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II 調査結果の概要


1 一般調査および病院調査による乳幼児身体発育値および発育曲線について

(1)体重、身長、胸囲および頭囲の3、10、25、50、75、90および97パーセンタイル値

 乳幼児身体発育値は、表1から表4のとおりである。
 これらの表を使用する場合の留意事項は次のとおりである。

ア 年・月・日齢階級

 各計測項目とも出生時および30日に続き、2年未満については、1か月毎に、2年以上については6か月毎に数値が示されているが体重に関しては、これらに加え、1〜7日の数値が示されている。これは初期体重減少を考慮したものである。
 なお、1か月毎および6か月毎の月齢階級については、それぞれの月齢階級に含まれるものから算出された数値であることに留意されたい。例えば1〜2か月未満という表示は、生後1か月以上2か月未満のものの体位を示す数値である。

イ パーセンタイル

 パーセンタイルとは、計測値の統計的分布のうえで、小さいほうから数えて何%目の値は、どれくらいかという見方をする統計的表示法である。それぞれの計測項目については、3、10、25、50、75、90および97パーセンタイルの数値が性別に示されているが、これらは、それぞれの計測値につき、小さいほうから数えて3、10、25、50、75、90および97%目の数値に当っている。
 50パーセンタイルは中央値とも呼ばれているもので、この値より小さいものと大きいものが半数ずついることになる。また、3パーセンタイル未満のものは全体の3%、97パーセンタイルを越えるものも3%いるはずであり両者の間には94%のものが含まれていることになる。

(2)体重、身長、胸囲および頭囲の3、10、25、50、75、90および97パーセンタイル曲線

 図1から図8は、乳幼児身体発育値のうち、体重、身長、胸囲および頭囲についての3、10、25、50、75、90および97パーセンタイル曲線を示したものである。


2 昭和35年、昭和45年、昭和55年、平成2年および平成12年の調査結果
 (体重、身長、胸囲、および頭囲の平均値)の比較について

 今回の調査結果を昭和35年、昭和45年、昭和55年、平成2年と比較すると表5から表8のとおりであり、体重及び身長を平成2年の発育曲線と比較すると図9に示すごとくおよそ次のとおりである。

(1)体重は、前回と比べ、男子では出生時から5か月までと、10か月から4歳半までやや減少している。女子では全般にやや減少している。

(2)身長は、前回に比べ、全般にやや減少している。

(3)胸囲は、前回と比べ、全般にやや減少している。

(4)頭囲は、前回と比べ、全般にほとんど差がみられない。


3 一般調査による乳幼児の運動・言語機能について

 表9−1は、乳幼児の運動機能について、それが可能なものの割合を示したものである。

(1)「首のすわり」は、生後4〜5か月の乳児の90%以上が可能である。

(2)「ねがえり」は、生後6〜7か月の乳児の90%以上が可能である。

(3)「ひとりすわり」は、生後8〜9か月の乳児の90%以上が可能である。

(4)「はいはい」は、生後10〜11か月の乳児の90%以上が可能である。

(5)「つかまり立ち」は、生後10〜11か月の乳児の90%以上が可能である。

(6)「ひとり歩き」は、生後1年4〜5か月の幼児の90%以上が可能である。

(注)  「首のすわり」は、乳幼児を仰向けに寝かせ、両手を持って引き起こしたとき、首が遅れないでついてくるとき「できる」とする。遅れた場合は引き起こし加減を少し戻して、再検する。再検してなお遅れる場合は「できない」とする。
 「ねがえり」は、左右どちらかの方向にでも仰位から腹位にかわることができるものを「できる」とする。
 「ひとりすわり」は、おおむね1分以上支えなしですわっていられるもので、このとき両手を床についていないものを「できる」とする。
 「はいはい」は、はって移動できるものを「できる」とする。
 「つかまり立ち」は、長時間かかっても何かにつかまってひとりで立ちあがれば「できる」とし、他人が立たせてやって立っているものは「できない」とする。
 「ひとり歩き」は、物につかまらないで、2〜3歩あるくものを「できる」とする。

