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市町村事務に関すること

1 支援費を支給する市町村(援護の実施者)について
2 支援費の申請から受給者証の交付までの事務
3 サービス利用から支援費の支払いまでの事務
4 基準該当居宅支援に関する事務
5 転入・転出時の事務
6 支給量変更時の事務
7 障害程度区分変更時の事務
8 支給決定の取消し事務
9 措置を行う場合に関する考え方
10 苦情等への対応について
11 施行前準備について


1 支援費を支給する市町村(援護の実施者)について

 援護の実施者は、「居住地」の市町村(居住地を有する場合)又は「現在地」の市町村(居住地を有しないか、不明の場合)である(身障法第9条、知障法第9条)。
 居住地とは、住民票の所在の有無ではなく、将来にわたり起居を継続することが社会通念上期待できる場所である。

(1) 居住地を有する障害者の施設類型ごとの援護の実施者について

(1) 身体障害者更生施設、身体障害者授産施設、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設又は知的障害者通勤寮の入所者
 標記の施設については、訓練終了後等には入所者は施設を退所することが予定されているから、当該施設入所者は、施設所在地の市町村に居住地を有するのではなく、施設入所前に住んでいた市町村に居住地を有する。したがって、援護の実施者は、入所前に住んでいた市町村となる。
 ただし、出身世帯が転出するなどの事情により、利用者が退所後入所前の市町村と異なる市町村に戻ることが想定される場合は、出身世帯の転出先の市町村が援護の実施者となる。
(2) 身体障害者療護施設の入所者
 身体障害者療護施設入所者の援護の実施者については、居住地特例(「入所前の居住地の市町村」身障法第9条第2項)により、施設入所前に住んでいた市町村が援護の実施者となる。
 また、身体障害者療護施設入所者が継続して二以上の身体障害者療護施設に入所している場合は、当該入所者が最初に入所した身体障害者療護施設の入所前の居住地の市町村が援護の実施者となる。
(3) 知的障害者地域生活援助(グループホーム)の入居者
 知的障害者居宅支援の知的障害者地域生活援助(知的障害者グループホーム)については、住まいの場として考えられることから、将来にわたり起居を継続することが社会通念上期待できる場所であるグループホーム所在地が「居住地」である。したがって、グループホーム所在地市町村が援護の実施者となる。
(4) 心身障害者福祉協会が設置する福祉施設(国立コロニー)の入所者
 国立コロニーは、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設に準じて取り扱い、施設入所前に住んでいた市町村が援護の実施者となる。
(2) 居住地不明者の施設訓練等支援費の支給について

 施設に入所する場合、障害者が入所前に居住地を有しない者又は居住地が明らかでなかった者であるときは、入所前におけるその者の所在地の市町村が、援護の実施者となり、施設訓練等支援費の支給を行うこととなる。

(3) 平成15年3月末日まで都道府県が措置を行う居住地不明者の知的障害者援護施設入所者の施設訓練等支援費の支給について

 平成15年4月1日より、知的障害者が居住地を有しない場合又は明らかでない場合の援護の実施者は、権限の委譲により、その者の現在地の都道府県から、その者の現在地の市町村へ変更となる。
 都道府県がその者が入所前に居住地を有しない者又は居住地が明らかでなかった者の援護の実施者としてこれまで措置してきた、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設、知的障害者通勤寮又は心身障害者福祉協会が設置する福祉施設(国立コロニー)の入所中の者については、平成15年4月1日からは、当該入所者が措置されたときの現在地の市町村が援護の実施者となり、施設訓練等支援費の支給を行うことを原則とする。
 ただし、措置されたときの現在地が明らかでない場合は、当該施設の所在地の市町村が援護の実施者となり、施設訓練等支援費の支給を行うことになる。

2 支援費の申請から受給者証の交付までの事務

(1) 制度の利用に関する情報提供と相談

 市町村は、障害者(利用者)や保護者等の関係者が、サービスを選択し利用するために必要な各種の情報提供を行い、利用の相談に応じることができる体制を整備する必要がある(身障法第9条、知障法第9条、児福法第21条の24)。

