09/03/04 平成20年度女性の活躍推進協議会議事録 平成20年度女性の活躍推進協議会議事録 日時 平成21年3月4日(水)10:00〜12:00 場所 厚生労働省共用第7会議室(5階) 出席者 福原座長、大戸委員、大橋委員、岡田委員、久保田委員、     立石委員、樋口委員、前田委員、水越委員、山崎委員 事務局 村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、     安藤雇用均等政策課長、大地均等業務指導室長 議事次第 1 開会挨拶     2 委員ご紹介     3 今年度の活動について     4 意見交換 ○安藤雇用均等政策課長   定刻になりましたので、ただいまより「女性の活躍推進協議会」を開催させていただ きます。本日は大変お忙しい中お集まりをいただきましてありがとうございました。は じめに当局の村木局長からご挨拶を差し上げます。 ○村木雇用均等・児童家庭局長   雇用均等・児童家庭局長の村木でございます。今日はお忙しい中ご参集をいただきま して本当にありがとうございます。大変、経済情勢、雇用情勢が厳しいということで、 皆様方も本当にますますお忙しさを増している中でお集まりをいただきました。足元で 大変経済情勢が厳しい、雇用の問題が厳しいという一方で、ちょうど、つい先頃平成20 年の人口の推計が出ました。人口が5万人減、5万という数字はそんなに大きくはない かもしれませんが、それでも、調査を始めてからいちばん大きい人口減少の幅だそうで、 本当に日本は人口減少社会に入ったのだなと思わされる数字でございました。こういう 足元、それから、長期の日本の少子高齢化の流れの中で、当たり前のことかもしれませ んが、人材をどれだけ大事にできるか、どれだけみんなの持っている能力を、この社会 が使えるかが本当に大事な状況になっているなと思っております。  これだけ経済情勢が変わってまいりましたので、どこまでできるかは難しいのですが、 昨年の4月に「新雇用戦略」というものを政府全体で決定をいたしました。その中の大 事な柱として、「女性の就業希望の実現」というのが柱になっております。平成22年度 までを目標にした戦略ですが、この中で、まさにこの会議がテーマにしているポジティ ブ・アクションに取り組む企業の割合を40%を超えるようにしようというのが政府の立 てた目標です。いま私どもが持っておりますいちばん足元の数字で申しますと、平成18 年度の取組企業の割合で20.7%という数字がありますので、おおよそ2倍にしようとい う高い目標を掲げています。足元の雇用情勢が悪くなりますと、ポジティブ・アクショ ンはゆとりがあるときにやることではないのかというお話がどうしても出てくるのでは ないかと心配をしておりますが、この会議の名前が示しますとおり、女性の活躍がある ということは本当に企業にとっても、こういう危機的なときだからこそ大事なこととい うことで、私どももしっかり皆様方にアピールをしていきたいと、この協議会の力も借 りながら施策を進めていきたいと思っております。  この協議会は任期4年ということで、本日お集まりをいただきましたメンバーはちょ うど活動が終わる時期にきております。勝手に「発信し、行動する協議会」とキャッチ フレーズを私ども付けて申し上げておりましたが、言葉を変えれば大変人使いの荒い協 議会でございまして、メンバーの方々にいろいろな形でいろいろな所へ出て行っていた だき、対外的にもまた社内でも発信をいただきましたこと、本当に改めて御礼を申し上 げたいと思います。ちょうど締め括りの会議でございますので、4年間協議会の活動、 社会の変化、それぞれの皆様方の企業の中の変化なども踏まえて、これからの私どもの 取組に対して何か参考になりますことを率直に、忌憚なく今日はお話をいただければ本 当にありがたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○安藤雇用均等政策課長   では、議事に入ります前に委員の交代についてご説明申し上げます。  資料1に委員名簿がありますが、株式会社ベネッセコーポレーションの内永ゆか子様 と、社団法人日本経済団体連合会参与の高橋秀夫様が委員を退かれまして、新たに日本 経団連常務理事の久保田様にお願いしたところでございます。  委員の皆様を順にご紹介させていただきます。まず、本協議会の座長をお務めいただ いている株式会社資生堂名誉会長の福原義春様です。株式会社ニチレイ相談役の大戸武 元様、株式会社MRI代表取締役の大橋光博様、株式会社ベネッセコーポレーション執行 役員の岡田晴奈様、社団法人日本経済団体連合会常務理事の久保田政一様、オムロン株 式会社相談役の立石信雄様、東京海上日動火災保険株式会社相談役の樋口公啓様、株式 会社みずほフィナンシャルグループ取締役社長の前田晃伸様、株式会社セブン&アイ出 版代表取締役社長の水越さくえ様、全国中小企業団体中央会常務理事の山崎克也様です。  本日はNECラーニング株式会社代表取締役執行役員社長の内海房子様と、東京商工会 議所常務理事の茂木洋様がご欠席ということでご連絡を頂戴しております。  次に事務局の紹介をさせていただきます。冒頭ご挨拶を差し上げました局長の村木、 審議官の北村、雇用均等政策課均等業務指導室長の大地、私、雇用均等政策課長を務め させていただいております安藤と申します、よろしくお願いいたします。  それでは、以後の議事の進行につきまして福原座長にお願いしたいと思います。よろ しくお願いいたします。 ○福原座長   おはようございます。お忙しいところありがとうございます。先ほど人口減少のお話 がございましたけれど、私も間もなく人口減少の原因になりそうな、賞味期限切れの者 でございます。どうぞよろしくお願いします。今月、もう今月になってしまいましたが、 任期4年間の活動期間が終わるわけです。ありがとうございます。「発信し、行動する 協議会」ということで協議会本体としての活動に加えて、シンポジウムの開催、あるい は広報活動、いろいろ手を替え品を替えしてご協力をいただいてきました。また委員の 方々にはいろいろな場面でポジティブ・アクションの必要性だとか、重要性については お話をいただいたわけです。まず、今年度どんな活動状況であったかということについ て事務局からご説明をいただきますので、よろしくお願いします。 ○安藤雇用均等政策課長   まず、お手元の資料3をご覧ください。これは今年度1年間の取組についてまとめた ものですので、これに沿ってそれ以降の資料を参照しながらご説明を申し上げます。  まず1の雑誌における広報ですが、平成20年3月にポジティブ・アクション普及のた めの雑誌広告を経済各誌に掲載したものです。資料4にあるものを載せたということで、 「ポジティブ・アクション 私の提言」として福原座長、水越委員、立石委員、大橋委 員へのインタビューをまとめて掲載をしました。これは、前回の協議会においてポジテ ィブ・アクションの概念をわかりやすく示した上で推進策を打ち出すべきだというご意 見を頂戴いたしましたので、企業のトップ、人事労務担当者が広く購読している経済雑 誌を対象にこのような記事を載せています。  資料3に戻って210月に「日本経済と企業にとってのポジティブ・アクションを考え るシンポジウム」を開催しました。このシンポジウムではコーディネーターに実践女子 大学の鹿嶋敬教授を迎え、「改めて考えるポジティブ・アクションの必要性・重要性」 というテーマのもとでパネルディスカッションを行いました。内海委員にはパネリスト としてご参加をいただき、ほかの2名のパネリストとしては宮城県の株式会社大崎タイ ムス社社長と、長野県のシナノケンシ株式会社社長にお願いをいたしました。これも、 前回協議会で企業にとってわかりやすくポジティブ・アクションの必要性を示していく 必要があるというご意見を頂戴しておりましたので、パネリストの選定も含めて工夫を させていただきました。  次に資料5をご覧ください。これは10月のシンポジウムが終わった後に、11月にその 概要の事後広告という形で読売新聞に掲載をしたものです。また、12月の第1週には読 売オンラインでのインターネットによる事後広告も実施をしております。  更に資料6ですが、この事後広告に関する反響調査を実施しました。広告を掲載した 読売新聞社で首都圏在住の20歳以上の読売新聞の購読者から募集したモニター、有効回 答数は257名とちょっと数は少ないのですが、男性、女性半々ぐらいの割合でお答えを 頂戴したものをまとめております。1頁目、まず広告そのものに対する認知度は結構高 かったという結果が出ておりました。