05/01/11 労災保険料率の設定に関する検討会第12回議事録           第12回労災保険料率の設定に関する検討会                         日時 1月11日(火)                            17:00〜                         場所 厚生労働省専用17会議室 ○岩村座長  ただいまから、「第12回労災保険料率の設定に関する検討会」を開催します。今日の 検討会には、獨協大学の阿部先生と北海道大学の倉田先生がご欠席ということですの で、その旨ご報告いたします。  本日の議事に入ります。前回はこの検討会の報告書(案)をお示しして、内容につい てご議論をいただいたところです。今回はそこでのご議論を踏まえ、修正を加えたもの を改めてお示ししたいと思います。具体的に今日は資料として、報告書(案)をお手元 にお届けしています。それでは、今日の報告書(案)について事務局から、前回との修 正点などを中心にご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○数理室長  私から報告書について、前回からの修正を中心にご説明申し上げたいと思います。前 回出されたご意見をもとにして、見直しをしたところでございます。  まず、1頁の修正箇所ですが、「総合規制改革会議が3月31日に廃止され、4月1日 に後継組織として「規制改革・民間開放推進会議」を設置ということでしたので、正確 を期すということで変更したところです。  3頁の「現状と検討課題」ですが、見直しをしたところ、労災保険率の決定のところ で「適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率並び に」を入れて、法令の記述に沿ってこれを改めたところです。  次に5頁、メリット制の説明ですが、特例メリット制についての記述において、法令 に沿った書きぶりに改めて正確を期したところです。特例メリット制としては「労働者 の安全又は衛生を確保するための一定の措置(労働安全衛生規則第61条の3、第1項の 規定による認定を受けた同項に規定する計画に従い事業主が講ずる快適な職場環境の形 成のための措置)を講じた」中小企業である継続事業場がその適用を希望した「場合に 」と記述を改めたところです。その2行下、メリット適用事業場の「80%」以上という ところがあります。増減率との表現の混同を避けるために、「8割」と機械的に直した ところです。  6頁、労災保険率の基本的な考え方のところですが、イ、業種別の設定で異なる「と いう」観点という、「という」を入れてわかりやすくしたところです。それから、改定 の頻度のところで「行政事務の効率化」ということでしたが、事業主側の事務のことも 考慮して、「保険手続に係る事務の安定的な処理の」観点と表現を改めたところです。  7頁の(2)長期給付分のところは言葉づかいを正しくしています。業種だけに責任を 「負わせる」ことは適当ではないというように改めたところです。(3)過去債務分につ いて、下から3行目、全業種一律賦課の考え方等、前回を継続「すべき」という強い表 現でしたので、それを改めて継続「することが適当」であると改めたところです。趣旨 を明確にするということで、「なお」以下を直しました。  なお、「具体的な料率」については、日本経済の動向を踏まえた今後の労災保険財政 の見通し、「及び今後の積立金の状況を」踏まえて設定することが適当であるというよ うに記述を直したところです。  bの(2)労働福祉事業分のところですが、ご指摘の点も踏まえて「全労働者を対象と した」ところという言葉を「全業種にまたがる」事業を展開しと記述を改めたところで す。  (2)の激変緩和措置等ですが、ここについて語尾が「‥‥を原則とする」、「‥‥ 必要である」という記述で、ほかが「‥‥とすることが適当である」という記述ですの で、記述の統一を図ったところです。それから、冒頭のところで「業種別の労災保険率 を原則として」ということで、主語もはっきりさせています。「原則として」、上記 (1)の基本的考え方により、業種別に算定された数値とすること「が適当である」と 記述を改めたところです。その段落のいちばん最後も、設定する「ことが適当で」ある というように直したところです。  