08/03/31 第3回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会議事録 第3回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 1 日時 平成20年3月31日(月)14:00〜 2 場所 厚生労働省6階共用第8会議室 3 出席者    [委員]  阿部委員、有田委員、鎌田委員、山川委員   [事務局] 太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、         鈴木需給調整事業課長、田中派遣・請負労働企画官、         松原需給調整事業課長補佐、松浦需給調整事業課長補佐、         竹野需給調整事業課長補佐、飯郷需給調整事業課需給調整係長   [ヒアリング対象者]        社団法人日本人材派遣協会   会長     日比野 三吉彦氏                      副理事長   大 原  博 氏       派遣ユニオン         書記長    関 根 秀一郎氏       人材サービスゼネラルユニオン 政策副部長  木 村 徳太郎氏 4 議題  (1)関係者からのヒアリングについて       (2)その他 ○鎌田座長   定刻となりましたので、ただいまから「第3回 今後の労働者派遣制度の在り方に関 する研究会」を開催いたします。なお、本日は阿部委員が欠席されています。  本日は、公開で関係者からのヒアリングを行います。本日のヒアリングに至った経緯 ですが、前回の研究会で関係者からのヒアリングを行うこと、事前に委員の皆様方にご 意見を伺った上で、今回以降の研究会でヒアリングを行えるよう調整することについて、 各委員の皆様からご了解をいただいておりました。これを踏まえ、あらかじめ私と事務 局でヒアリングの進め方の案を作成し、各委員の皆様にもご了解をいただいた上で調整 した結果、配布資料の参考1にありますとおり、本日と4月11日の2回にわたりヒア リングを行うこととなったものです。なお、前回までの議論に関する認識、課題の整理 や各論の議論の具体的な進め方については、関係者からのヒアリングを終えた段階で、 その結果も踏まえて改めて整理したいと思います。  それでは、早速関係者からのヒアリングを行います。本日は、労働者派遣に関する業 界の労使団体の代表として、日本人材派遣協会から会長の日比野三吉彦様、副理事長の 大原博様、派遣ユニオンから書記長の関根秀一郎様、人材サービスゼネラルユニオンか ら政策副部長の木村徳太郎様にお越しいただいております。本日は、皆様におかれまし ては、ご多忙のところ私どものヒアリング調査にご協力いただきまして、誠にありがと うございます。  本日の進行ですが、時間も限りがありますので、皆様方からそれぞれ15分程度ずつ、 労働者派遣制度についての基本的な考え方等についてご説明いただき、その後一括して 質疑を行いたいと思います。ここで、配布資料について事務局からご説明をお願いしま す。 ○田中企画官   お手元の資料1は、社団法人日本人材派遣協会様ご提出の資料です。資料2は、派遣 ユニオン様ご提出の資料です。なお、派遣ユニオン様からご提出いただいている資料は 一部個人情報を含んでおり、公開に適さないものがありますので、これについては委員 の皆様方のテーブルの上に委員限り資料ということで配布しておりますので、ご確認い ただきたいと思います。  資料3は、人材サービスゼネラルユニオン様からのご提出の資料です。参考1「関係 者からのヒアリングの進め方について」、参考2「ヒアリング対象者名簿」、以上とな っております。 ○鎌田座長   それでは、日本人材派遣協会からご説明をいただきたいと思います。日比野様、大原 様から、合わせて15分程度でよろしくお願いします。   ○日比野会長(日本人材派遣協会)   皆様、こんにちは。私は、日本人材派遣協会会長の日比野でございます。日ごろは何 かと大変お世話になっておりましてありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願 い申し上げます。  当協会は、1986年の協会設立以来、会員とともに労働者派遣事業の適正運営に全 力で取り組んできました。しかし、昨年来、ごく一部の会員で違法派遣による行政処分 を受けるという残念な事態が発生しました。会員がこのような事態を引き起こしたこと につきまして、当協会としては深く反省し、二度とこのようなことが起きないように、 協会、業界を上げてコンプライアンスの徹底に取り組んでいかなければならないと考え ています。  このため、当協会では、コンプライアンスについて会員に対する指導徹底を強化すべ く、自主ルールを現在作成中です。これによって、派遣事業運営に当たっての必須の留 意点を押さえ、その実施の徹底とフォローを行うことにより、法令遵守を浸透させてい きたいと考えております。以下、具体的なことについては、大原副理事長から説明をい たします。 ○大原副理事長(日本人材派遣協会)   お手元の資料に沿ってご説明します。1枚目ですが、当協会の概要について簡単にご 案内します。いまほど会長の日比野が申し上げたとおり、当協会は昭和61年、派遣法 が施行された年に設立をしました。その後、平成6年には国際人材派遣事業団体連合、 CIETTと呼んでおりますが、現在世界35カ国の派遣事業主団体が加盟しており、 こちらの方にも参加をしております。このCIETTは、現在では中国も加盟をするに 至っています。その後、平成14年には当協会が母体となり、派遣スタッフの方々の福 利厚生の向上、あるいは地位向上を目指し、人材派遣健康保険組合も設立をしました。 現在、被保険者数は約45万人ということで、日本最大の総合健保組合となっておりま す。  協会の現在の状況ですが、協会会員数は789社で、800社に迫っております。そ の800社で、我が国における一般登録型派遣事業の売上げに占める会員の売上げ比率 は、平成18年度は約60%のシェアという状況です。  協会の主な活動ですが、労働者派遣事業の適切な運営、あるいは健全な発展を図るた めの各種の事業、またセミナー、講習会などの開催、広く広報活動を展開しております。 協会の組織図は、そこに書いてあるとおりです。なお、北は北海道から南は九州まで、 全国7地域に地域協議会を設置し、全国的に非会員の方々の加入促進に努めております。  事業そのものの現状ですが、平成19年の10月〜12月、昨年の第4四半期の当協 会会員における実稼働者数は、対前年同期比で101.4%ということで、伸び率が下 落傾向にあります。その1年ほど前までは大体2桁の伸び率を示しておりましたが、現 状はそのようなことです。  資料の2枚目をご覧ください。いちばん上の「はじめに」については、これも会長の 日比野が申し上げたとおり、当業界における法令違反、日雇い派遣における禁止業務へ の派遣や二重派遣などは大きな問題であり、派遣労働者の雇用や安全、健康といった基 本的な事柄について、業界としてしっかり取り組んでいかねばならないと考えておりま す。しかし、他方で今ほど申し上げた一部の派遣業者による法令違反に端を発し、派遣 制度が格差社会の元凶である、あるいはワーキングプアの温床になっているといった報 道が見受けられたり、派遣形態がこうした問題の根源であるという主張がされることに 対しては、私どもはそれは違うのではないかと考えております。  そこで、1番ですが、現在公正で正確な派遣の実情を皆様方にご理解していただく活 動を進めております。「労働者派遣を正しく理解してください」については、後ほど説 明します。それ以外に、昨年、当協会で派遣スタッフ1万人のアンケート調査を実施し ました。これだけの大規模調査は他にないものと考えておりますが、派遣を選択した理 由、賃金の実態、今後希望する働き方などを明らかにしております。これも、後ほど「 労働者派遣を正しく理解してください」に出てきます。  お手元に、「はけんWorking2008」という小冊子をお配りしております。これは、派 遣就労している方々の好事例集です。先ほど来申し上げているとおり、最近はなかなか 社員になれないとか、明日をも見通しづらいということで、派遣スタッフがマスコミに 登場する機会もあります。その事実を否定はしませんし、派遣会社としてコンプライア ンスの徹底など、解決できることは対応していかなければいけないと思っておりますが、 派遣を上手に活用して、生き生きと働いている方々もいるのだということをご紹介して おきたいと思っております。  「労働者派遣を正しく理解してください」というリーフレットですが、3頁をご覧く ださい。ごく抜粋ですが、派遣をなぜ選んでいるのかの理由です。確かに、正社員にな れない、あるいは正社員までのつなぎとしてという方々が一定の割合でいることも事実 ですが、働く期間、時間、場所を自分で選べるからとか、時間を有効に活用できるから、 パート、アルバイトよりは収入が多いからとの積極的な理由で派遣を選択している方々 が非常に多いと、私どもは理解しております。そのような事実もあるということをご理 解いただきたいし、これは私どもの協会の調査のみならず、他の労働組合の調査でも一 定程度同じような傾向を示しております。  9頁をご覧ください。派遣労働者の賃金が非常に安いという指摘がなされていますが、 平成17年度における厚生労働省の労働力需給制度のアンケート結果では、派遣労働者 の平均賃金は292万円です。また、ここには書いてありませんが、先ほどの私どもの 1万人アンケート調査では、全国平均の時間給は1,417円です。これは年収で言う と272万円です。東京について言うと、時給は1,604円、年収では307万円に なります。  11頁です。昨今、派遣事業は非常に儲けすぎだというご指摘がありますが、派遣料 金から派遣スタッフの方々の賃金を引いたものが、すべて利益というわけでは全くあり ません。あくまでも、派遣事業における営業利益は、大体2〜3%が平均ではないかと 理解しております。派遣スタッフの方を雇用するに当たっての社会保険料の事業主負担 分、あるいは有給休暇は、当然派遣元が全額負担しています。また、派遣事業を運営し ていくためのさまざまなコストも、当然含まれていることをご理解いただきたいと思い ます。  13頁ですが、今後希望する働き方です。これは当協会の1万人調査結果で、昨年実 施しましたが、これだけ派遣が批判をされている中で、引き続き派遣で働きたいという 方が33.6%です。