調査の実施社から聴取したところによると、ほか の広告よりも注目率が高かったということです。  次に3頁、4頁のあたりなのですが、その一方でポジティブ・アクションそのものの 認知度はあまり高くないという結果です。用語認知が3頁に出ておりますが、意味まで 知っていたのが9.3%、内容については13.6%ということでポジティブ・アクションの 認知度はいまひとつでした。次に5頁、6頁ですが、今回の広告により内容を理解した り、必要性を感じた方々は結構多く、9割近くの方が内容を理解したし、8割近くの方 が推進が必要だとお答えをいただきました。また7頁、8頁ですが、現状では女性の活 躍を評価する人は多いものの、環境が整備されていると感じている人は全体で4人に1 人程度、しかも、男性と女性で認知度に差があり、8頁で男性33.4%、女性17.2%が職 場環境は整っているとお答えをいただいています。  自由記入の意見、感想というのがあり、11頁以降にいくつかピックアップしてありま す。そこからは、現状ではまだ問題点が多いものの、ポジティブ・アクションに対して 継続的な取組に期待するというような声が感じられるお答えがありました。また、一方 で先ほどポジティブ・アクションへの認知度が低いということもありましたが、特に言 葉の馴染みが薄いとか、外国語、カタカナ言葉はよくないというご批判もいただいてい ます。あとは、推進上の問題点、困難性としては、中小企業が取組むのは難しい、大企 業のものだと思ってしまうというお声であるとか、行政の政策が見えにくいというご指 摘もありました。これらを今後の施策につなげていきたいと考えております。  次に資料7をご覧ください。これは「機会均等推進責任者メールマガジン 巻頭エッ セー」となっておりますが、私どもの出先機関の都道府県労働局雇用均等室で企業の 方々に人事労務管理の責任者の方を機会均等推進責任者としてご選任いただき、室にご 登録いただくと情報提供をするという制度を持っております。この機会均等推進責任者 向けにメールマガジンを毎月発行しておりますが、昨年8月より始めまして、巻頭エッ セーを委員の方々にご寄稿をいただいています。既に福原座長、水越委員、内海委員、 大戸委員、大橋委員、岡田委員、立石委員のエッセーを掲載させていただいており、そ れをお手元にまとめています。来週発行の3月号には樋口委員のエッセーを載せさせて いただく予定にしております。これらは大変いいエッセーをお寄せいただいております ので、今後ご了解を得られましたら何らかの形で啓発資料としてまとめていきたいと思 っております。  続いて資料8をご覧ください。均等・両立推進企業表彰のパンフレットをご用意して おります。平成19年度より均等推進企業表彰と、ファミリー・フレンドリー企業表彰を 統合して均等・両立推進企業表彰としました。その初年度において、この均等・両立推 進企業表彰のグランプリにあたる大臣最優良賞が出なかったものですから、前回の協議 会の折にもハードルが高いのではないかというご意見を頂戴しましたので、表彰基準は 明確、客観的に定めた上で、労働局雇用均等室のほうでも、積極的に企業に対して応募 に向けて助言を差し上げ、基準適合に向けての取組をお助けするというような姿勢で応 募勧奨を行ってきました。  このパンフレットの中に1枚紙が挟んでありますので、ご覧ください。これは今年度 の受賞企業一覧です。今年度は初めて両部門併せたグランプリである厚生労働大臣最優 良賞を株式会社ベネッセコーポレーションが受賞され、10月に先ほどご報告いたしまし たシンポジウムに先立ち表彰式を行わせていただきました。  そのほかの賞ですが、均等推進企業部門について、今年度は厚生労働大臣優良賞の該 当はありませんでしたが、ファミリー・フレンドリー企業部門では3社が受賞しており ます。また、都道府県労働局長賞もあり、これは均等推進企業部門においては16社、フ ァミリー・フレンドリー企業部門においては9社が受賞しております。株式会社みずほ 銀行さんも均等推進企業部門で受賞しておられます。来年度の表彰については今月末ま での応募の受付となっておりますので、機会がありましたら是非応募を呼び掛けていた だきたいと思います。  以上でございます。 ○福原座長   ありがとうございました。ただいまたくさんのご説明をいただいたわけですが、更に 追加を、あるいはご意見がありましたらお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。  とりあえずないようでしたら、次に皆様の意見交換に移りたいと思います。この意見 交換によってポジティブ・アクションのこれからの方向をどうするか、いろいろな問題 を決められる資料になるのではないかと考えています。これは、いままでの活動を振り 返っていただくということもそうですし、それから、今後ポジティブ・アクションを進 めるのですが、進める場合にどのような切り口があるだろうかということについてアイ ディアをいただければ、たいへん事務局の役に立つはずですので、よろしくお願いしま す。いつもは皆様にお話をいただいて、最後に私が総括するという役だったのですが、 今回は事務局のご提案により座長から話すということでありますので、とりあえず私の 意見を申し上げたいと思います。  先般、事務局の方々とお話をいたしましたところ、いまご報告ありましたように、ポ ジティブ・アクションといって盛んにやってきたのですが、もうひとつ世の中の認知率 が低いと思うのです。ポジティブ・アクションといっても一般の人はこれ、非常に極端 に言えば厚労省の業界用語みたいな感じもないではないのです。ですから、単にポジテ ィブ・アクションと言った場合に、何のポジティブなのですかと。これを正確に言えば 「女性の活躍を推進するためのポジティブ・アクション」ということなのでしょうけれ ど、これは委員会としての名前には馴染みませんので。  もうひとつポジティブ・アクションという言葉で表現される意味が一般に浸透してい ない、社会に浸透していないということが第一にあろうかと思うのです。これはもっと いいタイトルでもあればそれに変えるということもできるわけでしょうけれど、とりあ えず、そのことも皆さんでお考えをいただきたいと思うのです。  それから、これと平行してワーク・ライフ・バランスの問題が起こっております。そ れから、現在の雇用情勢を反映してワークシェアリングというキーワードがいろいろ話 題になっています。大変この関係も、ポジティブ・アクションとワーク・ライフ・バラ ンスと、まだ本格的にはスタートしていませんけれど、ワークシェアリングというのも 非常に不思議な、複雑な関係にあるので、これを一体どう整理していくのか。まず、ポ ジティブ・アクションをするにはワーク・ライフ・バランスがきちんとしていなければ いけないし、それから、ワーク・ライフ・バランスが確実に行われるためにはワークシ ェアリングが役に立つかもしれない。こういう大変複雑な関係にあるので、今後これを どう切り分けて説明していくかも1つの課題であると考えています。いずれにしても、 現在のような雇用情勢がますますこの問題に、課題に逆風になるのか。それとも、逆に それを追い風にすることができるのかということが、何か知恵で解決できるような気も するのですけれど、まだ私はそこまで考えていないのですが、皆様のアイディアをいた だければと考えているわけです。  まとまりませんけれど、2期4年、皆様と一緒に参加させていただいたわけですが、 それなりに中身はいろいろ考えてきたようにも思うのです。だけれどまだ、外側に発信 することも結構やってきたのだけれど、まだそれが、外側に納得してもらえるようには なっていないということではないかと思っています。もちろん、1年か2年でそんなこ とが世の中に浸透してしまって、全部の会社がそうなってくることを期待する、それは もともと無理なのです。しかし、社会の大勢としてそういうことがあるなという常識み たいなものになるような運動に展開することができればいいなと考えています。まとま りがないのですが、私の考えは大体そんなところです。大戸委員にあとはお願いします。 ○大戸委員   株式会社ニチレイというのは食品会社ということもあり、女性の活躍の場というのは かなりあるということです。人事制度の改革の一環としてこのポジティブ・アクション というのも導入しまして、段階的に女性の活躍推進施策とか、あるいはワーク・ライ フ・バランスの浸透施策、こういったものを積み重ねてほぼ10年がたちます。いろいろ な曲折はあったのですが、10年前に比べると、企業の財務状況も業績もかなりよくなっ てきております。