06/06/06 平成18年度雇用創出企画会議 第2回議事録 平成18年度第2回雇用創出企画会議議事録 1 日 時:平成18年6月6日(火)15:00〜17:00 2 場 所:厚生労働省13階専用第16会議室 3 出席委員:小野旭委員(座長)、大矢和子委員、二宮隆一委員、久本憲夫委員 矢作弘委員、八幡成美委員、山川隆一委員 4 行政側出席者:太田政策統括官  (労働政策担当参事官室)山田労働政策担当参事官、矢田政策企画官、小堀室長補佐                  川端企画第二係長  (職業安定局)     蒔苗雇用政策課課長補佐  (雇用均等・児童家庭局)渡辺総務課長補佐  (健康局)     江野生活衛生課課長補佐、成田生活習慣病対策室室長補佐 5 議題  (1) 「新しいサービス分野における就労の実態調査研究」報告について      (健康サービス分野)  (2) 「報告書骨子案」について(健康サービス分野) 6 議事経過 ○小野座長  時間になりましたので、平成18年度第2回「雇用創出企画会議」を開催いたします。 本日は樋口委員が欠席です。大矢委員、山川委員は少し遅れていらっしゃいます。前回 の会議では、雇用創出が見込まれる分野として、本会議で取り組むこととした情報サー ビス分野、健康サービス分野、ロジスティクス分野、社会人教育サービス分野の計4分 野のうち、健康サービスを除く3分野について、実態調査研究の報告をいただくととも に、3分野の報告書、骨子案について議論いただいた訳です。本日は残りの健康サービ ス分野について前回同様、厚生労働省が三井情報開発株式会社総合研究所に実態調査を 委託し、実施しておりますので、まずその報告をお願いしたいと思います。またこれま でのヒアリングに加え、実態調査の結果を踏まえ、事務局において健康サービス分野の 報告書骨子案を作成いただいておりますので、あわせてこれについても議論したいと思 います。それでは議事に入ります。  まずはじめに議事次第の議題1として「新しいサービス分野における就労の実態調査 研究」です。これは健康サービス分野について三井情報開発株式会社総合研究所より報 告をお願いします。なお健康サービス分野は、フィットネスとエステティックの2分野 を取り扱うこととされておりますので、この2分野それぞれについて報告いただく訳で すが、それぞれについて1分野ごとに10分程度の説明、その後だいたい10分位の討論。 そしてエステティックに進み、やはり報告を10分、討論10分という段取りで説明と討 論を進めていきたいと思います。それではよろしくお願いいたします。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  前回に引続き調査の報告をいたします。よろしくお願いします。手元の報告書にした がい説明します。今回座長からも説明がありましたように、フィットネスとエステティ ック業という2つの業種について調べました。調査対象として、フィットネスは帝国D Bのデータベース、エステティックは東京商工リサーチの企業データベースを用いまし た。それぞれ500件ほど抽出させていただきました。同じデータベースを用いることが できればよかったのですが、帝国DBにエステティックの業種がなく、東京商工リサー チにこちらがあったということで、今回やむなくということで、このようにいたしまし た。各社、企業の経営者に対する1通、正規社員調査票ということで2通、合計3通を 送り、それぞれ返していただきました。調査実施期間は、3月の年度末に行いました。  2頁のとおり、回収状況はあまり良くなく、それぞれ表に示してあるとおりで、回収 率はフィットネスの企業・経営者調査では1割を超えたのですが、それ以外のものでは 5%から10%の間で推移をしていたということです。  調査の内容は、目次をご覧いただきたく、前回報告しました3業種と同様で、事業の 内容、採用の状況、キャリアパターン、人事労務・能力開発、労働の条件、従業員の就 業意識、業界の課題を共通して把握をしています。これから順次報告しますが、まず最 初に、前回情報サービスでは、外国人労働者をどの程度活用しているのかという宿題を いただきましたので、この報告からまず入って、フィットネス業、エステティック業を 順次報告したいと思います。菊池から報告いたします。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  はじめに今申し上げたように、情報サービス分野についてカラー刷りの2枚のペーパ ーがあり、追加の集計を行いましたので簡単にまず説明いたします。ここでは外国人技 術者の活用状況とその企業が取り組まれている分野、あるいはその企業の従業員数合計 というそれぞれの項目について、クロス集計を行っています。まず1頁の図表1です。 全体350企業の中で外国人技術者の活用が特に多いと見られるのが、システムインテグ レーションサービスの47.6%、次いでソフトウエア開発の27.8%となっています。ただ しご覧いただくと分かるように、もともと属性として主に取り組んでいる分野を回答割 合として、ソフトウエア開発が大部分を占めており、システムインテグレーションサー ビスというのはあくまでも全体21という票数の中の47.6%であるということで、もと もとの母数の違いがあることについて、留意いただきたいと思います。一方、ある程度 そこがバラけて見えるのが、従業員数合計についてです。特に従業員数が多くなるにつ れ、外国人技術者を活用している企業が増えているという傾向があります。1,000人以 上という企業自体は6社しかありませんので、これは参考程度に見るとしても、それま での30名未満のカテゴリーにかけて、活用状況は従業員数が増えるにつれて増加してい るという状況です。  2枚目、今後の外国人技術者の活用意向について質問したものです。多くの場合、今 後ということもあるので、「分からない」という回答になっていますが、「活用を増や していく」という意向を持っている企業については、分野別に見ると、おおむね前の頁 と同様、システムインテグレーションサービスが最も活用を増やしていくという意向が 強くなっています。次いでソフトウェア開発が17.0%となっています。それぞれ活用を 減らしていくという後ろ向きの回答はそれほど多く出ていないという状況でした。  図表4、こちらも企業の規模、従業員数が多くなるにつれ、今後の外国人技術者の活 用意向も強まっていくという傾向を見ることができました。以上で前回質問いただいた 部分について説明しました。  次にフィットネス業の説明です。はじめに報告書の3頁、まず回答企業の属性は、正 規社員数は30名未満の企業が86.7%で大部分を占めている状況でした。