3,3',4,4'-PentaCB (#105) 0.0001 51.0 0.005 37.8 0.004 1500.0 0.150 2200.0 0.220 340.4 0.034 77.7 0.008
2,3,4,4',5-PentaCB (#114) 0.0005 5.0 0.003 4.1 0.002 96.0 0.048 140.0 0.070 23.3 0.012 5.2 0.003
3,3',4,4',5-PentaCB (#118) 0.0001 180.0 0.018 120.6 0.012 4800.0 0.480 6400.0 0.640 1031.6 0.103 202.5 0.020
3,,3,4,4',5'-PentaCB (#123) 0.0001 3.0 <0.001 3.0 <0.001 60.0 0.006 58.0 0.006 16.1 0.002 4.0 <0.001
2,3,3',4,4'5-HexaCB (#156) 0.0005 16.0 0.008 26.5 0.013 470.0 0.235 630.0 0.315 130.9 0.065 29.0 0.015
2,3,3',4,4'5'-HexaCB (#157) 0.0005 5.0 0.003 7.6 0.004 120.0 0.060 150.0 0.075 37.5 0.019 9.7 0.005
3,3',4,4',5,5'-HexaCB (#167) 0.00001 10.0 <0.001 15.4 <0.001 240.0 0.002 310.0 0.003 70.2 0.001 16.7 <0.001
2,3,3',4,4',5,5'-HeptaCB (#189) 0.0001 2.0 <0.001 5.7 0.001 36.0 0.004 48.0 0.005 16.5 0.002 4.8 <0.001
Non-ortho PCBs(TEQ)     0.206   0.250   1.114   1.419   1.259   0.330
Mono-ortho PCBs(TEQ)     0.037   0.036   0.985   1.334   0.237   0.051
Total Co-PCBs(TEQ)     0.243   0.286   2.099   2.753   1.496   0.381
Total TEQ     0.311   0.421   2.369   3.149   1.969   0.470
1)ND;検出下限以下

付表2-2 魚比較検体のHRGC/HRMS分析
化合物名 WHO
TEF
イシモチ(#7) サバ(#8) サバ(#9) サバ(#10) サケ(#11) サケ(#12)
pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g
2,3,7,8-TetraCDD 1 ND - 0.090 0.090 0.010 0.010 0.011 0.011 0.110 0.110 0.030 0.030
1,2,3,7,8-PentaCDD 1 0.003 0.003 0.190 0.190 0.020 0.020 0.052 0.052 0.220 0.220 0.060 0.060
1,2,3,4,7,8-HexaCDD 0.1 0.006 0.001 0.020 0.002 ND - 0.014 0.001 ND - ND -
1,2,3,6,7,8-HexaCDD 0.1 0.044 0.004 0.040 0.004 ND - 0.023 0.002 0.070 0.007 0.020 0.002
1,2,3,7,8,9-HexaCDD 0.1 0.016 0.002 ND - ND - ND - ND - ND -
1,2,3,4,6,7,8-HeptaCDD 0.01 0.020 <0.001 0.030 <0.001 ND - 0.011 <0.001 ND - ND -
OctaCDD 0.0001 0.036 <0.001 ND - ND - ND - ND - ND -
PCDDs TEQ     0.010   0.286   0.030   0.067   0.337   0.092
2,3,7,8-TetraCDF 0.1 0.155 0.016 1.100 0.110 0.090 0.009 0.184 0.018 2.200 0.220 0.650 0.065
1,2,3,7,8-PentaCDF 0.05 0.284 0.014 0.150 0.008 0.020 0.001 0.053 0.003 0.220 0.011 0.050 0.003
2,3,4,7,8-PentaCDF 0.5 0.016 0.008 0.550 0.275 0.080 0.040 0.192 0.096 0.620 0.310 0.140 0.070
1,2,3,4,7,8-HexaCDF 0.1 0.062 0.006 0.030 0.003 ND - 0.016 0.002 0.030 0.003 ND -
1,2,3,6,7,8-HexaCDF 0.1 0.053 0.005 0.040 0.004 ND - 0.025 0.003 0.040 0.004 ND -
1,2,3,7,8,9-HexaCDF 0.1 0.005 0.001 ND - ND - ND - ND - ND -
2,3,4,6,7,8-HexaCDF 0.1 0.088 0.009 0.070 0.007 ND - 0.043 0.004 0.050 0.005 ND -
