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平成11年 国民栄養調査結果の概要について


(1)高血圧、高血糖の者は高年齢階層で高率、肥満、高脂血の者は男性では40歳代、女性では50-60歳代で高率 (p.2)

 高血圧、高血糖の者の割合は、男女とも高年齢階層ほど高率。肥満者の割合は男性では40歳代(31.4%)、女性では60歳代(30.4%)、高脂血者の割合は男性では40歳代(59.6%)、女性では50歳代(62.5%)で最も高率(図1)。

(2)高血圧等を健康問題として認識している者の割合は最高でも3割 (p.3)

 健康上の問題として「血圧が高い」「血糖が高い」ことを認識している者の割合は男女とも高年齢階層で高いが、最高でも3割(図2)。

(3)高血圧等と判定されている者について、健康問題としての認識は不足 (p.4)

 高血圧等と判定されている者について、その現実の状態を自分の健康問題として認識している者は男性では約3-5割、女性では約1-6割(図3)。

(4)脂肪エネルギー比率は男性では20-40歳代で、女性では20-50歳代で適正比率を超過、しかし「とりすぎ」の認識は不足 (p.5)

 エネルギー摂取量に占める脂肪エネルギー比率は、男性では20-40歳代で、女性では20-50歳代で適正比率の25%を超えて高率(図4)。
 摂取脂肪エネルギー比率が25%を超える者のうち、「とりすぎ」と認識している者が約2割にとどまり、「ちょうどよい」「少ない」と認識している者の割合が約6-7割にのぼる(図5)。

(5)適切な食事摂取のための心がけはあるが、必要な知識・技術の不足 (p.6)

 健康のために脂肪を適量にしようと思う者は、男性では72.4%、女性では86.6%(図6)。
 適切な食品選択や食事のために必要な知識・技術をもつ者は男性では約3割、女性では約5割(図7)。「まったくない」とする者は20歳代の男性では23.9%、女性では9.1%、30歳代の男性では19.3%、女性では4.2%(図7)。


連絡先:厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室
    電話 03-5253-1111(代表)
    FAX 03-3502-3099
 担当:河野、多島(内線)2344、2345


I 調査の概要

1.調査の目的

 この調査は、栄養改善法(昭和27年法律第248号)に基づき、国民の食品の摂取量、栄養素 等摂取量の実態を把握すると同時に栄養と健康との関連を明らかにし、広く健康増進対策等に必要 な基礎資料を得ることを目的とする。

2.調査客体

 平成11年国民生活基礎調査により設定された単位区から無作為に抽出した300単位区内の世帯(約5,000世帯)及び世帯員(約15,000人)を調査客体とした。

3.調査項目

1)身体状況調査票

ア.身長、体重(満1歳以上)
イ.血圧測定(満15歳以上)
ウ.血液検査(満20才以上)
エ.1日の運動量(歩行数)(満15歳以上)
オ.問診〈喫煙、飲酒、運動〉(満20歳以上)

2)栄養摂取状況調査票

 世帯員各々の食品摂取量、栄養素等摂取量、食事状況〈欠食・外食等〉

3)食生活状況調査票

 満15歳以上を対象。健康問題についての認識、エネルギーや脂肪摂取に対する自己評価や適量摂取への心がけ、食品選択や食事の準備に必要な知識や技術について等。

4.調査時期

1)身体状況:平成11年11月

2)栄養摂取状況:平成11年11月の特定の1日(日曜日及び祝日は除く)

3)食生活状況:栄養摂取状況調査と同日

5.調査方法

1)身体状況:被調査者を会場に集めて、調査員である医師、保健婦、栄養士等が 測定した。

2)栄養摂取状況:調査員である栄養士が世帯毎に被調査世帯を訪問し、摂取した食品を秤量することにより実施した。

3)食生活状況:調査員である栄養士が被調査世帯を訪問し、留め置き法による質問紙調査を実施した。

6.調査系統

 調査系統は次のとおりである。
 厚生省−都道府県・政令市・特別区−保健所−国民栄養調査員


II 結果の概要

第1部 健康問題とその認識について

1.健康状態について

高血圧、高血糖の者の割合は男女とも高年齢階層ほど高率。肥満者の割合は男性では40歳代(31.4%)、女性では60歳代(30.4%)、高脂血者の割合は男性では40歳代(59.6%)、女性では50歳代(62.5%)で最も高率。