従業員数の年 齢別の人員構成は、20代が53.5%、30代が20.1%、ということで20代と30代だけで 7割以上の割合を占めている状況です。  4頁、下のグラフは今回の回答企業の過去3年の業績について見ると、業績は「下向 き」であったという企業が44.0%で最も多くなっています。しかし、今後3年間の展望 について聞くと、「下向き」という回答は17.6%に減少しており、「上向き」という回 答が41.2%と大きく増加している状況です。  5頁、従業員数の増加率、あるいは減少率は回答企業において、3年前と現在の間の 従業員数の増加の動向を質問すると、従業員数が30%以上増加したという企業が28.9 %となっております。一方で、30%以上の減少という企業も18.4%という多い数値とな っているので、従業員数が大きく増加する企業、あるいは大きく減少する企業とある程 度二極化している面が見て取れるかと思われます。  少し飛んで、10頁をご覧ください。従業員数について正規社員の過去3年の増加動向 を見ましたが、今後3年の採用見込みについても聞いています。新規学卒者の正規社員 の採用が増加するだろうという企業は30%、中途での正規社員が増加するだろうという のとほぼ同じ数値の31.4%となっています。正規社員数に比べてパート、アルバイトの 採用が増加するだろうという企業は43.4%、有期契約社員の採用が増加するであろうと いう回答が34.0%で、正規社員数に比較して若干見込みとしては、増加するという予想 をする企業が多くなっている状況です。  もう少し進んで15頁です。ここでは各企業において職種別にどういう能力を従業員に 求めているかという質問です。ここではインストラクターと店舗運営・管理と大きく2 つに分けてありますが、このうちトレーニングジム、スタジオ、プールというように対 象のサービスにより、一応3つにインストラクターを区分けして質問をしています。い ずれの場合もインストラクターには「コミュニケーション能力」が強く求められていま す。そして次いで、特化した技術的な専門知識が求められるというのが、いずれのサー ビスを行う場合でもおおむね共通です。一方、店舗運営および管理は「マネージメント 能力」、そして「リーダーシップ」という回答が多くなっています。  次に20頁、事業にさまざまな職種がありますが、広く能力開発、キャリア形成につい ての課題を企業側にまず尋ねたところ、「指導できる人材が不足している」という回答 が最も多く53.2%、次いで「能力開発を行う時間がない」が48.9%となっています。以 下、「専門的なスキルを持った人材が不足している」が44.7%、そして「マネジメント を十分に行える人材が不足している」も40.4%と比較的多くなっています。  一方、従業員にとって能力開発の課題、あるいはキャリア形成の課題がどのようなと ころにあるかを聞いているのが、21頁です。従業員側に聞いた回答によると、最も回答 が多かったのは、「能力開発を行う金銭的余裕がない」が56.0%、次いで「能力開発を 行う時間がない」が50.7%、3番目に多いのが「社内の能力評価基準が整備されていな い」が36.0%となっており、全体に従業員が努力しようと思っても、なかなか能力開発 に取り組む方向に向かえないというイメージから、金銭的、あるいは時間的余裕がない というのが回答に出ているのではないかと考えられます。  22頁は、今21頁で説明したように、なかなか時間あるいは金銭的余裕がないという 状況でしたが、実際にどういう能力開発に取り組んできたか、あるいは今後どういう能 力開発に取り組みたいかというのが、こちらのグラフです。まず、過去1年に取り組ん だ能力開発では、OJT(職場内訓練)が44.0%と最も多くなっており、次いで自己啓 発が30.7%となっています。一方、今後取り組みたいという今後の意向は、自己啓発、 特に資格取得に向けた学習をしたいという意向が強く出ており62.7%となっています。 次いでOFF-JTのうちいわゆる職場外訓練と呼ばれるものが40.0%の回答になって います。現状ではなかなか企業側からOFF-JTを受ける余裕を与えられていないとい う状態があり、過去1年の取組では26.7%となっていますが、今後の希望としては取り 組みたいという従業員の意向が、ここの差分に出ているのではないかと考えられます。  次は27頁、ここでは業界内で課題となっている事柄について、特に自社においてはど のような状況かと聞いたところです。少し前の頁でも出てきましたが、やはり企業側に とっては「マネジメント能力をもつ人材が不足している」という回答が41.3%となって いますが、特に問題意識が強いところです。次いで「新たなプログラムに対応できるイ ンストラクターが不足している」、あるいは「価格競争が激化している」が34.9%。「変 化するニーズに対応したプログラムの準備が難しい」という回答が33.3%と比較的多い 回答になっています。ここでは特に、インストラクターの不足であったり、変化するニ ーズに対応したプログラムの準備が難しいということで、新しい取組を行うに当たって のソフト面、あるいは実際にサービスを提供する人材、それぞれが不足しているという 状況が見て取れます。フィットネス業に対する説明は以上です。 ○小野座長  ありがとうございました。どうぞ質問をお願いいたします。 ○久本委員  回収率が非常に低いこともあって、仕方がないという気はするのですが、これだけ膨 大な質問用紙を作り過ぎたような気もするのです。基本的に、このアンケート票で聞い ている各項目の単純集計が、欠けているものが凄く沢山あるのです。これについては、 単純で良いですから教えていただければと思います。沢山聞いているのですが、例えば、 参考のフィットネスの方で見ても、問4の1や問4の2、問5の3、問5の4、問5の 5の3、4、5、6、7、11、問11の1、12、14、問16の1、17、19、20、22、23、 24、25、26、27、31〜34までと、平均年齢や勤続年数、親会社の有無や子会社の有無等、 基本的なデータが、分母が小さいから仕方がないというのは非常に良く分かるのです。 極端に言うと3つ、4つしか答えていないかもしれないのですが、それでも良いのです が、何分の何という形でも良いので、そういうデータを記述しておいていただきたいと 思うのです。そうしないと、特に労働条件に関するところはほとんど何も出ていないの で、これは困ったなというのが正直な感想です。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  ただ、今委員がおっしゃられたとおり、数が少ないというのはありながらも、我々の 手元では、数字は一般的なアンケートと同様に作っておりますので、本日お配りできま せんでしたが、すぐに委員の皆様の必要な形でお送りしたいと思います。 ○山川委員  今の久本委員の関心とほぼ共通しているのですが、可能であれば聞きたいのが、フィ ットネスの従業員調査の問12、あなたは現在の仕事を将来も続けていきたいと思います か、というものです。この辺りは、果たして長期のキャリアを想定しているかどうかと いうことで、もしかしたら重要かもしれないと思うのですが、今結果がわかれば教えて いただけますか。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  単純に集計ベースの数字だけ口頭で申し上げます。回答75件のうち、「現在の会社で 働き続けたい」という回答が54件、割合で72%、「別の会社で働きたい」という回答 が9件、割合にして12%、「自ら独立して自分の店舗を持ちたい」という回答が、同じ く9件で12%、「個人請負として」という回答は0件でした。「その他」が1件、未回 答の方が2名いらっしゃいましたので、以上で計75名の回答です。 ○山川委員  ありがとうございました。意外に現在の会社で働き続けたいという者が多いと、今聞 いて思いました。 ○二宮委員  27頁の下の方に「インストラクターは外部会社に委託している」とあります。確か前 回のヒアリングの時にも、外部委託のようなケースが多いという話を聞いたと思います。 6頁に人材の職種別構成とあって、個人請負契約でインストラクターが6名位いるとい う記述がありますが、全般的に業務委託をしているケースが、多分個人契約以外にもあ るのではないかと思うのです。何かその辺りの数字は抑えているのでしょうか。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  外部に委託するという意味では、6頁に表がありますが、紹介予定派遣は0件ですが、 個人請負あるいは一般派遣という形でしか今回は把握していない状況です。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  今回の調査は、前回報告した昨年度の調査とほぼ共通のスプリットで調査をしている ということで、特殊なトピック等は外して調査をしておりまして、その辺りで限界が出 ているのかなと思います。 ○久本委員  質問なのですが、13頁で転職回数が0回というのが、第2新卒という意味で、これが 良く分からないのです。質問票を見ますと、参考19頁で、問4〜問6までは「中途採用 者の方のみご回答ください」とは書いてあるのですが、問3の「中途採用で現在の職場 に入った」というものだけを採っているとどうかなのです。だから、新卒で採用された というところに○をつけて、つい0と書いてしまった人はいないのかどうか、その辺り のチェックはいかがでしょうか。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  ここにつきましては、おっしゃるとおり、問3の段階でこの質問に回答するかどうか という事前質問の形になっておりますので、ここでは問3で自分は中途採用者であると 回答したにもかかわらず、問4の回答欄に手書きで0を記入された者が、実際に6名い らっしゃいました。 ○小野座長  よろしいでしょうか。先ほど情報サービス分野についての外国人のデータが配付され ましたが、それについても質問があればどうぞ。 ○八幡委員  二宮委員の方が詳しいのかもしれないのですが、外国人はSI事業関係に多いですね。 これは何か特徴があるのですか。大手の会社は、多分SI事業をやっていると思います が。 ○二宮委員  外国人技術者がどのような職種に従事しているかというのは、特には聞いていないの ですね。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  そうですね。これは付加的に実際の活用状況という単純な聞き方しかしておりません ので、どういった職種かは聞いておりません。 ○二宮委員  例えば、新卒採用のときに、大学院に留学している者等優秀な者が多いですから、そ ういう者を採用しているケースや、業務提携先が外国の企業であるとか、色々なパター ンがあると思います。これだけで一概にどうとは言えないと思います。 ○小野座長  次に、エステティック業に移ります。同じくだいたい10分位で、説明をよろしくお願 いします。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  29頁から説明します。回答企業の属性ですが、ご覧のとおり30名未満で7割を占め ており、非常に小さな企業が多いということです。従業員の年齢ですが、これも20歳代 以下が7割を占めるということです。30頁は、雇用形態です。正社員が4割、パート、 有期契約が6割を占め、非正規社員が主流を占める職場ということです。31頁は、3年 前から現在にかけての従業員増加率ですが、30%以上のところがある一方で、マイナス 30%のところも多く、ここも勝ち負けが進んでいることが見て取れると思います。  32頁は、現在働いている人材の職種別の構成ということで、特に技術者(エステティ シャン)でパート・アルバイトが非常に多いことが見て取れると思います。一方、店舗 管理・運営のところは正規社員が中心で、管理は正規社員がやり、技術者は正規社員も おりますが、パート・アルバイトで補完している構造になっていると思います。  34頁ですが、従業員数の増減傾向です。ここ3年間、今後3年間で比較をしている訳 ですが、これを見ますと技術者、営業、店舗管理といったところが、これまで、今後と もに量的には比率が伸びているのですが、店舗開発をここ3年間と今後3年間の開きを 比べると、比率的に大きいということで、ここが一番強く求められている、現在人が足 りないところということが見て取れると思います。  37頁は、今申し上げたことの1つの裏付け材料になるかと思いますが、店舗開発、店 舗管理・運営、営業といったところでは、過去3年の充足率を見ますと、1割程度が大 きい訳で、人が足りていない分野であるということです。補足しますが、ここで言う店 舗開発というのは経営戦略等を担う者のことです。  38頁、一番下の中途採用者の転職回数ですが、2回、3回と転職している者が6割程 度に上り、非常に流動性の高い職場であるということです。39頁、入職前の業務経験の ところは、今の業務は全く未経験であったという者が非常に多いということです。  40頁では、4つの職種に対して求められる能力を聞いています。当初の予想では、技 術者(エステティシャン)が特化した技術的専門知識が必要なのかなと、素人的には思 うのですが、むしろ店舗管理・運営等が専門知識を求めるニーズが高く、エステティシ ャンに関してはコミュニケーション能力が求められているということです。  45頁は、能力開発・キャリア形成の課題です。