また、当社が果たす6つの責任というのを挙げているのですが、この ワーク・ライフ・バランスの推進というのもそのうちの1つに位置づけられまして、企 業文化にも大変いい影響を与えているのではないかと、このように評価をしております。 この種の施策は大変忍耐強い積み重ねが大事というのが率直な印象です。  昨年は女性社員を対象にして「私たちのワーキングライフを考えよう!」というテー マ、副題は「キャリアをつむためにニチレイフーズ女性社員の多様な働き方を知る」と いうことで、社内のシンポジウムを2回ほど開催しました。  今後の対策を考えていく上でということで意識調査も行いました。この調査によりま すと、仕事に対する意識についての問いでは、「働き続けたい」というのが80%の方々 でした。仕事と私生活、どちらかというとどちらにウエートがあるかという質問では、 「私生活を大切にしながらも仕事でのやりがいに重点を置く」というのが48%、「仕事 を大切にしながらも私生活の充実に重点を置く」というのが同じく48%で、ほぼ拮抗し ているという状況でした。また、キャリアをどう考えていくかという質問に対しては、 「経営職、管理職を目指したい」というのが7%。担当の女性社員に言わせると、これ はかなり高いという感じを持っていたようです。「専門職で働き続けたい」というのが 24%。この専門職というのはうちの場合には役職と位置づけております。「一般職のま ま働き続けたい」というのが28%、「キャリアアップのために転職も考えたい」という のが18%、「結婚を機に退職をしたい」というのが6%、「出産・育児を機に退職した い」というのが10%、「あまり考えていない」というのが7%ということで、責任の大 きさとかやりがいへの意識は、非常に高く持っていると思っております。  女性が能力を発揮するための施策として、さらに必要なものは何かということで、い ちばん多かったのが「社内制度のさらなる充実」で、次に多かったのが「女性の感性と か特性を活かせるポスト、新部署の拡大」ということでありました。それから「ロール モデル」。職場の中に目標となるような女性社員、これは特に営業職ですが、そういう 目標となるような人の存在を多くしていってほしいということがありました。又、「キ ャリアアップ研修」とか「ジョブローテーションの充実」ということも挙げられており ました。これを参考にして、この4月からは地域限定総合職制度というのを発足させま す。これは育児とか介護、病気とか配偶者の転勤など、そういった事情によって希望す る事業所とかに仕事があった場合には、それはマッチングできるという前提なのですが、 最長6年間は地域限定でもかまわないという制度を導入します。  このように女性が働きやすい環境を段階的に整えていくということが企業の役割だと 考えております。できるところからやっていくというのがいちばん大事なところだと思 います。それから、女性社員に対してはやはりエンプロイアビリティーの向上、これを 求めていくということが必要だと思います。それから、国や地方団体による保育所の増 設とか、介護施設の拡充、能力開発の支援。こういったところはお願いしておきたいと 思います。  国も取組としてポジティブ・アクションの推進ということに力を入れてこられた。私 はこれは切り口としては非常にいいなと思っております。私どもの会社でも、まずポジ ティブ・アクションを3年間やって、役職社員の比率を増やしていきました。そのとき はやはり同年代の男性社員からも結構いろいろあったのですが、これは会社の方針であ る、この結果は必ずいいものが出てくるということで続けていって、良い結果になって いると考えております。又、本日も委員としてご出席いただいておりますが経済団体と の連携というのもやってこられているようで、これも大変いいと思います。あと、職種 によってやりやすいのとやりにくいのがあるので、業界団体というのも1つのアプロー チ先かなと思います。これは関係官庁が違うので、ちょっとやりにくいところもあるか と思うのですが、やはり経済政策の推進という視点の中で、労働政策みたいな分野とい うのは非常に大事なので、是非、関係省庁との連携というのは進めていっていただけれ ばと思います。  最後に、局長からのご挨拶の中で、こういう時期だからちょっと難しいのか、あるい はこういう時期だからこそというお話があったのですが、私どもがポジティブ・アクシ ョンとかそういったものを計画したのは、1998年とか1999年とか非常に景気が悪いとき だったのです。ですからむしろ、いまは大変に消費が落ち込んでいて、女性が持つ感性 とか特性を発揮することが要求されるような状況にあるかと思いますので、チャンスで あるととらえたほうがいいと思います。いま国がやる施策というのは、1つはやはり金 融の安定、もう1つは経済の活性化、それからセーフティーネットの充実だと思うので す。その経済の活性化の中には中長期的なものと、緊急でやらなければならないものが あって、中長期的なものは産業構造を変えていくとか、産業内の構造を変えていくとか そういったことだと思うのです。例えば農業とか介護とか医療とか、そういった分野で も、その産業の中で構造を変えていくということもかなりあるのではないか。そういっ たところでは女性の視点というのは非常に大事になるかと思いますので、是非チャンス ととらえて発信を多くしていったほうがいいのではないか。このように思います。以上 です。 ○福原座長   ありがとうございました。大戸委員はかつて人事部長だったこともおありなので、そ ういう観点でよく指導していただいて。いまのお話を聞くと、一貫して会社がその方向 にいっているということは、やはり10年ぐらいかかるのですね。 ○大戸委員   そうですね。 ○福原座長   それを2〜3年でやめてしまったり方針を変えてしまったりすると、いままでの積み 上げは駄目になってしまうという、いまのお話を伺っていてそういう気がしました。ニ チレイさんは食品でニチレイのブランドである一方で、この世界ではやはり女性の活躍 ということでは、もうニチレイブランドとなってしまっているのですね。これはたぶん、 ニチレイの商品を売るのにもかなり大きな力になっているのではないかと思うのです。 ○大戸委員   おっしゃるとおりです。 ○福原座長   こういうことをお感じになるでしょう。 ○大戸委員   はい、感じております。 ○福原座長   そういう実例を発信したいと考えるのです。1つ伺うのですが、ポジティブ・アクシ ョンという、そのワーディングと言いますかキャッチフレーズ、タイトルについてはど うお考えになりますか。 ○大戸委員   たぶんこれに代わるものとしては、女性のなんとかかんとかという日本語だと思うの ですが、私はポジティブ・アクションというのは、まあ、悪くないのではないか、折角 ここまで浸透してきたのだからというところはありますね。私どもの会社の中ではもう かなり一般的になっております。いままで積み重ねてこられたので、私は悪くないと考 えております。 ○福原座長   ありがとうございます。私の畑ではメセナというのがまさにそうなのです。知ってい る人は80%ぐらいいるのですが、認知度はやはり10何パーセントにとどまってしまうの です。新聞ではもうメセナは死んだなんて書かれるのですが、どっこい、そうではない。 信じている人たちは本当に信じている。これも日本語に置き換えることができるかとい うことで随分検討、10年ぐらい検討しているのですが、置き換えられる日本語がないの ですね。それで結局通してしまって。それが善かったのか悪かったのか、まだわからな いのです。  という意味で、ポジティブ・アクションで通すか、あるいはもう少し捻った名前で。 意味がわからないような言葉というのもあり得るのですね。そういうようなことは今後 の研究課題ではないかと思います。ありがとうございました。大橋委員、お願いします。 ○大橋委員   最初に、先ほど説明していただいた資料の中で、表彰企業というのがだいぶあったの ですが、これを見ますと、金融業に意外に表彰企業が多いように感じました。私自身は、 2年少し前まで銀行に身をおいていましたが、金融業というのは、電力業とならんでこ ういう取組が最も遅れていると言われて来ました。しかしながら、この資料を見ますと、 この表彰対象に随分上がってきています。これは最近の現象ですか、昔から多かったの ですか。それともほかにあまり候補先企業がないからですか。 ○安藤雇用均等政策課長   銀行というのはもともと女性がかなり多い職場でしたので、取り組まれる所はわりと 早くから取り組んでおられたと思います。 ○大橋委員   いや、表彰対象になる企業の割合がこんなにたくさんあったかどうかということです。 以前から、最近の現象かということです。  なぜかと言いますと、私はこれはもう草の根で広げていくしかないと思って、私自身 は以前勤めていた銀行のときは、小さな銀行ということもあったと思うのですが、でき ることから始めようということで取り組んだのです、頭取を9年間やりました。私はこ れはトップダウンでやるしかないと思っているのです。なぜトップが大事かと言うと、 やってみてよくわかったのですが、若手は非常に意識があるのです、こういうことにつ いて男性も女性も非常に意識は高い。問題は中間管理職のいわゆる粘土層と言われると ころで、ここで通らないのです。トップが繰り返し繰り返しやるとだんだん通っていく。 できることは通っていくのです。それがこういう形で広がっていったのかどうかという のがちょっと気になるのです。このデータの時系列についてお伺いしたかったのです。 ○安藤雇用均等政策課長   一定割合は当初から必ず入っているという感じです。感覚で申し上げますと、特に地 元の地銀というのは、その地域のトップ企業ですので、そういう所のトップが、いまで 言うCSR的な取組をされています。 ○大橋委員   CSRではなくて、割合が上がってきているか、上がっていないかということです。急 速に上がってきているのなら。 ○安藤雇用均等政策課長   上がってきているということはないかと思います。 ○大橋委員   個々には。今日、前田委員にヨイショするわけではないですが、みずほ銀行さんも三 菱UFJ銀行さんも三井住友銀行さんも、メガバンクは軒並み、支店長というかそういう ところのポジションの方を増やしておられるのです。もちろん総合職の採用割合を増や しているから当たり前と言えば当たり前です。そういう取組みは地銀でも最近はかなり 広がってきています。これは個々に、頭取方といろいろな意見交換、これはいまでもや っているわけですが、すればするほどわかるのです。なぜかと言うと、要するに儲から ないとやらないわけですよ、私企業というのはそうですから。それが業績につながると いうことが大事です。こういう活かし方をすれば、こういうところでプラスになるとい うことがだいぶ出てきたと思うのです。もちろん証券や保険といった業態との業際の壁 が低くなって投信や保険商品の販売とか、そういうのを女性の方が管理職でやるとか、 あるいは支店長でやると、その店の業績が上がっていくというのが実際にあるのです。 それから、いままであまり活用されなかった人事・研修セクションとか審査セクション とか、そういう所は女性に適性分野なのです。調査セクションはもちろん前からあるの ですが、そういう分野で見直しが進んできた、管理職への登用が進んできたということ が、そういう輪の広がりにつながって、これは非常にいい方向だと思うのです。それが こういう形につながっているということになっているのかどうかというところが、お伺 いしたかった点なのです、より具体的に。  ただ、銀行というのは相変わらず横並び意識が強いですから、首を縦ではなくて、横 に振る集団ですから、あそこがやっているから、自分の所もやらなければいかんという ような気持が広がるのです。あそこがやって、こういうことで成功したのなら自分の所 もやろうとか。突出してやっていくのは嫌いですが、横並びでやっていくのは好きです から。いい方向へ広がっていけばいいわけですよ、どちらにせよこういう方向が強まっ ていくかどうか、これからのポイントにもなると思うのです。  もう1点は資料9の6頁。事務局のほうで問題意識が非常に旺盛なので矢印までつい ているのだろうと思うのですが、取組状況で、規模別ポジティブ・アクションの取組状 況というのがありまして、この中に、矢印があって、小さくなると極端に低くなる。先 ほどの説明にもありましたよね。私は、これは草の根ですから。しかも継続することが 大事ですから。規模による偏りもあり、とくに業種によってもちろん偏りがありますが、 中小企業の中にいかに浸透させるか。これは非常に重要なポイントだと思います。今日 は中小企業団体中央会の山崎さんがおられますが、中小企業はなかなか進まないのです よね。また、地方に行くほど進まない傾向があります。進んでいる所はどういう所かと 言うと、後継者が奥さんであったりお嬢さんであったりというのは進んでいるのです。 もう社長がそういうところでやっていきますから。ベンチャー企業は結構多いのです、 女性のリーダーというのが。規模が、ベンチャーというのはスタートをした、生まれた ばかりですから、そういう所は結構。したがって競争力もあるのです。私がいまやって いるMRIという会社は、ベンチャーとダイバーシティとコミュニティという3つをキー ワードにしているのですが、ダイバーシティというのはまさにこれと同じ、ポジティ ブ・アクションに代わる言葉だと思うのです、多様性、多様な形態。つまり女性を登用 している企業、そういう所ほどサポートしていくというミッションでやっているのです。 その中で、なぜベンチャー企業の中で女性経営者が成功するかと言うと、男性経営者よ りはるかに成功率が高いのです。粘り強いのですよ。男性のベンチャー経営者というの は、グーッと行ってすぐパタンとなる、瞬発力はあるけれど持続力がない。ところが持 続力は非常に大事なのです。そういう所の分野の人たちをうまく活用していくという。 この推進協議会は今回で終わるわけですが、次に、何かの形で取り組まれるとすれば、 そういうような仕掛けをお考えになっていったほうがいいのではないか。つまり、何ら かの形で中小企業とかベンチャー企業の経営者を集めて、意見を聞いて、それを1つの 柱にして、ヒントにして広げていくような方向があり得るのではないか。まだ、多少反 対意見があるかもしれませんが、でも厚労省のテーマとしては、大事なテーマではない かということを感じました。  最後に、今日たまたまJ-Winの会議がありました。私もそちらのほうで、たまたま2 年前に立ち上げたときに、内永理事長と一緒に立ち上げた組織で、今このJ-Winの理事 をしています。このJ-Winがスタートする2年前に、既にアイ・ビー・エムスポンサー で同じような組織がありました。アイ・ビー・エムがスポンサーについていましたから、 1企業あたりの年会費が10万円だったのです。内永さんはその頃ちょうど60歳でアイ・ ビー・エムを辞めるというので、彼女と2人で何か出来ないか相談があり、立ち上げた のが、今回のオールジャパンJ-Winという組織です。  その立ち上げたときに、最も大事なことは財政的基盤です。NPOとは言っても、きち んとしていなければ絶対続きません。お互いにその意識は共通していましたから。それ でどういうように切り替えたかと言うと、年会費を、一般企業については10倍の100万 円、協賛企業は300万円、スポンサー企業は500万円にしました。スポンサー企業とい うのは日本の業界トップ企業です。東京電力とか三菱UFJ銀行とかNTT持株会社とか、 こういう企業にとってはそれはそんなに高いものではないのですね。今度ベネッセにも 入っていただいて、現在は10社が500万円の、いわばスポンサー企業として動かしてい ただいている。したがって初年度から財政的には5,000万円の黒字が出たのです。全部 でいま90社の会員企業があります。  そういうような意味では、1つの大事な点は、財政的な基盤がしっかりしているとい うこと。もう1つは、これはこれからの広がりなのですが、「カタリスト」というのを 聞かれたことがあると思います。アメリカのそういった活動を早くからやっている所で す、ああいうのはアメリカは日本よりもはるかに進んでいますから。従って、「カタリ スト」と排他的条項を入れて、独占的にJ-Winが提携していました。例えば「カタリス ト」出版本の翻訳権などを持っているのです。そこで非常に参考になったのが、表彰制 度なのです。やはり一生懸命に取り組んでいる所は表彰していくという形で取り組んで いくことが大切だと思います。「カタリスト」では、フォーチュン500社のうち340社 が会員企業として入っているわけですからね。だから断然、向こうのほうが進んでいる。 年会費は向こうは我々よりもっとはるかに高いのです。そういう所と連携しあっていく というのは非常に意味があるように思います。  それが私が1つ感じていることです。 ○福原座長   ありがとうございました。いまのお話の中で、業種別とか規模別とかという切り口で もう一歩研究してみるということ、必要かもしれません。