08/10/29 第12回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会議事録 第12回 今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(議事録) 1.日時:平成20年10月29日(水) 15:00〜17:30 2.場所:航空会館7階 大ホール 3.出席構成員: 樋口座長、伊澤構成員、上ノ山構成員、大塚構成員、尾上構成員、小川構成員、 門屋構成員、坂元構成員、佐藤構成員、品川構成員、末安構成員、田尾構成員、 谷畑構成員、長尾構成員、中島構成員、長野構成員、広田構成員、三上構成員、 安田構成員、山根構成員 厚生労働省: 木倉障害保健福祉部長、蒲原障害保健福祉部企画課長、藤井障害福祉課長、 福島精神・障害保健課長、塚本障害保健対策指導官、藤井地域就労支援室長、 林課長補佐、野崎課長補佐、矢田貝課長補佐 4.議事    (1)就労支援・社会適応訓練事業について    (2)精神保健指定医の確保について (3)「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」中間報告について相談支 援について 5.議事内容 ○樋口座長  それでは、定刻でございますので、ただいまから第12回の検討会を開催させていただ きます。  構成員の皆様におかれましては、御多忙のところ、お集まりいただきまして誠にあり がとうございます。  それでは、まず、本日の構成員の出欠状況等について、事務局よりお願いいたします。 ○林課長補佐  まず、本日の構成員の出欠状況等について御報告をいたします。  本日、寺谷構成員、町野構成員、良田構成員より御欠席との御連絡をいただいており ます。  長野構成員におかれては、少し遅れて見えるようです。  本日の出欠状況等については以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  本日は、お手元の議事次第にございますように、おおよそ3時〜5時をめどにこの検 討会を行わせていただく予定にしてございます。毎回申し上げておりますけれども、限 られた時間でございます。また、多くの構成員の皆様から御発言をいただきたいと考え ておりますので、お1人様に長時間の演説をしていただきますと、ほかの方々の発言の 機会が失われてしまいますので、是非要領よくおまとめをいただきたいと思います。  では、議事に入りますが、本日のテーマは、就労支援・社会適応訓練事業について、 2番目が精神保健指定医の確保について、3番目は「精神保健福祉士の養成の在り方等 に関する検討会」中間報告についてという議事になってございます。この3つの議事で ございますが、それぞれ資料の説明をいただきました後、質疑の時間を設けさせていた だきたいと思います。  それでは、議題の1の就労支援・社会適応訓練事業について、資料1に基づいて事務 局の方から説明をお願いしたいと思います。 ○野崎課長補佐  それでは、資料1に基づきまして説明をさせていただきたいと思います。  初めに、資料の構成でございますが、資料1は3つに分かれてございまして、資料1 −1が就労支援・社会適応訓練事業に関する全体像といった観点で議論いただきたいと いうものでございます。あと、参考的なデータ等を付けてございます。  また、資料1−2が、先日、10月22日に開催されました障害者部会の資料をそのま ま添付させていただいております。障害者部会の方は3障害一本で議論されております ので、必ずしも精神障害者に特化した内容とはなっていない部分もございますが、その 点につきましては御了解いただければと思います。  また、資料1−3が社会適応訓練事業についてという内容となっております。  本日の説明ですが、資料1−1及び資料1−3を中心に説明いたします。また、後ほ ど出てまいりますけれども、論点整理で掲げられた雇用施策との連携と、就業・生活支 援センターに関する部分につきましては、資料1−2も適宜活用させていただきたいと、 そのように考えております。資料1−2を詳細に説明するということは、割愛させてい ただければと思いますが、御意見の方は、是非、全体についていただければと思ってお ります。  それでは、資料の内容の説明に入らせていただきたいと思います。資料1−1の1ペ ージをごらんいただければと思います。こちらが9月3日におまとめいただきました論 点整理からの抜粋となります。  最初の○の冒頭の1段落目は省略いたしますが、2つ目の段落として、このため、就 労系の障害福祉サービスについて、現在果たしている機能や雇用施策との関係を踏まえ、 その機能や雇用施策との連携のあり方について検討すべきではないか。  また、障害者就業・生活支援センターについて、障害福祉サービスにおいても、就労 面の支援と併せて生活面の支援を提供する機能の重要性に鑑み、その質の向上を図りつ つすべての圏域に設置されるよう努めるとともに、就労移行支援事業所等との連携につ いて強化すべきではないか。  また、もう一つの○といたしまして、精神保健福祉法において規定されている社会適 応訓練事業の位置づけについて、これまで果たしてきた役割を十分に踏まえつつ、検討 すべきではないか。  以上の論点整理を踏まえまして、中心となる論点として3つ掲げさせていただいてお ります。  1つ目といたしまして、就労系の障害福祉サービスと雇用施策等との連携の強化につ いて。2つ目として、障害者就業・生活支援センターの充実について。3つ目として、 社会適応訓練事業についてでございます。  先ほども申しましたけれども、基本的には、主にこの3つの角度から御議論をと思っ ておりますが、勿論、資料1−2にかかわる部分につきましても御発言いただければと 思いますので、よろしくお願いいたします。  2ページは、障害者の雇用数・実雇用率の推移を障害別に見たものでございます。精 神障害者については4,000人程度となってございます。  3ページをごらんいただきますと、就労支援施策の体系として整理させていただいて おりまして、一番左が福祉施策による介護支援の場、2番目、縦に見ていただければと 思いますが、福祉施策による就労支援の場、右から2つ目が一般雇用に向けた支援施策、 一番右が一般雇用などとなっておりまして、それぞれ雇用施策と福祉施策、上下に分か れてございます。  雇用施策と福祉施策の間にございます障害者就業・生活支援センターが位置づけられ ておりまして、それは一般雇用に向けた支援施策として位置づけられている。福祉施策 の方では、福祉施策による就労支援の場として、就労継続支援のB型、また、一般雇用 に向けた支援策として就労移行支援、また、一番右の一般雇用などというところに雇用 に基づく就労継続支援A型が位置づけられているということでございます。  資料の4ページ以降は現行の障害福祉サービスの概要が続きまして、最後の7ページ に精神障害者に対する主な雇用施策ということで、以前の検討会にもお示ししたもので ございますので、この辺りの説明は省略させていただければと思います。  続きまして、資料1−2に移らせていただきたいと思います。まず1ページ目をごら んいただければと思いますが、22日の障害者部会では、就労支援についての全体像とし て、一番下の四角の部分でございますが、一般就労への移行支援の強化、2番目として、 福祉的就労の在り方、3番目として、障害者雇用施策等との連携強化等ということで、 3つの柱を掲げまして御議論いただいたところでございます。このうち、本日の説明は、 先ほど申しましたが、3番目につきまして行わせていただきたいと考えております。  資料の24ページに飛んでいただければと思いますが、こちらが障害者雇用施策等との 連携強化等ということで、まず1つ目といたしまして、雇用施策等との連携の強化とし て、その現状でございますが、まず、地域自立支援協議会に就労部会を設けるなど、福 祉分野を中心に地域レベルで就労支援のネットワークを設けることも有効である。一方 で、その設置が十分に行われていない。  また、雇用分野、教育分野等のほかの分野において地域のネットワークを設けること とされているという状況にございます。  それをまとめたのが参考2となっている部分でございますが、協議会であるとか、連 絡会議であるとかがそれぞれの分野で設けられているということでございます。  それを踏まえて課題でございますけれども、就労支援のネットワークは、設置が求め られている各会議の目的の達成に向けて、地域の実情に応じて、有効に機能するものと して設置運営されていくことが重要と考えられるものの、現状では、地域によって、必 ずしもそれぞれの会議等が有機的なネットワークとして十分には機能していない。  それを踏まえまして論点として、雇用、教育、福祉等の地域の関係機関が障害者の就 労支援に関し有機的な連携体制を構築できるよう、切れ目のない一貫した支援を目指し、 更に具体的な連携を強化するとともに、一体的な運営や合同開催などの工夫も必要では ないかという形で論点を提示させていただいたところでございます。  26ページに移っていただきまして、2つ目の項目といたしまして、障害者就業・生活 支援センターの充実でございます。このセンターは、就業及びこれに伴う日常生活、社 会生活上の相談・支援を一体的に行う事業として、平成14年の雇用促進法の改正で創設 されたものでございます。  平成19年度時点では全国に135か所で、平成20年度中に205か所まで整備される予 定となっております。  障害者就業・生活支援センターの実績といったものでございますが、センターが就職 のための支援を行った者の就職後6か月経過後の定着率を見ると76%、平成19年度の 実績ベースでそうなっておりまして、有効に機能している。また、成長力底上げ戦略の 柱の1つである就労支援戦略の重点戦略として位置づけられており、すべての障害保健 福祉圏域への配置を進めていくこととされているということでございます。その概要は 下にあるとおりでございます。  課題といたしましては、就職・職場定着のための支援ニーズが高まっている中で、障 害者就業・生活支援センターの体制がニーズ量の増加に対応できていないという指摘が あるということを踏まえまして、センターについて整備を進めるとともに、同センター がよりその機能を発揮できるよう、地域の就労関係機関との間で役割の整理と連携の強 化を進めるべきではないかという論点を提示させていただいているところでございます。  28ページでございますけれども、必ずしも雇用施策との連携というところではござい ませんが、説明させていただきます。就労支援に携わる人材の育成というところで、就 労支援の強化を図るためには、それぞれの事業の目的に即した人材の育成確保が重要で ある。下で就労支援の主な内容と配置職員の状況を事業ごとに示させていただいており ます。  その一方で、29ページでございますが、現在、就労支援に携わる職員の研修としては、 サービス管理責任者に対する研修があるのみでございまして、その他の就労支援員であ るとか、あるいは職業指導員に対する研修というのは行われていないという状況にござ います。  30ページでございますけれども、課題といたしましては、一般就労への移行や工賃倍 増を促進するためには、求職活動・職場開拓、就職後の定着支援等、就労支援に必要な ノウハウや技術を有する人材を育成・確保していく必要があるという課題に対応いたし まして、就労支援事業に必要なノウハウや技術を習得するための研修の機会の拡充等の 人材の育成・確保策を進めるべきではないかというものを論点として提示させていただ いたところでございます。  それ以降は参考資料となりますので、説明は割愛させていただきますが、以上が資料 −2の説明となります。  続きまして、資料1−3に移らせていただきまして、論点整理のもう一つの項目でご ざいます「精神障害者社会適応訓練事業について」ということで資料をまとめさせてい ただいてございます。  1ページをごらんいただきますと、まず、法律上、精神保健福祉法上の位置づけでご ざいますけれども、第50条に、都道府県は、精神障害者の社会復帰の促進及び社会経済 活動への参加の促進を図るため、精神障害者社会適応訓練事業を行うことができるとい うことでございます。事業の概要は後ほど説明いたします。  それに対する国の補助といたしまして、51条ですが、国は、予算の範囲内において、 都道府県に対し、都道府県が行う精神障害者社会適応訓練事業に要する費用の一部を補 助することができるという規定が置かれているところでございます。  後ほど説明いたしますが、実際、一般財源化、地方交付税措置をされてございまして、 この補助規定というものは今のところ機能していない、それに基づく補助は行われてい ないという状況にございます。  2ページをごらんいただきますと、先ほどと重複いたしますが、精神保健及び精神障 害者福祉に関する法律において規定されている社会適応訓練事業の位置づけについて、 これまで果たしてきた役割を十分に踏まえつつ、検討すべきではないかという論点整理 をおまとめいただいているところでございます。  社会適応訓練事業の概要につきましては、3ページをごらんいただければと思います。 実施主体は都道府県、指定都市でございまして、事業の沿革といたしましては、昭和57 年度に通院患者リハビリテーション事業として創設され、平成7年度に精神障害者社会 適応訓練事業として精神保健福祉法上に位置づけられた。また、一方で平成15年度には 一般財源化されていると、そういう経緯をたどってございます。  事業概念図の左の真ん中を見ていただければと思いますが、リハビリテーションは社 会適応訓練の期間でございますが、原則として6か月、3年を限度として更新を行うこ とができるという形にされてございます。また、右側でございますが、都道府県知事か ら協力事業者に対して委託契約を行い、それに基づく協力奨励金をお支払いするという 形になってございます。  4ページは細かい事業の実施要綱となりますので、ここは省略させていただきたいと 思いますが、1点だけ、2番の「定義」の(2)対象者でございますけれども、明らか に回復途上にあり、社会的規範を受け入れられる状態にあるが、作業遂行の機能が不十 分であるか、恒常的に維持されない通院中の精神障害者であって、都道府県知事等が本 事業の効果が期待されると認められた者をいうということで対象者を規定しているとこ ろでございます。  5ページ以降が、実際に社会適応訓練事業がどういう実施状況にあるのかというもの を整理させていただいた資料でございます。  まず、5ページ、事業の予算額の実績でございますが、全国の予算総額につきまして は、平成17年度に7億8,000万であったものが、平成19年度には6億1,000O万ぐらい まで下がってきているということでございます。1自治体当たりの平均予算額を見ても、 この2〜3年の間に右肩下がりとなっているということでございます。  注で書いてございますけれども、実際にどれぐらいの自治体で実施されているのかと いうことを見ますと、平成17年度、18年度は61自治体、これは都道府県と政令指定都 市まででございます。平成19年度は63自治体で実施しておりまして、都道府県、政令 指定都市は64自治体ございますので、1自治体を除き、すべての自治体で実施されてい るという状況にあるということでございます。  