07/3/12 第13回 医薬品・医療機器等対策部会 議事録 第13回医薬品・医療機器等対策部会             日時 平成19年3月12日(月)             14:00〜16:00             場所 厚生労働省17階専用第18〜20会 議室 ○事務局   定刻になりましたので開催いたします。開催に先立ちまして傍聴の皆様にお知らせ します。傍聴に当たっては、すでにお配りしている注意事項をお守りくださいますよう お願いいたします。 ただいまから「第13回医薬品・医療機器等対策部会」を開会します。本日の部会は、 従来の取扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは議事に入る前まで としますのでご理解とご協力のほどよろしくお願いします。  本日ご出席の委員の先生方におかれましては、ご多忙のところご出席いただきま して誠にありがとうございます。本日は、本部会委員14名中12名のご出席をいただ いています。なお、石川委員、北澤委員は欠席とのご連絡をいただいております。  それでは、以後の議事進行を部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。 ○桜井部会長   最初に、事務局から資料の確認をお願いします。 ○事務局  本日の議事次第、配布資料一覧、座席表、委員名簿に続き、資料1は「第17・18 回ヒヤリ・ハット事例収集結果−医薬品・医療機器情報について−」です。最初の3 枚と別紙1〜別紙2までが一綴りになっております。最後の頁は、別紙2の2となって おります。別紙3と別紙4が一緒に綴じてあります。こちらは、裏表両面に印刷してあ りまして、別紙3の1頁目から別紙4の28頁目までとなっています。  資料2は「医療事故情報収集等事業報告書」、第8回の報告書です。委員の皆様 には、本日お手元に印刷したものをお配りしています。なお、傍聴の皆様へは本日お 配りしておりませんが、この報告書は財団法人日本医療機能評価機構のホームペー ジに公表掲載されておりますので、ホームページでご覧ください。  資料3は「医療安全管理者の質の向上に関する検討作業部会」で、表紙と開催要 綱、委員一覧等が5枚で一綴りにしてあります。  資料4は、「集中治療室(ICU)における安全管理指針検討作業部会」で、表紙と 関連要綱、委員一覧等を5枚で一綴りにしています。  資料5は、「医療機器安全対策検討ワーキンググループについて」です。表紙と検 討内容、開催要綱の3枚を1つに綴じております。  最後は参考資料です。医薬品・医療機器等対策部会設置要綱と厚生労働省医 療安全対策検討会議の組織図を添付した、4枚の資料になっております。以上が本 日の資料です。資料のご確認をお願いします。過不足等がありましたら、事務局まで お申しつけください。 ○桜井部会長   よろしいでしょうか。それでは、議事次第に従って進めます。議題1は「第17・18回 ヒヤリ・ハット事例収集結果について」です。事務局からご説明をお願いします。 ○事務局   資料1をご覧ください。本報告は、平成18年6月15日及び平成18年9月13日 に、財団法人日本医療機能評価機構がそのホームページに公開した医療事故情報 等収集事業第5回及び第6回報告書の中のヒヤリ・ハット事例記述情報を、独立行 政法人医薬品医療機器総合機構が調査し検討した結果を報告したものです。  次頁ですが、こちらは平成18年度第2回ヒヤリ・ハット事例検討結果を医薬品医 療機器総合機構から報告いただいたものです。第5回報告書及び第6回報告書には、 平成17年7月から平成17年12月までに発生した事例で、平成17年8月16日か ら平成18年2月13日まで、日本医療機能評価機構に報告のあった医薬品及び医 療機器に関する第17回及び第18回のヒヤリ・ハット事例の記述情報が掲載されて おり、医療品・医療機器の「物」に起因する事例について、医薬品医療機器総合機 構で専門的観点から対策検討を加えたものです。  検討の方法は、医薬品医療機器総合機構で医薬品・医療機器としての観点から 安全管理対策に対する専門的検討を行うため、医療従事者、学識経験者等の専門 家及び医薬品・医療機器製造販売業者の代表から構成される「ヒヤリ・ハット事例検 討会」を開催し、製造販売業者等による医薬品・医療機器の物的要因に対する安全 管理対策について検討し、報告いただきました。  今回の公表情報を基にしているヒヤリ・ハット事例の対象記述事例総数は、306件 です。医薬品関連情報が166件、医療機器関連情報が140件でした。事前に委員の 皆様にお配りしている資料の集計と件数が若干異なっておりますが、こちらでもう1度 集計し直した結果、番号が抜けているものがあったり、同じ記述が2回あったり等で、 このように訂正いたしました。申し訳ございませんでした。  医薬品関連情報については、検討会での事例の検討結果について、製販業者等 に対する対策が必要又は可能と思われる事例として、医薬品関連では8件ありまし た。これは別紙1の1〜3頁までと別紙2の1頁に付けております。医療機器関連は、 17件を別紙1の4〜7頁まで、及び別紙2の2頁に検討内容を載せてあります。  また、検討の結果ヒューマンエラーやヒューマンファクター等のみに起因すると考え られる事例、すでに十分な対策が取られていると考えられる事例、及び詳しい情報が 不足のため検討が困難と考える事例等は、医薬品関連情報では158件を別紙3に、 医療機器関連情報は123件を別紙4に、誤りまたは影響を与えた医薬品名及び関 与した機器の種類を加えて載せてあります。医薬品についての詳しい説明は、土屋 委員からお願いします。医療機器については、そのあと事務局からご説明します。 ○土屋委員   先ほどありましたように、ヒヤリ・ハット事例が医薬品に関しては166件ありました。 この中の8件、別紙1のものについては、今後、物部会としての対策が必要ではない かと感じていますが、別紙3の158件は、物として取る対策はすでに取られている、あ るいは通常臨床の場で起こるヒューマンエラーの部類に属するであろうと思います。  別紙3については、すでに物としては対策が取られているのですが、現場でまだそ れが理解されていない部分もありますし、それを防ぐ調剤方法で、重大な事故を起こ す可能性のあるものは薬歴を取って調剤をするといったことで、実際のエラーを防ぐ 仕組みがあるのですが、まだそれを取っていない医療機関があるので、医療機関側 が今後事例を見て、自分の所でどう対応を取るのかを決めていかなくてはいけないと 思います。おそらく、この4月の法改正で医薬品の安全管理手順書、業務手順書を 作らなければいけないのですが、そこでは各病院が自分の所で自分の施設に合った ものを作ることになるので、今後は手順書にあったけれど間違えたのかどうか、手順 書の遵守状況もチェックしていくことが必要かと思います。そういったものがほとんど でした。  資料1の3頁目にあるように、今後対策を講じなければいけないものとして、プレフ ィルドシリンジの問題、あるいはインスリン製剤の問題があるかと思います。プレフィ ルドシリンジについては、一時期医療安全上非常に有意義だということでプレフィルド が出たわけですが、残念ながら現在230を超えるプレフィルドが出ています。したがっ て、2頁目にあるようにプレフィルドの取違え事故です。プレフィルドは、そのもの自体 がすでに概観が類似しているわけで、そういった注意をしなくてはいけない、あるいは 何でもプレフィルドを採用すれば安全だという考えが、医療機関の側に染み込んでい るかもしれませんが、いまプレフィルドを採用することは、医療安全上決して安全では ありません。いわゆる無菌製剤という意味での安全性はあるのですが、プレフィルドで あれば何でもいいわけではありません。むしろ、その採用について厳重に、考え方を きちんとしていかなければいけないのではないかということです。そういった中で、プレ フィルドシリンジをどうすべきかについては、これだけ物が増えてくると、230の物をどう 区別するかは非常に難しいわけですが、対策を考えていかざるを得ない問題ではな いかと考えます。  インスリンについては、以前からいろいろ事故との関係その他で重要性が言われ ておりました。インスリンは、以前は40単位と100単位が混在し、それを100単位に 切り替えるのをいかに無難にこなすかというところで重点的に対応策が取られて、行 政企業、医療機関等みんなが注意した結果、大きな事故もほとんどなく、実際は移 行がうまくいった事例です。一斉に100単位になったので、今度はそれとして販売名 その他での問題点を考えていく。