06/02/02 第10回今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会議事録 今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会(第10回)             厚生労働省雇用均等・児童家庭局 第10回 今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会 議事録 日時:2006年2月2日(木)13:00〜16:00 場所:厚生労働省専用第16会議室(13階) 出席者:  委員   山縣座長、井上委員、上廣委員、江成委員、小野委員、川崎委員   菅野委員、小林委員、後藤委員、関根委員、高橋委員、  事務局   香取総務課長、山本虐待防止対策室長、太田児童福祉専門官   内山総務課長補佐、 議事:  1. 開会  2. 事務局説明  3. 討議  4. 閉会 配布資料:  資料1 第9回研究会における主な議論の概要  資料2 今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会報告に向けて  資料3 その他 ○山縣座長  定刻となりましたので、ただ今から第10回今後の児童家庭相談体制のあり方に関する 研究会を開催します。最初に事務局から出席状況と資料の確認をお願いします。 ○内山総務課長補佐  本日は、岩佐委員、佐藤委員、濱田委員、前橋委員が所用により欠席で、出席委員は 11名となっております。  配布資料は3点で、まず資料1が「第9回研究会における主な議論の概要」です。資料 2が今回の研究会のためにまとめた「今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会 報告に向けて」という資料です。それから、「その他」として「18年度予算(案)におけ る対応」、「児童相談所に隣接して子どもの心の診療所が設置されている例」、「児童心理 司の配置割合の高い自治体」という資料を付けております。また参考資料として、前回 ご指摘があった「大阪府市町村の児童家庭相談援助指針」、山縣座長に研究でまとめてい ただいた「児童福祉審議官の意見聴取に関する調査報告書」、「児童福祉研究者の調査報 告書」を配布しております。  今回の議題の確認ですけれども、今回は研究会報告書の取りまとめについて、資料2 に基づいてご議論いただければと思っていまして、本日の研究会でご議論いただいた上 で、それを踏まえて報告書の原案を事務局で作成して、3月23日に予定している次回の 研究会で、その報告書原案についてご議論いただければと思っています。 ○山縣座長  ありがとうございました。資料等は大丈夫でしょうか。それでは、ただ今の事務局の 説明にありましたように、基本的な審議・議論は今日が最終回で、次回の3月23日には 一応完成という段取りになっておりますので、いろいろなご意見をお持ちの方は最終の 提示をお願いしたいと思います。  まず、これまでの経過について簡単に振り返りつつ、説明をお願いします。 ○内山総務課長補佐  まず、資料2をご覧ください。資料2は「報告に向けて」ということで作っておりま す。これは主に都道府県の児童相談所が中心ですが、基本的にこの夏にまとめていただ いた「中間的な議論の整理」、それと前回の研究会で出した市町村の部分についての「論 点」と「議論の整理」をそれぞれ掲載した上で、その後「18年度予算(案)における対応」を どのようにしているか、あるいは、まだ残された論点として「こういうところがあるの ではないか」というようなものを、それぞれのブロックごとに記載した資料となってい ます。  事務局としては、これを基にご議論いただいた上で、これまで実情調査などを研究会 としてやっていただいたので、実情調査の結果の好事例といったものを盛り込みながら 報告書の原案を作成したいと思っています。 ○山縣座長  ありがとうございます。今後の手続きについても説明いただきました。実際の資料2 の説明に入ってよろしいでしょうか。  今日は4時までの予定ですので3時間ほどあります。事務局に骨子を整理していただ いておりますので、ご説明いただいて、皆さま方に追加あるいは修正の意見を聞こうと 思います。1は「はじめに」ということで、挨拶程度で大きな議論はないと思います。 そして2〜5は今まで議論をしてきた流れそのものなのですけれども、後半は短いところ もありますのでまとめる可能性もありますが、1・2・3の辺りは非常に重要ですので、 そのパートごとにご説明をいただき、一つずつ議論をしていこうと思います。事務局も それでよろしいでしょうか。  それでは、1について、ポイントあるいは事務局で「こういうところをもう少し議論 して欲しい」というものがありましたらご説明をお願いします。 ○内山総務課長補佐  資料2の1ページです。「はじめに」のところは、後で文書等の精査をさせていただこ うと思っています。この研究会では、17年8月に都道府県(児童相談所等)における部分 を中心に「中間的な議論の整理」をまとめていただきましたが、8月以降の市町村の部 分をさらに議論を進めて、今般、3月に全体の報告としてまとめていただければと思っ ています。  大きな2の部分です。「都道府県(児童相談所等)における児童家庭相談機能の強化」と いうことです。まず一つ目の「児童相談所の必要な職員体制の確保」についての「中間 的な議論の整理」では、引き続き児童相談所の体制の充実に向けた努力が求められるの ではないかということがありました。その際、首長を含めた全丁的な理解の下に進めら れることや、IT化の推進など業務省力化の工夫も求められるというご指摘がありました。  次の「児童福祉司」の部分ですけれども、第一義的には市町村が児童家庭相談の窓口 になっていることを踏まえても、まだ児童福祉司の不足は依然深刻であり、配置の充実 が必要であるというご指摘がありました。例えば、児童福祉司の担当ケース件数など、 人口以外の要素を基本とした標準を示すことについても検討すべきであるというご指摘 がありました。  2ページの「児童心理司(心理職)」については、現在、配置基準が明確になっており ませんので、配置基準の明確化というのが検討すべき課題であるというご指摘がありま した。また、児童福祉司と児童心理司がチームで対応できる体制であることが望ましい というご指摘がありました。  次に、「医師・保健師」ですが、医師については、常勤で配置されることが強く求めら れるというご指摘でしたし、保健師についても、児童相談所に配置された保健師につい ては、健康面の初期評価を行うことが期待されるというご指摘がありました。  また、「弁護士」についても、サポートが得られる体制を構築することが不可欠である というご指摘がありました。  夏の時点からの若干の変化ですが、「18年度予算(案)における対応」というのがありま す。児童相談所については、「その他」の1ページ目の上の欄に書いておりますが、親支 援の強化のための「家族療法事業」の実施を18年度予算(案)で盛り込んでおります。  また、この部分についての「論点」として、例えば、「児童相談所の機能強化と業務の効 率化」については、IT化促進事業の評価と今後の方向性をどうするかという部分がある と思っております。  また、「人口規模以外の児童福祉司の配置基準」については、個別ケースの軽重、ある いは地域の児童福祉施設など社会資源のありようにも留意する必要があるのではないか と考えています。  「児童心理司の配置基準の明確化」については、児童福祉司3人に対して2人程度の 配置が行われている例もありますので、こういうものも参考にしながら、配置基準の明 確化を図っていくことが必要であると思っています。  「児童相談所への医師の配置」については、児童相談所に隣接した場所へ子どもの心 の診療所を設置している例などがありますし、子どもの心の診療ができる医師の養成に ついては、別途、私どもの局でやっている研究会で取りまとめができつつありますので、 そうした議論とも関係する部分ではないかと思っています。  次に、3ページの「児童相談所職員の専門性の向上」について、夏の「中間的な議論 の整理」では、児童福祉司や児童心理司について専門職採用が望まれるというご指摘が ありました。専門職採用を行った場合でも、行っていない場合であればなおのこと、現 任研修の充実が必要であるというご指摘がありました。  「人事ローテーション」については、5年から10年程度の経験が必要という声もあり ましたが、一方でストレスなどを考慮すると適度な異動をはさむことも必要だというご 指摘がありました。  ここでの「論点」としては、例えば人事ローテーションのあり方として、何かモデルと なるような事例がお示しできないか。あるいは、人材育成のあり方としては、特に今後 指導的立場に立てる職員をどのように育成していくかというような点が残されていると 考えています。  次に、「児童相談所の組織体制」については、虐待対応の緊急性・困難性からは特化す ることも有効というご指摘がありました。また、非行のケースも、ある程度、専従化す ることが有効ではないかというご指摘がありました。  次に、3ページの一番下の「児童相談所の適正配置」については、4ページの二つ目の ポツですが、おおむね人口30万人規模を念頭に、1時間程度で移動が可能な範囲を管轄 区域と想定するといったような提案がありましたし、また、自立的に措置権を行使でき るものであることが望ましいというご指摘がありました。  「論点」の所に書いてありますのは、18年度から中核市程度の市で児童相談所を設置で きることになっていますが、18年度に予定しているのは、現時点では横須賀市と金沢市 ということです。その他に、支所、出張所の必要性などについても、少しご議論してい ただいた方が良いかと思っています。  先に進みまして、「家庭児童相談室(福祉事務所)のあり方」については、「中間的な議 論の整理」では、都道府県の郡部の家庭児童相談室については、極力、整理される方向 にあるのが基本ではないかと考えられるが、その際、そのノウハウを市町村のサポート、 あるいは、福祉事務所と児童相談所の連携機能の強化があるのですから、そうしたノウ ハウを継承していく必要があるのではないかというご指摘がありました。一方、市の家 庭児童相談室については、今後、市の家庭児童相談室が市の児童家庭相談の中核になる ことが期待されるというご議論がありました。  「論点」としては、この郡部の家庭児童相談室のノウハウの継承法をどのようにしてい くかということがあるかと思っています。例えば、都道府県から市町村へ職員派遣をす るといった例も見られますので、そういうものを踏まえて、どのように継承していくか という論点があると思っています。  あと二つほどありますが、「一次保護のあり方」については、一時保護についての機能 の充実が求められるということでした。18年度予算(案)においては、心理療法担当職員 を全ての一時保護所に配置するとともに、一時保護における一般生活費について、新た に乳児用単価を設定するというような充実を予算案の中に盛り込んでいます。  「論点」としては、この「中間的な議論の整理」のときにもありましたように、一時保 護所における行動の自由制限のあり方、一次保護委託費のあり方、一時保護所の機能集 約をしていくための具体的な方策というものがあると思っています。  最後に、「児童福祉施設の適正配置・里親委託の推進」ですが、受け皿の不足という指 摘もありますので、一時保護所の体制充実とあわせ、児童福祉施設の適正配置、あるい は里親の委託の推進を積極的に図る必要があるというご指摘がありました。18年度予算 (案)では、児童養護施設等で家族療法を実施するようにしたり、あるいは児童相談所に 「里親委託推進員」を配置して里親委託を推進するという取組をしています。  「論点」としては、児童養護施設の受け皿の拡大方策、あるいは情緒障害児短期治療施 設の設置促進方策についての具体的なアイデアが何かないか、あるいは里親委託の推進 についても何かアイデアがないかというようなことがあると思っています。  続きまして、参考資料の方で、IT化の推進あるいは心の診療所の設置の例があります ので、引き続き説明させていただきます。 ○太田児童福祉専門官  それでは、資料の3ページをお開きください。「児童虐待対応業務のIT化の促進」と いうことで、平成15年度からモデル事業で実施しております。一番下の「補助先」は、 北海道、大阪府、神戸市の3カ所がモデル事業をやっております。  この事業の内容は、1の所に書いておりますように、児童虐待相談が極めて増加する 中で、対応を迅速に進めようという目的をもって、児童相談所における相談記録等の標 準化をした上で、データベース化を行うということで着手していただいております。  その下の段落で書いておりますように、厚生労働科学研究で、関西学院大学の芝野松 次郎先生を中心に研究していただいておりました「児童福祉専門職の児童虐待対応に関 する専門性向上のためのマルチメディア教育訓練教材及び電子書式の開発的研究」とい うものがありました。この中で、そういった電子書式を開発していただいておりました ので、3カ所の自治体の児童相談所で導入して、さらに使いやすいものにカスタマイズ しようということで、事業を実施していただいております。今年度が最終年度ですので、 各自治体の取組について芝野先生を中心とした研究班に意見書研究をしていただいてお ります。  途中の段階でお話を伺いましたところでは、各自治体はやはりそれぞれの特性を持っ ておりますので、標準として示したものが、かなり地域に応じたそれぞれの独自性を発 揮した様式に変わってきているので、全国展開するのはどうなるかというようなことも 言われておりますが、現在、研究して分析していただいているところです。  