紹介予定派遣を利用したいと答えた方は14%で、派遣を使いた いという方々がこれだけの割合いることについて、協会としてはこういった派遣スタッ フの方々の期待に応えていかなければならないと考えています。ただ、正規雇用を望む 方々が37.8%いることにも、もちろん留意をしていかなければいけないと考えてお ります。  レジュメに戻りますが、昨今議論されているそれぞれの派遣制度に関する各論、それ に対する当協会の考え方です。2の1.は日雇派遣の禁止の問題です。従来から、軽作 業のみならず、同時通訳や月末日だけのデータ入力、土日だけのスーパーでの販売促進 業務など、有効に機能している1日派遣も多数ございます。したがって、一律にこれを 禁止した場合、こうした方々の就労機会を奪うことになるのではないかという懸念を持 っております。日雇派遣は直接雇用にすればいいのではないかとのご主張もありますが、 例えば中小企業の社長さんとお話をすると、「それは難しいよ。ただでさえ忙しいのに、 募集広告を出して、書類を見て、面接をして、雇用管理をするなんてなかなかできませ ん。そもそも、中小企業だと募集を出しても人が来ない現状もある。」という声を聞き ます。また、働く方々にとっても、1つの仕事ごとに書類を出して応募をして、面接を 受けてでは効率が悪いという声も聞きます。ご案内のように、日雇派遣に係る厚労省の 調査結果にあるとおり、日雇派遣で働く方々の動機や今後の希望もさまざまですから、 一律禁止ではなく、それぞれの実情に合わせた支援策が大事なのではないかと考えてお ります。  登録型派遣の禁止という主張もありますが、特定型派遣のみになった場合、相当高度 なスキルを持った方であればそれも可能かもしれません。しかし、現在登録型派遣にお いては、専門性のある26業務のみならず、就職困難者の方やエントリーレベルの方々 に対して、雇用機会を提供する有効な手段となっております。これらの方々を常用型の スキームに組み込むことは事実上不可能に近いと考えており、登録型派遣の禁止という 考え方は、こうした現実をどう整理するのかと思うわけです。いずれにしても、登録型 派遣の雇用機会の創出効果、スタッフと派遣先双方にとってより的確で迅速なマッチン グ機能を、十分に活用することが大切だろうと考えております。  マージン取得率の制限の問題については、先ほど内訳はご説明しましたが、私ども派 遣会社としては、派遣先にサービスを提供し、派遣スタッフに賃金を支払うだけではあ りません。適正で満足度の高い派遣就労をしていただくために、派遣元としてきめ細か いスタッフのフォロー、派遣先との折衝、あるいは切れ目のない仕事を確保するための 営業活動など、さまざまなフェーズがあり、そこにもコストがかかるのだということを ご理解いただきたいと思っております。  均等待遇についても議論されていますが、この問題については、私どもとしては同一 価値労働、同一賃金は目指すべき方向と考えております。ただ、外見上同じに見えても、 責任の重さや成果の問われ方に違いがあれば、これは一定の差があるものと考えており ます。いずれにしても、派遣先と派遣料金をしっかり交渉して、スタッフの方の賃金の 引上げ、あるいは福利厚生の均衡については、派遣先に対して強く働きかけをしていき たいと考えております。  今後の目指すべき方向ですが、本来派遣制度が原則自由なものなのか、限定的なもの なのかという基本的な立ち位置については、確かに従来から原則自由であるべきという のが私どもの立場です。しかし、労働者の保護、あるいは雇用の安定については、これ まで以上に重点を置いていきたいと考えています。具体的な労働者保護の観点ですが、 特に元先の役割分担のあり方は、さまざま検討する必要があるのではないかと思います。 例えば労災の問題です。これはかねてより指摘がされていますが、労災の元先の責任の あり方は検討すべき課題だろうと認識しています。雇用の安定については、正社員を希 望する方々には、紹介予定派遣を積極的に活用することはもとより、同一派遣先企業で 一定期間、例えば3年以上就労中のスタッフに対しては、当該派遣先で正社員になりた いかどうかを確認して、希望がある場合には、その要請に応じて派遣先に対して求人意 志があるのかないのか、仮にない場合は可能性のある派遣先を優先的にあっせんしてい くといった、派遣会社としてできることに積極的に取り組んでいきたいと考えています。  一方、派遣を続けたいという方々に対する支援ですが、これについては、1つは派遣 元としての能力開発、あるいはキャリアカウンセリングなどをしっかり実施して、この 実現に努めていきたいと思っております。特に能力開発については、今はエントリーレ ベルの方々が多く、いわゆるビジネスマナーやコミュニケーションといった基本的な研 修と実際の派遣、実務経験がなくても派遣を受け入れていただける仕事もあるので、そ のような形でキャリア形成を図っていただくことも可能ではないかと考えております。  もう1つ大事なことは、スタッフのキャリア形成を意識したマッチングを実現するこ とです。例えば、貿易実務であっても、まず初級レベルの仕事に就いていただく、そし て次のステップで中級クラスの仕事に就いていただく。私どもは多くの派遣先の仕事を 確保しているので、その中からそのようなキャリア形成を意識したマッチングが可能だ と考えております。また、主婦、パートの方々のような一時的、臨時的な働き方に対し ては、必要な派遣先の開拓にも努力をしていきます。  以上を踏まえ、私どもの考え方ですが、適正な労働者保護、コンプライアンスの徹底 は前提として、派遣スタッフの声をしっかりと聞いて、それぞれの働き方を尊重した制 度構築を是非目指していただきたいと思います。2番目として、少子高齢化、労働力人 口の減少がすでに顕在化している中で、柔軟な働き方、登録型派遣の雇用機会創出効果、 一旦失業したときに長期滞留せず、比較的早く次の仕事に就くためのセーフティネット としても有効ではないかと考えております。いずれにしても、派遣スタッフの雇用の安 定、処遇の改善に向けた活動を、引き続き積極的に推進していきたいと考えております。   ○鎌田座長   ありがとうございます。次に、派遣ユニオンの関根様からよろしくお願いします。   ○関根書記長(派遣ユニオン)   派遣ユニオンの関根と申します。派遣ユニオンは連合傘下の全国ユニオンに加盟して おり、NPO派遣労働ネットワークなどとも連携をしていますので、そういった所で相 談を受けた情報などを基にお話をしたいと思います。  私ども派遣ユニオンは、日雇派遣の最大手である(株)グッドウィルで働く日雇派遣 労働者を組織して、グッドウィルユニオンを作っておりますが、グッドウィルという会 社は、いまお話いただいた日本人材派遣協会の傘下でもありますし、今派遣会社では最 大手の会社だと思います。また、人材サービスゼネラルユニオンがグッドウィルで働く 社員の方や内勤の方々を組織していると思いますので、大変ゆかりの深い企業だと思い ますが、このグッドウィルの実態について、私が実際に働いてきたときの経験などを基 にお話したいと思います。  資料では委員限りとなっておりますが、1頁目に、「派遣スタッフ就業規則」があり ます。これは、私がグッドウィルに登録したときにいただいた情報です。この就業規則 と次の頁の「お仕事の予約から給与までの流れ」の2枚が、最初に配付される登録時の 資料です。ごく簡単な労働条件と仕事の流れについての説明を受けるだけで、1時間強 ぐらいで登録は終わりました。あとはいつでも仕事の予約をすれば、スポットで1日単 位でも仕事ができるし、定番ということで数箇月以上続けて仕事をすることもできる形 になっております。就業規則を見ると、右側の2段目に福利厚生という欄がありますが、 この7行目に「データ装備費として、勤務ごとに任意に200円を皆様からいただいて おります」と書いてあります。これが不当天引き等の問題で社会問題化しているデータ 装備費です。任意と書いてありますが、全員一律に200円を徴収されていたものです。  次の「お仕事の予約から給与までの流れ」にも書いてありますが、2日前までにグッ ドウィルの登録支店に仕事をしたいと予約をすると、前日の午後に電話をしてください と言われました。私が前日の午後に電話をしたところ、こんなお仕事とこんなお仕事が ありますよと、2つぐらい仕事を紹介されて、そのうちの1つを指定したところ、間も なく労働条件に関するメールが流れてきました。それが3頁にあります。作業開始から 終了時間は9時から18時、支払い給与は6,784円となっております。集合時間は 7時20分となっており、9時の作業開始より1時間40分も前に集合をかけられると いうものでした。しかし、集合時間からの賃金は払われておりません。作業内容につい ては、その他倉庫と書いてあって、作業内容の詳細は書いておりません。下のほうに出 発時刻6時と書いてありますが、これは家を出るときに出発コールを派遣会社にかけな ければならないというものです。前日に電話をしたときに、明日の仕事はありませんと 言われてしまえば、収入の道は断たれてしまうという、非常に不安定な日雇の働き方に なっております。  7時20分に集合をかけられて、午前9時から午後6時までみっちりと倉庫内作業を やりました。物流の仕事はきつい肉体労働で、1日荷物の上げ下ろしをさせられるので、 腰や腕、肩等に負担のかかる、日頃から肉体労働をしている方でないと相当きつい作業 です。しかし、実際にもらえる賃金は非常に低いことに非常に驚かされました。1日働 いて、作業確認表に派遣先でサインをもらって、それを後日派遣会社に持っていけば、 現金で日払いで賃金がもらえるものです。  4頁に、給料をもらったときの明細が出ております。低時賃金5,784円、交通費 1,000円と分かれておりますが、合計のところでは6,784円と、最初から明示 された賃金になっております。一番下に「他支払い」とありますが、これがいわゆるデ ータ装備費200円です。これは一律で差し引かれて、結局手取りは6,584円です。 これは交通費込みの金額なので、私が集合場所まで行くのにかかった交通費は800円 弱を差し引くと、私の手取額は6,000円未満でした。朝7時20分に集合をかけら れて、午後7時10分に解散となったので、実際の拘束時間で割ってみると、1時間当 たりの賃金は500円にも満たないという低賃金です。これだけきつい肉体労働をさせ られて、時給で換算すると500円未満というのは、あまりにもひどいではないかと思 いました。