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平成13年9月14日

 本日、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会において、HMG−CoA還元酵素阻害剤の安全対策について審議を行ったところ、審議結果は次のとおり。

【審議結果】

1 HMG-CoA還元酵素阻害剤による横紋筋融解症の発症機序については、未だ不明確の部分が残されており、今後の学術的な研究が期待される。我が国においては、セリバスタチンによる横紋筋融解症の発現頻度は、他のスタチン系薬剤に比べて高い傾向が示唆される。したがって、販売を中止した企業判断は妥当と考えられる。

2 HMG-CoA還元酵素阻害剤の有用性を考えると、この分野での治療剤として重要な位置を占めると言える。今後においても、使用上の注意に留意しつつ、安全に使用できる範囲を十分に認識し、日常、臨床において副作用の早期の発見に努めることは重要である。したがって、現時点においては、HMG-CoA還元酵素阻害剤による横紋筋融解症については、

・ HMG-CoA還元酵素阻害剤の共通に認められる重大な副作用であること、
・ まれではあるが、発現した場合には、腎不全を伴い重篤化する可能性があること、
・ 初期症状の段階で発見できれば、回復ないし重篤化の防止の可能性があること、
が明らかになっている。以上のことから、製薬企業に対し、次の4点を指示することが妥当である。
(1) 横紋筋融解症関連症例の情報を収集すること
(2) HMG-CoA還元酵素阻害剤における横紋筋融解症の発現機序の解明に努めること
(3) 医療機関及び薬局に対し、用法及び用量並びに使用上の注意(腎障害のある患者、フィブラート系薬剤との併用、高齢者に係る注意等)の徹底を図ること
(4) 患者への説明文書の作成・配布による患者への注意喚起を図ること

(部会における主な意見)

・ HMG-CoA還元酵素阻害剤における横紋筋融解症について、フィブラート系薬剤との併用時も含めて、その発現機序の解明に努めるよう、製薬企業に指示することが妥当である。
・ 科学的な根拠に基づく安全対策は今後とも重要である。
・ 資料1の「2.これまでの経緯」に、平成13年8月23日に、バイエル薬品(株)及び武田薬品工業(株)が自主的にセリバスタチンの販売中止を決定した旨、追記するべきである。


(照会先)医薬局安全対策課
     関野、倉持
  TEL 03-5253-1111
     内線2748、2750


(参考1)HMG−CoA還元酵素阻害剤の概要
成分名 プラバスタチン
ナトリウム
シンバスタチン フルバスタチン
ナトリウム
セリバスタチン
ナトリウム
アトルバスタチン
カルシウム水和物
販売名
(製薬企業名)
メバロチン錠、
同細粒
(三共)
リポバス錠
(万有製薬)
ローコール
カプセル
(日本チバガイギー)
セルタ錠
(武田薬品工業)
バイコール錠
(バイエル薬品)
リピトール錠
(山之内製薬)
販売開始年月
(平成)
元年10月 3年12月 10年9月 11年5月 12年5月

(参考2)横紋筋融解症:

 骨格筋の融解、壊死により筋細胞成分が血液中へ流出した病態で、自覚症状としては四肢の脱力、痛み、赤色尿等がある。

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