これと並行して、東京都も独自に児童相談所の記録類を電子書式化して、各児童相談 所と本庁で共通して児童記録票などが閲覧できるようなシステムを既に導入しているよ うです。また、他の地域でも同時並行的にこういった動きもされてきているのではない かと思います。  ただ、守秘義務とか情報の管理の点で心配されている児童相談所もあって、電子化に 躊躇されているところもあると聞いております。この資料に関しては以上です。  その次の4ページをご覧いただきたいと思います。児童相談所に児童精神科医を配置 するという意見は多いわけですけれども、児童相談所の組織の中ではなくて、別組織と して「子どもの心の診療所」、または、診療が行える医療機関が併設されている所が何カ 所か出ております。  宮城県がはしりであったと聞いておりますが、ご承知のように、宮城県の中央地域子 どもセンターと仙台市の児童相談所も同じような形態で診療所を設置しています。また、 静岡県中央児童相談所に、昨年の12月から同じように心の問題に対応できる診療所が同 じ建物の中に設置されたということです。また、京都市では療育センターの中に、子ど もの心の診療ができるドクターが何人かいらっしゃると聞いております。また、和歌山 県子ども・障害者相談センターも、一つの建物の中に児童相談所と子どもの心の診療が できる診療所が設置されています。同じように広島児童相談所においても、5階建てに なっているようなのですけれども、その2階に医療機関が入っているということです。 児童相談所に併設された診療所というのはこのような状況になっております。  当然、児童相談所本体にも児童精神科の先生が、わずかずつではありますけれども、 増えてきている状態にあるということをお伝えしたいと思います。  資料の5ページをご覧ください。「児童心理司の配置割合の高い自治体」ということで、 児童福祉司等の割合で5割以上の所について一覧を作成させていただきました。ただ、 ここで基準となる児童福祉司の数は、私どもにスーパーバイザーも含んだ数を報告いた だいていますので、スーパーバイザーも含んだ数ということでご理解をいただけたらと 思います。現在、一番率が高いのは三重県となっております。以下、佐賀県までが児童 福祉司2人に対して児童心理司が1人以上の自治体という状況です。児童心理司の上段 に(常勤)と書いています。児童相談所の中には、嘱託ないしは非常勤の児童心理司もお られるので、そういう方の人数は、ここでは除外しています。 ○山縣座長  2番の県レベルの話について、これまでの経過と残されたポイントを伺いましたけれ ども、特に、論点として示されているところについて各委員からのご意見を積極的に伺 えればと考えています。ここで30分程度の時間を取れたらと思っています。ご自由に発 言いただけたらと思います。   ○菅野委員  ご指名がありました菅野です。この中で気になるのは、「家族療法事業」というのがよ く出てくることです。現実に家族療法のできる専門家を養成している機関が果たしてあ るのだろうかと思うのです。私は現任で家族療法のトレーニングを受けたのですが、こ ういう専門性が必要だと言われているところに対して、体系的に専門性を備えた人たち を養成していくプロセスがあるのかということです。すなわち学生や現任での訓練をす るという一連の流れが必要だと思うのです。家族療法が家族支援の中で効果的であると いうことは自分自身も体験して非常によくわかっているのですが、家族療法をするとい うことになると、いろいろなことを学ばなくてはいけないので、そういう専門の人たち を確保していくこと自体が、かなり難しいのではないかというのが一点です。  それから、ここのところずっと考えているのは、児童相談所が専門機関として、市町 村を応援する役割の後方支援ということになったときに、児童相談所を応援してもらえ る上位の専門機関、「子どもの虹」とかに研修をしていただいていますが、そういう階層 構造のようなものが、児童相談所の上にあって良いのではないかということです。この 議論から少しずれるかもしれませんが、ここを読ませていただいて感じたのは以上のよ うなことです。 ○山縣座長  今の点で、何かご意見がありますでしょうか。家族療法も児童福祉司も、大学レベル で使えるように養成しきれているかというと、つらいところがあります。結局は、現任 研修でお願いしている部分が相当あるのだろうと思います。実質は、家族療法を、そう いうことで担ってしまうのではないかということですね。その辺で、何かお考えがあり ますか。 ○太田児童福祉専門官  家族療法の関係でも、やはり児童相談所の児童心理司の活躍を期待しています。研究 でも、家族療法に限らず親支援についての、さまざまな海外の取組についても導入する 方向で研究していただいていますので、必要であればそういった研究の中でやっていた だいて、導入していければと思います。  児童相談所を支援する機関というのは、関係機関との協力の下でということで、今進 んでいるところでしょうし、子ども専門の裁判所というイメージもあるかと思うのです けれども、なかなか現実的に難しいのかなと思います。 ○山縣座長  座長としてではなく一委員としてですが、後者については審議会が98年のときにそう いうのを少しイメージしてつくられていたのではないのかと信じて研究してみたわけで すけれども、なかなか厳しい評価であるし、運営実態にあるということで、審議会と児 童相談所の関係ではそのことがこのまとめの中には入っていません。その辺をもう少し 審議会を実際に動かせるような形にしていく。市町村レベルでという声も一部にヒアリ ングをしているとあったのですが、この調査でわかることは県レベルでも弁護士とか虐 待をきちんと診ることのできるお医者さんが人材不足だということです。医師等のレベ ルでいうと、地方に行くとそんなにいるわけではありませんと出てきます。それを市町 村レベルでやろうとしたらますますいなくなってしまいますから、まず県レベルでそう いうものを作り、そのチームが場合によっては市町村からの相談も、児童相談所を通じ てか直接かわかりませんけれども、流れをつくるというのはどうなのか。審議会そのも のの強化というのも、このまとめの研究会の最終整理の中には入り込んでもいいのかと いう感じを持ちました。いかがでしょうか。 ○小林委員  家族療法事業のことについて、私の理解が間違っているかもしれないので教えていた だくことがいいのかもしれません。親子関係・家族関係を修復していく、治療的にかか わっていくという意味で、多分児童相談所にとって大事だと思うのですが、家族療法と いう言い方はいろいろな療法の中の一つの独自のやり方として言われているものではな いかと思うのです。そうしますと、虐待について国が児童相談所でやっていく方法とし て、非常に特化した形の療法としていいのかどうかがあります。  だから家族関係を修復していく療法であれば、私はいろいろなやり方があっていいの ではないかと思うのですが、そこについてこういう家族療法はやはりした方がよろしい のでしょうか。 ○太田児童福祉専門官  国としては特定の主義・主張に基づいた流派を指しているというよりは、家族全体を 見て、それで家族再生を図っていこうということで使っておりますので、今先生からご 指摘を受けた中で考えますと、用語の使い方に支障があるかもしれません。 ○山縣座長  現場感覚ではどうですか。家族療法という言葉を厚生労働省が使ったときに、児童相 談所や心理職の方々は、これは誰々が始めたこういう療法であるというイメージなのか。 きっと行政は今家族をセットで扱える心理的なかかわりというぐらいのことで使ってお られると思うので、そういう受け止め方なのか。現場サイドではどうでしょう。 ○井上委員  心理療法とか精神医療の中で使われる家族療法と言ったときに、心理面に限って言え ば、少し個人内の中身・心の深層を扱うとか、個別の心理療法に対して、従来あったよ うに親の保護、深いカウンセリングやトラウマの治療というところがあったと思うので す。しかしそういうものだけでは虐待の親の場合、効果をあげる方もあるけれども効果 をあげない方も多い。もう少し違う取組というところで、個人だけではなく家族全体へ のアプローチ、必要であれば家族と面接していくとか、もっと視点としての話だと思い ます。  ただしその辺が地域によっては、個人療法が心理の代表的なものだと受け取られてい る地域もあって、そういう地域の人たちから見れば、家族療法が特殊なものだというと らえ方もあります。  児童相談所の職員の方の中では、家族療法が割に広く家族に対する視点や、家族全体 を視野に入れたアプローチだという理解ができている。児童相談所を取り巻く外の精神 医療などの段階では、そうはいかないものがあるかと思います。  少し関連してなのですけれども、補助金が上がっていますが、この補助金を例えば具 体的にどう使っていくことになるのだろうかというところで、具体的に何を指している のかということになると思うのですが、その辺も少し伺えたらと思います。 ○山縣座長  前段の小林委員の懸念は、児童相談所の範囲で言うとそんなに大きな誤解はないだろ うというお考えなのですね。 ○井上委員  私はそういう感触を受けます。他の方の意見もと思いますが。 ○山縣座長  いかがでしょうか。何かありますか。 ○太田児童福祉専門官  私どもの方で事業化したのは、子どもと家族にとって対応するツールが一つでも増え ればいいという思いが前提にありますので、特定の流派を指してそれでなければならな いということではないです。経費の使い方も従前あったカウンセリング強化事業という ものがあります。これは当然児童相談所でスタッフの中に児童精神科の先生がいて、重 装備の児童相談所はあまり想定をしていなかったのです。そういった先生方がいらっし ゃらない児童相談所で、地域の医療機関の専門の先生をお願いして、児童相談所に来て いただいてカウンセリングをしていただいたり、助言をしていただくというものがベー スにあります。  それを膨らませた上で、地域の専門の方に協力を求めて、家族療法の治療計画や直接 来ていただいていて助言をするというような形で使えたらという思いがあって、今回事 業化をしようと思っております。  私たちはもう少し抽象的な思いで事業設定をしておりますので、使いやすい形ででき れば使っていただければという思いがあります。 ○小林委員  ここで使われている意図は理解しました。ただ懸念をしましたのは、大阪では随分前 から家族療法という民間のやりかたの所がありまして、非常に高額でされている有名な 所があります。家族療法というとそういうやり方というイメージがあって、地域の精神 科や私たち小児科はその辺はっとなってしまうところがあり、危惧をしました。 ○菅野委員  関西で家族療法をやっている人間として、最初に家族療法という言葉が日本に紹介さ れたときにセンセーショナルに紹介されて、ある特定の機関のやり方が紹介されていた という経過があり、それが大阪だったということがあると思います。  その後、家族療法自体は第二世代・第三世代という形で変化してきています。もとも と家族療法は、個人療法の幅くらいいろいろな流派があるのです。精神分析的にやって いくところから、家族の関係性・行動面という形まで、だから心理療法がある幅ぐらい あるのです。  ただ家族療法という言葉自体が確かに地域とか仕事をしている人たちにとってみれば、 特定のものを指していると受けとられることがあると思います。ここでは、家族支援、 多分ファミリーソーシャルワークという範ちゅうを指していると思うのです。だからソ ーシャルワーカーも心理の人間も家族の関係性みたいなところを中心に扱っていくこと をがんばりなさいと言われていると私たちは受け取るのですが、この言葉でそれを説明 しようとすると少し難しいかもしれないと小林委員のご指摘から感じました。 ○山縣座長  一部に誤解があるかもしれないけれども平たく言い換えるとますます説明しづらくな るので、いわゆる国レベルで使う言葉としてあまり固有のものを示しているとは読み手 の方もきっと思わないだろうということで、できたらこの言葉はこのまま使う方向でど うかと個人的に思います。  それに関連して、最後に児童福祉司と児童心理司の資料をいただきました。偶然井上 委員がいらっしゃるので、よそはわからないかもしれませんけれども、児童心理司でこ れだけ置かれたときに業務としてはいわゆる狭い意味の児童心理司の仕事だけをやって いる人数なのか、児童福祉司と相談的なところまで社会調査とか全部児童福祉でやって きて、心理面だけをと1対1ぐらいいらっしゃるのか。非常勤はきっと一般にはソーシ ャルワーカーよりも心理の方に多いから、これのプラス非常勤入れるとしたら三重県は すごいことになっているという感じがしました。 ○上廣委員  今年児童福祉法が改正になりまして、職員はいるけれども資格がないという職員がお りまして、実際の児童福祉司として働いている職員は33名います。  三重県の場合は2対1の割合で配置するようにしていますので、この数字が当初三重 県の方から報告したときに資格のある者として報告したのでこの人数になっていると思 います。  児童心理司は20人おりますので、五つの事務所に2対1の割合で配置するようになっ ています。0.5については1に繰り上げていますので、このような数字になっています。  先だって全国児童相談所長会の会長の方から厚生労働省の方に3対2という要望を行 っていますので、三重県もそのような形になるよう定数要望をしているのですが、今の ところ現在は2対1を基準にしながら配置しております。 ○山縣座長  今の説明では調査は児童福祉司も有資格者のみをカウントしていると考えていいので すか。プラス、この数字はその他の児童福祉司がいると考えていいわけですか。 ○太田児童福祉専門官  児童福祉法で厳密に言ってしまうと13名の方は児童福祉司ではないと思うのです。