08/04/09 第3回私のしごと館のあり方検討会議事録 第3回私のしごと館のあり方検討会                     日時 平成20年4月9日(水)                        15:00〜                     場所 中央合同庁舎第7号館13階                        共用第1特別会議室 ○座長(加藤) ただいまから「私のしごと館のあり方検討会」を始めさせていただきます。本 日は大変お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。  今日は宮本委員と加藤裕次委員から、ご欠席の連絡をいただいております。ご都合により第1 回、第2回検討会に欠席されていた森永委員は、後でお見えになる予定です。  この検討会も、今回で3回目となりました。この間、各委員にはお忙しい中、時間を割いて、 「私のしごと館」をご視察いただきまして、ありがとうございました。また、一部の委員には、 「キッザニア」もご視察いただきました。一部の委員で、まだ「私のしごと館」をご覧になって おられない方も、これからでも結構ですので、事務局にご連絡いただき、是非ご視察いただくよ うにお願いしたいと思います。  本日の議題は、「民間委託の視点・考え方について」です。事務局から資料のご説明をお願い いたします。 ○職業能力開発局育成支援課長 お手元の資料として、資料1と資料2を用意しております。資料 1は、3月27日に開催された第2回検討会における主なご意見を取りまとめたものです。前回の第2 回検討会においては、民間委託の視点・考え方についてご議論いただきました。特に民間事業者 の裁量の範囲、収支、委託期間、関係機関のバックアップといった4つの論点を中心に、ご議論 いただいたところです。  そこで、本日は前回のご議論を踏まえて、民間委託の視点・考え方についての取りまとめをお 願いしたいと考えております。そのための資料として、資料2を用意いたしましたので、そちら をご覧ください。  まず最初に、第2回検討会で議論の整理を行いましたので、それを1、2頁で改めてご紹介して おります。2頁に書いておりますとおり、「今後の検討課題」として、「当面の検討課題」と 「委託後の検討課題」があるというように整理しました。その上で、3頁以降にありますとお り、民間委託の際の民間事業者の裁量の範囲、収支、委託期間、さらに関係機関によるバックア ップといった4つの論点を中心として、「民間委託の視点・考え方」について、ご議論いただい たところです。  4頁以降で、それぞれの論点についての議論の整理をご紹介しています。いま申しました4つの 大きな論点があるわけですが、その中の最初の論点として、「民間事業者の裁量の範囲」という 論点があります。(1)の「論点」でご紹介しておりますとおり、第2回検討会においては、職業 キャリア教育施策といった政策的な視点、あるいは収支改善といった視点から、民間事業者の裁 量の範囲をどのように考えるべきかといった点について、ご議論いただいたところです。それに ついては、5頁の(2)でご紹介しておりますようなご意見を頂戴いたしました。 ○座長 森永委員がお見えになりました。第1回、第2回の検討会に欠席されていた委員で、獨協 大学経済学部教授の森永卓郎委員が今日はご出席ですので、ご紹介申し上げます。 ○森永委員 森永でございます。よろしくお願いします。本日は遅れまして申し訳ございませ ん。 ○座長 今ちょうど始まったところですから、もう1回最初に戻って説明してください。 ○職業能力開発局育成支援課長 はい。資料1と資料2を用意しております。資料1は前回のご意 見をまとめたものですので、紹介は省略いたします。資料2が、「民間委託の視点・考え方につ いて」というもので、本日はこれを取りまとめていただきたいということでご用意した資料で す。1頁、2頁は前回の議論の整理についてご紹介しております。3頁は民間委託の視点・考え方 ということで、裁量の範囲等々の論点について、前回議論を行ったということをご紹介しており ます。  4頁以降が、各論点の議論の内容のご紹介です。4頁でご紹介しておりますのは、(1)に「論 点」と書いておりますとおり、前回、政策的な視点あるいは収支改善の視点といった観点から、 どのように考えるべきか、民間事業者の裁量の範囲について、どのように考えるべきかといった ご議論をいただき、5頁の(2)でご紹介しているようなご意見を、前回頂戴したところです。  そこで本日ご議論いただきたいのは、(3)の「方向性」です。前回までのご議論を踏まえて 整理したところですが、(1)にありますとおり、職業キャリア教育の中核をなす職業体験事業につ いては必須とする一方、民間事業者の創意工夫に委ねる観点から、それ以外の事業については、 広範な裁量に委ねてはどうかという点があります。  ただし、政策として行う以上は、一定の留意すべき点があるのではないかということで、それ が(2)にあります。(2)の(イ)では、事業全体について、主として中・高生を対象とし、学校等に おける職業キャリア教育とあいまって、若年者の職業意識形成に効果的なものとする、(ロ)で は、対象者の発達段階に応じた職業意識形成に資するものとする、といった点を留意すべきでは ないかといったことを書いております。  そこで(3)ですが、民間事業者の裁量に委ねると申しましても、それだけで何の方向性も示さな いということになりますと、おそらく民間事業者側も困りますので、どういった点について創意 工夫を期待するかといったことを、ポイントとして示してはどうかということです。ポイントの 例としては、提供するサービスの内容が、対象者の発達段階に応じた効果的なものとなるような 創意工夫ができているか、将来の職業選択や学部・学科選択に資するよう創意工夫ができている か、さらに6頁にありますように、職種の設定に当たっては、近年の労働市場の動向を捉えるよ う創意工夫ができているか、あるいは関係機関との連携といったことによって、職業体験の事前 ・事後学習といったことも含めて、効果的なサービスとなるような創意工夫ができているかとい った点を示しております。こういった点について本日、ご議論いただきたいと考えております。  引き続き7頁です。2つ目の論点として、「収支」の問題があります。7頁の(1)の「論点」に お示ししたように、前回は4つの案をお示ししてご議論を頂戴いたしました。ここにありますよ うに、アクションプランの目標を前提とする考え、博物館等の収支率を目標とする考え、博物館 等の収支率を最低限とし、さらに大幅な収支改善を図ることを目標とする考え、収支均衡を図る ことを目標とする考えがあるのではないかということをお示しした上で、民間事業者に期待すべ き創意工夫のポイントとして、どのようなことが考えられるのかといった点についても、前回ご 議論をいただき、8頁の(2)にあるような意見を頂戴しました。  それを踏まえて、本日ご議論いただきたいのは、(3)の「方向性」です。(1)にありますよう に、職業キャリア教育施策の中心となる職業体験事業自体、やはりコストのかかる事業ですの で、それ自体の大幅な収支改善というのは、なかなか難しい点があります。そこで、特に企業等 からの収入を中心に、民間事業者の創意工夫による収入確保に重点を置いてはどうかということ です。  その際の具体的な創意工夫のポイントとして、(2)にお示ししているような、企業からの広告収 入、企業ブースやテナントの設置、企業の人材確保・育成施設としての活用、支出削減を含めた 効率化等々を示してはどうかということです。  その上で(3)にありますとおり、収支のあるべき目標について、どのように考えるのが妥当かと いう点があります。すなわち、収支均衡を目指すべきか、現状に比べての大幅な改善を目指すべ きかです。仮に後者だとした場合にあっても、大幅な改善というものを具体的にどの程度と考え るべきかといった点について、ご議論いただきたいと思っております。例えばということで、博 物館等は収支率が大体2割となっておりますので、そういった水準が適当なのか、収支均衡とい うことになれば10割となりますので、そういうものが適当なのか、あるいは、その間を取って5 割が適当なのか、そういった点についてもご議論いただければと思っております。また、民間企 業の創意工夫を引き出すためには、やはりインセンティブが必要でしょうから、例えば、収入が 一定の水準を上回った場合、そのうち半分程度は民間事業者にお支払いするといったことが考え られないのかという点があります。こういった点についてもご議論いただければと思っておりま す。  次に3つ目の論点として、「委託期間」の問題があります。10頁から11頁に紹介しております とおり、委託期間については前回、5つの案をお示しいたしました。具体的には11頁にご紹介し ておりますが、いちばん短くて6カ月、長くて2年9カ月ということで、5つの案をお示ししてご議 論いただいたところです。これについては11頁の(2)にありますとおり、委託期間が半年とい うのは、設備投資の回収からもあり得ないというのが、多数の委員からのご意見だったと考えて おります。本来、3年は必要だといったご意見が大半でした。  それを踏まえて、本日ご議論いただきたいのが、(3)の「方向性」です。ここに書いてあり ますとおり、民間事業者の創意工夫を活かしてサービスの質の維持向上及び経費削減を実現する ためには、民間事業者が経験を蓄積・分析し、軌道修正のプロセスを踏んだり、設備やスキル構 築への投資ができるような期間が必要ではないか、委託に当たっても、そのために必要な一定の 期間を与える必要があるのではないかと。検討会においても、こうした点を考慮し、3年以上の 期間を設定すべきという意見が大半でした。民間受託者が実際に手を挙げる条件としても、こう した点を考慮する必要があるのではないかということです。  ただ一方で、できるだけ早期に検討を行い、結論を得るという行政改革上の要請があります。 委託期間の設定に当たっても、こうした必要性に十分留意する必要があるのではないかと。こう いった点を踏まえて、妥当な委託期間としてどの程度のものを考えるべきかということについ て、ご議論いただきたいと考えております。  4つ目の論点としては、「関係機関等によるバックアップ」の問題です。バックアップについ ては、13頁の(1)でご紹介しておりますとおり、前回の検討会においては、現状のバックアッ プをご紹介いたしました。