金融業については後ほどみず ほ銀行前田委員のお話を聞くとして、とりあえずはそうでない、いろいろな業種がある ので、どこの業種がこの問題に対していちばんやりやすくなっているのか、それはなぜ なのか。それから、私は考えるのですが、小企業というのは、女性経営者が意外と多い のです。そういう場合にどうなっているのかというようなことは、今後の研究の余地が あるのではないか。そこを突破すれば、そのやり方で広げることができのではないかと 思うのです。  では岡田委員。受賞おめでとうございます。 ○岡田委員   2期4年ということで最初にこの協議会に呼んでいただいたときは、正直、私自身は ポジティブ・アクションという言葉を知らなかったのです。なぜポジティブ・アクショ ンが必要なのかということと、目標が何なのかということは、最初にお話を聞いたとき になかなか腑に落ちなかったところです。というのはいまの日本の社会構造というか、 を見ていくと、要するに、学校の成績が1つの軸であった場合にはそれほど男女の差と いうのがないのですね。それが、就職するときになってはじめて、社会の構造がこうな っているのだということに気づく女子学生が非常に多いわけで、そこから現実というの が始まっていくということなのです。  私の場合は、20何年前に会社に入ったときから、均等法以前から、たまたま男女均等 という形で会社が運営されていましたので、あまりそこの壁にも気づかないままずっと 仕事をしてきた。稀なケースだと思うのですがそういうことがあったので。ポジティ ブ・アクションの認知が、いま20%台ということですが、もしかしたら学生に対して、 また、専業主婦の方々に対しても、そういった取組が社会として必要なのだという、要 するに必要性みたいなものをしっかり認知してもらわないと、結局は広がっていかない のかなというようなことを感じました。  私がその活動を始めたころというのは、その言葉の認知もそうなのですが、企業の意 識そのものも、まだまだ途上だったかなと思うのですが、その後、厚労省のいろいろな 努力もあって、取組企業自体は非常に増えてきたような実感を持っています。いろいろ な所にお話をさせていただきに伺ったりしても、経営者の方々や人事担当の方々の意識 は本当に高まったなと思います。トップからの発信が必要ですよということを繰り返し、 いろいろな媒体で発信されていることもあって、意識の高いトップの方々というのは、 その意識をして発信をされていると思いますし、意志を持って、制度を制定されたり整 備をしてきたということかなと思います。  ただ、地方に行ってお話をさせていただくと、やはり、東京とか大阪といった大都市 と地方との違いとか、先ほど大橋委員からもありましたが、大企業と中小・零細との違 いというような。現状をしっかり把握した上で話をしないとなかなか届かないなという 実感を持ちました。単に、東京だからいいということではなくて、むしろ、地方は食住 接近で、ちょっとした時間に車で家に帰って何かできたりとか、中小だと、お子さんが 小さいときに、どうしても残業しなければいけないときは職場に連れてこれたりとか、 地方、中小だからできることというのも意外にあるのだなということもある。そういう ことに支えられて継続就業が実現している企業も、意外に多いということに気づかされ たというのも非常に。制度だけではなくて、要するに重要なのは意識と運用の部分だと いうことがよくわかったなと思いました。  これからその運用をやっていかなければいけないというときに。次世代育成支援対策 推進法などもできて、やっていかなければいけないということはあるのですが、その運 用にあたって、何が重要なのかと言うと、やはり女性自身の継続就業が実現することが いちばんいいだろうと思うのですが、現実的には7割という壁がなかなか突破できてい ないし、例えば女性の場合は、そのライフステージによってどうしても一旦中断せざる を得ないということがあるわけで、そういった人たちの再雇用の問題と、どうしても非 正規を選択せざるを得ない人たちが多いというこの現実について、どう向き合うのかと いうことがあるのかなと思っています。圧倒的に非正規の人たちが多いわけですが、そ こにはやはり、そうせざるを得ないということと、それをあえて選択している人たちが いると思うので、税制の問題なども。先の見通しとしてどうなるのかといったことを、 やはり若い人たちへ見せていかないと、この時期に頑張って継続して働いていこうとい う意欲につながらないのではないかと思っています。やはり扶養の枠の中で、いちばん いい形で仕事をしていくのが理想だと思っている人も意外に多くいると思うのです。な ので、その辺の見通しはなかなか難しいと思うのですが、方向性を出していけたらいい のではないかと思いました。  あとは、皆さんのお話にもありましたが、段階的にできるところからやってください ということを伝えていくことと、そのロールモデルというか、取組の成功例とか、こん なことをやってみましたという事例をたくさん出していただけるとアクションのヒント になるというか。何らかのアクションをすれば反応はあると思うのです。その反応を制 度なり運用にどう活かしていくかというのは、やはりその会社なりの事情があると思う のですが、その反応を引き出すということをたくさん積み重ねていくこと以外に、一足 飛びに何か実現するという活動ではないと思うので、粘り強く。弊社もおかげさまで大 臣賞を、1つの区切りとしていただくことができましたが、やはりここに至るまでに30 年近い時間を費やしているわけですので、そういった長い取組を支援していけるように なるといいなと思いました。 ○福原座長   ありがとうございました。とても実際的な話で、やはり、やれるところからやるとい うことを、お互いに認識しないといけないみたいですね。いままで聞いたお話の中では、 やはり10年とか30年というスパンが、どうしてもこの問題には必要なのですね。考えさ せられました。久保田委員、お願いします。 ○久保田委員   お手元の資料にあるとおり、経団連では、2月17日、「少子化対策についての提言」 を取りまとめました。提言では、少子化問題を国の最重要課題と位置づけて、財政の重 点的な投入を求めております。同時に、企業に課せられた課題として、ワーク・ライ フ・バランスにもっと積極的に取り組むことを明らかにしています。御手洗会長からも、 ワーク・ライフ・バランスの重要性や、教育を通じ子育ての意義を伝えるなど、もう少 し国民に啓蒙運動のようなこともやっていくようにという指示もありました。先ほど座 長からお話がありましたようにワーク・ライフ・バランスとポジティブ・アクションは、 非常に関連もしていますので、今後は、そういったことにも少し視野を広げて、経団連 としてどのように取り組んでいけるのか、いろいろ考えていきたいと思っております。 ○福原座長   どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。立石委員、お願い します。 ○立石委員   私がこの仕事をやっていていちばん大事だと感ずるのは、なぜポジティブ・アクショ ンが必要かという、いわゆるトップとしての認識と言いますか、それをいかに社員に理 解させるかということ。そういう意味でいわゆるトップダウンです。「トップの本気」、 「職場の本気」、「女性の本気」・・・どのようにそれを進めていくかということを企 業の中で、特にこういう問題を担当している若手の知恵を出し合いながら進めていくと いうことが、私は大変重要ではないかと思うのです。そのときにやはり、企業理念の中 にはっきりとこういうものを入れ込んでいくことが、大変重要ではないかと思います。 オムロンの場合は、企業の基本的な理念として、「企業は社会の公器である」という概 念を強く打ち出しています。さらに、3つの経営理念、すなわち、「チャレンジ精神の 発揮」、「ソーシャルニーズの創造」と「人間性の尊重」を掲げ、この「人間性の尊 重」に、女性の価値をいかに大切に育てていくかという概念を盛り込んでいます。また、 経営指針の中にも、「個人の尊重」をはっきり入れています。社員の行動指針としては、 自律と共生という考え方を入れています。このように理念体系の中に、ポジティブ・ア クションにも関連する「人」の部分を明示することが、大変重要ではないかと思ってい ます。  私は、いろいろな所で講演する際にポジティブ・アクション、あるいはいま盛んに言 われているワーク・ライフ・バランスの話をしますが、最近言葉がたくさん出てきて、 ポジティブ・アクション、ワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティ・マネジメント、 ファミリー・フレンドリーと、厚労省の中でも審議会や委員会が別々にあって、そのあ たりのお互いの役割をもう少し明記していく必要があるのではないか。