私 の方が調べさせていただいたのは厳密な児童福祉司が何人いらっしゃるかを調べており ますので、恐らくこの人数20人ですと、政令指定都市で新たに5万人から8万人に一人 と定め直ししたのですけど、それには抵触する可能性があると思います。ただそれを1 年間かけて、残りの13人の方を再度養成し直して、児童福祉司とした任用ができるよう な形で動かれているのだと思います。 ○山縣座長  三重県がどうこうと言うより数字の見方としてそういう見方をした方がいいというこ とですね。わかりました。かなり錯覚しそうな数字になっていましてびっくりしました。 ありがとうございました。  そのことに若干関連するのですけれども、今までの議論の中で児童福祉司に対する増 員の仕方とか結構書いています。心理司の話は研修とか採用してというぐらいで、実際 どれぐらいのイメージかあまり書き込んでいないです。必要度はあまり丁寧に書き込ん でいない。保健師と児童福祉司と医師と、連携としての弁護士の辺りの必要性は少しず つ入っていると思うのですが、そこが弱いと思います。現場では非常に今重要な働きを しておられると理解をしています。この辺が文章として強化した方がいいという感じが しています。他はいかがでしょうか。 ○太田児童福祉専門官  先ほどの補足説明で忘れた部分がありまして、資料2の2ページのところで、論点(例) のところの2つ目の○です。「人口規模以外の児童福祉の配置基準」で、「個別のケース の軽重」と書いたのですけれども、念頭にありましたのは生活保護のワーカーの場合は 県・郡部の福祉事務所ですと、65ケースに1人ぐらい、市ですと80ケースに1人ぐら いという配置になっております。そういった生活保護のケースワーカーに準じた形で置 いてはどうかというご意見も世の中にあったので、生活保護のワーカーですと割と一つ のケースが大体決まってくると思うのですが、児童相談の場合については、さまざまな ケースの深刻度というのがありますので、一律にそれでは図れないという思いがあって、 ここで書かせていただいております。 ○山縣座長  その議論はきっとしたと思うのです。そういう方向でいいのではないか。人口とか単 純なケース量ではなくて、議論になっていたのは非行とか虐待では所要時間が非常にか かり、回数も繰り返す。でもケースは1でしかカウントされない。その辺りのウエイト をもう少し組み込んだような人員配置はできないのかという議論をやっていたと思いま す。この文章は私たちとしてはそういう理解をしています。  いくつか私の方でお願いをしておきたいことがあります。一つは、4ページの上の辺 になりますが、「児童相談所の適正配置」に関してですけれども、残された論点として2 つ○がついています。後半の方については、この研究会では必ずしもそういう方向でな い方がいいという議論をしていると思います。支所・出張所ではなくて、小さくてもい いから、そこも一つのすべての機能を備えた児童相談所であるべきだという話を確か青 森の辺りの例をベースにやったと思っています。支所・出張所論とあまり書かれると研 究会の今までの議論とずれる。ただそれは決して児童相談所を増やすなということでは なくて、増やすという前提で、機能はすべて備えたものという議論だったと私は記憶を しています。その辺を後で各委員さんの方でそれは違うということであれば否定をして いただいても結構です。  もう一つは議論をしていないのですが、県の姿勢としてどう書くかという所で、今横 須賀と金沢が児童相談所が設置されるということになっていますが、小さい単位で設置 していこうという大枠の流れで言うと、中核市レベルについては県としても児童相談所 の設置を積極的に応援するという方向のイメージを作っていくのか。やりたい所があれ ばご自由に、抜けたら抜けたで県は県で考えますということなのか。この辺が中核市の 方と話をしていたら、「作らないといけなくなりますか」という役所的な聞き方をされる のです。  どちらでもいいと言っているから、放っておいていいのか、流れとしてはいずれ作っ ていかない方向になるのか、その辺を少し教えてほしいと言われているので、ここで一 回皆さんにも聞いておかないといけないというところです。   ○江成委員  相模原市も中核市ですけれども、上司と県の方が会う機会があると、必ず児童相談所 の設置のことが話題になるようです。  市としても、今後も児相を設置しないということではなくて、横須賀市の状況などを 参考にしつつ、必要に応じて考えていこうという姿勢をとっています。 ○山縣座長  その辺は県レベルの児童相談所の方々はどうでしょうか。結構地域的には大きなとこ ろが抜けると思うのです。便利な所、大きな所が抜けていって、周辺ばかり県の仕事で 残ってしまう。 ○上廣委員  三重県の場合は四日市市が今後中核市になりますから、組織担当する部長に会いに行 きまして、ぜひやってほしいというお話を私の方からもしたのですけれども、まず保健 所機能の移管がかなり大きな問題で、まだまだ児童相談所までは手が回らないという話 です。県としてはぜひこの一連の流れの中でより住民に近いところに相談・支援する場 があればいいわけですから、ぜひやっていただきたいということで、働きかけは続けて いきたいと思っています。 ○川崎委員  京都府は、最大人口が今宇治市が19万ということで議論にはならないと思います。合 併とかが出てくるとまたその時点で考えることになるかなと思いますが、現在はそうい う話はないです。 ○山縣座長  研究会としてはどうでしょう。いわゆる中核市ぐらいの設置が望ましいというイメー ジの文章を残すのか。法律的に何も問題はありませんから、それについては触れないの か。 ○関根委員  今の段階では中核市程度で作るべきということを出すのはどうかという感じです。要 は相談機能をいかにして確立するかという問題であって、それが相談所であるのか、家 庭児童相談室になるのか、これはどちらでもいいわけで、あまりとらわれない方がいい と思うのです。 ○山縣座長  今幾つかの意見をいただきました。その辺で少し案を作って最終の結論をいただくこ とになると思います。  私の方からもう一点だけなのですが、書き場所として中間まとめを出す段階では、家 庭児童相談室・福祉事務所のところに市の家庭児童相談室のことも書いたのですが、流 れとしてそれは後ろに持っていった方がいいかなと思います。前は家庭児童相談室で議 論したのでそうなりましたけれども、これは場所を移すだけの議論です。  ただ市のところで議論をしたいのは、家庭児童相談室というやり方がいいのかどうか については、幾つかの所に聞くと、市の家庭児童相談室も再編成をした方がいいのでは ないかという意見もお持ちの自治体がそこそこあると感じています。それは市町村の体 制のところで話をしないといけないことなのですが、家庭児童相談室になるとどうして も福祉部門の位置付けが強過ぎる。市町村で子ども相談というふうに児童福祉法が期待 しているのは決して福祉部門だけでなくて保健とか、実際に子どもたちの状況でいうと 教育部門、そこらを合体した新しい組織。心理がいらないという意味ではなくて、そこ まで含めた再編成、あるいは家庭児童相談室に全部付けるという形の書き方でもいいし、 それが福祉に吸収されるイメージが強ければ、一回開いて大きな三つの部門、保健・福 祉・教育をセットにしたような新しい仕組みをむしろ積極的に提案をしてくれないかと いう意見も私の聞いている範囲で言うとそれ程少なくない。特に教育との関係を整理し てほしい。保健についてはある程度の実態ができています。保健と福祉は既に課・部レ ベルでほとんどの市町村がくっついてきていますので、教育との関係が整理だけが残っ ている。一緒になれるような体制が、こういう指針で示されると非常にありがたいとい う声は決して少なくなかったという感じがあったのです。家庭児童相談室の話も後半の 方で少し頭に置いていただけたらと思います。私の方から今この半年ぐらいで聞いてき た状況で、ぜひここで皆さんに聞いていただきたいのはその辺りです。いかがでしょう か。 ○川崎委員  この2番は既に中間まとめという形で出ているので、あまりあれこれ言うのも気が引 けるところがあるのですが、一時保護のあり方のところで、ここに書いてあることはこ れまで議論していたことなのですけれども、気になっていることが一時保護所の体制問 題です。児童福祉司とか児童心理司については人員についての意見が出ているのですが、 一時保護所の体制がなかなか書き込むのが難しいというのは、一時保護所はそもそも大 規模な集中管理のところから併設してこじんまりしている所があるのです。全国所長会 でも確か地方の一時保護の運営基準で、児童養護施設に準ずるというところを少し考え てほしいと出していたと思うのですけれども、京都府も体制が非常に厳しい状況で曲が り角にきています。ですから何らかの形でこれだけの機能を強化しなければいけないと きに、一時保護の職員体制のあり方も、少し適当な表現で書き込めないかと思っていま す。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。特に委員の補足はありますでしょうか。きっと反対 の人はまずないだろうという前提に、もっと強化するような意見がありましたら。 ○菅野委員  先ほど児童心理司の仕事の中身的なニュアンスのことがここには触れられてないとい うお話があったように思ったのですが。 ○山縣座長  児童心理司を増やしていくことを応援するようなことがあまり入っていない。そうい う意味です。 ○菅野委員  児童心理司と言われるのはこの中では私になります。最近思うことは、虐待家族への 介入は、子どものことが中心になって始まります。これはどちらかというと、機関側、 大人の側の理論で子どもの安全をめざしていろいろ動いていきます。しかし、介入が機 関が望むような効果を子どもに与えているのかを慎重にみていく必要があるのではない かと思います。子どもがどういう影響を受けて、どう受け取っていくのかを、その子ど もの感覚に接して、この子はこんなふうに感じていると皆に伝えていくのが児童心理司 の仕事です。心理司の方はどちらかというと、内側へ入っていって、その子どもの今、 その次ということを理解して変化を狙うわけですが、加えて、今とこれからの見通しを 周りの関係者や親にわかりやすく伝えるのが、児童心理司に求められる仕事ではないか と思うのです。  例えば虐待のケースで強制介入が入って、安全が確保できたと周りの大人たちは思い ます。ところが子どもがその事態をどうとらえていくのかとすると、必ずしも子どもは 喜んでいるとは限らないわけです。そこでどんな心情があるのか。例えば一生懸命自分 が自分の安全のために努力していた、けれども分離することになってしまったのは私の 努力が足りなかったせいだと受け取ってしまう子どももいるだろうし、うまく言えない ですけれども、子どもたちが今感じているその辺のニュアンスをいかに皆にわかってい ただけるのかに心を砕いていくのが心理の仕事だと思うのです。そういうことも努力し て欲しい。  子どもの内側や今の状態に関しての診断の技術はすごく皆勉強していろいろ学んでい くわけですけれども、良かれと思ってやったことがすべて子どもにとってプラスかどう かというところは少し疑いをもってかかる必要があると思います。皆がこちらに行くか らこちらに行くという風に流されないニュアンスを持っている職員が増えて欲しいと思 っています。 ○山縣座長   少し誤解があったかもしれません。途中はしょったからなのですが、よその領域から 見たときに、児童福祉法だけを見ていたら児童心理司は見えてこない。児童福祉司は出 てくるが児童心理司は出てこない。その辺がどうも児童心理に対する理解が説明をしな いと伝わって行きにくい。運営指針を見せてようやく、「ここのこういう形です」とか、 「児童相談所の心理療法を担当する職員とか、その一部を呼んでいるのです」といちい ち説明をしないと、児童福祉法だけでは児童心理司が全く見えてこない。その辺が、例 えば、財務当局と折衝等をされるときに、「児童心理司の根拠を示しなさい」と言われて、 皆が当たり前と思っていたところに、驚いたという話を聞いたものですから。組織の中 を見て初めてわかるのではなくて、社会的にきちんと見えるような位置に置かないと、 その重要性がワンランク下のように見えてしまうと思います。ここの議論ではありませ んが、本来児童福祉法本体のところに書くべき職種ではないかという気が、個人的には しています。 ○井上委員  心理のことでもう一つだけです。三重県が児童心理司の配置が多いのは、三重県の心 理の方に以前聞いたところでは、比較的心理の方は数年前まで虐待にはタッチされずに、 子どもの障害の方を一生懸命にやっていて、間違っていたら申し訳ないのですが、そう いう部分に分かれていたようだという意見も聞いています。それが統合の中で、虐待を またやることになったということで、とても良いことだと思います。もう一つ児童心理 司が虐待に重要だということの一つとして、軽度知的障害という言い方なのか、広汎性 発達障害なのか、今話題の法制化の話では軽度知的障害という言い方だと思うのですが、 虐待を受けた子どもたちの中に、原因や結果などは置いておいて、こういった軽度知的 障害と同じような傾向を示される子どもが非常に多い。ただこれを書き過ぎると、また こういう障害を持つ親の方からは、いろいろなクレーム、反論もあるかと思いますが、 実際には多少障害がある子どもが虐待を受けやすいことは事実としてあると思うので、 ある意味では親にとって育てにくい子どもだし、子ども自身の支援もたくさん必要なと ころで、社会へのアピールという意味では、もう一つ根拠の一つになるのではないかと 思いました。 ○山縣座長  ありがとうございます。次の方へ進ませていただいてよろしいですか。また時間があ れば戻ってきます。  