以前は40単位と100単位の2種類の違ったものが あるので、どうするかに重点を置きましたが、今後はそういった中でどのように統一を 図り、いろいろ種類があり、企業によってそのつけ方に差があるので、統一性を取る ことが必要であろうということで、全体として医薬品についてはいままで取られてきた 個別の対策が一応一段落し、かなり定着してきたのではないかという気がします。  それに対して、個別の物が終わってもう一段階上がり、また全体的な見直しが必 要な物が出てきたので、今後はそういう物が必要ではないかということだと思います。 今後は、ここに対策としてプレフィルドシリンジとインスリンに対する対策を立てること が重要ではないかと思います。 ○桜井部会長  ありがとうございました。続いて、医療機器についてご説明をお願いします。 ○事務局   資料1の別紙1の1頁です。プレフィルドシリンジのほうは医薬品として検討しており ますが、どういう構造でどのようになっていたかを簡単に説明します。  プレフィルドシリンジは、皆様ご存じのように、シリンジの中に薬液が入っている状 態のものです。このように最初から薬液が入っていて、ここを押し子といい、こちらは プランジャーという押さえる所です。このままの状態ですでに装着されているものと、 押し子が装着されていなくて、使う際に装着するものがあります。今回の事例は、最 初から押し子が装着されていたものの麻薬製剤、プレペノンのプレフィルドシリンジで 起こった事例です。  通常のシリンジは、この黒いガスケットが基本的にはめ込み式で、パチッと差し込 む構造にになっていますが、プレフィルドシリンジの当該製剤はねじ込み式で、ねじる とくっ付いて、回すと取れてしまう状況になっております。こちらのモルヒネ製剤は、シ リンジポンプに最初からくっ付いた状態のものを装着した際、何かの力で少しねじった りすると、基本的にガスケットが回ってすぐ取れてしまうのです。そのままシリンジポン プの固定された部分は押されませんが、だんだん中が陰圧になって全部吸い込んで しまう状況になってしまうものだと思います。  こちらのプレフィルドシリンジは、この事例が第5回の報告書で報告した事例だった ので、公表された時点でメーカーは添付文書に、回して使うときの注意事項を記載し ております。  平成19年1月より、今度は回転でなく接着してくっ付ける構造に構造改善を行って います。当該製品に限らず、ねじ式によってガスケットにくっ付けているプランジャーに 接続されているプレフィルドシリンジが非常に多いため、また同じような事象が起こる ことは否定できないので、ヒヤリ・ハット検討会ではシリンジポンプに装着して使うプレ フィルドシリンジ業者を対象として、同様の事象の発生の有無や類似クレーム等のヒ アリングを行っています。また、プレフィルドシリンジの識別性については、先ほど土屋 委員もおっしゃられておりましたが、医薬品・医療機器等対策部会の下に設置してお ります医薬品類似性検討ワーキンググループで検討いたしたいと考えております。  別紙1の2頁ですが、リドクイックの指示が出たのがエピクイックと伝えたという間違 いです。医療事故防止のための販売名変更は、平成12年に出ている935号通知と いうものがありますが、その名称変更に則って名称変更している、すでに名称変更さ れた事例です。  4頁ですが、人工呼吸器のバッテリーに関するものです。事例1、2、3は、人工呼 吸器にバッテリーがついているものと、つけて使用しているものがありますが、本来人 工呼吸器はバッテリーではなく、AC電源をもとに使うものです。例えば、移動中や何 かの状況でバッテリーに切り替わる際に、アラームの鳴り方がいろいろであったり、ア ラームが鳴らなかったりといったことがあります。アラーム基準等については、平成13 年に呼吸器警報基準が制定され、平成14年8月以降のものは、それに適合してい ないものは製造、販売、輸入等が禁止されていますが、それ以前に使用されているも のについてはアラームの鳴り方が様々で、バッテリーが切り替わった際のアラームに ついても規定されているものではないということです。  このような事例について、検討会で検討いただいた中で、「AC電源が抜けても、非 常用電源の内蔵バッテリーが自然に駆動して、アラームが鳴りません」といった趣旨 のステッカー等を人工呼吸器本体に貼ってはどうかとの意見が出ました。それについ ては、日本医用機器工業会の人工呼吸器委員会に、実際の安全対策として、内蔵 バッテリーに対してどういう対策が取られているか等について実態調査を依頼してい ます。また、医薬品・入りよう機器等対策部会の下にある医療機器安全対策検討ワ ーキンググループで、間違わないための操作パネルの標準化、よりわかりやすい表 示、用語の統一化等を含めて、昨年12月に開催したWGでも同様の検討をしている 状況です。  加温加湿器の件については、別紙1の5頁からです。皆様ご存じのことと思います が、これは加湿チャンバーというもので、この下にヒーター部分が付いて、こちらが人 工呼吸器の機械から入ってくるものです。こちらが、患者の口に付くもので、この間に 水が入ってきて、下から加温して加湿された蒸気が患者側に来て、乾燥を防ぐのに 使われているものです。加湿チャンバーの水の入れ方はさまざまありますが、この場 合は、この先に蒸留水の給水ボトルを挿し込むと、その中に水が溜まって、中の水を 入れる所が少なくなると自動的に外せるものもありますし、これは使い捨てですが、蓋 の部分をすっかり空けて、洗って中に水を溜める加温加湿器の加湿チャンバーもあり ます。  加温加湿器の加湿チャンバーについては、これまで対策が取られていますが、1つ はここを取って、「ガスポート」といって、こちらは機械から入ってくる所で、こちらを患 者につないでジョイントした状態で、ここから直接水を入れてしまうことが、医療機関 では意外と多くやられているようです。本来は給水ポートからきちんと入れるのですが、 実際はここに入れられている場合が多いということでした。その間、ジョイントをつなげ てパイプを通っていくと、アラームが鳴る前に水を入れて使っている状況でした。  これについては、すでに平成16年11月の「加温加湿器に係る使用の注意等の改 訂について」の通知で、警告の欄に、加温加湿器に給水する場合は給水用ポートを 使用して給水することを明記していただくことを付け加えています。このような添付文 書等の改訂はされていますが、まだ相変わらずこういう事例が続いているので、日本 医用機器工業会安全部会人工呼吸委員会に加温加湿器の安定対策に対する実態 調査をもう1度していただき、過去に加温加湿器の使用方法や製販業者の行った注 意喚起等を集約し、今度は医薬品医療機器総合機構のホームページやその他団体 等のホームページに掲載し、新たに情報提供して注意喚起をしていこうと考えている ところです。先ほど申し上げた医療機器安全対策検討ワーキンググループでも、同 様に人工呼吸器の回路の一部として加温加湿器を正しく認識し、適切に接続してい ただくための、視認性の高い、より簡単でよりわかりやすい簡易手引書等を作成して いただくようお願いし、呼吸器本体に常につけて携帯する形で情報提供していこうと いうことで検討いただいているところです。  別紙1の7頁ですが、経管栄養チューブの適正使用に関するものです。経管栄養 チューブは、主にこのように鼻から入れる経鼻チューブ等です。これには、基本的に は下におもりがついていて飲み込んでいただくとか、鼻から入れたりします。これらの チューブには、中にはスタイレットといって針金状の腰を持たせるようなものが入って いて、これがないとクネクネしてなかなか入っていかないものがあります。それをある 程度腰を持たせたものを使って、経鼻でチューブを挿入し、お腹に入っていく形のも のです。  主に多く見られる事例としては、腰を持たせるためのスタイレットを用いて、中に経 腸栄養剤などが詰まった場合に、これでゴシゴシ押して開通させようとするのですが、 きちんと開通できなかったり、チューブが破れたり、ほかの部位に刺さってしまうような、 スタイレットに関するヒヤリ・ハット事例が多くあります。これについては、経腸栄養チ ューブ等の事例への対策として、誤挿入を防止するための使用上の注意の改訂、ス タイレット付きチューブのスタイレットが詰まったときに使うのではなく、詰まらないよう に、そういう使い方をしないでいただきたいということの注意喚起、詰まり予防のため のフラッシュ、水やお湯で洗い流すときの詰まり発生時のトラブルシューティングの注 意等について、ヒヤリ・ハット検討会の検討を踏まえ、チューブ製販業者とチューブの 適正使用を盛り込んだ業界統一の添付文書の改定を行うよう、いま準備していると ころです。  