厚生労働省の取組み、雇用・能力開発機構の取組み、さらには経済団 体や教育関係などの取組みをご紹介し、ご議論いただいたところです。それについては、(2) でご紹介しているようなご意見をいただいたところです。  そこで本日ご議論いただきたいのが、(3)の「方向性」です。14頁ですが、包括的民間委託 に移行した後も、しごと館事業が厚生労働省の施策に基づく事業であることは変わりはないわけ です。そこで、従来から行ってきた厚生労働省、雇用・能力開発機構、関係団体等によるバック アップについては、継続する必要があるのではないかということです。  厚生労働省が行ってきた取組みというのは、文部科学省と連携して教育委員会などに対して、 私のしごと館の利用についての周知をする、あるいは働きかけをするといった取組みです。雇用 ・能力開発機構においても、全国に都道府県センターというのがありますので、そちらで未利用 校に対する利用の働きかけ、事前学習、アフターフォローをやっております。民間委託に移行し た後もこういったバックアップに、取り組むべきではないかということです。  特に、運営を民間の個別企業が行うことになってからも、バックアップ機能を充実するための 工夫が必要ではないかと。例えば、企業が広告、ブース、テナントを出すなど、しごと館を積極 的に活用するような方策を考えてはどうか、特に関西地域の雰囲気作りのために、関西の経済団 体との意見交換をしてはどうか、若者支援を行うNPO等との連携も考えてはどうかといった点 を、例としてお示ししております。こういった点について、本日ご議論いただければと思ってお ります。  15頁以降に書いてあるのが、以上、4つの論点ということでご紹介したことを踏まえて、「目 標設定と評価」について、どのようにすべきかという点です。目標については15頁の(3)の 「方向性」に書いてありますように、おそらく収支のあり方及び職業キャリア教育としての政策 効果という2つの問題があるでしょう。そのうち、収支については、先ほどお示しした方向があ りますので、そちらに従うということでよいのではないかということです。  職業キャリア教育としての政策効果という点については、従来は利用者数などの客観的な指標 を用いて判断を行ってきたところです。基本的には、こういった指標を目安とすることでよいか という点があります。ただ、一方で、職業キャリア教育の専門家による評価というのが、やはり 重要ですので、少なくとも教員の反応を把握し、高い評価が得られているかどうかということを 目標にしてはどうか、ということを整理しております。  一方、評価についてですが、一般的評価としては、設定した目標を達成できたかどうかをベー スに評価することが中心になります。しかし、結果というものだけに着目するのではなくて、目 標達成のための問題点の把握、あるいは工夫・対応といったプロセスを把握して評価することが 重要ではないだろうかということです。特に、職業キャリア教育ということになりますと、その 効果は外見上、明確な形で現れるとは限りません。また、時間的にもすぐに現れるとは限らない というところがあります。利用者数などの指標を把握するだけではなくて、教育効果を高めるた めの受託者側のソフト面での工夫について、職業キャリア教育の専門家による評価を行うなど、 総合的に評価することが重要ではないかとしております。その例としては、サービス内容が、対 象者の発達段階に応じた効果的なものとなっているか、といった点について着目すべきではない かということを整理しております。  最後に、17頁が「当面の評価」です。本年末までに評価を行うことになっております。その段 階における評価をどうすべきかという点ですが、本年末の取りまとめの時点では、円滑に業務の 引継ぎを行い、業務に支障が生じていないだろうか、収支改善、職業キャリア教育としての効果 といったいろいろな課題があります。そういった課題に向けての分析や検討を行っているか、あ るいは行おうとしているかといった点を見て、委託期間終了時の目標を展望した着実な努力を行 っていると言えるかどうかということをチェックし、その結果をもとに存廃を含めたあり方検討 を行ってはどうかと整理をいたしました。こういった点について、本日ご議論いただければと思 っております。 ○座長 今日は最終的に民間委託の視点なり考え方について、1つの方向性をまとめたいと思っ ております。いま説明のあった視点の1から4まで、さらに5の評価の問題を含めて、お互いに関 連がありますから、それぞれの委員の皆さんはご自由に、どこの切り口からでも結構ですので、 ご発言いただいて一通りご意見を承って、少し討議を深めたいと思います。よろしくお願いいた します。どなたからでも結構です。お願いいたします。 ○石原委員 ここへ参ります前に、第1回と第2回にいただいた資料をもう1回読ませていただい て、数字が持っている意味などを、もう一度考えさせてもらいました。委託に対する考え方とし て、収支の改善も図りつつ、キャリア教育も実現するということで、私は2つのことを指摘させ ていただきたいと思っています。1つ目は、入場料や体験料の単価を、おそらく見直す必要があ るでしょう。それは雇用・能力開発機構が、採算を考えずに設定しておられた単価をスタートと して今に至るという経緯から、体験料の見直しは考えざるを得ません。それと「方向性」に、 「主として中学生・高校生を対象とし」とありますが、対象自体も中学生・高校生だけではなく て、小学校の利用もある程度あるわけですから、小学生もキャリア教育の対象として含めても、 問題はないのではないかと思います。この2点を指摘させていただきます。  それは趣旨を考えた場合に、例えば入場者数に占める団体の比率を計算してみればわかりま す。ここ数年間、中学生や高校生の全体の入場者数に占める団体、すなわち修学旅行や社会科見 学といった学校関係での利用の割合が、実に98%です。それに対して小学校は大体50%です。こ れから民間がこの趣旨を改善していこうと考えるときに、中学校さらに高校の団体利用率が98% ということは、ある意味、頭打ちではないかと思われます。もしも小学校や小学生の利用のニー ズがあって、民間の事業者がそちらのほうに注力したいというアイディアを出してきたのであれ ば、それを「主として中学生・高校生を対象として」という文言で弾いてしまうことのないよう な委託のあり方も、一つあるのではないかと思います。  それと、体験料や入場料を見直すということですが、あまり高すぎると教育機会の均等という ところから、非常に問題があるだろうという委員のご発言もあります。ただ、現状の入場料・体 験料は、平均で見ますと200何十円という金額です。これを需要と供給の関係から価格設定して いくことが、是非とも必要になるのだろうと思われます。そのときに誰が入場料の単価を決める のか。それは委託されている民間事業者が、彼らのマーケティングセンスで決めることができる のか、それとも雇用・能力開発機構が決めるのか。この価格決定権についても、ある程度民間事 業者の裁量に任せられる方法を採るというのが、あり方の一つではないかと思います。私からの 提案としては、職業キャリア教育という観点から、ある程度の価格帯を持って、この価格帯であ れば民間事業者が価格を決定してもいいというようなやり方も、是非考えていただきたいと思い ます。  最後に、キッザニアを見学させていただき、1つ感じたことがあります。私も先入観で、キッ ザニアというのは遊びの場、子どもたちのエンターテインメントの場で、東京ディズニーランド に近いものかというように見ていました。しかしお話を聞いてみると、なんと20%が小学校の社 会科見学で利用されているということでした。街で見る風景と同じように、実際の企業が看板な どを出しているのです。それは小学校の低学年などにとってみれば、一種のリアリティーだとい うお話を聞いて、なるほどと思いました。私のしごと館の中に入っている体験クラスは、まさに 本物志向で、本物のインストラクターが教えてくださるということで、リアリティーを持つ職場 体験の場ですが、現状はどうかというと、中学生や高校生にリアリティーを感じ取ってもらえて いるのかどうか。反対に、作り物であるキッザニアが、そういった形でリアリティーを追求して いるというのは、ある意味、ちょっと皮肉な結果になっているのではないかと思います。  主として中学生・高校生としたときに、中学生や高校生が満足するようなリアリティーを追求 しようと思えば、莫大なコストがかかることは、想像すればすぐに分かることだと思います。お そらく今と変わらず、中学生がメインになると思いますが、小学生、小学校のキャリア教育、社 会科見学の場としても、しごと館のあり方というのは有意義ではないでしょうか。そういうよう に見直す民間事業者が出てきたときには、それはそれで了承できるような委託のあり方というの を、是非考えていただければと思います。 ○座長 民間委託をするに当たっての価格の問題と対象の問題については、事務局ではどういう ようにお考えになりますか。その辺まで自由にしていいのか、そこについてはある程度の制限を 付けるのか。 ○職業能力開発局育成支援課長 価格の設定の裁量について、いま考えておりますのは、委託の 中では、基本的には受託者側に価格を決定する権限があります。ただ、事前に雇用・能力開発機 構に報告するということを想定しております。その際、あまりにも値段が高くなれば、当然、雇 用・能力開発機構のほうから指示なりをするということになろうかと思っております。  一方、対象者についてのご指摘ですが、「主として中・高生を」というように書いてあって も、現在、小学校も多数利用しているというのはご指摘のとおりです。やはり中・高生を対象と したものについては、きちんとやっていただきたいということで、決して小学生を対象としたキ ャリア教育を排除するという趣旨ではありません。 ○吉永委員 前回は欠席させていただいたのですが、こうやって2回見ていくと、だんだん幅が 狭まってくるというか、裁量の部分が明確に小さくなっていくような印象を若干受けています。 やはり民間に委託するということは、基本的に委託するわけですから、裁量の余地は最大限に確 保するべきだと私は考えています。立地面あるいは建物の構造といった面でも、最初から自由度 がなくなっている中で、しかも短期でいろいろなことをしなければいけないということを考えた 場合は、できるだけ自由に考えていることを発揮できる土壌を確保することが、いちばん大事な 条件ではないかと思うのです。  