下から3、4行目、趣旨が明確になるような形で「一定の上限を設けることが必要で あるかどうかについて、」労災保険率の水準に関するこれまでの状況や使用者の負担能 力等も勘案「しつつ、」過去3年間の数理計算を踏まえて具体的に検討を行うことが 「適当」であるというように記述を直したところです。  次に9頁(2)「18年度」に向けてと書きましたが、「次期」のほうが適当ではない かということで「次期」労災保険率の改定に際しては、と改めています。それから「そ の他の各種事業」の見直しの関係で、(1)の「基本的な考え方」に沿っていることを はっきりさせるということで、「上記(1)の考え方に基づき」と入れました。まず作 業態様の面に着目して、事務従事者割合の比較的高い「業種」を取り出し、「災害率、 保険集団としての規模等を考慮し」た上で日本標準産業分類にというように記述を改め たところです。  (2)業種区分の見直しで、前回の記述面では新しく取り出すところとその下のグル ープについて記述の入り繰りがありましたので、それを入れ替えて関連するところを合 わせた形で記述を直したところです。  (1)(2)(3)を分割し、新たな業種区分として設定することが適当である。「その際」 ということで、「各々の新しい業種区分の内部をさらに小さなグループに細分化して、 細分化したグループごとに収支状況等のデータの収集を図ることが望ましい」と記述を 整理したところです。  その続きのところ、現行の(1)(2)(3)に含まれない事業は引続き、同一の業種区分と することが適当であると考えられる、とあります。その続きとして次の10頁、「そし て、今後必要に応じて、業種を適時適切に分割することを可能とするため、同一の業種 区分の中で災害率が異なる業種を適切に把握することができるよう、日本標準産業分類 を参考として適用事業細目を適切に設定した上で、それぞれの適用事業細目ごとの収支 状況等のデータの収集・整備を行うことが適当である」という記述に整理したところで す。  ロ、統合の検討について、具体的な数字が出ていたわけですが、その数字の言及を避 けるために書き改めたところです。保険集団としての安定性を維持するため、「規模が 小さい業種については」今後の労働者数の変化等の動向を見るというように書き改めた ところです。  10頁の下から4行目のところに式が載っていました。これは上の文章の説明としてあ ったものですが、この式がなくてもご理解いただけると思い、この行については削除し たらどうかということで整理しています。  11頁、メリット増減幅のところですが、これはご指摘を踏まえて趣旨が明確になるよ うに記述を改めたところです。(3)継続事業に「適用されている現行」のメリット増 減幅「(±40%)の拡大については」としています。(1)のところで災害防止効果を 「明確に予測」のところで、「明確に」は特になくても通じると思い、「災害防止効果 を予測することは」と改めています。(2)のところについては、「現在の災害発生状況 を踏まえると、」保険料収入の減少が見込まれ、それを補填するために労災保険率のベ ース「を引き上げる必要が生じること」。(3)は、「強制保険としての労災保険制度に おいては、メリット制の適用によって保険料が割増しになる場合の使用者の負担能力の 問題も考慮しておかなければならない」と付け加えたところです。あとの記述として、 などの問題がある「ことに鑑みると、消却的にならざるを得ない」ことから、「当分の 間、現在の増減幅を維持」することが適当であると改めたところです。  「しかしながら」の段、3行目の後ろのほうですが、これはデータを再確認して記述 を改めました。前回、「同程度」と書きましたけれども、数字を精査すると下回ってい たわけですので、全産業の災害発生状況「を下回る水準」にまで低くなっていきという ように改めたところです。その段落のいちばん下の行、メリット増減幅は「今後は」と いう言葉を入れましたが、なくても趣旨が明らかでございますので、この言葉は削除し たほうがいいと整理しています。メリット増減幅は継続事業と同じ増減幅にすることが 適当であると整理しています。  13頁、今後の対応ですが、検討課題の内容がより明確になるように整理し直し、改め たところです。