また、薬剤の粉砕投与による詰まりの事例も多いことから、チューブによる投与が 可能な薬剤の剤型の開発を医薬品製造販売業者に要望するとともに、薬理作用上 粉砕してチューブを通して経腸投与された際、吸収部位や製剤の構造上問題で薬効 の期待できない医薬品も、処方薬を全部つぶしてこの中に流すこともあろうかと思い ますし、そのようなことがなされているとすれば、実際に効果のない薬を出している場 合があります。そういう使用のされ方をしている場合もあるので、日本製薬団体連合 会と協力し、「胃を通過しなければ薬効を期待できない薬」等について調査を実施し、 医薬品の適正使用に関する情報提供を行っていこうとしているところです。 ○桜井部会長   どうもありがとうございました。ただいまのご報告について、何かご意見はあります か。  土屋委員からの報告で、インスリンの移行がスムーズにいったとの報告がありまし たが、何かノウハウがあるのでしょうか。 ○土屋委員   みんなが危いと認識して注意をし、情報活動がきちんとされ、徹底したことが大き かった気がします。インスリンの単位の変換は、そもそも事故が多いものだったので、 そういった意味で注意レベルが通常よりも多い薬において、情報提供その他が適切 に行われるとスムーズにいくものかなと思います。これは、みんなが一体となってやっ た1つの成果だと思います。  その間にほかの変更もしてしまうと、ゴチャゴチャになるといけないので、あえてほ かのことに触らずに、まず切替えということでそれが定着することを狙っていたところも あるので、初期の目的が達成できたと思います。今度は、多規格・多種類のものがあ るときには、その識別性をどうするのかという本来のところに入れることになったかと 思います。情報提供の仕方と、みんなが注意をすることで防げるというのは、1つの 大きな成果だったと思います。 ○桜井部会長   医療機器に関して、目黒委員から何か追加はありますか。 ○目黒委員   いちばん最初のシリンジポンプのところで、輸液ポンプも含めてそうなのですが、取 扱い、実際の原理的なところがきちんと分からないといけないと思います。いちばん端 的に示すのが、最初の事例で、シリンジポンプの押し子が自動的に入っていってしま ったのは、先ほどの説明でも少しわかりにくい部分があったと思うのですが、サイフォ ニングといって、心臓の位置よりも高い位置にシリンジポンプがあると、先ほど陰圧と いう説明をしましたが、止めておく所がないと押し子がフリーになって自動的に落差で 落ちていく現象があります。そこがいちばん重要で、通常シリンジポンプの取扱いにつ いては、技師なりメーカーの方々がそういう説明等をきちんとしておけばいいのですが、 そういうことが周知徹底されないと、また同じような間違い、あるいは事故が起こってく るのではないかという気がしています。  人工呼吸器については、以前気道熱傷等を起こす事例があったり、京都大学の 事故があったりして、安全対策を取ったものを使うことにはなっているのですが、まだ 周知徹底できないのがいちばん大きな原因ではないかと考えています。 ○原田委員   質問なのですが、1点目は先ほどのプレフィルドシリンジの構造の関係です。1社 のものがねじり式になっていて、問題になったというご説明だったと思うのですが、検 討内容は、他社でも同じ構造を取っている可能性があるのか、他社はすでに改善を しているのかどうか、何社中何社くらいがそういう構造になっているのかが知りたかっ たのが1点です。  もう1点は感想めいたものですが、人工呼吸器のバッテリーの問題です。検討内容 で問題にされているのは、バッテリーが切り替わったときのアラームということになって います。もちろん、切り替わったときのアラームも必要だと思いますが、とりわけ人工 呼吸器のように長時間継続して使うものの場合に、現在どちらのバッテリーで使って いるかの表示についても、改善していく余地があるのではないかと感じました。その辺 りについて補足で説明をいただければありがたいと思います。 ○事務局   1点目ですが、シリンジポンプを用いるプレフィルドシリンジの会社は、現在18社あ ると認識しております。これについては、医薬品医療機器総合機構で各社に3月に集 まっていただき、プレフィルドシリンジのガスケット、プランジャー、押し子が外れる事例 について、安全対策に対して各企業がどのような対策を取られているかをお聞きして おります。先ほど申し上げたように、構造上分かれている製剤は基本的にねじ込み 式になっています。麻薬製剤は最初からくっ付いている製剤でしたが、それも回して 取れるということだったので、すでに接着して、なおかつ回して接着されている状態の ものに変わっております。  ただ、これ以外のプレフィルドシリンジについては、すべてシリンジポンプに装着して 使うかどうかは一概に言えるものではなく、現在は、多くは回して装着された状態の 機器として残っていると思います。それは、先ほど申し上げたように3月に使用されて いる各社を集めて実態調査等を行い、各社が取れる対策等について検討いただい ているところです。  バッテリーのお話については、平成14年の8月以降に出されたものには警報基準 がついているのはわかるのですが、いまどの機器がバッテリーが変わったときに鳴る か鳴らないかは、先ほど申し上げたように、どういうものが実際に該当するのか業界 の人工呼吸器委員会で調べていただくと。現在販売されている人工呼吸器は、大体 20機種以上あるらしいのですが、実際に何機種あってどうかを正確に調べていただ いているところです。それは、12月の医療機器安全対策検討ワーキンググループで も同様に調べていただくようにお願いしているところです。 ○原田委員   切り替わるときのアラームについては、いまのご報告でもよくわかったのですが、A C電源につながっているときは基本的にOKで、外部バッテリーになっていること自体 が1つのアラーム状況だと思うのです。バッテリー接続になっていることを常時表示し ているほうの表示の仕方が、医療従事者にとってチェックしやすい形になっているか どうかが気になったのです。それに関しては、いま現在何か基準があるのでしょうか。 電源がどこから取られているかの状況についての表示が、こういう所にこういう形で 表示しなさいという規定があるかどうかです。 ○事務局   現在はありません。 ○目黒委員   私も、切り替わっているのをきちんと表示するような規則はわからないのですが、一 般的に人工呼吸器や人工心肺関係などの止まっては困る機械に関しては、通常バ ッテリーが切り替わったときにインディケーターが点灯したり、インディケーターがつか ないものもあるのですが、機種によってはアラームが2分間隔で鳴るというような、ま だばらばらなのが現状だと思います。そこで、アラームが鳴らないために起こるトラブ ルが出ているとの報告もあった気がします。現状としては私もわからないのですが、 切り替わったときにどうするかの決まりがあるかどうかは、調べてもらわなければいけ ないと思います。  あと1点、バッテリーのことで私が非常に危惧していることは、バッテリーは機械が ものすごくいっぱいあることと、これは人工呼吸器だけではなく、輸液ポンプやシリンジ ポンプを含めて、稼動性の止まっては困る機械は、バッテリーをかなりいっぱい使って います。バッテリーの交換は、一般的には2年と添付文書に書いてあるのですが、こ れを厳密にやっている所がどれぐらいあるかは、私もわかりません。それをやっていく と、かなりコストがかかると思います。私たちも、スタッフも少ないのですが、バッテリー 交換でものすごい労力を使っています。  これはほかの検討会でも話したことがあるのですが、バッテリーの点検は非常に時 間がかかるのです。我々もスタッフが少なくて、常に添付文書に書かれたとおりの点 検ができないのが実情です。一般的に、たぶん多くの施設ではできていないかと思い ます。それをきちんとやるには大変な労力が必要で、バッテリーの点検なり使い方を きちんとすれば、2年であっても、もっと長く使えるものが多々あるわけです。これは一 般家庭でも、使い方によって長持ちするものや長持ちしないものがあることでわかると 思います。定期的に交換すると、たぶん莫大なコストがかかってくるのではないかと危 惧していて、それをどこで議論するのかなと思います。それは全部医療機関負担にな ると思うのですが、そこも少し考えておかなければいけないと思います。 ○吉澤委員   プレフィルドシリング製剤について、質問ではなく自分の感じたところですが、医薬 品企業は、どうしても中の医薬品そのものに非常に注意が行って、情報提供もそちら が中心になってしまって、入れ物であるシリンジ自体はむしろ医療機器という認識を、 持っていると思うのです。