もちろん、ポジ ティブ・アクションをきちんとやるためには、ワーク・ライフ・バランスというのは大 変必要です。先ほど座長からもお話がありましたが、そのあたりの区分けをもう少しや っていく必要があるのではないかと思います。繰り返しますが、ポジティブ・アクショ ンというものを私どもとしてはCSRの1つとして、はっきり位置づけて進めています。 それが、いちばんみんなにわかりやすく理解していただけるのではないかと思っていま す。  もう1つ、この委員会のこれからの進め方として、これから皆さん方と一緒に話をす ると思いますが、私たちトップが話すのもいいですが、実際にそれぞれの会社で推進し ている推進の責任者、サブ組織的なものを作って、そういう方々にもここに出ていただ いて、自社のいまの進め方、現実の意見交換をするというような場も設けてもいいので はないかと思います。 ○福原座長   どうもありがとうございました。全くそうで、経営理念とか会社というのは何である とか、人道という大きな見地から、はっきりとまず道を作っておくことも重要です。や やもすると、テクニックだけが先にやってしまうような所もあって、それではいけない かもしれません。ありがとうございました。樋口委員、お願いします。 ○樋口委員   私どもも、女性の割合が42%ぐらいで運営されている会社です。「ポジティブ・アク ション」という言葉も人事部を中心に使われていて、社内でもある程度伝わっていると は思いますが、具体的には女性の活躍推進という言葉で進めています。次期中期計画の 中でも、女性の活躍推進というのは重要な課題であるということで、継続的に取り組も うということで掲げてありますし、労使間において6つの優先すべき課題というのを挙 げていますが、その中の1つにダイバーシティの推進、特に女性の活躍推進というのを 掲げています。そんなふうに進めてきていますが、私が入社した50年前と今とは、相当 感じは違っています。50年前は、男性と女性との役割が、なんとなく社員の間に固定的 に理解されているところがあって、そこからあまり出なかった。ところが、社会の変化 や、こういう協議会、勉強会等も推進されていく中で、どうしても女性により以上に固 定的な役割に止まらず、頑張ってもらいたいということが、男性側からも女性側からも 等しく出てきて、徐々ではありますが、女性の活躍が推進されてきているということだ と思います。  私がこの会に所属したときには、女性の管理職の割合を聞かれまして、非常に少なか ったです。いまでも決して多いとは言えませんが、ようやく課支社長がだんだん増えて、 2006年には29人だったのが、全国の課支社長以上の女性の数が59人に増えてきています。 ただ、割合は女性の中の2%ぐらいですから、少ないだろうと思います。それにしても、 倍増になってきている。課長代理クラスも4.4%の271人に上ってきていまして、こ れも3年前から比べると倍以上です。同様の傾向が、主任とか主事とか、社内の下位等 級にも見られるようになってきています。そのためには、女性がそういう責任ある役割 を担えるように、周辺の制度が整備されていることが必要で、これについても前からこ こでもいろいろ宣伝をしていましたが、女性の再雇用制度、あるいはベビーシッターと 各種費用の補助制度、特に子どもを持たれる従業員のために短時間勤務制度を入れると か、全国に提携の託児所を設ける。これは1,000カ所ぐらい設けています。それから、 産前産後の休暇を男性にも認めるようになっています。なぜ男性に産後の休暇が必要か というと、当然若い方はご存じのように、女性の炊事、洗濯等で援助しないといけない からです。尚、男性が育児休暇を取ったのは、2008年度の162名のうち、12名です。こ のように、制度も整備し、取得推進している状況にあります。  ただ、それにしても会社全体の意識というのは、50年間こういうことを叫びながらや ってきて、この程度までしかいっていませんし、私が昔研修でアメリカの証券会社に行 ったら、出てきた責任者は半分ぐらいが女性で、非常に男女の区別がない社会だなと感 じました。そんなふうにまでは時間がかかる。これは男性側、女性側、会社側それぞれ に理由があることで、これが社会的に少子高齢化の中で、この辺もだんだん変質をして、 今後には座長が最初におっしゃいました少子高齢化というのは、女性の活用にとっては 順風というと語弊がありますが、もっと推進せざるを得ない1つの環境変化だと思いま す。とりあえずそこまでで、またあとで申し上げます。 ○福原座長   ありがとうございました。樋口委員が若いころ、アメリカにいたころや私が視察に行 ったときは、おっしゃるように対応をしてくださった担当の方々はみんな女性です。考 えてみると、あの時代は戦争で男性がみんないなくなってしまった。どうも、そうらし いです。その結果、女性が育ちました。あの時代に活躍されたことが今日につながって いると思います。でも、あれを機会に大きく女性の地位が高まったことも間違いないで すし、そうしてみると、何らかの社会の変化というのはこの問題にも影響することが考 えられるわけです。いまおっしゃるように、だんだん人口が減ってくる危機感をみんな 持っていますから、そういうことになってくるといいかもしれません。ありがとうござ いました。  前田委員、お願いします。いま銀行グループとしては、女性の比率はどのぐらいです か。 ○前田委員   約半分ぐらいです。 ○福原座長   では、同じような状況ですね。 ○前田委員   私どもは、2002年に3行を再編統合して現在の形になりました。私どものビジネスモ デルは、ただ規模が大きければよいということではなく、従来の銀行と全く違うものに しようということで作り上げてきました。お客様としっかりと向きあう為には、多様な お客様と向き合う為のマーケティングが必要と考え、再編統合する過程で、「大企業取 引」と「中堅中小企業・個人取引」と大きく2つに分けました。それぞれのお客様にふ さわしい人を配置するビジネスモデルにしましたので、メガバンク同士での単純比較が 難しい形になっています。  再編統合の中での重要なメッセージとしては、「従来の価値観をチェンジしよう」と いうことです。我々が銀行に入ったときは、大企業取引や海外拠点で勤務する人は能力 があり評価もされている人といった見方でしたが、私は、大企業取引、中堅・中小企業 取引、個人取引でそれぞれの仕事の内容が違うので一概にそうは言えないのでは無いか と考えました。私どもには2,600万もの個人のお客さまの口座があります。たくさんの 個人のお客さまを担当している部署が、最も労力とコストがかかっていますので、ここ を重点的に強化しないと会社が良くならないことを念頭に置いてモデルを作り換えまし た。  その過程で、このポジティブ・アクションで考えている「女性はどういう所で活躍し て頂くのがふさわしいか」と考えました。女性にふさわしいポストはかなりあると思っ ています。先ほど銀行を分けた話をしましたが、個人取引の領域に関して言うとおそら く女性のほうがお客様にも受け入れていただきやすいし、きめ細かなサービスができる のではないかとも思っています。本部機能の中でも、女性のほうが相応しいポストがた くさんありますので、そのようなポストを開発することが必要だと思います。私どもは 社内では男女差を全く設けていませんから、数値目標に拘って意識的に女性を引っ張り 上げるといったことよりも、「見ればわかるようにすればいい」というのが私の考え方 です。母数が少ないところで女性を無理に引っ張りますと、その女性にとってもあまり 居心地が良くなく、周囲の見方もどうしてもその人は特別だとなってしまうので、普通 に対応したほうがいいのではないかと最近は考えています。  また、私どもが新しく開発した「フィナンシャルコンサルタント」という基幹職の中 に設けた職種があります。現在、約2,800名おりますが、その中の女性の割合が2,000 名強ですので、圧倒的に女性が占めています。他のポストとの違いとしては、1つはこ の職種には資格試験が1級から3級まであることです。きちんと習得している人は試験 に受かっており、そこには男女の区別はありません。この結果を見ますと、圧倒的に女 性のほうが資格の上位にいます。男性が駄目だと言っているのではないですが、資格と いう見える形で個人毎に差が付くのは納得的だというのが我々の認識です。  