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健康保険法等の一部を改正する法律案の概要

厚生労働省



I 高齢者医療制度の改革

1.患者負担の見直し(平成14年10月実施)

(1) 70歳以上の高齢者の患者負担は定率1割負担とする(ただし一定以上の所得の者は定率2割負担)。
 外来の月額上限制及び診療所における定額負担選択制は廃止。

(2) 自己負担限度額について、低所得者に配慮しつつ見直し。(政令事項)

(参考)

自己負担限度額等の見直し(70歳以上の高齢者)(月額)


【現行制度】
  外来 入院
一般 3,000円
(大病院5,000円)
14年4月から
それぞれ3,200円、
5,300円を予定
37,200円



住民税
非課税
24,600円
老福年金
受給者
15,000円

【改正案】
    自己負担
限度額
外来(個人ごと)
一定以上所得者
(注1)
40,200円 72,300円
+1%
(40,200円)
一般 12,000円 40,200円



II 8,000円 24,600円
I
(対象拡大:注2)
15,000円

(注1) 一定以上所得者は、現役世代の平均的収入以上の所得がある者。
(年収例) 単独世帯(年金のみ):約380万円程度以上
夫婦2人世帯(年金+給与):約630万円程度以上
(注2) 低所得者Iは、対象者の範囲を全体の約0.7%(老齢福祉年金受給者)から約15%程度に拡大。
(収入が年金のみの場合)単独世帯:約65万円以下、夫婦2人世帯:約130万円以下。
(備考) ・「1%」は、一定の限度額を超えた医療費の1%。
・( )内の額は、多数該当の場合(4月目以降)。

2.老人医療費拠出金等に係る見直し(平成14年10月実施)

(1) 老人医療の対象年齢を70歳以上から75歳以上に5年間で段階的に引上げ。

(2) 公費負担の割合を3割から5割に5年間で段階的に引上げ。
 ただし、一定以上の所得の者に係る医療費は公費負担の対象としない。

(3) 老人医療費拠出金の算定に係る老人加入率上限(現行30%)の撤廃。

(4) 退職者に係る老人医療費拠出金は、退職者医療制度において全額負担。

(5) 保険者の保険財政に占める老人医療費拠出金の持ち出し額の割合を一定範囲に止めるための調整措置については、現行どおり。

(参考)

老人医療の対象年齢及び公費負担割合の引上げ
〜拠出金の負担を軽減〜


図
※ 公費負担割合は、平成14年10月に34%とし、以降1年ごとに4%ずつ引き上げ、平成18年10月に50%とする。


老人加入率上限の見直し

※ 数字は各保険者の加入者1,000人当たり老人加入者数(平成13年度推計)


退職者に係る老人医療費拠出金の負担の見直し

図


3.老人医療費の伸びを適正化するための指針(平成14年10月実施)

○ 厚生労働大臣は、老人医療費の伸びを適正化するための事項を内容とする指針を定め、当該指針に即した都道府県及び市町村の取組に対する必要な助言その他の援助に努める。


II 医療保険制度の改革

1.保険給付(患者負担)の見直し

(1) 7割給付で保険間の給付率を統一(平成15年4月実施)。

(2) 外来薬剤一部負担の廃止(平成15年4月実施)。

(3) 3歳未満の乳幼児に係る給付率は8割(平成14年10月実施)。

(4) 自己負担限度額について、低所得者に配慮しつつ見直し(平成14年10月実施)。(政令事項)

(参考)

給付率の見直し

図


自己負担限度額の見直し(70歳未満の者)(月額)

【現行制度】
上位所得者
(月収56万円以上)
121,800円+1% 
(70,800円)
一般 63,600円+1%
(37,200円)
低所得者
(住民税非課税)
35,400円
(24,600円)
【改正案】
139,800円+1% 
(77,700円)
72,300円+1%
(40,200円)
35,400円
(24,600円)
(備考) ・「1%」は、一定の限度額を超えた医療費の1%。
・( )内の額は、多数該当の場合(4月目以降)。


2.保険料の見直し(平成15年4月実施)