1,2,3,4,6,7,8-HeptaCDF 0.01 0.011 <0.001 0.020 <0.001 ND - 0.016 <0.001 ND - ND -
1,2,3,4,7,8,9-HeptaCDF 0.01 ND - ND - ND - ND - ND - ND -
OctaCDF 0.0001 ND - ND - ND - ND - ND - ND -
PCDFs TEQ     0.059   0.407   0.050   0.126   0.553   0.138
PCDDs&PCDFs TEQ     0.068   0.693   0.080   0.192   0.890   0.230
3,3',4,4'-TetraCB (#77) 0.0001 11.05 0.001 18.00 0.002 0.80 <0.001 3.67 <0.001 41.00 0.004 24.00 0.002
3,4,4',5-TetraCB (#81) 0.0001 0.43 <0.001 2.90 <0.001 0.20 <0.001 0.64 <0.001 1.50 <0.001 0.60 <0.001
3,3',4,4',5-PentaCB (#126) 0.1 7.76 0.776 8.90 0.890 1.70 0.170 2.98 0.298 13.00 1.300 6.10 0.610
3,3',4,4',5,5'-HexaCB (#169) 0.01 1.77 0.018 1.60 0.016 0.40 0.004 0.75 0.008 2.10 0.021 0.50 0.005
2,3,3',4,4'-PentaCB (#105) 0.0001 557.2 0.056 280.0 0.028 30.0 0.003 61.2 0.006 930.0 0.093 470.0 0.047
2,3,4,4',5-PentaCB (#114) 0.0005 34.6 0.017 21.0 0.011 3.0 0.002 4.8 0.002 55.0 0.028 23.0 0.012
2,3',4,4',5-PentaCB (#118) 0.0001 2276.0 0.228 940.0 0.094 120.0 0.012 174.6 0.017 2800.0 0.280 1200.0 0.120
2',3,4,4',5'-PentaCB (#123) 0.0001 23.1 0.002 16.0 0.002 2.0 <0.001 3.1 <0.001 33.0 0.003 17.0 0.002
2,3,3',4,4'5-HexaCB (#156) 0.0005 233.5 0.117 84.0 0.042 17.0 0.009 26.1 0.013 240.0 0.120 110.0 0.055
2,3,3',4,4'5'-HexaCB (#157) 0.0005 67.5 0.034 22.0 0.011 5.0 0.003 12.4 0.006 62.0 0.031 27.0 0.014
2,3',4,4',5,5'-HexaCB (#167) 0.00001 116.3 0.001 47.0 <0.001 11.0 <0.001 16.7 <0.001 140.0 0.001 58.0 0.001
2,3,3',4,4',5,5'-HeptaCB (#189) 0.0001 27.5 0.003 9.0 0.001 3.0 <0.001 5.3 0.001 17.0 0.002 7.0 0.001
Non-ortho PCBs(TEQ)     0.795   0.908   0.174   0.306   1.325   0.617
Mono-ortho PCBs(TEQ)     0.457   0.188   0.028   0.046   0.558   0.250
Total Co-PCBs(TEQ)     1.253   1.097   0.202   0.353   1.883   0.867
Total TEQ     1.321   1.790   0.282   0.545   2.773   1.097
1)ND;検出下限以下

付表2-3 魚比較検体のHRGC/HRMS分析
化合物名 WHO
TEF
スズキ(#13) スズキ(#14) スズキ(#15) マグロ(#16) マグロ(#17) マグロ(#18)
pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g
2,3,7,8-TetraCDD 1 0.276 0.276 ND - ND - ND - ND - 0.090 0.090
1,2,3,7,8-PentaCDD 1 0.447 0.447 0.003 0.003 ND - ND - ND - 0.440 0.440
1,2,3,4,7,8-HexaCDD 0.1 0.045 0.005 ND - ND - ND - ND - 0.030 0.003
1,2,3,6,7,8-HexaCDD 0.1 0.253 0.025 ND - ND - ND - ND - 0.240 0.024
1,2,3,7,8,9-HexaCDD 0.1 0.019 0.002 ND - ND - ND - ND - 0.050 0.005
1,2,3,4,6,7,8-HeptaCDD 0.01 0.060 0.001 ND - ND - ND - ND - 0.040 <0.001
OctaCDD 0.0001 0.122 <0.001 ND - ND - ND - ND - ND -
