報道発表資料  トピックス  厚生労働省ホームページ

平成13年4月19日

医療用フェナセチン含有医薬品の濫用対策としての供給停止について

1.経緯

(1) フェナセチン含有医薬品の濫用防止を含む安全対策として、これまで以下の対応を行ってきた。

(1) 医療用フェナセチン含有医薬品については、昭和52年以来、使用上の注意に「長期連用しない」旨等の記載を設けて注意喚起を図ってきたほか、昭和57年11月「厚生省医薬品情報」において、長期に大量を服用した場合の腎障害や腎盂・膀胱腫瘍の発生リスクの増大等について医療関係者へ注意を呼びかけている。

(2) 一般用フェナセチン含有医薬品については、長期連用の危険性があることから、昭和57年以降、認めておらず、現在市販されていない。

(2) 今般、昨年11月から本年3月にかけて、医療用フェナセチン含有医薬品の長期・大量服用による重篤な腎障害等の報告が短期間に相次いだため、改めて安全対策の検討を行った。


(参考)フェナセチン

古くから主として鎮痛目的で使用されてきた解熱鎮痛薬。調剤用フェナセチンの他、医療用フェナセチン配合剤があり、成人の場合、1日最大用量はフェナセチンとして1.5gである。

2.検討結果

(1) 医療用フェナセチン含有医薬品の濫用防止を含む安全対策について検討した結果、以下の理由から、注意喚起がなされているにもかかわらず、濫用の実態が広がっている蓋然性が極めて高いと考えられた。

(1) 1994年以降、厚生労働省へ報告された重篤な副作用症例の中に、重い腎障害、腎盂・膀胱腫瘍等、フェナセチン含有医薬品を長期・大量に服用したことによる腎・泌尿器系障害の症例が見られること。(別紙1

(2) 医療用フェナセチン含有医薬品の総出荷量が、最近10年間で約1.4倍に増加していること。

(2) 頭痛、月経痛、歯痛等の鎮痛については、長期使用での副作用の危険性が低いアスピリン、アセトアミノフェン等により代替可能である。

(3) 長期連用を避ける等の使用上の注意を遵守して使用する限りにおいては腎障害等を生じることはないことから、既に出荷されている製品の回収は要しない。

3.今回の対応

(1) 厚生労働省では、本日、フェナセチン含有医薬品(別紙2)を製造する各製薬企業に対し、当該医薬品の供給の停止を要請した。

(2) また、厚生労働省では、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会等、関係団体にこうした措置を行った旨を通知し、フェナセチンを含有しない他の医薬品への切替え等、必要な要請を行った。

(3) 要請を受けた各企業においては、自主的に供給停止を行うこととし、すみやかに医療関係者への情報提供を開始すると報告を受けている。


(別紙1)

No. 報告年 性別 年齢 服用期間 フェナセチン
総服用量(推定)
腎・泌尿器系障害等
1 1994 40代 1カ月以上 150g以上 腎機能障害、溶血性貧血、肝機能障害(中等度)
2 1995 70代 28年 5kg以上 慢性腎不全、血小板減少症
3 1995 40代 15年 4kg以上 膀胱腫瘍、腎盂尿管腫瘍、慢性腎不全
4 1996 50代 8年6カ月 1.5kg ネフローゼ症候群
5 1996 50代 10年以上 9kg以上 慢性腎不全、溶血性貧血、メトヘモグロビン血症
6 1996 80代 30年 2.3kg 腎盂癌
7 1996 40代 16年 5.8kg以上 慢性腎不全(慢性間質性腎炎)
8 1997 60代 18年 3.2kg 二次性腫瘍(膀胱腫瘍、腎盂腫瘍)、腎機能障害
9 1997 40代 10年 2.5kg以上 フェナセチン腎症(腎性網膜症)
10 1997 50代 4年以上 1.5kg 慢性間質性腎炎
11 1998 60代 9年 1kg以上 膀胱腫瘍
12 1998 60代 10年 1.4kg 腎盂腫瘍
13 1998 40代 24年 2.6kg 膀胱腫瘍
14 1998 60代 30年 13kg 慢性腎不全、膀胱癌、尿管癌
15 1999 30代 9年 2kg以上 間質性腎炎
16 1999 70代 30年 13.6kg 尿路上皮腫瘍
17 2000 60代 3年以上 3.28〜10.95kg 慢性腎不全
18 2000 60代 10年以上 2.7kg以上 腎障害
19 2000 60代 8年 1.25kg 急性腎不全、貧血、劇症肝炎
20 2001 30代 15年以上 5kg以上 腎機能障害、貧血
21 2001 40代 3年以上 1.8kg以上 慢性腎不全


(別紙2)

フェナセチン配合剤

アミピロ−N錠(日本新薬)
グリンケンH顆粒(北陸)
コレデスA顆粒(大鵬薬品)
コレデスA錠(大鵬薬品)
サリイタミン顆粒(菱山)
サリドン錠(日本ロシュ)
サリドン粉末(日本ロシュ)
セデスG(塩野義)
セパA細粒(メルク・ホエイ)
セパA錠(メルク・ホエイ)
ソルボンカプセル(小野)
トーワサール細粒(東和薬品)
プロニドンソフト錠(模範)
プロニドン末(模範)
マセダール顆粒(丸石)
ロイマピリンS顆粒(宇治)
ロイマピリンS錠(宇治)

調剤用(日局)フェナセチン

フェナセチン(岩城)
フェナセチン(健栄)
フェナセチン(小堺)
フェナセチン(三恵)
フェナセチン(シオエ)
フェナセチン(東洋製化)
フェナセチン(丸石)
フェナセチン(山善)
フェナセチン「エビス」(エビス)
フェナセチン.OY(オリエンタル)
フェナセチン「ツキシマ」(月島)
フェナセチン「ヒシヤマ」(菱山)
フェナセチン「ホエイ」(メルク・ホエイ)
フェナセチン「メタル」(中北)
フェナセチン「ヨシダ」(吉田製薬)
「純生」フェナセチン(純生)

(照会先)
医薬局安全対策課
伏見、工藤
TEL(03)5253-1111
内線2755、2753

トップへ
報道発表資料  トピックス  厚生労働省ホームページ