事務局に申し訳ありませんが、3と4も若干関連しているので、特に4は短いから、3 と4を合わせて説明していただけますか。 ○内山総務課長補佐  6ページの3でございます。「児童相談所と関係機関・専門職種との連携強化」という ことで「中間的な議論の整理」では、ネットワークは形成されているものの、必ずしも相 互理解に基づく有機的な連携が十分に図られていないということでした。要保護児童対 策地域協議会が、平成17年4月から法に位置付けられましたが、その設置などが求めら れるということが指摘されていました。あとは個別に医療機関や弁護士会、保健所・市 町村保健センター、児童家庭支援センター、里親、児童福祉施設、学校、警察、児童委 員等との連携活用というものが指摘されました。  8ページに進んで、「都道府県(児童相談所等)と市町村の連携の推進、都道府県(児童 相談所等)による市町村へ対する支援」ですが、「中間的な議論の整理」の段階では、児童 相談所側からの視点が大きかったと思っておりますが、市町村において対応が困難と判 断したケースには、積極的に児童相談所が対応する姿勢が必要であるというご指摘があ りました。ただ市町村の議論のところで、今回の法改正で市町村が第一義的な役割を担 うことになっておりますので、すぐには難しいかも知れないが、次第に市町村の判断能 力や対応能力を高めて行って、そういう市町村の能力が高まって行く方向に行くことが 必要であるという議論もあったかと思います。そういう意味では「論点」のところで、果 たしてその市町村の判断能力をどのように高めて行ったらいいのかということを少しご 議論いただければと思います。 ○山縣座長  ここも既に中間報告で出していたところですが、抜けているのではないかと言われた のが、家庭裁判所のことです。それは裁判所と連携という言葉がなじむのかどうかは別 にして、確かに虐待等においては非常に重要なものですし、特別養子縁組辺りで児童相 談所との関係が深いものですから、なぜ抜けたのかは自分でも全く記憶にありません。 事務局も特に無理だから書いていないのではなくて、我々が議論しなかったから書いて いないだけだと思います。家庭裁判所のことについて何かありますでしょうか。大阪辺 りではかなり定期的に家庭裁判所と児童相談所の話し合い、意見交換等が行われている と聞いておりますが、28条等が非常に増えていく中で児童相談所の差も大きいけれども、 家庭裁判所の差も大きいのではないかという気がしています。 ○関根委員  家庭裁判所と児童相談所は、定例的に会合を開いて情報交換をやっています。ただ連 携という関係では、日常の例えば扱っているケースについて、家庭裁判所と連携してど うやっていこうというのは、非常に少ないと思います。家庭裁判所を使うのは、ある程 度の区切りのところでもう一歩措置をどうするかというときに、事前に連絡をしておい て、実際に審判まで持って行って措置をするとか。私は何か区切りのところかという印 象です。日常的な連携という感じではないと思います。 ○山縣座長  先ほど言った連携がなじむかどうかということですね。家庭裁判所からしても向こう は判断をする機関ですから、あまり連携という言葉を使うと、家庭裁判所の性格が変わ ってしまう、具体的な援助機関になってしまうという可能性があるということで、その 辺が躊躇するところかもしれません。 ○菅野委員  連携ではなくて意見交換という形があると思います。例えば非行のケースなどで非常 に困難性が高くて、家族を支援していく上で「こんな手立ては打てないだろうか」とい うことを協議させていただいたりとか。そういう形を連携と言うと仲良くやるというイ メージがあるので、向こうは両当事者、児童相談所と家族というものを平等に扱ってい くのが基本だと思いますので、こちらから連携とあまり言ってしまうと、独立の感覚が なくなるのかという気はします。ただ、「法的なところでこういうことを考えていますが」 ということで、協議をさせていただくということでは、ケースを通して以前よりは結構 増えていると思います。 ○山縣座長  28条を有期化したものですから、かかわる回数は少なくとも今までよりは、確実に増 えていくだろう。そこの辺でまだ期限が来ていませんから、実際に動き始めたときに、 どれくらい児童相談所が忙しくなるのか、どれだけの情報を集めておかなくてはいけな いか、逆に集めない方がいいのか。家庭裁判所のことでここにはなじまないということ で、今まで通りほとんど触れずに行くか、連携という言葉をはずしてでも、何か家庭裁 判所との関係について、コメントを入れておくかということだと思います。 ○川崎委員  確かに連携というと、一体となってというイメージがあってどうかという部分もあり ます。この間のことを言うと、家庭裁判所から28条の申し立てをする場合にはこうして 欲しいという形で、これは全国共通なのかどうか知りませんが、一定の要望とかがあり ます。それは家庭裁判所の立場からすると、公平な判断をしたい。ただ速やかに行うた めに、仮に申し立てを考えているのであれば、どういう時期にしようとしているのか、 そういうことも事前に教えてほしいとか、そういったことをいくつか言われています。 ですから、より適切に、またより速やかに判断をしていくために、家庭裁判所としっか り連絡調整をしていくことは必要だと思います。また家庭裁判所が判断する上で、どう いうことを必要としているのかということは、十分にこちらとしては聞いておく必要も あるし、我々が言いたいことも言うことで、やはり司法との関係は相談体制において今 後ますます重要ですから、ぜひ家庭裁判所との関係という形で何らかのコメントを入れ ておく必要があるかという気がします。 ○山縣座長  全国的に今のような仕組みはある、家庭裁判所と児童相談所が定例的な連絡会、調整 会、意見交換会のようなものを置いているという前提で考えていいですか。それとも、 ある地域もない地域もあると考えた方がいいのでしょうか。 ○川崎委員  毎年、少年保護関係機関との家庭裁判所の連絡協議会で、家庭児童相談関係というこ とで京都家庭裁判所とは、大体年に一回、行わないときもあったとしてもやっています し、通知が国と各家庭裁判所から、連絡協議会がある場合にはぜひ協力するようにとい う文書が来ていたと思います。恐らくどこでもやっているのではないでしょうか。 ○山縣座長  では大丈夫ですね。そこをもう少し実質化しようというくらいのイメージでよろしい ですね。わかりました。私が特にこのパートで関係者から聞かれたのはそこら辺りです が、他に皆さんの方でいかがでしょうか。書くとしたら、審議会というのは2になるの か3になるのか。 ○上廣委員  三重県のことばかりですが、毎月一回定例的に審議会を開催しております。発足から 関わっていただいた中心となる委員が審議会を育てていただきまして、現在、大学の教 授が2名、弁護士が1名、精神科の先生が1名の4人体制でやっております。我々にと ってはいろいろな困難事例などを相談して、ある意味で専門性を保証していただいたり、 バックアップしていただいたりして、児童相談所のバックアップ機関として、十全の働 きをしてもらっています。先ほど菅野委員がおっしゃったように、バックアップする機 関として、十分これから充実していかなくてはいけないと思っています。その辺、どこ かに書いていただければと思います。 ○山縣座長  そういえば審議会も全然書いていないですね。 ○菅野委員  戻ってしまうかもしれませんが、その審議会は、こういう視点で、こういう方向性で 家族を見たほうがいいし、ここのところでこの方向でやってみたらどうでしょうかとい う風に、具体的に処遇の方向性をアドバイスしていただけるところです。専門家による 見立てといったらいいのでしょうか。この中に「市町村の判断能力を高める道筋」とあ ったと思うのですが、職員の実際の処遇の質を上げていくためには、見立てと処遇の技 術という二面があると思います。方向性を出していただけるところ、実際動いている人 に、スーパーバイズということになるのか、コンサルテーションという形になるのか、 いろいろあるとは思いますが、その一面を担っていただいていると思います。  「市町村の判断能力を高める道筋」のことなのですが、これは現場感覚からいくと一 緒になって動いて悩んで、「このケースにはこの方法があった」というバリエーションを 支援の積み重ねの中で身につけていくことということも大切だと思います。 ○山縣座長  小林委員は大阪市の審議委員をやっておられて、何か感想でもありますか。 ○小林委員  一緒に始めたのが山縣座長ですが、座長ではなくて私に言えという意味だと理解させ ていただきます。  私は参加して、児童相談所側がそれをどう思っておられるかはわかりきらないところ ではありますが、大阪市の児童相談所も月に一回しています。そして審査は家庭裁判所 の元調査官、弁護士、医者である私、山縣座長、児童養護施設の元職員で今は大学の先 生という方で、毎月一例から多いと三例です。  私は医者として医療現場で出会うのとまた全然違う姿を、社会的な、家庭的な背景が 非常に深刻な人たちがあがってきて、そこで大部分は多分法的対応に近い、あるいは法 的対応を取るかどうか、取るとしたらどう進めるかというような事例の検討がされてい ます。大阪市のやり方は、その時に担当職員と関係機関職員と児童相談所の主だった人 たち全部が勢ぞろいして、こういうやり方でしていこう、あるいはこうできるか、これ はできない、これは難しい、それではどうすればいいのかというところまでの議論がさ れていると思います。それなりに大事な役割をした会であろうと思っていますが、今、 菅野委員が言われた方向性を決めるということがほとんどです。その後に、弁護士が岩 佐さんで、今度実際に法的に動かしていくときの、自分または関係の弁護士に指示をし て、児童相談所をバックアップするという動きを積極的にされております。それが多分、 児童相談所にとってとても役に立っているのかと思っています。  こういう機能がそれなりに大事ではないかと思いますし、他のところでどうされてい るか山縣座長の資料をこの前いただいたのですが、読まないまま来ていて申し訳ないの ですが、かなり重要な役割になっているのではないかと思います。もっとそういう議論 をして、多職種、外部の人も含めた多くの職種で議論して方向性を出していくという事 例は、本当はもっとあるだろうと思いながら聞いています。今のこの大阪市の審査会は そういう対象ですが、私自身が気になっているのは、その時にケアプログラムまではと ても議論ができないのです。処遇それも法的なところを議論するのが精一杯で、ケアプ ログラムについては、措置された子どもの難しい背景を持っている子どもであっても、 あるいは結果的に在宅で関係機関がもう限界だということの中で上がってくるのですが、 それでも在宅支援の方向が出ることもあるのですが、そういうときのケアプラン自体を どうというところまではなかなか議論できない回数なので、本当はもっともっと要るの かと思っています。 ○山縣座長  冒頭にお渡しした厚い報告書は、また持ち帰って読んでいただければ良いのですが、 実は5年ほど前に同じようなものをやっています。要は法改正直後にやって、その比較 をしようと。5年前の報告書は厚生労働省にも、それは厚生科研ではなくて、内輪でや った報告書ですが、やはり変わってきています。何が変わっているかと言うと、開催回 数が増えました。前は年に1・2回だけのところが恐らく8割から9割あったと思います が、今回調べてみると、月一回型のところが相当増えてきた。もう一つは、初期は審議 会・部会開催の事務局が本庁にあって、本庁等に来てもらう。政令指令都市の場合はだ いたい一カ所なので、児童相談所がやっていた気がするのですが、県の場合は例えば三 つ児童相談所があると、中央でやるのか、どこでやるのかわからなくなる。結局本庁で やると出席される方が所長とか、いわゆる役職の方で、ケース担当者である児童福祉司 が来ないで議論されているのが、とてもたくさんありました。そうすると確かに実質的 な議論はできないと思っていました。今回はその辺が少し改善されていて、担当者が直 接参加される仕組みに変わってきています。  もう一つ劇的な変化は、大阪は最初からやっていましたが、委員以外の関係者が参加 するなど積極的になってきている。毎回参加されているかどうかこの調査ではわからな いのですが、大阪でいうとほとんどの場合、複数が来ています。生活保護にからみそう であるならば、福祉事務所からも来ていますし、保健センター、保育所、幼稚園、地元 の有力団体、特定の地域に有力な市民団体があるところであれば、そこにかかわってい る人たちにも来てもらうとか。個別のケア計画までは入れないが、何となくその関係機 関の人にも情報を共有してもらって、地元に帰ってこういう展開になる可能性がありま すよ、というところを頭に入れておいてもらうような作業をやっています。  どうも全国でもそういう方向が少し出てきて、ただこれは若干危険なのは、法律的に 大丈夫かどうか。情報の問題で、当然審議会の委員は法律的に何も問題はないのですが、 関係機関の人にはどこまで伝えるかについては、当初は我々もだいぶありました。施設 職員の研修も兼ねてということで、関係のない施設職員がオブザーバーで、発言権を持 たずに参加する時代もありました。これは危険だということで、個人情報保護法以降は やめています。ケースに関わっている施設職員とか地域関係者については、これはむし ろ廃止の方向は審議の中身を緩めてしまうので、これは継続したいということでやって います。全国をみても、どうもそういう方向が出てきて、個別的な検討が前よりはでき るような状況になってきている感じが、この結果からはします。  審議会をさらに強化するような文言は、こういう方向で考えられますというプラスの 事例をいくつかはさみ込んでおくのは、可能かと思います。