(市町村が情報提供する主な内容)
・指定事業者、指定施設に関する情報
・基準該当居宅支援事業者に関する情報
・相談支援に関する情報
・支援費支給申請の手続きに関する情報
・サービスの利用に関する情報
・支援費額、利用者負担額に関する情報 等
(2) サービス利用に係るあっせん・調整、要請

 市町村は、利用者からの求めに応じ、居宅支援や施設の利用についてあっせん又は調整を行うとともに、必要に応じて事業者や施設に対して利用の要請を行う(身障法第17条の3、知障法第15条の4、児福法第21条の24)。

(3) 支援費支給申請の手続き

 障害者、障害児の保護者は、必要に応じ、市町村等から各種の情報提供を受け、サービスの利用について相談し、援護の実施者である市町村に対して、利用するサービスの種類ごとに、支援費の支給の申請を行う(18歳未満の障害児の場合、申請者は保護者であり、支給の対象となるサービスは居宅支援のみ。)。

(1) 支給の対象となるサービス一覧

居宅支援 施設支援
身体障害者 知的障害者 障害児 身体障害者 知的障害者
身体障害者
居宅介護
知的障害者
居宅介護
児童
居宅介護
身体障害者
更生施設支援
知的障害者
更生施設支援
身体障害者
デイサービス
知的障害者
デイサービス
児童デイ
サービス
身体障害者
療護施設支援
知的障害者
授産施設支援
身体障害者
短期入所
知的障害者
短期入所
児童
短期入所
身体障害者
授産施設支援
知的障害者
通勤寮支援
  知的障害者
地域生活援助
    国立コロニー

(2) 申請の際に必要な書類
申請書
 (申請書の主な記載事項)
・障害の種別
・居宅生活支援費、施設訓練等支援費の別
・申請年月日
・対象者の氏名、生年月日、性別、居住地、電話番号
(児童の場合)
 保護者氏名、居住地、電話番号、続柄
(利用者負担に係る扶養義務者がいる場合)
 氏名、電話番号、続柄
・制度利用の状況
 サービスの種類、利用の有無、事業者、施設名、介護保険の利用状況等
・当該申請に係るサービスの種類、内容
添付書類
・本人及び扶養義務者の利用者負担能力を判定し利用者負担額を決定するために、本人及び扶養義務者の収入や課税状況等が把握できる書類や資料を添付する必要がある。

(4) 支援費支給決定(支給申請から支給決定までの流れ)

(1) 障害者(18歳未満の障害児は保護者)は、特定した種類のサービスについて、市町村に対し、支援費の支給を申請する。
(2) 市町村は、障害者からの聴き取りにより、「勘案事項整理票」に記入し、支給決定に当たり必要な事項を勘案する。
(3) 勘案の結果を踏まえ、市町村は、支給の要否を決定し通知する。
 支給決定を行った場合には、
ア 施設支援の場合
 支援の種類、支給期間、障害程度区分及び利用者負担の額

イ 居宅支援の場合
 支援の種類、支給量、支給期間、利用者負担の額

を定め、これらを記載した受給者証を交付する。

(5) 利用者負担額の決定

(1) 本人及び扶養義務者から必要に応じて、収入、課税状況等が把握できる書類や資料の提出を求める。
(2) それらの書類や資料をもとに、利用者負担の負担能力を判定し、負担能力に応じて、利用者負担額を決定する。
(3) 市町村は、利用者負担額の決定を行ったときは、速やかに利用者、利用者負担に係る扶養義務者に対して通知する。

(6) 受給者証の記載事項等

(1) 受給者証の種類
 市町村は、支援費の支給の決定を行ったときは、当該障害者(18歳未満の児童の場合は保護者)に
ア 居宅支援の場合は、居宅受給者証
イ 施設支援の場合は、施設受給者証
を交付する。
(2) 受給者証の主な記載事項
ア 居宅受給者証

・有効期限
・受給者番号、居住地、氏名、生年月日、性別

(障害児の場合)
 支給決定に係る障害児の氏名、生年月日、性別

・交付年月日
・支給市町村名
・障害の種別(身体障害・知的障害・障害児)
・居宅支援の種類(居宅介護・デイサービス・短期入所・知的障害者地域生活援助)
・支給期間
・支給量
・利用者負担(本人・扶養義務者)