今回も、「例えば、民間事業者の裁量の範囲は広くするが、提供するサービスの内容につい て、一定のガイドラインや参考例等を示すことが」というこの示し方が、裁量の幅を必ず狭める ような方向性に作用しないかどうかということを、いちばん懸念するのです。ガイドラインがあ れば、大体ガイドラインに沿うしかなくなってしまいます。そんなに外れてはまずいなというの は、すなわち裁量の度合を狭めることになりはしないかということを非常に恐れます。ですか ら、広くするということでいいのではないかと思います。そして外れてはいけない部分だけを書 き込めば、それで十分ではないかと思います。  もう1つは、人の幅です。「中学生・高校生を主に」と言ったら、もうそこがほぼストライク ゾーンになってしまいます。例えば、小学生のほうに広げる方向性もあるかと思いますが、中学 生や高校生だけではなくて、現在は大学生においても就労のモチベーションは、ほとんどなくな ってしまっているような状況で、それが、その先、30代近くになってもフリーターになっている 人たちが大変多く、これが行政を青ざめさせるほどに大きくなっているということも考えると、 小学生のほうに広げる、あるいは再チャレンジなり生涯学習といった観点まで広げていくという 広げ方も可能です。しかし、それは「広げなさい」と言うことではなくて、それをそういうよう に広げて、こういう計画を練ってきたといったときに、それをOKする裁量の余地を持っていると いうことがいいのではないでしょうか。何か言い出すと、そこがストライクゾーンという設定に なってしまう傾向があるのではないかと思います。  バックアップも、確かに必要だと思います。ただ、バックアップも難しい。いろいろな所がバ ックアップをするというと、バックアップをする条件みたいな、バックアップをするためにとい うところから、干渉や口出しとか、こういう条件を満たしていないからバックアップしないと か、そういうことになる危険性も考えておかなければいけないような気がします。それはやはり 言葉ではならないけれども、気持的にはものすごく、これを使って自由に新しいことをしようと する者に対する抑制、規制になる危険性もあるのではないかと思います。  それと、目的をきちんと示せば、民間は、最初のようにどんな収支計画だったか、採算度外視 などということはないと思います。民間企業である限り、必ず頭のどこかで収支を考えています し、将来的には、慈善事業ではなく、この中できちんとした収支を考えます。それは普通、目的 達成とイコールになるはずなのです。ですからバックアップというのも、求められたバックアッ プは精一杯するとか、そういう形の提示の仕方を是非していただきたいと思います。 ○森永委員 前回2回欠席したのですが、一応読んできました。私も先日、私のしごと館に行っ てきました。確かに採算度外視でつくったというのは明らかです。前回あるいは前々回の皆さん のご意見と同じで、職業体験の部分というのは、集客もちゃんとできているし、中身もきちんと やっているので、そこの部分はいいと思うのです。ただ、天井が17mあったり、利用度の非常に 低いものもあります。例えば諏訪先生や佐藤弘樹先生が出てきて高邁な理論を言っても、子ども たちが見るはずがないわけです。そういうものをコンパクトに縮めていけばと思います。  正確に計算したわけではないのですが、私の感じだと、同じ機能をきっちり詰めて配置すれ ば、たぶん半分は空くと思います。そして残った半分を、自由にさせてやるから、いまの機能を いくらでやるかという形での入札をさせるのが、私はいちばんいいと思うのです。何割公費負担 にするかというのを先に決めても、何の意味もないのです。そんなことは、やってみないと分か らないわけですから。逆に言うと、これでいくらで受けてくれますか、あるいはいくら払います かというところまでいけば、負担はゼロになります。それはもうマーケットで決めればいい話 で、こういう所で議論をしても、何の意味もないと思います。  ただ、できるだけコンパクトにいまの機能を集約して、スペースを渡す。そして、その中では 何をやってもいいというのが、いちばんいいと思うのです。そういうことを考えたときに、実際 のビジネスとして出てくるのは、皆さんもおっしゃっていた企業ブースとか、企業の教育訓練施 設として宿泊部分を造って、教育研修センターみたいな事業をやるというのが、たぶん、いちば ん効果的だと思うのです。しかし、そういう事業をやるときには設備投資が要ります。ここに 「何年でするか」と書いてあるのですが、私が事業者の立場だったら、2年や3年で設備投資など するはずがない。最低でも10年間ぐらいなかったら、採算など取れるはずがないのです。  私は、議論がすごく変なところに行っているのはなぜなのかと思ったのですが、いちばんいけ ないのは、独立行政法人整理合理化計画が、存廃を含め、1年以内にそのあり方について検討を 行うという足枷を付けてしまっているために、期間の自由度が全くなくなっていることです。私 は、最終的には議長一任に応じますが、少なくとも報告書の中には、最も効率を害しているの は、この独立行政法人整理合理化計画そのもので、これが間違っているというのを、是非入れて ほしいのです。ビジネスセンスのない政治家や大臣が拙速に、訳もわからずに焦ってこういう馬 鹿な計画を作ったから、本当に国民負担を減らそうという議論が大きく阻害されているというこ とが、全く世の中に出ていないのです。私が主張したいのは、とにかくこれをまず直してくれと いうことです。そうしないと、本当に国民負担を減らしながら、効率的な教育研修事業を国とし てやることはできないということを、是非言ってほしいと思います。 ○座長 いまのご発言は、しっかりと記録しておきましょう。ほかにいかがですか。 ○工藤委員 私は、なるべく個人の負担を下げてほしいという意見で、ずっとやってきました。 これまで収支均衡の中で、私のしごと館の収支均衡の話が大きすぎたのではないかと思います。 これを2つぐらいに分けてもいいのではないか。職業体験をベースにした私のしごと館事業の中 に、本来事業の部分を1つ作り、もう1つは収益事業を作るということで、考え方を2つに分け る。本来事業というのは、これまでの中でどれぐらい赤を減らすかという部分があると思います し、収益事業の中では、どれぐらい儲けてもいいのではないかというところで、全体を統合する 前に2つに分けると。  特に公的な性格もありますので、本来事業の公的な部分というのは、どうしてもお金がかかっ てしまったり、将来の投資だと思います。ただ、収益も上げなければ均衡は難しいので、収益の 最後の目標なり成果などを評価するときに、本来事業と収益部分をきっちり分ける。先ほど森永 委員が言われたように、凝縮するところはするけれども、ここだけは必ずやってください、それ が本来事業ですよ、それ以外は自由だと。それは収益事業として計上して、両方の軸からの収支 目標というのを最後に立てるのがいいのではないかと、民間事業をやっている者として思いまし た。  もう1つは、PRの部分です。中学校・高校の団体がほとんどの場合、おそらくPRは先生にすれ ば終わりだと思います。広くPRをしても、小学校、中学校、高校のときに修学旅行先を自分で選 んだ記憶がありませんから。そうしたら、それは先生へのPRだろうと思います。そういう意味で PRの工夫というのは、先生以外の人たち、誰に対してどういうようにやっていくのかということ です。1つは、若い人なり保護者に対する直接的なPRというのが大事だと思います。もう1つは、 若い人に接する機会のある人に対する間接的なPRです。こういうように2つに分けて何か提案が 出てくると、PRという漠然としたものではなくて、もう少し詳細の詰まった提案書になるのでは ないかと思います。ですから中・高生を対象としたときは、基本的に先生が決めるものだという ことを意識して、PRの工夫をやったほうがいいのではないかと思いました。 ○座長 いまのお話で、そんなに具体的でなくてもいいのですが、今おっしゃった本来事業と収 益事業ということで整理をすると、例えばしごと館でやっていることは、どんなイメージで考え たらいいですか。 ○工藤委員 職業体験だけは残したいということだったと思いますが、もしかしたら企業の裁量 の中で、「職業体験は儲からないからやりたくない」と言うかもしれません。裁量は本当に広い ほうがいいと思います。ただ、国の機関としてやらなければならない部分まで収支均衡を求めて しまうと、事業者が出てこない可能性もかなりあります。そこは本来事業という位置づけにす る。全部赤でいいとは思いませんが、赤を比較的削る作業をする。それ以外の裁量の部分では、 どういう形でもいいので収益を上げてください、という考え方がいいのではないかと思います。  もともとNPOは、そういうやり方をしています。社会的な課題を解決するには、黒がいいので すが、赤でもやります。しかし一方で、それを支えるための収益は絶対に上げなければいけな い。そこで均衡を図っています。そういう意味で、公的な性格と企業的な収益部分を求めるので あれば、両軸でバランスを取っていくような方向性をあらかじめ出しておかないと、やる企業の ほうもなかなか難しい状況に陥ってしまうのではないかと思いました。 ○座長 あまり「公的、公的」と言うと、先ほど吉永委員がおっしゃったように、あらかじめス トライクゾーンを決めて、そこに投げなさいという話だけになってしまう可能性もあるので、そ この取扱いは、これからもう少し検討を深める必要があるかもしれません。 ○鹿嶋委員 前回休んだのと、まだ私はしごと館に行っていないので、あまり偉そうなことは言 えないのですが、関西の何人かの大学の先生に聞いたところ、見直しをするとすれば、場所の問 題を言っていました。本来なら場所を含めて見直しをするのでしょうけれど、今その議論は出て いませんので、中身や価格などでしょう。  私が1つ気になっているのは、いわゆる民間に委ねた場合の期間の問題等々です。指定管理者 制度の例示として、博物館というのが書いてあります。しかし、従来パブリックサービスをして いた所が、指定管理者制度などを導入して何が問題になっているかというと、やはり専門性の喪 失です。5頁を見ますと、方向性としては「民間事業者の創意工夫に委ねる観点」ということを 強調してありますが、この「民間事業者の創意工夫」というのは、収支バランスを取るための創 意工夫だとすれば、結局は人件費の圧縮等々です。ただ、しごと館を見ますと、人件費はごく一 部でしたね。事業運営費の交付金がいちばん多かったわけです。そこは民間に委ねれば、たぶん 事業縮小ということでやる。  