それから、語尾は「望まれる」ということで言葉を統一しています。1 段落目が業種区分については(1)(2)等を検討することが「望まれる」、メリット制につ いては創設当時と比べ労働災害が大幅に減少しており、今後とも減少が期待される状況 において、メリット制の機能を「より」実効あらしめる「という観点から」労働災害防 止をより適切に「評価」反映し得る「手法」など、メリット制の持つ労働災害防止イン センティブの促進機能をより高める方策について検討することが望まれるとしていま す。「あわせて、メリット制と保険財政との関係等についてさらに分析を行いつつ、メ リット制の技術的な手法等についても検討しておくことが望ましい」と書いたところで す。  以上です。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。ただいまご説明のあった報告書(案)について、先 生方からのご意見を伺いたいと思います。いままでと同様、申し訳ありませんが、議論 の整理のために順次、頁数等をお示ししながら進めていきたいと思います。  まず最初に1頁目、ここでは本検討会の設置の経緯ということで、「より正確を期し た」という修正ですので、特に異論はないかと思いますがよろしいでしょうか。  続いて、3頁も修正部分です。これも法令の書きぶりに合わせたという趣旨ですの で、あまり問題はないかと思います。よろしいでしょうか。  続いて5頁、ここも特例メリットについて、法令の規定に即した書きぶりに直したと いうのが主たる修正です。よろしいでしょうか。  特になければ、次に進んで6頁、ここは前回のご指摘を踏まえて、「行政事務の効率 化」を先ほど説明があったように「保険手続に係る事務の安定的な処理」という表現に 改めています。よろしいでしょうか。  7頁、「負わす」を「負わせる」という、これは書きぶりの問題です。次に過去債務 分のところは、前回のご指摘に「やや表現がわかりにくい」ということがありましたの で、趣旨がより明確になるような形で修文しています。いかがでしょうか。7頁から8 頁にかけて、「過去債務分」です。特にご意見はありませんでしょうか。  8頁になりますが、最初がbの(2)、「全労働者を対象とした」をこれもご指摘を受 け、表現をより的確にするために「全業種にまたがる」事業という書きぶりに改めてい ます。(2)のところも基本的には内容を変えたわけではなく、より趣旨が明確になる ようにということで、表現の順序を変えるという手直しであります。 ○高梨委員  (2)の前のところ、細かい点なのですが、8頁の上、b非業務災害分等がありま す。この最後のくだり、「算定するのが」適当であるということですが、ほかのところ の表現は「することが」と言っているので、「こと」にしたほうが適切かなと思いまし た。  (2)激変緩和措置等ですが、最初の2行に基本原則が書いてあって、それについて 「適当である」としています。次に「しかし」という事柄としての記述、「さらに」と いう記述の両方があるわけです。基本原則を踏まえつつも、2つのことを書いておこ う。こういうことからすれば、「しかし」という所は改行したほうがいいと感じまし た。  「さらに」の中身、最後の3、4行のところなのですが、この表現でもいいのだろう とは思います。でも、私にはちょっと座りが良くないのかなと思っています。というの は、「一定の上限を設けることが必要であるかどうか」という点について考えるときに は、基本になるのは過去3年分の数理計算のことが基本になって、その3年間分を計算 してみたとき、どうも大変上振れをするということが出てきたときに一定のことが必要 である。そのときに考慮することが「保険料率の水準に関するこれまでの状況や使用者 の負担能力」なのではないか。  ついては、表現ぶりを逆転させて、「一定の上限を設けることが必要であるかどうか について、過去3年間の数理計算を踏まえて、保険料率の水準に関するこれまでの状況 や使用者の負担能力等を勘案しつつ、具体的に」というように入れ替えたほうがいいの ではないか。内容はそれほど変わりません、表現ぶりだけの問題です。そのような点が 気がつきました。 ○岩村座長  ありがとうございました。いまの点に関して、ほかにございますか。