(利用者負担に係る扶養義務者がいる場合)
 住所、氏名

* なお、事業者の記入欄を設け、事業者が、事業所名、居宅支援開始年月日を記入できるようにする必要があるか検討中である。

イ 施設受給者証

・有効期限
・受給者番号、居住地、氏名、生年月日、性別
・交付年月日
・支給市町村名
・障害の種別(身体障害・知的障害)
・支給期間
・障害程度区分
・施設種別
・利用者負担(本人・扶養義務者)

(利用者負担に係る扶養義務者がいる場合)
 住所、氏名

* なお、施設の記入欄を設け、施設が施設名称、入所年月日、退所年月日を記入できるようにする必要があるか検討中である。

(3) 支給管理台帳
 市町村は、支給決定を行い受給者証を交付する際に、支給決定内容等を記録するための支給管理台帳を作成、整備する必要がある。
(4) 受給者証の返還が必要になる場合
 市町村が支給決定を取り消し、支給決定障害者に受給者証の返還を求める事がある場合は次のとおりである。
ア 支給決定障害者又は居宅支給決定に係る障害児が支援を受ける必要がなくなったと認めるとき。

イ 支給決定障害者又は居宅支給決定保護者が、支給決定期間内に当該市町村以外の市町村の区域内に居住地を有するに至ったと認めるとき。
 (身障法第17条の8、第17条の13、知障法第15条の9、第15条の14、児福法第21条の14)

(7) 居宅生活支援費支給における支給量の管理

 居宅生活支援費の円滑な支給のため、支給量の管理が必要である。
 そこで、居宅支援事業者が居宅支援を提供した際、例えば利用者宅にある記録表に記入するなどにより、利用者及び居宅支援事業者が、その時点での支給限度量の残量や居宅支援の利用状況を把握できるようにし、利用者及び居宅支援事業者が支給量管理を容易に行え、市町村の審査支払い事務が円滑にできる仕組みについて検討中である。

3 サービス利用から支援費の支払いまでの事務

 支援費のサービス利用から支援費の支払いまでの流れ(代理受領)は次のとおりである。

流れ図

(1) 支給決定障害者(障害児の場合は支給決定保護者。以下同じ。)は、その選択した指定事業者・指定施設(障害児の場合は指定事業者のみ。以下同じ。)との間で、サービス利用に関して契約を締結する。
(2) 支給決定障害者は、指定事業者・指定施設に受給者証を提示してサービスを利用する。
(3) 指定事業者・指定施設は、契約に基づきサービスの提供を行い、提供したサービスの実績を関係帳票に記録する。
(4) 支給決定障害者は、利用者負担額を指定事業者・指定施設に支払い、指定事業者・指定施設は領収書を支給決定障害者に発行する。
(5) 扶養義務者の利用者負担がある場合は、扶養義務者は利用者負担額を指定事業者・指定施設に支払い、指定事業者・指定施設は領収書を扶養義務者に発行する。
(6) 指定事業者・指定施設は、提供したサービスの支援費請求書をサービス提供月末に作成し、翌月初めに市町村に送付する。また、支給決定障害者に対して支援費請求内容の通知を行う
*市町村は、あらかじめ市町村の支援費単価を明らかにしておく必要が ある。
(7) 市町村は、指定事業者・指定施設からの請求書と支給管理台帳を突合し、支援費と認められるものか、支給量の限度を超えていないか等、請求内容を審査する。
(8) 市町村は、審査後に支給額を確定し、原則として請求のあった月内に指定事業者・指定施設に支払う。
(9) 指定事業者・指定施設は、支給決定障害者に確定した支援費の代理受領額を通知する。

4 基準該当居宅支援に関する事務

(1) 基準該当居宅支援の利用に関する情報提供と相談

 市町村は、障害者(利用者)や保護者等の関係者に対して、基準該当居宅支援事業者等の情報の提供を行い、利用の相談に応じる。

* 市町村は、基準該当居宅支援事業者として認められる事業者を明確にしておくことが必要である。

(2) 支援費支給申請から受給者証の交付までの事務

 「2 支援費の申請から受給者証の交付までの事務」と同じ。

(3) 基準該当居宅支援の利用から支払いまでの流れ(償還払いによる場合)

