09/01/19 第1回労働者に対する胸部エックス線検査の対象のあり方等に関する懇談会議事録    第1回 労働者に対する胸部エックス線検査の対象のあり方等に関する懇談会 日時 平成21年1月19日(月) 17:00〜 場所 航空会館B101会議室 ○石井専門官 定刻になりましたので、ただいまより第1回「労働者に対する胸部エック ス線検査の対象のあり方等に関する懇談会」を開催いたします。  本日は、先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとう ございます。座長が選出されるまでの間、事務局で進行させていただきます。  まず最初に、第1回の懇談会でございますので、事務局を代表いたしまして、安全衛生 部長の尾澤からご挨拶申し上げるべきところですが、所用のため、急遽欠席させていただ いておりますので、労動衛生課長の鈴木より、一言ご挨拶申し上げます。 ○鈴木労働衛生課長 昨年7月に前任から交代いたしました労働衛生課長の鈴木でござい ます。初めてお目にかかる先生方もいらっしゃいますが、よろしくお願いします。  ただいま事務局からありましたように、部長が急の用務のため、ここにまいることがで きませんので、申し訳ございませんが、代わりましてご挨拶申し上げます。  本日は、大変お忙しい中、また急な日程調整で遅い時間帯に開催いたしますが、第1回 の「労働者に対する胸部エックス線検査の対象のあり方等に関する懇談会」にご参集いた だき誠にありがとうございます。  労働者に対する胸部エックス線検査につきましては、本日ご参集の先生方を中心に、平 成18年8月に、「労働安全衛生法における胸部エックス線検査等のあり方検討会」の報告 書により、今後のあり方を示していただきました。  その中で、報告書に基づく見直しの実施に当たっては調査・研究を行い、必要な関係規 則の見直しを行うことが適当であるとのご提言をいただいたことから、平成19年度に本日 ご出席の相澤委員を主任研究者に、厚生労働科学研究の労働安全衛生法に基づく胸部エッ クス線検査の労働者の健康管理に対する有効性等の評価に関する調査・研究が実施されま した。  本研究により、検討会報告書を踏まえた胸部エックス線検査の具体的なあり方等につい て整理していただきましたが、胸部エックス線検査の実施の必要性を、さらに検討すべき 対象者等についても言及されているところです。このため、労働安全衛生法における胸部 エックス線検査の実施対象者等について、さらに具体的に検討するために、先生方にお集 まりいただき、本懇談会を開催させていただくことといたしました。懇談会の結論を得て、 関係規則の見直しを実施したいと考えているところです。  ご参集の先生方におかれましては、大変お忙しいこととは存じますが、活発なご議論を いただきようお願い申し上げましてご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたし ます。 ○石井専門官 引き続きまして、本日は第1回の会合ですので、ご参集の先生方をご紹介 いたします。日本医師会常任理事の今村先生、帝京大学医学部腫瘍内科教授の江口先生、 日本医科大学内科学第3講座教授の及川先生です。 ○及川委員 エックス線につきましては私は素人でして、工藤先生からご指名があったか と思いますが、生活習慣病ということで参加をしろということだと理解しております。 ○石井専門官 結核予防会結核研究所副所長の加藤先生、北里大学医学部長の相澤先生で す。独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター院長の坂谷先生は、本日ご出席 の連絡をいただいていますが、遅れていらっしゃるようです。埼玉医科大学国際医療セン ター心臓病センター長の西村先生、滋賀医科大学放射線科教授の村田先生、東京女子医科 大学衛生学公衆衛生学第二講座教授の山口先生、医療法人崇孝会北摂クリニック理事長の 柚木先生です。 ○柚木委員 全国労働衛生団体連合会に所属しております柚木です。よろしくお願いしま す。 ○石井専門官 なお、三井化学株式会社統括産業医の土肥先生からご欠席の連絡をいただ いております。  引き続きまして事務局の紹介をいたします。先ほどご挨拶をいたしました鈴木労働衛生 課長、塚本調査官、私は中央労働衛生専門官の石井です。よろしくお願いいたします。  それでは、議事に入る前に、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。「議 事次第」に配付資料の一覧が付いていますが、「議事次第」「座席表」。資料1は「懇談会開 催要綱」、資料2は「懇談会参集者名簿」、資料3は「労働安全衛生法における胸部エック ス線検査等のあり方検討会(平成18年)」報告書概要、資料4は「平成19年度厚生労働科 学研究班報告書」、資料5は「今後の検討事項等(案)」、資料6は「平成19年結核登録者 情報調査年報のポイント(出典 結核予防会結核研究所ホームページ)」。  参考資料1は「労働安全衛生法における胸部エックス線検査等のあり方検討会報告書(平 成18年8月取りまとめ)本文」、参考資料2は「労働安全衛生法に基づく健康診断の概要」。 労働安全衛生法に基づく健康診断の一覧の概要についてを付けています。資料の不足等が ありましたら、事務局までお申し付けください。  それでは、本日は第1回の懇談会ですので、座長の選出を行いたいと思います。どなた か座長をご推薦いただけないでしょうか。 ○加藤委員 先の研究班でもとりまとめの労をいただきました相澤先生が適当かと思いま すが、いかがでしょうか。                   (拍手賛同) ○石井専門官 ただいま相澤先生をご推薦いただきましたので、相澤先生、座長をよろし くお願いいたします。  それでは、今後の進行につきましては、座長の相澤先生にお願いしたいと思います。ど うぞよろしくお願いいたします。 ○相澤座長 それでは、ご推薦でございますので、座長を務めさせていただきたいと思い ます。先生方のご協力をよろしくお願いいたします。  早速、議事に入りたいと思います。まず、この懇談会の趣旨について事務局からご説明 をお願いします。 ○石井専門官 お手元の資料1「懇談会の開催要綱」に基づいて説明いたします。先ほど の鈴木課長の挨拶の中で、内容については概ねご説明申し上げたところですが、改めて懇 談会の目的についてご説明します。  目的としては、平成18年8月に、本日お集まりの先生方を中心に取りまとめた「労働安 全衛生法における胸部エックス線検査等のあり方検討会」の報告書において、労働安全衛 生法に基づく定期健康診断における胸部エックス線検査については、40歳以上を対象とし、 40歳未満については、医師の判断により省略することも可能と報告をされました。  またその検討会報告において、その上で見直しの実施に当たっては、胸部エックス線検 査の労働者の健康管理に対する有効性を評価する必要性も、同時に示していただいたとこ ろです。  この検討会報告書を踏まえて平成19年度に、本日の座長をお務めいただきます相澤先生 に主任研究者になっていただき、労働安全衛生法に基づく胸部エックス線検査の労働者の 健康管理に対する有効性等の評価に関する調査・研究が実施され、この研究班報告書にお いて、40歳未満の胸部エックス線検査の対象者のあり方等について、一定の結論を得るこ とができましたが、胸部エックス線検査の実施の必要性をさらに検討すべき対象者につい ても、一部言及されているところです。  これらの経緯を踏まえて、労働安全衛生法における胸部エックス線検査の実施対象者等 について、さらに具体的に検討する懇談会を開催するということで、本懇談会において、 これまでの検討経緯を踏まえて、具体的な対象者について、先生方よりご意見を賜ればと 考えて、懇談会を参集させていただいた次第です。  第1回目の懇談会については、大変タイトな日程調整を申し上げて、先生方にはご迷惑 をおかけしたところですが、どうぞ活発なご議論をいただければと考えておりますので、 どうぞよろしくお願いいたします。 ○相澤座長 開催要綱をご説明いただきましたが、これについて、何かご質問、コメント はございませんか。  それでは、次の議題に進みたいと思います。議事(2)「これまでの経緯について」、事務 局からご説明をお願いします。 ○石井専門官 続きまして、「これまでの経緯について」はお集まりの先生方、よくご存じ かと思いますが、再確認という意味を含めて、事務局から資料3、資料4の冊子に基づい て説明をさせていただきます。  資料3「労働安全衛生法における胸部エックス線検査等のあり方検討会」報告書概要で す。1頁は、平成18年8月の検討会報告書の概要ですが、こちらの検討会においては、労 働安全衛生法における胸部エックス線検査すべてについて、さまざまな検討・ご意見をい ただき取りまとめをしたものです。  ご承知かと思いますが、労働安全衛生法における胸部エックス線検査については、年に 1回行う定期健康診断以外にも、雇入時健康診断、海外派遣労働者に対する健康診断など において、胸部エックス線検査の実施がなされているところで、それぞれについて、この 検討会で今後どうするべきかというご提言をいただいております。  まず、1つ目の「雇入時健康診断における胸部エックス線検査」については、従来通り 雇入時の胸部エックス線検査を実施することによって、その後の適正な配置につなげるこ とができるため、従来通り実施すべきであるという提言をいただきましたので、従来通り 実施することとするという取りまとめをいただいております。  2つ目の「海外派遣労働者に対する健康診断」は、6ヶ月以上海外に派遣される労働者及 び6ヶ月以上、海外に派遣していた労働者が、帰国する場合の両方ですが、海外派遣労働 者に対する胸部健康診断における胸部エックス線検査については、海外に派遣する際、帰 国後の労働者の健康管理等のために有用であるということから、従来通り実施すべきとい うご提言をいただいております。  3つ目の「結核健康診断における胸部エックス線検査について」ですが、現行の労働安 全衛生規則46条に規定されています。どういった規定かと言いますと、定期の健康診断あ るいは雇入時の健康診断において、結核のおそれがあると診断された労働者に対して、6 ヶ月後の胸部エックス線検査を、事業者がもう一度やることが義務づけられていましたが、 もともとは結核予防法、いまは感染症法に統合されましたが、そちらで健診において、結 核のおそれがある方に関して、概ね6ヶ月後に健診をもう一度行うという規定があったの ですが、結核予防法が改正された際に、結核健診で結核のおそれがあった方については、 医療機関へ受診していただくことを前提として、規定が廃止されたことを踏まえて、労働 安全衛生法においても同趣旨の検査を廃止するということで、「6ヶ月後に事業者が健診を する」という規定になっていた結核健康診断は廃止すべきというご提言をいただいていま す。  4つ目の「じん肺法に基づく健康診断における胸部エックス線検査」についてです。じ ん肺法に基づいて、いわゆる粉じん作業に従事する方については、じん肺法に基く定期健 康診断が義務づけられています。ただ、じん肺法に基づく定期健康診断については、いわ ゆる「管理区分1」と言われるじん肺作業に従事するだけで、特に胸部エックス線検査上、 所見のない方については、じん肺法の健診は3年に1回実施し、その残りの2年について は労働安全衛生法上の定期健康診断を受診していただいて、そちらの胸部エックス線検査 で異常所見が認められる場合に、臨時のじん肺健診を行うという運用のされ方をしており ますので、間の2年については、引き続き定期健康診断で胸部エックス線検査を担保して いくことが必要なことから、じん肺健診の対象となっている方については、3年に1回以 外の間の2年については、現行どおり毎年胸部エックス線検査が実施されるように配慮す べきというご提言をいただいています。  5つ目の「特定業務従事者の健康診断における胸部エックス線検査」については、労働 安全衛生規則で義務づけられている特定業務の中には、土石、獣毛等のじんあい又は粉末 を著しく飛散する場所における業務、坑内における業務等もこの中に含まれていますので、 こちらについても健康診断の胸部エックス線検査については、従来通り、年齢を問わず実 施するべきという提言をいただいています。  以上の5つの健診に関して、胸部エックス線検査については、結核の疑いのある方に関 する6ヶ月後結核健診については廃止するべし、それ以外の4つの健康診断における胸部 エックス線検査については従来通り実施することとする、というご提言をいただき、その 後の検討過程においても、特に異論等はなく、これを否定するような内容のご提言等もあ りませんので、結核健康診断における胸部エックス線検査については廃止の方向で行政的 に手続を進め、そのほかの4つの項目については、引き続き現行どおり実施するという取 りまとめをしたいと考えていますので、こちらについても、特段のご意見があれば、後ほ どいただきたいと考えております。  資料3の2頁です。「定期健康診断における胸部エックス線検査」で、前回の平成18年 の行政検討会、厚生労働科学研究においても、ここを中心にご議論をいただいたところで す。まず現行の規定ですが、現在、定期健康診断においては、胸部エックス線検査は、す べての年齢において必須の項目となっています。  前回の行政検討会で、いろいろ検討いただいた結果がここに書かれている内容です。ま ず1)として、40歳以上を対象とする。40歳以上の方については、肺がんの問題や結核、 閉塞性の肺疾患等の他の呼吸器疾患、循環器疾患についても発症頻度が高くなってきてい ることを踏まえて、呼吸器疾患等の一般的なスクリーニング検査として、胸部エックス線 検査を実施することとするということから、40歳以上を対象とするというのが、1)のご提 言です。  2)は、40歳未満は、医師の判断により省略することができるのではないか。ただし、有 所見者等については省略することはできないということで、下の※の2つ目に書いてあり ますように、省略不可の対象者については、有所見者の範囲、現在は感染症法に統合され た結核予防法に規定するハイリスクな事業所の従業者等、職場環境(受動喫煙)等の問題 も念頭に置き、有効性等を併せて評価を行うこととするという提言をいただいています。  3)は、40歳になるまでの間は雇入健診の後、5歳ごとを目途に節目健診を行うべきとい うご提言をいただいています。  4)の具体的な検討会報告書の見直しの実施については、1番目として、定期健康診断と して、胸部エックス線検査が定着していることから、今回の見直しは、現在の健康診断制 度の大きな変更であるため、労働者に対し、健康確保に対する不安が生じないように配慮 する必要があること。  2番目は、胸部エックス線検査による健康診断については、国内外に種々の評価がある ため、胸部エックス線検査の労働者の健康管理に対する有効性を評価する必要性があるこ とから、検討会の取りまとめ結果を明確に裏付けるエビデンスを今後さらに得る必要があ り、科学的なデータを収集したうえで、取りまとめの内容を実施すべきという意見があり ました。このため、この検討会の最終的な取りまとめの文章の中で、「実施にあたっては調 査・研究を行い、必要な関係規則の見直しを行うことが適当である」ということで、取り まとめをいただいています。  この検討会の提言を踏まえて、実施されたのが資料4に付けている冊子です。平成19 年度に相澤先生に主任研究者の労を執っていただきました厚生科学研究が実施されている ところです。全部を紹介するとかなり長くなりますので、概要をご紹介したいと思います。  まず1頁は「総括研究報告書」で、主任研究者の相澤先生に各分担研究を含めて取りま とめを行っていただきました。1頁に「研究要旨」が書いてあります。冒頭に、この研究 の目的としては、労働安全衛生法に基づく胸部エックス線検査について再評価を行う。そ の中で我が国のデータを踏まえて、有効性などを評価したうえで、効率的かつ疾患の発見 に有用な実施方法や対象を明らかにすることを目的として研究を行っていただいています。  この研究においては、4つのテーマに関して検討を行っており、まず1つ目は胸部エッ クス線検査によるスクリーニングが省略できない対象者に関する文献の再評価。2番目は 我が国のデータにおける胸部エックス線検査による結核と有所見を発見することの有効性 に関して年齢別所見からの検討。3つ目は胸部エックス線検査の省略判断基準のガイドラ インの作成。4つ目は胸部エックス線検査の撮影条件に関しての検討を実施しています。  