書く場所はどこが適当かと いうのは、事務局と相談させてもらいます。  他はいかがでしょうか。 ○川崎委員  4番のところですが、表現的なことを今言っても仕方がないかと思いますが、実際は ここに書いてある通りではあります。「市町村の取組や意識にばらつきがある」というこ とで、当面は児童相談所が積極的にやっていこうということです。一つ意見として言い たいのは、現状からいくと、我々も確かに市町村の意識にかなりばらつきがあるという ことで、その対応が困難と判断した場合には、やらなければならないということですが、 実際にこの法改正が行われている中で、ばらつきがあるので困難ケースに児童相談所が かかわるということもそうですが、そのばらつきを少しでもなくしていく、というのは やはり児童福祉法の主旨に沿って市町村が取組んでいくような努力を、もう少し強調し た方が良いのではないかと思います。今はばらつきがあるからそれに応じた対応をしま しょうというのも当面としては必要ですが、そのばらつきをなくして、市町村が第一義 的にやるためのどうしたらいいのかということを、児童相談所の立場としてもやってい くということです。この間、いろいろな研修会をやっているという話もたくさん出され たと思いますが、そういうことが今必要ではないか。  これは重箱の隅をつつくようで恐縮ですが、最後のところで、「自治体のトップに対し、 理解を求めていくことも有効」ということでこれはその通りだと思いますが、協議会に ついては法律で位置付けられ、国会でも決議はされている中で、児童相談所が理解を求 めて働きかけるという構造が少し気になる。本来そうあるべき姿なのに、それを何か理 解してと、我々が求めていくのは何か変だという気がしました。その辺で格差をなくし ていくための援助ということを強調して欲しいということと、少し表現を考えていく必 要があるのではないか。 ○山縣座長  最後の部分は県でやればいいですか。所長と書くから問題がある。県そのものがとし てもやはり問題がありますか。市町村が自ら法律に書いてあるのだから、自分でという ことですか。 ○川崎委員  やるべきことはその通りだと思います。実際には働きかけていかなくてはいけないと 思うけれども。 ○上廣委員  前々から思っていたのですが、児童福祉法がこれだけ変わったということを、どれだ け県民なり、国民が知っているのかということです。その辺りのPRが、県レベルでは やったつもりですが、当然のことながら、住民は児童福祉法が変わって市町村が第一義 的な窓口になったということであれば、そちらへ当然相談に行くはずですし、そのため の組織や体制を整えなくてはならないとなりますので、その辺のPRが十分にされたの かという疑問をずっと持って今まで来たわけですが、併せてその辺も書いてもらえたら と思います。 ○山縣座長  これは場合によっては二重に、市町村のところにも自覚して頑張れという文章が足り ないということと、それだけではきっと実質は動かないので、「所長は」というのは確か に気にはなります。本来は県行政そのものの問題かと思いつつ。  実は昨日も大阪府の子ども家庭センター、児童相談所の管理職の研修会に半日行かせ ていただきましたが、大阪は全ての市町村に、少なくともネットワーク協議会で、この 一年間に複数が法定の協議会の方に名前を書いていく。2月1日で吹田市かどこかが変 わって、相当数が今変わりつつあるという状況にあることがわかりました。やはり児童 相談所が裏で相当お手伝いをしながら実務を動かしておられるし、早めにつくられたと ころはどんどん自立をしていって、それこそ後方支援という言葉を使っても、市町村は 児童相談所が逃げたとは思わない関係になれている。後方支援という言葉で、幾つかあ りましたが、市町村の方の中には児童相談所が本当に後方へ行って見えなくなるのでは ないかという不安を持っておられるようで、その辺は信頼関係をどうつくっていくのか ということだと思います。  今の辺りはいかがでしょうか。県とこの協議会とあるいは児童相談体制の市町村の構 築のきっかけを、どう県がつくっていくのか。それは前段で言いました、家庭児童相談 室までを含めたような市町村の相談体制とはどういうものなのか。今の中間報告までで やってきた議論は、正直にもし自己批判をするならば、児童相談所の権限を一部伴わな いミニ版を市町村に作ろうとしている。教育とか保健とかを横において、連携というぐ らいの位置付けにして、福祉の相談分を作ろうとする議論を、もしかしてしてきたとい う批判はできるかもしれない。その辺をこの法改正の中で市町村も議会も含めてどう考 えていくのか、という辺りの視点は確かに少し弱かったという点は個人的には反省して います。   ○高橋委員  家庭児童相談室の話などもあって、私はこの先で議論があると思っていたのです。座 長がおっしゃったように児童家庭相談は福祉という意識がまだまだ強いと思います。家 庭児童相談室の表現と併せて先ほどおっしゃられた福祉と保健・教育だけでなく、青少 年相談といったようなものも自治体によっていろいろなセクションで管轄されていると 思うのです。その辺も含めて一体化した相談体制が市町村にできていくことが必要だと いう気がしています。自治体の中で縦割りを崩してそういったものをつくり直すという のはとても大変なことなので、この中でその辺を盛り込んでいただけるとありがたいと 思います。  それから先ほどからの児童相談所長と市町村の市長にというところは、私はこれを発 言したような気がして、どういう形であれ、ここと市町村のところと両方に書いておい ていただけると、これからやっていくところには特に小さな市町村でトップがまだまだ そういうものが必要ないと言っているところもあるというように聞いていますので、そ こはとても助かると思います。  私はあまり意識しないで、虐待のネットワークを法的にきちんと位置付けられたもの の協議会にしていけばということでやっていたのですが、やっていく中で予算の関係が 大きく違って出てきました。小さな市町村でやっているときに協議会にすると委員報酬 が出てきたり、組織としては大きくなりますので、ほかの委員会よりもかなりの予算を 必要とするという部分があって、その辺の財政を説得するためにもこの中で盛り込まれ ていくとありがたいと思っています。   ○山縣座長  もう一点私の方から思い出したことを付け加えます。去年の秋口に警察関係者に呼ば れて、この児童相談、特に虐待の通告に関連して少し意見を聞かせて欲しいと言われた ことがあります。中身は何かというと、当然向こうもチームを作って呼ばれますから、 児童福祉が変わったというのはご存知で、児童相談所とも当然話をしながらですが、変 わったけれども虐待等のケースについては法律的には市町村に通告すべきだけれども、 当面は従来どおり府や県の方に持っていきますと。ただ、「当面は」ということでやって きたのだと。その「当面は」が大体半年経ったから「当面」が過ぎたような気がするが、 やはりこれは法律に従って非行も含めてまず市町村にすべて持っていく方がいいのかど うか、それはどうなのかと言われて、「そんなことは考えていなかった」というのがあり ました。「とりあえず在宅指導等のケースについては市町村に持っていかれる方が筋でし ょう。しかし分離を伴うようなものについては両方に持って行く。別に一つに言ったら 二つに言うなとは書いてありませんから、他に言ってもいいわけです。早い保護を考え る場合には双方に言われるというのが一つの考え方ではないでしょうか。」と答えて帰っ てきたのです。警察もこの法律を丁寧に読まれると、市町村に持って行かないといけな いというふうに読まれる。これは普通の読み方だと思います。警察が今まで児童相談所 に持ってきていたものはもともと難しいケースだと思います。警察の時点で難しいと判 断しているものを市町村のところだけで対応して、もう一回そこで時間をかけて調査を して、判断をして児童相談所に持ってくるのかどうなのかっていう辺りがその時の話題 だったです。私の勉強のためも含めて皆さん方のご意見があれば。   ○小野委員  どの部分で発言させていただいたらいいのかと思いながら聞かせていただいていたの ですが、ミニ版を作ろうとしていたというのがキーワードになって発言しようという気 になりました。私もずっとそんな印象を受けていまして、どんなふうに市町村の相談体 制ができていくのだろうというのが気になっていました。水巻町しか知らないのでほか の自治体の状況というのは全く抜きにして思うのですが、13年度にセンターを立ち上げ たときに、一番気になったのは権限がないということだったのです。児童相談所のよう に一時保護とかいう権限は全くない。ましてや法律的な根拠も何もなく権限がない立場 で相談というのをどんなふうに運営していけばよいのだろうか、ということをいつも3 人の相談員と話し合っていたのです。今になって考えてみると、権限がないことが大事 なのだという気がしてきたのです。というのは、その方が安心して住民の方が相談に来 てくれる。そこで培っていくのは、権限があって良いか悪いかという判断をその場です るのではなくて、そういう判断をしないで話を聞いていけるという関係づくりが、今の 私どもの業務では大事なのだなという気がしています。  だから市町村の判断能力は確かに大事なのですが、その前にしっかり聞くということ。 悪者とか犯人探しをしないで、しっかり聞くあり方ということをまず大事にすべきでは ないか、した方がいいのではないか。そういうことからすると、信頼関係を最初にどん なふうにつくりきるか、そこが市町村の最初の窓口では大事なのではないかと思ってい ます。そこがきちんとできれば虐待をしているというか、せざるを得ないというか、そ ういう親たちとの関係とか子どもとの関係とか教師との関係というものがかなり深まっ てくるのではないか。実際深まっているわけです。その中から児童相談所に相談に持っ ていかなくても、相談のあり方だけでかなり落ち着いて親子の関係が見直されてくると いうことがあるのです。そういうありようというのをガイドブックとか指針の中にかな り書いてあるのですが、最初の窓口での信頼関係をどうつくっていくかという具体的な ことがここに書いてある道筋・プロセスがなかなか見えていないように感じます。いつ も私は言わせていただいていますが、やはり実践と言いますか、これは何回も場数を踏 まないとできないことですから、どんなふうにして場数を踏んでいくか。市町村はそれ 以外にないわけです。だからできたらいろいろな県でやっていただくときに、そういう カウンセリングの演習とかカウンセリングの基礎とか。相談というとどうしても印象が ぼやけてしまうのです。カウンセリングをきちんと勉強するということをしていただき たい。カウンセリングと言ってしまうと、契約関係とかその他の法律の関係が出てくる かもしれないが、やはりカウンセリングとしてきちんとした研修を受けて、ミニカウン セラーくらいの研修をはっきり打ち出してした方がいいのはないか。あるいは、窓口職 員でそこまで現実には難しいのであれば、外部のいろいろな相談機関があります。既に いろいろな心理の関係の財団法人とか社団法人もありますので、そういうところの人材 も積極的に活用しながら厚みを作っていくということも必要なのではないかと考えてい ます。   ○井上委員  今の話から少し遡ってしまって申し訳ありません。昨日夜スクールカウンセラーで出 向いている学校からいただいた連絡で、男の子が怪我をしていて、保健の先生が聞いた らお父さんに蹴られている。それでどうされたかというと、児童相談所にすぐ通告をし て児童相談所の方がみえることになっているという話になりました。一瞬思ったのは、 怪我の程度とかこれからの体制を考えると、その町は地域協議会が早々とできたところ で、毎月一回ずっと協議会があって、中学校からも私だけではなくて生徒指導の担当が 出向いています。その体制ができているのに、その動きがスッとなったというのはなぜ かというと、やはり岸和田の事件とかいろいろなことがあって、教育は児童相談所にす ぐ通告をしたいと、しなければいけないということが徹底して滲みているという感じが します。ただそれが今度市町村にというところに入るためには、教育も一体化した市町 村の相談体制がとられることが必要となります。具体的には地域協議会に教育委員会が 入ることで、もちろんそれよりはもっと望ましいのは教育も一体化した相談の中核機関、 部署ができるのがいいのです。そこまで縦割りの中ではできないときには、地域協議会 の方でとりあえず補う。そう思うと、地域協議会を児童相談所、県とか国の方が市町村 で作ってくださいと言うときに、設置だけではなくてどんな性質のものでどんなメンバ ーを会員としてやってもらうといいです、というところまで突っ込んだ方がいいのかと 思いました。   ○小林委員  多分、今の二人の方の言われたことに関係して、私自身が多少わかりにくいところで す。市町村の児童相談体制でしていくことが、府県の児童相談所がしてきたことと同じ スタンスの同じ目的でしていくことを目指しているのか。わかりにくいというのは、予 防から自立支援まで書いてあるのですが、全体を読んでいると何となく先ほどのミニ児 童相談所的なイメージが準備されているような気がしてなりません。これは府県がする 児童相談所ではなくて、市町村がする児童相談であることの新しい役割とメリットとい うのがすごくあるという気がします。それは子どもが日々生活し親が生活している地元 で、日々接する機関が市町村のいろいろな機関であるということです。保育所もそうで すし、それから生活保護もそうですし、住宅とか学校とか全部そうだと思います。市が するから、市のところでより密接に連携してやっていける機能が出てくる。それは内容 で言うと、早期発見・初期対応だけではなくて、それこそ支援・予防ということができ る。だから予防支援をしていくということが、市町村を中心にやっていくことの一番の できることではないかと思います。