6,000円にも満たない賃金では、仮に月に21日程度働いたとしても、 月収では12、3万円ぐらいにしかならない。これでは、とても独立した生計を営むこ とはできません。  先だって、厚生労働省調査で30日未満の日雇派遣労働者の日給の水準について、平 均で9,500円という数値が出ていましたが、これは通訳等の単価の高い賃金の方々 も含めて平均を取られているので、高い数値が出ており、軽作業を中心とする日雇派遣 の日給の相場は7000円程度の低賃金です。いわゆる日雇派遣は、主に日雇という面 が強調されていますが、私どもから見ると、むしろ軽作業派遣と言うことができると思 います。1999年の労働者派遣法の改正時に、対象業務が原則自由化されたのに伴い、 軽作業、いわゆる肉体労働でも派遣ができるようになったことに伴って、急速に拡大し た軽作業派遣における定賃金や不安定雇用、もう1つは非常に危険な作業に十分な安全 対策さえ講じられることなくつけられて、慣れない現場で労働災害が多発していること が、非常に大きな問題であると認識しております。  5頁ですが、これは日雇派遣会社としてはグッドウィルに次ぐ第2位のフルキャスト という会社の個人情報です。これは、私が登録している個人情報を個人情報保護法に基 づいて開示してもらったものですが、右半分の下側に風貌欄というものがあります。長 髪、金髪、茶髪、激茶髪、ひげ、スキンヘッド、爪難あり、不潔感、清潔感、ピアス( 耳)、40歳超、言葉遣い悪、言葉遣い良、容姿優、容姿良、太め、虚弱体質、入れ墨、 メガネといった、人を人とも思わない、物扱いするような取扱いが書かれている実態が 発覚しました。6頁は、フルキャストが登録時に配布しているフルキャストファイナン スという金融会社の案内です。貧困の中で非常に苦しんでいる人たちに消費者金融でお 金を貸すことも連携してやっていることに、非常に大きな問題があると考えました。  お配りしているもう1つの資料をご覧ください。2頁目は、フルキャストで私ども派 遣ユニオンが締結した労働協約です。第1項は、個人情報から風貌情報は削除して謝罪 すること。第2項は業務管理費です。グッドウィルはデータ装備費という名目で200 円引いておりましたが、フルキャストは業務管理費という名目で250円引いていまし た。これは、日雇派遣会社においてはほぼすべからく引いていた不当天引きの問題なの ですが、それを廃止することを約束させました。また、集合時間については、作業時間 より早い時間に集合することを強制しないこと。第6項は、今まで日雇派遣労働者には 全く年次有給休暇が付与されていませんでしたが、年次有給休暇を付与することを約束 させました。第7項ですが、雇用保険や日雇雇用保険についても適用することを約束さ せました。  3頁目は、その後最大手のグッドウィルに対して私どもが出した要求です。データ装 備費を返すこと、年次有給休暇を付与することなどを要求して、現在交渉を申し入れて おりますが、残念ながらグッドウィルは私どもとの団体交渉を拒否しており、一切交渉 が行われていない実態にあります。一方データ装備費の問題については、グッドウィル は2年分を遡って返還することを発表して返していますが、私どもグッドウィルユニオ ンのメンバーやグッドウィルで働く多くの労働者は、2年分の返還では納得できないと、 全額の返還を求める集団訴訟を行っております。4頁から、データ装備費返還訴訟にお ける被告グッドウィルの主張を掲載しておきました。3段落目にありますが、データ装 備費の性格等について、「本来最低賃金を下回らない限り、原価としての賃金をどのよ うに設定するかは、低すぎる賃金を設定したのでは、労働市場から必要な労働力を確保 できないというリスクをにらみながら使用者が決定し得ることなのだ」と。つまり、デ ータ装備費というのは、目いっぱいのところまでマージンを差し引いた上で、さらに賃 金を下げてしまうと労働力を集められないことから、一旦賃金として、例えば1万1, 000円の料金をお客様からいただいたら、賃金を7,000円と設定する。これ以上 下げてしまうと人が集められないことから7,000円と設定しておいて、あとから2 00円を引いていたとか、そもそもデータ装備費とは、負担を求める動機や理由は存在 しても特定の使途はないのだということを明らかにしていることから、純粋に利益にし ていたことがわかっております。  繰返しになりますが、日雇派遣はあまりにも低賃金であること、従来肉体労働の相場 は1万〜1万2,000円程度の賃金水準だったわけですが、3〜4割のマージンが取 られることによって、現在日雇派遣の多くは日給7,000円程度できつい肉体労働を 強いられている実態があります。1日1日の雇用契約で、明日はないよと言われたら収 入の道が断たれてしまうという非常に不安定な雇用であること、また、危険な作業で労 働災害が多く発生していることから、きちんと禁止していくべきであろうと考えており ます。  一方で、従来から専門業務等で働く派遣労働者も、非常に不安定な中で働かされてい ます。6頁ですが、派遣労働ネットワークで調査した派遣スタッフの現状です。賃金水 準は1994年に平均時給1,704円だったものが、2006年の段階では1,32 7円まで下落しています。これはむしろ日雇派遣とは違う、政令指定業務(26業務) に該当する労働者の賃金水準のデータです。雇用契約期間は、どんどん短縮している傾 向があります。1カ月から3カ月程度の雇用契約を反復更新する働き方が非常に多く、 登録型派遣労働者は仕事があるときだけ雇用契約が結ばれることから、契約更新のたび に、次回私は更新されるのだろうかという不安を抱えながら働いているのが実態です。  8頁の表4ですが、正社員の就職を希望している労働者が約6割、58%いる実態に あります。  10頁以降は、私どもが実施した派遣トラブルホットラインで、派遣労働者のトラブ ルの相談の実態を載せておりますので、ご参照いただきたいと思います。  16頁から、派遣法の改正の方向性について、私どもが考えていることが掲載されて おります。3つの柱を考えておりますが、1つ目の柱は派遣対象業務を専門業務に限定 する必要があるだろうということです。日雇派遣のような劣悪な働き方は、1999年 の派遣法改正時の対象業務の原則自由化が招いたものであって、軽作業派遣における低 賃金は非常に深刻であることから、1999年以前の段階に戻して、ポジティブリスト にしていくべきであると、専門業務に限定していくべきであると考えております。細切 れ契約で、不安定雇用の中に置かれている登録型派遣自体の問題点も非常に大きく、2 つ目の柱としては、常用型派遣を原則とする制度にしていくべきであろうと考えており ます。また、マージンについては、先ほど日本人材派遣協会からも過剰な利益を得てい るわけではないとのお話がありましたが、確かに過剰な利益を得ていない派遣業者の方 も多くいます。しかし、一部には過剰な利益を得ている所があります。3つ目の柱とし てマージン率の上限をきちんと規制していくべきだろうと考えております。  18頁に、いま一部では日雇派遣を規制するにあたって、2カ月以下の派遣規制とい う意見が出ていますが、2カ月以下の派遣規制では日雇派遣の根本的な規制にはならな いという私どもの考え方を記載しました。例えば、雇用保険の問題、低賃金の問題など を掲げています。現行でいま考え得るいちばん現実的な法改正の方向性としては、自由 化業務について有期雇用契約を禁止する、登録型を禁止する、常用型のみを認める形に していくべきだろうと考えております。 ○鎌田座長   どうもありがとうございます。最後に、人材サービスゼネラルユニオンの木村様から ご説明をお願いします。   ○木村政策副部長(人材サービスゼネラルユニオン)  UIゼンセン同盟、人材サービスゼネラルユニオンの木村と申します。よろしくお願 いします。  まず、私たちの労働組合の紹介をします。資料の1頁の下のほうに概要が書いてあり ます。結成は2004年5月、組合員数は昨年9月末現在で4万2,562人、このう ち内勤スタッフは1万3,997人、全体の32.89%、派遣スタッフは2万8,5 65名で67.11%です。私たちの組合は、いわゆる企業別組合ではありません。人 材サービスで働く会社ごとに、企業横断型の組合になっています。28分会という書き 方をしておりますが、ここは28社の内勤スタッフと派遣スタッフが集まって、私たち の組合を組織していることになります。現在、派遣スタッフの加入活動をどんどん促進 しており、このときの比率は67.1%なのですが、現在は派遣スタッフ数は更に多く なっております。  派遣制度に関する私たちの考え方ということで、1頁に簡単にまとめております。第 1に、派遣制度は社会にすっかり定着している。そういった中で、派遣がワーキングプ アであるということで大変イメージが悪くなっている。間接雇用であるために、不安定 雇用であってかわいそう、あるいはひどい働き方だと言われていますが、実際働いてい る私たちからすると、本当に私たちはかわいそうなのだろうかという疑問が出てきてい ます。派遣として働くことについてプライドを持っているという人も結構います。そこ を理解していただきたいと思います。  また、今問題になっている雇用契約2カ月以下の登録型派遣の禁止、あるいは日雇派 遣の禁止については、JSGUとしては反対します。その理由は、2頁以降に書いてお ります。働く側の視点ということで、登録型派遣で働くことについては、先ほど人材派 遣協会からもお話があったので重複するということで、深くお話しませんが、派遣で働 くことに対して自分はこういう働き方をしたいのだと、積極的に選んでいる人も結構い るということです。ここに書いてあるように、働きたい仕事内容が選べるとか、自分の 都合に合った働き方ができるといったことは、実際はフルタイムの正社員ではなかなか できない働き方なのです。登録型派遣で働く人は、自分の都合に合わせて働けるという ことで、こういった働き方を選んでいるのです。  次の頁ですが、日雇派遣で実際に働いている人の視点です。今問題になっていること で、関根さんもおっしゃいましたが、これについては大きく3つの問題があります。1 つは、派遣法の違反をしていること、労働基準法の違反をしていること、もう1つは常 時日雇派遣でしか働けない人です。この人たちは、雇用が不安定で、生活の維持が困難 です。このような3つの問題があります。これは、それぞれに解決していかなければい けない問題です。ただし、上の2つは法の違反ですから、現行の法で十分に対応できる のではないかと思います。