2頁です。主任研究者は相澤先生です。分担研究者として、本日ご出席の山口先生、加 藤先生、村田先生にも加わって研究を実施していただいています。「研究目的」については、 先ほど申し上げたとおりで、それぞれの研究結果について、簡単に概要だけご紹介します。  2頁の右側の下から「研究結果」が記載されています。まず1の「胸部エックス線検査 によるスクリーニングに関する文献とガイドラインのレビュー」です。詳細は7頁からで すが、こちらは主任研究者の相澤先生、研究協力者の和田先生に取りまとめていただきま した。テーマに書いてありますように、文献の調査を行い、調査の概要については3頁の 上から2番目、3番目のパラグラフに書いてあります。我が国の文献等で、40歳以上につ いては肺がんに関して、胸部エックス線検査の有効性を示唆している論文もある。若年層 については、胸部エックス線検査を定期的に行う積極的な根拠はないことから、産業医等 が労働者の自他覚症状等の有無を確認し、省略することは可能であるというとりまとめを いただいています。  2の「胸部エックス線検査の有効性に関する疫学研究」は山口先生にやっていただきま したが、本文は13頁からですが、こちらは全国労働衛生団体連合会に所属する健診施設よ りデータを提供いただき、解析をしていただいたものです。こちらの取りまとめについて は3頁の右側の3の前の2つの段落に、最終的なとりまとめがあります。若年層に比べて 中高年層の新規の有所見の出現率が有意に高いとか、3頁の右側の上のほうにある、若年 層に加えて40歳以上の中高年層のほうが有所見率が高いという結果が得られており、最終 的な肺野所見の有所見率、新規出現率に年齢による明確な違いが認められたことから、職 域における胸部エックス線検査の実施については、年齢を考慮に入れた実施が重要である ということでまとめをいただいています。  3の「省略できない有所見者の範囲に関する研究」は加藤先生に分担していただきまし た。こちらについては結核予防会の事業所健診データ等を使って解析していただきました。 4頁にいろいろなまとめが記載されています。2つ目のパラグラフに、集団感染事例の報告 例等も分析していただき、結核の集団感染事例の分析から、例えば塾講師をはじめとする、 多くの人と長時間あるいは濃厚な接触をする可能性のある者、及び結核に対するハイリス クの集団に属する人が長時間滞在する可能性のある場所に従事する者については、感染症 法に基づき市町村が検診すべきと考えられる、という取りまとめをいただいています。  また書ですが、これは後ほど資料6にも出てくる内容ですが、受診の遅れ2ヶ月以上が 47%を占めていることから、職場での集団感染事例における結核発見方法は9割以上が医 療機関受診であることから、職場における集団感染の予防のためには、有症状者の医療機 関への早期受診が重要という提言をいただいています。  4の「胸部エックス線検査を省略できない対象者に関する検討」です。これは分担研究 者の阿部先生に取りまとめをいただきました。こちらは胸部エックス線検査を省略できな い対象者に関しての基準を示すことを目的に、文献的な検討をいただいています。  その結果、集団的な背景と個人的な背景の両方からご提言をいただいており、集団とし ては職業上、結核患者が多い集団と接する職業、それから結核に罹患すると多くの人に感 染を起こし影響の大きい職業ということで、具体的には定職についていない人やホームレ スと接触する職業の方、飯場で寝泊まりする人、インターネットカフェなど、劣悪な生活 環境で生活する人を挙げています。  後者として、結核に罹患すると、多くの人に感染を起こし影響の大きい職業ということ ですが、幼稚園、保育園の教諭、塾講師など、若年者に接する可能性の高い職業に就く人 が挙げられています。  個人の要因としては、結核蔓延国から帰国し3年以内の方、結核の既往のある人、免疫 が低下した状態の人が挙げられ、こうした対象者の多くは、感染症法に基づき、市町村が 胸部エックス線検査を行うか、かかりつけの医療機関での経過観察により対応することが 望ましい。そのため、定期健診時に胸部エックス線検査を実施する対象としては、問診を 行った際に、自他覚症状を有している場合が適切であると考えられるというまとめをいた だいています。  5の「定期健康診断の胸部エックス線検査の省略を判断するためのガイドラインの作成」 です。こちらは分担研究者の堀江先生に取りまとめをしていただきました。40歳未満の労 働者であっても、胸部エックス線検査を省略すべきではない対象者を選択する考え方、方 法等について、科学的な知見を取りまとめ、そのうえで、我が国の法令や社会制度の特徴 に考慮して、健康診断を担当する医師が、定期健康診断において胸部エックス線検査の省 略の可否を適切に判断するためのガイドラインです。  こちらは健診の実施をするべき対象者という科学的な内容と、我が国にある結核を予防 するための法律になっている感染症法の制度を踏まえたという取りまとめの内容となって おり、胸部エックス線検査を実施すべき対象者と、それを労働安全衛生法に基づいてやる のか、感染症法に基づいてやるのかということまで、いろいろ行政の仕組みについてもご 配慮いただいた取りまとめをしていただきました。  6の「胸部エックス線検査の撮影条件に関する研究」です。こちらは村田先生に分担を していただきました。昨今、デジタル胸部エックス線写真が急速に普及しており、デジタ ルの撮影については、画像処理によって画像が大きく変化することから、表示条件等を標 準化することが急務となっている関係で、種々の胸部画像の撮影条件、表示条件と画質の 検討を行って、健康診断に適した条件の参考例として、推奨の条件を提示したということ で、取りまとめていただきました。  以上のような「研究班報告」において、科学的な知見から、胸部エックス線検査を省略 すべきではない対象者について取りまとめていただいたうえで、さらに現行の感染症法と の関係を含めて、いろいろご提言をいただきましたが、確実に実施すべきという対象者と、 胸部エックス線検査を実施するべきではあるが、市町村が行う感染症法の問題も踏まえて ご提言をいただきましたので、こちらの取りまとめを、私ども行政が検討していくに当た って、さらに労働安全衛生法における胸部エックス線検査の実施を検討すべき対象者がま だ残されていると認識しておりますので、今回この懇談会において、先生方からご提言を いただきたいと考えている次第です。事務局からの説明を終わります。 ○相澤座長 膨大な資料ですが、うまくまとめていただきました。この内容について、ご 意見、コメントはありますでしょうか。これを書かれた先生、何かございますか。よろし いようでしたら、次の議題に移らせていただきます。今後の検討の進め方について、事務 局からお願いします。 ○石井専門官 続きまして、資料5「今後の検討事項等(案)」に基づいてご説明したいと 思います。まず「検討事項」として、先ほど開催要綱の説明でも申し上げましたが、本懇 談会の検討事項についは、「労働安全衛生法における胸部エックス線検査等のあり方検討 会」の報告書において、見直しの実施に当たっては調査・研究を行い、必要な関係規則の 見直しに活用することが適当であるとされたことと、それから平成19年度の厚生労働科学 研究班の報告書を踏まえて、定期健康診断において、胸部エックス線検査を必ず実施すべ き対象者について検討を行うことを目的としています。それ以外の結核健康診断について は廃止の方向。雇入時等の残りの健康診断における胸部エックス線検査については、引き 続き実施ということで整理したいと考えています。  定期健康診断における胸部エックス線検査の対象者についてですが、今回は検討事項を (1)の胸部エックス線検査の必要性が特に指摘された対象者と、(2)の胸部エックス線検査 の実施の必要性をさらに検討すべき対象者ということで、大きく2つに交通整理をしまし た。  (1)の「胸部エックス線検査の必要性が特に指摘された対象者」ですが、これは行政検討 会の報告書や研究班の報告書において、胸部エックス線検査の必要性が特に強く指摘され ている対象者について、まず最初に整理をしたいという意図です。  