そういうスタンスで伝わるときに、もしかしたら親 の警戒が少なくなる。というのは、この協議会とかいろいろものができている中で、母 子センター、私が働く医療機関は広域的な対象になっているので、各市町村の協議会の メンバーではないです。そうしますと情報がどこかに伝わったら全部に伝わるというこ とで、親が非常に警戒されている。そうするとかえって孤立していくし、心を割って相 談しにくくなっているということが起きているのではないかという危惧を感じることが あります。今まで府県だからまだそれでも市町村がサポートできていたのですが、現場 のところまでがそういう形でいくと、親をどんどん追い込んでいくという気がします。 虐待は本来予防と援助をして、再発防止と世代間連鎖を絶つということを目標に、地域 はまさに世代間連鎖を絶つというところまで考えた、長期を考えて援助をしていく体制 を作っていくということの相談という形で、強調するものが早期発見と初期対応を中心 だととられないような強調をぜひお願いしたいと思っています。   ○山縣座長  ありがとうございました。私の誘導が悪くて、話が5番の方へ入り込んでしまいまし たので、ここで休憩を少し取らせていただいて、本格的に市町村の体制の話の方へ入り たいと思います。あの時計で55分には絶対再開という感じで、少し休憩をしたいと思い ます。では一時休憩です。   (休憩) ○山縣座長  それでは再開をしたいと思います。一番の中心である市町村の体制について、これま での経過と残されたポイントのようなところを幾つか事務局の方から紹介願います。   ○内山総務課長補佐  9ページになります。5の「市町村における児童家庭相談体制の整備」。四角の枠の中 に囲ってありますのは、前回お出しした市町村部分の「論点と議論の整理」が書いてあ ります。ここの部分は中間とりまとめとは異なりましてまだ事実を書いただけですので、 次回の研究会までにはもう少し方向性を出した表現記述に全面的に改めたいと思ってい ます。  順を追って簡単にご説明いたしますと、最初は「市町村の相談体制、都道府県との関 係」ということです。ここにつきましては10ページになりますが、先ほどご議論してい ただいた「論点」とも関係いたします。当面児童相談所が一定程度役割を果たしたとして も、市町村がどういうふうに判断能力や対応能力を高めていくか、というところが課題 になっていると思います。  それから今のところは割合に市町村から児童相談所に極力広めに投げるということが 多いかと思いますが、市町村から児童相談所に連絡する連絡や報告するタイミング、そ れから受理会議、ケース検討会議等の会議の位置付けなどをもう少し整理をしていただ ければと思っています。  それから(2)の「市町村の児童家庭相談の役割」ということで、これまでの議論の中で は幾つかモデルを示せないかというご議論もありましたが、今のところでは市町村はす べての相談種別を受け、極力全般的な機能を果たしていただければということで書いて います。  (3)の「市町村の職員体制の確保・専門性の向上」ですが、11ページにいきます。論 点とここで掲げていますのは、児童相談所の職員もそうかもしれませんが、市町村職員 は大変異動が多いので研修をしても2・3年で替わってしまうので、そういう研修のあり 方、前回では児童相談の担当職員ということに限らず、広めの職員に基礎的な研修をす るというご提案もありました。そうした職員の研修のあり方がもう少し何かあればと思 っています。それから兼務と専任のあり方、それから何回か研究会でもご指摘いただき ましたけれども、市町村合併で今年の4月1日にはこれまで3000を超えた市町村数がつ いに2000を切る1800ほどになるという状況になっています。そうした中で市が多くな ってきているわけですが、人口数千人の町村では難しいことであっても例えば市におい ては最低限あるいはこのぐらいはしていただくのがよいのではないかというようなこと を何か提言すべきかどうかといったところが論点としてあると思っています。  (4)は要保護児童地域対策協議会で、それに対する取組ということです。それに対す る役割、人材について前回の整理をしています。  それから12ページに進み、福祉事務所、家庭児童相談室や児童家庭センターです。 13ページでは、児童家庭支援センターについては児童相談所の機能を地域的にも補完す るように整備にされている北海道のような自治体の例もありますので、児童家庭支援セ ンターがどういうところをカバーするべきかというところをさらに整理ができればと思 っています。  13ページの(6)ですが、「子育て支援サービスの活用による総合的支援の実施」とい うことで、予防的な面にも活用し地域資源の活用、連携といった観点から書いておりま す。  14ページでは、18年度予算においては育児支援家庭訪問事業の充実を少し考えており、 分娩にかかわった産科の病院・診療所などの助産師さんとは分娩の際に顔見知りになっ ていることから、こうした助産師さんが育児支援家庭訪問事業を使って産婦さんの家庭 を訪問できるような仕組みを新たに設けることにしています。  それから論点面としては児童委員、民生委員の活用として児童福祉施設を対象とした 子どもの地域援助の役割などを担っていただくことがあるかと考えています。  その他7番で書いているのは「政令市の扱い」、それから個人情報保護法との関係とい う辺りの整理も最終報告でさせていただければと思っています。 ○山縣座長  休憩前から既に一部この議論に入っていますが、継続してご意見を伺いたいと思いま す。 見落としていましたけれども、障害は扱いにくいという議論は出ていましたか。 障害は市町村でもなんとかなるというイメージが頭に隅に残っているのですが。10ペー ジの(2)2つ目の○の最後のポツの1行目から2行目にかけてですが、障害や非行は緊 急性が低く扱いにくいという議論は頭の中に残っていないのですが。 ○内山総務課長補佐  これはこの研究会で。 ○山縣座長  意見がありましたか。 ○内山総務課長補佐  はい、これは議事録から抜粋をしております。 ○江成委員  要保護児童対策地域協議会で取り扱うケースの範囲について、非行と虐待と障害があ り、非行と虐待はともかく、障害については要保護で取り扱う必要がないのではないか というような議論をした覚えがありますが…。 ○山縣座長  扱いにくいという話は何かニュアンスが違いますね。非行は扱いにくいという議論は した記憶がありますが、緊急性が低いというのは少し違うかなという感じがします。 ○高橋委員  市町村では非行事例を扱うことが少ないので情報が欲しいという発言をさせていただ いたと思います。 ○山縣座長  今は研究会の途中の資料ですからいいのですが、最初のまとめのところではこの文章 は抜いていただく方がいいかと思います。  読んでいて気になったのはその部分と児童家庭支援センターをここに書くのがなじむ かどうかということです。市町村の方々にとっては偶然設置があれば関係はあるけれど も、一般論でいうと市町村の仕組みのところには書かないで、県のところに書いている はずですから、ここに書くのはなじむかどうかは議論をしていただく方がいいと思いま す。いろいろな事例調査を見ると、確かにこの児童家庭支援センターが偶然ですけども 設置されている市においては非常に活用されていることは間違いないことです。ショー トステイなどの窓口もどんどんここがやって、本来は広域でやるべきなのだけれども市 との契約が非常に強くなって、設置されている市町村には実質そこで切り盛りをして背 後にある児童養護施設や乳児院とストレートに結びついているというイメージがあるか もしれません。設置されていないところは恐らくあまり視野に入っていないのではない かと思います。 ○菅野委員  10ページの判断能力を高めるための道筋という話になりますが、児童相談所が例えば 社会的なニーズでいろいろなことへの取り組みをやってきました。よく考えるといろい ろなことをやっていって、例えば不登校の子どもたちにはグループあるいはキャンプを やることがいいとか、いろいろな支援をやりながら判断能力が上がっていった、見立て の力がついていったという感じがします。  ですからいろいろな相談について丁寧に経験を積み重ねていく中で、判断能力という のは上がっていくと思います。判断能力だけを上げるということはやはり難しく、援助 のスキルや方法論を悩み考えながら実際に実施していく中で判断力がついていくのでは ないかと思いました。 ○山縣座長  市町村の強化に関してはいかがでしょうか。前半で議論を皆さんに投げかけた教育と の関係で何かご意見がありますでしょうか。どういう関係をつくるか。教育をはずすと いう話ではないと思います、今のような形で部局が違って連携関係を作っていくのか、 そこを超えた仕組みをむしろ積極的にイメージするような時代をつくっていくのか。  特に地方で仕事をしていると学齢期は義務教育でほとんど教育委員会がかかわってい ますが、乳幼児期では教育委員会は公立の幼稚園を利用している子ども以外のことはほ とんど視野に入っていません。最近国全体の流れもあって在宅児童については視野に入 れつつありますけれども、学校法人の幼稚園については県の管轄ということでほとんど 無関心だという実感があります。   ○菅野委員  今の話で昨年の4月に相談体制ができた市町村に第一義的にというときに、研修をい ろいろやったときのことを思い出しました。その中で県庁の担当者が、窓口が福祉にで きたら教育は全部丸投げしてしまうのではないかという危惧を持つような場面も確かあ ったと思います。  新たに整備されているところで先進的だと思うところの話を聞くと、福祉と教育と保 健それぞれの職員が集まって子ども相談課のような課を作って、その課がどの部に所属 しているのかはわかりませんが、理想をいえば市長直轄になれば一番いいのかなと思い ます。以前にも児童相談所が果たして児童相談体制のモデルとしていいのかどうかとい うのはどこかで言ったとは思いますが、決してよくないだろうとに思います。  先ほど休み時間に話をしていたのですが、私自身児童相談所に就職した頃は福祉の所 属というニュアンスはあまり持っていませんでした。その中で、教育にも、福祉にも、 医療にも、保健にもいろいろな所へ行って、「これを何とかして」とか「どうしましょう」 という形でフリーに部局の垣根を越えて余計なことをしにいく機関だと思っていました。 そういう意味からすると、縦に割れていないでいろいろな人たちがいていろいろなこと に対応できるというのが相談体制という意味ではいいのかと思います。 ○高橋委員  今、座長が言われた乳幼児期は教育がなかなか入らないということでしたが、相談な どを見ていると逆に乳児期は福祉サイドであったり保健サイドであったりというように 相談窓口は市町村が持っているかなと思います。学齢期に入ると保健は学校保健の方に いきますのでちょっと外れてしまう傾向が強く、福祉の方も学齢期の相談はぐんと減る ように思います。教育委員会や学校での相談にうまく乗れる子どもはいいのですが、例 えば軽い障害の子どもであるとか、一人親家庭などの主に親子関係に問題があるような 方はなかなか相談する場所がなくて困っているかなと感じています。そういうことがあ るので逆に教育委員会の中だけではなく、菅野委員が言われたような垣根がなくすべて 相談できる場所というのが理想的かと思って聞きました。  それともう1つ気になっているのは、先ほど小林委員から言われた市町村がやるべき ことは何なのかというところは、児童相談所のミニ版を市町村がやるのではないという ことを感じています。市町村が担う機能についてというのを読んでいくと、措置権を行 使する、行使しないという違いだけで児童相談所と同じことを市町村に求められている のかなという印象が非常に強いという気がしています。 ○川崎委員  児童相談所にいるとはっきりしたことはわからないのですが、市町村が担う機能とい うことですけれども、これまで児童相談所がやっていた家庭からの相談の市町村の役割 を明確にするということで、市町村がやるということにしたという意味でいえば確かに 児童相談所が担っていたものを市町村が第一義的にやるという理解になります。先ほど からいろいろ出ているように、権限の有無や都道府県の機関であることやいろいろな業 務をこなしている中身の一つとして市町村がやるなど、いろいろなことを考えていくと 確かに児童相談所が担っていたものを市町村がやるということと同時に、これは相談機 能ではないのですけれどもここには後ろの方に子育て支援サービスの活用ということも あって、イメージとして児童相談所が受けているものとは違う種類の相談を市町村では 受けているような気がします。  児童相談所はそこまではやらなかったというようなものが市町村の相談機関の中でか なり幅広く受け止められているということで、そういう意味では市町村が児童相談をや るということを法律上明記して取り組んでいくということは、これまで拾えなかったよ うな相談を市町村が対応していくということになると思います。確かに体制が十分でき てないところがありますが、市町村がそれなりに相談体制を作っていけば、これまでと 違った相談も含めて住民からのですニーズを拾っていける可能性がそこにあるのではな いかなと思います。現実的にはいろいろと課題はありますが、どういうふうに実現する かという課題の問題とは分けて、少なくとも市町村が相談を担うことによって今まで以 上の可能性があるという部分はいってもいいと思います。  話が戻りますが、家庭からの相談を市町村が受けて、児童相談所はその内専門的技術 を必要とするものを受けるとなっているのですけれども、通告そのものに関しては児童 相談所も通告を受けるということになっていますので、京都府では警察が市町村に通告 したことは多分ないと思いますが、やはり保護を必要とするものは従来通りで特に警察 関係は市町村に通告するということにはなりにくいかなという気はしています。 ○江成委員  相模原市では、4月にこども家庭支援センターを立ち上げたという話を何度もさせて いただいていますが、どちらかというとミニ版児童相談所に近いのかなと思います。  措置の権限等はないのでまったく同じようにはいきませんが、虐待などの対応方法は 児童相談所のやり方に習っていこうとしていますので、ミニ版児童相談所の話は複雑な 気持ちで聞いていました。  相談への対応について、必ずしも児童相談所と同じ考え方をする必要はないという議 論だということはわかっていますし、一般的な相談であれば市町村独自のやり方で対応 も可能だろうと思いますが、現在、虐待に関する相談をかなり受けている状況では、市 町村独自のやり方を今考えるだけの余裕もありませんし、児童相談所のやり方を見習い ながらやっていかざるを得ないという状況かと思います。  当然、児童家庭相談の中には、虐待にまで至らないような一般的な相談から、虐待を 含んだ重篤な問題というところまでありますけれども、法改正において、虐待の通告を 市が受けるということになりましたので、そうした状況では「ミニ版児童相談所を目指 すわけではない」という話が前面に出てしまうと誤解が生じてしまうのではないかとい う心配も持っています。 ○小野委員  本当にまとまらなくなってしまいましたが、私たちが職場でやってきたのは児童相談 所のミニ版ではないと改めて思いました。何をしてきたかを平たく言えば市町村児童家 庭よろず相談のようなあるいは町立カウンセリングルームのようなことをやってきたと 思っています。その中から児童や家庭で児童相談所との関連が出てくるものもあるし、 学校との関連が出てくるものもあり、さまざまな機関との連携が出てくるのでその事例 に合わせて機関に来てもらって調整していくということをしてきたと思います。最初か ら児童相談所のミニ版と思っていないので、なじめなかったのはそのせいなのかなと思 いながら聞いていました。  私は水巻町の相談はよろず相談でいいと思っています。その中でどんなふうにそれを きちんと受けることができるか。ここ(市町村の窓口について)に書いてあるように「主 たる相談窓口」が児童家庭相談を責任を持って受け止める体制というものには確かに施 設を充実するという面もあり、受ける相談員としての構えというのもあると思います。 そういうものをどんなふうに相談員として培っていくのかというのが水巻市の相談体制 です。実は責任を持って受け止める体制の中で一番難しいのは、どんな相談がきてもき ちんと受けることができる構えというようなどっしりした相談員としてのあり方なので す。それがとても難しく、そういうことも構築の中にあるのかなと、これを書かれると あらためて自分のところに引きなおして考えています。そういうふうな相談のあり方と いうのは確かに指針の中で述べられていますので、それをきちんと踏まえていかなけれ ばいけないと思っていますし、もともとどういう相談が来るのかわからないので教育委 員会であろうが福祉であろうが保健であろうが事務局が判断してつくっていくわけです から、どこに所属していてもそれほど問題はないと思います。  水巻市の場合は専従体制に今年で5名います。18年度から4名になりますが、かなり フリーに動くことができて相談を自由自在にやることができる体制です。それから比べ ると実情調査などを聞くと兼務の窓口職員が実際にいろんな業務をしながら相談をして いくとなると、教育委員会や保健との連携なども進めていく上ではとても大変だろうな ということを考えていたところです。 ○菅野委員  児童相談所のミニ版を作るのではないという言葉が多分言葉足らずだったと思います。 児童相談所は二つの側面を持っていると思います。小野委員が言われたようによろず相 談の部分でニーズに応じてやってきたという歴史はもちろんあります。今急務として言 われている虐待対応や、非行相談のような権限を使った支援も大切な仕事としてやって きました。この両面をやってきて、今児童相談所はどちらかというと職権の部分が脚光 を浴びているわけで、そこの部分がここに強調されているのだと思います。  それを一つのところでやっているのが児童相談所であり、市町村は一カ所で全部それ をやりなさいということではなく、例えば児童相談所が持っている強権部分、要保護の ところは協議会でやる。児童相談所が持っているいろいろなあらゆる相談に応じてその 人のニーズに合わせてやっていくというところは、そことは違うところで一カ所にそれ が集中するのではなくて、市町村の体制の中で使い分けていく。児童相談所が自己矛盾 を抱えているのは自分のところが介入していって、介入していった人間のことをひどい ことをするなと言ってサポートする人が支援をする。組織内で矛盾を生じるように一カ 所に固めてしまうのではなくて、少しセクションが違うという形で強権的に少し圧力を かけてやるところとサポーティブにやるところと、うまくそれを使い分けて組織として も別になるような形になっていったほうが相談はしやすいと思います。小さい児童相談 所を作ってしまうといろいろな意味でしんどくなるかなということです。ちょっと補足 しました。 ○山縣座長  前段でも議論せずに飛ばしてきたのですけれども、児童家庭支援センターはどうでし ょう。初期に厚生労働省は500カ所というすごく大きな数値を、一時期全児童養護施設 に一カ所ぐらいのイメージを使ったことがあります。その勢いはなさそうですが、実際 の児童家庭支援センターをやっているところを見ると一定の機能はしていると私は思っ ています。当然施設ですからいろいろな差はありますけれども、一通り機能をきっちり 確認すると結構小回りの利く業務ができるのではないかと評価しています。  その辺に関して児童家庭支援センターの方々に聞くと、ある児童家庭支援センターの 担当者は非常に中途半端だという話でした。市町村の体制が強化されて市の相談が結局 自分たちのところにほとんど丸投げされているのではないか。どんどん自分たちのとこ ろへ回されてきている。しかし性格上県からいわれているのは、「所在地の市のためにあ るのではなく児童相談所が離れた地域にあるのでそのエリアを緩やかにカバーしていき たい。」と言われる。この関係が非常に難しいということです。市の建物と土地を借りて いるので市の意向も聞かざるを得ないという制度環境にあって苦しんでいますと聞きま した。相談員の方は非常にしっかりしたベテランの50才前後の女性だったと思います。 相談経験の豊富な方で、仕事は理解してやっておられました。   ○上廣委員  三重県の場合はあまり機能していないものですから大きなことは言えないのですが、 児童家庭支援センターができたときに家庭児童相談室との関係がずいぶん議論されたと 思います。児童相談所を補完するということでつくられたわけで、市町村が第一義的に 児童相談を担当するようになってくれば、児童相談所を補完するセンターがいるのかな という疑問があります。例えば、夜間緊急に保護しなければならない場合はショートス テイの契約をしておけばできるので、他の施策でカバーできる制度だという感じがあっ て十分機能していないのかなという印象を持っています。  年間1000万円ぐらいのお金を出すわけですから、もう一度その辺は考え直してくれと いっています。県下全ての児童養護施設にプロポーザルさせて、一番良い企画を出した ところに補助したらいいのではないかと提案をしているのですが、そういうことで機能 を見直さなければいけないと思っています。 ○山縣座長  埼玉県も確か複数ありましたね。初期から立ち上げられた。 ○関根委員  埼玉県は二カ所とも施設併設なのです。地域は限られてしまいますけれども、一時保 護機能を使ったり時間外の夜間に電話で相談を受けたりと結構機能しているのではない かと思います。 ○山縣座長  一時保護機能というのは、そこで相談を受けて児童相談所から一時保護委託をして手 続きを後で取るということですか。施設が独自の判断でお金も全部自分のところでとい うことですか。 ○関根委員  そうです。 ○山縣座長  滋賀県にも、児童家庭支援センターありました。 ○菅野委員  はい、一カ所あります。このときもお話したと思うのですが、滋賀県は施設が南の方 に固まっているのです。北の方には情緒障害児短期治療施設が一カ所しかないので、な かなか難しいです。こばと子ども家庭支援センターは、乳児院と児童養護施設のところ に設置されていますが、独自に子育てサロンをやっていただいたり、地域の子育て支援 というところではいろいろな活動をされていますので、そこはそこで機能していると思 います。少し親子の関係性の訓練をしてくださいという形でオーダーが出ますが、家族 の負担を考えると、片道1時間以上かかる場合も少なくなくて、現実的ではないのです。  できれば家族の近くの地元にあるというか、施設のみが実施主体となるのではなく、 例えばNPOとか、いろいろな形態で家庭支援センターの機能をもった機関が、あれば いいのにと思います。ノウハウを施設は持っていますので、そのノウハウをどういうふ うに伝えるかということはあるにしても、同様の機能を持つものを、手を挙げればでき るような形にしていけば、実質増えていくのではないだろうか。県でも市でも町でもな い民間の相談機関というとこの研究会のタイトルに対しては語弊が出てくるとかもしれ ませんが、リソースの一つとして整備の形を変えるのはどうかと思います。 ○山縣座長  議論しようと思ったのは、これを県レベルに置いておいてどういう機能があるかとい うことだと思います。子育てサロンの話になったら市町村でやる時代ではないかと。今 言われたのは偶然例を出されたもののすみだけを取っているものだからいろいろなこと をやっておられていると思うのですけども、市町村がいろいろな支援メニューや相談を 作っていく中で児童家庭支援センターでないとならないものが一体何なのかということ だと思うのです。児童相談所の前半の提案では、もう少し増やそうという前提の仕組み を取っている。市が増えるから福祉事務所、家庭児童相談所も増えるだろうという前提 にしたときに、児童家庭支援センターも多くは市部に設置されている。町村にある児童 家庭支援センターはほとんどない。ベースとなる施設が市に多いから必然的に併設型の 場合は市になってしまうというときに、一体何の機能をここに強調すれば有効な相談体 制になるのか。むしろ、乳児だけに限定してしまったら困るのですが、この仕組みを地 域子育て支援センターとかつどいの広場と合体させながら、市町村の方でこういうもの をきちんと予算を措置して作るような体制で応援した方がいいのか、ここで議論すべき はその辺りだと思います。ここでやっておられる仕事そのものは、一定の意味がある。 しかし、どのレベルでやった方が意味があるのか、ここでなければならないものがある のかという、その辺りが少し気になっているところなのです。 ○菅野委員  地域子育て支援センターというのは、保育所がしているのですか。 ○山縣座長  保育所がほとんどです。乳幼児に限定してもらったら困るというのは、保育所が中心 になったらどうしても学齢期以降は、相談にしても場所提供にしても弱くなりますから。 並列して言ったつどいの広場も大体そういう傾向があります。保育所よりもっと年齢が 低いかもしれない3歳未満の辺に相当シフトするのが、つどいの広場になります。今、 児童家庭支援センターは、乳幼児期に限定せずにやっておられることに間違いないです から。そこを確保しておかないと、単純にそこに合体はできないと思います。   ○高橋委員  子育て支援センターもつどいの広場も専業主婦で子育てをしている人たちのひきこも り予防や相談のところとして位置付けてやっているところが多いかなと。私たちのとこ ろがまさにそうなのですが。そうしていくとおっしゃった学童の部分の相談する場所が 無いと思いました。学齢期の子どものことを学校以外で相談できる場所が無いと。水巻 町のようにセクションがきちんとあるところはともかく、そうでないとなかなか無いと いう感想です。 ○山縣座長  私からもう一つ話題提供を。当初から枠組みの中に入っていながら今日はほとんど言 葉を使っていないのが、里親や養子縁組の家庭や子どもの話で、従来は都道府県が基本 的には全て管轄をしてやっていたけれども、生活の場所は当然市町村にあるわけです。 その辺の措置権等は児童相談所、県にあるにしても実際のフォローを特に特別養子縁組 等、普通養子でもいいですけども、完全に児童相談所から切れた後のフォローは、基本 的に市町村がその人たちの了解を得て、情報が市町村に行きますという前提で、でも地 域の生活としてサポートしていくということが、一つかと思っています。県レベルのと ころに里親は入っているのですけども、市町村のところに里親や養子縁組の話が、今の ところ文言としては入っていないです。ケースの流れ、月日によって市町村にある程度 シフトするといいますか、年齢があるのではないかと、個人的には思っているのですが、 その辺り今まで通り県のところに書いておけば、それでいいのだということなのか、も っと積極的に市町村のところにも里親や養子縁組の話を入れ込んでいくのか、この辺り で何かお考えがありましたら。今まで県との関係で仕事をされていたと思いますが、市 町村、特に専門里親は難しいかもしれませんが、養育里親から養子への変化という中で、 ご意見をお願いします。 ○後藤委員  話が難し過ぎて立ち入る隙がなかったのですけれど、私は実は専門里親と養育里親と 両方です。養子縁組ではありませんので、今度20歳まで延長になったと思いますが、平 成14年10月からあるところではもう延長しているということも漏れ聞いていたもので すから、うちの男の子二人はそれに該当しているので、お願いしましたけれど駄目でし た。