併せて、私どものグループは5万人もいますから、人事評価の公平性がある意味では 女性の昇進を含めて、登用する場合の大きな課題になります。管理職6,000名すべてに 「360度評価」を導入しており、その結果を本人に毎年フィードバックします。25項目 の調査をし、分析したものを本人にも返し、自らの強み・弱みを認識し課題克服につな げていくことを行っています。この結果を見ますと適材適所の人事配置をしていたとい うことが言えるかと思います。そういう意味では、いろいろなデータベースを持ってい て、科学的なデータの裏付けを用いながら経営として納得できるということが重要では ないかと思います。 ○福原座長  ありがとうございます。これは、先ほどの大橋委員の質問にも、若干お答えいただい たと思います。前田委員が社長になられて、フィナンシャルグループをお作りになった り、独自なビジネスモデルになっているとおっしゃいましたが、私はちょうどそのころ、 社外取締役をやっていましたので、毎週のように開催される臨時役員会に出席しました。 日本で初めてと言っていいようなホールディングカンパニー、MHDにお移りになって、 それが今度はグループになって、その間に結局、いままで銀行の中にあった人事制度や 慣習になかった新しいDNAを、いまの話を聞くと組織変更に伴って埋め込まれたのです。 いまあるものを改良していくのは難しいところもあって、再生することによって、そこ に違うDNAを入れ込んでしまう可能性もある気がして、大変素晴らしいことだと思いま す。 ○福原座長   水越委員、お願いします。 ○水越委員   大変抽象的ですが、何のためにポジティブ・アクションを推進するのか、もう一度理 念を明確にし、皆のコンセンサスを一致させることが必要かと考えます。20数年前、 イギリスは厳しい経済状況下にあって、国力、競争力を世界で再びトップにしていくた めには、女性の活躍推進が重要と考え、このポジティブ・アクションに力を入れたと聞 いています。家庭婦人の多かったイギリスですが、今では企業における女性管理職は 34%です。また、人口の少ない北欧の国々では、どうしたら国が豊かになれるかという 選択肢の中で、男性も女性も社会に参画してもらう、それが小さな国を支えていくため に必要なのだということで、仕事と家事育児が両立出来る社会をつくっていったわけで す。そして競争力も世界的に上位にあります。  世界は今、大変厳しい経済状況にあります。特に日本はこのところ国際競争力が世界 の国々の中でどんどん低下し、しかも人口減少社会で経済も縮小の方向に向かっていま す。この現実を考えると、経団連の報告で「全員参加型社会」の重要性を指摘していま すが、私も同感で、「社会に支えられている人」から「社会を支える人」をどれだけ増 やしていけるかということが、今後、重要になってくると思います。中でも女性の労働 力は女性自身の希望も含め、開拓余地が残されています。男性も女性も社会で責任を担 う立場になっていくという意識改革が、今の日本には必要なのではないかと思います。 そういう意味では、まだまだ働きたいと思う女性が子どもを預ける保育所などが不足し ているという現実は非常に悲しい状況です。  昨年も各県でポジティブ・アクションについてお話し、意見交換をさせていただきま した。企業の大小に関わらず女性の活躍が業績を上げていらっしゃる会社が増えてきて います。より一層、経営トップには、厳しい経営環境だからこそ管理職に女性を登用し、 多様な人材による経営で会社を強くしていこうという認識に立って欲しいと思います。  一方、何といっても女性の意識改革が大切です。これまでどちらかと言うと女性は男 性より、生き方の選択肢が多かったと思います。これはとても素晴らしいことなのです が、ただ、女性自身も社会を支えるのは当たり前という社会性を、原則持ちたいもので す。私の会社は出版業で女性誌を発行していますが、主婦が楽しく豊かに暮らせる方法 などを掲載しておりますので、マスコミの一員として責任があるのかなとも思っていま すが・・・  いずれにしても私たちは日本らしい国のあり方や働き方の議論を深め、コンセンサス を得ていくことが重要なのではないかと思います。 ○福原座長   ありがとうございました。抽象的とおっしゃいましたが、いちばん根本的なことです。  いまおっしゃったのは、サッチャーの改革ですね。いまから考えてみると、サッチャ ーさんのおやりになった改革というのは、後に修正されてしまうことが多いのですが、 一方でウィンブルドン効果により、世界中の投資を掻き集めることがあって、いまの女 性問題というのは国内の資源ですね。人に資源という言い方をするのは申し訳ない。資 源以上のものですが、国内の人を全部いかに能率を上げさせるかという機会を与えるか ということでした。発想は同じだと思います。そういうことを皆さんが国内的にも世界 的にも提案していけば、筋としては根本的に間違いではないように思います。  あとのほうで、女性の生活がしやすいような政策を、雑誌を通じて提案されていると いうことを伺いましたが、これも修羅場をくぐらせるというのとやや同じようなことが あります。私は文字・活字文化推進機構に参加していますが、そこでいま子どものため に童話とか絵本をなるべく読んであげようという運動があります。私の経験では、絵本 ばかりでは駄目です。とても読みにくい本も読まないと、そのときに役に立たないで、 いつかは役に立ちます。昔、私の前の世代ですが、論語の意味がわからなくても素読と いうか、やらせますよね。読ませられているほうは、何が書いてあるかがわからないの です。それは、いつか気が付きます。そういうことがあって、易しい絵本ばかりを読ん でいたら読書力が付かないことと、やや似ています。大変面白い話で、ありがとうござ います。  では、中小企業の立場を代表して、山崎委員。 ○山崎委員   いつも同じようなことになりますが、規模の違いはありますが、一般的に多くの中小 企業にはこの制度というか、ポジティブ・アクション自体が全然行き届いていないとい うことです。私たちは会合でたまにそういうことを言っても知らないとか、向こうから ましてポの字も出たことはありません。それだけ行き渡っていないと思います。しかし、 調査結果にありますように、たしか従業員100人以下だったと思いますが、女性を管理 職に登用する率は、中小企業のほうが大企業より若干パーセントが高いという数字もあ ったと思います。大企業と中小企業とでは規模や体制に違いはありますが、普及が十分 になされれば、中小企業というのは小回りも利くし、弾力性がありますから、素早い対 応は可能だと思います。あとは、社長の決断一つにかかりますから、全中小企業に知ら しめることが非常に大事だろうと思います。  いま、パンフレットも数多く作っていただいて大変ご苦労されているのはわかります が、末端まで届いていないと思います。逆に言うと予算の関係もあると思いますが、た くさん刷っていただいて、本当に簡単なものでいいと思いますので、必ず、社長さんな り事業者の机の上に1つ置いていただけるぐらいの数、400万ぐらいになるかもしれま せんが、そのぐらいのものを刷っていただくなど全体に行き渡る工夫をしていただきた いと思います。  事例も前からお作りになっていますが、中小企業にとって、こうやらなければ損だよ とか、収益が上がってこう伸びているのだよという実際面での即効性のあるような事例 がないと、なかなか飛び付かないのではないか。それから、事例にもやったほうがよか ったとか、本当に伸びたという良い事例は、とかく制度を導入するために作られたもの ではないかと思われがちです。ですから例えば、そこに企業の協力を得て担当者の名前 や連絡先があれば、それを見たときに尋ねられます。これは、大手の進んだ企業の協力 がなければできないですが、そのようなものまで書いていただけると、これから取り組 もうとする企業にとっては効果的ではないかと思います。  それから、小さい所の事業者に対する取り組みへのアンケート意識調査をやっていた だくのも実際を知る上で参考になると思います。  私どもの中央会は事業者団体の組合が相手ですから、個別の企業の細かいところまで なかなか手が届かない、わからないことがあります。しかし、いずれにしてもそういう 団体活動を通じて、各企業に浸透すれば、非常に効果が上がってくるのではないかとい うことです。いろいろレディースの組織も出来てきていまして、岡田委員にもご協力い ただいておりますが、だんだんこういうことで中小企業に広がってくれればと思ってい ます。  