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厚生労働省
平成14年4月5日

ミレニアム・プロジェクト(高齢者の雇用・就労を可能とする経済社会の実現のための
大規模な調査研究)の最終報告について

 ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)は、今後の我が国の経済・社会にとって重要性や緊急性の高い「情報化」、「高齢化」及び「環境対応」の3分野について、新しい産業を生み出す大胆な技術革新に取り組むことを目的としたものであり、新しいミレニアム(千年紀)の始まりを目前に控えた平成11年12月、当時の小渕内閣総理大臣の提唱により始められた。
 同プロジェクトの一つである「高齢者の雇用・就労を可能とする経済社会の実現のための大規模な調査研究」は、年齢にとらわれることなく意欲と能力を活かして働ける経済・社会の実現のための政策課題を明らかにするとともに、その具体的取り組みを提示するため、厚生労働省のほか、内閣府(経済社会総合研究所)及び経済産業省において実施されたところである。
 厚生労働省においては、平成12年度及び13年度の2カ年にわたり、総合的で、かつ、実証性の高い12テーマの調査研究を行ったが、今般、これら調査研究が終了し、最終報告がとりまとめられたので、その概要を公表する。
 現在の我が国の労働市場や雇用のあり方は、経済・社会の構造変化のなかで大きく変わりつつあり、これまでの雇用就業システムの見直しが求められている状況にある。これらの研究成果には、先駆的、画期的な取り組みや具体的な提言などが含まれていることから、時宜に適った有意義なものであり、この研究成果が広く普及、活用されることが望まれる。このため、厚生労働省としては、各研究を受託した研究機関と協力して、積極的に普及啓発を図ることとしている。
 なお、今回とりまとめた最終報告書及び普及版は、別紙各調査研究の概要資料に記した受託研究機関のホームページ・アドレスで閲覧・入手することができる。


職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課
電話 5253−1111(内5781)
   3502−6778(夜間直通)


(参考)

調査研究名一覧

諸外国における高齢者の雇用・就業の実態に関する研究
中高年労働者のライフスタイルと人事労務管理の課題に関する研究
60歳台前半層の雇用延長の制度化を進めるための方策に関する研究
製造業における高齢活用モデルの構築に関する研究
介護分野における高齢者活用モデルの構築に関する研究
Webを活用した作業改善支援システムの構築に関する研究
情報化対応職務能力診断システムの構築に関する研究
中高年ホワイトカラーのキャリアデータベース構築に関する研究
福祉・生活関連サービス分野における高齢者の雇用・就業地域モデルの構築に関する研究
10 高年齢労働者の安全と健康に配慮した作業負荷の評価基準の開発に関する調査研究
11 高年齢労働者の健康管理面に配慮したVDT作業に関する調査研究
12 高齢者に対する訓練及び訓練手法のあり方についての調査研究


(別紙)

1 諸外国における高齢者の雇用・就業の実態に関する研究

<研究目的>

○ 日本の高齢者雇用就業政策の課題を踏まえ、欧米の高齢者雇用就業の実態と政策について、主要国別に整理し、国際比較すること

<研究の内容、成果>

○ アメリカの高齢者雇用就業と政策

(1)市場メカニズムと機会均等

・ 雇用における年齢差別禁止法(ADEA)
 → 40歳以上の人々に対して、年齢を基準に報酬、採用、解雇、訓練を決定してはならない
・ 随意的雇用(employment at will)原則

(2)就業促進に向けた社会保障制度

・ 公的年金の満額受給年齢の引き上げ(65→67歳、2027年完了)
・ 引退延期による公的年金加算の増加(1年3%→8%)
・ 65−69歳のミーンズテスト(所得審査)の廃止