 高血圧の者の割合は、男女とも70歳代で67.5%、69.0%と高く、高血糖の者の割合も同様に70歳代で36.6%、42.4%と高い。一方、肥満の者の割合は、男性では40歳代で31.4%、女性では60歳代で30.4%と最も高い。さらに、高脂血(中性脂肪やコレステロールが高い)の者は、男性では40歳代で59.6%、女性では50歳代で62.5%と最も高い。

図1 性・年齢階級別健康状態

健康上の問題として「血圧が高い」「血糖が高い」ことを認識している者の割合は男女とも高年齢階層で最も高率であるが、最高でも3割。
「中性脂肪やコレステロールが高い」ことを認識している者の割合は男性では40歳代(25.7%)、女性では60歳代(29.8%)で最も高率。

 健康問題として、「肥満」「中性脂肪やコレステロールが高い」「血圧が高い」「血糖が高い」を認識している者の割合をみると、女性の70歳以上の「血圧が高い」の他は30%を下回っている。「血圧が高い」「血糖が高い」については、男性では60歳代でそれぞれ29.6%、15.2%と高く、女性では70歳以上でそれぞれ33.0%、8.1%と高くなっている。一方、肥満については、30歳代男性で19.3%と最も高く、「中性脂肪やコレステロールが高い」は40歳代男性で25.7%と最も高くなっている。

図2 性・年齢階級別認識されている健康上の問題

高血圧等と判定されている者についても、その現実の状態を認識している者は男性では約3-5割、女性では約1-6割であり、健康問題としての認識は不足。

 現在の健康状態で、肥満、高脂血、高血圧、高血糖と判定されている者について、それぞれの状態を自分の健康問題として認識しているかどうかをみると、最も認識している割合の大きい肥満についても、認識率は
男性で45.1%、女性で60.2%。また、高脂血については男性で29.8%、女性で35.3%、高血圧については男性で38.1%、女性で40.7%、高血糖については男性で25.7%、女性で12.6%にとどまっている。

図3 健康問題の認識について

エネルギー摂取量に占める脂肪エネルギー比率は、男性では20-40歳代で、女性では20-50歳代で適正比率の25%を超えて高率。

 20-40歳代の男性において、脂肪エネルギー比は27.3%、26.7%、25.8%
と適正比率の上限の25%を上回っている。一方、20-50歳代の女性においても29.2%、28.1%、28.1%、26.2%と、男性と同様に適正比率の上限を上回っている。

図4 性・年齢階級別摂取脂肪エネルギー比率

摂取脂肪エネルギー比率が25%を超える者のうち、「とりすぎ」と認識している者が約2割にとどまり、「ちょうどよい」「少ない」と認識している者の割合が約6-7割にのぼる。

 「脂肪の摂取量は適量だと思いますか」という問に対して、摂取脂肪エネルギー比率が25%を超える者のうち、男女とも、「ちょうどよい」「少ない」と認識している者の割合が64.9%、66.3%と高い。一方、「とりすぎている」と認識している者の割合は男性では20.3%、女性では20.9%である。

図5 脂肪エネルギー比率25%以上の者における脂肪摂取の自己評価

健康のために脂肪を適量にしようと思う者は、男性では72.4%、女性では86.6%。

 「健康のために脂肪を適量にしようと思いますか」という問に対して、「思う」者の割合は、男性では30歳代で最も高く78.9%が、女性では40歳代で最も高く92.1%と高率である。

図6 性・年齢階級別脂肪適量摂取の心がけ

適切な食品選択や食事の準備のために必要な知識・技術をもつ者は男性では約3割、女性では約5割。「まったくない」とする者は20歳代の男性では23.9%、女性では9.1%、30歳代の男性では19.3%、女性では4.2%。

 「食品を選んだり、食事を整えるのに困らない知識や技術がありますか」という問に対して、男性では「十分にある」3.5%、「まあまあある」28.3%で「ある」と回答する者は31.8%にすぎない。特に、20-30歳代男性では30%を下回っており、「まったくない」者が20歳代男性では約4人に1人、30歳代男性では約5人に1人みられる。一方、女性では「十分にある」5.7%、「まあまあある」49.4%で「ある」と回答する者が55.1%を占める。

図7 性・年齢階級別適切な食事摂取のために必要な知識・技術の有無

喫煙習慣は男性では30歳代が、女性では20歳代が最も高率。
飲酒習慣は男性では50歳代が、女性では30歳代が最も高率。
運動習慣は男女とも30歳代で最も低率。

 喫煙、飲酒習慣は男性では20歳代で喫煙56.3%、飲酒34.0%、30歳代で喫煙58.1%、飲酒48.8%である。女性では20歳代で喫煙16.0%、飲酒6.6%、30歳代で喫煙14.9%、飲酒11.9%であり、男性の喫煙、飲酒習慣は女性の4~5倍高率である。一方、運動習慣については、男女とも30歳代で最も低く、男性では20.8%、女性では13.4%である。