高梨委員の意見 の取扱いについてはのちほどご相談させていただくことにして、先に進みたいと思いま す。9頁、業種区分の見直し。そこは前回の案について中身自体を変えたわけではない のですが、叙述の順番を変えて、書いてある中身の流れがより明確になるように整理し たものです。ここについてはいかがでしょうか。 ○高梨委員  9頁の(2)のイ、赤で書いてある部分ですが、「データの収集を図ることが望まし い」と書いてあります。そのあと、カッコの中でこういう形でデータの収集を図ると書 いてあります。どうも、「望ましい」とカッコとの関係がわかりにくいので表現ぶりだ けの話なのですが、カッコを取ってしまって「望ましい。例えば」としてこの文章を入 れて、最後に「図ることが考えられる」というほうがわかりやすいのかなという点が1 点です。  2点目は10頁、「そして」以下のところのくだりです。文章の最後の表現ぶりが「デ ータの収集・整備を行うことが適当である」ということで結ばれているわけです。目的 は出だしのところに、「適時適切に分割することを可能とするため」と書いてありま す。要するに、文章としては「データの収集・整備」ということで表現ぶりが終わって いるわけです。私からすればデータを収集して、その上で「適時適切に分割をする」と いうように明確に書いたほうがいいのかなと思いました。  ついては、内容は変わらないとは思うのですが、出だしのところを全体の表現ぶりを 受けて、「その上で」という言葉を入れて、「その上で同一の業種区分の中で災害率の 異なる業種を適切に把握することができるよう、日本標準産業分類を参考として、適用 事業細目を適切に設定した上で、それぞれの細目ごとの収支状況等のデータの収集・整 備を行い、そのデータ集積を踏まえて」、最初に戻って、「今後必要に応じて業種を適 時適切に分割することが適当である。」とする。我々としては、分割をするということ の意思を明確にしたらいかがであろうというものです。  もう1点はカッコの中、いまの表現ぶりでは「収集・整理を行うことが適当である」 の後ろに、例えばこういう細分化という形で書いてあるわけです。カッコの位置をここ に入れるのではなくて、3行目の「適切に設定」の後ろにこのカッコを入れるとしたら いかがでしょうか。  もう1つは内容にかかわることですので、新たな意見ということになります。このカ ッコ内に「医療保健」、「教育」ということが例示として掲げられています。私も詳細 に調べているわけではないし、データも必ずしも持っていないのですが、最近の状況か らすれば社会福祉、あるいは介護関係の事業、これらの従事者の数が相当に増えてい る。しかも、介護ということになると腰痛ということが起こり得るし、ホームヘルパー が移動する過程で交通事故に遭うということもあり得ますので、教育や医療保健とはや や違う側面があるのではないか。このようなことからすれば、社会福祉、介護事業とい うようなものも特別にデータ収集を行う、ということをしてもいいのではなかろうかと 思っています。「等」の中に入っているのかもしれませんが、具体的な例示として表す ということをしたらいかがか。最後のところは表現ぶりの問題ではなくて、意見でござ います。皆様方の意見を踏まえながら、最終的には座長にお任せしたいと思います。 ○岩村座長  ただいまの高梨委員のご意見はいかがでしょうか。前半の部分、9頁のほうはおっし ゃることもそうかなと思います。10頁の書きぶりを変えるという点については、何か皆 様のほうでご意見はありますでしょうか。社会福祉と介護については別途お話したいと 思います。  私の感じでは、先ほどの高梨委員のご示唆ですと、ちょっと業種の分割が強く出過ぎ るかなという気がします。ある意味、データを集めてみないと分割できるかどうかとい うのはよくわからないところもあるので、先ほどの高梨委員の書きぶりにしてしまうと 分割しないほうが適切であるという話になってしまったときに困るのかなという気がし ます。ここはこの書きぶりでご勘弁をいただければという気がします。  「例えば」の置きどころは高梨委員のお考えでもよろしいかと思いますが、9頁との バランスを考えると、先ほどのサジェスチョンを仮に取り入れるとすると、カッコ書き を取るという形で両者の平仄を合わせることでいかがかと思います。