(3)企業年金の活用

(4)NPOの活発な活動

○ EU諸国の高齢者雇用就業と政策

(1)1970年代初期から90年代後半にかけて、高齢男性の労働力率・就業率が低下
 → 早期引退のシナリオが政労使のコンセンサス

(2)過去5年間で、このコンセンサスが崩壊し、各国とも政策立案者はアクティブ・エイジング(活力ある高齢化)を追求

・ EU雇用ガイドラインで、「活力ある高齢化」が独立の柱
・ 2010年に55〜64歳男女計で50%を就業目標
(3)雇用維持的な部分を含みながらのエイジフリー化の追求

(4)現実の政策、労使の認識は国により相違が大きい

・ 就業率が大きく上昇する国(オランダ)と変わらない国(フランス)
・ 高齢者向けの特別対策重視型(ドイツ、フランス)と一般対策重視型(イギリス)

<研究受託機関>

○日本労働研究機構
 ( ホームページ : http://www.jil.go.jp/seika/millennium/older/report.htm


2 中高年労働者のライフスタイルと人事労務管理の課題に関する研究

<研究の目的>

○ 現役中高年(男女)の高齢期(60歳台前半期)の就労見通しと就労意欲、特に団塊の世代の就労観とライフスタイル特性の解明をするとともに、高齢期の就労意識に影響を与える要因について検討すること

<研究の内容、成果>

○ 男女や就業形態で異なる高齢期の就業希望

→ 60歳台の就業のあり方を考える際には、男女別や就業形態別に議論する必要
<例>
 Q 「いつまで収入を伴う仕事をしたいか」
 A 「男性 65.4歳>女性 61.6歳」、「自営業 67.5歳>民間・正社員・男性 65.5歳」

○ 民間・男性正社員の半数近くが見通しをもてない状況

→ 企業は60歳台前半の雇用方針を従業員に提示することが求められる
<例>
 Q 「現在の勤務先における60歳台前半の雇用見通し」
 A 「わからない 23.4%、会社方針不明 18.3%、会社の方針を不知 6.0%」
○ フルタイム勤務の女性の就業希望
→ フルタイム勤務の女性は、高齢期における就労について、男性に比べフルタイム勤務を希望する者が少ない。しかし、4分の1はフルタイムを希望しており、女性も含め高齢期におけるフルタイム勤務のあり方を検討する必要
○ 多様な価値観を持つ複数の類型から構成される団塊の世代
→ (1)企業内専門職志向タイプ、(2)典型的会社人間タイプ、(3)会社・生きがい・能力発揮バランスタイプ、(4)仕事以外に生きがい志向タイプ、(5)仕事・趣味ほどほど志向タイプ → 他の世代にもあてはまり、団塊の世代独自の特徴と言えるものなし
○ 夫婦が希望する高齢期の就労のあり方
→ 高齢期の働き方の希望を夫婦で比較すると、異なるケースも少なくないことから、定年後のキャリアプランを考える際には、夫婦の意見を調整する必要あり
<例>
 ・高齢期にフルタイムを希望する者 → 夫自身 42.7%、妻の夫への希望 51.9%
 ・夫が定年後短時間勤務を希望していても、その妻は夫にフルタイム勤務を求めている
○ 現役中高年層の高齢期の就業希望は、勤務先の属性や雇用管理の仕組み、高齢期の就労見通し、仕事観などにより規定される

<研究受託機関>

○ 日本労働研究機構
( ホームページ : http://www.jil.go.jp/seika/millennium/middle/report.htm


3 60歳台前半層の雇用延長の制度化を進めるための方策に関する研究

<研究の目的>

○ 企業の雇用延長の形態を決定している要因を解明し、企業が雇用延長制度を導入する際に参考となるパターンを提示するとともに、高齢者雇用のあり方、その促進策等を検討すること