指導できる人材が不足している、マネ ジメントを十分に行える人材が不足しているといったところが、課題意識として出てお ります。46頁は、従業員側の意識です。能力開発を行う時間がない、金銭的な余裕がな い、指導できる人材が不足しているといったところに意識が集中しており、これは先ほ どの報告と同様の傾向であると思います。  48頁は、労働条件のところです。平均賃金を見てみますと26万円程度なのですが、 件数が少ないので参考にしかなりませんが、20万円未満のところが4割程度でした。所 定外労働時間を見ますと、20時間未満のところが多かったのですが、80時間以上の人も 4人程度いるということです。人事労務上不満な点をフリーアンサーで整理してみます と、かなり際どい回答が出ております。しかしながら、49頁で、現在の仕事の満足度は 従業員の7割以上が「満足している」という回答です。現在勤める会社で今後どのよう に働いていきたいかということで、技術者(エステティシャン)は9割近くが「スペシ ャリストを目指していきたい」ということです。  51頁は業界団体の課題ですが、これも今まで出てきたことと同様、人的な課題ですが、 マネジメント能力を持つ人材が非常に不足していることと、価格競争が激化していると いう、経営上の環境の悪化が指摘されていると思います。企業・経営者の声のフリーア ンサーを見てみますと、大卒の定着率が良いという訳ではない、業界内での競争が価格 面に傾いており、本来競争すべき技術の向上といったところからかけ離れてきてしまっ ている、という悩み等が掲載されています。  52頁は、従業員のキャリア形成上の課題です。こういうところに書いてくる者は非常 に意識の高い者だと思いますが、リーダーシップあるいはコーチング技術に取り組みた い、OJTだけでは限度があるので、それ以外の仕事が遅くなっても受けられる講義、 あるいは教育の場を求めているということが記載されておりました。以上です。 ○小野座長  ありがとうございました。質問がありましたらどうぞ。 ○二宮委員  40頁の企業が求める能力・キャリアパターンなのですが、企業・経営者問10と従業 員問9というのは、両方あわせたものですか。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  すみません、実は表記ミスです。これは企業・経営者の答えです。 ○久本委員  前回のフィットネスと同じようなものを出していただきたいということでお願いした いのですが、もう1つ、管理をする人たちとそうでない人と、ずいぶん違う気がするの です。というのは、採用ルートで関連会社や取引先が結構多くて、こういう人たちは恐 らく管理職になるとか、そういう間接部分の人たちのような気がします。会社に調査票 が行って、そこから2人ですからそういう人に1個1個来るという感じだと思うので、 だからそういう結果が出ると思うのです。入職経路と年収と職種のようなものを、サン プルは小さくてできないのですが、どういう形かを分かる範囲で教えていただければと 思います。 ○久本委員  それから、今わからなくても、数字を見た上でどういうイメージをお持ちかを説明し ていただきたいと思います。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  今主に携わっている職種と賃金というクロスするものがありまして、非常に数が少な くて何とも言えないのですが、店舗管理・運営は正社員が多かった訳ですが、全体で5 件で、30万〜40万円が2、40万〜50万が1、無回答が2件ありました。ですから、こ の中で把握されている限りにおいては、全てが30万円以上です。  エステティシャンでは10件の回答があるのですが、そのうち7件が20万未満という 状況です。 ○山川委員  今の質問と関連で、従業員調査票の問3なのですが、この単純集計の結果を教えてい ただけますか。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  単純集計レベルですが、全体では中途採用が59.5%、新卒が16.2%、関係会社からの 出向・転籍が5.4%、有期契約、パート、アルバイト等も5.4%、その他も5.4%です。 全体の母数が非常に少ないので、5.4%というのはそれぞれ2件です。 ○八幡委員  質問用紙の方に、nで良いですから全部入れておいてください。普通はそういう書き 方ですので、最後にまとめに入れていただきたい。 ○久本委員  割合というか、n分のいくらと書いてもらった方が、サンプル数が少ないので。 ○八幡委員  30以下位では、普通そういう書き方ですね。 ○久本委員  できればそういう書き方でお願いしたいと思います。 ○小野座長  今はエステティック、前はフィットネス、いずれも30%以上増えているところと、30 %以上減っているところが非常に多いということで、先ほど二極化と言いましたが、こ れはどういう規模で起こっているのですか。規模別ではご覧になっていないのですか。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  今のところ、そこまでは分かりません。 ○小野座長  そうですか。そのあとで充足率の話をしていましたね。それと関連づけて、何か分析 があったらと思ってお聞きしたのです。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  出すことは可能ですので、次回ご入り用であればお出しします。 ○小野座長  地域等とは関係するのですか。例えば、東京のようなところでは30%以上のところが 比較的多いけれど、地方都市で作ってみたけれど、あまりお客さんが来なくて、うんと 減ってしまった等。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  企業ベースで把握していますので、本当に大型で色々なところにあるところと、地域 で単独でやられているところがゴチャゴチャになっていますので、事業場ベースで把握 すれば出てくるのではないかと思います。企業ベースでやっています。 ○小野座長  大きな規模でも、沢山事業場があると、1事業場当たりでは人数が少ない場合もあり ますね。最初3人でやっていて、3割というとぐっと減ってしまうとか。他に質問はご ざいませんか。  どうもありがとうございました。それでは、議題2「報告書骨子案」について、事務 局より説明をお願いします。 ○労働政策担当参事官室企画第二係長  骨子案の構成ですが、前回議論いただいた3分野の骨子案と同様となっており、それ ぞれ3つの柱になっております。1つ目の柱として「各分野における雇用創出の期待」、 2つ目の柱として「各分野の就労の状況」、3つ目の柱として「各分野の課題」となっ ております。  