6ページをごらんいただきますと、今度は事業所の観点から見たデータでございます。 右側の利用事業所数を見ていただければと思いますが、実際にここが訓練生というか、 実際の事業を行っている事業所となります。こちらも予算総額と同様に右肩下がりとい うか、近年、減少する傾向にあるということでございます。  7ページは、今度は利用者の観点から見たものでございます。利用者総数、新規利用 者数ともに、平成17年度から平成19年度にかけて減少傾向にあるということでござい ます。  8ページでございますが、利用者のうち、年度中に利用を終了された方のデータでご ざいます。利用終了者数も減少傾向にございます。そのうち、訓練期間を満了して終え られた方についても、平成19年度は少し減っているということでございます。  下に書いてございますが、利用終了者数とは、各年度中において訓練期間満了、ある いは訓練期間中を問わず、利用を終えた者の数でございまして、訓練期間中に利用を終 えた方は実際に継続をしなくなった方でございます。  9ページが、今、見ていただきました訓練期間満了者がその次にどこに行かれたかと いうことでございます。一番右の円グラフを見ていただきますと、訓練期間満了者のう ち、4割弱の方が就職に結びついているという状況となっているということでございま す。  以上が訓練事業の実施状況全体で見たものでございますが、この検討会で御議論いた だくに当たりまして、10ページ以降になりますが、都道府県政令指定都市にアンケート 調査を実施いたしましたので、その結果を簡単に御報告いたしたいと思います。  調査方法は、64自治体にすべてアンケートを行いまして、有効回答数100%でござい ます。  調査項目としては、社会適用訓練事業を活用する理由、あるいは事業を活用すること による効果、また、平成21年度以降の実施予定、平成20年度に実施していない、ある いは平成21年度以降に実施する予定はないとした場合の理由、最後に意見・要望を伺っ ております。  11ページをごらんいただきますと、こちらがアンケート調査結果となりますが、社会 適応訓練事業を活用する理由といたしましては、一番多かったものが(2)の精神障害 者の特性に応じて、短時間や少人数での訓練を行うことが可能であり、就労系の障害福 祉サービスや精神障害者雇用施策と比べて柔軟に活用できるが一番多く、4分の3以上 を占めているということでございます。複数回答可としております。  続いて多いのが(1)でございまして、就労に向けた訓練と自立した生活のための訓 練の両方を行うことができ、利用者のニーズに応えやすいと答えていただいた自治体が 56%程度に上るということでございます。  また(3)を見ていただきますと、協力事業所に関する設置や運営基準がないことか ら、資源の開拓が用意であり、事業を活用しやすいといった御意見も見られるところで ございます。  12ページを見ていただきますと、社会適応訓練事業を活用することによる効果をどう 認識しているかということでございます。自由記載でいただいてございますけれども、 一番上の○ですが、実際の職場という環境で訓練を受けることにより、訓練期間満了後 に委託先の事業所等への就職に結びつくケースが多数ある。  2つ目といたしまして、比較的時間をかけた訓練となるため、無理をせず徐々に訓練 内容や時間数を増やし、一般就労を目指すことができる。  また、下から2つ目の○でございますけれども、施設の環境になじめない等の理由に より、就労系の障害福祉サービスを利用することが困難な者に対する支援方策の1つと して効果を上げている。  最後の○でございますが、利用者の声の中にさまざまな意見があり、社会適応訓練事 業により自信をつけて、仕事に就きたいと希望を持っている利用者が多いといった効果 があるという意見が多数を占めてございます。  13ページが今後の事業の実施予定でございますけれども、(3)を見ていただきますと、 平成21年度以降についても実施する予定でいるとお答えいただいた自治体が87%以上 に上ってございます。また、現時点では何とも言えないというのが8自治体、13%。一 方で実施する予定はないと明言されているところはゼロ自治体でございます。  (4)で、平成20年度に実施していない理由。これは1自治体のみとなりますが、財政的 に困難なため、あるいはほかの制度があるためというお答えでした。  データの最後として、14ページでございますけれども、社会適応訓練事業に関する意 見・要望といたしまして、最初の○でございますが、ほかの就労系の障害福祉サービス や精神障害者雇用施策との関係で「明確な位置づけ」について整理していただきたいと いうものが15自治体、また、国の財政措置を講じていただきたいというものが11自治 体に上っているという状況でございます。  以上がアンケート調査の結果でございますが、以上のような実施状況やアンケート調 査の結果を踏まえまして、現状と課題、更に検討の方向を整理させていただいたのが15 ページとなります。  現状及び課題といたしましては、ざっとおさらいしますが、平成15年度の一般財源化 を契機に事業の実施規模は縮小傾向にある。  一方、63自治体のうち、約9割が平成21年度以降についても引き続き実施する予定 であることから、今後も必要とされていることが明らかとなった。  3つ目として、就労系の障害福祉サービスや精神障害者雇用施策と比べて、利用者の ニーズに応じるなど、柔軟に活用できることが事業活用する最大の理由であった。  4つ目として、先ほども申しましたが、訓練終了期間満了者のうち、約4割が就職に 結びついており、一定の効果を上げている。  最後に、都道府県等からの意見として、財政面に関する意見のほか、ほかの制度との 関係が不明確であることから、その整理を求める意見があったということを現状及び課 題とさせていただいております。  それを受けた検討の方向といたしましては、社会適応訓練事業については、一般就労 に向けた支援として一定の効果があり、都道府県等においても事業を継続する意向が強 いことから、今後とも精神障害者の特性に応じたきめ細かな支援が実施されるよう、障 害者施策全体の中でその位置づけを明確にし、都道府県等への支援を図るべきではない かという検討の方向を挙げさせていただいてございます。  16ページが社会適応訓練事業とその他の就労支援事業の比較表でございまして、17 ページ以降は、先ほど御紹介いたしました実施状況を都道府県別に整理したものでござ いますので、御参考にしていただければと思います。  資料の説明は以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、ただいまより、就労支援のところに関しましての御質疑をいただきたいと 思います。先ほど申し上げましたように、できるだけコンパクトに御発言内容をおまと めいただきたいと思います。どなたからでも結構でございます。どうぞ。 ○長野構成員  幾つか発言させていただきます。就労支援というのは、精神障害を持たれる方が本当 に誇りを取り戻して回復していかれるということでは、ほかの生活訓練その他、デイケ アにしても、医療福祉サービスにない、非常に大事なものだと思います。  その中で、就労Aを運営しながらぶつかっている壁なんですけれども、1つは、精神 障害を持たれる方の移動障害に対する通勤のサポートについて、特に中山間地域である と、通勤の支援が非常に重要であるんですが、施策としてはなかなか充実していない。 また、全員で出勤をしてきて、全員で作業して、全員で帰るという通勤のサポートはで きるんですけれども、私らのように観光であったり、旅館をやっていると、変則労働制 をとっていると、1人お連れして、1人お返しするということには、到底、今の施策で はできない。これが充実していかないと、精神障害の就労支援が伸びないんではないか ということが1点。  あと、一般的に言われていることとしては、私たちも直面していますが、全体の事務 量が余りに多過ぎて、就労支援という中で、仕事をしていく中で、請求であったりとか、 事務量の多さが手当てになっていない。  あと、収益を得る事業を一緒にやっていくようになったときに、実際、地元の税理士 さんに相談をしても、そこの情報が十分に流れていなくて、高いお金を払って契約をし ても、ちゃんとした答えが返ってこない。これは福祉と税務の信頼の根幹にかかわるこ とではないかと思うので、税理士さんにも情報が回るような仕組みと、そこときちっと 契約できる仕組みが支援事業所に要るんではないかと思います。  あと、全般的に言えることですが、これは日々診察をしながらですが、障害年金と就 労支援の関係です。働けないから年金をもらっているのであって、働いてはいけないん だと思われている方とか、働けているから年金はもらえないんだとか、そういう方はま だ随分いらっしゃるんではないかと思うんです。障害年金と就労支援の関係をある程度 進める方向で明確化できるといいのかなと思います。  あと、雇用施策のところですけれども、今、法定雇用率を初めとして、就労支援の施 策が大企業に向いているのではないかと思います。日本の産業構造を考えたときに、中 小企業が主だと思います。特に私たちのような田舎でやっていると、中小企業ばかりで すから、現実的には使える施策が極めて少なくなってくる。中小企業が柔軟に使える柔 らかな施策が、これから日本で就労支援を進めるのには必要なんではないかと思ってい ます。そんな意味で、社会適応訓練事業に関しては非常にいい事業で、私たちのまちで も実際、社会適応訓練事業を使いながら就職に至る方が随分たくさんいらっしゃるんだ ろうと思いますので、これは位置づけを明確にしながら伸ばしていっていただけたらと 思います。  あと、障害者就業・生活支援センターについてですけれども、圏域ごとに整備をする というのはまず第1段階で必要だろうと思いますが、実際のところは、もともと就労支 援が進んでいる知的障害のベースのところが障害者就業・生活支援センターを取られて、 そこからなかなか精神に広がってこないという現状が地域によってはあるんではないか と思います。だから、しっかりと障害者就業・生活支援センターが立ち上がった、そこ で精神障害者に対する支援がどれぐらい行われているかという検証をちゃんと進めてい かないと、ただ障害者就業・生活支援センターができましたよということだけでは整備 が整ったというふうには言えないんではないかと思います。  最後です。質を上げるのに研修はものすごく大切なことだと思うんですが、就労支援 ということは、そのまま収益を上げていかなければいけません。支援員そのものも収益 を上げるための一員ともなっていることが多くて、例えば、施設外就労に行っている者 が1週間研修に行ったときに、利用者も受け入れられない、御本人も働けないといった ときに、そのまま1週間分の収入がなくなるということになると、経営ができなくなる ような法人もあるんではないかと思うんです。研修のときのそういう手当て、お金が出 るともなかなか思いにくいんですが、そういうことがあるんだということは認識をした 上で、きちっとした研修を組んでいくことが大切なんではないかと思います。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  どうぞ、安田構成員。 ○安田構成員  精神障害を持った方が地域で暮らしていくときに、究極的には働くというところまで 達成するのが理想ではないかと思っています。そのときに就労支援というのは極めて重 要なんです。精神に特化した話ではないんですが、私が取材していていつも感じるのは、 A型は今、269か所で5,000人、B型は2,200か所ぐらいあって4万1,000人というこ とで、B型の方が圧倒的に多いわけなんですけれども、B型については、時給が50円と か、100円とか、平均するとそのくらいで、子どもの駄賃みたいな状況で働いている。 精神疾患を持った方で、かつては元気に企業で働いていたような方にとってみれば、か なりプライドを傷つけられるような仕組みではないかと思っています。それで、できる 限りB型ではなくてA型をやる、そういう事業体を増やすための後押しになるような施 策を是非打つ必要があるんではないかと考えます。  今、基本的には、報酬がたしかAとBでは金額が同じで、Bの方が圧倒的に楽ですの で、これではほとんどの事業所はBをやろうということになると思うんです。ですから、 そうではなくて、AとBの報酬には明確に差をつけるべきであろうと考えています。  それと、長野先生も御指摘になりましたけれども、人材の育成。これも取材していて よく聞くのは、働いている障害を持っている人たちは特段問題ない、みんなちゃんと働 いています、むしろ、それを支えている専門職の技量に問題があって困っているという 声を少なからず聞きます。これは多分、福祉的な支援と、収益を上げる力というのはき っと別なんだと思うので、是非、人材育成は、そのものの拡充とともに、お金もうけを できる能力をちゃんと身につける必要があるんではないかと思います。  自立支援法が施行されて、企業がA型の事業所を運営するということも既に行われて いますので、そういうところから専門家を呼んで講師になってもらうとか、あるいは見 学に行くとか、実践的な人材育成の研修を是非実行してもらいたいと思います。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、長尾構成員。 ○長尾構成員  今、お2人の方が御指摘されたことと重なるかもしれませんが、1つは社会適応訓練 事業の件ですが、ここにいろいろ論点整理されていますように、社会適応訓練事業とい うのは一般事業所で適応訓練をやっていくということで、非常に有効な場合が多くて、 我々の患者さんも結構利用しながらやっている。これは何らかの形で残し、かつ伸ばし ていけるような施策を是非ともつくっていく。今の自立支援法下の就労支援事業と併せ て、いろんな選択の場というものが必要だということで、これは是非とも伸ばしていく ことを進めていただきたいと思います。  それから、先ほど就労継続Bのお話が出ていました。確かに就労Aであるとか、また、 就労移行支援とかいう方へどんどん行けるということであれば非常に望ましいと言える んですけれども、精神の場合に、そこまでやっていけるだけのエネルギーがある人が十 分出ない場合もあるということで、就労継続Bでつなぎながら、ある程度適用できたと きに就労Aであるとか、就労移行支援とかに移行できるような方策も考えなければいけ ないんではないか。  といいますのは、今のところ、就労継続Bについては、19ページ、就労継続支援Bの 利用者像ということで、1番目に就労経験がある者であって、一般企業に雇用されるこ とが困難となった者。また、就労移行支援事業を利用した結果、本事業の利用が適当と 判断された者。それから、50歳に達している者、また、障害年金1級の受給者という形 になって、今は経過措置として、そうでなくてもいいことになっているわけです。  第1点目の就労経験がある者であってということは、精神の場合は発症年齢というこ ともあって、就労経験のない人も結構あるということが言えると思います。  それから、就労移行支援事業で利用するということは、確かに1つの方法ではありま すけれども、一般就労へ行くためにということで相当の負荷がかかるということがあっ て、なかなか続かないという人もあるわけだと思います。