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厚生労働省発表
平成13年4月

「新規大卒者の就職活動等実態調査」からみる就職活動と就業意識

― 男性より早い女性の就職活動開始時期、男性より遅い女性の内定時期 ―
― 就職後に強まる転職志向、仕事もプライベートも大切にしたいが主流派 ―


 厚生労働省では、(財)21世紀職業財団に委託して、「新規大卒者の就職活動等実態調査」を実施し、その結果を取りまとめた。
 この調査は、平成11年4月から施行された改正男女雇用機会均等法の下で初めて就職活動を行った、平成12年3月卒業の4年制大学卒業者及び短期大学卒業者の、就職活動状況及び卒業から半年を経過した時点(平成12年10月)での就業意識の変化等について、その実態を把握するために実施した。(調査結果 資料No.1参照)
 厚生労働省雇用均等・児童家庭局では、女子学生の就職に関する均等な機会の確保と的確な職業選択を支援するための施策を実施しているが、採用面接・選考等の採用過程における男女差別的取扱いが依然として見られることから、従来の対策に加え、「男女均等な採用選考―採用に携わる方のための選考ルールブック―」を作成し、企業の採用担当者に、均等法に沿った男女均等な選考ルールを徹底させることとした。(資料No.2参照)


<調査の概要>
調査対象:平成12年3月に4年制大学及び短期大学を卒業した男女11,065人
(内訳)4年制大学女性6,563人 男性3,282人
短期大学女性1,220人
有効回答数2,237人(4年制大学 女性1,648人 男性371人
       短期大学 女性218人)
 調査対象者は、大学職業指導研究会、関西学生就職指導研究会及びその会員校並びに国公立の大学の計313校(4年制大学191校、短期大学122校)の協力を得て、平成12年3月に4年制大学及び短期大学を卒業した者のうち、就職希望であった者を選定した

調査日:平成12年10月実施

調査方法:無記名の自計式通信調査

調査実施機関: (財)21世紀職業財団(厚生労働省委託調査)


担当
厚生労働省雇用均等・児童家庭局 雇用均等政策課
課長       村 木 厚 子
均等業務指導室長 富 田 契 子
課長補佐     中 村 みどり
電話    03-5253-1111(内線7842)
夜間電話  03-3595-3272

(財)21世紀職業財団(理事長太田芳枝)
雇用均等業務部長 池 上 みよ子
電話    03-5276-3692


新規大卒者の就職活動等実態調査結果のポイント


1 就職状況

● 就職後半年の間に離・転職した4年制大卒女性は8.1%
 調査回答者の平成12年4月の時点での就職率は、4年制大卒女性は92.1%、4年制大卒男性は90.8%、短大卒女性は94.9%となっている。就職してから10月までの半年間に、4年制大卒女性で8.1%、4年制大卒男性で5.9%、短大卒女性で6.4%が離・転職を経験している。

2 就職活動

● 4年制大卒女性の約4割が3年生の12月以前に就職活動を開始
 4年制大卒女性の就職活動を開始した時期は、「平成10年12月以前」に開始した者が38.5%(男性34.5%)、「平成11年1月〜3月」が38.5%(男性37.5%)となっており、最終学年の前年度末の平成11年3月末までに就職活動を始めた者が77.0%(男性72.0%)で、男性よりやや早くなっている。
 短大卒女性は、「平成11年1月〜3月」に開始した者が40.4%で最も多く、「平成10年12月以前」に開始した者は7.3%となっており、4年制大卒より就職活動を開始した時期は遅い。

● 資料請求数は女性が男性を上回るが、企業からの資料送付は男性より少ない
 資料請求を行った平均企業数は、4年制大卒女性が64.1社、4年制大卒男性が59.6社となっている。資料請求に対して、「80%以上」の企業から資料が送付されてきた女性は35.6%であるのに対して、男性は51.3%となっており、資料請求数は女性が男性を上回っているが、企業からの資料送付割合は男性より低い。短大卒女性に対する資料送付割合は4年制大卒女性より更に低い。
 採用面接・試験を受けた平均企業数は、4年制大卒女性が12.2社、4年制大卒男性が11.8社であるのに対して、短大卒女性は6.1社で4年制大卒の半分程度と少ない。