「フィットネス分野」についてです。1つ目の柱、「雇用創出の期待」ですが、近年 の健康志向ブーム、特に団塊の世代の労働市場からの退出に伴う中高年の健康志向ブー ムが起っており、また余暇の受け皿、あるいは生きがいの1つとして注目される分野で す。また、これに加えて、昨今財政再建や医療費の適正化といったことが政治的な課題 となっている中で、生活習慣病の予防の観点からもフィットネス業界に対する期待は高 いと考えられ、今後さらなる業界の活性化が期待されるところです。  2の「フィットネス分野の就労の状況」です。1つ目の○は従業員の職種ですが、こ の分野はインストラクター、フロント、その他マネージャーたる店舗管理・運営スタッ フ、営業等から構成されており、中でもインストラクターが全体の7割強を占めており ます。  2つ目の○です。雇用形態別の構成を見ますと、先ほど説明がありましたが、正社員 が約3割にとどまる一方で、パート・有期契約社員といった非正規社員が5割強と高く なっています。年齢構成を見てみますと、30歳以下の者が大半を占めており、若年層が 多くなっているということです。これは、恐らく従業員の定着率の低さが要因の1つで はないかと考えられます。  2頁目の1つ目の○は、従業員の能力開発の状況です。店舗管理・運営スタッフを除 くいずれの職種も、コミュニケーション能力を重視しています。また、企業の能力開発 に対する考え方を見ますと、積極的に従業員の能力開発に関わろうとする割合に加え、 従業員の自発的な能力開発に期待する割合も高くなっています。  2つ目の○は、従業員のキャリアパターンです。まずインストラクターとして採用さ れ、専門性を磨いてスペシャリストとなっていくパターンと、店舗管理・運営スタッフ といったマネジメント系の職種に進むパターンが一般的ではないかということです。  3つ目の○は、従業員の就業意識です。「満足している」と回答する者が8割と、満 足度は高くなっておりますが、一方で満足していない理由として、賃金が低い、労働時 間が長いといった基本的な労働条件に関わる不満が比較的多く指摘されています。  最後の柱3の「フィットネス分野の課題」です。この分野は、先ほど申しましたが、 ここで働いている者は非正規社員が大変多くなっており、また労働条件が悪いといった 指摘もあるところです。  2つ目の○ですが、従業員の平均年齢を見ても若年傾向にあり、恐らくこの分野に入 職したあとのキャリアパターンが不明確であるがゆえに、将来への不安から早期に見切 りをつけて退職してしまうことが要因の1つではないかと推察されるところです。  3頁です。そうは言っても、一方で今後中高年の健康志向ブームと相まって、これま での若年者向けの画一的なメニューにとどまらず、中高年向けの健康の保持増進を目的 とした、それぞれの年齢にきめ細かに応じたメニューを開発していくことが必要になっ てくると考えられます。また、先ほども申し上げましたが、生活習慣病の予防の観点か らも、サービス内容だけではなく、基礎的な医学知識や運動生理学といった専門的な知 識が必要になってくることが予想されます。  したがって、こうした変化の中でこの業界を活性化していくためには、まずはそこで 働く者に求められる知識や技能、キャリアパターンといったものを明確化し、さらには 労働条件の明確化を図ることで、従業員の定着率の向上を図っていくことが必要である と考えられます。したがって、多様なニーズに対応できる従業員が継続的に雇用される 環境を整えていくことが求められるということで、課題として挙げております。  続いて、「エステティック分野」です。まず「雇用創出の期待」ですが、物資の豊富 化、女性の社会進出等、社会情勢がめまぐるしく変化している中で、従来この分野は若 い女性会社員を中心にサービスが提供されてきたと考えられます。最近では中高年女性 や男性をも含めたサービスも提供されるようになっており、顧客、利用者の裾野が広が ってきている状況です。また、個人を取り巻く環境の変化の中、ストレスの解消を図る という観点から、リラクゼーションといった癒し系のサービスも提供されてきている等、 今後ますますマーケットが拡大し、業界の活性化が期待されるところです。  4頁ですが、「エステティック分野の就労の状況」です。1つ目の○は、従業員の職 種です。エステティック分野は、エステティシャン(技術者)、店舗管理・運営スタッ フ、その他営業、店舗開発スタッフ等から構成されておりますが、中でもエステティシ ャンが全体の約8割を占めています。  2つ目の○ですが、雇用形態別の構成を見ると、フィットネス分野と同様、正社員が 約4割と低い一方で、パート、有期契約社員といった非正規社員が6割弱と高くなって います。  3つ目の○は、能力開発の状況です。職種別に求められる能力を見ると、それぞれ店 舗開発スタッフについてはマネジメント能力、店舗管理・運営スタッフについては特化 した技術的専門知識、エステティシャンについてはコミュニケーション能力等が高くな っており、各職種で求められる能力が異なっていることがうかがわれます。企業の能力 開発に対する考え方につきましては、積極的に従業員の能力開発に関わろうとする割合、 従業員の自発的能力開発に期待する割合ともに高くなっています。  4つ目の○は、従業員の就業意識です。フィットネス分野と同様、「満足している」 と回答する者が8割と高くなっておりますが、一方で満足していない理由として、賃金 が低い、自分の役割に見合った成果が出せないといった不満が、比較的多く指摘されて おります。  5つ目の○は、従業員のキャリアパターンです。エステティシャンとして採用され、 経験を積んでスペシャリストとなっていくパターンと、店舗管理・運営スタッフといっ たマネジメント系の職種に進むパターン、その他営業へ進むパターン等が見て取れます。 なお、この分野の非常に特徴的なところなのですが、一人前のエステティシャンになる 場合、一般的な場合で3.9年、店長へ昇格するまでの経験年数は4.6年と、管理業務を 行うようになるまでの期間が極めて短くなっていることが特徴となっております。  最後の柱、「エステティック分野の課題」ですが、この分野は先ほど申し上げました が、そこで働いている者は従業員の平均年齢を見ても若年者中心の雇用の場となってお り、また退職する従業員も大変多くなっております。したがって、定着率が高くないと いうことが考えられます。従業員の不満も、基本的な労働条件に関わるものが多く見ら れ、技術面を中心に能力開発への意識は高くはなっているのですが、指導者の不足や時 間的制約から、十分に能力開発が行われているとは言えないことがその理由になってい るのではないかと考えられます。  