最初に説明した検討会の報告書においても、40歳以上の労働者については、一般的な胸 部疾患のスクリーニングという観点からも必ず実施すべきという報告をいただいています し、研究班の報告書においても、40歳以上の方に関しては、胸部の有所見率、所見が新規 に出現する割合が高くなってくることから、定期健康診断における胸部エックス線検査を 必ず実施すべきとされています。  次の(ア)〜(エ)に書いた労働者についても、行政検討会及び研究班において、40歳 未満であっても、胸部エックス線検査を必ず実施すべきと提言されています。(ア)ですが、 自他覚症状や既往歴のある者については必ず実施すべき、長引く咳や発熱のある方につい ては必ず実施すべきという提言を行政検討会、研究班の双方からいただいています。  (イ)の学校、病院、社会福祉施設の労働者については、感染症法で結核健診を毎年実 施しなければいけない対象者として規定されている方々で、これらの労働者については、 引き続き労働安全衛生法でも、必ず胸部エックス線検査の対象としてはどうかということ を検討会の報告書、研究班の報告書においても提言をいただきましたので、こちらに加え ています。  (ウ)のじん肺健診の対象者ですが、先ほど経緯の説明でも申し上げましたが、3年に1 遍じん肺法の健診を受ける方については、間の2年について、労働安全衛生法の定期健康 診断の胸部エックス線検査を実施することが前提になっていますので、必ず実施するとい うことで考えています。  (エ)の5歳毎の節目健診の対象者ですが、こちらは最初に行政検討会でもご提言をい ただき、さらに研究班の報告書のガイドラインの中にも書かれていますが、5歳毎の節目 健診の対象者についても、強く胸部エックス線検査の必要性が指摘されています。  以上挙げた5つの40歳以上の方と(ア)〜(エ)の労働者については、今回の見直しに おいても、胸部エックス線検査を必ず実施する対象者として整理をしてはどうかというこ とで、先生方から改めて確認の意味も含めて、ご意見を頂戴できればと考えています。  (2)の「胸部エックス線検査の実施の必要性をさらに検討すべき対象者」ですが、研究班 の報告書においては、例えば結核のハイリスク者については、事業者が市町村に対して健 診実施の要請や助言を行うことが望ましい労働者について指摘されています。これは結核 対策の観点から胸部エックス線検査は必ず実施したほうがいいということです。それから 現行の感染症法の法令等を踏まえて、このような書きぶりをしていただきましたが、「胸部 エックス線検査を必ず実施することが望ましい」という(1)には入ってこない労働者につい て、さらに胸部エックス線検査を実施すべき対象者、その範囲について検討を行う必要が あるのではないかということで事務局で整理をしております。  (ア)の結核ですが、現行の感染症法においては、労働者について、結核菌にばく露さ れる機会が多い職場、及び必ずしも結核に感染する危険が高くないものの、発症すれば二 次感染を引き起こす危険が高い職種(学校、病院、社会福祉施設)に従事する労働者に対 して、事業者が定期の結核健康診断を行うことを義務付けているものです。  ただ、昨今の労働環境や結核の発生状況を踏まえて、集団としての結核感染のリスクが 高いと考えられる不特定の顧客が出入りする職種、個人としてリスクが高いと考えられる 結核蔓延国からの労働者といった、労働安全衛生法に基づく結核をターゲットとした胸部 エックス線検査を毎年必ず実施すべき対象者等について検討する必要があるかということ で、先生方からご意見をいただきたいと考えています。  結核については、本日、資料6「平成19年結核登録者情報調査年報のポイント」という ことで、加藤先生の許可をいただき、結核予防会研究所のホームページから抜粋したもの ですが、こちらで結核の発生動向を簡単にご説明しますと、Point1は、結核罹患率は20 を下回りましたが、未だに2万5千人以上の患者の発生があり、2頁にグラフが載ってい ます。平成9年に逆転増加して、平成11年に「結核緊急事態宣言」が出されて後、結核罹 患率は下がってきています。  Point2は、小児結核の発生が92名で、その中のBCGの接種率は低いということです。  Point3は、20歳代の新登録結核患者の半数はハイリスク者であるということで、20〜29 歳の新登録結核患者は1,924人いますが、その中で外国人が20.3%、無職臨時日雇等が 18.3%、医療関係者が8.8%で、合わせると5割近くになっています。  Point4は、80歳以上の高齢の結核患者が全患者の4分の1を占めて、その割合が増加傾 向にあります。  Point5は、外国籍結核患者の数が842人で、半数以上は入国5年以内に発病しており、 こちらは5頁の下に、「外国籍結核患者数年齢別」でグラフになっています。青い部分が入 国5年以内の発症、赤い部分がその他・時期不明ということでグラフになっています。  Point6は、潜在性結核感染症の新登録の内、4分の1が30歳以上であること。  Point7は、働き盛りの感染性の強い結核患者では、受診の遅れが依然大きいということ で、3頁の上のグラフですが、「発見の遅れの推移」ということで、一番上の赤い太い線で 書かれている所が30〜50歳で、症状から初診が2ヶ月以上かかっており、特に働き盛りに おける受診の遅れの割合が、下から2番目の青い太線の全年齢に比べると、非常に高いと いう特徴があります。  Point8は、結核罹患率の地域拡差は依然大きく、大都市では高く、大阪、名古屋、東京 23区の罹患率が非常に高いということです。  Point9は、世界的に見て、日本は依然として結核の中蔓延国であるということで、5頁 に各国比較のグラフがあります。このような結核の発生動向等を踏まえて、労働安全衛生 法の健診において、引き続き毎年結核をターゲットにして、胸部エックス線検査を対象と すべき方について、先生方よりご意見をいただきたいと考えています。  資料5の1頁の最後の(イ)の「肺がん」です。肺がんについては、健康増進法に基づ いて、市町村が実施するがん検診において、肺がん検診については、40歳以上の方が対象 とされています。労働安全衛生法の健康診断において、(1)で40歳以上については、必要 性が特に強く指摘されていますので、40歳未満の方で、さらに肺がんをターゲットとした 胸部エックス線検査を毎年必ず実施すべき対象者について、先生方からご意見をいただけ ればと考えています。  2頁の(ウ)の「慢性閉塞性肺疾患」です。こちらについては、検討会報告書、研究班 の報告書においても指摘されましたが、我が国において、40歳以上から有意に増加してい る傾向を認めているCOPDについて、40歳未満でも、COPDをターゲットと考えて、胸部エ ックス線検査を毎年必ず実施すべき対象者等についても、先生方からご意見をいただけれ ばと考えています。  (エ)の「循環器疾患」ですが、40歳未満においても、胸部エックス線検査を毎年実施 すべき対象者について、どのような方々が可能性として考えられるのかについて、先生方 よりご意見を頂戴したいと考えています。  以上の(ア)〜(エ)については、これまでの議論の経緯を踏まえて、事務局で現行の 検討のたたき台の案としてまとめたものです。これ以外の方々も含めて、先生方よりご意 見を頂戴したいと考えております。  1頁の(1)の「胸部エックス線検査の必要性が特に指摘された対象者」については、まず 検討の前提条件として、これらの方々は必ず実施するということで整理した上で、(2)のさ らに「検討すべき方」について、ご意見を頂戴できればと考えていますので、まず(1)につ いて、先生方からご意見をいただいて、これらの方々について一定の結論を得た後、(2) について、先生方からさまざまなご意見を頂戴したいと考えています。活発な議論をよろ しくお願いします。 ○相澤座長 それでは、事務局からのご提案で、(1)の「胸部エックス線検査の必要性が特 に指摘された対象者」ということで、40歳以上の労働者については実施し、40歳未満にお いては(ア)〜(エ)の4項目で挙げられた方について、必ず実施するかという前提で、 そういう意見が前回出ましたが、それについてのご意見をいただきたいと思います。 ○今村委員 今回の検討事項の(ア)〜(エ)と、前回の検討会の報告書の中で、40歳未 満でもこういった方たちには実施するというものと、若干違っているように見えるところ もあるのですが、それは何か意味があるのですか。