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平成13年8月28日(火)
厚生労働省発表

経済産業省との連携による「地域産業・雇用対策プログラム」
の策定について

 我が国経済をみると、景気はさらに悪化しており、雇用情勢も、本日発表された7月の完全失業率が5.0%となるなど、厳しさを増している。地域別にみた場合、特に厳しい状況にある地域もある。こうした中で、経済・雇用情勢の変化に迅速かつ適切に対応し、雇用の創出と安定に努めていくことが、政府の重要な役割となっている。
 このため、厚生労働省は、経済産業省と連携し、都道府県の参加を得て、8月上旬に全国9カ所で「地域産業労働問題連絡協議会」を開催した。この地域での産業・雇用対策の連携などに関する意見交換の成果を受けて、昨8月27日(月)に両省の事務次官をトップとする「産業労働問題連絡協議会」を開催し、地域における両省の連携施策として「地域産業・雇用対策プログラム」を別紙のとおり取りまとめた。
 厚生労働省としては、現下の厳しい雇用情勢に鑑み、本プログラムを速やかに実施に移すこととしているほか、今後とも経済産業省と密接に連携し、地域における産業・雇用対策に万全を期していく所存である。


担当
職業安定局雇用政策課
電話   5253-1111
(内線) 5732
夜間直通 3502-6770

地域産業・雇用対策プログラム

平成13年8月28日
厚生労働省
経済産業省

 現下の経済情勢は悪化しつつあり、また、雇用情勢も予断を許さない状況にある。特に、地域によっては、雇用情勢が厳しい状況となっている。
 今後、経済・雇用情勢の変化に迅速かつ適切に対応していくことが、政府の重要な役割である。
 このため、厚生労働省と経済産業省は、雇用のミスマッチ解消や新たな雇用創出のための施策プログラムをとりまとめ、連携してこれを実施することにより、地域における産業・雇用対策に万全を期していく。

1.行政面での体制整備

(1)労働局と経済産業局との連携

・経済・雇用情勢に合わせ、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄の各地域ブロック毎に労働局と経済産業局の間で地域産業労働問題連絡協議会を随時開催する。同協議会においては、必要に応じて都道府県や関係機関の参加を得る。

(2)両省の関係団体における連携

・両省の関係団体においても、全国・地域双方で連携を図る。具体的には、全国レベルでは雇用・能力開発機構と中小企業総合事業団、中小企業・ベンチャー総合支援センターとの間で、地域レベルでは雇用・能力開発機構都道府県センターと都道府県等中小企業支援センターとの間で、定期会合の開催等により連携を図る。

(3)連携のあり方

上記の体制整備の下に、以下のような方法で相互の連携を図る。
(1)実態の把握と情報の共有
・経済情勢・雇用情勢の適切な把握、相互の連携による情報の共有を的確に行う。

(2)今後の連携のあり方の検討
・(1)の情報共有をベースに、当該地域における両局、関係団体の連携のあり方を継続的に検討する。

(3)両省の施策メニューの情報提供に係る連携
・地域産業施策・中小企業施策や雇用施策等の両省の各種支援メニューを整理し、本省・各局・関係団体それぞれにおいて、できる限りワンストップで施策メニューの情報提供を行えるような体制を整備し、施策の積極的な普及啓発に努める。

2.地域におけるミスマッチ解消・新規雇用創出のための具体的な施策の実施

(1)地域の求人情報の開拓

・ 経済団体に対して、地域企業の求人情報を積極的に把握するとともに、求人のある地域企業に対して、その求人の公共職業安定所への提出を呼びかけるよう要請する。商工会議所に対しては、地域企業100万社に対して、求人ニーズの把握のためのリーフレットを配布してその情報を把握するとともに、求人ニーズの概要を公共職業安定所に提供し、公共職業安定所の活用を呼びかけるよう要請する。その際、あわせて、改正雇用対策法の円滑な施行に向け、募集・採用時の年齢制限緩和の努力義務の周知を図る。
・公共職業安定所は、こうした求人の登録を始めとして、求人開拓をより一層推進する。
・公共職業安定所への求人の提出等を促進するため、IT化の推進等、より簡便な情報提供体制の整備に努める。

(2)民間における情報提供・職業紹介機能の充実

(1)しごと情報ネットの活用
・ 新たに100以上の経済団体等が参加することを目標に、しごと情報ネットへの参加を、各地域の商工会議所等の経済団体等に広範に呼びかけ、地域・職業紹介機関の枠を超えた情報提供等を推進する。
(2)商工会議所等の経済団体による積極的情報提供等
・ 労働市場全体における需給調整機能強化を図るため、労働力需給のミスマッチが発生している地域において、商工会議所等の経済団体が、公共職業安定所との連携の下、求人情報の積極的提供、職業紹介等の円滑な実施のための取組を進めるなど、地域の実情に合った求職者支援を行うよう、各ブロックの主要都市の商工会議所等の経済団体に対し、上記(1)で収集した求人情報等の積極的提供等を要請する。