<研究の内容、成果>

○雇用延長パターンと企業特性

継続雇用制度 観察された企業特性
定年延長企業 ケース1 ・従業員の高齢化が進展
・個別的な人事管理が定着
ケース2 ・高齢者を活用する余力がある企業
・企業業績が比較的良好で人員不足
(その他) ・定年前の転職支援のしくみが設置されていないものの従業員の転職傾向は強く、中高年の選別傾向が強い
希望者全員を自社で
再雇用している企業
・現時点で高齢者雇用が問題とは考えていない
・経営者が高齢者の雇用に関して前向きかつ積極的
会社が選別を行い、
必要な人材のみを
雇用延長している企業
・事業環境が厳しく、業績も低迷している企業
・特に高齢者について人員過剰気味
・社内での仕事の確保が困難な企業

○ 企業タイプ別雇用延長への取り組み課題

  企業が積極的 企業が消極的
従業員が
希望して
いる
(1)経営的に余裕がない企業
→ 取り組めるところから始める
(2)経営的に余裕のある企業
→ 具体的な取り組み開始が可能な状態
→ 企業として、良質な人材を無駄にしている、その能力を使い切れていない可能性がある
従業員が
希望して
いない
→ 現在の制度が「従業員にとって利用しにくいもの」になっている可能性がある
→ もっと利用しやすい制度に
(1)本当にニーズがない企業
→ 本当に何もしなくてよいのか?
(2)潜在的ニーズはあるが、当事者がそれに気づいていない場合
→ 考えるため、気づきのための仕掛けを

<研究受託機関>

○ 高年齢者雇用開発協会
( ホームページ : http://www.assoc-elder.or.jp/millennium/60sai.html


4 製造業における高齢活用モデルの構築に関する研究

<研究目的>

○ 製造業の現場における高齢労働者の現状と課題、仕事の問題点を把握するとともに、高齢者活用モデルラインを構築し、その評価と普及を図ること

<研究の内容、成果>

○ 高齢者活用のための「新しい生産システム」の導入と検証

(1)大手製造業組立ライン(松下電器産業株式会社)で新たに「作業集約化方式」を導入し、その効果を検証

・ 生産性 : 主作業時間割合、単位時間当りの出来高が増加、作業効率も上昇
・ 作業負担 : 高齢者にも適用可能な作業負担、適正な作業負荷
(2)既に作業集約化方式を導入している中小製造業組立ライン(ミユキ精機株式会社)で高齢者が働きやすい作業環境(照明色、BGM、香り等)を検証
・ 黄色照明を使用し、香りを与えると作業者の高進を維持し、疲労を抑制
(3)「新しい生産システム」の提示
・ 「作業集約化方式」をベースに、IT技術の活用や個別かつ柔軟な生産管理により、高齢者の能力に合わせた生産方式
・ 多品種少量生産とそのための煩雑な段取り替えに対応しやすいことから、稼働率が高く、生産性の向上が期待できる
・ 従業員のやりがいや達成感の向上が期待できる

○ 「新しい生産システム」設計のための考え方と手順を提案

ステップ1 : 問題の明確化と設定 フィードバック
ステップ2 : 「新しい生産システム」の適用可能性の検討
ステップ3 : 現状のシステム分析、問題点摘出、代替案の設計
ステップ4 : 代替案(新システム)の評価・検討
ステップ5 : 設計案(実行案)の導入
ステップ6 : 目標に照らした評価と改善

○ ビジュアル化による普及と啓発のツールの作成

・ 企業における検討の端緒となるよう、「新しい生産システム」の標準的な導入手順や実施例を写真や動画を用いてビジュアル化し、わかりやすく解説

<研究受託機関>

○ 高年齢者雇用開発協会
( ホームページ : http://www.assoc-elder.or.jp/millennium/seizou.html


5 介護分野における高齢者活用モデルの構築に関する研究

<研究目的>

○ 特別養護老人ホームにおける高齢者の雇用・就業機会の拡大を図るため、職務の全体像を把握し、高齢者にふさわしい職務を検討するとともに、高齢者活用に関する具体策を提示すること

