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厚生労働大臣談話

平成14年3月25日

 本日、大津地方裁判所及び東京地方裁判所において、クロイツフェルト・ヤコブ病訴訟の原告と、国並びにビー・ブラウン・メルズンゲン・エージー、日本ビー・エス・エス株式会社ほか2名との間に和解が成立いたしました。

 ヒト乾燥硬膜ライオデュラの移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病感染に関し、過去における国の対応に不十分な点があり、原告の方々を始めとする被害者の方々が物心両面にわたって甚大な被害を被り、極めて深刻な状況に置かれるに至ったことにつきまして、厚生労働大臣として深く反省し、衷心よりお詫び申し上げます。

 本来病を治療すべき脳外科手術に使用された医療用具によって、取り返しのつかない病気が発生するということは、私自身医師でもありますので、患者ご本人、ご家族の多大な苦しみと無念さに思いを致しますと、誠に痛恨の極みであります。

 また、本日の和解を迎えることなく亡くなられた患者の方々に、改めまして、心からのご冥福をお祈り申し上げますとともに、現在療養を続けられておられる方々に、私の最大限の思いを込めて、心からのお見舞いを申し上げます。

 私は、厚生労働大臣就任以来、この訴訟の内容を深く検討し、また、患者ご本人、ご家族が被った未曾有の被害の実情を知るにつれて、一刻も早く、この問題を解決しなければならないと認識するようになりました。特に、大津地方裁判所及び東京地方裁判所から早期解決のための和解勧告を受けてからは、私自身も、裁判所のご趣旨を尊重し、法的責任の存否の争いを超えて、早期解決を目指すということを繰り返し申し上げ、さらに、昨年来、患者さんのお見舞いをさせていただき、また、原告代表の方のお話を直接お伺いする中で、一層、その思いを強くしてまいりました。

 サリドマイド、キノホルムの医薬品副作用被害に関する訴訟で薬害の再発を防止するため最善の努力をすることを確約したにもかかわらず、本件のような悲惨な被害が発生するに至ったことを深く反省するとともに、裁判所から示された所見の中で厳しく指摘された国の責任を真摯かつ厳粛に受け止め、厚生労働大臣には、安全かつ有効な医薬品・医療用具を国民に供給し、国民の生命、健康を守るべき重大な責務があることを改めて認識し、本件のような医薬品等による悲惨な被害を再び繰り返すことがないよう最善、最大の努力を重ねていくことをお誓いいたします。

 さらに、現在人類が直面している最も深刻で悲惨な疾患のひとつであるクロイツフェルト・ヤコブ病につきましては、今後とも引き続き、入院病床・専門医療の確保や診断・治療法の研究・開発、正しい知識の普及・啓発等に全力を挙げて取り組むとともに、医薬品等の安全性を確保するため必要な規制の強化など和解確認書でお約束した事項につきましては、皆様方のご意見を伺いながら、誠実にこれを実行に移してまいりたいと存じます。

 本日成立した和解の内容を、今後の厚生労働行政に反映させ、活かしていくことにより、患者ご本人、ご家族の方々の苦しみ、悲しみが少しでも和らぐことに繋がるよう、全力を傾注していくという決意を改めて表明させていただきまして、和解の成立に当たりましてのお詫びの言葉とさせていただきます。


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