もう1つは、その中で中心になるのがキャリア教育だろうと見ていたのですが、民間に委ねた 場合に、果たして専門性が保てるかどうかということです。先ほどちょっと聞いたら、手を挙げ てきた事業者が、もういくつかあるのですね。もし差し支えなければ、どういう事業者か教えて いただきたいのです。手を挙げる事業者というのは、たぶんCSRのような観点から手を挙げる事 業者も多いと思うのです。ある程度の収支が取れないのは覚悟で、社会的な意義づけの上で企業 が手を挙げるというケースがあると思うのです。しかし、その中でもある程度の期間を与えてあ げない限り、やはり安く人を使って、安手のサービスにしてしまいかねません。そうなってきま すと、何のためのしごと館なのか、どういう位置づけなのかといった、本来の意義さえ薄れてし まうのではないかという感じがするのです。  今日の議論の1つに入っている、どの程度の期間で委託期間を設定すべきかというのは、私 は、最低でも5年ぐらいだと思います。いま指定管理者制度では、大体3年というのがかなり多い ようですが、少なくとも博物館や美術館等々の指定管理者制度は、私は破綻していると思ってい ます。ですから、やはり5年ぐらいは必要だろうと考えています。  それから中身、ソフトのほうをどういうように引き出してもらうのかという点については、何 らかの専門家を集めてバックアップをする体制も、当初は必要になるのだろうということを考え て、いま話を聞いておりました。  いずれにしても私のしごと館というのは、修学旅行か何かに行って、例えば四国何カ所巡り で、スタンプを押してもらうようなものです。向こうに行って、ちょっと行ってきましたという スタンプを押してもらう程度のものでしかないような認識なのです。果たしてそれが本当に、 「キャリア教育」といった立派な言葉で括れるようなことを、今までしてきたのかどうか。仮 に、あまりそういうウエートづけもなされずに館の運営がなされてきたとしたら、民営化するこ とによって、さらにそれが助長されはしないかといった危惧があります。その辺りは委託期間や 専門性をどういうように確保していくかということも含めて、収支と同じような観点で、そちら の重要性も是非議論していただきたいと思っています。 ○座長 専門性について、事務局でいまお考えになっていることはありますか。 ○大臣官房審議官 この事業をやっていただくポイントの1つは、繰り返し議論がありますよう に、収支の問題です。もう1つは、やはり政策効果というところです。非常に難しい問題は、裁 量を広く取ることが重要であるのはもちろんですが、他方で、どのように評価していくかという 視点も、また必要だろうと思います。仮に今年末とか、委託期間終了時の評価というようになっ た場合、どのような評価がなされるのかがあらかじめ分かっていないと、民間事業者のほうも幅 広い裁量がありながら、どうやっていいかが分からないということがあるわけです。  この事業自体、一種の職業キャリア教育ということでの包括的委託ですので、収支とともに政 策効果というのを、当然見なければいけません。そういう視点で5頁と、16頁の下に書いている 評価の例として、「サービスの内容が、対象者の発達段階に応じた効果的なものとなるよう創意 工夫ができているか、サービスの内容が、将来の職業選択や学部・学科選択に資するよう創意工 夫ができているか、職業体験職種の設定に当たっては、市場動向を捉えるよう創意工夫ができて いるか」というところで、一応政策的な面からの専門性を見るという評価を入れているわけで す。  ただ、こういうことをやっていくと、吉永委員が言われたように、幅広い裁量ということとは 矛盾してくる面があります。幅広い裁量ということと、どのように評価するかということ、評価 というのは、当然収支だけではなく、政策効果の評価でもありますから、鹿嶋委員がおっしゃっ たような専門性という点を、どのように評価に入れていくか、ここら辺のバランスをどうするか ということになってくると思うのです。そこら辺をご議論いただいて、また、それを踏まえてと いうことにさせていただきたいと思います。 ○座長 いかがでしょう。 ○山口委員 私もいままでの資料を再度見て、今日の各委員のご発言も聞いて、どうしてもまだ 腑に落ちていないのです。今ふっと考えたのが、工藤委員からは、本来事業と収益事業という区 分けが出てまいりましたし、森永委員からは、お金を出してもらってもというお話もありました が、まさにそこのところなのです。入札をして包括委託をするというところです。本来、この仕 事をいくらでやってくださいという論理になりますから、枠がある程度固まっています。そうす ると受けた民間のほうは、もらえるお金の中で収支を合わせようとしますから、鹿嶋委員がおっ しゃったように、コストを削減して、あまりよくない形に持っていってしまう。  本来、民間の創意工夫を活かすような形の委託というのは、そういうものではないのではない かと思います。森永委員がおっしゃったように、空いたスペースで思い切ったことをやってもら うのだったら、逆に受ける企業側に金を払ってでもやってもらい、そこで収益を上げてもらう。 これが工藤委員がおっしゃった本来事業なのです。いわゆる本来事業のところというのは、いく らでやってほしいという委託が該当するのかもしれません。それ以外の創意工夫の部分は、逆に 受ける側の企業が、こういうことをやります、それで儲かったら、自分たちがいくら取っていく らお返ししますという、その辺の自由性の両方が、全然違うのではないかという気がします。裁 量範囲を広く取って、しかも皆さんがおっしゃっている職業体験のところはきちんとやって、そ れが少しでも収益がよくなるような方向にいってほしいということで、民間に委託するのであれ ば、その辺でちょっと一工夫要るのではないかと思います。  それと同時に、委託期間というのは皆さんもおっしゃっているように、最低でも5年はない と、中長期の戦略的な手はきっと打てないだろうと思います。ただ、そうは言っても今年度に一 応の評価をしなければいけないということになってくると、受託していただける企業には、そう いう条件を踏まえた上で、どういう中期的なプランが出てくるか、それに向かってどう動いてい るか、そしてその実現可能性はどうかという点を、我々が年末に評価するというのが、いちばん 適しているのではないかと感じています。 ○牧野委員 少し論点を元に戻すような形ですが、森永委員や吉永委員がおっしゃっている話の 中で、私のしごと館の存在そのものが、国費の無駄遣いの象徴になってしまっているという状況 があります。この設備の廃止を含めた運用形態の変更と言いますか、民間委託だけが議論になっ て、これが独り歩きしているような感じに思うのです。廃止ありきという形で議論をしてしまう と、ちょっとおかしな具合になってしまうのではないかと思っております。  これを建設してしまった責任においても、もっと時間をかけて、いろいろな人に議論をしてい ただき、これをどういう形で運用するかということを議論する必要があります。ただ民間委託だ けに視点を置いて、それも年内で結論を出すというのは、ちょっと乱暴すぎると思うのです。  もともとこの施設は教育の一環という形で、日本のものづくりについて、もう少し若い人たち に興味を持ってもらうためのものでした。ものづくり立国というのが、日本の目指している大き なところだと思いますし、日本の教育をもう少しちゃんとやり直さなければいけないというの が、原点にあると思うのです。これも教育の一環とすれば、廃止の方向、あるいは無駄遣いの象 徴だけになってしまって、つぶしてしまえばいいじゃないかという議論では、ちょっと乱暴すぎ るのではないかと思っております。  開館されるに当たっては、随分長い間、基本計画を策定していただいていますし、開館される に当たっては、この基本をもう一度見直して、民間委託するにしても、せっかく施設を造ってし まったのだから、うまく運用できるような方法で考えるべきではないかと思うのです。  もう1点は、これは日本に1つしかないわけで、関西経済圏の中にあるわけです。京阪奈学研都 市の中の大きな施設の1つです。もちろん、しごと館だけで生きているわけではなくて、近隣に は国会図書館もありますし、松下さんもあります。そういう研究所が京阪奈学研都市を形成して いるわけですから、しごと館の位置づけも、全体の施設の1つという形で考えておかないと、京 阪奈そのものをつぶしてしまいかねません。いま京都商工会議所会頭の立石さんが関西文化学術 研究都市推進機構の理事長とけいはんなの社長になられて、京阪奈学研都市そのものの立直しを 図ろうということで頑張っていただいています。ですから、それも含めて議論をしないと、将来 に禍根を残すようなことになってしまうのではないかと思っております。できるならば関西経済 会、あるいは商工会議所も含めて、広い範囲での議論をやるべき問題ではないでしょうか。  いま私がそうだなと思ったのは、森永委員がおっしゃったことです。あれだけ広いわけですか ら、もう少し分割しながらやるということです。あの8万数千平米を一括して民間委託すると、 人数といい、考える人も、大掛かりにやらないと運営できないと思うのです。例えば、これを企 業の社員教育施設やフリーターやニートの職業訓練施設、学生や転職希望者の職業適性相談施設 というように少し分けて、4分割か3分割にしながら民間委託をすれば、非常にうまくいくのでは ないでしょうか。また、現状に更に投資をするというと問題があるかもしれませんが、折角広い 所ですし、地域が非常に不便だということは間違いなくあるわけですから、宿泊施設の完備も検 討して、社員教育等々もここでやれるようになれば、企業の利用価値も上がるでしょう。そし て、それらを通じて子どもたちにも十二分に、職業訓練施設のようなものも見せられます。そう いうことを考えてもいいのではないかと思います。  もう1点だけ。前回も言いましたが、6カ月だけ委託するというのは、我々民間であればとても 難しいでしょう。また、吉永委員もおっしゃっていたように、どういう範疇で民間に自由度を与 えるのか、施設を少し変更してもいいのか、施設を変更した場合、そのお金は民間が出すのか、 委託が終わったときに、それは国に寄付しなければいけないのか、あるいは買い取ってもらえる のかということも、現段階では何も分かりませんので、民間としては非常にやりにくいでしょ う。委託を受けても、今の場合だったら、範疇がよく分かりにくいと思います。 ○前島委員 委託期間もそうですが、本丸のキャリア教育を残すことは大事だというのは、前回 からも認識されています。ですから、そこの骨格をきちんと位置づけて、これだけはこうだと。 意義があるということですから、それをどれだけ上と下に広げられるかということだと思いま す。私は上も下も難しくて、やはり中学・高校生が対象で、2府2県ではなく、対象の生徒数をも う少し広く組み込む努力というのが。  先ほど、PRは教員というか、先生が中心だということでしたが、各県の教育委員会も含めて、 キャリア教育というのは教育の重点施策の中に必ず入れていますので、それを実際にどう展開す るのかと言えば、1つの方法として乗ってくる部分もあるだろうと思います。ですから、そこの ところはきちんと押さえて、そこだけは間違いなくやりますよと。  先ほど専門性の話がありましたが、キャリア教育に関しての専門的なものを持った人も、是非 入ってもらって、そこを中心にやると。それ以外は収支の問題があるので、収益を上げるいろい ろな事業を起こすのであれば、それはどうぞおやりください、そこにはあまり制限を設けなくて もいいだろうと。ですから極端な場合、3分の1か4分の1に縮小しても、そこのところだけは日本 のシンボルとしてしっかり残しておいて、いずれかの時代に、そういうキャリア教育の重要性が どんどん認識されれば、地方と言いますか、ほかにも広がっていくだろうと思います。前にもお 話した道州制になれば、それをきちんとやらない限り、将来的にニートやフリーターを減少させ る上では、学齢期と言いますか、大学中心の学校を、実際に社会に出る前の段階で、ここだけは やっておきたいと。  確かに前にも議論に出てきましたが、1時間、2時間の訓練や体験学習で、どれだけの効果があ るかということですが、やるとやらないとでは大違いです。やって、そこで1つの体験をしたも のがどこかに残っていて、次に進んでいく。1週間の職業体験、就労体験というのがそこに結び 付く。それが次の職業に結び付いていく。将来を見通せば、非常に大きな効果があるでしょう。 それを短期間の収支だけで見ていくと、切り捨てられてしまいます。  先ほどもお話にあったように、そういう形でものづくりというか、日本の職業教育を考えた場 合、非常に浅はかだろうと言われます。たぶん世界中から笑われるだろうと思います。ですか ら、ここのところをどう残すか、そこのところをどう担保するかをきちんと決めれば、ほかは大 胆に任せてもいいのではないかと思っています。そこをやって、ほかでうんと儲けようという企 業が乗ってくれば、それを称えてやればいいのではないかと思っています。 ○長南委員 民間の方に委託するに当り、中学校の立場からは、やはり修学旅行、校外学習で活 用したいことです。最近、修学旅行あるいは校外学習にかかわる雑誌の中に、私のしごと館の内 容が載っておりました。これは中学1年生で実施したときの内容です。修学旅行の期間というの は、1年の中で大体5月から10月です。あと、校外学習などで使う期間が、11月から1月にかけて だと思います。それ以外はさまざまな研修とか、見学の期間になるのではないかと思います。そ うすると、その期間の中だけ、特に中学生を対象として扱う内容を揃えていただければ、かなり の内容が縮小され、整理され、焦点化されるのではないかと思います。  子どもたちにとっても、都会に住んでいる子どもたちは、マンションの中に住んでいると、周 りでどんな仕事をしているのか一切わかりません。ある住宅街の学校では、職場体験をする場所 がないので、どうして探していいか困ったということがあります。こういう場所としてしごと館 を利用させていただくと、例えば中学1年生、あるいは3年生であっても、ほんの一時ですが、事 前学習の中で得た体験、プロの目、お金をいただいて仕事をしている人の姿、そういう体験をさ せていただけるということが、今後の将来の子どもたちにとって、職業選択の1つの意義づけに 必ずなるというように信じています。 ○座長 繰り返しでも結構ですから、お気付きの点をどんどんご発言いただきたいと思います。 ○森永委員 職業体験の中でも、ある程度設備投資ができるのであれば、収益を稼ぐ方法はたく さんあるのだと私は思うのです。例えば、いま職業体験の中で「リカちゃん」を作らせています が、あれは1時間ぐらいでしょうか。ところが、東京駅の八重洲地下街に「東京キャラクタース トリート」というのが先月オープンしたのですが、そこで「リカちゃん」と同じタカラトミーが 「トミカ組立工場」というのをやっていて、正確に測ったわけではありませんが、それは30秒ぐ らいで、1個525円取っているのです。ただ、それを作るためには、バックヤードも含めて、かな りの投資をしないといけないので、そういうのを出してくださいと言っても、運営のときに半年 で回収しろなどと言ったら、絶対に誰も出てこないわけです。  研修施設にしても、企業の研修だけではなくて、私の大学で、今年のゼミ合宿は早めに準備し ましょうと学生が言うのでそうしたのですが、例えば代々木のオリンピックセンターは、今ごろ 申し込んでも、絶対に取れるはずがないと言うのです。いろいろな所を探しても、4カ月も5カ月 も前に準備しているのに結構いっぱいになっていて、なかなか取れないわけです。別に、中・高 生だけではなくて、大人がやったって、工作機械とかは結構面白いのです。そういうのが付いて いれば、「うちのゼミの合宿に使いませんか」と言われたら、宿泊施設と食堂がちゃんとしてい れば、あそこは非常にいいのです。  ただ、そういう事業に出ようと思っても、半年で事業計画を作れと言っても、黒字になるはず がないわけです。それは1年とか2年でも駄目で、先ほど私は10年と申し上げたのですが、何をや ろうとしても、減価償却を考えたら、そんなに短い委託期間で「何かやりましょう」というのが 出てくるはずがないという、すごく単純なことがどうして。これは閣議決定して、誰が作ったの かわかりませんが、作った人にそこら辺の感覚がないのかというのが極めて不思議だし、そこは すごく不満なのです。 ○石原委員 事務局が用意してくださっているものの中で、収支比率を一体どうしますかと。20 %、50%、100%と書かれていますが、実は、ここをまず決めるというか、目線をこの委員会で 出すことが本当は重要なのではないかと思っています。20%でも、官が80、民間が20の事業とし て任せるのですよ、50:50で任せるのだ、将来的には0:100になるような任せ方をするのですよ と。民間の側からすると、20%なら、50%なら、将来は100%ならということで、絵の描き方が それぞれ違ってくると思うのです。  森永委員がおっしゃるように、確かに設備投資を回収するまでの期間、それは均等で償却しな ければいけないのでしょうが、20、50の定義として、年間の経費ベースとか、ランニングコスト ・ベースとか、設備投資の会計上の処理も含めた計算方法で、20%を達成できるのだ、50%が達 成できるのだ、うまくいけば、ゆくゆくは100%もいけるような絵が描けるとか、一体どういう ものとして委託すればいいのか、そのあり方を我々は検討するべきではないかと思うのです。閣 議決定が乱暴なので収支のイメージを決めることは意味がない、というのはそのとおりではあり ますが、それをそのように片付けてしまうと、議論が前に進まないのではないかという気がして なりませんが、いかがでしょうか。 ○座長 私の感じだけ、1、2お話しておきたいのですが。この間キッザニアの住谷社長としばら くお話しまして、彼が言った興味深いことで私の印象に残ったことが2つあるのです。あそこが 出来たのは1年半前、2006年の10月です。住谷社長が、この2月でようやく単月収支が均衡して、 どうやら、やっていける自信がついたとおっしゃるのです。ですから、評価というのは、3年と か5年とかということでないと分からないという意見があるのだけれども、委託したトップが 「これなら大丈夫、将来ここまで行けそうだ」ということの判断は、1年半とか2年でも、トップ がそういうふうに考える期間としてはあるのかなということが1つ印象的であった。それが1つで す。  それから、「キッザニアとしごと館と何が違うと思いますか」と私が言いましたら、彼が言う のは、本当に日本を培ってきた、これからも大事な「ものづくり」の伝統はきちんと押さえなけ ればならないと思うし、それはキッザニアではできないと。だから、何とかああいうものをしご と館の基本コンセプトにして、きちんとやっていくというのは存在価値があるように思います し、それがキッザニアにはないのだ、という言い方をしていたので、いろいろな話をしたのだけ れど、その2つが非常に印象的だったのです。  そのことをお話して、事務局にも問題整理で伺いたいのです。さっき委託の運営費の問題の話 が出ましたが、委託するときに委託先に、ここだけは一応押さえてね、ということをできるだけ 最小限に決めて、あとは自由裁量の幅をできるだけ多くする。そのときに、いま約15億円の交付 金が出ているわけですから、これをゼロにしてくださいという言い方は無理かもしれない。しか し、あと2年は10億、将来的に、3年ぐらいの間に半分ぐらいまでという事業計画でやってみてく れないかと、そんな委託方式がありうるのか。これだけは押さえてねと言うからには、この部分 については国としても費用負担をしますが、そこから先は、きちんと自主運営してくださいとい うように、ある程度の負担率を段階的にでも決めなければならないかなという気はするのです。 いま言った委託期間の問題と運営費の投げ方の問題について、事務局では今どんなふうにお考え になっていますか。 ○大臣官房審議官 まず委託期間ですが、おっしゃるように、ある程度の期間を見なければいけ ないというのはあるわけです。さはさりながら、行政改革の要請があるということで非常に悩ま しい。ですから、考え方としては、いま座長がおっしゃいましたように、例えば5年なりを見る ということを基本としつつも、2年経ったところで、5年の目標は達成できそうかどうかを見ると いうことはあり得るのではないか。  委託期間を考えるについては、5年そのままというよりも、5年の先を見て目標を決めつつも、 2年経ったところで、何割か知りませんが、5年先の目標が達成できそうかどうかを見るというや り方で委託期間を考えていただく、ということがあり得るのではないかという感じがしておりま す。  委託費の流し方ですが、期間が何年と決まったら、その何年間の委託費としてどのぐらい出す かという上限を設定して入札にかける。