2つ目の○ですが、この分野で中心となって活躍しているエステティシャンは、スペ シャリストを志向する傾向が非常に強くなっておりますが、一方で店長といった管理責 任を求められる立場になるまでの期間が極めて短いため、管理者として十分な経験やマ ネジメント能力を身につける機会がないまま、こうした職務に就くことが、人事労務管 理の基本的な部分につながっているのではないかと推察されます。したがって、キャリ アの早い段階から、技術面と並んでマネジメント能力を身につけさせていくような人材 育成が求められるのではないかということです。  最後の○ですが、この業界の課題としてもう1つ、相談機関に対する苦情が非常に多 くなっていることから、業界イメージの向上も業界全体の活性化につながっていくと考 えられます。業界団体の中には、エステティックサロンで行う適正な契約締結のための 手引書を作成して普及するといった改善策に取り組んでいるところもありますので、今 後さらなる業界の健全化に努め、消費者の信頼に応えていくことが、この業界の活性化 のため不可欠であると考えられるところです。 ○小野座長  ありがとうございます。それでは質問をお願いします。  これは、両方の産業について満足しているかというと、8割位が満足していると答え るのです。けれども、定着率が低い。普通は逆のように思うのだけれども、満足してい るのですからそこにとどまるのではないかと思いますが、定着率がそれとは逆なのです ね。ですから、そういうことも実際に起きている訳ですけれども、満足度を聞くことは、 定着率が高いかどうかという判断の材料にはならない訳です。 ○久本委員  同じ件なのですが。この答えている人は正社員で、つまり会社側が会社に来た、これ と思った人に配られている訳です。会社側がこれと思った人の満足度であり、したがっ てこの調査は現在平均的に働いている人の満足度ではないのです。ですから、継続して 働こうと思っている人も多い訳ですけれども、このコアのずっと残るような人たちの満 足度を聞いているので、これをこの産業自体の従業員の平均的満足度であると見ると、 大きく間違うと思うのです。恐らく基本的には満足度は低いと思うのですが、満足度の 高い人たちの状況はこうだというような書き方をした方が、本当は良いのではないかと 思います。 ○小野座長  もしそうならば、雇用形態別に満足度を出してこないと。 ○久本委員  これは正社員だけですね。 ○小野座長  正社員だけを調べている。 ○久本委員  正社員2人とかです。ですから会社に来て正社員2人ですから、やはりこれは満足度 の高い人に普通は配りますよ。 ○小野座長  そうでしょうね。これは正社員だけを対象にしているのですか。けれども、非正社員 も非常に多いという結果が出ていますね。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  企業票における質問については、各雇用形態の事柄について質問をしておりますけれ ども、従業員票は正規社員の方にお配りくださいという形でやっています。 ○小野座長  離職率は企業調査から出てきている訳でしょうね。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  そうです、はい。 ○久本委員  個々の書き方なのですが、従業員一般の就業意識がある、満足度が高いと書くのはち ょっと危ないと思うのです。 ○小野座長  危ないですね。 ○久本委員  むしろ、全体として離職率が非常に高いことを表に出して、その中で残っている人や、 満足度の高いコアの人たちがいて、コアの人たちに関してはどうなのだという書き方に しないと、ちょっとこれはミスリーディングになるのではないかということです。 ○小野座長  企業でアンケート用紙を配るときは、正社員にでしょうね。 ○久本委員  正社員で。不満な人には配らないような気がするので。 ○小野座長  ランダムに配るならば別ですけれども、そうではない。今のご意見のようにしないと、 ちょっと訳が分からない結果になってしまう訳ですね。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  そこのところは最後の報告書の段階で、踏まえた形にまた修正させていただきます。 ○小野座長  他に何か意見がありましたら、どうぞご自由にご発言いただきたいと思います。 ○久本委員  もう1点だけ気になったところですが、例えば、エステティックの場合のエステティ シャンの人たちのスキルという場合、専門的なスキルではなくて、コミュニケーション 能力というのは顧客との対応になりますが、それはサービス業ですから当然だと思うの です。やはり、専門的な能力があまり問われていないところが、この業界の問題だと思 うのです。本当は、本来であればそのスペシャリティということを言うと、非常に上手 なというか、スキルの高い人たちを育てることが重要なのですけれども、現実上の業界 がまだそこまで至っていない。それが業界全体の品質のばらつきとなり、苦情につなが ることになると思うのです。  こういう人たちのスキルを上げて、ある意味標準化することにより、それ自体がこの 業界の社会的評判を上げて、それがさらにマーケットを拡大することにつながるのです。 恐らくそういう観点からの課題にもなりますけれども、そういう書き方をした方が良い のではないかという気がしました。 ○大矢委員  このエステティックについての相談機関なのですが、これはエステティックの業界の 業際が明確ではないことによります。例えば、実際にコースで契約をするときに、クー リングオフ等確認されないところがある。もちろん技術的な問題もあるのですが、苦情 の内容はスキルだけではないということが一つです。  離職率の話は定性的なところでちょっと良く分からないですが、少なくともエステテ ィックの場合等は、評価基準が明確でないことがあるのですが、上手な人というのは独 立される可能性が比較的高い。フィットネスは逆に言うと、装置がないとなかなか出来 ないのです。今後は個人インストラクターのニーズが高まることも予想されます。 エステシャンの場合には、魔法の手と呼ばれるスキルの高い人はその人に払う対価とい うのは実際には指標化されないが、口コミで非常に高くなるケースもある。実際にはマ ンションの一室でもエステティックはできてしまう。その離職の理由として働く人の満 足度と離職率の関係性が見えにくいので少し確認された方が良いのではないでしょう か。 ○山川委員  この両業界とも中小企業が多いというのは、一般的な傾向として言えると思います。 課題あるいは就労の状況のところで、業界としての特色という部分と、それから中小企 業であるが故の特色ということがあろうかと思います。この骨子案の中では企業規模と いうことがあまり書かれていないので、ちょっとそれは一言触れておいた方が良いのか という感じがします。