<研究の内容、成果>

○ 分業化を中心とした職務再設計案とその評価

(1)分業化 : 体制を変えず、高齢者の担当職務を限定

・ 高齢ケアワーカーの職務が限定されているため、職務の公平性、効率性の確保やサービスの質の低下を補うことが必要
(2)分業化+増員 : 職員1名が高齢ケアワーカー、加えて新卒者1名を採用
・ 分業化モデルよりサービスの質は向上し、他のケアワーカーの身体負担も軽減。事業収支面でも影響は大きくない
(3)分業化+福祉用具 : 職員2名が高齢ケアワーカー、福祉用具を活用
・ 身体的負担が大きく低下。事業収支面の影響は少ない。福祉用具の利用者の評判も悪くない
  効率性 サービスの質 身体的負担 事業収支面の評価
分業化
分業化+増員 △(大きく影響せず)
分業化+福祉用具 ◎(大幅減少)

○ 現行体制内での高齢者活用モデル

(1)分業化ケース:

 高齢ワーカーが担当する職務を限定し、施設の中での分業体制をとる方法

(2)福祉用具活用モデル:

 福祉用具を活用することによって、高齢ワーカーも他のワーカーと基本的に同一の職務を担当する方法

○ ビジュアル化による普及と啓発のツールの作成

・ 研究成果が現場の職場改革の検討に際しての材料となるよう、シミュレーションの動画などを用いて視覚的に理解できるよう配慮し作成

<研究受託機関>

○ 高年齢者雇用開発協会
( ホームページ : http://www.assoc-elder.or.jp/millennium/kaigo.html


6 Webを活用した作業改善支援システムの構築に関する研究

<研究目的>

○ “いつでも(24時間ネット)”“どこでも(モバイル)” “だれでも(企業等)” 利用可能なWebを活用した各産業に対応する作業の改善を支援するシステムを開発すること

<研究の内容、成果>

○ 「職場改善チェックシステム」、「職場改善ノウハウデータベース」及び「作業姿勢負担評価システム」の三つからなる「職場改善支援システム」を開発し、同システムを Webサーバーシステムで提供

○ 「職場改善支援システム」の機能

・ これまでオープン化されることの少なかった職場改善ノウハウデータの提供、アニメーションを利用したバーチャル体験による問題点の把握、ユーザーの実情にマッチした作業姿勢負担の評価により、ユーザーが改善活動を推進する上で極めて有効

(1)職場改善チェックシステム

・ 問題解決の手がかりを与えることを目的として構築
・ 自社との比較を容易にするためにアニメーションを利用
・ 高齢者活用のためのキーワードからチェック項目を作成
・ チェック項目に対応する職場改善のヒントを作成
(2)職場改善ノウハウデータベース
・ 改善の実施のための具体的情報を提供することを目的として構築
・ 企業で実践された改善事例、代表的な改善手法、具体的支援機器等職場改善に必要なノウハウやデータを提供
(3)作業姿勢負担評価システム
・ 身体的(筋的)作業負担を軽減するために活用してもらうことを目的として構築
・ 姿勢を観察するだけで簡単に負担の度合いを測定し、改善対象の特定化や改善実施後の効果測定を可能とするシステム

<研究受託機関>

○ 高年齢者雇用開発協会
( ホームページ : http://www.assoc-elder.or.jp/millennium/web.html


7 情報化対応職務能力診断システムの構築に関する研究

<研究目的>

○ 技術革新、情報化(IT化)に中高年ホワイトカラーが適応していくための職務能力を診断し、その向上を支援するためのサポートシステムを開発すること

<研究の内容、成果>

○ 「高齢化」、「情報化」の影響を総合的に捉えた「情報化対応職務能力診断システム」の開発

(1)目的

・ 自己の職務能力の客観的把握と職務能力向上のための自己啓発促進
(2)対象者
・ 45歳以上ホワイトカラー(部課長職とソフトウェア技術者)
(3)診断の範囲
(1) 「知的柔軟度」
 ・ 「思考型機能」、「行動型機能」から構成され、作業記憶、文章比較、速度見越し反応等を診断
(2) 「労働意欲」
 ・ モチベーション、柔軟性、創造性を診断
(3) 「仕事の力量」
 ・ 情報収集・分析機能、管理・評価技能、コミュニケーション技能等を診断
 ・ 診断結果に基づき、弱みの項目に対して自己啓発促進のためのサポートコメントを提示