PCDDs TEQ     0.755   0.003   0.000   0.000   0.000   0.562
2,3,7,8-TetraCDF 0.1 0.845 0.085 0.028 0.003 0.011 0.001 ND - ND - 1.300 0.130
1,2,3,7,8-PentaCDF 0.05 0.230 0.012 0.006 <0.001 ND - ND - ND - 0.630 0.032
2,3,4,7,8-PentaCDF 0.5 1.531 0.766 0.012 0.006 0.009 0.005 ND - ND - 0.790 0.395
1,2,3,4,7,8-HexaCDF 0.1 0.084 0.008 ND - ND - ND - ND - 0.170 0.017
1,2,3,6,7,8-HexaCDF 0.1 0.104 0.010 ND - ND - ND - ND - 0.230 0.023
1,2,3,7,8,9-HexaCDF 0.1 ND - ND - ND - ND - ND - ND -
2,3,4,6,7,8-HexaCDF 0.1 0.144 0.014 0.005 0.001 ND - ND - ND - 0.390 0.039
1,2,3,4,6,7,8-HeptaCDF 0.01 0.030 <0.001 ND - ND - ND - ND - 0.030 <0.001
1,2,3,4,7,8,9-HeptaCDF 0.01 ND - ND - ND - ND - ND - ND -
OctaCDF 0.0001 0.070 <0.001 ND - ND - ND - ND - ND -
PCDFs TEQ     0.895   0.010   0.006   0.000   0.000   0.636
PCDDs&PCDFs TEQ     1.650   0.013   0.006   0.000   0.000   1.198
3,3',4,4'-TetraCB (#77) 0.0001 144.84 0.014 1.23 <0.001 0.26 <0.001 ND - ND - 25.00 0.003
3,4,4',5-TetraCB (#81) 0.0001 6.62 0.001 0.08 <0.001 0.04 <0.001 ND - ND - 2.50 <0.001
3,3',4,4',5-PentaCB (#126) 0.1 42.64 4.264 0.38 0.038 0.32 0.032 ND - 0.10 0.010 19.00 1.900
3,3',4,4',5,5'-HexaCB (#169) 0.01 7.42 0.074 0.05 0.001 0.08 0.001 ND - 0.10 0.001 6.70 0.067
2,3,3',4,4'-PentaCB (#105) 0.0001 4381.0 0.438 19.9 0.002 2.0 <0.001 ND - ND - 810.0 0.081
2,3,4,4',5-PentaCB (#114) 0.0005 313.5 0.157 1.3 0.001 ND - ND - ND - 69.0 0.035
3,3',4,4',5-PentaCB (#118) 0.0001 14860.7 1.486 57.7 0.006 7.3 0.001 3.0 <0.001 3.0 <0.001 2800.0 0.280
3,,3,4,4',5'-PentaCB (#123) 0.0001 256.9 0.026 1.0 <0.001 ND - ND - ND - 43.0 0.004
2,3,3',4,4'5-HexaCB (#156) 0.0005 1214.7 0.607 4.5 0.002 1.6 0.001 ND - ND - 230.0 0.115
2,3,3',4,4'5'-HexaCB (#157) 0.0005 296.5 0.148 0.9 <0.001 0.7 <0.001 ND - ND - 66.0 0.033
3,3',4,4',5,5'-HexaCB (#167) 0.00001 701.5 0.007 2.7 <0.001 1.4 <0.001 ND - 1.0 <0.001 140.0 0.001
2,3,3',4,4',5,5'-HeptaCB (#189) 0.0001 116.8 0.012 ND - ND - ND - ND - 26.0 0.003
Non-ortho PCBs(TEQ)     4.354   0.039   0.033   0.000   0.011   1.970
Mono-ortho PCBs(TEQ)     2.881   0.011   0.002   <0.001   <0.001   0.552
Total Co-PCBs(TEQ)     7.234   0.050   0.035   <0.001   0.011   2.522
Total TEQ     8.885   0.063   0.041   <0.001   0.011   3.720
1)ND;検出下限以下

付表2-4 魚比較検体のHRGC/HRMS分析
化合物名 WHO
TEF
マグロ(#19) ブリ(#20) ブリ(#21) ブリ(#22)
pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g pg/g pg TEQ/g
2,3,7,8-TetraCDD 1 0.100 0.100 0.190 0.190 0.172 0.172 0.094 0.094