流れ図

(1) 居宅支給決定障害者(障害児の場合は居宅支給決定保護者。以下同じ。)は、その選択した基準該当居宅支援事業者との間で、サービス利用に関して契約を締結する。
(2) 居宅支給決定障害者は、基準該当居宅支援事業者に居宅受給者証を提示してサービスを利用する。
(3) 基準該当居宅支援事業者は、契約に基づき基準該当居宅支援の提供を行い、提供した基準該当居宅支援の実績を関係帳票に記録する。
* 居宅支給決定障害者が支給量の管理を簡便にできる仕組みを検討中である。
(4) 居宅支給決定障害者は、費用全額を基準該当居宅支援事業者に支払う。
 事業者は、領収書を居宅支給決定障害者に発行するとともに、サービス提供証明書を基準該当居宅支援を提供した月末に作成し、利用者に発行する。
(5) 居宅支給決定障害者は、基準該当居宅支援を利用した月の翌月はじめに、特例居宅生活支援費支給申請書を記入し、基準該当居宅支援事業者発行の領収書及びサービス提供証明書を添付して、市町村窓口に申請し、償還払いの請求を行う。
* 市町村は、あらかじめ市町村の特例居宅生活支援費単価を明らかにしておく必要がある。
(6) 市町村は、申請者からの申請書類等と支給管理台帳を突合し、特例居宅生活支援費と認められるものか、支給量の限度を超えていないか等、請求内容を審査する。
(7) 市町村は、審査後に支給額を確定し、原則として申請(請求)のあった月内に居宅支給決定障害者に支払う。
(4) 特例居宅生活支援費の代理受領について
(1) 基本的な考え方
 特例居宅生活支援費については、支給について個別の判断を要することが想定されることなどから、制度上代理受領の仕組みがなく、居宅支給決定障害者がこれらのサービスを利用した場合、償還払いの方式となる。
 この場合、費用の立替、請求の手続きが居宅支給決定障害者にとって負担となることも考えられるため、あらかじめ基準該当居宅支援事業者と市町村の間で、償還払い支給の受領委任の契約を行った上で、居宅支給決定障害者からの委任を得ることにより、支給方式を代理受領の取り扱いとすることを検討中である。
(2) 代理受領の要件
 代理受領とする要件としては、次の2点が考えられる。
ア 基準該当居宅支援事業者が市町村との間で代理受領について契約に基づき合意していること。

 基準該当居宅支援事業者が当該市町村に多数あるような場合は、市町村と事業者との間で個別に代理受領契約を結ぶほかに、市町村の規則等において、代理受領の枠組みを定めた上で基準該当居宅支援事業者に代理受領の申し込みをさせ登録する方式も可能である。
 なお、基準該当事業者の少ない市町村については、登録といった形式をとらずに、市町村と事業者との間で、あらかじめ個別に契約を締結する方法も考えられる。
 市町村は、代理受領契約を結んだ基準該当居宅支援事業者名を、障害者による選択の幅の拡大のため、周知することが必要である。
イ 居宅支給決定障害者が代理受領の委任をしていること。

 委任の方法としては、特例居宅生活支援費の申請の際に、居宅支給決定障害者が当該事業者に受領を委任する旨を記入する方法等が考えられる。

5 転入・転出時の事務

(1) 転入・転出による援護の実施者の取扱について

(1) 居宅支援及び通所系の施設支援の場合
 本人の転居(居住地変更)により、援護の実施者(市町村)が変わることになる。
(2) 入所系の施設支援の場合(身体障害者療護施設支援を除く)
 原則として、本人の現在地にかかわらず、出身世帯の転居(居住地変更)により、援護の実施者(市町村)が変わることになる。
(3) 身体障害者療護施設支援の場合
 入所前の居住地の市町村が援護の実施者であり、本人の現在地や出身世帯の居住地に変更があっても援護の実施者に変更はない。
(2) 本人の転居により援護の実施者が変わる場合の手続きの流れ