それから、そこへ行くための 人と、そこから若干落ちこぼれたというような意味合いがこれによって出てくる可能性 もあるということもあります。  3番目の、50歳に達していなくても、そこを利用する人たちも発生してくることはた くさんあると思います。  それから、障害基礎年金1級をもらっている人は非常に数が限られているんではない か。  そういうことからいって、精神の場合に、就労継続Bから入って、就労移行支援とか、 就労継続Aとかいう方に行けるような道筋もつくるべきではないかと思います。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それから、小川構成員。 ○小川構成員  資料1−3の15ページですが、平成15年度の一般財源化を契機に事業の実施規模が 縮小傾向にあるということで、そうは言っても効果があるので、また柔軟な対応ができ るということで発表されているということで、検討の方法があるわけですけれども、な ぜ事業の規模が縮小傾向になっているのか。これは一般財源化が不景気になったからと いうふうに考えていいのか。もし柔軟に活用できるということが非常に効果があるとい うことであれば、その位置づけを明確にしてもなお柔軟な制度になり得るのかどうか、 その辺、質問をしたいと思っています。なぜ事業規模が縮小傾向になったのかというこ とがもし問題としてあるんであれば、そこをどうクリアしていくかというのが課題とし てあと思うので、その理由をひとつ教えていただきたいことと、位置づけを明確にする ことによって、制度のよさが失われないような形で考えていらっしゃるのかどうかを御 質問したいと思います。  あと、意見なんですけれども、検討の方向性自体に異論はないんですけれども、今後 の課題として、ずっと前から私は思っているんですが、福祉的就労と一般就労と分かれ ています。今、若い人を対象にして、ニート、フリーターの問題でジョブカードみたい なもので若者の就労を支援していこうという話があると思うんですけれども、そういう ところときちっと連携がとれるような仕組みを考えていかないといけないんではないか と思うんです。向こうは向こうで、ニートの方で引きこもりの方に対してのアプローチ ということでは、福祉的就労のところでノウハウがあるんであれば、そういうところで ノウハウも提供するとか、そういう連携した取組みみたいなものがあれば、もう少しい いと思います。また、福祉的就労も一般就労の中で取り組まれていることで効果がある ことについて、もう少し取り込むということで、将来的には福祉的就労と一般就労の施 策が一緒になるような形で取り組んでいかないことには限界があるんではないかと思い ます。  今の雇用施策も、例えば、雇用率の達成していない事業所からペナルティーのお金を 取って助成をしているわけです。そもそも雇用率を達成していない事業所があることを 前提とした政策になっているわけです。制度的には、みんながみんな雇用率を達成すれ ば、助成という話はなくなるということです。今の雇用制度の矛盾も含めて、今後もう 少し、労働行政と厚生行政とがマッチできるような、融合できるような、課題としてあ るんではないかと思うんですけれども、是非よろしくお願いいたします。 ○樋口座長  では、野崎補佐の方から説明をお願いします。 ○野崎課長補佐  社会適応訓練事業について御質問ございましたけれども、こちらの資料には記載して ございませんが、実際に自治体の声を聞いてみると、やはり一般財源化、財政的に完全 に地方が単独、国の裏打ちがないということが1つの理由だというところが結構ある。 どれぐらいあったか、ヒアリングを正式にやったわけでもないんであれですが、一般財 源化というのが1つのきっかけになっている部分はあるんだろうと考えております。  もう一つ御指摘ございました、位置づけを明確にするという部分でございますけれど も、この資料の中で、各自治体の意見を紹介させていただいておりますが、社会適応訓 練事業には、いわゆる福祉サービスにおける就労支援でもなかなか拾い切れないニーズ、 あるいは一般の雇用施策でも拾い切れないニーズを吸収している部分があると、自治体 の意見を見ましてもそういうふうな御意見ありますし、我々としても、そういった面が あるんだろうと思っておりますので、御指摘されるように、そこの位置づけを全体像の 中でどういう形で位置づけていくのかと、そこの機能は、基本的には、今、担っている 機能を維持というか、強化していく方向で位置づけを明確にしていくという形で考えて おります。  また、財政支援の部分については、一般財源化されているものでございますから、な かなか現時点でどのようにしていくのか明らかにするのは難しいのでありますが、そう いったことも含めて、都道府県等への支援と書かせていただいておりますのは、この事 業を都道府県において実施していただきやすいように、どういった支援が可能なのか、 またその辺りも考えてまいりたいと思います。  以上でございます。 ○樋口座長  では、坂元構成員。 ○坂元構成員  先ほど来、B型に関して、安田構成員と長尾構成員から意見が出されたと思うんです が、実際、自治体の方でも、このB型に関しては非常に苦情が多い。先ほど安田構成員 が言った工賃の安さ、それから、1割の自己負担というのが自立支援法の根幹なんです けれども、工賃を超えてしまう場合があって、そうすると、何のために行っているのか、 自腹を切ってまで行っているということがその人のプライド以前の問題になってくると いうことで、自治体の方には、実際、この運営に関して非常に苦情が多い。私どもの自 治体では、しようがないから、自己負担分を市で全額持って、働いた分はその方に入る という形でインセンティブをつけていかないと、実際の就労支援にも何にもつながらな いと思っております。ここは根幹にかかわる問題だということで、是非検討願いたいと 思います。  以上です。 ○樋口座長  それでは、伊澤構成員。 ○伊澤構成員  今のお話の関連なりますけれども、要するに、日中活動系の事業は、いわゆる事業収 益をどう上げるかというところが非常に大きな課題として横たわっていまして、それは 各現場が本当に苦心惨憺しながら、方向性の見極めも含めながらやっているところです。  その中で、今日の資料1−2、先ほど触れてはいただけなかったんですけれども、ペ ージで言うと40〜41の障害者の「働く場」に対する発注促進のための施策といいましょ うか、そういうものが創設されて、実際動き始めている。1つは、ここにありますよう に、税制面での優遇を事業所に施すことと、もう一つは、いわゆる官公需、公的な労働 に対して、随意契約で事を進めていくことがしやすくなる。これは地方自治法の改正の 関係なんですが、ということで条件整備をしながら、いわゆる発注受入れをどんどんし ていくような環境づくりを引き続き押し進めていただきたいと思います。  その関連でもう一つ申し上げると、今年の5月ぐらいに割と話題となったんですけれ ども、ハート購入法という、与党提案で、議員立法で上げながら、来年度から実施の方 向に向けて条件整備していくという法律が取り沙汰されたんです。13製品を優先的に公 的機関が購入することを努力義務として位置づけながら進めていくという内容なんです が、この辺がぱったりと情報として途絶えてしまいまして、最近の状況など、もし知っ ていらっしゃったらば、今後の展望につきましてもお聞かせいただきたいと思っていま す。  それと、話が変わりますけれども、社会適応訓練事業につきまして、資料にもありま すように、年々先細りという傾向が示されております。私の地元でも2つの協力事業所 がありまして、パチンコ屋さんとビジネスホテルなんですけれども、協力事業所として 非常に熱心に取組みをしてくれていて、有効な地域資源として今後も継続してほしいと 思っております。  それから、数年前にやはり地元の作業所が開拓したんですけれども、居酒屋さんが夜 の開店準備のために清掃委託を作業所の方にして、メンバーさんがチームでそれに臨ん でいるというような形があります。先々、関係づくりが深まってくれば、これは制度活 用というような方向に進んでいくと思います。そういう意味では、社会適応訓練事業の 1つの手だてとして存続してほしいという思いがあります。  ただ、以前から感じていたこととして、今、若干議論がありましたけれども、位置づ けの問題という辺りでは非常にあやふやで、結局「通院患者リハビリテーション事業」 という名称の響きもそうですし、あるいは、この制度そのものを進めていくときに保健 所のかかわりが非常に濃厚だったりもします。そういう意味では、医療保険の範疇の中 でとらえられている職業リハのメニューである。でも、実際の使われ方は、私が知って いる方もそうなんですけれども、まさに訓練手当目当てというか、一定の期間、そこで 少し小遣いを稼ぐみたいなことも含めて、言うならば就労対策、雇用確保というような 色彩が非常に強いんです。  そういう意味で、この際、位置づけをしっかり明瞭にする。自治体のアンケートの中 にもありましたけれども、例えば、地域生活支援事業の中に必須メニューとして位置づ けて、精神に特化したメニュープログラムとして仕切り直しをするという方策なども当 然あると思います。それから、緩やかさは確保し続けながら、いわゆる労働行政が主管 する雇用対策と同等の扱い、例えば、トライアル雇用などと横並ぶような位置づけを施 していくようなことも、方策としてあるのかなと思っています。  最後ですけれども、就業・生活支援センターにつきましては資料提供があったわけな んですが、大変注目しております。就業支援と生活支援が合わさった、一体化した支援 の形というのは、やはりとても重要だと思っております。というのは、がんがん働いて いる方も、実は濃厚な、手厚い生活支援が必要だったりする場合も往々にしてあって、 そこを成り立たせるという意味において、とても大事だと思っているからです。  この事業の進展を強く求めるわけなんですが、気になるのは資料1−2の26ページに ありますけれども、職員の配置なんです。就業の方で2名、生活支援の方で1名、総計 3名の職員配置で、これは少ないと思っております。新たな企業の開拓、あるいは職業 を推進していくときの定着支援は非常に時間もかかりますし、人手も必要です。そうい う実践要素を深めていくときには、就業支援員も増員が当然必要だし、おのずと今、申 し上げたように、生活支援員の増員も必須だと思っております。これは是非、職員の配 置基準そのものを見直していただきたいというふうに希望します。  あと、設置の箇所数に関しましても、障害保健福祉圏域への配置を目指すというよう なお話ですけれども、それはそれとして、最低基準として進めていくものだと思います。 同時に、圏域の中の人口の密集度とか、あるいは企業とか事業所の存在状況も加味しな がら、つまり、比重を上回るような増設の方向とか、都市部の過密状況といったものも 念頭に置きながら、まさに増設に向けてのプランをしっかりと書いていただきたいと思 っております。  以上です。 ○樋口座長  どうぞ。 ○矢田貝課長補佐  御意見は御意見として承るとして、御質問で、ハート購入法の現在の状況なんですけ れども、おっしゃったとおり、6月に議員立法ということであったんですけれども、継 続審議ということになって、その後、特に動きがないという状況が続いているというこ とでございます。  それと、もう一点だけ、先ほど1割負担の話がございました。御承知のとおり、入所 の場合には工賃控除で利用者負担を考えたり、もしくは在宅の場合でも、通所の場合と か、2度にわたる軽減とかで負担の軽減を図っているところでございますが、坂元構成 員おっしゃったとおり、利用負担をいただくというところについては制度の根幹にかか わる問題でございますので、そういう問題があるというところで、また御議論いただけ ればと思っております。  以上です。 ○樋口座長  それでは、品川構成員。 ○品川構成員  皆様の御意見と同じようなところがあるんですけれども、就労移行支援に関して、就 職した後のアフターフォローがすごく求められている、大事なところだと思うんですが、 就労移行支援事業では、就職が決まって、就労の契約を結んだ後のフォローまでがなか なか手が届かない部分です。その部分を含めまして就業・生活支援センターの役割は本 当に大切なものだと思いますので、就業・生活支援センター何か所というんではなしに、 圏域ではなしに、使いやすいようなところに配置していただけたらと思います。  それと、皆様から御指摘あったんですが、1年半就労の事業をやってきまして、B型 の希望者がどんどん増えてきているんです。先ほどいろんな方がおっしゃったように、 B型から移行にというふうな理想的な移り変わりがなくて、B型の希望者がどんどん増 えてきている。これをどうしようか。移行に関しても、求められる職業の専門性という のが、今までの作業の指導員的なものではなかなか勤められない、また、それに対して の研修制度も何もないというところで、頭打ちになっているのが現状です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、山根構成員。 ○山根構成員  社会適応訓練事業の有効性は非常に感じていますが、きちんと機能させるために、我 々が経験した課題を述べたいと思います。  まず、4割が就労に結びついていると言いますが、これは修了者の4割ですので、実 際に利用された人からいくと2割です。半分の人が途中で辞められたのはなぜか、2割 のうまくいった人と、うまくいかなかった人たちの要件の違いは何なのか、それがわか っていれば、お教えいただけるとありがたい。ジョブコーチの支援体制が整っていると ころは、我々の経験でも比較的うまくいっているのですが、どうなのでしょう。  それと、自治体の意見は聞かれていますが、事業所のほうはどのような意見をお持ち なのか、また受けられている事業所の種類と規模はどういうものなのかがわかれば、ど ういう形態でやればいいか見えると思います。  また、利用する場合に、本当にきちんと就労に向けて利用されているところもありま すが、先ほど伊澤委員がおっしゃったように、手当目当てというのが結構多い。社会適 応訓練事業を利用すると、事業所さんの行為によって手当が本人におりるよということ で、1日2,000円近くもらえるのなら、働くよりはということでこちらに行って、期限 が切れれば終わるという、このような利用がかなりあると思います。だからといってや めるということではなく、利用の仕方をよくすることと、もう少し効果の高い利用の検 討が必要です。  それと、挫折したり、辞められた人たちが就労支援のB型に来られたりとか、デイケ アに行くと交通費と食事が出るもので、働くことをあきらめればデイケアの方が楽だと いって、デイケアが最後の行き場になっているような例もあります。頑張れば利用料を 払わなければいけない、入ってくる工賃は少ない、それなら働くのは大変なのでデイケ アに行こうかというふうになってしまっている。これは医療の使い方としては非常にま ずいと思うのです。その辺りを少し考えていただければと思います。 ○樋口座長  今の点について、今の段階でお答えございますか。 ○野崎課長補佐  半分の人が辞めた理由は、子細には把握しておりません。今後、この事業を更に見直 していく際に、もう少し詳細について調べていきたいと思います。  