(1) 被用者保険について、賞与に対しても標準報酬(月収)と同様に保険料を賦課する総報酬制を導入。

※ 1 保険料賦課対象の上限 月収:98万円、賞与(一回当たり):200万円。
※ 2 退職者拠出金の算定基礎についても総報酬に変更。

(2) 政管健保の保険料率の見直し

I総報酬制の下で保険料率を82‰とする。
II中期的に保険財政の均衡が図られるよう、少なくとも2年ごとに収支両面の見直し。
III社会保険庁長官による厚生労働大臣への保険料引上げの申出事由として、保険料額の総額の減少を補うために必要がある場合を追加。

3.国民健康保険制度の財政基盤の強化

(1) 市町村国保の広域化等を支援する基金の創設。(平成14年度実施)

 市町村国保の広域化や市町村合併の際の保険料平準化等を支援する基金を、都道府県に設置(国が半額を補助)。

※ 合併した市町村については、5年間に限り、保険料の不均一賦課を可能とする。

(2) 高額医療費共同事業の拡充・制度化。(平成15年4月実施)

 高額な医療費の負担を都道府県単位で調整する高額医療費共同事業の拡充・制度化を図り、国・都道府県が一定の費用負担。

国:1/4、都道府県:1/4

(3) 低所得者を多く抱える保険者を支援する制度の創設。(平成15年4月実施)

 低所得者の数に応じて保険料の一部を公費で負担する制度を創設。

国:1/2、都道府県:1/4、市町村:1/4

(4) 保険料(税)の算定方法の見直し。(平成15年4月実施)

 所得控除額について、住民税等と整合的なものとし、負担の公平を図る。

・青色専従者給与等控除及び長期譲渡所得等特別控除の適用。
・給与所得特別控除及び公的年金等特別控除の廃止。

(5) 保険料の徴収事務の私人委託。(平成15年4月実施)

 保険料の徴収事務をコンビニエンス・ストア等に委託することを可能とする。

※ (2)及び(3)については、平成17年度までの措置とし、国民健康保険の運営の状況、医療保険制度の在り方の検討状況等を勘案して見直しを行う。


III.その他

1.医療保険制度の改革等

(1) 医療保険制度の給付率については、将来にわたり7割を維持するものとする。

(2) I 保険者の統合・再編を含む医療保険制度の体系の在り方、II 新しい高齢者医療制度の創設、III 診療報酬の体系の見直しに関する基本方針を平成14年度中に策定するものとする。当該方針に基づいて、できるだけ速やかに(II についてはおおむね2年を目途に)、所要の措置を講ずるものとする。

(3) おおむね2年を目途に、次に掲げる事項について、その具体的内容、手順及び年次計画を明らかにし、所要の措置を講ずるものとする。

I 健康保険の保険者である政府が設置する病院の在り方の見直し
II 社会保険庁の業務運営の効率化及び事務の合理化

(4) おおむね3年を目途に、次に掲げる事項について、その具体的内容、手順及び年次計画を明らかにし、所要の措置を講ずるものとする。

I 政府が保険者である社会保険及び労働保険に係る徴収事務の一元化
II 医療保険、老人医療及び介護保険の自己負担が著しく高額になる場合にその負担の軽減を図る仕組みの創設
III 社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会による診療報酬の審査及び支払に関する事務処理の体制の見直し

(5) おおむね5年を目途に、政府管掌健康保険事業及び当該事業の組織形態の在り方の見直しについて検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

(6) 次に掲げる事項について検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

I 医療事故に迅速かつ適切に対応するための専門家による苦情処理体制の整備
II 医療及び医療費に関する情報の収集、分析、評価及び提供に係る体制の整備
III 医療保険及び老人医療の保険給付の内容及び範囲の在り方

2.関係制度の改正

○ 船員保険、共済制度について、健康保険に準じて改正。

3.その他

○ 片仮名書き・文語体となっている健康保険法の表記を、平仮名書き・口語体に改正。

○ 事業所単位となっている健康保険の届出事務について、本社での一括手続を認める。

○ 健康保険組合が解散する場合に、債務の完済のため、設立事業所の事業主に対する費用請求の根拠規定を整備。

○ 一定以上の所得の者の把握等に必要な資料の提供等に係る根拠規定を整備。

○ 所要の経過措置。


照会先
被用者保険関係・・・保険局保険課 内線3247
老人保健関係・・・・保険局総務課 内線3219
国民健康保険関係・・保険局国民健康保険課 内線3258


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