社会福祉と介護で すが、いまは当然「その他」に入ってしまっているのですが、いますぐには覚えていな いのですが細目に入っていたのかどうか。 ○数理室長  細目には、社会福祉と介護という言葉は盛り込まれていない状況です。おそらくは医 療保健等に入るのかなと思っています。これを定めた細目、昔からあることはあるので しょうが、社会福祉や介護で最近大きくなっているような状況があります。これが作ら れたときにはまだそれほど大きくなかったのかもしれませんが、必ずしもこれの中には 記述がない。おそらく、医療保健の中の一部として入っているのかなと思います。社会 福祉についても、現行の細目の中には記述がないようですが、おそらくこれも同じよう なところに入っているのかなといまのところ思います。分けられないことはないのかも しれませんが、実際に分類していくときにはちょっと注意を要するかなといまの段階で は思っています。 ○岩村座長  いかがでしょうか。一応、医療保健と教育というのは多分細目に入っていると思いま す。細目に入っていないものをどうするかというのは、いまこの場で直ちに結論を出せ ることでもないような気もします。ここでの記述では、『日本標準産業分類』を参考と して細目を適切に設定した上でという書きぶりになっています。先ほどの高梨委員のご 意見も踏まえて、今後の対応については事務局でご検討いただく。特にここで「社会福 祉・介護」については言及しないという扱いでいかがかという気がします。 ○高梨委員  第5回の検討会に提出された、雇用者の数を「就業構造基本調査」で調べた数字があ ります。それでいくと、医療業の関係が268万人ぐらい、保健衛生が11万人ぐらい、老 人福祉介護事業が61万人というように出ています。いまの段階では、いま座長がおっし ゃったことでいいと思います。ここのところがかなり大きくなってきているし、実際災 害統計がどこまで分類しているかどうかわからない。そのようなことを考えましたので 発言しました。お任せします。 ○岩村座長  いまの趣旨を踏まえて、事務局でご検討いただければと思います。いまの点はよろし いでしょうか。ほかの先生方は何かありますか。 ○大沢委員  10頁の赤いところなんですが、まずすごくセンテンスが長い。慎重に書こうとすると どうしてもそうなってしまうのですが、しかし、1つのセンテンスの中に「適切に」と いう言葉が3回出てきて、最後が「適当である」というふうに締めていて、学生にはあ まり勧められない文章だなという感じです。 ○岩村座長  そうなんですが、すみません。いろいろなことを読み込んで、正確にたくさん書くと こうなってしまうということです。確かに「適切」と3つなっていますが、そこはいま の時点で何か代わりの言葉がありますか。「適当」にすると今度は適当の数が増えてし まうので、ご指摘の点はよくわかりますが、ご容赦いただければと思います。  10頁の統合のロのところですが、「規模が小さい業種については」というふうに表現 を変えて、確定的な数字を避けるということです。よろしいですか。下のほうで数式を 除くということも、これがなくてもわかると思いますのでよろしいと思います。  11頁の(3)のメリット増減幅のところで、ここが前回、いろいろなご注文がござい まして大変悩ましかったところですが、一応、今日お示ししたような形で整理をさせて いただいた次第です。若干表現ぶりを改めたというのと、正確を期するために例えば (2)のところで「現在の災害状況を踏まえると」というのを追加したということ。考慮 要素としては(3)も入るだろうということで加えたということ。前回、直ちに結論に飛 んでしまうのはどうかというご指摘があったので、問題がある「ことに鑑みると消極的 にならざるを得ない」ことからという書きぶりにさせていただいたということです。こ の頁についてはいかがですか。 ○高梨委員  あとから皆で検討する部分なのですが、12頁、13頁のところで今後の状況変化等への 対応ということで、メリット制についての記述もあるわけです。そこのところでメリッ ト制の持つ労働災害防止インセンティブの促進機能を、より高める方策について検討を していくということなり、あるいはメリット制の技術的な手法についても検討すると、 こういう記述があるわけですが、そういうこれからの検討のことからすれば、第1番目 に、11頁の(2)の適用要件のところの最後の下りで、「適用要件は現状どおりとする ことが適当である」というのは、どうも表現が強過ぎはしないであろうか。  