趣旨
近年、いわゆるフリーターが急増している。この要因としては、職住分離が進み、職業意識が涵養されづらい社会にあって、若者が就職について考えた際に、自らの生活等への制約が多い正社員に比べ自由度の高いフリーターの方が魅力的に思えてしまうこと、また、実際にフリーターであっても刹那的にみれば不自由なく生活できる豊かな社会であること、社会的にもコンビニエンスストア、ファーストフードなどフリーターそのものへの需要が高い産業があることなどが考えられる。とりわけ昨今の厳しい雇用失業情勢の中で、長期にわたり会社勤めをしてきた親や親戚のリストラが身近に生じたり、学卒市場が厳しく就職自体が困難である一方で、アルバイト求人は数が多いため、アルバイト就労を選択し易い環境にあることなども要因の一つとなっていると考えられる。
とはいえ、長期にわたって漫然とフリーター生活を送ることは、適切なキャリアの形成の妨げになることを通じて、若者自身にとどまらず、将来的には我が国経済社会を担うべき人材不足や高失業率化をもたらしかねない大きな問題である。また、実際にはフリーター自身自らの将来に不安を抱えながら働く者も多い。
このような状況の中で、本年度のシンポジウムにおいては、若者のキャリア形成を支援する観点から、フリーター自身が自らのキャリア形成のため自主的に取り組むべきことや、青少年の育成指導にあたる者が取り組むべきこと、さらに、フリーターを雇用する企業が講ずべき措置等に関する研究討議を行うこととする。 |