したがって、こういった問題があるというだけで日雇派遣を 禁止するのは、話が飛躍しすぎるのではないかと考えています。  では、実際に日雇派遣で働いている人はどんな人だろうかということで、3頁の(4) に日雇派遣で働いている人々の構成を書いております。学生や主婦、本業がある会社員 が副収入を得るために働いていることが多いということです。これは全体の55%で、 残りの45%がいわゆるフリーターとなっています。  4頁に、それを一覧表にしたものがあります。ここにあるように、学生、主婦、社会 人、高校生のアルバイトといった方々については、今回あまり問題にはされていないと 思います。問題なのは、フリーターの中で、ここでは月15日以上の稼働とそれ未満と 分けてありますが、日雇派遣で生計を得ている人たちが19.6%いて、ここが問題で はないかと考えます。では、この人たちをどうするかに関しては、社会政策も併せて考 えていく必要があるのではないかと思います。  2ポツですが、「直接雇用を前提とすることの主張」、要は派遣では駄目だが、直接 雇用にすれば問題は解決するのではないかという主張があります。現に、日雇でなけれ ばならない、あるいはスポット的な仕事は存在しているわけです。日雇派遣だけをやめ たとしても、こういった有期雇用は必ず残ります。直接雇われれば、例えば給料が上が るのか、あるいは安定した雇用になるのかというと、決してそうではありません。であ れば、日雇派遣の制度を積極的に選んでいる人たちのためにも、この制度は残しておく 必要があるのではないかと考えます。  6頁3ポツです。では、現在の労働者派遣制度の問題解決のために取り組むべき課題 は何かということで、基本姿勢です。労働者派遣制度が定着した現在においては、労働 者派遣で働くこと、直接雇用などの他の働き方に比べ否定的なものとしてとらえるので はなく、その本来の社会的役割を発揮できる方法で整理していくべきではないか。そし て、労働者の雇用、生活の安定と生産性の向上による企業競争力の強化を同時に実現し、 労働者1人ひとりの仕事と生活の調和を実現しつつ、派遣制度の持つ労働力需給の創出 機能の高度化を図るべきではないかというのが、私たちの基本的な考え方です。当然の ことながら違反があってはまずいので、コンプライアンスの徹底、運用上問題となる点 の法的見直しが必要だと思います。  派遣労働者の保護と地位向上のための取組ですが、今までの日雇派遣をなくせという ことや登録型は規制すべきだという話は出てきますが、この中には、今ここで働いてい る派遣労働者に対する保護をどうすればいいのかという視点はないのではないかと思い ます。私たちは、まず派遣労働者のキャリア形成の安定が必要だろうと思います。キャ リアアップができるように、特定の派遣先を超えた継続的な就業機会の確保をしなけれ ばいけません。また、派遣労働者の希望する業務の派遣先の開拓を積極的にやっていか なければなりません。  次に、派遣労働者の能力向上機会の確保です。派遣先の社員と同等の教育訓練機会を 派遣先が確保すること、派遣元が行う教育訓練に派遣労働者が参加できるように、派遣 先が配慮すること。現行でもこういったことは書いてあるのですが、なかなかそれが実 行されていないということで、改めてここに記入しております。  そして、最も大切なことですが、派遣労働者の働きに合った処遇・賃金です。ここで は、正社員と派遣先で同じような仕事をしている正社員との均等待遇をどうするか。業 務別の最低賃金について、最低賃金は国で決まっておりますが、派遣において、特に専 門26業務等の最低賃金の設定をすべきではないか。派遣労働者の職業能力の適切な評 価をすべきではないか。職業能力や仕事に見合った公正な賃金、派遣料金の確保が必要 であると考えております。  社会保険制度については、日雇の場合は日雇雇用保険がありますが、実際には適用し ている所が少ないこともありますし、2カ月未満の雇用であれば社会保険の強制加入の 対象になっていませんから、この辺りも見直していく必要があるのではないかと考えて います。  個別については、派遣先は今までどうしても費用の流動化をする、あるいはコストカ ットのために派遣労働者を使ってきた実態があるわけです。はたしてこのままでいいの だろうか、これは問題があると考えています。そのような中で、派遣でいろいろな違反 が起こる中では、派遣元に当然責任があるのですが、それと同じように派遣先が派遣の ことをよく知らないということで違反行為が起こることもありますから、派遣先に派遣 のことをよく理解させるためには、派遣先責任者の講習の義務を課したらどうか。また、 派遣契約の中途で契約解除をすることがあります。これについては賠償をという話があ るのですが、通常派遣元、派遣先という力関係を考えると、なかなか賠償請求はできな いということがあります。そのしわ寄せとして、途中で契約を解除された時に派遣スタ ッフに対して、極端な話「今月いっぱいでいいよ」ということで、その後のケアがない ことがありますから、こういったことが必要ではないかと思います。   と、ずっといろいろ書いております。派遣法違反の場合の罰則規定については、派 遣先に対してあまり罰則規定がない。派遣元に対しては厳しい罰則規定があるというこ とから考えると不均衡であり、その責任に見合ったものが必要だと思います。派遣元に ついては、例えば登録派遣のうち一定割合の派遣スタッフの常用化をするようにしては どうか。  教育訓練の実施義務化ですが、これは売上げの一定比率を教育訓練費の形で課しては どうかということです。というのは、派遣会社の中にはきちんと教育する所もあります が、実際はあまりやっていない所もあります。そのような意味では義務付けが必要では ないかということです。違法な派遣をした場合の罰則の強化ですが、これは許可をもら って、特に一般労働者派遣事業は許可事業になっていますし、通常の企業以上に人を扱 う会社ですから、通常以上のモラルが要求されます。その中で違反をしたのであれば、 相当重たい、派遣の取消しも十分に考えてやっていく必要があるのではないかと思いま す。一番下ですが、日々雇用で派遣する場合の業務制限もやるべきで、危険業務につい て、教育もしないでただそこで働かせることはあってはならないということで、制限を 加えるべきではないかと考えております。  次は、専ら派遣に対する取締りの強化です。これについては、連合の高木会長も最近 盛んに言っておりますが、やっていく必要があるのではないかと思います。その他につ いては、先ほどもお話しましたが、常態として日雇派遣でしか働けない者に対して、教 育訓練や生活支援の制度化、あるいは派遣業許可に対する入口規制の強化、職業訓練と しての派遣制度の導入といったことを考えていただきたいと思います。 ○鎌田座長   ありがとうございました。それでは、質疑に入ります。これまでのご説明等について ご質問等がありましたら、ご自由にお願いします。一括でお願いしますので、特にどこ からとは固定しておりません。  私から皮切りに、今までのご説明を伺って、日雇派遣という言葉を皆さんお使いにな りましたが、何を指しているのかが今ひとつよく分からないところがあります。最近出 した指針では、いわゆる日々雇用と30日未満、短期雇用という定義があって、これは 法令上これしかないので、雇用保険上の定義でやっています。日雇派遣についてのいろ いろなご提言、ご意見を伺うと、日々雇用についておっしゃっているのかなということ と、30日未満ではなく、2カ月ぐらいの長期にわたっても日雇とおっしゃっているの かなと思います。あるいは業務の内容、つまりある種の専門職、通訳などは除いて、軽 作業に従事している方たちを日雇と言っているのかなとも思います。期間と業務と、期 間もどこまでを範囲にしているかということで、多少違いがあるのかなと思います。お 三方それぞれ、日雇派遣をどのようなイメージでお考えなのかをご説明いただければと 思います。 ○大原副理事長   確かに、日雇派遣をどう整理するかの切り口は、それぞれ異なっているのかなと思っ ています。私どもが考えているのは、期間の問題は先ほどご説明したとおり、従来から 1日単位の派遣がたくさんあって、そういう意味では期間で日々だからまずいのだとい うことはあり得ないと考えております。ただ、派遣契約が長期にもかかわらず、雇用契 約だけを細切れにするのは問題があるのではないかと思います。それは派遣期間に合わ せて一定程度、もちろん働く人のニーズにもよりますが、働く人のニーズにマッチする ならば、派遣契約に合わせてなるべく長い期間の雇用契約を締結すべきではないかと、 そのように整理をしております。  業務については、先ほど関根さんがお話しされた軽作業のことや、製造も含めてです が、危険性の高い業務、先ほどもご説明がありましたが、そういった業務について、そ こをどう派遣で働く方々の健康や安全を担保していくのか。そこは我々も真摯に取り組 まなければいけない問題です。本当に安全教育をしてきちっと日々派遣でもできるのか と言ったら、必ずしもそれは十分できていないのではないか。そんなことは考えていま す。したがって、業務の点については我々自身としても考えていかなければならない部 分があると定義をしています。  ただ、それ以外に先ほど言ったように、いわゆる従来から政令26業務の分野も含め て、さまざま有効に機能している、派遣先スタッフのお役に立っている日々派遣もたく さんあると理解しています。 ○鎌田座長   そうしますと、基本的に日々派遣ですね。日々雇用を考えているのですね。    ○大原副理事長   はい。 ○鎌田座長   そして、さらに業務も軽作業とか製造、あるいは危険度の高いものというイメージで 考えておられる。   ○大原副理事長   そこに問題があるのではないか。    ○鎌田座長   関根さん、いかがですか。    ○関根書記長   どちらかというと両方の側面があるかなと思います。日雇というもの自体が非常に雇 用は不安定になりますから、よくないと。いま日雇派遣で多く広がっている部分で言う と、2カ月、3カ月、場合によっては5年、10年も同じ所で働いているのに、1日ご との日雇の雇用契約で働いているケースも相談の中でありました。そういったものも非 常に問題だろうと思っています。  ただ、今回、こういったグッドウィルやフルキャストを中心に広がってきた日雇派遣 というのは、実は1990年代に軽作業請負という形で広がり始めた形態です。それが 99年の派遣法改正時に原則自由化され、軽作業の派遣もできるようになって以降、派 遣として広がったという側面が非常に大きい。