受けられた事業所のデータについて、今、確認していますので、わかり次第お答えし たいと思います。とりあえず今のところはそんなところです。 ○山根構成員  これは、いかに制度がいいかという発表ではないので、具体的に何がよくて、何が問 題かをきちんと整理をしないと、何となくこんな成果がありますというだけで終わって しまうようで、よくないと思います。 ○野崎課長補佐  平成18年度に調査しておりまして、協力事業所の業種でございますけれども、一番多 いものが老人ホーム、病院、保育など、福祉サービス系のもので、回答いただいた企業 が1,300ぐらいですが、その17%程度となっています。次に多いものが卸・小売業で1 4%です。あとは、機械、加工、組立て、飲食店、喫茶、食品、あるいは農業といったも のが10%程度で大体横並びとなってございます。 ○樋口座長  それでは、広田構成員。 ○広田構成員  この間、部会の方で就労の話が出たんですけれども、部会の方に出ていると、きちん と企業が来ているから社会的な感じになるんですけれども、ここに出てくると業界の集 まりで、業界以外は市長さんぐらいなのかなと思います。  まず、1−2の24ページ「3 障害者雇用施策等との連携強化等」と、非常に大きな ものが出ています。これは企業の方も言っていましたけれども、「やたらと何かつくる。 出かけていくと、ただやっていますみたいな話で、同じ人が集まっている。」私は精神 障害者が働くときに、何でこんなに重装備なんだろう。本人が、いわゆる自信をつけて、 自分のセルフコントロールをして働きに行ければいいと単純に思っています。  私、ここに来ていると、20年前、自分が作業所に行っていた時代を思い出すんですけ れども、あのときの工賃は2,000円で、お昼御飯5,000円でした。だから3,000円は持 ち出しでやっていた。医療過誤の注射の副作用で入院し、退院した私が1年間作業所に 行ってよかったのは、生活のリズムができたこと、そしてかけがえのない仲間ができた こと、そして、ここが余りにも社会とは違う、保育園のようだということを認識しまし た。  そして今もあちこちの、いわゆる自立支援法下の施設、または旧作業所に出かけてい ますが、はっきり申し上げて、相変わらず職員の質が上がっていない。さっき安田さん が言ったように、障害者の場合には、経験はあります。いろんな社会経験を積んで作業 所に行った。しかし、福祉の大学を出て、何が指導できるか。当時、指導員と呼んでい ました。今、やっと職員になりました。そういう意味で、研修、研修とやたら呼んで、 出ますけれども、一般的に勤めてこなければ企業の中のことはわからない。わからない 人がジョブコーチなどはおこがましいと思います。  それで、品川さんからお話が出なかったら、お話しする気はなかったんですけれども、 フォローアップのところで、私自身が作業所を1年で卒業して、3か所の民間企業で働 いていますが、作業所の職員が頼みもしないのにお菓子を持って社長の家に行った。そ れを社長が「ここに寄って皆さんにあいさつされて行きましたか」と言うので、来てい ませんと言ったら、何で私のところにお菓子を持ってきて、皆さんのところにあいさつ に来ないんでしょうか、おかしいんではないですかということを、いわゆる職親さんの ような企業の社長に言われました。  2回目の企業に行ったときには、私が最賃より上で働いているのに、作業所の職員と 保健所が、この会社に職親になってくださいと頼みに来て、社長から呼ばれて、どっち が指導員でどっちが障害者だと言うから、私が障害者で、訪ねてきた方が指導員ですと 言ったら、ちょっとやっていることが逆ですねという話をされました。  一般の民間企業の社長から見てもおかしな職員がいっぱいいるということです。そう いうことで、ある意味では、1年間の作業所生活で生活のリズムができ、かけがえのな い仲間ができたことがありますけれども、それ以外の就労という部分で言えば、むしろ 民間企業の人の方がうまく力を引き出してくれる。だから、この社会適応訓練事業が出 てきていると思います。でも、山根さんのようなマイナスの意見が出るんだったら、是 非ここには職親を呼んでいただきたかった。申し訳ありませんが、私には欠席裁判に聞 こえましたので。  社会適応訓練事業の9ページ目、精神障害者社会適用訓練事業の実施状況の、いわゆ る終わった段階で入院がある。昔もこういうことがありました。2,000円お金が出て、 本人に1,000円渡して、企業主が1,000円、訓練費としてもらう。でも、いい企業は本 人に2,000円渡して、更に、あなたの働きはもっと上だからといってお金を積み上げて くれる、そういうふうな企業もあった。でも、一方では、1,000円しか渡さないで、あ なたは課長以上の力量がある、あなたは係長になれると持ち上げ過ぎて、使い捨てのよ うな形でどんどんやっていた。だから、ここの入院のところ、人数は少ないですけれど も、何で入院になったんだということと、その企業が入院者を何人も出して、ふさわし いのか、ふさわしくないのか。たまたま1人だけなのか。私が知っている例は何人も出 ました。そういうところを追跡調査して、もし何人も出すようなところであれば、きち んとどこかが指導しなければいけないと思っています。 ○樋口座長  あと5分ぐらいでこの課題については終わらせていただきます。 ○広田構成員  済みません。フォローアップのところはこういうセリフです。本人の自己選択、自己 決定、自己責任です。だから、フォローアップしてくれると言った職員に対して、AD A法(障害を持つアメリカ人法)が保障するように、障害者にサービスを拒否する権利 を持たせてほしい。そういう意味を含めて、ただ単に自己決定、自己決定と言うけれど も、そういうふうなことですので、品川さんが発言したから、付け加えています。 ○樋口座長  大塚構成員。 ○大塚構成員  社会適応訓練事業のことなんですが、山根さんと同様で、私も少しデータが知りたい と思っていました。特に事業種別について、先ほどわかりましたが、その中でも、就労 支援のノウハウに生かせる部分があるのではないかと感じていますので、もう少し詳細 な、実際にどんな受け入れ方をしているかとか、どういうふうにつながったかがわかる と大変いいなと思いました。  私の実践していた現場の地元の練馬区は農業で受け入れてくださっているところが多 かったんですが、3年限度いっぱい使っても、なかなか就労には移行しないということ があったんです。そうすると、データ上では、自宅に戻る、3割のところに行くのかな と思ったんです。  私自身は、この社会適応訓練事業は就労移行になっている人が4割もいるんだ、すご いなと思い、是非これを位置づけを明確にしつつ、特性というか、予算を残しつつとい うことはいい方向だと思っていて、伊澤構成員おっしゃったように、それが地域生活支 援事業に入るのかどうか、よくわかりませんが、そういう方法は考えていただきたいと 思いますと同時に、3年間いっぱいやっても就労にはいかなかった方、もしくは途中で 辞められた方について、私はマイナス評価をしていないんです。  それは立派な社会参加であり、社会体験であり、そこまでのことを受け入れてくださ っている協力事業者にとって、安い労働力として使われていたのか、そうではなくて、 それなりの支援をしてくださっていたのか、そこは実態を見てみないとわかりませんが、 ある意味、普及啓発も担っていただいているなと思います。社保審の障害者部会でも少 し感じたのですが、就労支援の話をするときには、どうしても数字的な評価や成果が前 面に上がってくるんですけれども、必ずしも就労に移行した、ステップアップしたとい う成果以外の、社会参加である、最初に長野構成員がおっしゃったような、生きがいを 持っていくところに就労がどういうふうに効果を上げているのか、そこに意味があるの かということの評価の指標を是非つくっていただくような方向も必要だろうと感じてい ます。  先ほど小川構成員が若者の話をしました。私は一方で、最近出た認知症・虐待防止対 策推進室の課長会議の資料を見ていて、えっと思ったのは、若年性認知症の対応のとこ ろで、介護保険施策は使えない方々だけれども、障害福祉施策は使えますと書いてある んです。障害福祉施策の中に、特に認知症の関連であれば、精神障害者の施策等々もあ りと書いてあるところに、制度的枠組みとしてはそうなんですが、果たして本当に使え るのかと思った訳です。この間、障害者福祉施策の就労支援についてはやたらステップ アップ型が強調されている中で、例えば、波がある方とか、一方で能力が落ちてしまう 方とか、そういう方々も使えるような障害福祉施策というのであれば、先ほどの小川構 成員の話と同じように、もう少し全体的に、いろんな方面のバランスを取った施策のつ くり方を、ここでは難しいのかもしれませんが、検討していただく方向があるといいな と思っている次第です。  人材育成の在り方については大変厳しい意見がいっぱいありますが、本当にそのとお りだというふうに感じます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、時間の関係で、末安構成員、谷畑構成員の順番で終わりたいと思います。 ○末安構成員  広田委員、さっき山根委員がおっしゃったのは別に欠席裁判ではなくて、事実はどう なっているのかということを我々はこの場でちゃんと把握した方がいいということでの 御発言だったと私は受け取ったんです。  その関係で言うと、1−2の30ページの課題と論点なんですけれども、先ほどからず っと出ているところと全部結びついた感じがするんです。課題の方で、工賃倍増を促進 するためには、求職活動・職場開拓、就職後の定着促進、商品開発・市場開発云々かん ぬんと、これが全部現場の人たちに雪崩を打って期待されていくわけです。また制度整 備される。これは、いろんな形があったけれども、社会適応訓練事業という形で収れん していって、だけれども、限界もあったというのと同じで、第一線にいる人たちにすご く負荷がかかるような状態が起こるんではないかと思います。  それで、論点案のところに、研修をやろうということになっているんですけれども、 それだけでは突破できないくらい重いことではないか。今までのここでの議論も、障害 部会での議論も、国家的に見ても、障害者の雇用が促進していかないというところの、 みんなが歯がゆく思っている壁があると思うんです。先ほどから出ていると思うんです けれども、市場経済の中にどう組み込むかという話なので、ここで話すことの限界があ るということは十分承知しているんです。  例えば、さっき広田さんもADAのことを言われましたけれども、職場の開拓とか、 あるいは市場の開拓と言ってもいいですけれども、そういうことについては、福祉の専 門家は無理だと思うんです。無理というのは、できない、やらないという意味ではなく て、さんざんやって、倒れるくらいやっている人たちがたくさんいて、1日何10件も電 話をしているような人たちもたくさんいる。  でも、電話のかけ方とか、アドレス帳が問題なんではなくて、企業さんがどういう気 持ちになって、障害者の人たちも一緒に働いていこうという気持ちになってくれるかと いうところだと思うんです。成功例もあると思うんです。トライアル雇用なども日経連 さんが相当動いてくださったと思うんです。例えば、青年会議所さんに協力してもらう とか。それはここでの役割ではないかもしれないけれども、現場の人たちにはできない こととか、あるいは行政責任ではできないことは、やはり国家がイニシアチブを取って やっていただきたい。成功例はあるということなので、それを更に拡大していくような ことが行われていくことが必要ではないかと思います。ワークシェアリングというのが 今の経済状況下で全く霞んでしまった言葉になったんですけれども、その本当の意味は 何かということを是非、この場では全部は解決できないかもしれませんけれども、考え ていけるようになったらいいなと思っております。 ○樋口座長  それでは、谷畑構成員。 ○谷畑構成員  それでは、業界団体代表ではないという立場からお話をさせていただきます。先ほど 末安構成員がちょうどうまいパスを出していただいたんですが、現在、就業・生活支援 センター、本市においては、隣接の甲賀市とで設置をさせていただいております。就業 については、障害者に関しては、一人ひとりのマッチングが非常に大事だというところ を押さえておかなければならないわけで、やはりマンパワーとして非常に不十分なとこ ろがあると思っております。  そういった観点で、現在、国の制度にプラスしまして、滋賀県と市において、更に2 名、働き・暮らし応援センターという形で人を雇っております。これは県費が2分の1 で、2市で2分の1、1人が就労サポーター、これは福祉サイドの補助金、もう1人が 職場開拓員ということで、これは就労側の補助金という形の中でやらせていただいてお ります。  ただ、これだけの状況をつくりましても、まだまだ現在就労している人の支援で手い っぱいということでありまして、新たな開拓というところまでは行き着いていないと考 えております。  以前もお話しさせていただきましたが、本市においてはさまざまな方に入っていただ いて、就労支援検討会と雇用促進協議会をつくって議論をしていただいておりました。 先月末にようやく案としてまとまってまいったんですが、その中においては、新たに開 拓をしていくことが非常に大事ではないか、特に先ほどおっしゃられました企業側の考 え方について十分に押さえておく必要があるだろうということもございまして、顔の見 える身近な地域で就業開拓をしていかなければならないと考えています。特にその橋渡 しという形で考えなければならないと思っておりまして、そういう中において、障害者 就労情報センターというものをつくっていかなければならないと考えております。  要するに、就業情報を一元化をしていこうということでありまして、その就業情報に ついては、当然企業側が持っているものでありますので、企業さんも一緒になって考え ていただくということで、今、進めていこうと思っております。多分、どこの自治体で もやっていることがあろうかと思いますが、人権啓発を企業に対して市の職員が行って いくということがありますので、その際に企業側から一緒に情報を取っていくことと、 企業に対して障害者の就労に対する啓発を行っていくことについても進めていけないか ということで、今、進めているところでございます。  そのセンターとして考えておりますのが、1つが仕事の開拓ということで、企業から の情報収集、事業所からの情報収集、それから、情報提供活動ということで、それをま た逆に戻していくということ。そして、連絡調整ということで、ハローワークとの連携。 また、先ほどの働き・暮らし応援センターとの連携。そして、実習だとか作業受注、ま たグループ就労等のルールづくりを進めていかなければならないと思っております。  もう一点が地域への啓発ということで、実は就業・生活支援センターや働き・暮らし 応援センターへの精神に関する相談支援が13%と非常に少ない中にありますので、地域 への周知ということが大事だと思っております。そして、マンパワーがなぜ大事かとい うと、健常者と違う就労を考えていかなければならないというところにあろうかと思っ ております。  それから、先ほどトライアル雇用のお話があったんですが、企業側に聞きますと、3 か月では非常に短い。