 表9−2は、乳幼児の言語機能について示しており、生後1年3〜4か月の乳幼児の90%以上が単語を話している。

(注)  調査票の問は、「言葉を話しますか(ことばの数: )」であり、実際の対象をさして発音される単語がある場合「はい」とし、その単語の数を記入する。図表における「単語を言う」には、一語以上の言葉を話す乳幼児の割合を示している。

 図10−1図10−2は、表9−1表9−2の乳幼児の各運動・言語機能について示したものである。
 平成2年に比較して、運動機能について、それが可能となる時期が「はいはい」で早くなっているが、これは「できる」とする基準を変更したことによるものである。
 これ以外の項目では、全般的に、やや遅い傾向を示している。

(注)  平成2年: 「はいはい(高ばい)」は、両手と両足または両ひざを用いて、腹部でずらないように移動するものを「できる」とし、腹部でずりながら移動するものは「できない」とする。
   平成12年: 「はいはい」は、はって移動できるものを「できる」とする。

4 一般調査による乳幼児の栄養法について

(1)出生年次別にみた乳幼児の栄養法について

 表10は、昭和55年、平成2年および平成12年調査における乳児の乳児栄養法を示したものである。
 平成12年においては、平成2年に比べ人工栄養の割合が減少しており、また、母乳栄養については、月齢が進んでもその割合が高くなっている。

(2)離乳の状況

 表11にみられるとおり、生後5〜6か月では8割をこえる乳児が離乳を開始しており、生後1年2〜3か月未満では8割をこえる幼児が離乳を完了している。
 表12は離乳食の回数を示したものであるが、1回食では生後5〜7か月、2回食では7〜9か月、3回食では9か月以降で多くなっている。
 表13は離乳開始および完了月齢の平均値、標準偏差を出生年次別に示したものである。

(注)  この調査でいう「離乳開始」とは、ドロドロした食べ物を与え始めた時期とし、果汁、重湯などの液状は離乳の食物とはしない。「離乳の完了」とは形がある食物をかみつぶすことができるようになり、栄養源の大部分が乳汁以外の食物から摂取されるようになった時期をいう。

5 病院調査による出生時体位について

(1)妊娠期間別にみた出生時体位について

 表14に妊娠期間別にみた出生時の体重、身長、胸囲および頭囲の平均値、標準偏差を示した。各計測項目とも妊娠42週までは、妊娠期間が長くなるにつれて大きくなる傾向がみられる。

(2)単胎・双胎別にみた出生時体位

 表15に胎児数別にみた出生時の体重、身長、胸囲および頭囲の平均値、標準偏差を示した。すべての計測項目において単胎が双胎を上回っている。


6 妊娠中の喫煙・飲酒について

(1)母親の喫煙

 表16−1は母親の「妊娠中の喫煙」の有無、表16−2は、年齢別の「妊娠中の母親の喫煙」について示している。喫煙率は前回の5.6%と比較して10%と大きく増加している。また、若年齢で喫煙率が高く15〜19歳で34.2%と最も高くなっている。
 表16−3及び表16−4は喫煙本数別にみた出生時の体重及び身長について示している。喫煙本数の増加とともに出生時の体重・身長とも低くなる傾向がみられる。

(2)父親及び同居者の喫煙

 表17−1は父親および同居者の同室における喫煙の有無、表17−2及び表17−3は母親の喫煙無しにおける、同室喫煙本数別にみた出生時の体重および身長について示している。同室における喫煙率は45.7%であり、男子において同室の喫煙本数の増加とともに出生時の体重・身長とも低くなる傾向がみられる。

(3)妊娠中の飲酒について

 表18−1は「妊娠中の飲酒」について示しており、飲酒率は18.1%である。
 表18−2は、年齢別の「妊娠中の飲酒」の状況について示している。飲酒率は年齢とともに増加している。表18−3及び表18−4は飲酒量別にみた出生時の体重および身長について示している。



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