むしろ業態としては軽作業派遣において 低賃金等の問題が非常に大きく広がっているのではないかと思っています。 ○木村政策副部長    私どもは、基本的に日々雇用が日雇派遣という認識でいます。    ○鎌田座長    あと業務のほうは、いかがですか。    ○木村政策副部長   業務については、軽作業を含めてイベントであるとかティッシュ配り、あるいは店頭 販売などいろいろありますので、業務について特定はしていません。   ○日比野会長   補足させていただきたいのですが、派遣登録者がどういうことを望んでいるかという ことで私どもが分析してみますと、1カ月未満で働きたいというのが登録者のうちの5 0%ぐらいいるのです。1週間だと32.9%ぐらいいます。どういう仕事を望んでい るかというといろいろな方がおられます。フルタイムでは家事ができないから少し働き たい。育児をしていて正社員では難しいので少し働きたい。平日働いているけれども土 日も働きたい。これをダブルワークと言っていますが、こういう方もかなりおられる。 あるいは小中学校の非常勤講師で週に2日か3日、学校で教えているけれども、余って いる時間を仕事で収入を得たい。ピアノの先生、翻訳者、通訳者の仕事をしたいから、 他では働きたくないという方が派遣で働いている。あるいは週に2日ほどボランティア をやっているけれども、他の日は何とか収入を得たいから弾力的な働き方で働いてみた い。司法試験の勉強をしている、税理士の資格を取りたい、フリーの漫画作家である、 海外に行きたい方等、こういう様々なニーズを持った方々で、派遣という働き方で弾力 的に働きたいという方がかなりいる。私も実際に調べて結構いるなと思いました。です から労働力の需給調整機能として、この派遣制度というのは先ほどゼネラルユニオンの 方も言われていたように、社会の中で非常に定着してきていることを、私は申し上げて おきたいと思います。   ○鎌田座長   もう一言だけ、皆さんは論点をよくご存じですけれども、登録型派遣をどうするかと いう問題と、日雇派遣をどうするかの両方言われているわけです。私が聞きたかったの は、つまり登録型派遣の問題と日雇派遣の問題というのは、たぶん区別されているので はないか。そうした場合に、いわゆる登録型と違う日雇派遣というのはどう考えておら れるのかと思ったのでお聞きしたのですが、1つは業務として違っているというイメー ジです。あと期間で言うと典型的日々雇用というのは、いわゆる登録型と言っても性格 が違うのだということです。   ○大原副理事長   私のイメージとしては、登録型派遣が大きな外側の枠にあって、その中に、いま議論 している1つの問題として日々派遣の問題もあるという理解です。   ○鎌田座長   固有な問題として、いわゆる登録型をどうするかという問題を議論するときに、日々 雇用の問題点を挙げて登録型問題だと言うのは、ちょっと違うのです。   ○関根書記長   私どもとしては、登録型派遣の問題点と日雇派遣を中心とする問題点と明確に違って、 特に日雇派遣の場合は、99年の対象業務の自由化によって相当拡大した部分が大きい ので、ここの規制をしていくべきであろうと考えています。   ○大原副理事長   先ほど来、99年の法改正のお話が出ているわけですが、一方、私どもの理解として 1999年の法改正は、いわゆるILO181号条約の批准に伴って改正がなされたも のと理解していますので、あそこの項目は、特定の状況以外のものについては原則自由 化するというスタンスに立った改正ですから、そこは私どもとしては、ある意味、当然、 そういった改正がなされて然るべきであろうと理解しています。99年の法改正がまず かったということではないと思っています。   ○関根書記長   私どもはILO181号条約が、対象業務を原則自由化するという考え方であるとい うのは、それは誤解であろうと思っています。   ○鎌田座長   わかりました。今議論の前提としてどう考えるかということで、後の具体的なそれぞ れのご意見については、各委員からご質問があればと思います。   ○山川委員   日雇派遣とはちょっと別の観点なのですが、それぞれから若干、雇用保険と労災保険 のお話があったかと思います。例えば日雇派遣の場合、雇用保険に加入するのが難しい という、制度的な問題点を意識されているように伺いましたので、そのあたりは具体的 にどういう点に雇用保険上の問題を感じられているかを、お伺いしたいと思います。労 災保険についても役割分担ということでしたが、労災保険は払うのは保険として国が払 うもので、保険料負担の問題かなとも思ったのですが、具体的にどのような改善が考え られるか、ご意見があったらお伺いしたいと思います。   ○大原副理事長   雇用保険の手続きについては、いわゆる印紙を貼る云々という手続きが確かにあって、 現実にそれがあるのだということは理解していますが、実務上、それを行っていくこと は実は私ども自身もそう経験があるわけではない。実際にやっているかということにつ いてはまだ経験がないのだろうと思います。そういう意味で果たしてそこがうまく回っ ていくのかどうか。そこは少し私どもも疑問を持っているところです。  一方、労災保険は逆に昔から議論されている話であって、派遣先にも一定の責任を考 えてもらいたい。前にこの議論が出たときは、例えば上乗せ補償などの問題があって、 同じ職場で同じ仕事をしていて事故に遭ったときでも、元のスタッフと先の従業員でそ この手当が違ってくることについては、技術論はともかく、何か同じような仕組みが考 えられないか。保険料の負担についても技術論はさておき、元先の双方で持ち合うこと はできないのかという議論を長く続けている状況です。ただ、具体性はまだありません。 ○関根書記長   雇用保険に関しては、日雇で仕事があったりなかったりという状態の日雇派遣労働者 は、一般の雇用保険の加入はなかなかできない。その代わり日雇雇用保険という制度が あるわけですが、日雇派遣労働者への日雇雇用保険の適用は、厚生労働省が昨年9月に 決定したばかりですので、実際上はまだその制度自体がうまく運用されていない。これ から運用されていくことになりますが、これがきちんと適用されて、日雇派遣労働者も 雇用保険に入るという形になっていくべきであろうと考えています。  もう1つ、労災保険の問題ですが、残念ながら日雇派遣においては、今回発覚してい るとおり違法派遣、二重派遣が非常に多いことから、労災保険にはきちんと加入してい るわけですけれども、実際、労災保険として届出をすると違法派遣が発覚してしまうと いうことから、労災保険をきちんと適用しなかったり、あるいは現場での事故を少しで もごまかすために、実は救急車を呼ばないというケースがすごく多いのです。私が相談 を受けていて非常に驚くのは、日雇派遣労働者が骨折や重大事故を起こしたのに救急車 が呼ばれない。今回、グッドウィルの事業停止のきっかけになった港湾労働における事 故の場合も、1トンの荷物がその人の左膝に当たるという大事故であるにもかかわらず、 救急車が呼ばれていないことが発覚しています。こういった労災隠しの実態ということ も非常に大きい問題であろうと考えています。 ○木村政策副部長   日雇雇用保険の件については、私たちも経験をするということでフルキャストさんの 所に話を聞きに行ったことがあります。実際、運用しても利用している人はほんの数人 で、それをどんどん広げていくかというと、そういう状況ではないというお話がありま した。ただ、今回、日雇に関する指針が出ましたので、これからそういった形で増えて いくのではないかと思います。おそらく厚生労働省も、この取扱いについては慎重にや っていかれるのだろうという気はしますが、そういったことでまず実例が少ないので、 それについて、今、どうということはなかなか言えないということになるかと思います。  労災については、先ほどお配りした資料の7頁の下に、労災発生時の使用者責任の強 化ということで、もちろん使用者というのは派遣元が使用者になるわけですが、実際に 怪我が起こるのは派遣先です。ここに書いてありますが、業務に起因し設備を含めた職 場環境等が原因で発生するのが労災なのです。ということであれば派遣先も、こういっ た労働災害が起こった時には相応の責任は取るべきだと思います。ただ、実際はどうな っているかというと、派遣元がほとんど後始末は全部やる。例えば賠償責任という問題 があったときも連名で訴えられて、和解をするにしても判決をもらうにしても連名です が、実際にその費用を負担するのはどちらかというと、派遣元が払わざるを得ない状況 がありますので、この辺については明確に派遣先にも、その責任というのをきちんと取 ってもらう制度が必要ではないかと思います。 ○有田委員   責任の問題について、いまお話が出ましたので、ちょっと性質は違うものですが、い まご指摘になった資料の7頁の2つ目のポツに、派遣契約の中途解除時の賠償責任の義 務付けという項目について質問します。これは派遣元が派遣先に対して賠償請求をして、 労働者に残りの賃金分を補償するという仕組みをお考えなのですか。   ○木村政策副部長   基本的にそういったことを考えていますが、そうは言っても、どこまで請求するのか。 派遣元については雇用契約期間中、派遣スタッフに対しては責任がありますし、きちん とした格好で賃金を支払わなければいけないですから、それとイコールになるかどうか は別として、ある程度派遣先にも、そういった意味で見てくださいということで書いて います。   ○有田委員    その場合に、先ほど言ったように派遣元と派遣先の力関係で実効性の面で問題が生じ るということは、お考えではないでしょうか。   ○木村政策副部長   ですから、そこについては明確に、そういう義務があるのだというふうなことを書い てあれば、派遣元も派遣先に話がしやすくなるということで、こういった表現にしてい るのです。   ○有田委員   法定義務として規定することを提案されているということでしょうか。    ○木村政策副部長   そうです。    ○鎌田座長   よろしいですか。    ○有田委員   もう一つ、次の8の2つ目のポツに、派遣元が不法行為をしているのを認知していた 場合の責任の明確化ということが出ていますが、「その場合には派遣先は派遣元と連帯 して責任があることとする」とあります。ここで言う不法行為というのは民法上の不法 行為ということでなくて、派遣法に違反しているとか労基法に違反しているなど法令違 反があった場合に、そういう逸脱行動をとっているのを承知の上で、そういう派遣会社 を使っていることに対して連帯責任を負うという趣旨で、理解してよろしいですか。   ○木村政策副部長   そういうことです。    ○鎌田座長   よろしいですか。ほかにいかがですか。    ○山川委員   日雇派遣のことですが、日雇派遣の場合の能力開発というのは、どういうふうにイメ ージをすればよろしいでしょうか。直接、それを行っている企業ではないのですが、も し何か知っているところがありましたら。   ○大原副理事長   いわゆる軽作業的なところを中心にやっているところで、どうなるかという話ですが、 昨年、事業停止命令を受けて、当協会としても当該会社に対して個別にヒアリングをし、 どのような改善策を講じていくかを指導し、またそのフォローアップを現在行っている ところです。  その中で出てきているものとして、2点お話します。1点は能力開発とはかけ離れま すけれども、例えば前日にその仕事の状況についての連絡が来て、要するに1日前に仕 事の連絡が来て、翌日現場へ行くみたいな話が先ほどありましたが、そこについてはま ず顧客との発注問題については最低限、4日前に発注をかけてくださいということで時 間的な余裕を確保し、そこでしっかりと業務内容の確認をする。働くスタッフの方にも 2日前までにそれを連絡する。そういったところについては改善を図っているとの報告 を受けています。  その上で能力開発の問題について、例えて言えば先ほど言ったとおり登録型全般にい ま言えることですけれども、今までいわゆる社会経験がないとか未就業であった方々が、 この派遣という形を通して仕事経験を積んでいく点からすると、必ずしも軽作業がダイ レクトに能力開発になるかどうかは別問題として、最終的に就業を繰り返し社会経験を 積んでいくというところについては、先ほど言ったように会社もそこは意識をしている と言っておられました。  それ以外に私ども一般登録型派遣企業としては、エントリーレベルの方々に対して、 社会人としてのマナーであるとか、コミュニケーションのとり方であるとか、そういっ たものの基礎的な訓練は、おそらく各社は相当程度実施しているのではないかと考えて います。 ○山川委員   ありがとうございました。ついでによろしいですか。日雇派遣から離れるのですが、 キャリアアップと言いますか、能力開発の段階的なことというのもあり得るかと思いま す。いわば目に見える形というか、能力の水準がこのように向上していくとか、そうい うことが何か工夫として示される。そういう事例とかはありますか。   ○大原副理事長   1つは、例えば事務に関して言えば、各派遣元ごとに事務処理能力についてそれぞれ のレベル判定をすべきツールを、各社とも一定程度持っていると考えています。したが って、そこでOFF−JTによるトレーニングを受けてレベルが上がっていく場合と、 然るべき派遣先の実務を通してキャリアアップをしていくのと、それぞれあるのかなと いう理解をしています。   ○山川委員   それは、いわば直用の方についての能力段階の判定ツールを、派遣の方にも使ってい る場合がある、あるいは使い得るということですか。   ○大原副理事長   それは派遣先の協力があった場合になります。まずは、元の判定ツールを使って、と いうことです。   ○山川委員   失礼しました。    ○関根書記長   今のお話で、たぶんそういった能力開発のツールを持っているというのは、日雇派遣 を主にやっている会社ではなくて、従来の専門業務を中心とする会社だと思います。日 雇派遣業者においては残念ながら、事実上、能力開発の何らかのシステムというのはほ とんど皆無だろうと見ています。もともと日雇派遣は物流を中心に相当広がっていると ころなのですが、繁閑に合わせた雇用調整の調整弁として日雇派遣が相当活用されてい て、頭数として揃えられるという構図であるために、残念ながらほとんど使い捨てで、 どんどん人を入れ替えるという形で使われているので、日雇派遣が日雇派遣として認め られているままで能力開発というのは、残念ながらあり得ないだろうと思います。  実際に今、そういった日雇派遣で働いている方には、40代、50代の高齢の方もい らっしゃるし、リストラや倒産で職を失った方もいらっしゃるわけですが、主に20代 後半から40歳ぐらいまでの、ちょうど就職氷河期に職業生活を迎えた方々が、職業生 活のスタートからフリーターやアルバイトとして職業生活を始めて、今現在、やむなく 日雇派遣で働いているという方がたくさんいます。能力開発とか、あるいは就職支援と いうことが今盛んに言われていますけれども、そういったことによって安定した仕事に 就けるのかというと難しい。補完的にそういったものは必要であろうと思いますが、そ れ以前の問題として安定した雇用あるいは生活できる仕事、質の良い雇用をもっと増や していかない限り、いくら能力開発や就職支援をしたところで、今のワーキングプアの 問題は改善できないだろうと思っています。 ○日比野会長   今関根さんがおっしゃったことで、事実、そういうことがいっぱいあったと思います。 ただ、データがないのです。我々の業界団体は昭和61年、一般の対象業務2号から9 号並びに11号、10号中心にやってきました。それで派遣法ができてから職安の方々 と一緒になって理解しながら、わからないのは本省に聞いたりして、20年かけてきち っとやってきたのです。特に日雇の関係は我々の業界というか、自由化されてから入っ てこられたこともあるのですが、今の関根さんのおっしゃることもよくわかるけれど、 データがないですね。一体どれぐらいの人数がこういう問題で困っているのか。ですか ら、今日雇の問題を組合の方やマスコミの方がおっしゃるのですが、一体どれぐらいの 人数が、こういう問題に関係してくるのかというのは私は実際につかめない。この前、 私が関根さんに派遣春闘のことでお聞きしたら、関根さんが実際に働いてみて、そうい うことからだったということもおっしゃったので、なるほどと思ったのですが、ただ、 もう少しデータをいろいろなところから取る必要があるという気がします。   ○橋本委員   先ほどから、日雇派遣と登録派遣は区別できるのか、あるいは特殊性について議論が あったと思います。今後の法制を考える上で重要な点だと思いますが、雇用保障という 点で、日雇派遣が登録型派遣と大きく異なるのか、全く違うのか。あるいは登録型派遣 も、雇用契約が終わって次の派遣先が見つからなければ雇用を中断するので、雇用が不 安定という点では不安定雇用ということで変わらないのか。日雇派遣でも毎日仕事があ って、そういう場合は雇用が続くと考えていいのか。雇用保障という点で、この両者が 変わるのか変わらないのかという点について、ご意見を伺えればと思います。   ○日比野会長   いわゆる働く選択肢というのはいっぱいありますよね。ですから派遣という選択肢で 働くのか正社員で働くのか、あるいはパートやアルバイトで働くのか、私はさまざまだ と思います。使うほうだっていろいろじゃないですか。ですから私は制度そのものが悪 いというわけではなくて、いろいろなものに即した働き方にすればいいと思います。  ただ、いわゆる登録型派遣は不安定だとおっしゃいますけど、これはいわゆる民間需 給制度部会で審議してきて、組合と使用者と三者三様の意見ですし、非常にわかりにく くて使いづらい法律になったのです。だから、もし登録型でも期間制限がなければ、そ れなりにもっと安定するのではないか。そういうこともよく制度の問題を考えて、もっ と国民も国もいい制度にしていけば、そういう問題だって解決できるのではないでしょ うか。 ○関根書記長   今、橋本先生がおっしゃった雇用保障という観点からすると、日雇派遣も登録型派遣 も、(もちろん日雇派遣は登録型派遣に含まれるわけですが、)その問題点というのは、 程度の差こそあれ、雇用が不安定であるということです。日雇派遣となると「明日はな いよ」と言われてしまえば仕事を失ってしまうわけですから、その不安定さにおいては 非常にひどいものです。一方、登録型派遣ですが、今多くのOA機器操作等で働く労働者 は3カ月更新で働いています。3カ月目ごとに更新されるかどうかという不安を抱えて いる労働者も大変多くいますので、仕事があるときだけ雇用契約を結ぶという登録型派 遣も、日雇派遣のように日々不安定だというほどひどくはないものの、やはり不安定な 雇用であることには変わりないだろうと考えています。   ○木村政策副部長   私どもも日々雇用と登録とは、ちょっと別に考えています。日々雇用というのはどち らかというとアルバイトというイメージを持っています。登録型についてはある一定期 間、業務を行うということですから、日々に比べると雇用は少しは安定している。とは いっても短い期間で更新を続けていくという現実があります。いま人は不足しており、 派遣先はたくさんある。こういう時期であれば、その派遣スタッフはある所が終わって も次の所を紹介して、派遣先をつないでいくことで、かなり長期にわたって働いている。 昨年末、厚生労働省が発表した資料からも、そういったことはうかがえます。これは1 つ大事なことだと思います。  派遣労働者の雇用の安定はしなければいけないのだと思います。これは派遣法の第1 条にも書いてあります。ただ、必ずそこで問題になるのが、いわゆる正社員の代替要員 になってはいけないというところがありますから、それをずっと続けることは果たして いいのだろうか。そうなってしまった時に本人が望めば別ですが、例えば正社員の口が ない場合に、ずっと派遣という身分のまま働くことが果たしていいのだろうかという疑 問はあります。  第1回の研究会のときに先生がおっしゃった、伊予銀の事件がありましたね。通常、 有期雇用であれば、派遣以外のところは何回も更新していけば、例えば雇止めをすると きにいわゆる解雇濫用の法理がありますね。これが類推適用されるのですが、派遣の場 合はそこがないわけです。それはなぜなのかなと思って判決を見ると、要は派遣という のは臨時的、一時的なものだから、裁判所としては、派遣スタッフはいわゆる期待権を 持ってはいけないという判断ではないかと思われます。そうであるとすれば、現在の派 遣が期間を区切っていることが、かえって派遣労働者の雇用の不安定を助長しているの ではないかという気がしてなりません。  私の判決の読み方が間違っているかもしれませんが、そういったことを考えたときに、 1年もしくは3年というのがありますけれども、果たしてそれが適切なのか。代替を予 防するには、例えばドイツの派遣制度のように、別な方法があるのではないかというこ とを考えたりしています。 ○鎌田座長   期間の限定というのは雇用契約の期間の限定でなくて、後段の部分は派遣期間の話で すね。   ○木村政策副部長   そうですね。    ○鎌田座長   わかりました。    ○大原副理事長   雇用の安定という質問ですが、確かに労働者保護という視点に立った場合の雇用の安 定をどう考えるか。これは本当に大事なことで、それは十分に私どもも理解しています。 ただ、一方で、いま企業側サイドに立った視点で物を言うと、なかなか難しい背景があ りますので言い方が難しいのですが、企業側の視点に立った場合に、経済のグローバル 化であったり、商品のサイクルが極めて短くなってきたりということで、その中で雇用 の源である企業そのものが、黒字で存続していくためにはどうしたらいいかという視点 も、一方で考えていく必要がある。ですから企業側の視点と労働者保護の両方からそれ を見ていったときに、どこに均衡点を見い出していくか。そういう物の整理の仕方とい うのは極めて重要ではないかと考えています。  雇用の安定ということについては、私どもも3カ月単位よりは6カ月、6カ月より1 年のほうが雇用管理も安定しますし、企業収益としても安定するわけです。ただ、今言 ったような派遣先の事情ということもありますから、その中で我々は3カ月は6カ月に し、6カ月は1年にする努力は一方でしている。  もう1点、働く側の方のニーズもあるのです。せっかく6カ月契約があるのだから6 カ月で契約しましょうと言っても、私は3カ月単位で身を軽くしておきたいという方々 もいらっしゃるということは、申し上げておきたいと思います。 ○鎌田座長   また私から申し上げますが、ご主張で日雇派遣の禁止は関根さんのところでおっしゃ っていて、登録型も禁止ということでしたね。木村さんのところでは反対しますという ことなのですが、9頁に「日々雇用で派遣する場合の業務制限」という文章があります。 「日々雇用の派遣をする場合、派遣労働者の安全と健康を重視する観点から、危険度が 高く安全を担保できない業務については派遣を制限すべきである」と、このご趣旨は、 つまり危険度が高く安全を担保できない業務についての日々雇用は禁止すべしという主 張ですね。   ○木村政策副部長   そういうことです。    ○鎌田座長   ですから、全面禁止には反対だけど、危険度が高く安全が担保できないものについて は禁止すべきだと、こういうことですね。話を戻しますが、関根さんにご質問します。 登録型の問題点を指摘され、それから日雇についても指摘されたのですが、特に登録型 について需給調整機能という観点から、登録型派遣というものをどう評価されているの でしょうか。   ○関根書記長   派遣会社というのは多数の顧客、クライアントを抱えて、それをマッチングしていく という機能を持つわけですので、本来ならば常用型が適した働き方なのだろうと思いま す。つまり常に労働者に対して仕事を紹介できる。継続的に紹介できるというのが派遣 会社の本来のあるべき姿であって、そういった意味で、常用型を原則とする制度に移行 していくべきであろうと考えています。  確かに派遣業者の需給調整という機能において、特に専門性が極めて高く需給調整が 困難なもので、直接募集してもなかなか採用が困難だと言われる業務については、一部、 そうした形での需給調整機能というのは必要なのかもしれませんが、その場合も極力常 用型を原則とする。例えば、今既にSEやプログラマー等で行われているような、常用 型派遣を原則とする制度にしていくべきであろうと考えています。 ○鎌田座長   ご主張はわかるのですが、そうしますと、例えば登録型を禁止したような場合に、臨 時的、一時的な業務の労働需要に対して、では派遣会社以外のどこが、その需給調整機 能を果たしていくとお考えなのでしょうか。   ○関根書記長   1つには、臨時的、一時的なものについては直接雇用で対応すべきであろうというこ と。そして直接雇用で十分対応しきれない部分については、職業紹介で対応していくべ きであろうと考えています。   ○鎌田座長   わかりました。今度は派遣協会の方にお聞きしたいのですが、今関根さんのおっしゃ ったことはお聞きだったと思いますけれども、つまり派遣会社の存在意義みたいなとこ ろに関わる話だと思います。つまりなくても大丈夫だよと、簡単に言えばそういう話か なと思います。直接に労働者が雇用先を見つけるのと、紹介という2つのツールを指摘 されたのですが、それとの比較で派遣会社の需給調整としての固有のメリットは、どう いうところにあると思われますか。   ○大原副理事長   先ほどもご説明したとおりですが、そもそも登録型派遣の機能というのは雇用機会の 創出機能です。しかも迅速、的確ということです。そういった点では私どものこういっ た数多くの派遣先、数多くのスタッフがいるからこそ、双方のそういったマッチングが 可能だと思っています。もちろん直接雇用を希望する人は、そういう道の支援といった ことは必要だと思っていますが、今、こういった情報化の時代において、いい意味で効 率的な職探しができる。あるいは直接雇用を希望する場合などについても、それをステ ップにしながら正社員になることも不可能ではないわけです。そういう意味で言うと、 私どもはある意味で情報産業と言いますか、そういった点では幅広くそういう方々のお 役に立つ。これは企業サイドのニーズも当然あると理解しています。そういう意味では、 迅速、的確なマッチングは重要なメリットではないか。  それから、これも先ほど申し上げたと思いますが、一旦失業した時に、本人が次の職 を見つけるときの1つの方法として、派遣を活用される方というのは非常に多いと私ど もは理解しています。そういった意味では比較的早い機会に次の職に就けるのも、この 派遣のメリットではないかと思っています。 ○鎌田座長   今おっしゃったのは、個々の労働者がどういうふうに情報を得るのかという観点から 考えると、派遣会社は情報産業としてメリットを持っていますよというご主張でしたね。 職業紹介というもう1つの情報産業と言うか、雇用サービス業がありますよね。職業紹 介とこの派遣というものは、もちろん法的には違うのですが、いわば情報を取り扱う事 業としての違いという点で何かメリットがあるのですか。   ○大原副理事長   紹介にはないメリットということですか。    ○鎌田座長   つまり紹介が取り扱う労働者との差があるとか、あるいは業務に違いがあるとか、そ ういうようなことですけれども。   ○大原副理事長   職業紹介における部分については基本的に直接雇用で、もちろん、今有期雇用でもそ れは可能なわけですけれども、どちらかというと正社員雇用が多いというのが実態だと 理解しています。そういう意味で言うと、職業紹介で職を求めてくる方のニーズと、一 般登録型で職を求めてくる方のニーズは、一定程度差があるのではないかと思っていま す。職業紹介の場合は、職に就くまでの期間というかプロセスには、一定程度の時間も コストもさまざまかかるのではないか。でもその分、そういう丁寧な職業紹介をするこ とが必要なのではないかと思っています。  一方、派遣の場合は比較的早く仕事に就きたいという方々のニーズもたくさんありま すので、そういった点で基本的にそこのニーズは異なっているのだろうと思っています。 それぞれのメリットはあると思っています。 ○関根書記長   今の私が申し上げた職業紹介と、大原さんがおっしゃっていた職業紹介はだいぶ違う と思います。迅速なマッチングという意味で言うと、例えば配膳とかマネキン紹介等の 業界で相当広がっている職業紹介です。大原さんがおっしゃっていたような正社員型の マッチングという意味での職業紹介を意味していたのではなくて、日々の迅速な対応に ついては日々の職業紹介で十分対応できるだろうということです。そういった意味では、 いま広がっている不安定な部分の雇用調整は、派遣のメリットとはちょっと違うのでは ないか。むしろ日々の需給調整については、職業紹介で十分に対応可能であろうと考え ています。   ○木村政策副部長   直接雇用ということと派遣でということで、こういう例があります。私どもでも派遣 先企業が直接人を募集していますし、派遣会社も募集しています。給与はほとんど変わ りません。むしろ派遣のほうがいいこともあります。そういうときに、なぜ直接派遣先 に行かなかったか聞く場合があります。そうすると、直接向こうに行ったら、何でもか んでも仕事を押し付けられそうで嫌だ。派遣の場合は拘束力があまりないから、だから 派遣にしているのだという人も結構いるのです。そういったことを考えれば、職業紹介 にするというのもひとつの手だとは思いますが、今特に若い人たちの中に、そういった 意見を持つ人が結構出てきているということを考えれば、これはこれなりに住み分けを して、やっていくということが重要ではないかと思います。   ○日比野会長   ですから、短期、断続的に働くという方が結構いると先ほど申し上げましたが、職業 紹介というのはお客様のほうへ実際に行っていただくわけですから、そこへ行って非常 に短い期間だと、またどこかへ行かなければいけないとなりますから、非常に情報も少 ない。派遣という選択肢だと派遣会社と連携をとりながら、そこの社会保険を使いなが らでも、またどんどん次の仕事を紹介してくれますから、非常に安心して働けるという こともあります。ですから、かなり意味合いが違うというふうに私は思っています。   ○鎌田座長   わかりました。 ○山川委員   この間、あまり出てこなかったことですが、派遣ユニオンさんの方では要求事項の中 にちょっと書かれていますけれども、それぞれから事前面接についてのお考えを、簡単 にお聞かせいただければと思います。   ○大原副理事長   私どもは、いわゆる派遣労働者を特定する行為については、現行の規制はもう少し緩 和していいのではないかと思っています。よく事前面接の解禁を求めるという表現が出 るのですが、私どもは事前面接そのものを解禁してくれとは申し上げていません。ただ、 表現としてはそういうふうに書かれて出るケースが多いものですから、まず前提として は派遣元としての存在意義、派遣事業の意義です。あくまでも派遣元が雇用主であって、 その仕事に見合う方を責任を持ってアサインする。これは決して変わらないものだと思 っています。  ただ、今の仕組みで申し上げると、派遣先側の意向、希望に伴う、いわゆる事前の打 合せ的なものというのは一切できない仕組みになっています。