もう1つは、バランスの問題で(2)のところは「当分の間」という表現を入れない で、「現状どおりとすることが適当である」というふうになっていますが、(3)のメ リット増減幅のところは、いちばん下の行に「当分の間」ということを入れた上で、 「現在の増減幅を維持」ということになっているのです。いちばん最後の下りで、専門 家の参画を得て検討する事柄の中には、適用要件の問題も当然に入るというふうに私は 理解をしているのですが、ということであれば、この「当分の間」に類似するような表 現を、(2)のメリット制の適用要件のところにも入れるということが、必要ではない かと考えます。  もう1つは、専門家の参画による検討ということがあるわけですので、そのことをこ この(2)の最後のところ、あるいは(3)のところにも入れるということが必要では ないかと考えます。  具体的な表現ぶりは、(2)の最後のところですが、「メリット制の適用要件は当面 は現状どおりとし、その上で後述の専門家の参画による検討を行うこととすることが適 当である」ということで、いかがであろうかと思います。(3)の部分ですが、ここの 最後の下りで、「などの問題がある‥‥消極的」というのは事務局が消極的なのはわか りますけれども、我々の検討会として消極的にならざるを得ないということでいいのか どうかと私は考えるわけです。そういうことからすれば消極的にならざるを得ないとい う表現ぶりはしないということで、「などの問題があることから、当面、現在の増減幅 を維持し、その上で後述の専門家の参画による検討を行うことが適当である」と、こう いうふうにしたらいかがでしょうか。  いま、私はここのところについて、「当分の間」という言葉を「当面」という言葉に 言い換えているわけですが、「当分の間」という表現ぶりについてはいろいろな理解が あるだろうと思います。単なる感覚の問題なのかもしれませんが、「当分の間」という ことで相当の期間変えないという意思にするかどうかということではなくて、当面、今 までどおりでいきましょうということで、「当分の間」という言葉を「当面」と改めて いただきたいと思います。  細かい点ですが、(2)の最後のところに「引き上げる必要が生じること」と書いてあ りますけれども、実際問題を考えてみたときに、災害の発生状況が全く変わらないとす れば、このメリット増減幅を拡大したときに、減少のメリットを受けるところが多くな るということから保険料収入の減少が出てきて、労災保険料率のベースが上がるという ことはもちろんあるわけです。しかし、メリット増減幅が増加したということによって 災害防止努力があって、それによって災害発生が減少するということがあり得ると私は 思います。とすれば、この最後の下りが「必要が生じること」というふうに断定的に言 うのではなくて、「生じることが考えられること」とか、あるいは「生じることがある こと」とか、そういう表現にしたほうが現実に合っているのではないかとの意見です。 ○岩村座長  ただいまのご意見については、先生方の考えはいかがですか。 ○大沢委員  3のメリット制のところにある(2)(3)というのが、次の4に出てくる「今後、 専門家の参画も得て次の課題等について継続的に検討していく」というところにつなが っているというご指摘で、それをそれぞれ(2)(3)にも入れ込んではどうかという ご意見だったと思いますが、そういうストラクチャーになっていたのでしょうか。むし ろ4のところを見ますと「次の課題等について」となっていますから、今後、専門家の 参画も得て継続的に検討していくのは、13頁に挙げられている課題ということで、それ がまた前のところに入れ込まれると、何か入れ子構造みたいになって、とてもわかりに くくなってしまうような気がするので、もともとそういうことを意図したストラクチャ ーであったのかどうかということが。欠席しましたので確認させていただければと思い ます。 ○岩村座長  たぶん、少なくとも私の理解では、適用要件とメリット増減幅についてはいろいろ議 論はしましたけれども、そのままで例えば適用要件の拡大をするとか、メリット増減幅 を拡大するということについては、委員会全体の雰囲気としてはそれほど積極的ではな くて、むしろもう少し別の角度から検討を加えた上で、考える必要があるのではないか ということだったのではないかと私個人は理解しています。そこからこの13頁の書きぶ りというのが、要するに今後の課題ということが出てきているわけで、メリット制につ いても、もう少し別の角度から検討をしてみましょうということだと理解しています。  ですから、適用要件あるいは増減幅そのものについて別の角度を加えるということで なくて、検討しようという趣旨ではなかったのかと私自身は理解していて、それでむし ろメリット制についての課題というのは、この13頁に取りまとめられているというまと め方だと思っています。ですから、いま大沢委員が言われたように、先ほどの高梨委員 の言われたようなことを加えるとすると、ここだけがちょっと突出してしまうという気 がしますし、また検討の角度自体が、要するに新しい角度で少しそれを加えて検討しま しょうということも落ちてしまうことになって、ちょっと私としては、にわかには賛成 できないかなというふうに思っているところです。 ○小畑委員  12頁のいちばん最後から2行目から、「専門家の参画も得て次の課題等について継続 的に検討していくことが望ましい」として、その課題というのが13頁に「業種区分に関 しては」というのと、「メリット制については」というのが出てきていますので、この 4で意味している内容というのは、専門家の参画も得て業種区分やメリット制につい て、また「次の課題等について」となっていますから、それだけでなく、それらの課題 プラスアルファについて継続的に検討していくことが望ましいというような、広がりの ある表現がなされていると思います。先ほどのご提案で、専門家の参画を得てというの を2ヵ所、ここだけ入れるとメリット制だけでなく業種区分とか、いろいろなところに ついて専門家の参画を得て検討していくことが望ましいというのと、ちょっと平仄が合 わなくなるのではないかと思いました。 ○岩村座長  おそらく、いままでの検討の流れからすれば、13頁で今回、いちばん最後に入れてい ますが、保険財政との関係というのは、当然、適用要件の問題と増減幅の問題というの も念頭に置いた上での話だと、従来の議論の流れからは思っています。そこに入ってく るのだろうと思います。ただ、やはり新しい角度で少し考えてみましょうという発想が 必要なのかなと思いますので、そういう意味では13頁にこういう形の書きぶりで入って いるということで、この点についてはご了解いただければと思うところです。 ○高梨委員  こだわりませんけれども、私はずっとメリット増減幅の拡大ということを言ってきた わけです。そこで考えている拡大の幅というのは、何回目かのときに確か±60%という ことまで言ったわけですが、いままでのような発想であれば、第10回の検討会のときに 事務局が参考資料として推計1、推計2という形で±45%と、これはたぶん考え方でな く推計ですけれども、そこまでしているのです。そういうことは、私が言う±60%とい うことであれば基本的に変えないといけないということが、私の前提になっているので す。ですから、今までの枠の中で考えるということで±45%までどうするかということ ではなくて、基本の点は13頁のところになるのかもしれませんが、こういうことを少し 時間がかかるかもしれませんけれども、いろいろな角度から検討をしていくことが必要 です。  先ほど小畑委員が言われた、メリット制のことだけ記述するのでは平仄が合わないと いうのは、私もそのとおりだと思います。  「当分の間」という表現ぶりは、どうも私としては期間的に長いような感覚を受ける ので、それを「当面」とか「当面は」としたほうがいいのかなと思います。適用要件の ところにも「当面」とか「当面は」という表現を入れたら、いかがでしょうか。 ○岩村座長  何かご意見、ございますか。ちょっと私の感覚では、適用要件の問題とメリット増減 幅と若干落差があるのかなという感覚があったので、そこに「当分の間」が入っている か入っていないかという、その差が少し表われているという考え方でした。そこの表現 のところをどうするかということについては、私にお任せいただけますでしょうか。