ようやく慣れてきて、その人が適切かどうかということを判断す る前に切れてしまうという点がありますので、企業側の思いとしては、もう少しそれを 延ばせないだろうかという思いもあるようであります。  資料1−2の26ページに障害者就業・生活支援センターでの定着率がパーセンテージ で上がっておりますが、これについては分母の関係もあろうと思っております。ですか ら、分母を広げていくと、このパーセントは落ちていくだろうと思います。それをマン パワーで更に拾い上げていくということが大事ではないかと思っております。  もう一点、移動に関する問題が先ほどありましたけれども、地域においてはコミュニ ティーバス等も動かしておりまして、そういったものを利用しながらということも1つ は考えられるんではないかと思っております。  それから、中小企業の問題でありますけれども、法定雇用率をかけている企業の大き さがありますけれども、実は、それよりも小さなところを集めて、そこに義務的なもの を課していくことはできないだろうか。つまり、56人以上集まったら、そこで何らかの ことができますよということ。義務が無理であれば、逆に補助していくということにな るんだろうと思いますが、例えば、商店街で1人を雇うということも考えられるのでは ないか。そういう発想の転換も多分必要になってくるのではないかと思っております。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  まだまだ御発言はおありになるかと思うんですけれども、かなり時間をオーバーして おりまして、申し訳ございませんが、もし最後に時間が残りましたら御発言いただくこ とにさせていただきたいと思います。  それでは、次の議題でございます。「精神保健指定医の確保について」ということで、 資料2に基づきまして御説明をお願いしたいと思います。 ○林課長補佐  では、資料2に基づいて「精神保健指定医の確保について」御説明させていただきま す。既に9月25日の第10回に御検討いただいていることについて、もう一度御検討い ただきたいという趣旨でございます。  1ページの論点整理でございますが、措置診察を含め精神科救急医療における精神保 健指定医の確保に困難を伴っているとの意見も踏まえ、精神保健指定医の確保のための 具体的方策、例えば、5年ごとの資格更新時に、措置診察の実施状況等を要件とするこ とや、都道府県の精神科救急医療事業への参画に関する義務を設けること等について、 検討すべきではないか。このような論点に基づいて、これまで検討いただいております。  2ページの精神保健福祉法における指定医の職務、簡単なおさらいでございますけれ ども、左側にあるような医療機関等における職務、例えば、医療保護入院を必要とする かの判定、あるいは行動の制限を必要とするかどうかの判定といった職務がある一方、 右側のように、公務員としての職務、例えば、措置入院、緊急措置入院における、入院 を必要とするかどうかの判定、こういった職務を精神保健福祉法における指定医の方々 に行っていただいているということでございます。  3ページの関係者の意見として、例えば、全国衛生部長会から、指定医資格の更新の 際に、公務員としての職務の中でも、措置診察等の診療の実績を条件として加えてほし いというような御要望が出ていたところでございます。  4ページ、第10回、9月25日における検討の中では、都道府県において、措置診察 を行う精神保健指定医の確保に困難が生じているという課題を踏まえまして、精神保健 指定医の5年ごとの資格更新時に公務員として行う職務への参画、例えば、当番制等へ の参加を要件として指定医の参画を促してはどうか、このような案に基づいて御検討い ただいたところでございます。  その際の皆様からの御意見としては、5ページに簡単にまとめてございますが、1つ 目のように、指定医の確保に非常に困っている自治体もあり、本来は一度も措置業務、 救急業務等に携わらなくても研修等だけで更新できるのはおかしいといった意見、指定 医の確保や精神科救急病床の確保が必要であるといった御意見、そして、医療機関にお ける職務と公務員としての職務の両者を併せ持つ機能として指定医が指定されているの であって、公務員としての職務についても、少しの経験は問うてもいいという御意見、 あるいは逆に慎重にすべきという御意見を幾つか御紹介しますと、5つ目にありますよ うに、指定医の業務にはさまざまな病院業務があり、更新を公務員業務だけに限定する のは指定医そのものの制度の根幹にかかわるというような御意見等がございました。  この御議論の後、実際に措置診察等の公務員としての業務を指定の更新要件として行 った場合にどのような影響があるか、それから、実務的な問題も含めて、すべての指定 医の方々に措置診察等の業務に参画できる機会を実際に確保できるかどうかということ について、都道府県等の担当者に問い合わせをさせていただきました。といいますのは、 義務とするからには、すべての指定医の方に参画できる機会が保証されなくてはいけま せんので、そのようなことが可能かどうかということも含めて、自治体に問い合わせを させていただきました。  積極的な御意見としては、このようなことを行うことで指定医の確保が容易になると いった御意見、例えば、既に輪番制をとっているので、実務的な困難よりは、むしろよ り多くの指定医の協力を得られることになるというメリットを評価する御意見、あるい は、当番の調整、証明書の発行等の事務を行うことも可能であるといった都道府県もご ざいました。  他方、消極的な御意見として、現状の改善になりにくい、既に現状で体制が構築でき ているとか、都道府県1つの当番リストでは広域をカバーできないといった御意見があ りました。  また、輪番制の実施は実務上難しい、例えば、指定医が1人しか勤務していない医療 機関にお願いすることは困難であるとか、住所地と勤務地の自治体が異なる場合、調整 できないとか、関係団体との調整、指定医との調整、日程調整等が難しいという御意見 がございました。  更に、質の確保に関する御意見として、措置診察の経験のない指定医の方々がこれか ら多数参画することになると、質に影響が出るのではないかという懸念もございました。  このように、実務的なことも含めて、実際には都道府県の中に賛否両論があるという ことも十分に踏まえて検討いただく必要があるのではないかと考えております。  7ページに対応案として、今回提示させていただく御提案をまとめさせていただいて おります。  まず、1つ目の○でございますが、都道府県等が、措置診察等を行う精神保健指定医 の確保について積極的に実施している先例を参考に、医療機関及び指定医への協力依頼 や、輪番制等の体制整備に努めるよう促進してはどうか。  2つ目、精神保健指定医について、措置診察等の公務員としての業務や精神科救急医 療等、都道府県における精神医療体制の確保に協力すべきであるということを法的にも 規定してはどうか。  3つ目、なお、措置診察に全国一律に輪番制を導入することや、措置診察等の業務へ の参画を精神保健指定医の資格更新の要件とすることについては、上記の確保策の効果 を検証した上で、その適否を含め、将来の検討課題としてはどうかといたしております。  4つ目については、前回も御提示させていただいておりますが、また、失念等により 精神保健指定医資格の更新期限を超えた場合については、例えば、運転免許と同様に、 再取得の際に一定の配慮を行うよう、制度上対応してはどうか。このことについては特 に前回は御異論はいただいていなかったものと承知しております。  8ページ以降は、御参考までに前回の資料を添付いたしておりますので、必要に応じ て御参照いただければと思います。  以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、この課題に関しまして、時間はそんなに十分はございませんが、15分程度 で御議論いただきたいと思います。いかがでございましょうか。どうぞ、坂元構成員。 ○坂元構成員  もともとかなり強硬な意見を出したのが全国衛生部長会でありまして、自治体によっ て、本当に不足して対応困難という自治体から、自治体に実際に意見を聞いていただい たという結果で、中にはそこまでしなくてもいいんではないかという自治体もある。自 治体が集まった場での議論の中でも実際それは出てきたことなんですけれども、1つと して、もし可能であれば、例えば、公務員としての業務をやっていただくというのは非 常に負担である。大変なことである。少なくともそういう人にメリットがある。例えば、 自治体等から何らかの報告書等があれば研修免除されるとか、逆な方法です。例えば、 やっていない人に対しては研修しなければいけない。しかし、実際に公務員業務をやっ ている人は日々やっているんで、そういう人には少なくとも研修免除という形がとれれ ば、例えば、自治体から報告書がいけば研修免除措置がとれるとかになれば、やってい る方のインセンティブにつながるんではないか。こういう方法を考えれば、余り負担に ならずに、かつやっている方にインセンティブになる。  実際にいろんな方に聞くと、必ずしも公務員としての措置業務をやるのはお金目的で はない。精神医療福祉に対する貢献という意味もあるということで、金目的としてやる には余りにも費用が安過ぎるんで、必ずしも金目的ではやっていないという先生が実際 かなり多いという中で、やっている方にはそういう特典があればということを若干付け 加えて、あと、この法文の中に、指定医とはこうあるべきものであるという努力規定義 務を入れていただけるのは非常にありがたいこと。自治体がお願いする際に、先生、指 定医というのは本来こういうことをやるためのものですよということの1つの背景にな るんで、例えそれが義務規定でなく、努力規定であっても、私は非常に大きな進歩だと いうふうに評価したいと思います。  以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  ほかに御意見、どうぞ。 ○広田構成員  もともとこの話を持ち出したのは私でして、とにかく神奈川の精神科救急医療は精神 保健指定医が不足していて、川崎市さんは、平成8年、大都市特例がおりてきているの に、議会の答弁でも、県の仕事だというふうに局長はずっと言っていたんです。  都道府県がいろんなことをやるのに大変だと、それから、厚生労働省も口には出さな いけれども、義務化してしまったらば、精神保健指定医に逃げられてしまうんではない かという不安があって踏み切れないんではないかと思うんです。  7ページの2番目の精神保健指定医について、私は何で措置診察などの公務員として の業務をいちいち入れなければいけないのかわからないんです。精神保健指定医につい て、精神科救急医療システムの確保に、本当は義務が望ましいんですけれども、できな ければ、協力すべきことを法律上規定していただいて。結局、医療も福祉もお金だとい うことが、この検討会に出てきてよくわかったんです。  お金ではない話で、例えば、クリニックでも何でもいいんですけれども、5年間の期 間中に毎年きちんと精神科救急医療システムに精神保健指定医として勤務した。そのお 金が、安いかどうかわかりません。たまたま私の親しい医者が横浜市大に勤めたとき、 給料幾らと明細を見せてもらったら、手取り25万だったんです。これでは、どこかに夜 勤にアルバイトに行かなければ食べていけないねという話がありました。お金の話は、 生活保護の私がしても全然額が違って、私などは年収100万台で生活していますから、 それは先生方にお任せするとして、一目で患者が、この先生は精神科救急医療をやって いるんだなとわかるように。  やっているということを掲げていただいて、そうすると、1つには、精神科救急医療 で、他科の救急はテレビなどもものすごく取り上げていますけれども、なぜか精神科救 急の医者の燃え尽き症候群は話題にならないんですけれども、あっ、うちの先生は精神 科救急医療に参画していて、5時過ぎになったらテープレコーダーが回って、精神科救 急医療に電話かけてくださいという先生ではないんだなと、先生自身がどこか行ってい るんだなということで、ステイタスになるような、やっていることがポジティブに、そ れをやりたいなと医者に思わせるような。文面は都道府県に任せる。ステイタスになる。 医者は、私のような定時制高校卒業者から見ると、本来はステイタスです。  この間『Tomorrow〜陽はまたのぼる〜』というテレビドラマがあったんです。横浜市 も貧乏になってきていますけれども、どこかの地方自治体が貧乏で、市立病院がつぶれ てしまう。反対運動の先頭に立っていた人が、自分の娘が手術をしなければならないこ とに陥って、他人事のときには反対だったけれども、自らの娘の問題になって賛成派に 回ったときに、竹野内豊演じる開業医がその病院に来て診察するというところで終わっ たんです。  私、いろんな患者さんや家族の相談がいっぱい回ってきます。専門家が難しいのが回 ってくるんです。危機介入の相談です。よくなると専門家は自分の方へ持っていくんで す。私のやっていることはそれでいいんですけれども。自分のクリニックの患者が入院 したら、入院した病院に医者が行ってみる。  そうすると、普段通院している患者が入院したとき、どういう状態になって、自分は、 その後のフォローアップではないけれども、どういうふうな形で診療所で診療できるの か。この患者さんの状態を見て、もし自分が難しければ、入院施設のある病院に紹介し ようかとか、そういう意味で言えば、精神科救急のシステムで、頑張っている人が燃え 尽き症候群にならないということと、やった側の医者がステイタスになるということと、 いわゆる医者の臨床の体験が向上するということで、是非この2番目のところは、本来 は義務規定にしていただきたいけれども、義務規定にしてしまったら林さんが首になっ てしまっても困るから、木倉さんが笑っているから首にはならないでしょうけれども、 そういうことで、是非これを入れていただきたい。入れなければ、精神科救急は立ち行 きません。はっきり言って、日本の精神救急医療は精神保健指定医不足です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  どうぞ、長尾構成員。 ○長尾構成員  2番目については努力規定として入れることはやぶさかではないかなとは思いますが、 将来的な検討とするということで、これでいいんだろうと思うんです。指定医という要 件をどうするのかということは、十分議論した上でこれをやられるべきだと思っていま す。前も述べましたように、指定医というのは公務員業務だけではないわけですから、 指定業務というものをきちっとやることが必要なんであって、指定医の要件とは何たる かというのはしっかりと議論した上でこういうことを決めていくということをしていた だきたいと思います。  その後の失念等の、延長なり、何らかの措置を取られることは結構だと思いますので、 よろしくお願いします。 ○樋口座長  どうぞ。 ○佐藤構成員  上ノ山先生に質問という形になるんですけれども、病院勤務の人は多かれ少なかれ指 定医業務といいましょうか、精神科救急に多少関わられると思うんですけれども、クリ ニックがかなり増えてしまって、そちらの方で指定医業務に関わり切れないという先生 は多いと思うんです。精神科診療所協会の方で、クリニックに勤務している者が指定医 業務とか、措置診察業務にうまく関われて、そういうところに貢献するような案はお持 ちでしょうか。