1,2,3,7,8-PentaCDD 1 0.530 0.530 0.450 0.450 0.389 0.389 0.203 0.203
1,2,3,4,7,8-HexaCDD 0.1 0.040 0.004 0.050 0.005 0.054 0.005 0.024 0.002
1,2,3,6,7,8-HexaCDD 0.1 0.260 0.026 0.130 0.013 0.109 0.011 0.065 0.007
1,2,3,7,8,9-HexaCDD 0.1 0.060 0.006 0.030 0.003 0.034 0.003 0.007 0.001
1,2,3,4,6,7,8-HeptaCDD 0.01 0.040 <0.001 0.060 0.001 0.072 0.001 0.013 <0.001
OctaCDD 0.0001 ND - 0.090 <0.001 0.125 <0.001 ND -
PCDDs TEQ     0.666   0.662   0.582   0.307
2,3,7,8-TetraCDF 0.1 1.300 0.130 2.100 0.210 2.064 0.206 1.076 0.108
1,2,3,7,8-PentaCDF 0.05 0.630 0.032 0.400 0.020 0.326 0.016 0.157 0.008
2,3,4,7,8-PentaCDF 0.5 0.970 0.485 1.100 0.550 1.058 0.529 0.746 0.373
1,2,3,4,7,8-HexaCDF 0.1 0.170 0.017 0.080 0.008 0.054 0.005 0.037 0.004
1,2,3,6,7,8-HexaCDF 0.1 0.230 0.023 0.090 0.009 0.063 0.006 0.043 0.004
1,2,3,7,8,9-HexaCDF 0.1 ND - ND - ND - ND -
2,3,4,6,7,8-HexaCDF 0.1 0.380 0.038 0.100 0.010 0.071 0.007 0.048 0.005
1,2,3,4,6,7,8-HeptaCDF 0.01 0.030 <0.001 0.030 <0.001 0.053 0.001 0.030 0.000
1,2,3,4,7,8,9-HeptaCDF 0.01 ND - ND - ND - ND -
OctaCDF 0.0001 ND - ND - ND - ND -
PCDFs TEQ     0.725   0.807   0.771   0.502
PCDDs&PCDFs TEQ     1.391   1.469   1.353   0.808
3,3',4,4'-TetraCB (#77) 0.0001 24.00 0.002 63.00 0.006 76.39 0.008 59.92 0.006
3,4,4',5-TetraCB (#81) 0.0001 2.60 <0.001 5.40 0.001 5.64 0.001 3.86 <0.001
3,3',4,4',5-PentaCB (#126) 0.1 19.00 1.900 24.00 2.400 35.07 3.507 17.44 1.744
3,3',4,4',5,5'-HexaCB (#169) 0.01 7.40 0.074 4.60 0.046 5.41 0.054 3.15 0.031
2,3,3',4,4'-PentaCB (#105) 0.0001 710.0 0.071 840.0 0.084 1273.5 0.127 682.5 0.068
2,3,4,4',5-PentaCB (#114) 0.0005 61.0 0.031 57.0 0.029 99.0 0.049 47.2 0.024
3,3',4,4',5-PentaCB (#118) 0.0001 2400.0 0.240 2700.0 0.270 4116.6 0.412 1985.2 0.199
3,,3,4,4',5'-PentaCB (#123) 0.0001 38.0 0.004 53.0 0.005 70.9 0.007 30.9 0.003
2,3,3',4,4'5-HexaCB (#156) 0.0005 220.0 0.110 260.0 0.130 430.0 0.215 196.4 0.098
2,3,3',4,4'5'-HexaCB (#157) 0.0005 63.0 0.032 67.0 0.034 115.1 0.058 74.8 0.037
3,3',4,4',5,5'-HexaCB (#167) 0.00001 140.0 0.001 150.0 0.002 242.8 0.002 126.1 0.001
2,3,3',4,4',5,5'-HeptaCB (#189) 0.0001 30.0 0.003 30.0 0.003 46.9 0.005 22.0 0.002
Non-ortho PCBs(TEQ)     1.977   2.453   3.569   1.782
Mono-ortho PCBs(TEQ)     0.491   0.556   0.875   0.433
Total Co-PCBs(TEQ)     2.468   3.009   4.445   2.215
Total TEQ     3.859   4.478   5.798   3.023
1)ND;検出下限以下


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