ただ、入札にかける機構側がどういう条件を設定するか は、入札の公正の立場から、明らかにすることはできないわけです。ただ、そういうことを決め るに際して、どのぐらいの収支を考えるかということがベースに必要なわけですので、それを決 めた上で、何年間の委託費としてどの程度が適当かと上限を決める。競争入札の条件としては、 例えばキャリア教育として何職種か体験できるようにすると。そこは必須であるが、それ以外は 自由であるという条件で、上限はいくら、何年間にいくらという設定の仕方になると思います。  修繕のことは、基本的に躯体本体は機構のほうが出します。部分的な修正は民間でも可能です が、民間のほうで、こういうやり方をしたいということで積極的に自らの負担で投資することを 妨げるものではございません。 ○森永委員 いまの点を確認したいのです。要するに、5年で委託をして、2年後にうまくいって いるかどうかを判断するというのは、整理合理化計画で言う「1年以内に、存廃を含めて、その あり方について検討を行う」という条件をクリアできるのですか。 ○大臣官房審議官 そこの読み方ですが、委託期間自体は閣議決定の中に書いてない。ただ、1 年以内に評価を行って、存廃を含めたあり方を検討するということが書いてあるわけです。です から、評価を行って、存廃を含めたあり方を検討するということが必須なのですが、それが委託 期間の終了と一緒でなければいけないかどうかというのは、なお解釈の幅はあるのではないか と。 ○職業能力開発局総務課長 いま森永委員は、委託期間5年ということで質問されたかと思うの ですが、審議官が先ほど言いましたのは、皆さんのご意見が、委託期間として大体5年とか10年 とかとおっしゃっているのですが、なかなか、そんなに長くは取れない。行革の要請もあると。 それで、例えば5年後にどのぐらいという、あるべき目標を決める。委託期間としては2年ぐらい というふうにして、委託期間の2年が経った時点で、5年後のあるべき目標に向かって運営が進ん でいるかどうかを委託期間終了時に評価する、こういうことが考えられるのではないかというこ となのです。 ○森永委員 もし私がそこに出ようとしている事業者だったとして、一生懸命やってきたのに、 2年経って「じゃあ廃止ですよ」と言われてしまう可能性があるとなったら、それはやる気をな くすと思うのですが、そうではないですか。 ○吉永委員 結局、閣議決定の文書があるので、とても悩ましくなってしまっているのだと思う のです。これが難しいのは、例えば6カ月で評価せよと言っているわけです。委託期間が5年で、 2年間で評価すると言っても、私たちがやるべき仕事と比べると、そこの内容からはちょっとは み出るような感じになるのです。  これがとても難しいのは、現在、このしごと館が国費の無駄遣いの象徴のような形になってい る。6カ月で評価せよというやり方は無謀だという国民の意見の中にも2つあって、無謀だからこ のまま存続させましょうよというのと、本当に活用するためには、この計画では無謀なんですよ という2つの種類が混じっているので、そこを明確にしなければいけないのです。  例えば、5年の事業計画でやりますよと言ったときに、ある見方をすると、「8割国費で5年も やんのかよ」ということになった場合、それに対して、「いや、その後には、必ずこのことがき ちんとした政策効果を生み、目標を達成します」という国民に対する説得力を我々が持てるかど うかにもかかってくることになるかと思います。  5年委託して、その後はどうなるのですか。6年目もやれるのですか。5年の計画を出して、そ のときに設備も、少しずつ収支がよくなったとして、いろいろなものを変えていきますよね。例 えば17mの高さだって、何か利用価値があるかもしれない。あの高さがあるから出来る経験だっ てあるかもしれないし。そういうことを何かつくり上げたときに、5年経った後は「どうぞ、ご 自由にお使いください」になるのですか。それとも、またそこのところで審査か何かあって、将 来的にやれるという保証はないということですか。 ○大臣官房審議官 そのときにそのあり方について評価を行う。投資した姿で、一部の国費を入 れて、それがある程度目標を達成しているならば、国費を入れつつ、そのままでやるということ もあるでしょうし、抜本的に変えてしまうということもある。委託終了時に、あり方をその時点 でもう一度リセットするということになると思うのです。そのときに、一応目標を達成している から、このままでいけるとなれば、その状態で、ある程度国費を投入していくという選択もあり うることになります。存廃を含めたあり方の検討というのは最終的にすることになりますので、 その中で、どういうあり方がいいかと。これはキャリア教育施設としては有用だとなれば、有用 だということを前提に、その目標を達成できそうなコストに見合った国費投入でやっていくとい うような選択が1つ考えられますし、あるいは、もう少し自由度を高めて、キャリア教育とは言 いながら、もっと幅広く、改修もしていいということであれば、それなりの国の投入もしながら 変えていくということもありうる。  ですから、2年間なり何年間なりという途中のところでチェックしてみて、これはキャリア教 育施設として何とかやっていけそうかどうかということが最終で、やっていけそうだとした場 合、そのやり方をどうするか、また、あり方というところで議論していただいて、収支も含め、 こういうやり方で継続していくと。ですから、一定期間の中でやってみて、これはキャリア教育 という冠をかぶせて、ともかくまあまあの、国民から納得できる線の負担でやっていけるかどう か、ここをご判断いただくということだと思います。そして、可能だとなった場合には、当初の 5年間の目標ということで引き続きやれということになるのか、あるいは、もう少し自由度を加 えて抜本的に改革してしまえ、変えてしまってもいいぞと言うのか、その辺のあり方というの は、またありうると思うのです。 ○鹿嶋委員 自由に任されて、期間が来たら、一応それで終わって、そこでもう一回審査でしょ う。 ○大臣官房審議官 一応そこで打ち切りますが、それ以後どうするかというのは、また。 ○鹿嶋委員 そういったことに、そんなにかかるのですか。 ○大臣官房審議官 はい。 ○鹿嶋委員 8頁の「方向性」、これは今日の議論の課題だと思うのですが、キャリア教育と言 っても、あまりにも漠然としている。文科省辺りとセットでやればいいけれど、そこまでやらな いでしょう。となってくると「ものづくり館」みたいなものに特化した性格づけ、そういうのも あっていいのかなという感じがするのです。特に、四大進学というのはほぼ飽和状態に来ている わけです。日本の教育の中で大事なのは、ものづくり、あるいはそのような仕事に従事している 人たちの評価で、将来ものづくりに行くかどうかは別としても、皆さんがそういう中で何らかの 教育を受けるということは非常に大事だと私は思うのです。  もう1つは、中・高といったことで限定していますが、いまニートの人たちもたくさんいるわ けです。ニートは、34歳まで広げると、厚生労働省の調査だと60〜80万人ぐらいいますね。だか ら、ニートをつくらないという大前提といいますか、そのような意義づけがないと、社会的にし ごと館が有用かどうかと言っても、そういう大義がなければ難しいのです。だから、そのような 意義づけの1つに、例えば、ニートをつくらないための1つの施設館としての教育的な役割も果た すのだと、そういうことも議論していく必要があるのではないかと思うのです。  それから、宿泊施設の機能というのも、これからはあっていいのだと思うのです。私はNWEC (国立女性教育会館)の非常勤役員をやっているのですが、あそこも何年かごとに総務省のほう から、存廃をめぐって非常に厳しい指摘を受けるのです。今年もやっと残りましたが、あれは大 事だと思うのです。あそこの館がぎりぎり残っている1つの理由は宿泊機能があることなので す。非常に安く泊まって勉強できる。それから、大きな目標がある。そういう意味づけができて いるということがなければ、ただ単にコストがどうのと言っても、これを果たして残していいか どうかとなってくると、存廃基盤は非常に弱くなると思うのです。  パブリックサービスがどんどん民営化される中で、いつも私が憂慮しているのは、そこでまた 安い労働力が出来てくるのだ、誕生するのだということです。例えば、こういう所が出来ても、 そこで非常勤で働く、いわゆるフリーター的に働く人たちを量産するだけです。少なくとも、そ の辺りまで免罪して、きちんと存続するには、大きな館の方向づけを。そのためには職業キャリ ア教育というのはあまりにも包括的すぎて、漠然としすぎているのではないかという印象です。 ○マイアー委員 委託期間について、私の意見では、委託が突然終わる可能性があったら、委託 はあまり意味がなくなります。例えば、何か新しい枠組みやコンセプトが必要になったら、特に 高い投資をしても、5年後、あるいは2年後に全く違う考え方が始まったら、民間事業者がいいと 考えた計画を実践することができなくなると思います。そして、投資というと、新しいサービス 指標などを導入して投資すれば、わりと高くて、誰も要らなくなる危険もあると思います。状況 に合わせて投資するのは、100%私立の企業でも、プライベートな会社にとっても難しいと思い ます。今回の投資の理由は、何かをやらなければならないという態度から生んできましたら、そ ういう教員や教授があるのは疑問があります。しごと館を視察して、いまの状況で、本来の目的 にはかなり適当な施設だと考えますが、ほかの指標を後で導入すれば、それは施設の建物などに そんなに適当でしょうか。そういうことも疑わしいと思います。 ○牧野委員 先ほど2割とか、5割とか、10割をペイするという。金額は正確ではありませんが、 いま16億円ほどかかっていますね。民間委託するときの入札の条件と申しますのは、今からすぐ に入札公募でしたら、今やっておられる事業そのままの事業形態で判断し、今の事業の質を落と さずに、同じものを民間委託した場合に、いま16億円かかっているとすれば、それを14億円で運 営しますとか、10億円で運営しますとかで入札してもらう、そのようなことになるのでしょう か。 ○座長 そこは大事なところです。 ○牧野委員 これから直ぐに民間委託となると、検討する民間企業も時間もございません。分か りやすく委託しようと思いますと、今の現状を、入札しようという民間の業者に見せて、今のま まの職種で変更せずに、現状は16億円かかっていて、収入は8%、1億円ほどある。