ここをきちんと改善していかないと、情報の伝達がうまくいか ないのではないかと、いま反省しているところです。WGでも検討するとのお話があり ましたが、検討した結果を添付文書に反映できるところは反映する。そうすることによ って、製薬企業でも社内での研修を行ってくれる状況ができるので、是非その方向へ 持っていけたらと思っています。 ○望月委員   少し話が変わるのですが、先ほど経管栄養剤用のチューブで薬剤を粉砕したもの を通すときに、詰まることが結構あるということで、その改善策を要望するのと併せて、 日薬連に協力を依頼して、胃を通過しなければ薬効を期待できない薬についての調 査をするとおっしゃいました。それは確かに大事なことかと思うのですが、わからなか ったのは、胃を通過しなければ薬効を期待できない薬が、それほど多くない可能性が あることです。胃を通過しないとというのは、そこで溶出しないという1つのステップが 入っていて、溶出さえしていれば、直接腸に入ってそこから吸収されるものが、医薬 品の場合ほとんどだろうと思います。また、胃の中で何か化学変化を起こさないと吸 収されにくいものは、胃を通過しないと駄目だということはあるのですが、単純に胃を 通過しなければ薬効を期待できない薬というのをリストしても、あまり直接的に粉砕し て投与してはいけない薬剤の意味を全部抽出しきれない感じがしました。  粉砕投与は、もともとの承認された剤型を崩してしまうこともあるので、いまは企業 的にはやってほしくないということしか言っていないと思うのです。それでもやりたい場 合には、粉砕したあとの安定性などの情報を提供する、請求されて初めて提供する 形を取っていると思うのです。こういった情報に関しては、企業よりむしろ使うユーザ ーの側、つまり薬剤師の人たちがいろいろな情報を作って出しています。その中で、 実際に粉砕して投与してもきちんとした薬効を得られない可能性があるから、これは 粉砕投与はしないほうがいいとか、粉砕してチューブを詰まらせる危険性についても 言及してあるものもあります。  最近は、簡易懸濁法を使って、粉砕をしないで比較的高温の60℃前後のお湯で 錠剤やカプセル剤を溶解させたのち、それをチューブで通していく方法もあります。そ ういった諸々のことを調べるために企業に依頼しても、かなり難しいところがあって、も う少し現場の薬剤師たちも含めた形で情報収集して、それを知らない方々に提供して いく形を取るほうが効果的かもしれないと思います。 ○外委員   プレフィルドシリンジについてですが、これまでは、アンプルに入っていた薬液を注 射器で引く操作をしていたわけです。プレフィルドシリンジになると、その薬液が注射 器の中に前もって入っていることから、注射器で引く操作がなくなるわけです。プレフィ ルドシリンジが医療安全上果たした役割はあると思うのですが、この事例で示すよう に、プレフィルドシリンジが使えるようになったがために起こっている医療事故がヒヤ リ・ハットだと思うのです。  それをどう防ぐかは、プレフィルドシリンジの形状や、これからいろいろ検討される 中でねじが取れないようにするとか、そういうことは1つあり得ても、これは基本的にプ レフィルドシリンジであるが故の宿命が内包されているリスクだと思います。  では、どうするか。内筒の先端と押す部分が外れてしまうと。これは、プレフィルドシ リンジが薬を押し出すものという認識だけでいるために、そこが離れる、つまり陰圧で 中の液が引かれると内筒と外れてしまうことを、普通、使用者は誰も想像しないので す。1つの解決法として、プレフィルドシリンジを使う際には、ねじの確認等もあるでし ょうが、1回薬液を引いてみる。引く操作が入れば、そこが外れるかどうかが確認でき ますね。使用者側に一般的な注意喚起を認識させるとか、そこを前もって詰め込んで あるために、押すだけだから大丈夫だろうという認識ではなく、1回引いてみて外れな いことを確認する。薬は陰圧で引かれることもあるので外れる可能性があることを、何 らかの形で使用者が認識できるようにすることが事故防止につながるのではないかと 思いました。 ○土屋委員   実は先日、日本病院薬剤師会で、いままで薬剤師はどちらかというと薬には関心 があったのですが、それが使われる輸液ポンプやシリンジポンプに対してあまり知識 を持っていないのが現実だったので、そういうことをやるための講習会を開きました。 そこで現実に触ってみて、なるほど、こういう構造だとこうだとか、プレフィルドシリンジ についても見て、いままで出している注意が本当の注意として、実感としていくように なるという気がしました。今後は、すべての所で薬剤師がやれることはないですが、使 われ方までもきちんとカバーしていかなくてはいけないことは実感しました。  また、これは以前から石川委員がおっしゃっていましたが、情報提供する場合に、 いわゆる医薬品情報室のようなものが、医療機器にはないと。大きな所にはあるのか もしれませんが、小さい所にはないといったときに、医薬品情報室で医療機器の話も 一緒に受けられるように、情報の受入れをきちんとできる仕組みを作っていくことも必 要だと思っております。今後は、そういった活動もしていかなくてはいけないと思いま す。 ○吉澤委員   先ほど望月委員がおっしゃった管を通しての投与の問題ですが、製薬企業がそれ を想定して製剤を作ってきたという歴史はないと思うのです。後期高齢者への薬剤投 与につきましては、ゼリー剤で、嚥下能の少し劣る方への薬剤の開発など、少し開発 を始めていますが、あまり本格的な研究がされていなくて、製薬企業だけではなかな か実態がわからないこともあります。望月委員がおっしゃったように、もう少し本格的 な研究を、例えば厚生労働省で研究班を立ち上げるといった方向での検討はお願い できないでしょうか。  先ほど言われた簡易懸濁法は、溶けるか溶けないかが見られているだけで、中の 成分が変化している、あるいは中で薬同士の相互作用で何かが生成しているかも知 れないといったことを一切検討されずに、方々でしばしば行われていて、介護施設で もすでにそういうことが行われています。たまたま大きな事故がなかったのか、事故が あってもわからなかったのかという状況かと思います。是非、そういうところの研究に ついて厚生労働省でもお考えいただきたいと思います。 ○目黒委員   土屋委員のほうがご存じなのかもしれませんが、資料3の1頁の3番の事例がいち ばんわかりやすいのですが、流量と予定量を間違えたという事例です。このような間 違い事例は、私は比較的薬品の事例が多いので、しょっちゅう見る機会はないので すが、今回ずっと見ていくと、この類の事例が結構入っているのです。これは基本的 には機械も絡んでいて、要するに間違えやすい構造なのかどうかという部分は、機械 の側から見る場合もあるのですが、分類はいままでずっとこうだったかどうか。前は機 械のほうに持ってきた気がするのですが。 ○土屋委員   従来、報告は設定ミスなどだと最初からダイレクトに機器のほうへ行っているので すが、おそらく日本医療機能評価機構への報告が医薬品を選んで報告してきている 気がします。したがって、境界が以前ははっきりと分かれていた部分があったのです が、最近だんだん境界領域の話が出てきているのです。これは流量設定だったのか どうかという不明なところもありますが、どちらかと言えば機器に分類していた、あるい は報告がそのようにされていたことが多かったと思っています。 ○事務局   本日欠席の石川委員からコメントをいただいているのでご紹介します。先ほど土屋 委員もおっしゃいましたが、ひとつは安全管理について、医療法改正にて情報管理 者の設置を求められているようですが、管理室に関しては明確ではないように見えま す。組織として情報管理が行えるように明文化していただきたい、という点です。  つづいて、ヒヤリ・ハット情報について、日本医療機能評価機構からの公表データ を見て、その中から物の介在の可能性があるかどうかを検討材料のピックアップの要 件としているようですが、本来元データをしっかりと分析することから行うべきではない かと思います。また、同じ素材(日本医療機能評価機構からの公表データ)を扱うの であれば、日本医療機能評価機構の機能と医薬品医療機器総合機構の機能を合 わせて、総合的にデータを分析する体制を取り、公的機関からの一元化した情報提 供を行うことのほうが、効率的かつ効果的であると思います。機構におけるヒヤリ・ハ ットから出てくるアウトプットの情報提供スキームが今回の報告に見られますが、より 充実したものを考えていただきたいと思います、というご意見です。