● 就職活動開始時期は男性より早く、男性より遅い内定時期
 4年制大卒の内定時期は、男女とも「平成11年6月〜7月」がピークで、短大卒女性は、「平成11年10月〜平成12年3月」がピークになっている。
 「平成11年5月以前」に内定を受けた4年制大卒女性は18.5%、男性は22.4%となっているのに対して、「平成11年10月〜平成12年3月」に内定を受けた者は、女性が26.1%、男性が19.1%となっており、就職活動の開始時期は女性の方が早いにもかかわらず、内定時期は女性の方が遅くなっている。

● 就職企業の選択に当たり重視した条件は、「興味がある業種、職種であること」
 就職企業の選択に当たり、重視した条件は、4年制大卒男女とも、「興味がある業種、職種であること」(女性61.0%、男性53.9%)をあげる者が過半数を占めているが、次いで、4年制大卒女性は、「仕事の内容が自分の適性にあっていること」を、4年制大卒男性は、「会社の経営が安定していること、将来性があること」をあげている。
 就職活動全般を通して「もっとこうしておけばよかった」と思ったことがある者は7割を超えており、4年制大卒男女及び短大卒女性とも、「自分の適性についてもっと考えておくこと」、「もっと多くの就職情報、企業情報を入手すること」が二大反省点となっている。

3 就職活動中、勤務先で出会った男女別取扱い

● 4年制大卒女性の最も多くが就職活動中に出会った男女別取扱いは、「面接の時に、『結婚や出産をしても働き続けますか』と女性にだけ質問していたこと」
 4年制大卒女性は、就職活動中に出会った男女別取扱いとして、「面接の時、『結婚や出産をしても働き続けますか』ということを女性にだけ質問していた」(32.9%)、「女性には会社案内を送付しない企業があった」(28.6%)、「男女で募集人数が異なっていた」(28.3%)をあげる者が多く、様々な形での女性に対する差別が残っていることがうかがえる。

● 慣行として残っている結婚、出産退職
 勤務先で出会った男女別取扱いについてみると、4年制大卒女性では、「女性の管理職、役職者がほとんどいない」をあげる者が34.2%で最も多く、次いで「女性のみに制服が支給されている」(30.9%)、が続いているが、「妊娠、出産後も働き続けている女性がいない」、「女性は結婚・出産を機に退職する慣行がある」をあげる者も2割程度となっており、男女雇用機会均等法で禁止されている女性の結婚・出産退職制が、慣行として残っていることがわかる。
 結婚・出産退職制の慣行について業種別にみると、4年制大卒女性で、「建設業」に就職した者の約4割、「卸売・小売業、飲食店」に就職した者の約3割が結婚・出産退職慣行があるとしており、「製造業」、「金融・保険業」においても2割を超えている。

4 就業意識

● 就職後に強まる転職志向
 就職活動中には、4年制大卒及び短大卒女性は、「結婚、妊娠、出産等家庭の事情で仕事を途中で辞めても再び働きたい」としていた者が最も多く、4年制大卒男性は、「定年までずっと働きたい」としていた者が最も多かったが、就職後には、それぞれ「定年までずっと働きたい」が減少するとともに、「もっと好条件や自分を活かせる企業、職業があれば転職したい」が大幅に増加し、4年制大卒女性、4年制大卒男性、短大卒女性のいずれにおいてもトップを占めており(それぞれ36.8%、50.9%、33.9%)、転職志向の強さをうかがわせる。

● 「仕事もプライベートも大切にしたい」が主流派
 就職活動中も就職後も、「仕事もプライベートも大切に考えていきたい」としていた者が最も多く、主流派を占めているが、就職後には、「どちらかといえば仕事を中心に考えていきたい」が減少し、「どちらかといえば仕事よりプライベートを中心に考えていきたい」が増加しており、わずかながらプライベート重視に移行していることがみてとれる。

調査結果内容の詳細及び付表については、(財)21世紀職業財団のホームページでご覧ください。

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