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旭化成株式会社
「EO推進室の設置による、女性社員の積極的活用と育成」

総合化学         従業員数約12,200人(うち女性 約1,200人)


取組背景

 1)性別に関わらず優秀者は登用し活用したい、2)男女の区別をつけていては優秀者確保がおぼつかない、3)消費者に近い事業分野においては、生活感覚の強い女性の登用が必須という状況認識をふまえ、女性活用の推進を図ることとなった。

取組体制

 1986年からコース転換制度を設け、1991年から女性総合職採用を開始するなどの人事諸施策を展開してきたが、1993年に人事部内にEO(イコール・オポチュニティー)推進室を設置し、女性活用の推進に組織的に取り組むこととした。

取組目標

(1) 事業が10以上の分野に多角化していることをふまえ、2010年をめどにそれぞれの事業分野で女性管理職(課長職以上)登用を目標に、以下の活動方針を設定した。

(1)女性の職種、事業領域が特殊領域に限定されないよう、新卒配置職種、事業領域の拡大、新規領域への社内ローテーションを積極的に行う。

(2)管理職任用までには、大学学部卒新規採用者で最短で15年を要するが、女性が家庭生活と仕事を両立しながら、仕事に対するモチベーションをその間維持し、仕事の上で結果を出していけるように、育成やインフラ整備の施策検討を行う。

(2)具体的な数値目標

(1)総合職女性の採用比率拡大として、1991年スタート時点4%であった比率を、2000年までに従業員全体の女性比率を上回る15%まであげる。

(2) 2010年の女性管理職登用の中間目標として、係長職(管理職候補)の人数および配置職種・領域を拡大する。

取組内容

 上記取組目標達成のために、EO推進室として、(1)女性配置職種、事業領域の拡大(2)女性個人の育成・能力向上支援(計画的ローテーション・教育)(3)就業環境の整備(上司、職場の意識改革、セクシュアルハラスメント等就業環境悪化要因の排除、母性保護施策・育児施策拡大と多様化)に取り組んでいる。

(1)職種・事業領域拡大
 素材営業、研究開発職に加え、それまで女性を登用していなかった医薬MR職、半導体設計開発職等専門性の高い職種へ配置先を拡大した。
 2001年度は住宅営業並びに製造基幹職に女性の配属を実施した。

(2)育成・個人の能力開発支援
配置転換による計画的育成に加え、社外研修へ女性を指名して派遣も始めた。

(3)就業環境整備
 セクシュアルハラスメント防止対策の実施と併行してジェンダーハラスメント払拭のために各種研修・説明会を実施し、男女双方特に管理職クラスの意識改革に力を注いだ。また、仕事と家庭生活の両立支援施策の拡大により、従業員の選択の幅の拡大した。(1999年4月から育児休職・育児短時間取得の幅を子供の3才到達後3月末までに拡大。ベビーシッター補助の独自施策実施。)

取組の結果

 2001年4月入社者の女性比率は16%であり、現在の従業員女性比率を上回った。
係長職は、EO推進室発足当初の1993年5人から、2000年6月時点で62人まで増加した。人数は予定数を上回ったが、職種・事業領域については若干の偏りが見られる。

今後の課題

 女性採用比率を高めるためには、さらなる配置職種・事業領域の拡大が課題となっている。
 育成並びに仕事へのモチベーション維持のための取組は強化が必要であり、個々人が能力を伸ばしつつ勤続を伸ばしていくしくみをうまく機能させることが課題である。
 就業環境整備については、風土改革に加え、福利厚生等の運用側面についても見直しを実施している。
 以上の施策を通じて、仕事、個人、職場の三位一体でポジティブ・アクションを推進していくこととしている。


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