それから、ヒヤリ・ ハット情報に関連して、使用者への注意喚起の方法、添付文書の電子化に伴う企業 からの通知、医療機器情報担当者からの情報提供、このほか、本省並びに医薬品 医療機器総合機構ではどのようなことを考えているか。  それから、医薬品医療機器等対策部会とヒューマンエラー部会との合同会議の検 討があったと思いますが、その後の状況について説明があると助かります、という4項 目についてです。  その中で事務局からお答えするのは、元データをしっかり分析することから行うべ きではないかとのご意見については、今後も医薬品・医療機器としての観点から専門 的な評価、対策、検討を医薬品医療機器総合機構で行っていくこととしておりますが、 医療機器については販売面及び購入面、機種、型番等に関する情報は、ヒヤリ・ハ ット事例収集事業要綱でも記述することとなっている項目なので、報告書に明記いた だきたいことを、医政局を通じて日本医療機能評価機構へ要望いただきたくようお願 いしたことが1つです。  物部会と人部会の合同会議の検討のその後の状況としては、残念ながら現在の ところ具体的にご報告する段階ではありませんが、ヒューマンエラーの対策について は、平成19年4月を目処として医療法施行規則の改定、またそれに伴う医療安全関 連通知や、集中治療室における安全管理指針、医療安全管理者の業務指針、医療 安全管理者の研修プログラム等の作成指針、医薬品の安全使用のための業務手 順書の作成マニュアル等の対策が、現在取られつつある状況です。石川委員からは、 2回に1回ぐらいは同時開催で、屈託のない議論が展開できればいいというご意見で したが、担当者のほうでは検討していますが、現状では、いま申し上げたとおり具体 的にいつからという話はしておりません。 ○桜井部会長   ありがとうございました。物部会と人部会の話は、もう2、3年前から私が言ってい るのです。検討、検討と言っていますが、そんなに検討しなければいけない課題かど うかは、私は見当がつかないのですが、非常に不思議な縦割り行政の典型だと思っ ております。  もう1つ伺いたいのは、日本医療機能評価機構が情報を収集するわけですか。医 薬品医療機器総合機構との役割分担というか、どこが何をやっているのかを少し説 明していただきたいのです。 ○事務局   ヒヤリ・ハット事例収集事業は、平成13年10月から始めています。医療安全対策 ネットワーク整備事業ですが、事業開始当初は、医薬品副作用被害救済研究振興 調査機構、現在の医薬品医療機器総合機構が、参加医療機関からヒヤリ・ハット事 例を収集したものを厚労省へ報告して、厚労省の研究班が検討・分析を行うという仕 組みでした。この仕組みで第1回から第10回までのヒヤリ・ハット事例の収集が行わ れています。平成16年度からは、情報の収集・分析が医薬品医療機器総合機構か ら日本医療機能評価機構に変わり、現在も日本医療機能評価機構が情報の収集・ 分析を行うことになっています。医薬品医療機器総合機構については、第三者機関 が収集・分析した情報を、医薬品または医療機器に関する専門的見地から、対策・ 検討が必要かどうかを検討いただくということになっているところです。 ○桜井部会長   具体的によくわからないのですが、私は事前に配付されたヒヤリ・ハットの報告を 拝見して、これも毎回言っているのですが、要するに事例報告を大変丁寧になさって いることは敬意を表するのですが、それだけゴミの分別というか、要するに燃えるゴミ と燃えないゴミ、ガラスと缶などを分けないと、意味がないのです。これを拝見すると 非常に多いのは、忙しくて間違えたとか、そういう認識がなかったとか、そういうのが 非常に多いのです。結局末端での、最後のゴールでのリスク、危害を減らすというこ とになると、やはり抜本的な対策というのがないと、いくら小手先でやっていても、件 数はあまり変わらないのではないかと、私は思うのです。皆さんは、また違う意見をお 持ちかもしれませんが、例えばちょうど交代の時期で1人しかいなかったとか、あるい は集中的に調剤をしなければならなかったとか、いろいろなことがここに書いてあるの です。そういうことを防げるような方策を取らないと、結局は抜本的には解決しない。 色を変えてみたり、いろいろなことを書いてみたりしても、それは小手先の技であって、 根本的な所を直さないと、なかなか危険をゼロにするというのは難しいのではない か。  医薬品・医療機器等対策部会が出来て、おそらく5年ぐらい経つと思うのですが、 あまり状況が変わっているとは思えないのです。何かそういう末梢のことに非常に力 を入れて、時間をかけてお作りになって、これだけのレポートは大変だと思うのですが、 その割に何か無駄なことをして、もっと根本的なことがあるのではないかという気がし てならないのですが、その辺はいかがでしょうか。  要するに源流まで登らないと、末梢の小川ばかりいじっていても水害がなくならな いのと一緒で、そういう気がしてならないので、これは毎回申し上げているように思う のですが、例えば先ほどの吉澤委員のご意見にしても、プレフィルドということ、そうい う技術が出てくれば、やはりこれはアンプルと一緒なわけです。だから製薬企業として も、それだけのテクノロジーの認識がないとまずいと思うのです。世の中、技術が進ん できているわけですから。  それからもう1つ、MRの方がそれについての説明をするような教育をなさっている かどうか、そういうことも非常に問題だと思うのです。だから、厚労省でそういう研究班 を作ってくれというおっしゃり方も、それは確かに大事だと思いますが、それ以外に会 社として、そういう時代のテクノロジーの進歩に応じた対策を考えるということも必要 ではないかと思います。 ○吉澤委員   その件はまったくそのとおりだと思います。 ○桜井部会長   他に何かご意見はございますか。 ○岩月委員   いまのお話を伺っていますと、まず、いわゆるヒューマンエラーといいますか、目視 による点検というのがどこに行っても付いて回るわけですが、例えば私ども薬局の中 の、薬の配置の問題についても、最近後発品が増えてきておりまして、並べ方の問 題というのが、これから安全指針を作って、マニュアルを作ることになっていますけれ ども、例えばそういった薬局の備品などですとか、そういったところの、いわゆる人間 工学まで含めた医薬品の配置のあり方のようなものも、実はご検討といいますか、そ ういうスタンダードのようなものがどこかで出来ないかということも、考えていただきた いと思います。  先ほど吉澤委員のほうでありました、いわゆる経管栄養などに関しても、これから 在宅が増えてくることを考えますと、経管栄養剤と医薬品の問題ですとか、特にこれ は病院で、いわゆるスタッフがそろっている所でこれですから、1週間で2回ぐらいしか 看護師さんが行かれないとか、薬剤師が行かないような所では、さらに重大な問題が 起こることも考えられますので、ぜひそれも重ねて、私どものほうからもそういった検 討会を作っていただくようにお願いをしたいところです。 ○桜井部会長   それは大変重要なことで、ぜひお願いしたいと思います。他はいかがでしょうか。 ○土屋委員   やはりいままではどちらかというと対症療法的にやってきた。ただ、対症療法で防 げるものもあったということで、いまやっと共通の基盤整備ができて、これから本格的 に医療の世界における特殊性といいますか、そういったことを勘案しながらの対策を 取らなくてはいけないだろうと。そういった意味では使用の安全という、せっかく安全 対策会議が出した、その言葉についての認識が、まだそれでも足りないのかと。こう いう情報が来ても、医療機関もまだそれの消化の仕方がわからない。企業のほうも、 なんとなくお付き合いでというけれど、しかしプレフィルドに関していえば、何でもかん でもプレフィルドにすれば売れるというようなところがあって、どうしてこんなものをプレ フィルドにしなくてはいけないのか、というものまでプレフィルドにしてしまうということも あるので、やはりそういったことについて、もう1回ここ辺りから、きちんと1ランク上の 議論をしていかないと、これから先は、先ほどの話ではないですがボーダーレスで、そ れこそ「物部会」と「ヒューマンエラー部会」ということ自体がなかなか難しく、そこの色 分けも、まさに全体としての医療事故防止対策ということになってくるのではないかと いう気がするので、そういったことを含めて今後の対策を取るべきではないかという気 がします。 ○原田委員   いま部会長がおっしゃった、根本原因に遡って少し考える必要があるのではないか ということですが、現在のデータの取り方を1回見直していただいて、そしてもう少し確 認不足ですとか、そういった表面的な入力もそうかもしれませんが、人手不足であれ ば、その体制を聞いていこうとか、根本原因に遡ることができるようなデータの取り方 を少し検討していただき、そうしたデータがまた集まってくれば、さらなる上の段階の 検討が可能になると思うので、いまいちどデータの取り方をご検討いただければと思 います。 ○桜井部会長   データの取り方と役割分担ですね。日本医療機能評価機構は生データを取る、こ れは結構だと思いますが、医薬品医療機器総合機構のほうは、それを分析するとい うのは一体どういう分析をしているのか、これからはよく読み取れないのです。だから その分析は、やはりリスク管理ということに基づいた分析をしていただかないといけな いのではないかと。  そうすると何がハザードか。それから、そのハザードが表に出てくるような、最近の 14971の第2版でハザーダス・シチュエーションという、要するにハザードが起こるよう なシチュエーションですね。そういうのがあって、初めてハザードが潜在的な危害を及 ぼす。そうすると、それは一体何だろうかとか、そういうリスク管理から見たような分析 を医薬品医療機器総合機構がなさるのが、私は必要ではないかと思うのです。  これは繰り返しても、何年経っても同じようなことが出てくるだろうと思うのです。手 を替え品を替えですね。だから、そういう役割分担というか、どこが何をやってどこが 何をやるか。この委員会としては、もう少しそれをまとめたような形の意見を具申して いくとか、そういうことが必要ではないかと思うのですが、この生データが同じように出 てくるのと、賽の河原の石積みみたいなもので、限りなく石を積んでいくわけですが、 何も残らないのです。だから、進歩がないような気がしてしょうがないので、一生懸命 やっていらっしゃるのはよくわかるのですが、これははっきり言って無駄骨ですよね。 ○土屋委員   最近、構造的に少し心配なのは、日本医療機能評価機構のほうに全ての情報が 集まることにはなったのですが、例えば今日出ている第8回の報告書であっても、ヒヤ リ・ハットの報告が1年後ぐらいに行われているのです。そうすると薬や医療機器とい うのは、本来ならヒヤリ・ハットが起きたときに迅速な対応をすることによって、それの 後を防ぐという性格があることからいうと、このタイムラグがちょっと気になっておりまし て、いま医薬品医療機器総合機構はおそらくそれをさらに、またそこからの2次資料 でやるという構造になっているので、そこら辺をもし今後やるのであれば、医薬品と医 療機器についてはかなり迅速な対応を、少なくともデータ収集をするのだったら、そこ で対応を取っておかないと危ないという気がします。それこそ本当に無駄になってしま う可能性があると。 ○桜井部会長   他はよろしいでしょうか。だいぶ時間がかかってしまったのですが、もしよろしければ 次に移ります。  それでは、どうもありがとうございました。次は報告事項を事務局からお願いしま す。 ○事務局   それでは事務局から報告事項です。資料2をご覧ください。財団法人日本医療機 能評価機構が公表いたしました第8回の報告書です。委員の皆様にはお配りしてい ます。これらは 平成19年2月28日に評価機構から公表されています。中身については割愛させて いただきますが、今回は平成18年10月から12月までの医療事故情報と、平成18 年4月から6月に発生したヒヤリ・ハット事例の報告が取りまとめられています。こちら のヒヤリ・ハット事例の記述情報については、医薬品医療機器総合機構におきまして、 物に起因する情報の検討として引き続き調査・検討をお願いし、その結果報告を次 回以降の当部会で報告させていただくこととしています。簡単ですが以上です。 ○桜井部会長   この本ですね。何かございますか。これは急に見ろといっても、とても見れる時間的 余裕はないですが、何かご意見があれば。もしなければ報告事項2、医療安全管理 者の質の向上に関する検討作業部会について、事務局からお願いします。 ○医療安全推進室長   それでは報告をいたします。資料3をご覧ください。医療安全管理者の質の向上に 関する検討作業部会ということで、昨年の秋からこの検討作業部会を実施してまいり ました。1頁に作業部会の開催要綱というのがございます。2は検討事項ですが、こ の作業部会の検討事項(1)医療安全管理者の業務指針ということで、それから(2) 医療安全管理者の研修プログラムの作成指針についてということです。  (1)安全管理者の業務指針については、現在、医療安全管理者というのはどういう 仕事をする者であるかということについての明確な定義がございませんので、これに ついてご議論をいただきまして、およそこのような業務をすべき者であるといった内容 をまとめていただきました。  (2)は安全管理者の研修プログラムの作成指針についてということで、これも現在、 医療安全管理者の養成プログラムというのは、様々な機関が様々な内容でやってお りますが、ある程度の標準化を図っていくということも必要であるということで、研修プ ログラムそのものではありませんが、研修プログラムを作成する際の作成指針といっ たものをまとめていただくということで、ご議論をいただきました。  次の頁に検討作業部会の委員のお名前があります。座長はいちばん下にありま す国立病院機構南九州病院の福永委員長にお願いをしました。  3頁、再度、指針の内容です。2部構成になっていまして、1が安全管理者の業務 指針、2が研修プログラムの作成指針です。ここにありますとおり、1の業務指針です が、指針の目的、基本的考え方、管理者の業務内容、求められる指針、医療安全管 理者の位置づけ。それから2つ目、研修プログラムの作成指針においては、カリキュ ラムに盛り込む内容や研修方法等について、ご議論をいただきました。  4頁はこれまでの開催経過ですが、昨年の9月8日から始めまして、第1回目に総 括的な議論をしていただき、第2回目に第1部の業務指針についてご議論いただきま した。そして第3回目に、研修プログラムの作成指針についてご議論いただきまして、 第4回目は先週の金曜日に全体を通してご議論いただきまして、細かい文言は座長 が取りまとめるということになりましたが、一応、取りまとめをしていただきました。最終 的には座長と文言調整の上、今月中には公表したいと考えています。以上です。 ○桜井部会長   ありがとうございました。これは寺井先生が委員のお一人で、何か追加をいただけ れば。 ○寺井委員   医療安全管理者の質の向上に関する検討作業部会というものの中で、医療安全 管理者の業務指針と、研修プログラムが標準的なものに取りまとめられたということ は、非常に意義があると思います。業務指針については、標準的な業務のガイドライ ンといった形のまとめだと思うので、これから広く公表された後に各施設でまた細かい 業務を、しっかり施設ごとに決めるということに、何より意義があると思うので、そうし た施設ごとの内容を詰めていって、もう一度、質の向上のための業務を検討すること が進めばいいなと考えています。  また、研修プログラムについては、こちらは医療機関ではなくて、研修プログラムを 実施するほうの方々に、ぜひ広く公表していただき、標準的なプログラムをどこで受 講しても、医療安全管理者が受けることができるというふうになることが望ましいかと 思い、期待しています。以上です。 ○桜井部会長   ありがとうございました。私はちょっとわからないのですが、1番の業務指針の中に、 4番目に医療安全管理者に求められる資質というのがありますね。これはどういうこ とですか。 ○寺井委員   今回、これは業務指針の中から外れていて、この項目はなくなったと思います。 ○桜井部会長   なくなったのですか。 ○寺井委員   はい。最初は要件みたいなことを書いてあったのですが、研修プログラムで学ぶべ きことと結局同義であろうという議論になりまして、資質という所はなくなりました。 ○桜井部会長   誰がなってもいいということですか。 ○寺井委員   そうした要件は診療報酬上で定められていまして、薬剤師、看護師。 ○桜井部会長   そういうのを資質というわけですか。 ○寺井委員   いや、そこが議論のところですが、資質については最初の2、3回議論した後。 ○医療安全推進室長   事務局からよろしいですか。 ○桜井部会長   どうぞ。 ○医療安全推進室長   資料3の3頁でお示ししたのは、この検討作業部会が始まるときの項目でして、実 際にはもう少し変わった形で取りまとめつつあるところです。それで、医療安全管理者 がどういう職種でなければならないのかということについては、特にこの職種でなけれ ばならないという制限は設けておりません。