その辺りをお聞きしたいんです。 ○樋口座長  どうぞ。 ○上ノ山構成員  佐藤先生、質問していただいてありがとうございます。診療所協会として、こんなふ うにしましょうとかいう議論はないんですけれども、地域に出て診療しようという精神 科医は、かなりの割合で地域の精神保健福祉体制に何らかの形で貢献したいと思ってい るわけです。先日、広田さんが、診療所の連中は患者を引っ張ってどうのこうのと言い ました。 ○広田構成員  そういう人もいるの。 ○上ノ山構成員  後でちょっと。 ○広田構成員  終わったら話をするの。 ○上ノ山構成員  いえ、やらないですよ。そんなことで、一部はあるかもしれませんが、必ずしもそれ をもって全体を評価してほしくないということが1点です。  そして、診療所の中には、非常に遅くまで働きながら、なおかつ鑑定の要請があれば、 深夜でも出ていかれる先生もおられます。そういう志を持っている先生がいるというこ とです。それはそんなに多くはないかもしれませんけれども、おられます。また、鑑定 だけではなくて、救急の問題でも、診療所の方からわざわざ県当局に問題提起して、こ んな形で診療所は貢献できる、自分たちは今、これだけの量の業務を果たしているけれ ども、それ以外のことは、これだけのことはできるということを問題提起して、診療所 を中心とした救急体制を、特に大阪市などはつくったりしています。そういう意味で、 我々にできることはやりますし、それをお互いに検討しながら進めていくという形が望 ましいんではないでしょうか。  それから、当初の案のように、診療所の人たちが時間が余っているから、それを引っ 張ってくれば問題解決するかのような議論は不毛のような気がします。指定医問題とい うのは、基本的には精神科医療の医師不足、医療崩壊の1つのあらわれです。ですから、 精神科医をどのように確保していくのか、あるいはそれをどのように上手に配分してい くのかということを、全体的な医療体制の中で考えていかないと、だれかを悪者にした ら済むという問題ではないと思います。診療所の医者は、例えば、管理医師として1日 出ていってしまえば、その診療所は機能がストップしてしまうわけですから、それほど 自由には動けませんが、やれることはやりたいと思います。 ○樋口座長  どうぞ。 ○佐藤構成員  欧米等でも精神科救急の場面で、病院とか精神科救急センターに勤務する医者だけで はなくて、地域のクリニックのドクターが当番制みたいな形で駆けつけて精神科救急シ ステムを形成しているというところも多々あるようですので、病院の医者は病院だけ、 クリニックの医者はクリニックだけというんではなくて、総体として、精神科医療全体 で精神科救急とか措置業務を支える仕組みを今後考えていく必要があるのかなと思いま す。 ○樋口座長  それでは、田尾構成員。 ○田尾構成員  皆さんの議論と少し離れるのですけれども、ある先生とこの間話していたら、ニュー ジーランドでは、100人のお医者さんが集まって精神病院をなくしたというような話を していらっしゃいました。これは、前提にあるのは、以前にも申し上げました予防的な 介入とか、アーリーインターベションとかを進めることで、入院患者全体を減らしてい っているというような話です。今、日本で追われている救急の措置判定を要するような 医者の業務自体を減らしていくというような、いわば、精神医療だけではない、保健福 祉のパラダイムの転換ということが現実に諸外国で起こってきていると思います。  今、指定医が足りないというこの問題への対応策は勿論、目の前の問題ですから必要 です。ですけれども、それだけではなくて、中長期的に、精神保健医療福祉の構造改革 ということもしっかり押さえていかないと、いつまでたっても後始末に追われるという ことばかりになると私は思います。指定医の問題1つ取っても、予防という観点からの アプローチが非常に大切だなというふうに感じましたので、一言申し添えさせていただ きます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、これも時間でございますので、この辺で切り上げさせていただきます。  もう一つ、今日の議題として、精神保健福祉士の養成の在り方ということで、検討会 の報告がございますので、それをお願いしたいと思います。 ○野崎課長補佐  それでは、資料3−1、3−2に基づきまして説明を差し上げたいと思います。主に 資料3−1の概要に沿って説明させていただければと思います。「精神保健福祉士の養 成の在り方に関する検討会」を開催しておりまして、10月21日にその中間報告書がと りまとまりましたので、御報告をしたいと思います。  そもそもこの検討会の設置ですけれども、もともとは社会福祉士及び介護福祉士法の 改正が平成19年にございまして、社会福祉士、介護福祉士については、カリキュラムの 見直し等が行われている。精神保健福祉士につきましては、社会福祉士との共通科目を 定めておりまして、そこについて、社会福祉士等の見直しに伴ってどういう見直しが必 要なのかということをまず入口として、その議論の過程の中で、やはり自立支援法の見 直しといった流れもございますし、その中で、これまで果たしてきた、制度施行後10 年の役割を評価をして、また今後求められる役割を明らかにしようということで議論を させていただき、それに基づきまして中間報告書という形になっております。  全体を説明してまいりたいと思いますけれども、まず、冒頭の「求められる精神保健 福祉士の役割及び必要となる技術」というところでございますが、その背景といたしま して、精神保健福祉制度は平成9年に法制定を行い、創設され、それ以降、精神障害者 の社会復帰支援に一定の成果を上げてきた。  一方で、長期入院患者を中心とした精神障害者の地域移行が十分に進んでいない現状 において、精神障害者の社会復帰の支援を担う役割の重要性が一層高まっている。  ただ、その一方で、子どもの精神保健につきましても、統合失調症だけではなくて、 いろんな課題の拡大が見られているという背景があるということでございます。  そういった背景を踏まえまして、今後の精神保健福祉士に求められる役割として、1 つは、まず、中核の業務として、今後、精神保健福祉士が担っていくべき役割といたし まして、最初の○でございますが、医療機関等におけるチームの一員として、精神障害 者の地域移行を支援する役割につきましては、これまでどおり今後も精神保健福祉士の 重要な役割である。  また、援助計画の作成であるとか、環境調整、社会資源の開発などを含め、精神障害 者の地域生活を支援する役割がより重要となっているということで、精神保健福祉士法 では、要は病院または社会復帰施設等においてという場所の概念がございますけれども、 やはり地域移行を進めていくという意味では、地域において支援するという機能も実態 として果たしていただいている部分もありますし、そこが更に重要になってきていると いう部分でございます。  また、2番目の精神保健の課題の拡大を背景に広がった役割というところでございま すが、1つは、行政に関する分野、司法に関する分野等において職域の拡大が見られて いる。  また、その求められる支援の多様化というところでは、従来からの統合失調症への対 応のみならず、さまざまなストレスに関連する障害、うつ病等の気分障害、認知症、発 達障害など、おのおのの疾患及びそれに伴う生活上の課題に対して適切な対応が求めら れているということでございます。  それに伴い、必要となる技術といたしましては、従来からの相談援助技術に加えて、 包括的な援助を行うための関連援助技術として、ケアマネジメント、コンサルテーショ ン等の技術が必要となってきている。  また、その職務の遂行に当たっては、精神障害者の人権を尊重し、誠実に努められる ことが求められているということでございます。  以上のような求められる精神保健福祉士の役割、整理されたものを踏まえた対応とし て、以下の5つが考えられるのではないかということでございます。  まずは、精神保健福祉士の役割の理解の深化というところで、現行法においては、精 神保健福祉士は精神障害者の社会復帰の支援を担う者とされておりますけれども、その 中で、精神障害者の地域生活の支援を担う者であることについて明示すべきではないか。  また、その職務の遂行に当たっては、精神障害者の人権を尊重し、誠実に努めること についても明示すべきではないか。  2つ目といたしまして、社会復帰支援を行っていく上で、現行法で規定されている医 療関係職種に加え、例えば、その地域で精神障害者を支援するといった場合の連携先で ある福祉とか労働等のさまざまな領域の専門職種、関係機関との連携を図ることについ ても明示すべきである。  3番目といたしまして、先ほど申し上げましたように、精神障害者の社会復帰の促進 を図り、地域生活を支援していくということが中核の役割として整理されたわけでござ いますが、それを進めていく上で必要となる知識及び技術については、不可欠なものと して重点的に行う。また、その職域の拡大や求められる支援の多様化に伴い広がった役 割についても、基礎的な知識を習得できるよう、以上2つの観点からカリキュラムを充 実させるべきではないかということでございます。  4つ目といたしまして、実習・演習にかかる水準の確保ということで、養成施設にお ける養成課程については、時間数の増や教育内容の充実を図る。また、保健福祉系大学 における養成課程については、現在、科目が定められているのみで、時間数であるとか、 あるいは細かい職員の要件とか、定めてございませんので、それについても養成施設と 同程度の水準を確保されるようにすべきではないか。  また、2つ目といたしまして、精神科病院等の医療機関での現場実習を必須とすべき ではないか。  また、関連するものとして、保健福祉系大学等及び養成施設の教員や、実習先の指導 者も質を高める必要があるのではないか。  5番目といたしまして、資格取得後の資質の向上といたしまして、資格を有する者に 取得後の資質の向上に関する意識の醸成を促す。  また、職能団体も、資質向上のための卒後研修等に積極的に取り組むべきである。  また、行政、医療機関、障害福祉サービス事業所等においては、資質の向上のための 機会を提供するなどの支援に努めるべきではないかということで、求められる役割を踏 まえた対応として5つ挙げさせていただいてございます。  また、今後の検討についてでございますが、この中間報告は、このあり方検討会と同 様でございますが、来年に予定されている障害者自立支援法の見直しにおいて必要な対 応を図ることが1つ、また、より優れた人材の養成や、精神障害者に対する一層の支援 の充実に向け、求められる精神保健福祉士を養成していくために必要となるカリキュラ ムについて、今後更に検討を行っていくということで、今後の検討が更に進んでまいる こととさせていただいております。  簡単ではございますが、中間報告書の説明は以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、残りの時間で、このことに関しての御質疑がございましたら、お願いいた します。小川構成員。 ○小川構成員  実は、精神保健福祉士の養成に関連してでございますけれども、保健師さんの方から、 是非検討会の場で発言をしていただきたいということでお願いをされたものですから、 この場をかりて発言いたします。  御存じのとおり、保健所や市町村、産業保健等のさまざまな領域で、相談・支援とか、 自殺防止、自殺予防対策だとか、関係職種と連携をしながら保健師が働いているわけで すけれども、精神保健福祉士の資質向上とともに、保健師の基礎教育の充実とか、現認 研修の充実についても是非充実を図っていただきたいという要望でございます。  メンタルヘルスだとか自殺防止対策では、地域と職域とが連携して取組みを進めてお りますし、また、発達障害の支援についても、母子保健の段階から、あるいは子育て支 援とか虐待防止などの取組みと併せて保健師が担っております。そうした保健師の活動 についても是非忘れずに施策を考えていただきたいという強い要望もございます。是非 よろしくお願いいたします。 ○樋口座長  ありがとうございました。  では、上ノ山構成員。 ○上ノ山構成員  先ほど田尾構成員がパラダイムの変化ということもおっしゃられましたけれども、今 の診療報酬の体系では、医師が働かないと報酬が発生しないことになっています。です から、医師がすべて、就労支援とか、生活支援とか、さまざまなことをしないことには 診療報酬が発生しないというおかしなことになっているわけです。このことが結果的に、 医師を介しなければすべての診療が成り立たないということで、医師の過労、そして救 急の危機などの問題も発生させているんではないかと思うんです。ですから、例えば、 ESWが就労支援したり、生活支援したり、あるいは地域のケア会議に医師の代わりに 参加しても、きちんと対価が発生するというふうな形の仕組みが必要ではないかと思い ます。これが第1点です。  そして、今までの就労に関する議論の中でも、資格を持っても、ちゃんと働かなけれ ばしようがないではないかという議論もありましたけれども、こういう資格者をきちん と養成して質を担保する仕組みを作っていかないと、やはり支援の質の向上を図れない んではないかと思います。  就業・生活支援センターに関しては、当初は知的障害者の支援から出発しているとい う面があって、精神への対応が若干遅れているような気がします。例えば、ある一定の レールに乗せたら、それでおしまいというふうな感じの支援が結構多いわけです。だけ れども、揺れる障害として、あるいは再発する障害として、それをどういうふうに専門 的にケアしていくのかというのは、専門的な資格を持った人が中に入っていく必要があ ると思うんです。フォローアップ6か月を過ぎたから、あとは支援をしないよとか、そ んな話では精神には対応できないわけで、そういう制度の見直しも含めて、精神保健福 祉士が就業・生活支援センターにも入っていけるような制度をつくっていただきたいと 思います。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  尾上構成員。 ○尾上構成員  精神保健福祉のこの中間報告は非常にコンパクトにまとまって、大分網羅されていま すが、この後、中身を決めていく段階が重要かなと思っているのと、このコンパクトな 中身の部分は大変重要なことがいっぱい入っているので、是非とも実行、実現できるよ うなものにしていただきたいというところがまず前提であります。そういったところで、 職域の拡大ですが、中間報告の3番、4番のカリキュラムと、実習とか、この辺の充実 等を是非ともきちっと図ってほしいなと思います。職域の拡大によって、さまざまな分 野に精神保健福祉士が入っていく。それによっていろんな効果をもたらしているという のは大変大きいと思います。是非ともその辺でカリキュラムの充実等を図ってください。  精神保健福祉士が法制度化されて、今まで社会福祉施設等に明示されていた部分、障 害福祉サービス等も、精神保健福祉という明示がなくなった中で、是非ともこの資格の 部分で、そういった資格の位置づけみたいなところも明示できるような形になってくる と、更にそこでの質の向上ということが、きっかけとして上がってくるのかなと思いま すので、よろしくお願いします。 ○樋口座長  末安構成員。 ○末安構成員  私は、この検討は基本的に賛成なんです。つまり、ソーシャルワークの基本原理の1 つはコミュニティーオーガナイゼーションなので、そういうところに力を発揮していた だくというのはすごくうれしいことだし、それが障害を持っている人たちに寄与するこ とになると思うんです。  ただ、1点気になるのは、理解の深化のところで、精神障害者の地域生活の支援を担 うということを明示する、これは私には法文に明文化するというふうにとれるんです。  それから、5の資格習得後の資質の向上で「資格習得後の資質の向上については、資 格を有する者の意識によるところが大きいことから、法律上明示し、資格を有する者に 対し、その重要性についての」というふうに続いているわけですけれども、基調として はチーム医療と言っているのに、何でソーシャルワーカーだけ法文に明文化するのか、 その意図がわからないんです。  チーム医療だから、例えば、医師でも、看護師でも、心理でも、OTでも、みんなそ れぞれに必要なことです。何で精神保健福祉士だけが法律にそれを規定する必要がある のかということを聞きたいんです。つまり、職能団体にもいろいろやってもらわなけれ ば困るとも書いてあるのに、法律に明示する。チーム医療だと言っているのに、いろん な職種がそのことにかかわっているのに、ほかの職種に明示されていないのに、精神保 健福祉士だけ法律に明示するということがわからないんで、その意図を教えてほしいで す。 ○樋口座長  福島課長、どうぞ。 ○福島精神・障害保健課長  法律というのは精神保健福祉法のことでございまして、第2条で、この法律において、 精神保健福祉士の名称を用いてどういう業を行うものか、定義の規定がございまして、 その定義規定のところについて、地域生活の支援を明記したいということでございまし て、勿論、この業務をやる上で、ほかの関係職種、チームでやらなければいけないのは 当然なわけであります。  現在のところでは、精神科病院その他医療施設において精神障害の医療を受け、また は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的として施設を利用している者の社会復 帰に関する相談ということで、病院と施設を使っている者に限定されている。つまり、 地域生活の支援についての業務が明記されていないということがあるものですから、そ こをちゃんと精神保健福祉士もやるんだよということを明らかにするために書いている わけで、ほかの職種と一緒にやらなければいけないことについては、勿論御指摘のとお りだと考えております。  それから、後段のもう一点の方の資質向上の責務でありますけれども、勿論、資質向 上そのものはほかの職種でも、専門職種というのは当然にやるべきものですが、精神保 健福祉士法上それが明記されていないので、これについて、そういう規定を設けるべき ではないか、ということです。社会福祉士法の改正でこの規定を設けたということがあ り、それとの横並びと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、それと同等の考え 方によったものということでございます。  そういう面で、先ほど小川委員からもありましたけれども、例えば、保健師の業務に ついて言えば、いろんな領域で、保健所でも勿論働いているわけで、PSW、保健師や そのほかのいろんな職種の人たちが連携しながら、あるいはそれぞれの役割分担をしな がら、それぞれの領域で仕事をしているという状況は今までどおりと考えておりますけ れども、特に精神障害者の地域移行支援、あるいは地域生活支援ということを、ここに その役割を強調して書きたいということです。そして、これによって教育の中で、PS Wはこういう職種であることを教育していくということにつなげていこうということで 考えていることでございます。 ○末安構成員  そういうことだということは理解した上で言っているんです。ほかの職種に対しては そういうことは期待していないわけではないというのはわかりますけれども、法律で規 定するということは、診療報酬ですら、そこに職種を明記したら、それ以外の人たちが やるのは自由ですよ、でも、点数は取れませんと言って国が指導されているわけです。  しかも、今度、こういうふうに書かれた場合、例えば、私どもで言うと、精神科の看 護師は昔は退院支援と国も使われていたんで使っていましたけれども、今は退院支援と 使うな、地域移行と言うんだということを言われますけれども、私どもは独自に今、80 0名ぐらいの者をそういう養成を行って、地域移行支援に、それは経営側とは一致しな い意見を持ちながらでもやっていくということをやっていますけれども、法律にこう書 かれてしまうと、それはソーシャルワーカーの業務だからというふうに機関の責任者が 判断したら、例えば、看護師でそういうことをやろうとする者については、そちらはそ う思っていないかもしれないけれども、現場では排除されることになるんです。一緒に やっていかなければいけないと考えているのに。だから、法律に明記するというのは、 本来の役割で必要だからという考え方はわかりますけれども、それがどういう影響を及 ぼすかということを同時に考えていただきたいんです。 ○樋口座長  大塚構成員。 ○大塚構成員  済みません。回答する立場ではないと思うんですが、検討会のメンバーに入っていま したので。保健師さんも、看護師さんも、作業療法士さんも、お医者さんも、すべての 携わる職種の資質の向上ということが検討されることは是非ともだと思っています。  1点だけ、資格化のときに奔走した当時の門屋会長を差し置いて言うのも何ですが、 私どもソーシャルワーカーは名称独占業務なんです。業務独占資格ではないんです。そ ういう意味では、末安構成員の言われることはよくわかるんですが、業務独占職種に比 べると、名称独占の資格でしかない私どもは、役割の理解をほかの方々からいただくと いうのは大変厳しい状況だと思っています。  名称独占だからこそ、ほかの人たちでも、いろんな相談援助はしていけて、別にソー シャルワーカーでなくても、精神保健福祉士ではなくても、一緒にできるわけです。そ のときに、せめてソーシャルワーカーと名前がついている、精神保健福祉士と名前がつ いている資格の人間には任せて大丈夫だというぐらい質が担保されることは、いつもい つも、広田構成員を初めみんなに使えないと言われますが、本当に現場では、まだまだ 質的な担保が厳しいと思っているので、そこのところは、自分たちの自覚も含めて、何 とかそういう役割を担わせていただきたいという思いがここに込められていると理解い ただけますように、検討会のメンバーだった者としての一言です。済みません。 ○末安構成員  もう一言だけ。私はそれは全然反対していません。だけれども、ほかの職種について はどう考えるのかと聞いているんです。ここで法律に役割を明記すると言っているんだ から、ほかの職種にも当然それは必要だとおっしゃっているけれども、ほかの職種のこ とについてはどう考えているかと聞きたいんです。ほかの職種だって当然資質の向上を しなくてはいけないし、さっきから出ていますけれども、多くの精神障害者は医療を使 われるわけです。その人たちが地域をどういうふうに理解するかとか、そこに介入する ことができるかとか、ここで1つの法律に地域生活の支援を担う者ということを明記す るんであれば、ほかの職種についてはどう考えているか。検討するのか、しないのか。 そういうことだけではなくて、ほかの職種はそこは明記しないわけだから、現にやって いるのにおっしゃるけれども、現にやっているのに明記しなくて、ここだけ明記すれば、 ほかの職種が結果的に排除されることにならないかということを私は危惧しているんで す。 ○樋口座長  どうぞ。 ○中島構成員  排除されることを大変危惧していらっしゃるから言われているんだと思うんですけれ ども、法律の条文に書き込んだところで、これは排除するものではないという通知を出 しさえすれば済むことなんです。私はあんまり細かく言わないでもいいと思います。そ れが1つ。  もう一つ、一番気になるのは、地域移行を担ってきた。今度は地域の中での生活につ いてもちゃんと見ていくという業務を拡充しましょう。これが、病院から地域移行して いくという流れの中でだけ見られることになったら困るということです。つまり、入院 しない、動揺した人を地域の中で見ていくという業務もあるんだということを明確にな るように書いていただきたい。これが私からの要望です。 ○樋口座長  何かございますか。 ○野崎課長補佐  こちらの報告書についてですけれども、地域生活の支援を担う者ということで、例え ば、資料3−2の5ページの真ん中ぐらいに書いてあるわけですが、実際の精神保健福 祉士法の定義を見ますと、実はもう少し具体的に書いていて、例えば、相談に応じると か、必要な訓練を行うとか、限定的に書いてあるわけです。ここで必要な支援すべてを 担う者と書いてしまっているのであれですが、最終的な条文の形はまだこれから精査が 必要ですけれども、今は、相談に応じ、助言指導、日常生活への適応のために必要な訓 練その他の援助を行う。今は病院と社会復帰施設で行うということを書いてあるわけで すけれども、それを病院、社会復帰施設だけではなくて、地域でも行うということです ので、基本的には相談、助言指導、必要な訓練、その他の援助という部分は、地域生活 支援全般というよりも、もう少し具体化された形で定義規定の中に入ってくるんだろう と思います。  あとは、実際に担っている部分についてどう考えるのかということでございますが、 そこは我々としても勿論十分認識しております。もともとこの精神保健福祉士が創設さ れたのが、精神障害者に対する相談・援助を担う資格ということで設立されていますの で、今、申し上げたように、現行でも病院や社会復帰施設において、そういった社会復 帰に向けた相談援助を担うという資格として定義規定が置かれておりますので、基本的 に地域においても、そういった相談等を行う者として、今回、病院と社会復帰施設だけ ではなくてというところを書くこととしてはどうかという提案でございます。もしずれ ていたら、また言っていただければと思います。 ○樋口座長  もうほとんど時間がございません。あと5分といたします。まだ発言をされていない 方を優先いたしますので、門屋構成員。 ○門屋構成員  全体のことでたくさん意見を申し上げたいこと、精神保健福祉士についてはあるわけ ですが、それはさて置き、今の議論だけ。末安さんの言っていることはよくわかります。 要検討というふうに考えますので、それはそれでどこかで議論したいと思っています。  さて、精神障害者に対する相談・支援を行う専門職という形になっているわけですが、 今の流れ全体は、障害者、障害を分けないという方向にきているわけでして、そういう 意味では、精神障害、あるいは精神保健により専門性の高いソーシャルワーカーという 立場を私は主張しているわけですけれども、いわばここで方向性として是非確認をした いと思っていますのは、今や地域では、社会福祉士も精神保健福祉士も、障害を重なり 合って実は相談をきちっと受け、生活支援をするという構想に方向性としては持ってい くんだろうというふうに認識しているわけです。  そういう中で今回これが出されてきたわけですが、その方向性としては、今、課長補 佐がおっしゃられたように、地域生活支援を支えるというところを入れたいということ で、それは本当に賛同するわけですけれども、むしろそこを拡大していく方向にあるべ きだというふうに思うわけです。ところが、これ全体を見ますと、やはり相当に精神医 療といいましょうか、そちらの方に大変関連のあるような成り立ち方もしましたので、 そういうような結果がずっと続いていることを何とか広げるという方向に持っていくべ きだろうとお願いをしたいと思っています。  加えて、特に診療報酬のことも言われましたが、それぞれの場所で仕事に対する評価 をきちっとしていただいて、それなりの経済的な配慮をしていただくようなことをお願 いしたいということで私の意見を終わります。 ○樋口座長  ありがとうございました。 ○広田構成員  これはまた継続してやるんですか。要するに、私は当事者1人なんです。PSWの人 は3人話して、私1人と同じです。この検討会の話は当事者不在なんです。問題だらけ なんです。継続してやるんですか。前回部会ではほかの議題を先送りしたんです。 ○樋口座長  これはどうですか。今、中間報告書という格好になっています。 ○福島精神・障害保健課長  養成の在り方等に関する検討会というのは、教育、研修の在り方についての議論をす る、そのカリキュラムの見直し、基礎科目、専門科目ございますがけれども、どういう 教育をすべきかということを議論するための会として設けたものでありまして、先ほど 野崎から申し上げたんですが、その議論の中で、では、どういう教育をするかというと きに、PSWというのはどういう役割を担うかということがはっきりしないと、教育も できない、教育の中身も詰め込めないということになり、中間報告として、まず、在り 方について明らかにして、その上で教育についてきちんと検討しています。 ○広田構成員  わかっています。 ○福島精神・障害保健課長  ということなので、この養成の在り方検討会は年明けから更に引き続いていきます。 ○広田構成員  要するに、これを出しているということは、これを私たちに論議してくれということ ですね。でも、質問者がまだいるのに切るということは、途中で終わってしまうという ことです。これは全部、見ればわかるけれども、当事者不在です。ボランティアまで連 携して地域をどうのこうのって、当事者不在のこういう検討会の報告の中間とりまとめ がある。私は確かに3回目です。でも、1つのことを3回言っているわけではないんで す。3個の題目があって、それに対して今、3回目なんです。私は今日、5時半までと 見てきたんですけれども、5時なんですか。 ○樋口座長  課題によって、時間もその都度設定をしているんです。今日の課題については、当初 の予定としては、3つの課題だけれども、およそ2時間を目途にやれそうだということ で設定しました。 ○広田構成員  やれていないわけです。 ○樋口座長  ここへきて議論がこういうふうに沸騰しましたので、当初の予想とはちょっと外れて はいるので、時間は勿論制限するつもりはございません。 ○福島精神・障害保健課長  勿論、延長は、構成員の皆様方がそれで差し支えなければよろしいですし、次回の冒 頭で議論していただいてもいいと思いますが、希望とすれば、できるだけ今回の中で議 論をお願いしたい。 ○広田構成員  聞こえません。大きい声で言ってください。 ○福島精神・障害保健課長  でき得れば今回の中で議論していただきたいと思いますので、もうしばらく御議論い ただければと思います。 ○樋口座長  よろしいですか。今日、5時までということで設定させていただいているんですが、 御予定等で御都合が悪いという方がおられれば、次のときに持ち越しでやりますけれど も、あと20〜30分よろしいですか。よろしければ、引き続きの議論といたします。それ で、御発言はどなたから。 ○樋口座長  では、大塚構成員。 ○大塚構成員  短く言います。ほかの職種の方々の排除のこととかは勿論全く考えていないことです が、是非現状を知っていただきたいと思うんです。