○ 「情報化対応職務能力診断システム」の特徴

(1)労働環境における「情報化」「高齢化」に着目

(2)「認知機能」「労働意欲」を診断するなど職務能力を多面的に診断

(3)客観的データに基づき診断しており、対象者が他人と比べて自分自身がどの程度のレベルにあるかを相対的、客観的に評価できる

○ 各高齢期雇用就業支援センター・コーナーで使用可能

<研究受託機関>

○ 高年齢者雇用開発協会
( ホームページ : http://www.assoc-elder.or.jp/millennium/jouhou.html


8 中高年ホワイトカラーのキャリアデータベース構築に関する研究

<研究目的>

○ 中高年ホワイトカラーが職務経験や実績を客観的に整理、把握できるよう、中高年ホワイトカラー自らが過去のキャリアを整理し、キャリアシートを作成することを支援するシステムを開発すること

<研究の内容、成果>

○ 「キャリア棚卸し支援システム」の開発

(1)事務系ホワイトカラー10職種について72職務分野464代表的業務で構成される職務リスト=「共通言語」

(2)「共通言語」をチェックリストとして用いたキャリアの「棚卸方式」

(3)編年式1様式、キャリア式2様式の「標準キャリアシート」

(2)入出力システム(ソフトウェア)

○ システムの特徴

(1)「共通言語」

・ 職務経験を表現する点で業種、業界にとらわれず求人者と求職者間で広く通用
・ 職務経験を表現する点で他の類似システムにみられない体系性と網羅性を具備
(2)「棚卸方式」
・ 求職者が無理なくキャリアの棚卸しができる方式
(3)「標準キャリアシート」
・ 標準キャリアシートは、個人の特性が把握できるなど、コンサルティング資料としても活用可能
・ 編年式標準キャリアシートは、キャリア全体が時系列で俯瞰・把握できる
・ キャリア式標準キャリアシートは、職種毎の整理により、求職者のキャリアの特色が把握できる
(4)入出力システム
・ PC初心者でも、比較的簡単に使えるシステム
・ 類似システムには見られない機能として、入力したデータから標準キャリアシートを作成、出力可能
○ 各高齢期雇用就業支援センター・コーナー、キャリア交流プラザで使用可能