設けておりませんというか、作業部会では そういうご議論はありませんでした。  ただ、診療報酬のほうでは、加算を取るに当たってはこういう職種でなければなら ないということは言っておりますが、この作業部会でおまとめいただいた段階では、そ こについては特段の規定というのはございません。 ○桜井部会長   アメリカのリスクマネージャーというのは、看護師がいちばん多いのですが、その他 に臨床工学技師、弁護士、医者など、いろいろなものが入っているのです。日本も大 体そういう医療関係以外からの参加というのも認められるわけですか。例えば弁護士 とかね。 ○医療安全推進室長   そこは、現行法令上は特段規定がございませんので、弁護士になっていただいて も問題はないと思います。ただ、診療報酬で払うかというと、それはまたちょっと別の 話ですが。 ○桜井部会長   診療報酬で払うのは、いまのところはどういう。 ○医療安全推進室長   診療報酬で加算の対象となっているのは、医師、薬剤師、看護師といった医療系 の資格を持っている方と規定されています。 ○桜井部会長   他に何かご意見、ご質問はございますか。もしよろしければ報告事項3をお願いし ます。 ○医療安全推進室長   それでは資料4に沿ってご報告をします。資料4は「集中治療室(ICU)における安 全管理指針の検討作業部会」での内容についてです。1頁にこの作業部会の開催 要綱がございますが、2に検討事項とあります。集中治療室の特性に応じた組織的 な安全管理の体制の整備、及び具体的な事故防止策を講じるための指針に関する 事項ということです。これについては、次の頁に書いてあるとおりの先生方にご検討 いただきました。部会長は下から3番目、千葉大学の平澤名誉教授にお願いをしまし た。  この検討の経過ですが、次の頁をご覧ください。計7回の検討を行いました。昨年 の1月から始まって、順次検討を行いまして、去る1月31日に一応この作業部会とし ての議論を取りまとめたということになっています。こちらも少し遅れていますが、いま 座長や部会長と細かい文言の修正をしていまして、今月中にはまとめて公表したいと 思っています。  次に4頁目ですが、検討した内容と報告書の内容です。1から5となっていまして、 まず1はじめに、2でわが国の集中治療室(ICU)等の現状、3で指針の作成にあたっ ての基本的考え方、4で2つの指針の対象範囲ということで、2つの指針というのはそ の3行下に別添1と別添2とあります。別添1というのが、ICUにおける安全管理の指 針。本来はこれを作るということでしたが、議論の途中で、必ずしもICUと呼ばれる所 でなくても、重症の患者さんが入院して、そこで集中治療を受けているということでし たので、ICU以外で重症患者のうち、集中治療を要する患者の安全管理指針という ものを、別添2として作成しました。この別添1、別添2とも、具体的な内容については 下段に1から7とありますが、ここに書いてあるような内容について、具体的にまとめ ていただいたということです。以上です。 ○桜井部会長   何かご質問はございますか。 ○寺井委員   このガイドラインのICU、HCUというのは、診療報酬でいう集中治療加算等のICU、 HCUと同じと考えてよろしいのでしょうか。 ○医療安全推進室長   いえ、診療報酬とまったく同じということではなくて、こちらの報告書では別途、一応 定義をしまして、主に急性臓器不全の患者さんを対象とする所をICUとする、というこ とにしています。 ○桜井部会長   よろしいですか。 ○望月委員   以前にもこういう報告書などが出たときに申し上げたと思うのですが、この資料4の 4頁、いちばん最後の「今後の予定」という所に、「平成18年度内に局長通知にて、 都道府県等を通じて、医療機関に周知を図る予定」と書いてあるのですが、毎回申し 上げるのですが、この周知を図るというところが、本当に効果的に周知を図っている のかというのが、いつもよくわからないのです。  説明会を開催する等を含めて、せっかくこれだけのご議論をされてまとめた指針で すから、指針というのはあくまでもガイドラインですから、漠然としたものが渡されるこ とになりますから、これを使ってICUの中の安全管理というのが、どのように具体的に されるとかを含めて、効果的にこの報告書が活用されるような周知徹底のされ方とい うのを、お考えいただきたいと思います。 ○桜井部会長   いまのところは、どういうルートなのですか。 ○医療安全推進室長   これは通常ですと、各都道府県を通じて医療機関に通知する。あるいは今回の作 業部会には、関係の団体の先生方に入っていただきましたので、医師会、病院の団 体、集中治療の関係の学会といった方に入っていただきましたので、そういった方々 を通じて、特にICUについてはそういった団体の方も通じて、お知らせをしていきたい と思っています。  また、本日はこの作業部会の最終的な報告書をまだ出せておりませんが、このい ちばん最後には、「本指針を導入して数年経過した後には、指針の有効性を学会あ るいは病院団体、職能団体等が中心となって評価するための準備を開始する必要 がある。その際には安全あるいは危険に関する数値化された評価書を考案すること も考えられる」ということでして、この学会や病院団体等においても、これを十分活用 していただいて、そしてまた数年後にこの評価をしていただくという体制をきちんと取っ ていただくように、厚労省も一緒に考えていきたいと思っています。 ○桜井部会長   これは何か指針の刷り物が出来て、それを配付するとか、そういうことになるわけ ですか。 ○医療安全推進室長   報告書というものが出来ますので、それを幅広に配付したいと思います。印刷して 本にすることは特段考えておりませんが、PDF等の電子媒体で幅広く配ったほうがよ いのではないかと思っています。 ○桜井部会長   何かご質問はございますか。 ○木下委員   先ほど来、この報告に整合性がないというか、ここでの報告と日本医療機能評価 機構では若干違うというお話がございましたが、私は必ずしもそうとは思いません。今 回の医薬品医療機器情報についても、まとめとしては、例えば具体的にプレフィルド シリンジの話だとか、インシュリン製剤の話等が、かなり具体的に問題であるというこ とをご指摘いただいております。これだけの注意を指摘した後にどうなったかというこ とは、ぜひ見ていただきたいと思います。  今後こういった問題が二度と出てこないようにしならなければ、報告書の意味がな いと思います。そういう視点からこのまとめたやり方は、それなりに意義があるのでは ないかと思います。  日本医療機能評価機構の報告書の話というのは、その理由などを見ても確認を 怠ったとか、医薬品の問題や機器などとは違って、それを取り扱う人たちの問題であ ることが多く、例えば確認が不十分だったのが25%とか、観察が不十分だったのが 12%とか、思い込んでしまったというのが圧倒的に多いのです。  注射や点滴など取り扱うのは看護師さんたちですから、そういう事例をいかに1つ ずつクリアしていくかというのを、医療安全管理者等を含めて具体的に現場で対策を 練っていくということしか、解決策はあり得ないのではないかという気がします。日本 医療機能評価機構もそうですし、今回の報告もそうですが、それなりの意味のあるこ とをしてくださっているのではないかという思いがございます。  ですから、必ずしも全部まとめてということではなくて、要は指摘された問題が、次 にいかに改善されていくかということが大事です。その都度、指摘した問題はこうなっ たということ、その報告は入れていただきたいと思います。そういうことで一つひとつは、 方向性としてはいい方向に行っているのではないかという思いがいたしましたので、コ メントを挟ませていただきました。 ○菊地委員   看護の職能団体に所属している者ですが、私自身も先ほど来、問題になった所に 関心があり、どのように対応したらいいかが課題であると考えております。特に前回、 機器を扱う人の学習不足というか、知識の誤りや理解不足で問題が起こっていると いうことを、事例の検討内容の欄に示された、丁寧な分析と説明を通して、非常によ くその内容が見えてきたということがあります。こうした問題が起こっていることを、ぜ ひ使用者側にフィードバックする必要があると実感しています。  関連して、データの集め方と分析ですが、先ほど部会長がおっしゃったすみ分けの 問題は大きいと考えます。少なくとも、事例提供者自身によって書かれた、確認不足 とか人手不足といったことは、再度こちらの資料に転記する必要はないのではないか と。実際、分析の観点として、システムとか機器そのものに焦点を当てなおすといった 作業が求められるのではないかと思います。