流れ図

(1) 支給決定障害者(障害児の場合は、居宅支給決定保護者。以下同じ。)は、サービスを転入先において早く受けたいなどの場合には、必要に応じ、転居の予定を速やかに事業者又は施設並びに転出予定市町村及び転入予定市町村の障害者福祉担当窓口に連絡する。転出予定市町村及び転入予定市町村は転居に当たっての手続き等の案内や相談の対応を行う。
(2) 転出予定市町村は、必要に応じ、転入予定市町村の障害者福祉担当窓口に、援護の実施者が変更となることについての情報提供を行う。転入予定市町村が、支援費支給決定に当たり、前居住地での利用者の支給決定に関する情報を必要とする場合は、当該障害者の承諾を得た上で、転出予定市町村から転入予定市町村へ情報を提供する。
(3) 転居する当該障害者は、転出市町村の住民基本台帳担当窓口に転出を届け出、障害者福祉担当窓口にも連絡する。
(4) 当該障害者は、転入市町村の住民基本台帳担当窓口に転入を届け出るとともに、障害者福祉担当窓口で必要に応じ、支援費支給申請の手続きを行う。
(5) 転入市町村は、支援費支給の可否について、住民基本台帳情報の確認も行い審査を行うとともに、サービスの継続性の確保が必要な場合は、転出市町村の担当窓口と連絡調整を行い、支給決定日に配慮し、支給決定に関する事務を行い、転入市町村での受給者証を交付し、扶養義務者の利用者負担がある場合は通知する。
(6) 転出市町村は、サービスの継続性の確保が必要な場合は、転入市町村の担当窓口と連絡調整を行い、取消日に配慮し、支給決定取消しを行い、支給決定の取消しを通知し、転出市町村での受給者証の返還を求める。
(7) 転入先市町村で新たに受給者証を交付された支給決定障害者は、新しい受給者証を事業者・施設に提示し、必要に応じ、新規契約や契約内容の変更を行う。

(3) 施設入所者の援護の実施者が、出身世帯の転居により変わる場合の手続きの流れ

流れ図

(1) 施設支給決定障害者(施設入所者)及び転居する家族は、転居の予定を速やかに、施設、転出予定市町村および転入予定市町村の障害者福祉担当窓口に連絡し、転居に当たっての手続き等の相談を行う。
(2) 転出予定市町村は、転入予定市町村の障害者福祉担当窓口に、出身世帯の転居により援護の実施者が変更されることについての情報提供を行う。転入予定市町村が、支援費支給決定に当たり、前居住地での利用者の支給決定に関する情報を必要とする場合は、当該障害者の承諾を得た上で、転出市町村から転入予定市町村へ情報を提供する。
(3) 転居する家族は、転出市町村の住民基本台帳担当窓口に転出を届け出、障害者福祉担当窓口にも連絡する。
(4) 転居する家族は、転入市町村の住民基本台帳担当窓口に転入を届け出る。また、当該障害者は、障害者福祉担当窓口で施設訓練等支援費支給申請の手続きを行う。
(5) 転入市町村は、支援費支給について、住民基本台帳情報を確認し審査を行うとともに、転出市町村の担当窓口と連絡調整を行い、支給決定日に配慮し、支給決定に関する事務を行い、転入した市町村での受給者証を交付し、扶養義務者の利用者負担がある場合は通知する。
(6) 転出市町村は、転入市町村の担当窓口と連絡調整を行い、取消日に配慮し、支給決定取消しを行い、当該障害者に対して支給決定の取消しを通知し転出した市町村での受給者証の返還を求める。
(7) 当該障害者は、新しい受給者証を施設に提示し、必要に応じて契約内容の変更や再契約を行う。
(4) 留意事項
(1) 転入時から即日、居宅介護等のサービスを利用したい場合等、転出市町村と転入市町村の連絡調整が必要とされる場合がある。
(2) 出身世帯の転出により施設入所者の援護の実施者が変更する場合、前居住地の受給者証の取消日と新居住地の受給者証の交付日が連続しないと施設訓練等支援費が支払われない空白の日が生ずることから、市町村間による連絡調整が必要となる。

6 支給量変更時の事務

○ 市町村事務の流れ

流れ図

(1) 居宅支給決定障害者(障害児の場合は居宅支給決定保護者。以下同じ。)は、支給量を変更する必要があるときは、市町村に対し、当該支給量の変更の申請をすることができる。
(2) 市町村は、申請又は職権により厚生労働省令で定める事項を勘案し、居宅支給決定障害者につき、必要があると認めるときは支給量の変更の決定をする。
(3) 市町村は、支給量の変更の決定を行った場合には、当該決定に係る居宅支給決定障害者から居宅受給者証の提出を求め、居宅受給者証に当該決定に係る支給量を記載し、これを返還する。
(身障法第17条の7、知障法第15条の8、児福法第21条の13)