<研究受託機関>

○ 高年齢者雇用開発協会
( ホームページ : http://www.assoc-elder.or.jp/millennium/career.html


9 福祉・生活関連サービス分野における高齢者の雇用・就業地域モデルの構築に関する研究

<研究目的>

○ 必ずしも雇用という形にとらわれない「新たな高齢者の活躍する場」のあるべき姿を提示するとともに、その形成に資するための課題や施策の方向性を提案すること

<研究の内容、成果>

○ 「新たな高齢者活躍の場」としての「コミュニティ・プラットフォーム」構想を提案

【運営主体】 民間(NPO)主導又は官民連携で民間イニシアティブ
【活動】
(1) 活動拠点、設備の提供
(2) 交流機会の提供
(3) 情報収集、提供
(4) コンサルテーション
(5) マネジメント研修・人材育成
(6) コーディネーション
(7) コミュニティビジネス企業支援
(8) 広報・啓発
【機能】
(1) 主体をつなぐ、つくる  (2) 活動をつなぐ、つくる
(3) 資源をつなぐ、つくる  (4) 施策をつなぐ、つくる
【役割】
(1) 地域におけるニーズとシーズとを結びつける
(2) 地域の人々、団体等の交流、そこからの新展開等を支えたり、後押ししたりする
(3) 世代間交流を実現し、「高齢者の活躍」と「次世代の者たちの活躍」とを同時に促す
○ 「コミュニティ・プラットフォーム」構想に基づく実践的取り組み
・ 「織物」をテーマに桐生市で実施した構想の試行と効果の検証、高齢者の活動としての「語り部養成講座」の開催、運営主体としてのNPOにおけるマネジメント能力向上支援ツールの作成、NPO等を交えたシンポジウムを開催しての課題の検討
○ 「コミュニティ・プラットフォーム」形成に向けた課題

(1)運営主体の形成

→ 活動基盤のある団体の発見と育成(行政は団体の自立性に配慮)
(2)既存活動の連携と開放
→ 実績のある既存の団体の活動を「組み合わせる」、参加希望者に機会を開放
(3)資源の効果的活用
→ 「資金」「人材」「情報」「場所」などの資源の効率的な調達と有効利用
(4)既存施策の弾力的運用
→ 「ユニバーサル・デザイン化」を図り、既存の施策を「使いやすい」ものに

<研究受託機関>

○ 高年齢者雇用開発協会
( ホームページ : http://www.assoc-elder.or.jp/millennium/fukushi.html


10 高年齢労働者の安全と健康に配慮した作業負荷の評価基準の開発に関する調査研究

<研究目的>

○ 高年齢労働者が過度の身体的負担を受けることにより被る労働災害・疾病を防止するため、事業場で活用しやすい実践的な成果物として、作業負荷許容基準、事業場で作業負担度を判定できる方法を開発すること

<研究の内容、成果>

○ 作業負荷許容基準

・ 高年齢労働者に過度の身体的負担とならない負荷の範囲の具体的なガイドライン
・ 取扱い重量、作業姿勢(身体の曲げ、ひねり等)、反復度、作業時間等の項目を中心に、身体的負担に強い影響を及ぼす環境条件、心理的要因も含めて開発(95項目)

<基準例>
I 作業管理に関する事項
 7 筋力の低下、不良姿勢への配慮
  1)荷重のかかる作業については、以下のようにする。
(1)作業に用いる筋力の生涯最大値の70%以上となる大きい作業負荷など、強い筋力を要する作業は減らすか避ける。
(2)瞬間的に持ち上げる必要のある荷重は男性で20kg以下、女性で15kg以下とする。
(3)1日11回以上の挙上を行う場合、1回の持ち上げ荷重は男性で16kg以下、女性で11kg以下とする。
(4)持ち上げ位置が膝下、肩の上、腕の高さで、かつ、1日26回以上の場合、男性で10kg以下、女性で7kg以下とする

○ 作業負担面からみた職場の高齢社会対応度判定リスト

・ 事業場が自ら高年齢労働者に与える身体的負担の状態を評価し、改善すべき面を発見するために簡易に用いることができる判定リスト
・ 身体的負担に強い影響を及ぼす、作業管理、作業環境管理、心理的要因等にかかわる負担要素について、事業場の高齢社会への対応度合いをチェック、判定し、レーダーチャートに表し、自己改善に役立てるガイドとしてのリスト(85項目)を開発

<研究受託機関>

○ 中央労働災害防止協会
( ホームページ : http://www.jisha.or.jp/profile/2_2/choken/mpro/index5.htm


11 高年齢労働者の健康管理面に配慮したVDT作業に関する調査研究

<研究目的>

○ 高年齢労働者が過度の負担を感じることなくVDT作業を行えるよう、事業場で活用しやすい実践的な成果物として、高年齢労働者の健康管理面に配慮したVDT作業のあり方等を提言すること