(3)公共職業安定所の職業紹介機能の充実

・ 公共職業安定所においては、企業倒産のような場合に、就職あっせんの出張サービス等を行う「アシスト・ハローワーク」を引き続き機動的に展開する。
 さらに、求職者の利便性の向上を図るため、労働力需給のミスマッチが発生している地域において、公共職業安定機関と経済団体等が連携した就職面接会の柔軟な開催、出張相談の柔軟な実施等、幅広いチャンネルで求人情報の提供、職業相談を行うことなどにより、地域の実情にあった求職者支援を行う。

(4)新規・成長分野雇用創出特別奨励金等、各種雇用関連助成金の活用促進

・ 新規成長分野への円滑な労働シフトを促進し、当該分野の発展と新たな雇用創出を図るため、新規・成長分野雇用創出特別奨励金等の雇用関連助成金について、運用の改善等を含めて、その活用促進を図る。
・雇用失業情勢が悪化した場合に、中高年の非自発的離職者の再就職の促進を図るため、緊急雇用創出特別奨励金(完全失業率が5%を超えた場合に全国発動)について、経済団体と連携して積極的な周知を行うなど、その活用促進を図る。
・ 職場体験講習など、産業界や労働者のニーズが高い雇用創出促進施策の今後のあり方について引き続き検討する。

(5)地域雇用施策と地域産業施策・中小企業施策との連携

・ 地域再生産業集積(産業クラスター)計画の推進のため、新規・成長分野雇用創出特別奨励金等雇用関連助成金の普及啓発を図り、同計画において積極的な活用を図る。
・改正地域雇用開発促進法に基づく「地域雇用機会増大計画」、「地域求職活動援助計画」等に盛り込まれた「地域雇用開発促進の方策」に関して、労働局による地域雇用開発促進助成金(仮称)の活用の促進等を図るとともに、経済産業省による地域産業施策や中小企業施策の活用に努める。
・改正地域雇用開発促進法に基づき、国が事業主団体等に委託する「地域求職活動援助事業」など事業主団体が実施するミスマッチ解消のための活動に対し、労働局、経済産業局及び都道府県が協力に努める。

(6)地域のニーズに即した職業訓練の実施、職業紹介との連携による訓練受講者の就職促進等

・ 地域の公共職業安定所、公共職業能力開発機関、職業紹介事業者、経済団体等が連携して、企業の求める能力・資格等の人材ニーズを適切に把握する。
・ 労働局及び雇用・能力開発機構等においては、上記により把握した人材ニーズを踏まえ、委託訓練も活用しつつ、各地域において、各産業・職種分野ごとの人材ニーズに即した重点的かつ機動的なコースの設定と職業訓練の実施に努める。
・ 職業訓練を受けた者の速やかな就職に向けて、職業紹介機関、職業能力開発機関等が密接に連携して対応する。また、これらの機関と経済団体等が連携して就職面談会等を実施する。
・ 労働局と経済産業局は、地域内の大学等におけるインターンシップのニーズを把握し、受入れに対するスムーズな企業の協力体制の構築に向けて連携する。
・ITの活用を通じて地域における新規の事業の活性化を図るため、地域ソフトウェアセンター等を活用し、地域における高度なIT人材の育成を促進する。

(7)ベンチャー活性化と雇用創出に関するイベントの連携

・雇用・能力開発機構と職業安定機関が連携して開催する「出会いの場」(求職者との面接会)と、中小企業事業団が開催する「ベンチャープラザ」(情報提供・相談イベント)を共同で開催する。
・雇用・能力開発機構の実施する「雇用創出セミナー」・「雇用管理セミナー」と、都道府県等中小企業支援センターの実施する「創業セミナー」・「経営革新支援セミナー」の共同開催や、セミナー受講者に対する各種情報提供に係る連携を図る。
・上記イベントの連携を通じ、ベンチャー企業等に対して、中小企業労働力確保法に基づく各種支援措置の活用促進を図る。

(8)地域行政事務のアウトソーシングによる雇用創出

・ニーズは高いが、地域行政機関では十分に実施できていない事務を民間・NPO等にアウトソーシングし、地域での新たな雇用機会創出を促進できるよう、緊急地域雇用特別交付金制度の運用改善も含めて、行政事務のアウトソーシングによる地域での雇用創出のあり方について引き続き検討する。

3.プログラムの着実な実施とフォローアップ

 現下の厳しい雇用情勢にかんがみ、本プログラムについて、速やかに実行に移すとともに、その着実な実施を図るため、当面、各地域における取組状況について年内を目途にフォローアップを行う。
 なお、今後とも、両省は密接に連携し、雇用ミスマッチ解消・新規雇用創出に向けて積極的に取り組んでいく。


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