差し引き15億 円が赤字になっているけれども、基本的に、入場費は横に置いて、今やっている事業は16億円か かっているから、民間事業としては、今のままで、いくらで運営できますか、ということを入札 条件にされる予定なのでしょうか。委託する民間業者を選定して判断するのに、その辺のイメー ジが我々に分かりにくいのです。1億でやるとか、1円でやるとかという企業が出てこないとも限 りませんが、その条件が分かりませんので。これからすぐに入札公募の上、入札して、委託業者 を決定し、引き継ぎをして7月1日から民間委託のスケジュールにおいて、時間的にも現状のまま で入札して比較するしかないのだろうと思うのですが。 ○職業能力開発局育成支援課長 今回の包括的民間委託業務で委託する中身は何かというお尋ね ですが、これはまさに、本検討会でご議論いただいております裁量の範囲といった点に直結する ご提起かと思っております。今のままでいいかどうかというのは議論があるかもしれませんが、 少なくとも、今回の包括的民間委託ということになると、経費の削減、あるいはキャリア教育の 施策効果を高めることが目的になりますので、その民間事業者にできるだけ裁量を持たせてはど うかというのが、この検討会の今までの議論の方向だと思います。そういった方向を踏まえつ つ、委託の内容を公告することになろうかと思っております。 ○座長 まず委託先から企画書のようなものは取るわけですか。 ○職業能力開発局育成支援課長 さようでございます。一般競争入札ではございますが、総合評 価方式ですので、価格を見るとともに、企画書の中身も審査することを考えております。 ○座長 これだけなら請け負えるという採算計画と企画書の両方が出てきて、そこの最適なもの を点数か何かで評価して委託先を決める、そんなイメージでよろしいのですか。 ○職業能力開発局育成支援課長 はい、いまお話があったとおりです。 ○牧野委員 そうしますと、各社で委託する事業の金額も異なるけれども、内容も異なった提案 が出てくるということですね。我々は一企業ですけれども、逆に、採算だけで見ていくと、あれ だけ大きな会館ですから、不必要な部分は全部やめてしまって、これは休館にしますということ になってでは空地がたくさん出来てしまう。利益の出るようなところだけやりますと、581億円 かけた建物プラス設備が、全体的に言ったら、企業では全く採算が合わない、あるいは償却もで きない。建物の償却だとか、そんなことまで考えますと、全く採算が合わない内容なのですが、 使われないスペースがしごと館の中にたくさん出来てしまうということも考えられますね。 ○職業能力開発局育成支援課長 本検討会の議論の流れとしては、民間事業者にいろいろ創意工 夫をお願いしたいと。その際に、収支改善の一環として、企業からの広告収入に加えて、企業の ブースを取るとか、テナントの設置とかといった点もご議論にございました。あるものについて やめるとした場合に、そこが空地になるということではなくて、そこに新たな企業ブースを設置 するなどして収入につなげていく、そういったいろいろなご提案を民間企業から出していただけ ればありがたいというのがご議論の流れかと思っております。 ○牧野委員 只今の事務局からのご説明によると、いま使っているブースの面積は全部活かせる ようにして提案をしろと。いま使っている面積を、方法は変えてもいいけれども、面積は全部使 う提案をするということが条件になるのでしょうか。 ○職業能力開発局育成支援課長 それは民間事業者のほうのお考え次第で、必ずしも空地なしと しなければいけないということまでは求めないと考えております。 ○石原委員 いただいた資料で簡単にシミュレーションしてみました。16億円のうち、約8億円 が人件費見合いですが、これがもう少し削減できるということで、私のほうで勝手に、人件費は 15%カットできるのだという前提を置きました。入場者数は約23万人で推移しています。これが 爆発的に伸びもせず、現状維持だというところで、単価と企業からの広告料収入を両建てでシミ ュレーションしてみました。ちなみに、収支を50:50まで持っていこうとすれば、いま入場料収 入が240円、入館料が270円、併せて1人当たり500円強収入があるわけなのですが、これと同じベ ースでやりますと16%ぐらい、これが現状なのかなと。ところが、企業からの広告料収入がな く、40%まで収支を改善させようと思うと、入場料と体験事業で1人当たり2,000円まで払っても らわないといけません。また、企業から年間1億円もらったときに、50%まで収支を持っていこ うとすると、1人当たり2,000円。2億円企業から支出されたときには、1人当たり1,500円。企業 から3億円広告料収入が得られたとして、50:50まで持っていこうとすると、1人当たりの単価は 1,500円。こんなことになると思います。広告料収入をどれだけもらえるのか、企業が広告料収 入を払ってもいいようなコンテンツだとか、来館者を引きつけるような魅力をいかにプラスして いくのか、それがキーポイントになるのだろうと思います。  このシミュレーションでは、体験事業は支出しますが、展示事業、相談・援助事業、研修・セ ミナー等はストップしてしまうという前提です。先ほど来の、空いたスペースはどうしますか、 そこで更に体験事業を増やしますか、そのときの設備投資コストは、というのは一切無視してい ます。実際、企業が50%の収支を目指せと言われたときには、おそらく展示事業、相談・援助事 業等で使っているスペースは、体験事業に振り替えるということが必須になってくると思います し、そのときの、体験させるための設備投資、これはどんな企業が一体いくらのコストで出資を するのか。仮に、その設備自体をどれぐらいの期間で償却していけばいいのか、企業はそれを広 告料収入でどのように評価していけばいいのか、そういうところがポイントになるとは思いま す。事務局で出されているものは、50%なら無駄遣いという批判もなく、しごと館が存続できる のではないか、20%ならどうか、100%ならと、パーセンテージが独り歩きしていますが、私の 意見としますと、50%の収支均衡を目指すというのは、民間の目から見て非常にハードルが高い のではないかと思います。50%を目指そうと思えば、委託期間や評価期間の長さが短ければ短い ほど、更にハードルがきつくなるということは明らかに言えることではないかと思います。 ○座長 私のイメージでは、20でも、50でも、100でも、それは国民が納得するかどうかの目処 ではないかと思います。いわば世間の常識だと思うのですが、これだけのことをやって、半分が 精一杯だねとか、まずは2割ぐらいが限度かなというのは世間の見る目というか、数字だけが歩 くのではなくて、常識にどこで折り合いがつけられるかというレベルではないかと思って数字を 聞いていたのです。それについて、吉永委員は先ほど、世間・国民の目とおっしゃっていました が、そういう観点からの負担率ということについては、どのように考えたらいいとお考えです か。 ○吉永委員 やはり、イメージするのに明確なものがないと何をしていいか分からない、どう考 えていいか分からない、そこら辺のところをずっと堂々回りしているような気がするのです。50 :50とか、20:80とかいうことも、それが何の役に立っているのか、それだけの国費を出すだけ の価値があるのかどうかということに対する明確な説明がなければ、やはり20:80では、国民の 感情としては難しいのだろうと思います。結局、あそこでこれまでにやってきたさまざまなこと から総合的に判断されるのは、致し方ないことだと思うのです。  そのために、評価には必ず政策効果ということがついて回るわけですが、そこをもっと明確に するべきなのではないかと思うのです。それによって負担するお金と委託しなければならない期 間を決めていくというのが本来なのだけれども、最初に割合とか期間が話題になってしまうか ら、なかなか収束がつかないのだろうと思うのです。  政策効果のためには政策目的があるわけですが、これは職業キャリア教育が目的と考えていい わけですか。そうすると、職業キャリア教育というのは非常に抽象的なことであり、「それはや りましたよ」ということで効果が現れるとは思わない。その結果、その後どういうふうに動いて いったかというところも見なければいけないわけです。しごと館というのは、若者の自立とか挑 戦のためのアクションプラン、あるいは就労のモチベーションを上げるとか、そういう流れの中 で職業キャリア教育が生まれたように理解していたのですが、そういうことであるならば尚更、 そこら辺のところのきちんとした目的と、それに伴って期待される効果、それと、それをどうい うふうに、どの長さで見ていくのかということが評価にはとても重要になるのではないかという 気がするのです。 ○座長 さっきの鹿嶋委員のご指摘もそうなのだけれども、その辺の目標と評価に絡んだ話につ いて、事務局はどうお考えなのですか。 ○大臣官房審議官 キャリア教育というのは非常に幅広いし、その効果というのも、はっきり目 に見えるわけではない場合が多いのです。後になって出てくるということもあるので、評価とい うのは非常にやりにくいわけです。1つ我々が今までやっていたのは、入場者数や体験を受けた 人たちの数、それからアンケート調査。これは学生に聞いていたわけですが、先生方に聞くこと も必要でしょう。そういう定量的なものとアンケート調査という面から1つ押さえるというやり 方をとっていたわけですが、それだけでは足りないのだろうという気がするわけです。  性格的なものをどう捉えるかというのは誠に難しいわけですが、16頁に書いたような点がキャ リアの専門家の目から見て、なるほど、これは効果があるのではないかと。要するに、質の面を 見るのに、数字的にはなかなか表しにくいのですが、例えば16頁の下に書いてあるようなことを 専門家に見ていただいて、どう思われるかということで質の面を補っていくとか、そういう組合 せで数字と専門家の評価をしてもらう。評価の視点はこのようなところと具体的に示して、それ によって見ていくほか無いのかと。キャリア教育にはいろいろな面があるし、学習選択にも寄与 しますし、鹿嶋先生がおっしゃったように、ニートをつくらないというようなこともあるわけで すが、それをやって果たしてニートがどれだけ抑えられたかというのもまた難しいわけです。で すから、そこは定量的な面、また、専門家の目で見て、こういうところがなるほど、と言えるよ うに出来ているか、そういうふうに出来ているとすれば、かなり効果があるということが推定さ れるとか、そういうことで測っていくよりしょうがないのかなと思っております。 ○橋本委員 だいぶ議論が拡散しているようですが、この施設は、職業体験そのものに関してす ごく評価されているわけですので、そういう格好で評価すべきなのだと捉えて構わないのではな いかと思うのです。  実際に拝見して、なかなか素晴らしいノウハウがいっぱい詰まったものが既に出来てきている わけです。これが雇用保険から出ているからこういう問題になっているのではないかと私自身は 思っているのですが、「教育的見知」というのをもう少し強調していった形であれば、あれだけ つくったものを活かす道はあるのではないかと考えているのです。 ○牧野委員 7月1日から民間委託を入札で実施するというストーリーになってはいるのですが、 7月1日に民間委託がスムーズにできなかったら、何か代案はお考えになっているのかというのが 1点です。  それから、4月2日に見学会をさせていただいたときに、修学旅行生が2〜3年前から予約をして いるというお話を伺いました。平成18年度は13万人余りの中高生が来館されたとお聞きしたので すが、民間委託期間の終了後の対応については代案があるのか。7月1日から委託業者があったと して、委託期間が終わったら、その後はその業者がやってくれればいいでしょうけれども、景気 の見通しも少し暗くなっていますから、「短期間なら社会貢献のために引き受けて、その期間だ けやってみるか」という企業が出ないとも限りません。数カ月したけれども赤字だから、次はも うやめます、この契約期間だけと言った場合に、その後はどのような運用をなさるのかという思 いがあるのです。  それと、この間の現地視察の際にお聞きしましたが、33名の職員がおられますが、出向されて いる方は7月1日で戻られるという話をチラッと伺ったのですが、うまく委託できなかったら、運 営そのものも7月1日以降うまくいかないのではないのかなと思いました。その3点を伺いたいの です。 ○職業能力開発局育成支援課長 今いくつかご質問がございました。7月1日からスムーズに委託 できなかったら代案はあるのかということですが、いま私どもも7月1日に向けていろいろ準備を しているところですので、何とかスムーズにいくようにやっていかなければいけないということ で全力を尽くしております。 ○座長 まず、手を挙げそうな人はいるのですか。 ○職業能力開発局育成支援課長 当然、入札の話なので、業者のほうでご関心を持っておられる 方は多々おられると認識しております。  いまのご指摘の中で、委託期間が何年間かあって、仮に2年として、その2年間が終わった後の 取扱いはどうなるかということでありましたが、先ほど来出ておりますように、その状況につい て評価をして、その後のあり方についていろいろ検討していくことになりますので、その段階で ご議論ということになるかと思っております。 ○座長 そろそろ予定の時間も近づいてきたので、今日議論したことの取扱い、それから7月に 委託先を決めるという話でしたが、これからの展開に関しての日程等について、事務局でお考え があれば伺いたいのですが、どうですか。 ○職業能力開発局育成支援課長 私どもといたしましては7月1日から民間委託を実施したいと考 えておりますので、本日ご議論いただいたことを踏まえて、今後、雇用・能力開発機構におい て、総合評価一般競争入札の手続を進めていきたいと考えております。この総合評価一般競争入 札方式の中で、実際の受託業者を選定する手続をしていくことを考えておりますが、総合評価と いう方式ですので、単なる価格だけではなくて、企画書の提案の中身をきちんと見て審査すると いうことが必要です。そのために、雇用・能力開発機構内に企画審査委員会を設置したいと考え ております。そこで、折角ここでご議論いただきましたので、できましたら、本検討会の委員の 中から企画審査委員会に加わっていただきたいと考えておりますが、その辺りの執り進め方につ きまして、今後座長とも相談しながら、いろいろご案内させていただきたいと考えているところ です。 ○座長 なかなか難しいのですね。いずれにしても、業者を決めるのは雇用・能力開発機構で、 我々が決めるわけではない。ただ、業者を決めるに当たって、我々が3回積み重ねてきたいろい ろな意見や議論はきちんと反映するようにしてください。雇用・能力開発機構が検討するに当た って、我々のこれまで3回の議論をきちんと取りまとめて、それぞれに出た意見を整理して反映 させてくださいと、そういうアクションにはなるわけですね。 ○職業能力開発局育成支援課長 当然、ご議論を踏まえて実際の入札公告、その際の仕様書を作 成いたします。さらに加えて、総合評価の評価表も、ここで出たご議論を忠実に反映したもので 実施いたします。 ○吉永委員 誰がどういう観点から審査をするかというのは重要なポイントなのです。しかし、 申し訳ないけれど、雇用・能力開発機構は、これまでこの状況にしていった部分の中にある機構 です。その人たちが大胆な新しい視点とか、そういうものを持ちうるのか。どういうメンバーが 決めるのか、まだ分かりませんが、そのときに、これまでにない視点を持っている人が審査の中 に加わっていかないと、全然期待できないことになってしまうということもある。どういう方に なるのか分からないけれども、そういったことを我々が要望なりできるのかどうか、そこが1つ 気になります。  今まで、確かに意義があったという評価はあるようです。教育関係者の評価は高いようです が、実際に行った子どもたちなりにどう影響しているのかというのは全然見えていない。アンケ ートで見ているけれども、教育関係者にアプローチして、そこから集客していったら、評価が 「ノー」という答えは出にくい構造なのです。本当に立ち直るのであれば、そのような全くの視 点の変換が必要だと思います。私たちがここでしゃべっていても、誰が決めるのかというところ は非常に大きな問題になるかと思います。 ○座長 いまのご指摘はどうですか。 ○職業能力開発局育成支援課長 まさに、いまご指摘いただいたとおりですが、2つございま す。1つは、この検討会における議論でいろいろご提案いただいたところを、業者を選定する際 にきちんと活かす。具体的には、今後行う入札手続の中での仕様書の作成、あるいは、実際に評 価をする際には、きちんとこの場で出たご意見を踏まえて評価を行う、そういう評価表を作りま す。  誰が審査するのかという点なのですが、できましたら、この検討会の方々にもお加わりいただ くような形で、この検討会の意見をきちんと反映した評価、そして業者選定を行わせていただけ ればと考えております。まさにそういうことで、いま吉永委員にご指摘いただいたような新しい 観点に基づいた選定ができるのではないかと考えております。 ○座長 閣議決定からの指令については、ここでも議論に出ましたが、局長もご出席だから局長 に受け止めていただきましょう。そのほか、ご意見はいかがですか。 ○工藤委員 しごと館の話を周りの友人に結構したら、「そんなの、潰すべきだ」と最初に言う のですが、「実際に潰すのにいくらかかるの?」と聞かれて答えられませんでした。つまり、潰 すときのコストと継続のときの社会コストみたいなものが出ないと、結局どういう形でも、納税 者というのは、自分にとっての1億円なのか、社会にとっての1億円なのかというのは計算できな いので、潰すのだったらいくらかかるのか、潰さないのだったらどうなるのかというのは説明し ておいたほうが、受託した企業が攻撃されないという意味ではいいのかと思います。  もう1つ、どんな企業に取ってほしいのかというのを行政の方にお聞きしたいと、個人的には 思います。しごと館を受けたことで収益が上げられると考える企業がいいのか、それとも、しご と館をやることで「この企業はいい企業だな」というソーシャル・ブランディング(社会的な認 知度)が向上し、結果として収益に結びついたらいいと思う所なのか、それとも、しごと館とい うところの来場者が自分たちの顧客としてのターゲット、ど真ん中なので、そこを顧客として囲 い込むことで収益を上げたいという所なのか。パブリック・サービスに参加する企業として、ど んな企業がいいのかという思いみたいなものを、数字だけでは測れない部分も出しておいたほう がいいのではないかと私は思います。 ○座長 それについて、事務局は何かございますか。 ○大臣官房審議官 どういう所が手を挙げてくるかにもよります。そういうことの中で決まって くるわけで、今日ご議論いただいた4点、裁量とか、政策効果とか、そういう条件面の設定を踏 まえた上での企画書を見て、企画の内容で判断していく。企業の性格というよりも、出してきた 条件を見て判断していかざるを得ないのではないかと思っています。 ○座長 そろそろ時間ですので、今回の議論のまとめにしたいのですが。いずれにしても、これ まで3回、特に今日それぞれの方から出された意見については、具体的な発注手続に当たる雇用 ・能力開発機構に対して、きちんと意見を反映する、そして、発注を決めるときの企画委員会の 中に我々の中で誰かがメンバーに入るか、我々の意見が反映されるような体制について工夫をす るということが1つ。どういう提言をするかについては、今日皆さんにわりあいフリーにお話い ただいたので、事務局と私とで相談をさせていただいて、こういう提言をします、ということを 委員の皆様に改めてご報告すると、まずは、そんなところでいかがでしょうか。次回は大体どう いう予定になりますか。 ○職業能力開発局育成支援課長 次回検討会の日時と場所については、改めてお知らせをいたし ます。民間委託の状況を確認していただくことになりますので、7月以降を考えておりますが、 そこについては、いろいろご相談させていただければと思います。 ○座長 まず3回までの議論を整理して、こういうことを雇用・能力開発機構に我々の意見とし て反映させるということについては委員の皆様に、この委員会ではなくて、別途連絡すること で、いかがでしょうか。 ○職業能力開発局育成支援課長 そのようにさせていただきます。 ○座長 まだ不完全燃焼の方もいらっしゃるかもしれませんが、時間ですので、一応これで3回 目の検討会は終了とさせていただきます。今後は、いま事務局が説明したような段取りですが、 委員の皆様には、できるだけ途中経過についても緊密に連絡・報告するようにしていただきたい と思いますので、よろしくお願いいたします。これで検討会を終わらせていただきます。どうも ありがとうございました。 (了) 照会先: 職業能力開発局育成支援課 電 話: 03−5253−1111(内線5390)