<研究の内容、成果>

○ VDT作業を快適に行うための実践的提言

・ 事業場が活用しやすい具体的・実践的な成果物として「作業スペース、机・椅子、照明等」「VDT機器(ハード・ソフト)」「作業編成・作業時間・作業姿勢」「作業支援」「操作教育訓練」「健康管理」「VDT作業用眼鏡」の分類のもと、67項目の提言を取りまとめ
・ 提言が各事業場の職場で役立ち、活用しやすく実践的なものとなるよう、各提言には、「現状の問題点」、「提言を具体化する方法」、「提言対象者」、「提言理由」を付し、事業者、労働者等がどのような具体的方法を講ずればよいかを示す

<例 : G VDT作業用眼鏡からの抜粋>
提言 提言を具体化する方法 提言対象者 備考
(c)単焦点レンズあるいは二重焦点レンズを用いた近用眼鏡を作製する。累進多焦点レンズを用いた近用眼鏡は作製しない。 (1)まずは単焦点レンズを用いて、VDT画面までの距離(例えば50cm)にあわせた近用眼鏡の作成を試みる。
(2)この近用眼鏡でキーボード(例えば30cm)の文字が見えづらい場合は、二重焦点レンズで、VDT画面までの距離とキーボードまでの距離にあわせた近用眼鏡を作成する。
(3)二重焦点レンズはレンズの上半分と下半分とが異なる度数となるエグゼクティブ型を使用する。
作業者及び健康管理スタッフ 累進多焦点レンズは、像の歪み、ゆれ、近用部の視野の狭さから、横方向の視線移動が多いVDT作業には不向き。高年齢労働者(50歳以上)の調節力は1D以下なので、近用眼鏡は必ず必要。
○ 愁訴別対策リスト
・ 発生した愁訴への解決方法を見出せるよう、愁訴別(筋肉の痛み・疲労、目に関する愁訴、不定愁訴)、身体部位別(首・肩・腕・手等)に直接的な原因となることが多い事項(作業時間、作業の形態、表示画面、キーボード、マウス、机・椅子等)への改善方法を一覧にした表を作成

<研究受託機関>

○ 中央労働災害防止協会
( ホームページ : http://www.jisha.or.jp/profile/2_2/choken/mpro/index3.htm


12 高齢者に対する訓練及び訓練手法のあり方についての調査研究

<研究目的>

○ 新規・成長分野等における高齢者の就業が見込める分野等を把握するとともに、当該分野に高齢者の就労を促進するための効果的な職業訓練のあり方を検討すること

<研究の内容、成果>

○ 新規・成長分野等において就業が見込める分野等

成長分野 成長分野の事業
情報・通信 ネットワークインフラ
ネットワーク関連機器製造
環境 環境関連機器
環境関連サービス
新製造技術 高度生産システム
新素材、新材料
医療・福祉 医療・福祉機器開発製造
流通・物流 流通・物流インフラ
流通・物流システム
就業が見込める職務内容
(1)  情報通信技術
(2)  機械・電気設計
(3)  生産(加工・組立)
(4)  工程・品質管理
(5)  在庫・資材管理
(6)  物流管理
(7)  営業、一般事務
(8)  教育訓練担当

○ 高齢者に対する訓練のあり方


 

意識転換領域
  • 管理職の職歴あり
  • 新しい職場環境に適応し、和を保つ謙虚さが必要
    → 就業意識転換訓練
独自展開可能領域
  • 高い専門性と管理職の職歴あり
  • エンプロイアビリティが高い
  • 独自に就職可能
     → 訓練不要

職業能力付加領域
  • 職務内容を理解し、必要な職業能力の付加が必要
  • 基礎から実務レベルの訓練必要
     → 職業能力付加訓練
職業能力一般化領域
  • 特化した専門的な職業能力あり
  • 他の企業でも通用するよう一般的なものに再構築する必要あり
     → 職業能力一般化訓練
一般 高い
専門性

<研究受託機関>

○ 雇用・能力開発機構
( ホームページ : http://www1.enokai.ehdo.go.jp/millennium.htm


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