この間、地域移行のことで、随分全 国でお招きいただいて研修会等に参加する機会を得ていますが、非常に驚くことに、1 人も配置がないというところはほとんどようやくなくなってきましたが、まだ本当に多 くの病院で、300床、400床で1人とか2人の精神保健福祉士しかいないところ、もしく は、精神保健福祉士という資格で採用されたけれども、事務所の中に机を置いて電話番 や事務職をしている、電話をとることが悪いとは思いませんが、そういう実態がまだ多 くあることも事実なんです。  うんと昔、退院支援を頑張ったら首になったワーカーがいたという話をいつかの検討 会でしたんですが、まだ今でもそういう実態があることも事実なんです。そういう意味 で言うと、まだまだ不足していて、養成も追いつかないし、質の担保も難しいし、配置 は本当に難しいし、診療報酬で基準配置を要求しても通らない時代になってきているの で、本当にここは資格としてちゃんと責任ある仕事をし、評価されるような質を担保す る仕組みを何とか進めたいという思いが強いということと、その現状を変える力になり たいということは強く思っています。 ○樋口座長  それでは、山根構成員。 ○山根構成員  PSWの方の実習を引き受ける側と、実際に雇っている側という立場で申し上げます と、これは底辺の問題なんでしょうけれども、余りにも基礎教育の差が大き過ぎて、授 産や病院でも受けていますが、何週間かの期間通って過ごせれば、サインさえもらって くれば国家試験を受けられますよという指導を学校で受けてきたと言われるようなこと があります。そういう意味でも、カリキュラムはきちんと整備をしていただきたいと思 います。 ○樋口座長  どうぞ。 ○長野構成員  関連して。「職域の課題」という言葉を使われているんですけれども、精神PSWの 方が国家資格化されて、10年間、柔軟に動いていただいた結果、それまで全く見えてい なかったニーズが掘り起こされてきたというふうに私はとらえています。まだまだ精神 保健福祉医療の中での福祉サポートというのは、日本全国、量が全く足りない状況の中 でこういうことが見えてきたんだと思うんですが、ただ、これを職域の拡大とだけとら えていいかどうかだと思うんです。全国で1万人に満たないPSWの方が働かれている 状況の中で、さまざまな複雑なニーズを全部PSWの方におっかぶせてしまっていいの かという問題があると思うんです。さっき社会福祉士の問題もありましたけれども、P SWの方はもっともっと増えてほしいと思うんです。さまざまな職種と連携をしながら、 そのニーズを満たしていくことがとても大事なことだと思うんです。だから「職域の拡 大」という表現のままでいいのかどうかということは少し検討が要るんではないか。た だ、本当にニーズがいっぱい隠れているので、明確になってきたものから、一つひとつ ちゃんと施策化をして、それを担う人材をつくっていくという長い長い道のりが必要な んだろうなと思っていて、これは職域の拡大論で、PSWの方、お願いしますだけでは 済まない問題なのかなということを感じています。  以上です。 ○樋口座長  広田構成員、どうぞ。 ○広田構成員  最後でいいです。 ○樋口座長  どうぞ。 ○小川構成員  看護協会的には、職能団体ということで、職域の拡大というと、実は心配するところ はあるんです。ただ、精神保健福祉士という資格ができたというのは、精神障害者は入 院ではなくて地域に出そう、また、地域に出すだけではなくて、地域生活を継続してい くように支援していこうということで今、活動は進められているわけですので、そこは きちっと重視をしていかないといけない課題だろうと私は思っています。ただ、精神保 健福祉士だけ教育、研修のところを充実させればいいかというと、そうではなくて、同 じ連携をとっていく職種として、保健師や看護師の教育の問題、あるいは現認研修の問 題もしっかり取り組んでいただきたいという趣旨で先ほどは発言をさせていただきまし た。福島課長、よろしくお願いします。 ○樋口座長  それでは、広田構成員、お願いします。 ○広田構成員  これは厚生労働省が出してきたのか、PSW協会がもち込んだのか、よくわかりませ んけれども、10年前の資格ができる際には、全国でただ1人、当事者として賛成をしま した。それは自立支援法ができる前だったからできた法律かなと思います。前にも言い ましたけれども、多くの関係者が私に反対してくれと言ってきた。伊澤さんの前の全精 協の代表も「あみ」をつくるときに、当事者の代表に応援してくれと言ったけれども、 そこでも共作連があるから全精協などは要らないではないかということで、結果的に私 は当事者で1人賛同したんです。  10年間振り返って、今、大塚さんが話した精神病院の実態の話です。そこがクリアで きないで、こんなに職域を広げていって、統合失調症の相談なんて、ここにおられる皆 さん、かわいいものではないですか。相談ではなくて、話し相手です。今、問題なのは、 いわゆるパーソナリティーと呼ばれている方ではないですか。そこのところを全くPS Wは手がついていない。振り回されてしまっているだけです。そういう中でこんなにい ろんなものを書き込んで、せいぜい「医療福祉など」でいいのに。  私もこの検討会と部会の委員を生命を賭けて入っていますから、いろんな形でたたか れていますけれども、それを見る時間もないからインターネットは見たことはありませ んけれども、大塚淳子さんという人は、もしかしてかつて医療観察法に反対していた方 ですね。そういう方が方向転換したことも言わないで、いきなり私、この検討会に入っ ていますと言ったら、どういう人なのか。少なくとも、これこれ、こういう事情で私は 考え方を変えて、ここに入れましたというふうな明言があってしかるべきだと、これは 個人的な感想です。  いろんなところの文言で、援助するために連携すると、ずっと言っていますが、連携 という名のもたれ合いなんです。私、夜中の2時まで相談を受けていて、昨日も4人ぐ らいありましたけれども、連携なんかとっていません。何とかなります。どうしても必 要ならば、精神科救急医療へ回すこともあるけど、私だったら駆込寺だから人を止めて いるけれども、そんな連携、連携、連携、連携なんて、もたれ合いの文字が多過ぎる。  それから、日本語にしてもらいたい。中間報告書の4ページ目に「相談内容に関し適 切に問題を解決するために、他の分野の専門家との助言に基づくコンサルテーション」 と書いてある。本人不在なんです。これ1つ取っても、自分がその問題を解決できなか ったら、ほかの人に紹介するとか、相談員同士がもたれ合っているという感じがします。  それから、5ページ目の「(2)他職種・関係機関との連携の重要性の明示」の2行目「連 携を図りながら効果的に支援する」またここで連携です。  その下「その上で、他職種・関係機関との連携を実践すること」何だかよくわからな い。連携、連携で当事者不在です。  それから、ボランティアと専門家で地域を開拓する。3ページ目の3番目の○の「地 域住民に精神障害者の理解を求めるとともに、他職種・関係機関・ボランティアと連携 し、必要な社会資源を整備、開発するための地域づくりを行うこと」ノーベル賞の開発 ではないんだから、地域をこんな形で耕してしまったら、精神障害者が、普通に一住民 と暮らしている人が迷惑を受けるということも考えないで、主役は本人です。本人がい かに人間として尊厳を持って一地域住民として安心して暮らせるかの視点が欠けている。 これは専門家の視点だけです。  それと、精神科病院の研修は私が持ち出したんですけれども、これはいわゆる保護室 を含めた、宿泊を含めた精神科病院の研修です。  それから、例えば、長尾先生の講演に行ってきたんです。壇上にいました。国が悪い、 昔、クラーク勧告があって、25万床と言われたのに、それをやらなかったと人事のよう に言ったから、私は、国の施策と精神病院の経営で社会的入院ができたんだ、25万床に しよう、患者を減らせ、7万人とも10万人とも15万人とも言われる社会的入院を出し て、マンパワーはそのままで、安心してかかれる精神医療にしよう、そのためには診療 報酬の点数を上げてもらおう、そういうふうになるならば患者としても応援すると言っ たら、壇上で、応援してください、いつもやられていますと言っていましたけれども、 そういうところがまだいっぱいあるわけです。  その後、岡山から山形へ行ったんですが、みんなの話を聞いていると涙、涙です。私 の講演だったけれども、余りにも当事者が多かったから、講演をやめて、10人ばかり出 てもらって、体験談を語ってもらいました。涙、涙です。そういう精神病院の中で傷つ いて、はからずも地域の中でこんなに耕されて、北海道の宮岸君は、精神障害者は動物 園の中にいると言うんです。私がいつも言っている冷凍食品です。余計なことをしても らいたくない。さっきのフォローアップで、自己選択、自己決定、自己責任ではないけ れども、地域をブルドーザーで耕すごとく、どうするんですか。社会的入院さえ出せな いPSWが1億2,700万人をどうするんですかという話です。  ちょうど新聞記者が入ってきましたから、ごめんなさい、安田さんも業界以外の人で した。さっき、就労のところに出ていましたけれども、例えば、ハローワークに行くと かというのは、こちらの意思があって出向くんです。でも、私の経験でも、多くの仲間 の経験でも、新聞を読んでいて、折り込みが入ってきたから、それを見て行く気になっ たという、いわゆる受動態の人もいっぱいいるわけです。そうすることを考えると、精 神病院も、市役所も、クリニックも、自立支援法下の施設もみんな新聞をとって、読売 でも、朝日でも、毎日でもいい、東京でも、産経でも、どこでもいいからとって、いわ ゆる求人広告を精神障害者の目に触れるようにすること。それはただです。朝刊だった ら3,000円ぐらいです。広告が入るのは朝刊ですから。  それから、伊澤さんがおっしゃった、いわゆる人が足りないと言うんだけれども、私、 地方に行って聞くのは、人が足りないという話ではないんです。地活の運営費が安いと か、そういう話なんです。スタッフはもっと当事者を信じて、可能性を信じて、当事者 が営業マンで行けばいいんです。例えば、私が昼間、家にいますと、昼間かかってくる 電話はアポインターさんか、あとはオレオレ詐欺の電話か。そういうところで私は聞き ます。かつて私、スウェーデン系のアポインターをやっていましたけれども、おたくは 時給幾ら、場所はどこ、場合によっては私、働きに行きたいわ、そういうようなやり方 はいっぱいあると思うんです。  精神のことに関すると、家族も関係者も、まるで銭形平次の八っつぁんのごとく、大 変だ、大変だ、親分と、そういう感じなんだけれども、大変だ、大変だと聞いていれば、 地域を幾ら開拓しても、精神障害者は大変な人と思ってしまう先入観を持たれるんです。  今、世の中全体的にマスコミにあおられてしまって、大変な社会に思わされて、不満、 不安だらけの社会の中で、どうして精神だけそんな大変、大変と言うのか。私はいろん なところに行っていますけれども、夜の8時ごろ、私が相談活動に行こうかなと思って いるときに、社会資源は明かりが消えています。そういうときに、営業に行っているの かなと思いますけれども、是非是非、これをやるんだったら、もっと力量をつけて、大 塚さんはにこにこしていないで、なぜ方向転換したかカミングアウトして、それで、そ ういうふうな、足元がしっかりしていない中で、職域だか何だかよくわからないけれど も、いっぱい広げてしまって、精神障害者の運命をそんなに勝手にやって、だれがどう 責任取るのということです。  それと、私、タクシーの運転手さんに言ったんです。一昨日でしたか、野崎さんから 説明受けて、「仕事を誠実にやるというのを法律に盛り込むらしいわよ」と言ったら、 「タクシーだって誠実ですよ」と言われて、確かに誠実でない人と向き合う仕事なんか ないわね、「わざわざそんな法律に盛り込むんですか」という話題になったぐらいです から、これだけの方たちがやっているなら、もっとちゃんと中身にしていただきたいと いうことで、これが法律がどうなるかということについては、私は職能団体ではないか らわかりません。わからないけれども、こんな形の内容で変わることは、10年前、多く の関係者に、それから仲間に反対するように説得されて、それでも精神障害者の福祉が これだけ遅れていて、社会的入院があるんだから、生命を賭けて応援すると言った私か ら見て、これではとても納得できません。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  これについては、今、いろいろいただいた御意見をまたフィードバックをしていただ くことにしまして、更に今後も議論の機会はあると思います。 ○広田構成員  それと、私、いろんな学校へ伺って話を聞いていると、研修先を毎年同じところへ行 くんです。それはだめで、それでは顔合わせみたいなものだから、そうではなくて、満 遍なく、いろんなところへ行く。そういうことがお互いに大事だと思います。なれあい ではなくて。 ○樋口座長  ありがとうございました。  発言ありますか。 ○大塚構成員  済みません。2回も方針の転向のことを言われたので、議事録にそれだけが残るのは 悔しいので、発言させてください。  医療観察法の賛成に回っているということではなくて、矛盾を引き受けながら、みん な現場の中で頑張っているんだと思います。私もその一員のつもりでおります。  それと、足元の役割の社会的入院の解消もできないのにと言われるのは、本当にその とおりだと悔しく思っています。連帯責任ぐらいのつもりでおりますが、一方で、長野 先生おっしゃってくださったように、いろんな領域に先輩たちが行き始めています。そ れは実績を評価されて新たな領域に行っているんです。でも、その制度的裏づけが弱い ことも事実なんです。だから、そこは、法的裏づけ、制度的裏づけをつけないと、切り 開いた先輩たちの後ろにだれも続かないということになるのは問題だと思って拡大の話 をしていますので、大変ですけれども、そこはますます叱咤激励をいただいて、よろし くお願いしたいと思います。 ○樋口座長  どうもありがとうございました。  それでは、予定を少し延長させていただきまして御議論いただきました。これで本日 の討議は終了させていただきます。  あとは事務局の方から、今後の予定等についてお願いいたします。 ○林課長補佐  どうもありがとうございました。  次回第13回は11月7日金曜日午後1時から2時間ないし2時間半の予定で、場所は 専用第18会議室でございます。議題は調整中でございますけれども、障害者自立支援法 の3年後の見直しに向けた本検討会としての意見についても御議論いただくことを予定 しております。場所が本日と異なりまして厚生労働省の専用第18会議室でございますの で、御留意をお願いいたします。  なお、先日、皆様方に出欠の御確認をさせていただいておりますが、まだ御回答いた だいていない方におかれましては、御返事をいただきますようお願いいたします。  以上です。 ○樋口座長  遅くまでどうもありがとうございました。これで終了といたします。 【照会先】  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部  精神・障害保健課企画法令係  電話:03-5253-1111(内線3055、2297)