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医療材料物流システム設備整備事業について

(お知らせ)


 本年度、厚生労働省では、医療材料に係る物流の効率化・迅速化・省力化を図る観点から、「医療材料物流改革サプライチェーン構想」の実現を目的とし、総額約6億円で(財)医療情報システム開発センター(以下「MEDIS-DC」という。)を実施主体とした「医療材料物流システム設備整備事業」を行う
 医療材料は多品種少量製品であり、技術革新が日々行われておりライフサイクルが短い(直ぐに陳腐化する)といった特徴を有しており、製品数は数十万品目にのぼる。その為、従来から物流管理の困難さが指摘されており、特に医療機関では、医療材料を購入するに当たり、統計的な消費予測に基づく発注が困難で勘や経験に頼る発注、まとめ買いが行われ、在庫量及び使用量のチェックも十分で無いことから、過剰在庫を抱え有効期限切れとなる製品の発生や逆に欠品が発生するなど物流管理上の種々の問題を抱えている。
 医療材料物流改革サプライチェーン構想は、製品の調達から生産、販売、流通、消費までの全過程(サプライチェーン)についてモノと情報の流れを情報技術(IT)の活用により全体適正を図るものであり、(1)医療材料コードの標準化、(2)医療材料データベースの構築、(3)医療材料バーコード化、(4)電子商取引システムの構築の4ステップより構成される。本構想の実現により、(1)医療材料物流の効率化・迅速化・精度向上(受発注の精度向上・省力化、統計的消費予測に基づく発注、在庫管理の効率化・省力化、在庫量の減少)、(2)適正な市場価格形成(市場流通過程が透明化され価格競争を励起)、(3)商品の流通品質の向上(商品識別、有効期限管理が容易になる)等の様々な効果が期待されており、電子カルテ、オーダリングシステム等との連携により更なる効率化が可能である。
 本事業は、昨年7月に日本医療機器関係団体協議会において策定された「医療材料商品コード・UCC/EAN-128バーコード標準化運用基準マニュアル」に基づき、電子カルテ等医療情報高度化の観点からMEDIS-DCにおいて現在構築に向けた準備が進められている「医療材料データベース」と密接な連携の下に実施されるものであり、バーコードを活用した物流管理システムの有用性等を検証することを目的としたモデル事業である。本事業では、製造業者/輸入販売業者27社、卸業者8社、医療機関19施設に対してバーコード貼付機、バーコードを活用した物流管理システム構築に必要な設備を整備し、本年秋頃を目途にバーコードを活用した物流管理システムの有用性、問題点等を検証し、バーコード化推進方策検討の為の効果測定を開始する。バーコード貼付製品が相当程度市場に流通することになり、業界、医療機関の関心が高まることが予想され、本モデル事業を契機として医療材料のバーコード化が大幅に推進されることが期待される。


【照会先】
医政局経済課課長補佐 太田         係長 浅見 (電話)03-5253-1111(内)2533


(参考)

医療材料物流改革サプライチェーン構想について

1 医療材料の特徴

(1) 多品種少量製品である。

(2) 商品の入れ替わりが早く、ライフサイクルが短い(直ぐに陳腐化)。

(3) 物流による包装形態が変化する。

 製造業者等(輸入販売業者を含む。)は卸業者に対して、外箱単位で販売し、卸業者は医療機関に対して中箱単位で販売する。医療機関では中箱をばらして個装単位で使用するのが一般的。

2 医療材料の物流管理上の問題点

(1) 在庫管理不足による過剰在庫、欠品の発生

(2) 情報化が十分に浸透していないため、取引先が固定される傾向にあり、市場価格競争が十分ではない。

(3) 統一コードが無いことから、発注内容と納品内容の食い違い(形式、数量)

(4) 不具合発生時の追跡等に多大な労力を要する。

3 医療材料の物流管理を困難にしている要因

(1) 各流通段階(製造業者等、卸業者、医療機関)において独自の製品コードを使用していることや、コード間で整合性が欠如していることにある。医療材料は多岐にわたるサイズ及び銘柄が存在するにも拘わらず、製品コードが未整備である。

(2) 医療材料の物流について中心的役割を担う卸業者の大部分が中小企業であり、電算化システム等の導入が必ずしも十分でない。

4 医療材料物流改革サプライチェーン構想の主要施策

(1) 医療材料コード標準化

(2) 医療材料データベース構築

(3) 医療材料バーコード化

(4) 電子商取引システムの構築

5 医療材料物流改革サプライチェーン構想のメリット

(1) 医療材料物流の迅速化・精度向上

 製造管理・在庫管理の省力化、受発注の精度化・省力化・効率化(返品の減少)により医療材料物流が大幅に効率化する。

(2) 商品の流通品質の向上(安全管理)