あくまでもスタッフ側が 希望した場合についてのみ事前の事業所訪問という形で、それができるとなっています。 ただ、実際には多くの企業、多くの派遣の仕事について、派遣先と派遣労働者の相性で あるとかマッチングであるとか、そういったものの精度を上げていくために、当該スタ ッフについての派遣先の意見や意向をよく聞いた上で、最終的に我々がアサインすると いうことは必要なのではないか。ミスマッチ回避のためにそれは必要なのではないかと 思っています。したがって、事前面接と言うと、すべて採用権を先方に委ねるというこ とでは全くない。我々が言っているのはそういうことではないと理解していただきたい。 ○関根書記長   事前面接については、今でも相当行われているというのが実態です。既に99年に法 律上、事前面接が明確に禁止された直後に、派遣労働者が希望する場合は職場の見学に 行くことはいいよという趣旨の厚生労働省の通達が出されたことから、「職場見学」と いう名称で事前面接が行われているのが実態で、派遣先・派遣元の力関係の中で、残念 ながら派遣先が圧倒的な決定権を持って派遣労働者の選定を行っている状況にあります。  面接の際に派遣先が、この人でいいよ、悪いよと決めてしまうというのが現状である わけです。本来、派遣という制度はその人の持っている職務経験や能力で判断されるべ きところ、残念ながら年齢や容貌、あるいは家族構成の問題で不当な差別を受けてしま う。そういう差別の温床になっているというのが、今の事前面接の現状であると私ども は認識しています。  本来、派遣制度というのは、派遣会社が責任を持ってアサイン、マッチングするとい う制度であって、どの派遣労働者を選定するかという決定権を派遣先に譲り渡してしま うような事前面接を認めてるのだとすれば、それは限りなく職業紹介に近い制度になっ てしまうと考えています。 ○木村政策副部長   私どもは派遣協会の言われたように、派遣スタッフが自分がこれから働く先を見たい というものについては、今もそれは認められています。ですからそれについてはいいだ ろうと思います。事前面接については、登録型であればちょっとまずいのではないかと いう気がします。それは登録型で、まだ雇用関係を結んでいない人を事前面接に連れて 行くというのは、派遣会社が採用であるとか、その人の技能を見極めるといった大事な ところを自ら放棄することになるのではないか。  したがって、例えば特定型あるいは常用型の人で、既に派遣会社と雇用関係がある人 たちについては、多少は認めてもいいのではないかと思いますが、登録型でまだ雇用関 係も何もないのに、派遣先に行って事前面接をやるというのはまずい。しかもそういっ たことをすると、派遣先に数社に頼んでいることが多いわけで、そうすると実際に仕事 が決まるまでの間、その派遣登録者は待たされなければいけない。採用されるか採用さ れないかもわからない。あげくの果てに駄目でしたというのはよくないと考えます。 ○有田委員   人材派遣協会の方にお伺いしたいのですが、先ほど来、派遣事業の雇用創出機能とい うことをおっしゃっているのですが、私のイメージで雇用創出と言うと、例えば経済状 況がよくなって、雇う側の企業として採用枠が増えて雇用が増えるというものですが、 おっしゃっているご意見を伺うとどうもそうではなくて、派遣だとたくさんマッチング ができますということのようです。しかし、それはある雇用を結び付けるということで あれば、先ほど来出ている職業紹介と変わらないのではないか。そうすると、お考えな のは、派遣という形態の雇用は今たくさん増えている。だから派遣というのは雇用創出 機能を持っているという理解でよろしいのでしょうか。   ○大原副理事長   私が先ほどから申し上げているのは、雇用機会を創出しているのではないかというこ とです。雇用そのものを我々が生み出すことはできないわけですが、その雇用機会をた くさん提供することは、我々ができるのではないかと申し上げているつもりです。おっ しゃるとおり、我々が派遣先で仕事を作ることができるわけでは全くありませんので、 そういう意味では派遣先のニーズ、働く人のニーズをマッチングさせる、まさしくその 機能のことを申し上げているとご理解いただきたいと思います。   ○有田委員   もう1つ、先ほどから派遣と職業紹介の違いが少し議論になっているのでお伺いした いのですが、派遣と紹介で一番違うのは、派遣の場合には派遣元が雇っていますね。そ の下で先ほど来出ているキャリアアップのための訓練をする。そういうのはまさに派遣 の存在意義の1つであるという理解が可能ではないかと思いますが、そういう考え方で 見て、実際の派遣業務が行われているときに、先ほどの事前面接にも関わりますが、こ ういう能力を持った人がほしいということで具体的な職務内容に踏み込み、これぐらい の能力でこういう経験があってという要望が、かなり個別具体的に細かく出てきて、そ こですり合わせをして派遣していくというのが実態なのか、その辺のところを伺いたい のです。   ○大原副理事長   派遣スタッフのニーズということも踏まえると、そこの仕事そのものの情報というの を相当細かく持っていないと、派遣スタッフのニーズとマッチングさせることは難しい だろうと思っています。とりわけ先ほど言った能力開発やキャリア形成を意識したマッ チングを図っていくためには、それぞれの派遣の業務、オーダーについて、今現在、ど の程度の能力があれば対応可能なのか。今度はそれを一定程度習熟していくことにより、 どの程度レベルアップしていくことが可能なのか。場合によってはそれによって派遣料 金はアップすることが可能なのか。これはイコール派遣スタッフの処遇の改善につなが るわけです。そういったように相当程度細かく派遣業務についての情報を持っていなけ ればならない。これは各派遣元も取っていると理解しています。   ○鎌田座長   そろそろ時間も迫ってきたのですが、残った論点で私から簡単にいくつか聞きたいと 思います。専ら派遣ですが、これについて木村さんの方は、専ら派遣に対する取締り強 化というご主張です。固有名詞は要りませんが、具体的にどういった問題があるのか、 そういうデータを持っておられたら教えていただきたいと思います。   ○木村政策副部長   具体的なデータというのは、残念ながらいま手元にはありません。ですから一般論と して聞いていただきたいのですが、いわゆる社員をリストラするときに、その人たちを 別会社で派遣会社を作って、そこに移籍させるというものがあります。もう1つは、新 卒の採用をすればいいのでしょうが、社員にするとどうしてもコストが大変だというこ とで、グループ内に派遣会社を持っている場合は、そこで採用した人を、そのグループ の親会社に派遣することが結構行われている。それは考えてみれば、派遣のメリットを 活かすのではなくて、コスト削減だけのためにやっているのではないか。それはまずい でしょうということです。   ○鎌田座長   次に関根さんにお聞きしたいのですが、マージン率の上限規制というのをおっしゃっ ていますね。   ○関根書記長   はい。    ○鎌田座長   先ほど派遣協会の方から、派遣料金マイナス賃金と言っても、そこは言わば経営コス トというものが入っているので、それが純利益というのとはちょっと違うのではないか というご意見があったと思います。それを踏まえて、このマージン規制という趣旨をも う少し具体的に教えていただけますか。   ○関根書記長   先ほど日本人材派遣協会さんからもお話があったとおり、適正なマージンを取って事 業運営している会社もたくさんあると思います。その一方で、本当にこれは適正とは言 えないというくらい多くのマージンを取っているのもある。私どもがマージンと言った 場合は、単純に利益という趣旨で言っているわけではありません。例えば30%のマー ジンを取っていたとしても、その中の社会保険料の使用者負担分や有給休暇見合い分な ど、さまざまなコストがかかりますから、その中の一定程度しか純利益にはならないこ とは承知の上で、派遣料金から賃金を引いた額を私どもはマージンと呼んで、そのマー ジン率を規制していくべきだろうということです。例えばマージンが4割、5割、6割 となってきたら、これは明らかに不適正であるわけですから、一定程度のマージン率を 上限として、例えば3割などのマージン率の上限を政令で定めるような法律上の規制を していくべきだろうと考えています。   ○鎌田座長   わかりました。今のそれぞれのご主張について、派遣協会の方、何か一言ありません か。   ○大原副理事長   賃金の話ですか。    ○鎌田座長   時間が押してきましたが、公平の観点から何か一言ありますか。    ○大原副理事長   私どもは、派遣スタッフのエージェントとして機能している部分がたくさんあると思 っています。ですから賃金だけを議論されるといかがなものかなと思います。全体のサ ービスの提供という点で評価をしていただきたい。いずれにしても、その取得率を人為 的に定めるということについては、基本的に賛成できないという立場です。   ○鎌田座長   他の先生方、何かありますか。よろしいですか。それではこの辺で日本人材派遣協会、 派遣ユニオン、人材サービスゼネラルユニオンからのヒアリングを終了とさせていただ きます。本日はご説明いただいた皆さんにおかれましては、お忙しい中を本当にありが とうございました。皆さんからいただいた貴重なお話を今後の研究会の研究の中でも活 かしていきたいと思います。ありがとうございました。本日のヒアリングは以上ですが、 他に何かご発言はございますか。特にないようでしたら、今後の日程等について事務局 から説明をお願いします。   ○田中企画官   次回の研究会ですが、4月11日(金)の14時からを予定しています。次回ですが、 本日に引き続きまして関係者からのヒアリングを行う予定です。実際に派遣業を行って おられる派遣元の企業、派遣を受け入れている派遣先企業、派遣で働いておられる労働 者の方をお呼びして、実態面を中心にヒアリングを行いたいと考えています。個別の企 業、労働者に関してのヒアリングになりますので、次回につきましては非公開とするこ とを予定していますので申し添えます。   ○鎌田座長   これをもちまして第3回の研究会は終了させていただきます。本日は皆様、お忙しい 中、ありがとうございました。 照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課需給調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5745)