もう1つはグループ企業である場合で、先ほど久本先生が言われ たような、親会社から出向しているというようなことも、ひょっとしたら影響を与えて いるかもしれません。それはちょっとこのデータからは分からないのですけれども、い ずれにしても企業の事業形態なり規模なりも影響を与えているかと思います。  あとエステティック分野で店長という言葉が出てきます。これは企業規模と事業場規 模が影響を与えているような気がします。フィットネスクラブですと1つのクラブが大 きいと思いますが、このエステティック分野の店長と言われる者の所属する事業場とい うのは、何人位いるのか。駅の地下にあるようなものを見ると、多分相当小さいのでは ないかと思います。店長と言っても私たちが通常スーパーの店長とかをイメージしてい るものとは、かなり違うような気がします。そうすると経験年数が短いのも分かります し、マネージメント能力といっても通常のマネージメント能力とはちょっとイメージが 違うような気がします。事業場の規模というのが、この調査では出てこないのかもしれ ませんが、もしかしたら影響しているかと思います。 ○矢作委員  今規模の話がありましたけれども、例えば、フィットネスで3頁目のところに86%が 30名未満となっていますね。この従業員分類は通常の分類に従っている訳ですけれど、 30名未満ということで大変小さい企業が多いということは確かなのですが、同時に7頁 のところを見ると、トレーニングジムというのは機械が沢山入っている訳ですね。それ からプールも多いのです。ですから大変投資額が多いところの回答が多いのです。  そもそも従業員数が少ないのですけれども、業界としては投資額の多い企業が比較的 多く回答されているのかと思うのです。実態はもっと小企業が多いということなのか、 ちょっと分かりませんけれど、回答自体が少しバイアスがかかっていて、1軒1軒は小 さい企業の業界ですけれど、その中で比較的投資規模の大きい企業がこの場合回答して いるということです。本当は実態はもうちょっと厳しいということではないかと思うの ですが、その辺りはいかがでしょうか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  ヒアリング等で聞いているところですと、もともとフィットネス業界自体、今ありま したプールであればプールがないといけませんし、トレーニングといってもジムの機械 とかをそれなりに入れるということで、設備投資というか初期投資額が非常に大きい業 界であるというのは、一般的なこととして指摘されているようです。そこと従業員との 関係でどの程度バイアスがかかっているのかどうかというのは、にわかに判断がつかな いところですが、業界自体の特色として、そういったところがあるということは、言わ れているところです。 ○久本委員  ということで質問項目の「親会社の有無」というところで、親会社があるところがど れ位の比率を占めているかというのを、特にフィットネスの方を知りたいと思うのです。 中小企業といっても、20人位でも親会社が1,000人以上のところというのが沢山ありま すので、そうすると必ずしも中小零細というのとはイメージが違う気がするのです。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  親会社の規模という意味で、45社のうち親会社があると回答された企業が14社で、 14社のうち13社は従業員正社員規模30人未満と回答があった企業です。 ○矢作委員  フィットネスは、市役所や区役所が随分プールをやったりトレーニングをやったりし ているではないですか。公が民を圧迫しているという意見は無かったのですか。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  今回自由回答の中で、特にそこに触れられている回答は無かったのですが。 ○小野座長  他にありませんか。細かい話ですが、キャリアパターンについて触れられているので すが、これは1つの企業の中でパターンを変えていくのが多いのでしょうか。それとも 転職しながら、別に変えていく方が多いのでしょうか。そういうのはお分かりになりま せんか。分からなければ結構です。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  先ほど出てきた、今後この場所に居続けたいか、転職したいかというような、今後の 意向という意味では聞いていますけれども、現職に就かれるまでのキャリアルートを聞 く質問は、今回は設けていません。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  直接の答えにはなっていないと思うのですが、三井さんの調査を見ると、14頁でフィ ットネスの方が、入職前の業務経験ということで聞いているのですが、例えば、下のイ ンストラクターのところを見ると、同じ業務経験があったというのが46%ということな ので、比較的同じ業界の中で動いている傾向があるのではないかと推測されます。  もう一方のエステの方は、39頁の従業員問の7ですが、エステティシャンは、同じ業 務経験があったというのが18.8%と非常に少ない数字になっています。両方をかなり割 り切って対比的に話をすると、比較的フィットネスは、同じ業界内で転職をする形が多 いのではないか。一方エステは比較的にそういうことはなくて、独立というのはまた別 にあるのかもしれませんが、中で転々とするというのはそれほど多くないのではないか という傾向があると思われます。 ○二宮委員  特に、今回の健康サービス分野に限った話ではないのですが、前回から色々とこの報 告書を拝見させていただいていて、雇用の量から質への転換という点を感じます。そう いう意味で能力開発というのが非常に重要なのだろうなと思います。今回の報告書の中 でも、忙しくて能力開発の時間が取れないという声もありましたが、前回話が出たよう に、能力開発というのは、休んでどこかに通うものなのかという疑問があります。  確かに資格取得というのはあるかもしれないのですが、業務に必要な資格は何として も取得するでしょうから。そういう意味で問題となってくるのは、今すぐ必要ではない けれども、いずれ必要になる、ステップアップのために必要になってくるという部分だ と思うのです。そういうのは本当に色々な知識、スキルがあると思います。例えば、本 を読んだり、講義を受けたりという形で身に付けるものもあれば、ここに出ているOJ Tで身に付けるもの、体験でしか身に付かないものがある。  今回の調査で全般的に目立ったのは、業界を問わず、コミュニケーション能力やマネ ジメント能力です。自ら学ぶ能力もありました。