7 障害程度区分変更時の事務

○ 市町村事務の流れ

流れ図

(1) 施設支給決定障害者は、障害程度区分を変更する必要があるときは、市町村に対し、当該障害程度区分の変更の申請をすることができる。
(2) 市町村は、申請又は職権により施設支給決定障害者につき、必要があると認めるときは障害程度区分の変更の決定をする。
(3) 市町村は、障害程度区分の変更の決定を行った場合には、当該決定に係る施設支給決定障害者から施設受給者証の提出を求め、施設受給者証に当該決定に係る障害程度区分を記載し、これを返還する。
(身障法第17条の12、知障法第15条の13)

8 支給決定の取消し事務

(1) 支給決定の取消しが必要な場合

 市町村は、次の場合、支給決定を取消し、当該取消しに係る支給決定障害者(障害児の場合は、居宅支給決定保護者)に、受給者証の返還を求める。

(1) 支給決定障害者(障害児の場合は、居宅支給決定に係る障害児。)が支援を受ける必要がなくなったと認めるとき。
(2) 支給決定障害者(障害児の場合は、居宅支給決定保護者。)が、支給決定期間内に当該市町村以外の市町村の区域内に居住地を有するに至ったと認めるとき。
(身障法第17条の8、第17条の13、知障法第15条の9、第15条の14、児福法第21条の14)

(2) 留意事項

 転出による支給決定の取消しについては、サービスの連続性を確保しなければならない場合(身体障害者療護施設以外の施設入所者の出身世帯が転居し、援護の実施者は変更となるが、入所は継続される場合等)は、出身世帯が転出する市町村と出身世帯が転入する市町村とで、連絡調整を行い、転出する市町村での支給決定の取消日と転入する市町村での新たな支給決定の日が連続するようにし、空白の日が生じないように配慮する必要がある。(詳細は 「5 転入・転出時の事務」を参照)

9 措置を行う場合に関する考え方

(1) 法律の規定

 市町村は、支援を必要とする者が、やむを得ない事由により支援費の支給を受けることが著しく困難であると認めるときは、措置を行うことができる。(身障法18条 知障法15条の32〜第16条 児福法第21条の25)

(2) 「措置」の対象となりうるケース

 例えば、単独で支援費支給申請をすることが期待できない障害者の介護をしている者が急に死亡し、障害者ひとりとなり、周囲からの支援も期待できない状況で、緊急にサービスを必要とし、支援費支給申請を行う暇がないような場合が想定される。
 ただし、そのような場合であっても、速やかな申請を勧奨し、速やかに支給決定を行うことにより、可能な限り早期に、支援費制度の利用に移行する必要がある。

10 苦情等への対応について

(1) 支援費支給申請に対する決定に関するものについて

(1) 市町村は、日頃から障害者や障害児の保護者等に対して、支援費制度の趣旨、内容について十分理解してもらえるよう努める必要がある。
 (社会福祉法第75条第2項、身障法第9条、知障法第9条、児福法第21条の24)
(2) 支援費支給申請を受けた市町村は、行政手続法に従い、適正な事務処理を行うことが求められる。
(3) 支援費支給申請に対する市町村(福祉事務所に権限を委任している場合は福祉事務所)の決定に不服がある場合、申請者は、行政不服審査法に基づき、市町村に対して異議申し立て(福祉事務所に権限を委任している場合は審査請求)を行うことができる。
(2) サービス内容に関するものについて
(1) サービス利用に関する苦情は、事業者・施設と利用者の間で解決することが基本である。(社会福祉法第82条)
(2) このため、事業者・施設においては、福祉サービスに対する利用者の苦情や意見をくみ上げ、サービスの改善を図る観点から、十分な情報の提供を行うように努め、サービスの自己評価、第三者が加わった施設内における苦情解決等の仕組みの整備が求められる。(社会福祉法第75条第1項、第78条、第82条)
(3) また、事業者・施設は、社会福祉法に基づき、利用契約の申し込みがあった時は、その契約の内容等について十分な説明を行うとともに、利用契約成立時は、利用者に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。(社会福祉法第76条、第77条)
(4) 都道府県、市町村は、日頃から、障害者や障害児の保護者が、事業者・施設に関する情報を含めサービスの利用に必要な情報を、容易に得られるようにする必要がある。(社会福祉法第75条第2項)
(5) また、市町村は、住民に最も身近な行政機関であり、障害者の援護の実施者として、サービス利用に関する苦情、相談に応じることが求められる。
(6) なお、事業者・施設段階で解決できない苦情については、都道府県社会福祉協議会に設けられた運営適正化委員会により適切に解決を図る方法がある。(社会福祉法第83条)