お話したことはありますけれど、下の子どもはまだ18歳未満でしたので、せめて下 の子どもをということで、あちこち関係機関にお願いしましたけれど、どこも駄目でし た。  その後の今のフォローということですけれど、私の住んでいる市町村は、まず里親と いう言葉をあまり知らなくて認識がないのです。今、一般的に里親というと犬や猫とか そういうものにまで里親という言葉が使われているようです。特にうちは17年目を迎え ます。大体、少し発達がゆっくりした子どもで、のんびりとした子どもという表現をし たいと思いますけれど、15歳で社会に出すのは無理です。高校に行きたいということで、 高校は私立でやっと行けるところを探して出しました。そうしたら、さらに上の学校へ 行きたいと、介護の仕事をしたいということで、今、行っていますけれど、そのことに ついても措置は、既にずっと切れています。そういうフォローはどこからもしていただ けませんし、こんなことを言うと私自身の首をしめることになりますけど、児童相談所 は解除されたらもう終わりです。ということは全て金銭的にも精神的にも里親の負担に なります。でも、世の中にきちんと出て生活するには、その子どもの能力に合った力を 付けてやりたいということで、日夜悩みながら頑張っているのです。実は、今年の春に 多分二人とも社会に出られそうで、去年10月にお試し期間ということで二人をアパート に出しました。22歳と20歳になります。何とか就職ができるかどうかというところで、 今いろいろ試行錯誤をしているのです。こういう子どもがいるということも市町村にわ かっていただいて、これからの養育里親にしても専門里親にしても、十分に相談に乗っ ていただける体制をぜひお願いしたいと思います。あまり文句を言うといけないのです けれど。ただ、子どもと暮らせて良かったというのは本音です。長い間にはとてものけ 反るようなことをしでかしたりということが、山ほどありましたけれども、ちょうど去 年2月に今20歳の子どもが、面白いことをやってくれまして、それを名前を変えて短い 小説にしてありますので、よろしかったら読んでください。 ○山縣座長  ありがとうございました。県との関係は従来どおり当然引続き、縮小するわけではな いのですけれども、要は市町村との関係で里親や養子の相談です。県からの引き継ぎと いいますか、その辺りで何か例とか、あるのでしょうか。あまり聞いたことがないので すけれど。ずっと県の仕事としてやり続けるということでしょうか。 ○関根委員  埼玉県は、結構里親が多いものですから、市町村ごとに里親のグループやそういうの ができあがっているのです。里親同士のネットワークの中で、相談したりということを お互いにやっているようです。県で実施する里親の研修にも市町村の職員が一緒に来る ことが多いですから、ある程度関係はできているのです。ただ、養子縁組でいわゆる措 置関係が切れるという里親の場合、里親自身があまり外部との接触を好まない。むしろ 避けるというような気持ちを持っている方もいらっしゃいますので、少し微妙なところ があると思います。養育里親の場合は、そういった問題はないですから、里親と市町村 の関係というのは、両方とも持ちやすいのかなという気がするのです。 ○山縣座長  義務教育の問題とかそういうのは、全部市町村の絡みになってきますので。 ○小野委員  後藤委員にお伺いしたいのは、本当に私が市町村相談委員という気持ちが湧いてきて 聞いてみたいという気持ちになったものですから教えていただきたいのですが、里親が 市町村に望む相談というのはどんな相談なのでしょうか。 ○後藤委員  もう済んでしまったことですので。これからの方のためにぜひ里親を特別視しないで 欲しいです。それから、最近里親という言葉が、行政のPRも新聞やラジオ・テレビで も出るようになりましたけれど、まだ里親ということについて、行政に申し上げること ではなくて、一般に認識がありません。  この場所でぜひお願いしたいのは、これは厚生労働省の管轄ではないと思いますけれ ど、里親という言葉の使い方を統一していただきたいと思います。というのはインター ネットで調べると、犬、猫、それから新聞、私は中日新聞を取っているのですけれど、 そこに里親とポチと一緒にしないでくださいということでクレームを付けると、記者ハ ンドブックに照らし合わせて間違っていましたと、一切使いません。それから、朝日新 聞も今は使わなくなりました。それから、NHKも使わないようにしてくれています。 だから、ある市町村では、植木・ロボット・魚、そういったものにまで里親という名称 を使っていますので、この際、里親というのは人間の子どもということを統一して欲し いと思います。小さなことですけれど、非常に私たち里親は不愉快です。それくらいで す。 ○小野委員  そういうふうに思われているというお気持ちは、子どもを育てていく上での子どもの 不登校、いわゆる里親とか実親とかという区別なくいうと各家族としてはいろいろな問 題が、あるわけですか。 ○後藤委員  幸い私のところでは子どもを育てる上で、私が総司令官になっていますので、割合家 族内での子どもとのトラブルというのはありませんでした。ただ、世間からのそういう 見方とか、汚い言葉を使って、よその子どもを物好きに預かっているとか、まだまだ理 解をしていただけない部分がありましたけれど、私もこの年になりましたので、冗談紛 れに愛人の子どもだと言って笑ってすませていますけれど、割合、厳しい時期もありま した。でも、かわいいと思って育てていますから、虐待ではありませんけど、おしりペ ンでなしにぶっとばしたこともあります。それでも、まあまあいい子どもに育ちました。 ○小野委員  ありがとうございました。 ○山縣座長  あまり意識しすぎると問題があるし、普通に親子として相談すればいいという考え方 もあるけれど、里親や養子の固有の特化した悩みといいますか、非常に特徴的に出てき やすい部分があるというのも事実だと思います。市町村レベルまで理解をしてやるのか、 そういうのも措置した児童相談所レベルでやるべきだということなのか、あるいはこの 中にも少し出ていましたが、民間団体が行うのか。 ○後藤委員  専門里親で預かったのは、おととし5カ月でしたけれど、母と分離ということでかな り子どもが悲しんでいました。ただ、ドクターの指示で、それは駄目。5カ月後に完全 に乖離障害ということがわかって、家庭養育は無理で強制入院しました。そして3カ月 後にそういう専門の施設に変わっていきましたけれど、おととい専門里親の会合があり まして、そのときに関係者がおられましたので、少し良くなって母親・父親と数回会う ことができたというところまできたという話を聞いて、ほっとしていますけれど、先に 申し上げた22歳と20歳の子どもは置き去りで、両親は行方不明なのです。だから途中 で放り出すこともできないし、放り出しても行くところがないしです。例えば、多分よ その児童相談所の先生方も言われますけれど、もっとクールに考えて18歳で出しなさい と。どこでもいいから、就職、住み込みをさせるようにと言われましたけれど、能力が ない子どもは必ずできるとは限らないから、もう少し様子を見て時期を待つということ で、うちは預かっていました。だから、祖母でも、それからおじでも誰が引き受け手の ある子どもでしたらいいですけど、うちは置き去りですので、そのことも含めてうちの 子どものようにして同じように育てたつもりです。 ○菅野委員  里子だけではなくて、施設に措置されている子どもたちのことを考えると、教育の部 分は市や町の教育委員会という形で、必ず絡んでくると思うのです。例えば、里子と里 親の特有の問題ということになると、多分県や措置しているところがというふうになる と思うのですが、日常生活のいろいろなかかわりの相談というところになれば、それは 身近な所への相談ということになるので、生活者としての支援というふうに見てもらえ ればいいのではと思います。市や町の教育委員会からは、施設があるせいで大変な子ど もたちがたくさん一つの学校に来ていると言われる事もあります。県が市がということ よりも子どもを中心にして、その問題に連携をもって支援していくということになると 思いますし、教育という分野が絡んできたら、必ず市町村、地元の仕事ということにな るのではないかと思います。 ○山縣座長  当然そうなのですが、言いたかったのは教育でやるとその里親・養子の関係のことに 関する理解をほとんどせずに一般の教育相談としてやられると、つらいものがあるかも しれないので、少し意識をするような仕掛けはどうかと思ったのです。  14ページに行こうかと思ったのですが、菅野委員がおっしゃったように、児童福祉施 設を退所した子どものこともここに入り込んでいるので、里親等についても市町村レベ ルで言葉を入れておいた方がいいのかどうかという、そういうつもりだったのです。 ○後藤委員  すみません。30秒だけいただけますでしょうか。センターや地方自治体の方がおられ るので、私の里親からの希望が一つあります。というのは、私も実は児童養護施設の臨 時職でずっと勤めていました。そして、今、里親会でいろいろな話し合いをしたり、子 どもの困った相談、相談するほどではないですか、自分の経験から、夜尿で困った、小 学3年生でまだしていると言われても、心配しないで、うちは中学3年生までしていた からということで、そんな話をしています。養護施設に長い間居る子どもは、どうして も施設病のような感じになってしまって、どうにもならない癖が付いてしまいます。う ちは4歳と6歳まで居ましたけれど、それを普通に戻すのは至難の業だったと思います ので、もしそういう子どもを預かってとかそういう事例がありましたら、できれば、養 育里親なり、初めから親が子どもをいらないという子どももいます。そしたら、子ども が欲しくてのどから手が出ているような方も随分いらっしゃると聞いていますので、施 設措置をする前に段階としてぜひお考えいただきたいと思います。 ○山縣座長  最後のページのところで政令市のことが、ほとんど話題になっていないのですが、何 かこのことに関して特にコメントはありますでしょうか。ここは基本的に変わらないと ころです。要は、区との関係で、市町村の関係で直接大きくは関係しませんし、では、 ここについてはこういうことで、終わらせていただきます。  大体予定をしておりました時間になりましたので、今日の議論をベースに事務局と少 し協議をさせていただいて。はい、どうぞ。 ○江成委員  少し話を前に戻してですが、中核市の児童相談所設置についての話が先ほどあったと 思います。ここで一点だけ付け加えさせていただくと、今、中核市が児童相談所を持つ ことを考えるときには、一時保護所や施設の定員といったところが、かなり問題になる のではないかと思います。市内には児童養護施設が一カ所あるだけです。必ず市内で対 応しなければいけないということではないとは思いますけれども、児童相談所は設置し たが、保護所や施設が一杯で対応できないということでは大きな問題になってしまいま す。市単独で対応することが難しい問題ですので、中核市が児童相談所を設置する場合 には、こうした問題について県からも積極的な協力をいただけるということにならない と、設置について前向きな姿勢になることは、なかなか難しいのではないかというとこ ろを付け加えさせていただきます。 ○井上委員  14ページの上の方の「論点」で挙がっている民生委員、児童委員の活用で児童福祉施設 を退所した子どもの地域援助の役割ということなのですが。少し出入りしている児童養 護施設だとファミリーソーシャルワーカーの方が、退所後、数回は家庭訪問をして、で きるだけ再発にならないようにしていきたいと動いておられます。ただ、その動きだけ では地域の民生委員、児童委員とつながらないのです。どうしたらつながるのかという のですが、児童相談所が地域や市町村ときちんとしてそこに入ってくれないと、ファミ リーソーシャルワーカーが直接、市町村にはつながりにくい。そのファミリーソーシャ ルワーカーの方はある町の地域協議会には入っておられますが、福祉施設は広域なので たくさん遠いところがあっていちいちそういう動きはできないので、そこを何か市町村 の役割として、児童相談所と連携・協力しながらやっていくところになるのかなと思い ます。 ○山縣座長  そうですね。里親もそうですし、退所後もそうですが、直後は児童相談所や施設の役 割は大きいと思うのです。その人たちがやがて地域で生活をしていくのだというような ことを想定した場合に、地域の資源と結び付いていかなければ生活はできない。県の資 源と結びついて生活するわけではありませんので、地域のさまざまな住民も含めたその 人たちの力をどうつなげていくか。  議論を戻しますが、それで一応10回にわたるこの研究会の議論は、今日で閉じさせて いただいて、3月23日に最終回です。その前の段階で中間と同じように情報を各委員に 届ける。できれば、次回は若干の修正をして、終わらせていただきたいというようなこ とを考えているわけですが、事務局の方はそういう形でよろしいでしょうか。少し補足 があれば、説明をお願いします。 ○内山総務課長補佐  次回は、3月23日(木)13時から予定しています。今、山縣座長が言いましたように、 少し次回までにお時間をいただいておりますので、山縣座長とも相談をさせていただき ながら、事務局でよく整理をさせて、報告書の原案を作成させていただきたいと思って います。 ○山縣座長  今日の会議は終わりますけども、いつも以上に個人的な発言をたくさんさせていただ いたり、あるいは最初まとめないといけないと思って少し誘導的なこともあったという ように思いますが、その辺をご容赦いただきたいと思います。3時間にわたる審議、あ りがとうございました。              (照会先)                雇用均等・児童家庭局総務課児童相談係 03−5253−1111(内線7829) 39