例えば雇入時とか特定業務従事者の健 康診断がこの中にはあまりないのですが、当然これはやるという話ですか。 ○石井専門官 説明がわかりづらくて申し訳ありません。いまご意見を一緒にいただけれ ばと思いますが、資料3の1枚目の部分の雇入時、海外派遣、結核健康診断の廃止、じん 肺法に基づくもの、特定業務従事者については、前回の検討会の取りまとめにおいても特 にご異論がなく、まとめていただいたものと認識しておりますので、先生方から今回、特 段にご異論がなければ、資料3の1枚目の「引き続き実施する」と言われたものについて は、引き続き実施。「結核健康診断については廃止をする」ということで整理をしたいと考 えていますが、いかがでしょうか。 ○相澤座長 資料3の確認をしておいたほうがいいということですね。今回は定期健康診 断ということですので、それ以外の雇入時の健康診断と海外派遣労働者に対する健康診断、 結核健診、じん肺法に基づく健診、特定業務従事者の健診は、定期健康診断のようなもの を年2回やるということになるのですが、これについてはいまの事務局のお話のように、 それほど議論はなかったものですから、省略してしまったのですが、これについてご意見 がありましたら、もう一度確認しておいたほうがいいかと思います。じん肺法は変えない で、その間の定期健康診断をするという考えなのですね。管理区分1の人は3年に1回で すが、間の2年間は一般健診でやるということですね、定期健診ですかね。  特定業務従事者健診は2回健診があるわけですが、レントゲンも2回撮るということで すね。 ○石井専門官 現行の規定では、レントゲンは年に1回やればいいということになってい ます。 ○江口委員 資料3は特にありません。 今回の(1)ですが、自他覚症状のある人の場合は、 通常は病院受診することになるのですが、その辺の線引きはどうなっているのですか。  それから、先ほど(2)の方の場合に、「感染症法」のことを言われていたかと思いますが、 この切り分けはどのように考えたらいいのでしょうか。 ○相澤座長 感染症法でやる健診と一般健診、定期健診ということでしょうか。 ○石井専門官 まず1つ目の「自他覚症状」についてですが、これは特に結核を考えた場 合ですと、長引く熱や咳が続く方については、健診まで待つのではなく、速やかに医療機 関を受診していただくことが当然必要かと思います。ただ、一方で労働安全衛生法の定期 健康診断においては、既往歴などの問診の項目も入っていますので、そちらで何か所見が ある方、自他覚症状にもいろいろ種類があるとは思います。例えば他覚症状の場合ですと、 当然健診の際に医師が聴診等をされるわけですので、そこで何か所見がある方も含まれる わけですので、胸部の聴診をして、おかしいとか、最近息切れがするという方も当然出て くるでしょうから、健診で見つけられたそういった方については、胸部エックス線検査を 省略しないこととしてはどうかです。  今回は、6ヶ月後の確認の結核健診の廃止を行政的に進める際も、長引く咳があるとい った具体的な結核を疑わせるような自他覚症状のある方については、速やかな医療機関へ の受診の呼び掛けを同時に考えておりますので、そこについてはこちらで対応させていた だきたいと考えています。  感染症法への対応についてですが、もともと旧結核予防法の時代においても、結核予防 法で、事業者が健診をやりなさいという規定はありましたが、労働安全衛生法で規定をし ますと、罰則規定を設けたかなり強いものになります。そうすると、当然健診の実施率、 受診率の向上が見込まれこともあって、重複することはありますが、より履行を強く担保 する観点から、向こうで対象になっている方について、こちらでもさらに対象として加え たいと考えています。 ○今村委員 先ほどのことですが、資料3は裏表あって、前回の検討会で40歳未満でも、 こういう人はやるほうがいいだろうと決まったことは、今回の資料5の(ウ)と(エ)に は入っているわけですよね。  入っているものと入ってないものがあることが、整理としてどうなっているのか。つま り、(ウ)と(エ)については、前回、一応このように言われているが、研究結果か何か、 新たに検討しなければいけないことだから、ここに入っていることなのか、そういう意味 で申し上げたのです。つまり、全部この前の検討会のことも改めてもう一度ここで検討し 直すことであれば、全部入っていてもいいかと思ったので、伺ったのです。 ○相澤座長 じん肺法に基づくものだけが入っている。 ○今村委員 あと5歳毎の節目健診、前のときに、たしか。 ○相澤座長 特別な理由はありますか。  ○石井専門官 定期健康診断の部分のみ、資料5で整理をしたつもりですが、じん肺法の 方々の対象は、最終的には定期健診のところで毎年実施をするということで、資料の構成 がわかりづらくなってしまい、大変恐縮です。趣旨としては定期健康診断の部分について、 資料5でご議論いだたきたいと考えています。 ○相澤座長 特別な意味はないようですね。 ○山口委員 あり方検討会に既に入っている資料5の(エ)「5歳毎の節目健診の対象者」 の場合には、何か特別な病気を想定して、このようになったのでしょうか。確認の質問で すが、結核を想定したとか、何かありますか。 ○石井専門官 こちらについては前回の検討会で、アメリカの予防医療研究班の健康管理 プログラムなどを参考にして、一般的な健康管理として、5歳毎の節目健診という提言を いただきましたので、特別この疾患をターゲットにということでいただいたものではない かったと認識しています。 ○相澤座長 「節目健診」の項目というのは、心電図とか、挙げていただいたものですか。 ○石井専門官 35歳のところではそうなのですが、今回のは胸部エックス線検査を節目で やるということですので。 ○相澤座長 それはレントゲンだけですね。そうすると、特別なものではなくて、一般的 な循環器等を含めての健診ということですが、どうでしょうか。 ○江口委員 先ほどの所に戻ってしまうのですが、そうすると、「既往歴」といった場合に は、どのようなものを既往歴とするかということですが、この懇談会では、そういうとこ ろまである程度討議したほうがいいということですか。 ○石井専門官 最終的にはご議論を取りまとめまして、我々が行政的な手続に入る際に、 例えば今回の内容であれば、省令の改正や告示の改正といった内容になりますが、その際、 省令や告示には、文言としては非常に短いものになりますので、具体的に解説をする施行 通達を取りまとめます。例えば先生方から自他覚症状はどうとか、既応歴について、内容 の中で、さらに具体的にこういう人たちを入れるべきというご意見をいただければ、それ を反映したものにしたいと考えています。こういった方々について具体的にこういう方は 絶対に入れるべきというご意見がありましたら、積極的にいただければと考えています。 ○相澤座長 端的には結核というイメージがありますが、それ以外にも若い人の肺がんと かありますかね。 ○江口委員 40歳未満無症状の検診ということであれば、肺がん検診の対象から外れてい ます。 ○相澤座長 結核を治療した人の場合はやったほうがいいでしょうね。 ○加藤委員 どうやってやるかというのがなかなか難しい。治療終了後の1年間の再発率 は高くて、そこは保健所が感染症法の枠の中で、管理健診として実施します。実はこれも 議論の最中で、現行は治療終了後3年までを結核回復者と言うのですが、それが適当かど うか、2年でいいのではないかと議論しています。  では、どうするかというのは、治療終了後1年までは非常に再発があるのですが、2年 からはだんだん下がりますが、下がり方は緩やかです。結核の既往がある人は事業所健診 として、10年、20年撮り続ける必要があるかというと、これはまた、効率とか、そういう 問題を考えて、いろいろな議論が出てくるのかという気がします。 ○相澤座長 そうですか、なかなか難しい問題がありますね。ほかにはご意見ございます か。柚木委員、自他覚症状を問診で調べて、呼吸器症状があった場合にレントゲンを撮る という流れになるのですか。 ○柚木委員 特にタバコを吸う人とか、資料5の(ウ)の閉塞性肺疾患が多いということ は、肺結核もさることながら、タバコを吸うことによって、こういう症状が喚起されると いうことですから、喫煙者、非喫煙者の区別も縛る必要もあるのではないかと考えていま す。  