ポジティブ・アクションとかワーク・ライフ・バランスへの対応は、時代の流れです からやっていかなければいけないですが、こういう時代ですから特に中小の場合は日々 が大変で、そこまで気が回らないということです。もう1つは、施策においても法的な 制度ができたときに、大変行政の温かいお心で、中小企業適用除外とか、追ってそのあ とから適用になるような配慮をしていただいているのは結構ですが、それによって取り 組みへの体制が遅くなることが懸念されます。しかし、これから一般事業主行動計画の ように中小企業に適用されるようになってきますと、時間は結構かかると思いますが 徐々に理解されてくるのではないかと思います。  最後に、ここに表彰制度がありますが、これは公募ですよね。これもなかなか知られ ていないと思いますが、自分の企業を推薦していくというのは、なかなか骨が折れると いうか、面倒くさいことがあると思います。例えば労働局と経産局が連携して、地元の 優秀な企業を推薦する制度も応募制度と併せて取り入れていただければ、自薦より他薦 されたほうが企業はありがたいし、なんとなく誇りに思うと思いますので、対象企業も 増えてくるのではないかと思います。以上です。 ○福原座長   ありがとうございます。とても実際的ないろいろなサゼスチョンをいただいて、非常 に役に立つことだと思います。いまお話を伺うと、直接中小企業経営者とは、なかなか お会いになれないわけですか。 ○山崎委員   そんなことはないです。組合の執行部の理事クラスの方には結構会う機会はあります。 ○福原座長   けれども、いろいろなことをPRしていくには、その人たちを経由しなければ駄目な のですね。 ○山崎委員   そうです。組合を通じていろいろやっていますが、果たして組合が情報をきちんと加 工して流してくれるかどうかが問題で、流すにも経済的な面もあり組合で止まってしま う場合も多いと思います。 ○福原座長   政府から、こんなチラシが来たからお配りしますでは困りますね。それでもいいです か。 ○山崎委員   それでも結構です。うちのほうも定期的に文書を流していますから、そこに入れたり コメントをいただいたり、何とかやり方を工夫しないといけないと思います。 ○福原座長   いまのお話でわかることは、何百万の会社があるとして、我々が考えているようなこ とは直接会社に行くというわけではなくて、メディアを通してとか、いまのように連合 会を通してとか、さらにその下の組合みたいな組織を通してとかの構造があるので、構 造の節目節目で情報が止まってしまいます。それをどのようにしたらいいかが次なる課 題ですね。また、いろいろ教えていただきたいと思います。  今日は12時までの時間をいただいて、皆様のご意見をいただきましたが、非常に豊か な実りあるご発言をいただいたと思います。これを編集すれば、必ず将来に向けての方 向がいろいろと考えられるのではないかと思いますが、局長からその辺をひとつお願い します。 ○村木雇用均等・児童家庭局長   本当にありがとうございました。均等法ができて20年余りが経っていまして、時々ど うして日本はなかなかうまく進まないのかなと思うときもありましたが、今日10年、30 年、50年というお話を伺って、我々も粘り強くやらなければいけないなと思いましたし、 具体的なアイディアを今日たくさんいただきましたので、なんとか我々もしっかり頭の 整理をして、先ほどから段階的にやれるものからというキーワードも出てきましたので、 行政としてもそういうふうにしっかりやっていけたらと思いました。  今日は大変たくさんのありがたい内容をいただきまして、本当にありがとうございま す。 ○福原座長   安藤課長、いかがですか。 ○安藤雇用均等政策課長   前回にも増して、非常に建設的かつ具体的なサゼスチョンをいただいたと思っていま す。私どもも施策事業のあり方を見直していかなければいけないと思っていますので、 その際には参考にさせていただきたいと思っています。本当にありがとうございます。 ○樋口委員   今後進めていく上での1つのキーになるかもしれませんが、私どもの会社で、具体的 には日産自販の林さんに講師に来ていただきまして、女性社員向けにお話をしていただ いたときに、女性に対していちばんインパクトのあった発言として、男性と全く同じ働 き方をしなくていいよということを言われたそうです。つまり、いま女性の活躍推進を 考えるときに、男性の働きを頭に浮かべて、女性もそういう具合になってもらいたいと いう短絡的な見方でやりますと、かえって受け取られる女性はあまりインスパイヤされ ない。「私は家に帰って旦那の世話もしなければいけない。託児所に子どもの迎えも行 かなければいけない。料理も作らなければいけない」という情勢の中で会社で働いてい る方もいるわけですから。 だから、ダイバーシティという女性の場合の働き方につい て、多様性を受け入れていくことは、必要だと思いますが、我々も何十年もやってきて なかなか進まない情勢の中で、ある時期無理矢理にでも引っ張るようなことを官庁なり、 そういう役割の方がおやりにならなければいけない時期なのかなと思います。やがては その時期を過ぎますと、一人ひとり個ですから、個の認識なり個の価値観を大事にして いくところがないと、長続きはしないだろうと思います。  そういう意味で、多様性を受容して、欧米式に女性が社会の働く場面でも中心になっ て出ていかなければいけないようにお考えになっている方は少ないと思いますが、そう いう時代を目指すのがいいかどうかというのは、今後の日本のあり方を考えていく上で、 もう1回考え直してみる時期が来るのではないかなと思います。あまり、そういうこと を言うと保守的な臭いに受け取られやすいですが、そうではなしに、男女を問わず人間 それぞれが役割なり何なりを持って生まれているわけですから、その中でいちばん自分 の人生を全うしたと思えるような価値観を自由に持てるような時代が幸せな時代だし、 日本にとってもそういう時代の方がいいのではないかと思いますので、一言申し上げる 次第です。 ○水越委員   今のお話の通り、男性と女性は身体的にも感性的にも異なると思います。だからこそ、 男性、女性という多様な発想や行動が組織を柔軟にさせ、時代対応力を持ち、組織を強 くしていくのだと思います。組織や社会の中での活躍のポジションは、男女で異なるの ではなく、個性差ではないでしょうか。適材適所で仕事ができる環境が、男性も女性も 充実した人生を送れるのではないかと思います。 ○福原座長   ありがとうございました。いまのお二人の話は根本的な話で、参考になると思います。  全く違うことですが、私の意見では、日本は二流のアメリカになっても何になる。世 界の中で、日本の立場はあるのではないか。それは、アジアに対してとかヨーロッパに 対してとかあるべきであって、小さいけれどもアメリカの二番煎じになっては意味がな い。そうでないと、日本の生き甲斐はないのではないかというやや似たような話ですね。 ○水越委員   国民的な議論を行い、コンセンサスを得て新しい日本のライフスタイルをつくってい きたいですね。 ○福原座長   いま、急にいろいろな人がそこに気が付いておられるわけですね。けれども、おっし ゃるように、その意見を皆さんでもう少し煮詰めてみないといけないですね。できれば、 政治家の方にも参加していただきたい。  いろいろお話をいただいているうちに時間になりました。今日は最後の会になりまし たが、本当に素晴らしい内容のある、しかも皆さんご経験のある方々によって、哲学か ら具体論まで披瀝していただいて、誠にありがたいと思います。これが必ず次なる政策 に役立つはずですし、本当に皆様にお礼を申し上げたいと思っています。ありがとうご ざいます。  この辺でお返しします。 ○村木雇用均等・児童家庭局長   これまで、この協議会の委員としてご活躍、ご協力をいただきましたことを、改めて 御礼を申し上げます。今日いただいたお話をしっかり受け止めて、これからの具体的な 施策につなげていきたいと思います。この国のあり方にもつながる大事な問題だという ことを最後に教えていただきましたので、本当にしっかりやりたいと思います。この仕 事は、まだ10年とか20年かかっていきますので、またずうずうしく、いろいろなことを お願い申し上げることもあろうかと思いますが、是非今後とも応援をいただけますよう にお願いします。  本当に、もう一度心からの御礼を申し上げまして、最後のご挨拶とします。本当にあ りがとうございました。      照会先:雇用均等・児童家庭局 雇用均等政策課 均等業務指導室 指導係        TEL:03−5253−1111(内線7842、7844)