図8 性・年齢階級別喫煙習慣者の割合 図9 性・年齢階級別飲酒習慣者の割合 図10性・年齢階級別運動習慣者の割合


第2部 食生活状況について

外食時や食品購入時に栄養成分表示を活用している者の割合は男性では約3割、女性では約6割。

 外食や食品購入時における栄養成分表示の利用は「いつもしている」「時々している」と回答する者が男性では4.2%、21.7%であり、女性では12.5%、42.7%と男性に比べて高率である。

図11 外食や食品購入時の栄養成分表示の利用状況について

自分に見合った食品や料理を選ぶのに、食品の表示や、外食料理のメニューなど、「整っている」と回答した者は男性では約4割、女性では約5割。

 「自分に見合った食品や料理を選ぶのに、食品の表示や、外食料理のメニューなどが整っていると思いますか。」という問に対して、「十分整っている」「まあまあ整っている」と回答した者は男性ではそれぞれ1.8%、39.1%、女性では2.2%、48.1%であった。また、「まったく整っていない」と回答した者は男性では8.4%であるのに対し、女性では3.4%と低い。

図12 食品表示や外食料理の整備状況について

家族と一緒に週に4、5日以上食事をしている者が男女とも約7割。
一方、ほとんどない者が約1割。

 「あなたは、ふだん家族と一緒に食事をすることがどれくらいありますか。」という問に対して、「週に4,5日以上」と回答する者が男性71.3%、女性77.4%と最も高く、次いで「週に2、3日以上」「週に1日」「ほとんどない」の順に多い。

図13 家族との共食状況について

家族がよりよい食生活のために協力的という者が男女とも約8割。

 「あなたの家族は、あなたが健康や食生活をより良い方向にしようとすることに協力的ですか。」という問に対して、男性では56.0%が「まあまあ協力的」、26.3%が「非常に協力的」と回答している。一方、女性においても「まあまあ協力的」が58.1%、「非常に協力的」が20.2%である。

図14 健康や食生活に対する家族の協力について

職場の配慮について、男女とも「健康診断の受診」が最も高率。
一方、「健康や食生活に関する情報の提供」「栄養指導や栄養相談」は低率。

 「あなたの職場は、次のようなことについて配慮がありますか」という問に対して、男女とも「健康診断の受診」と「食事時間の確保」と回答する者が最も高率であり、男性ではそれぞれ60.7%、48.7%、女性では50.7%、51.4%である。一方、「健康や食生活に関する情報の提供」及び「栄養指導や栄養相談」と回答する者は男女とも低率である。

図15 性・年齢階級別職場の配慮


第3部 栄養素等摂取状況について

1人1日当たりの摂取総エネルギー量はほぼ適正。カルシウム、鉄の摂取量は不足傾向、食塩摂取量は過剰傾向。

 国民1人1日当たりの栄養素等摂取量を調査対象の平均栄養所要量に対する充足率でみると、表1-1のとおり、エネルギーはほぼ適正摂取であり、カルシウム及び鉄を除く栄養素については所要量を上回っている。性・年齢階級別でみると、男性ではカルシウムの充足率が15-19歳、20-40歳代で、鉄については1-6歳で所要量を下回っている。一方、女性でもカルシウムの充足率は、15-19歳、20-40歳代で、また鉄については19歳以下、20-40歳代で所要量を下回っている。また、食塩摂取量については成人で1日10g未満が目標とされているが、20歳代以上のいずれの年代も超えており、50歳代では男性で15.4g、女性で13.3gと最も高い。

表1-1 年齢階級別栄養素等摂取量(総数)

表1-2 年齢階級別栄養素等摂取量(男)

表1-3 年齢階級別栄養素等摂取量(女)

(2)食品群別摂取量について

40歳代以下の年齢で野菜類の摂取不足。

 主要食品群別の摂取量について、性・年齢階級別に示したものが表2-1から表2-3である。特に野菜については「健康日本21」で成人350gを目指しているが、男女ともに20-40歳代では300g以下の摂取量にとどまっている。

表2-1 年齢階級別食品群別摂取量(総数)

表2-2 年齢階級別食品群別摂取量(男)

表2-3 年齢階級別食品群別摂取量(女)


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