もう1つ、資料6のPoint5で、外国籍の結核患者の数が非常に多いということですが、 外国に行った人、または外国人そのものの結核罹患率を考えると、胸部レントゲンの必要 性があるのではないかと思います。 ○今村委員 自他覚症状というのは、呼吸器疾患のという意味で考えていいということで しょうか。例えば疾病は、こういう自覚症状があっても、例えば血圧と心電図をとるから いいのだと。要するに、40歳未満だったら省略できるのだと考えるかどうかという話にな ると思うのです。 ○西村委員 症状がオーバーラップしていることもしばしばありますので、心疾患との鑑 別は自覚症状からはクリアカットにできないと思います。息切れというのは心疾患による 場合もあり、含めての検討が望ましいのではないかと思います。 ○今村委員 ということは、必ずしも呼吸器系と明らかにわかるような自覚症状ではなく ても、医師が判断すれば、40歳未満でもとるべきだという考え方でいいという整理ですか。 ○西村委員 胸の写真に加えて、もう1つの検査、例えば心電図が望ましいということに なると思います。 ○相澤座長 呼吸器に限らず、レントゲンで映る疾患の既往や症状があった場合に必要と いうことも、実はこの懇談会で決めていただきたいと思います。委員のお考えとしては、 入れたほうがいいということですか。 ○今村委員 いま西村委員がおっしゃったような考え方でやったほうがいいと、私も思っ ています。要するに、これは40歳未満は省略できると言っているけれども、省略しないケ ースがあって、それについてはどういうものを省略しないのかということを決めるという 話であれば、やはりそれをその辺のことを少し考えていただいたほうがいいのではないか と思います。 ○相澤座長 詳細については、これからまた検討いたしますが、(1)の(ア)(イ)(ウ)(エ) については省略できない項目という考え方で、また後でご議論いただきますが、とりあえ ずはよろしいでしょうか。  それでは、2番目として、医師の必要性をさらに検討すべき対象者として結核、その他 がありますが、結核については加藤委員、先ほどの事務局からの説明に加えるものはあり ますか。 ○加藤委員 整理としては、先ほどお話があったように、罹患率の高い人が万が一感染さ せ、発病した場合に、多くの人に感染させることになります。これは感染症の考え方です が、基本はそこに則っているものかと思います。  ついでに申しますと、感染症法の場合、17条に基づく健康診断についてはほかの方法に よって健康状態が確認できるものは対象外にすることができますよね。労働安全衛生法も 同じような考え方でよろしいのでしょうか。例えば自覚症状はあるけれども、すでに健康 診断の前に健康状態が確認できるものは対象外にする、という規定になっているというこ とでよろしいでしょうか。 ○石井専門官 ほかで受けた項目があって、それを出せば省略できるということになりま す。 ○相澤座長 診断書などですか。そういうものが要るのでしょうか。診断書が関係してく る。健診の結果のようなものでいいのですね。 ○石井専門官 そのようなものです。 ○相澤座長 ここに挙げられているものとして、結核と肺がんがありますが、江口委員、 今日は肺がんの資料を何かお持ちですか。 ○江口委員 肺がんの高発年齢は、やはり60〜70代の高齢者です。40歳未満、無症状の 人を対象に集団検診は必要かということです。現在は日本肺癌学会集団検診委員会の取り 扱い規約でも40歳未満は対象外としています。資料はがん研究振興財団の厚生労働省動態 統計から作成したがんの統計年報から抜粋です。 本日別に提供された資料ですが,平成19年度報告書に加藤委員のグループから出ている分 担報告の31頁は、表2に「40歳未満の産業種別受診者数と有所見者数」ということで、 肺がんが0.1%あります。これを発見率とすると、異常に40才代肺がんが多くなってしま います。こういうデータもあるならば、文献的にシステマティックレビューをかけて見る ことが必要になります。これは有所見者数ですから、実際の肺がんであった率ではないの でしょうか。40歳未満で実際に肺がんであった率だとすると、0.1%は異常に高すぎます。 ○相澤座長 加藤委員が示されたのは全国統計ですか。 ○加藤委員 そうです。 ○相澤座長 2002年ですが、健診ですから、あくまでも最終的なものではないですね。 ○加藤委員 はい、そうです。 ○相澤座長 結核のリスクが高い人については、健診をすべきであるということですが、 これについてのご意見はありますか。肺がんについてです。40歳未満でも対象にするとい うことについて、江口委員はむしろあまり意味がないということですね。 ○江口委員 若年者肺がんに関する体系的なレビューを、もう一遍かけてみる必要はある かと思います。 ○相澤座長 喫煙者とか。 ○江口委員 そうですね。 ○山口委員 すみません。この数字がちょっと分からなくなってしまいました。それぞれ (1)は「年齢階級別」と書いてありますが、これは累積の話ですよね。 ○相澤座長 そうです。 ○山口委員 例えば44歳というのは、44歳までに肺がんにかかるリスクが、男では0.1%、 女では0.1%という読み方でいいですよね。頭のほうの大きなタイトルは合っているので すが、下のタイトルはちょっと違うなと思ったのです。これだと誤解されてしまうと思い ます。 ○相澤座長 肺がんについては、もうちょっとレビューをしたほうがいいというご提言で すので、これは研究会でやりますか。結核はどうでしょうか。職種や外国人の問題もあり ますが、これもデータがかなり検討されているのですよね。 ○加藤委員 リスクの高いグループというのは一般的にはわかるのですが、すべてを書き 出すというのは、なかなか簡単な作業ではないので、それぞれの事業所である程度、判断 していただかざるを得ないところがあるのではないかと思います。 ○村田委員 産業医などですか。 ○加藤委員 そうですね。 ○村田委員 この年報のポイントから言うと、計画を重要なターゲットに仕掛ければいけ ないのは明らかですね。 ○加藤委員 患者発見の考え方自体が健診よりも、有症状の人を早く見つけるということ です。つまり症状が出てからの発見の遅れ、受診の遅れ、診断の遅れのほうが、広い意味 での事業所における健康管理、あるいは労働者の健康管理という観点から、より重要性が 増していると考えられるので、健診以上に症状があったらちゃんと受診するというのが、 今後の基本と思います。 ○相澤座長 それでは2頁の裏、(ウ)「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」にまいります。たしか 40歳以上から上昇するということで、40歳未満であっても喫煙などというお話が先ほどあ りましたが、実施すべき対象として検討する必要があるかどうか。 ○村田委員 COPDの検出を胸部エックス線写真で早期の段階を拾い上げるというのは、な かなか厳しいのではないかという気がします。特に40歳未満ですと、どうでしょうか。症 状もまだあまり出てこないですし、ターゲットにできるかという気がしたのです。 ○今村委員 全く同じことを伺おうと思っていました。このCOPD対策というのはすごく大 きな問題で、私はやはり国を挙げて取り組まなければいけない課題だと思っているのです。 40歳以上の方がこういう写真を撮ったことで、どのぐらいCOPDが見つかっているのか。 最終的にはみんな、ある程度スパイロをやることになると思うのです。そもそもその前の 段階として、疑いがあるからスパイロをやりましょうという人が、40歳以上の人のレント ゲンで、そもそもどのぐらい見つかっているのかというデータがあるかどうかを伺いたか ったのです。 ○村田委員 胸部写真でマイルドな気腫などはたぶんほとんど分からないです。胸部写真 で異常があるようなCOPDというのは、かなり呼吸機能も悪くなっていると思います。です から一般的にCOPDを胸部写真だけで診断するのは難しいところがあるのではないかと思 います。はっきりとしたデータが出ているかどうかは分からないのですが、特に若い人と いうのは。 ○相澤座長 これについて、ほかにご意見はありますか。スパイロをやったほうがいいと いうご意見がありましたが。 ○今村委員 レントゲンの課題ではないのですが、例えば今回のメタボ対策では、保健指 導の対象者に必ず喫煙歴を聞くことになっているけれども、特に本数や年数を聞くという ことではなくて、現時点では喫煙しているかどうかだけを聞くという話になっているので す。逆に言えば、そういうところをきちんとやって、ハイリスク者をちゃんと選び出して、 きちんとスパイロをやるという仕組みが、国のほかの制度も含めてないとまずいのではな いかと思っております。 ○相澤座長 自他覚症状ではないですが、そういった生活歴ですね。喫煙を聞くことにつ いてはどうですか。別に問題はないですね。 ○石井専門官 喫煙歴については今村委員からお話がありましたように、今年度、昨年4 月から特定健診・保健指導が始まって、特定健診に対して労働安全衛生法で実施した検診 のデータを提供することを考えております。いま、法定項目の聞き方としては、「既往歴等」 となっています。その中で、かねてより服薬歴と喫煙歴については聴取されていたという 経緯があり、労働安全衛生法の健診でこの2つが取られていないと、服薬歴と喫煙歴だけ、 個々の保険者から聞かなければなりませんので、喫煙歴の聴取と服薬歴の聴取については、 私どものほうから通知で聞くようにということで出しております。こちらについて聞くこ とは現在でも推奨し、我々のほうからも通達でお示ししております。 ○相澤座長 どの程度聞いているのですか。喫煙しているかどうかだけではなくて、本数 や年数、その辺も聞いているのですか。 ○石井専門官 もしかすると、場合によってはそこまで細かく聞いていないこともあるか と思います。肺がん検診の場合ですと、検診項目で喀痰検査をやる、細胞診をやる場合に、 喫煙年数と本数のブリンクマンインデックスを使って、対象者を選定している所はありま す。そちらは、おそらく徹底されているとは思うのですが、私どもではそこまで聞けてい ない事例もあるかと思います。 ○江口委員 肺癌学会の集検取り扱い規約では、1日の本数×年数が明記してあり、喫煙 歴を聞くのであれば、統一したやり方でやるべきだと思います。  受動喫煙も問題になると思います。COPDも含めて、確かにリスク群別のグループでどう いう検診をやるかというのは、今後も非常に重要な課題になってきます。やはり喫煙歴を 聞くときには受動喫煙も含めて、簡便な基準を設定して検診の場で記録すべきです。 ○相澤座長 この場合は職場でしょうけれども、受動喫煙の場合は家庭の問題などもあり ますね。その辺は可能ですか。一応検討していただいて、なるべく。 ○鈴木労働衛生課長 受動喫煙というのはホットな話題で、もうすぐ正式に検討を始める 予定になっています。そういったものの動きを加味しながら、健診においてもどう反映さ せるかというのは、当然考えなければいけないと思います。 ○江口委員 ご承知とは思いますが、肺がん治療として分子標的薬の有効性も、喫煙歴で 非常に左右されます。その意味で診断のみならず、治療面から、喫煙歴の聞き方、記載の 仕方は統一すべきです。 ○相澤座長 それでは、(ア)の自他覚症状と生活習慣歴ですが、喫煙も入れるようにとい うご意見ですね。いまのご意見では、慢性閉塞性肺疾患については、レントゲンを撮る意 味はあまりないというご意見でしたが、これについてはいかがですか。 ○鈴木労働衛生課長 だから、これを検討項目から外すということではなくて、ほかの項 目と併せて抜本的なと言いますか、先ほど今村委員が言われたように、系統的な対策を講 じるべきだという研究が出れば、別途、引き続きというより、ちょっと枝分かれした形で、 この会ではないとは思うのですが、何か立ち上げることになると思います。(エ)の循環器 に関しても、例えば過重労働でいろいろな負荷がかかっているような方については、レン トゲン単独ではということであれば、そういうものは独立して検討することも考えられま す。ですから、一応今回は、この場で外すということではなくて、そういうご意見を踏ま えた上で、どう対応したらいいかというのを、後で研究体制に投げたいと思います。 ○柚木委員 先立って全衛連で冨田先生が講演された中に、時間外労働をたくさんする人 は免疫力が落ちてくるので、結核などにも感染しやすいと言われました。やはりPoint3 の現在20歳代の結核患者の発生も、過労であるということも考えれば、週45時間以上の 労働者には、何らかの縛りをしたほうがいいのではないかと思っています。 ○相澤座長 それでは、(ウ)は別途検討するということにさせていただきます。(エ)「循 環器疾患」については西村委員、いかがでしょうか。 ○西村委員 40歳未満で無症候の人で、胸部エックス線検査でどの程度心疾患が見つかる かというのは前回のこの会でも検討され、心臓、大血管系の異常所見率を示したデータも 示されたように記憶しております。その議論を踏まえて、前回の結論が出たということで す。また、相澤座長の報告書の9頁にも、文献レビューをしたけれども、心臓、大血管疾 患発見の有用性については一定の結論は得られなかったとあります。疾患の発見される可 能性はあるのですが、その頻度は低いので、頻度から見て検査として有用性が高いと予測 されるターゲットの集団があるのかどうかです。それを明らかにする目的で、もう一度文 献検索をするかどうかですが、そのような文献があるかどうかも疑問です。結論として、 ターゲットとなる集団はないのではないかという感じがいたします。 ○相澤座長 意味はないのではないかというご意見ですか。 ○西村委員 無症状例で40歳未満の群では、そのように思います。 ○村田委員 循環器はもちろん心臓の大きさや肺の鬱血の程度など、エックス線写真で結 構わかる情報も提供してくれると思うのですが、症状のほうが引っかかってくることがあ るので、循環器に関しても症状のところをしっかり担保しておけば、循環器疾患に対して も胸部写真を撮るようなルートができるのではないかという気がいたします。単に無症状 で拾い上げる大動脈の蛇行などの所見は、それ自身が問題になることは少ないのではない かという気がいたします。 ○相澤座長 何かほかにご意見はありませんか。 ○柚木委員 先ほどの冨田先生の論文の中で、全衛連の発表の中に出てくるものを読ませ ていただきますと、残業時間が増えると睡眠時間が減ってくる、そして人は普通に呼吸を しているときは、肺の上のほうで新陳代謝をしないので、結核菌は肺前の周りに病巣をつ くる、若い人は立ってうろうろすることが多いので、やはり胸部レントゲンは若い人にも 必要ではないか、ということを講演でおっしゃったのです。そこで見直しが可能になれば、 40歳以下のところでハイリスク者をどこで拾うかということをやってほしいと思います。  また、胸部レントゲンとは全然違うのですが、40歳未満の方で定期健康診断を受けたと きに、心電図もない、血液検査も何もない、身長と体重だけ測って、これを「健康診断」 と言えるのかどうかというと、一般の労働安全衛生法を考えた場合に、健康診断の内容と しては、ちょっと寂しいような感じがいたします。どこかレントゲン以外のところで、ま た考えていただければと思います。 ○相澤座長 それでは、循環器疾患についても、ここで外すようなことはしないで、もう ちょっと詳しく検討する課題としては残すということでよろしいでしょうか。                   (了承) ○相澤座長 ありがとうございます。その他の疾患ですが、いかがでしょうか。ほかにど ういうものがあるのか。及川委員、何かご意見はありませんか。 ○及川委員 エックス線なものですから、もうすでに。 ○相澤座長 循環器疾患のところまでで、そのほかは今のところ見当たりませんが、何か 出てきたら検討するということにさせていただきたいと思います。それでは今後の検討事 項以外にも、全般的に何かご意見やご質問はありませんか。 ○山口委員 (オ)で何かないかと、いま思っているのです。私が座長の分担でやったと きに、胸膜の病変をどうしようかといった話を思い出したのです。石綿は、先ほどの特定 業務従事者に入るという理解でよろしいのですか。 ○相澤座長 石綿は特殊健康診断です。 ○石井専門官 石綿等については、特殊健康診断の対象となっており、定期健康診断とは 別に毎年、胸部エックス線検査の直接撮影を実施することになっております。 ○山口委員 私は詳しくわからないのですが、それ以外にも胸膜の病変というのは、こう いう検診ではあまり考える必要はないのかどうか。 ○相澤座長 石綿は、ばく露作業者という範疇に入らない人でも、ばく露する可能性がな いことはないと思います。 ○山口委員 間接ばく露をどのぐらいしているかというのは、個別におやりになっている とは思うのですが。 ○相澤座長 そうですね。 ○江口委員 石綿ばく露歴を自覚していない方も含めたスクリーニングの研究班がありま す。その班で画像を読影する際に、胸膜肥厚所見はCTと単純写真では大体数倍以上の精度 の差があります。単純写真で石綿関連疾患をスクリーニングするときは目的を充分に検討 してください。また、画像上の所見が、医学的に中皮腫とどのように関連するのかまだ充 分に解明されていません。若年者では特に中皮腫スクリーニングに胸部写真を使う意味付 けが不明です。 ○相澤座長 村田委員はいかがですか。 ○村田委員 単純写真で拾い上げられる胸膜病変というのは、言われているように、かな り低いと思います。それ以外の胸水などの胸膜病変というのは、それも症状で拾い上げら れる可能性があるのではないかという感じはします。  先ほどの所へ戻りますが、症状や既往歴をうまくしっかりとしておけば、若い人のいろ いろな病気のとりあえずの拾上げみたいなことはできるのではないかという気はします。 ○今村委員 若い方で特発性気胸を起こすような方が、例えば高校生ぐらいのときに起こ してしまっていれば、既往歴ということになるのでしょうけれども、就職するような年齢 になってから、初めて発症される方というのは、結構あるのでしょうか。もし有るとする と、身長と体重から、体型的に写真を撮ったほうがいいということがあるのかどうか。つ まり自覚症状もないし、既往もないけれど発症するケースがどの程度あるのかということ です。なければいいのですが、そういうことがあるのかどうか。 ○江口委員 体型はある程度関係ありますね。病院外来では20〜30才代の自然気胸例は稀 でありませんが、無症状検診のターゲットにすべきかは別問題と考えます。 ○今村委員 一律に取らなくても拾い上げる基準というものが何かあって、BMIがこうだ ったらこうだとか、そのようなことができるのかどうか、素人なので申し訳ありません。 ○江口委員 画像上の予測基準は無いと思います。 ○村田委員 レントゲンを撮ってブランを付けようということですよね。 ○今村委員 例えば気をつけてねとか、そういう話が言えるのではないかと思ったのです。 ○村田委員 CTなどではブランなどに引っかかることはあると思うのですが、胸部写真で はっきりと原因ではないかというのが分かるものは、そう頻度はないのではないかと思い ます。 ○相澤座長 それと、先ほどの山口委員の胸膜の変化というのは、この間の調査ではかな り多かったということですか。 ○山口委員 そうです。意外とありました。大体が経過観察みたいな判定がほとんどだっ たと思いますが、所見としては結構、胸膜肥厚や治癒病変というような感じです。 ○相澤座長 健診の写真を見ますと、多いですよね。昔の胸水の跡などで胸膜肥厚を残し ているものは、研修病院の中でも結構出てきていますよね。 ○山口委員 それが先ほどの既往歴みたいなところで、当然問題になると思うのです。そ ういうものがあって、レントゲンで引っかかった人は毎年やるのかということです。 ○相澤座長 自他覚症状の所は、かなり重要だというご意見が多いようですので、この辺 も検討課題にさせていただきたいと思います。そのほかに全般的に何かご意見はあります か。 ○柚木委員 全衛連の一部の会員機関からの声ですが、半導体の製造の所でナノマテリア ルというのが、それを吸ったときに、非常に健康を害するものがあるのではないかと言わ れているので、その問題も胸部レントゲンに引っかけて考えていったほうが、根回しとし てもいいのではないかという感じがいたします。  それと、先ほど山口委員がおっしゃった米杉ラワン材の粉じんを吸う所では、行政指導 の健診となっていますが、これもやはり胸部レントゲンをしなくてもいいのかどうかとい うところを、委員会で考えていただけたらと思います。 ○相澤座長 米杉というのは喘息ですか。指導による健診の中に、レントゲンは入ってい なかったのですか。 ○柚木委員 まだ入っていないですね。 ○石井専門官 行政指導についても、もともと定期健康診断で全員に胸部エックス線を課 しておりますので、あえて重複する部分は抜けていることもあります。ご指摘いただいた ナノマテリアルについては、化学物質対策課が別に検討会を行っており、報告書が取りま とめられたところです。その中で健康管理についても、一部言及がありますので、胸部エ ックス線の取扱い等についてもご相談させていただければと考えております。 ○鈴木労働衛生課長 追加でよろしいですか。ナノマテリアルもそうですし、無数の化学 物質がある中で、リスク評価がなかなかやり切れていないということがあります。例えば 食品関係で言えば、農薬もなかなか評価が定まらないので、一律一定の濃度で残留農薬を 規制しました。そういう意味では、分からないからやらないということではなくて、分か らないものは当面、化学物質を扱う所は、逆に大丈夫だというエビデンスが出ないまでは やるという考えもあろうかと思います。ナノマテリアルも含めて、そういう観点からも考 え方を整理しなければいけないとは思っております。 ○今村委員 環境省でも今、化学物質のことはいろいろな規制や数値の基準などを随分取 り決めておられるようですが、その辺は労働との関係で何か意見交換をされたり、情報交 換をすることはあるのでしょうか。 ○石井専門官 主に環境省と、私ども厚生労働省のほうですと、隣の化学物質対策課が担 当になるので、そこの2つが密に連携をしております。私どもの化学物質対策課が、何か 化学物質の規制ということになりますと、当然健康管理の観点から、労働衛生課とも連携 してやっておりますので、その辺の連携は密にして、引き続きやっていきたいと思います。 ○相澤座長 どうでしょうか。大体のご意見が出揃ったかと思います。何かまだ追加のご 意見はありますか。  それでは、今後の進め方についてのご意見をいただきましたので、事務局から次回以降 の進め方についてお願いいたします。 ○石井専門官 本日は先生方からさまざまなご意見を頂戴しました。定期健康診断以外の 項目については、いままでの検討会の合意内容を説明させていただくということで、ご意 見を頂戴いたしております。それから定期健康診断の対象者について、これまでの必要性 が特に指摘される対象者については、必ず実施をするということに加えて、特に自他覚症 状や既往歴の部分に関して、非常に貴重なご意見をいただきましたので、こちらも引き続 き事務局のほうで整理をさせていただきたいと考えております。  特に結核と肺がんにおいては、外国人の問題や過重労働の方、事業者ごとに判断すべき というようなご意見、肺がんについては体系的なレビューをかけてみる必要性があるので はないか、というご意見を頂戴しておりますし、喫煙歴の問題についても問題提起をいた だきました。  以上のことで、次回の懇談会までに必要な文献やデータについては、昨年度の研究班で もデータを収集していただいたところですので、それらの活用も含めて、私どもの所管で ある独立行政法人労働安全衛生総合研究所に研究委員会を立ち上げて、本日いただいた宿 題について、次回の懇談会までに整理させていただきたいと考えております。こちらの研 究委員会における整理も、本日ご出席の先生方に是非ご協力をお願いしたいと考えており ます。先生方には引き続き、事務局のほうからいろいろ個別にご相談させていただきたい と考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次回以降の開催については、研究委員会における整理の状況等を踏まえながら、追って 事務局のほうから日程の調整をさせていただきたいと考えております。お忙しいこととは 存じておりますが、今後ともご協力のほど、よろしくお願いいたします。 ○相澤座長 それでは、第1回の懇談会を終了させていただきます。今日は大変活発なご 意見をいただきまして、ありがとうございました。 ○鈴木労働衛生課長 どうもありがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課 電話03-5253-1111(内線5495)