本部会の資料のなかで事例の検討内 容の欄に示された分析は、非常に意味のある内容であり、本部会の分析の特色とい えるような気がしています。ここはすみ分けと大いに関係してくるところではないかと思 います。看護職能団体としても、この部分の活用は、現場にフィードバックする上で、 重要な焦点であると考えます。 ○木下委員   いまの菊地先生のお話は大事なお話で、私は例えば医療事故関係で、各診療科 でどういう事故が起こっているかということを、自分たちで検討しています。我々の目 で一つ一つを見てみないと、なかなかポイントは掴めないのが実情でございます。そう いう意味で看護師さん方にとって、これは実は大事なテキストになるのです。これを分 析して、自分たちの視点から見たときに、これは最も大事なことだからみんなに伝えて おこう、ということが可能です。これは、医療関係者ではない方が分析したのではない かと思います。これからは、看護師さん、あるいは検査の関係者、薬剤師の先生方、 皆がこういった問題に関して、真剣に事例を検討して、本当の問題点が何かというこ とを明らかにすべきです。そうすることでこの症例は役立つのではないかと思います ので、今後はその視点にたって取り組むことが大事だと思います。私はいまの菊地委 員のお話に関して、これは全ての職種の方たちが真剣に取り組んでいただきたいと 思います。 ○桜井部会長   ありがとうございました。ただいまのご意見は、まったくそのとおりだと思います。や はり我々として認識しておかなければならないのは、世の中にリスクがゼロというもの はない、必ずリスクはあるのだという立場ですね。ともすると、安全というとリスクがゼ ロだという誤解をする動きもあるのですが、そうではなくて、リスクが受容できるかどう か、アクセプトできるかどうかということが、安全であるということなのです。  それともう1つは、リスク管理というのは一種の科学技術的な手法なのです。だか ら感情論やその場の勢いだけでやっても効果は上がらないので、やはり科学技術的 な手法ですので、一歩一歩そういうプロセスを経ていかないと、いい答えが出ないだ ろうと思うのです。  私が申し上げたのは、そういう目で生データを眺めて、何がハザードかというのが いちばん問題だと思うのです。ハザードというのは危険、損害を生じ得る潜在的な原 因であると。例えばガスにしても電気にしても、やり方によっては人が死ぬわけで、普 段はそうでないのですが、ある状況になるとそれが悪いほうに働く。その、ある状況と いうのが危険状態というか、ハザーダス・シチュエーションというそうですが、そういう 状況になる。そうすると、何がハザードでもって、何がハザーダス・シチュエーションか ということを明確にしないと、なかなか根本的な解決に結び付いていかないと思うので す。  そういうことからいうと、例えばちょっと飛躍かもしれませんが、日本の医療費が安 いとか、やはりそこまで、ずっと遡及していくとなるのではないかと思うのです。そこま で分析を持ち上げていくというか、そういうことをしないと、根本はそのままにしておい て、そこから派生したことだけをいじくっても、なかなか事故はなくならないのではない かと思いましたので、先ほどそういう発言をさせていただいたわけです。だから、そうい う声をお出しいただいたほうがいいのではないかと。現状はしょうがないのだということ で、その上で一生懸命やりましょうという感じでも、結局はうまくいかないのではないか と思います。  他に何かご意見、ご質問はございませんか。先生はよろしいですか。 ○稲垣委員   皆さんと同じですが、だいぶ資料をいただきまして、やはり忙しいという話もあるの ですが、個別の事例の検討が非常に多いのです。この中から一般性を追究していく というか、個別のものよりも一般性を毎回積み上げていく。そうすれば、回数が増えれ ば、よりそれが一般性になっていくという、そういう方向がいいし、わかりやすいし、本 当の意味の安全に繋がっていくと思うので、皆さんと同じ考えです。 ○桜井部会長   特になければ、その他ということでお願いします。 ○事務局   それでは事務局から、この医薬品・医療機器等対策部会の下に設置している医療 機器安全対策検討ワーキングループの状況について、簡単にご説明します。資料と しては資料5です。また、参考資料の2枚目に医療安全対策検討会議の図がござい ますので、こちらをご覧いただきながら、お聞きいただければと思います。  医療機器安全対策検討ワーキングループは、平成18年12月12日に第4回ワー キングループを開催しました。検討の内容については、資料5の2枚目にございます ように、人工呼吸器に関する医療事故防止対策と今後の進め方についてです。  まず1つは、操作パネル等の標準化についての問題です。こちらについては、個々 の人工呼吸器の操作パネルは、それぞれタッチパネル方式もあればボタンを押す方 式もあるし、いろいろあるということで、まずは操作の間違い等を起こさないために、い わゆる仕様の標準化を図ろうということで、簡易取扱説明書または点検ガイドを作成 して、その医療機器に付けて、操作手順の標準化をきちんと徹底させるという方向で 検討させていただいております。具体的には日本医用機器工業会の人工呼吸委員 会で、各機器ごとに操作の簡易手順書を作りまして、それぞれの機種に付けるという ことで、現在その作業を行っている途中です。また、保守管理については平成13年3 月27日の医薬発第248号、厚生労働省の医薬局長通知で、その実施については通 知されておりますが、いわゆる最低限必要な保守管理ができるように、チェックリスト 等を参考に付けて、保守管理についてもう一度必要事項の、各機種ごとのチェックリ ストを作成し直すということで、こちらのほうも機種ごとにチェックリストを作っていただ くようお願いして、現在作成中です。  また、もう1つは医療機器の、いわゆる人工呼吸器の関連用語の統一です。それ につきましては、現在使用されている全人工呼吸器の用語を調査して、まずは一覧 表を作成し、その中で特に換気様式・条件設定・警報の3つの部分で表示名を抽出 し、用語統一のたたき台を作成したいということで、いま調査しているところです。  このワーキンググループは、先ほどの加温加湿器の使用方法についても、いわゆ る製販業者が行った注意喚起を集約して、医薬品医療機器総合機構のホームペー ジや医療関係団体ホームページに掲載する情報提供を行うもの、というのも一緒に 合わせて検討して、作成いただいているところです。医療機器安全対策検討ワーキ ンググループについては以上です。  また、前回、医薬品のヒヤリ・ハット事例で検討中になっていました「注射薬の容器 (バイアル・アンプル等)への施用部位表示」については、日薬連のほうで対応案を検 討いただいております。また、それについては「注射薬に添付してある添付溶解液の 表示」及び「インシュリン製剤の販売名」の検討事項と一緒に、医薬品類似性検討ワ ーキンググループで検討すべく、現在開催準備を進めている状況です。状況等につ いては、次回のこの部会でご報告させていただきたいと思います。以上です。 ○桜井部会長   ありがとうございました。施用部位表示とは何ですか。 ○吉澤委員   施用部位表示は日薬連のプロジェクトチームの中で検討を進めております。日薬 連の案というか、たたき台はほぼ出来つつある状況です。ただ、ここで1つ、注射剤で すので、1mlや2mlのアンプル、あるいは非常に小さいバイアルに、いろいろな表示事 項がだんだん増えてまいります。施用部位についても、どんどん多様化しているので、 なかなか全部を表示することは難しい。それとバーコード表示もいま検討を、進めて 表示の準備に入りつつあるわけですが、小さなラベルにいろいろな表示が増えてくる と、今度は目で見たときの視認性が落ちるという問題があります。その辺とのバラン スをもう少し検討して、施用部位の全てを表示するのではなくて、主要部位を表示す るしか方法はないのかなと、いまそういう検討をやっている段階です。 ○桜井部会長   他に何かございますか。それでは、以上で本日の用意した議題は全て終わりまし た。 ○事務局   次回の予定については、委員の先生方の日程を調整しまして、ご連絡させていた だきます。また、本日の議事録については後日送付させていただきますので、ご確認 をお願いします。なお、修正、ご確認後は厚生労働省のホームページに掲載いたしま すので、よろしくお願いします。 ○桜井部会長   では、これで閉会します。どうもありがとうございました。 照会先 医薬食品局安全対策課安全使用推進室 電話 03-5253-1111(内線2751)