コミュニケーション能力といっても色 々な業界がありますので、みんな同じようなものを要求しているか分からない部分はあ るのですが、これらに対して企業の他でも、学校教育なのか、社会人向け教育機関なの か分かりませんが、何らかのサポートができれば良いと思うのです。  今回の調査ではそこまで中身に踏み込めていないので、今後更なる分析が必要と思い ました。いずれにしても能力開発というのが重要なテーマだと思います。 ○大矢委員  今の能力開発の話は、一般的な能力開発の話なのですが、今回のフィットネスやエス テティックの能力開発のいわゆる技術等の指標は、異なる分野が合わさっているところ が特徴になっています。例えば、フィットネスでしたら最初はスポーツインストラクタ ーから入るのですが、上位者は健康学等知識も必要です。エステティックも美容業界か ら入ってくるのですが、やはり健康、医療面の知識も持っていないと上位者になりにく いということもあります。このように違った分野の知識情報や異業種同士の交流でスキ ルが進化する業界が増えているのではないでしょうか。  今回の場合、どちらも厚生労働省に関連があるように見えますが、これからは人それ ぞれの健康をどう作っていくかという手法と、キャリアプランをどう組み合わせるかを モデルキャリアとして作る必要があります。それが出来ると、未病の分野まで踏み込む ので大きな分野に成長するのではないかと思います。 ○二宮委員  1点だけ確認します。今の話の中で、両方とも厚生労働省の管轄という話がありまし たけれども、それについてはいかがなのでしょうか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  何をもって所管というかということにもかかるのですが、少なくともどちらも業法は ないですね。業法みたいなものがある訳ではないので、その意味で厚生労働省の行政と は、色々な産業がある中で比較的近くにいる分野であるということは言えると思います が、どこの所轄かと言われると、ちょっと難しいのかもしれません。そういう分野かと 思います。なかなか重たいご意見をいただいていますが、この調査なりからどこまで言 えるかということもあります。今までのご意見等を伺いまして、私どもなりに検討させ ていただければと思います。 ○久本委員  今のキャリアの話は、職業安定局でキャリアプランの色々な職種の中で、そういうこ とはある程度やっていると思うのです。これがあったような気はしますけれども、あっ たかどうか今ちょっと覚えていないのです。その辺りは省内でそういう研究があると思 いますので、またご紹介していただけたらと思います。 ○政策統括官  聞いてみまして、できる範囲でご紹介いたします。 ○八幡委員  大矢委員がおっしゃった、異分野のスペシャリストも一緒にやるというのは、エステ ティシャンの養成機関として学校等がありますが、そういうところでは両方のノウハウ を教えることはしていないのですか。 ○大矢委員  徐々に拡がっていますが、エステの業界もとても範囲が広く解釈も違うので、いわゆ るダイエットから施術まで業際が曖昧なためにスキルアップが体系化されていないとい う状況です。  学校ではいわゆる技術は教えますが、一般的な健康情報は少ない、また、施術と健康 の考え方もバラバラです。そこでクレームも多くなるということにもなります。 ○山川委員  今のお二人の先生の指摘は、重要なことで、教育から職業への移行の問題が今色々な ところで出ています。恐らくフィットネスでも体育大学等というところもあって、職業 に移行するに当たって将来のキャリアパターンが見据えられたり、あるいは基本的な資 質が、色々な意味で向上していくようなことも視野に入れる。そういう教育との連携は、 考慮しても良いのではないかと思います。 ○八幡委員  業界団体が、エステの場合はまだバラバラなのですか。それともかなり確立していて、 何々分科会等と分かれている形なのですか。 ○大矢委員  まだ、それほど業界自体がきちんと結束している訳ではないのです。 ○八幡委員  ある意味規制をかけた方が良いということですか。 ○大矢委員  トラブルが多いことから、日本エステティック協会が中心となり「認定資格制度」を 設けています。 ○八幡委員  保健所には届けるのですか。 ○大矢委員  そうですね、エステシャンは国家資格がなくグレーゾーンですから届けなくても開業 できます。しかし、お風呂(ジェットバスも含まれる)を設置する場合は公衆浴場法に 触れるため届出が必要です。 ○八幡委員  アメリカのSOHOでは、こういうスポーツインストラクター等が多いのです。それ からこういうエステ関係、それで1人でやっている。インターネットで注文を受けて出 前で行く。多分そういうのも増えてくる可能性があります。 ○大矢委員  日本でも増える可能性があります。 ○久本委員  もともとあんまなんていうのも。 ○小野座長  出前ですね。 ○久本委員  ですから新しくない。 ○小野座長  あんまみたいなのも入るのですか。 ○大矢委員  鍼灸師、あんまマッサージ師は国家資格ですが、エステティックの施術の中にマッサ ージ的なものもありますがエステティシャンに国家資格はありません。 ○久本委員  でも業界は違うでしょうね。歴史が違いますから。 ○大矢委員  そうですね、鍼灸師やマッサージ師には資格がありますから、施術は特にエステティ シャンの方が広すぎて分かりづらいという感じです。 ○小野座長  他に何かありますか。色々意見をいただきましたので、報告書にそれを反映していた だければ大変ありがたいと思います。報告書骨子案についてはこの位でよろしいですか。 事務局としては、だいたいこの位の議論で良いですか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  色々貴重なご意見をどうもありがとうございました。なかなか重いものもありますの で、私どもでどこまでこなせるかというところもある訳ですが、もう一度私どもなりに 考えてみまして、また相談していきたいと思います。よろしくお願いします。 ○小野座長  分かりました。では、報告書骨子案についての議論はこの辺りにしたいと思います。 最後に事務局より次回の開催日時等について説明をお願いします。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  次回でございますが、事前に調整させていただいておりますけれども、7月4日火曜 日、時間は15時から17時に予定しています。おって時間、場所等の正式なご連絡を差 し上げますのでよろしくお願いします。以上です。 ○小野座長  どうもありがとうございました。それでは本日の会議はこれで終了します。どうもご 苦労様でした。 照会先 : 政策統括官付労働政策担当参事官室 企画第2係 電話番号: 03(5253)1111 内線(7723) - 3 -