 商品識別表示が容易になり、有効期限、注意事項の注意喚起が徹底される。また、不具合発生時のトラッキング(納品数量、納品先の使用状況)の把握が容易になり、安全管理に貢献する。

(3) 適正な市場価格形成

 市場流通過程が透明化され価格競争が喚起され、適正な価格形成に資する。

(4) 電子カルテ等の医療情報高度化支援

 医療機関における電子カルテ等医療情報化システムの導入を支援する。

(5) 診療報酬請求の省力化

 医療機関内で医療材料の使用状況と診療報酬請求をリンクすることにより、診療報酬請求事務の省力化・効率化が図れる。

6 取組状況

(1) 「医療材料商品コード・UCC/EAN-128バーコード標準化運用基準マニュアル」の策定

 平成12年7月に「医療材料商品コード・UCC/EAN-128バーコード標準化運用基準マニュアル」が我が国を代表する製造業者、卸業者の団体である日本医療機器関係団体協議会により策定され商品バーコード化に向けた統一的基準が定められた。本マニュアルでは、医療材料の商品コード体系としてJAN(Japanese Article Number)を採用し、バーコード表示はEAN-128としており有効期限/使用期限、数量、ロットナンバー等の表示が可能である。

(2) 医療材料データベース構築に向けた取組

 (財)医療情報システム開発センターにより、医療情報高度化(電子カルテ普及)を推進する観点から、関係業界との連携を図りつつ、医療材料データベースの構築に向けた取組が進行中であり、既に製造業者等による製品登録が可能な段階に至っており、数十社の製品については既に登録されている。

(3) バーコードモデル事業の実施

 厚生労働省では、(財)医療情報システム開発センターを実施主体とし「医療材料物流システム設備整備事業」を実施しているところである。本事業はモデル事業であり、製造業者/輸入販売業者が製品にバーコードを貼付し市場に流通させ、卸業者及び医療機関でバーコードを活用した在庫管理、品質管理等を行うことにより、その有用性を確認し併せて今後の普及方策について提言を行うものである。本事業により、製造業者/輸入販売業者、卸業者、医療機関の3者におけるバーコードシステムの有用性が検証され、費用対効果の定量的予測が可能になること、また、実際にある程度の数量のバーコード製品が市場に流通することから、本事業が呼び水となり商品バーコード化が急速に普及すると考えられる。本事業では、製造業者、卸業者、医療機関を公募により選定し、対象業者等にバーコード貼付機、バーコードリーダー等のバーコード製品の供給及びバーコードを活用した物流管理システムの構築に必要な設備を整備するものであり、設備整備を年度当初に実施し、秋頃を目途にバーコード製品の流通及びその効果測定を行うことが予定されている。


(参考)

医療材料物流システム設備整備事業について

1 目的

 医療材料を取り扱う製造業者/輸入販売業者、卸業者、医療機関の3者間で、「医療材料商品コード・UCC/EAN-128バーコード標準化運用基準マニュアル」(平成12年7月日本医療機器関係団体協議会)に基づく統一的なバーコードを用いた医療材料物流モデル事業を行うことにより、バーコードによる物流管理システムの有用性を検証し、医療材料の流通の効率化及び安全管理の向上に資することを目的とする。

2 事業の実施主体

 財団法人 医療情報システム開発センター

3 交付額

 599,903,000円

4 事業内容

 医療材料を取り扱う製造業者等が自社製品に統一的なバーコードを貼付し、それを市場に流通させることにより、卸業者及び医療機関における受発注の精度の向上、在庫管理の効率化、流通経費のコストダウン等のバーコードを活用した物流管理システムの有用性を検証することを目的に実施するモデル事業に必要な設備整備を行うものである。

5 整備対象

(1) 製造業者/輸入販売業者を対象として、バーコード貼付システムを構築するためのコンピュータ、バーコード貼付機及び関連周辺機器を整備

(2) 卸業者及び医療機関を対象として、バーコードを活用した物流管理システムを構築するためのコンピュータ、バーコードリーダー及び関連周辺機器を整備

(3) バーコード貼付製品に関するデータベースを構築するためのコンピュータ及び関連周辺機器を整備



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