11 施行前準備について

(1) 施行前に行うことができる手続き(施行前準備行為)

 市町村は、平成15年4月1日の施行の前に、居宅生活支援費と施設訓練等支援費の支給の決定の手続きを行うことができる。(社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律附則第27条)

(2) 支給決定の手続きを行うために必要な事項

 市町村は、支給決定の手続きを行うためには、関連政省令に基づき、市町村が行う事項について規則等で定める必要がある。

(1) 支給決定から支払いまでに関する事務処理
(2) 市町村において定める基準
ア 居宅生活支援費基準(厚生労働大臣が定める基準を下回らない範囲内)
 * 特例居宅生活支援費の場合についても準用
イ 居宅支援の利用者負担基準(厚生労働大臣が定める基準を超えない範囲内)
 * 特例居宅生活支援費の場合についても準用
ウ 施設訓練等支援費基準(厚生労働大臣が定める基準を下回らない範囲内)
エ 施設支援の利用者負担基準(厚生労働大臣が定める基準を超えない範囲内)
オ 旧措置入所者の施設訓練等支援費基準(厚生労働大臣が定める基準を下回らない範囲内)
カ 旧措置入所者の利用者負担基準(厚生労働大臣が定める基準を超えない範囲内)
(3) 基準該当居宅支援事業者に関する取り扱い
 継続・反復して特例居宅支援費の支給の対象となるような基準該当居宅支援事業者については、基準該当居宅支援事業者として満たすべき要件の判断(認定)をあらかじめ行う必要がある。その際、事業者の登録に係る要件及び手続き等について必要な事項を明確に示す必要がある。

(3) 現行制度利用者の支援費制度に関するみなし規定

旧措置入所者に係るみなし規定(経過措置)

 指定施設とみなされた既存措置委託施設の旧措置入所者については、施行後一年間は施設訓練等支援費の支給決定に係るものとみなされ、施設訓練等支援費を支給することができる経過措置が設けられている(附則第12条、第18条)。
 したがって、市町村はこれらの入所者に対しては、改正法施行の日から一年の間に、当該入所者の施設訓練等支援費の支給決定に関する手続きを行うことが必要である。経過措置の対象者は次のとおりである。

ア 市町村が現行制度で措置している身体障害者更生施設、身体障害者療護施設、身体障害者授産施設の入所者。
イ 市及び福祉事務所を設置している町村が現行制度で措置している知的障害者更生施設、知的障害者授産施設、知的障害者通勤寮の入所者。

(4) 留意事項

(1) 次の現行制度の利用者については経過措置がなく、施行日以降も入所、又はサービスの利用を継続するためには、施行日までに支給決定を行う必要があり、市町村は、支給決定に関する手続きを優先的に進める必要がある。
ア 居宅サービス(居宅介護、デイサービス、短期入所、知的障害者地域生活援助)の利用者
イ 都道府県から措置委託されている知的障害者更生施設、知的障害者授産施設、知的障害者通勤寮の入所者(居住地が福祉事務所未設置町村である者、または居住地不明者)
* 都道府県から市町村への権限委譲により、支給決定を市町村が行うこととなる。
ウ 心身障害者福祉協会の設置する福祉施設(国立コロニー)の入所者
* 都道府県が措置していた国立コロニー入所者については、市町村への権限委譲により、支給決定を市町村が行うこととなる。
(2) 市町村における支給決定事務が短期間に集中し、事務処理に支障を来たすことのないよう、例えば、支給決定を行う時期を施設ごとに定めた計画を都道府県が作成し、市町村がその計画に従った申請を勧奨するなど、円滑な事務処理のための工夫を行うようお願いしたい。


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