何 かほかにご意見がなければ、そのようなことで扱わせていただきたいと思います。ほか に11頁から12頁にかけて、ご意見はございますか。最後、13頁ですが、若干先走って先 ほど議論も少しさせていただいたところですけれども、13頁のところも基本的に考え方 が変わっているわけではありませんが、少し趣旨が明確になるようにという形で文章を 分けるということをしています。 ○高梨委員  表現ぶりだけの問題なのですが、最後の2行で技術的な手法等ということについて検 討するということは、私も前から主張しているように必要だと思いますので、こういう ふうな表現ぶりが入ったことは適切だと思います。申し上げたいのは、単なる表現ぶり のことですが、「検討しておくことが望ましい」ということで、何か他人事のようで腰 が引けたような感じを私は受けるので、単純に「検討することが望ましい」とするほう が適切ではないかと思います。 ○岩村座長  そのほか、いかがですか。修正点についてだけ絞って議論をしてきましたが、駆け足 だったかもしれませんけれども、今まで議論してきた赤字の部分についてでも結構です し、それ以外の点で何かお気づきの点があれば、ご指摘をいただきたいと思います。い かがですか。 ○高梨委員  内容のことではないので、事務局のほうから教えてもらえればと思います。こういう ことでこの報告書が労働基準局長なりに提出された後、どういう作業になっていくの か。その辺のことについて教えていただければと思います。 ○岩村座長  それは後ほどと考えていたのですが、いまお話がありましたので、部長からお願いし ます。 ○労災部長  これは整理させていただきまして、来週、審議会がございますので、その審議会にご 報告させていただきたいと思っています。17日の月曜日にご報告させていただきます。 この改定につきましては次の労災保険料率の見直しを念頭に置いてご議論いただいたわ けですので、その後、そこでの議論等を踏まえまして、年度内に保険料率の改定の方針 を定めるとなっています。17日の審議会の議論も踏まえ、この報告の内容で、そういう 方針で私ども臨みたいと思っています。年度内にそういう全体の保険料率の改定方針と いうのを政府として定めさせていただきたいと思っています。今後はそういう形で進め させていただきたいと思います。 ○高梨委員  具体的には、18年度の料率改定ということになりますので、それに向けての作業で、 基本方針に基づいて事務局として整理ということですね。 ○労災部長  もちろん17日の審議会において、まとめていただきました報告を基にご議論いただ き、それを踏まえて私どもとしては次期18年度の保険料率の見直し、改定方針を決める ということです。 ○岩村座長  よろしいですか。そのほか全体として今日ご議論いただいた部分、あるいは今日まだ 触れていない、前回以来そのままになっている部分について、もしご意見があれば伺い たいと思います。いかがですか。  特段ご意見がないようでしたら、今日いくつかご意見が出ましたものの、基本的には 今日の案で大体、委員会としての考えがまとまったということで、まとめさせていただ ければと思います。なお、まだ若干書きぶりのところで議論があったわけですが、その 点については恐縮ですが、座長にご一任いただければと思います。事務局とも相談させ ていただいて、最終的な案を確定させていただきたいと思いますので、それについては 座長にお任せいただければと存じます。然るべき修正を加えた上で、それをまた委員の 皆さんのお手元にお送りしたいと考えています。そういうことでよろしいですか。  この後の手順については、先ほど部長からお話がありましたけれども、それ以外の点 について事務局から連絡等ありましたら、お願いします。 ○数理室長  報告書については、ただいま座長からお話がありましたように、座長と今週中に相談 の上、最終報告書を作成していきたいと思っていますし、先生方に送付させていただき たいと思っています。新聞発表も今週末を目途に行いたいと思っていますので、よろし くお願いしたいと思います。 ○岩村座長  いまのような扱いということで、よろしいですか。今日は報告書の取りまとめという ことになりましたので、最後に労災補償部長からご挨拶をいただきたいと思います。 ○労災部長  本日、最終回でございますけれども、一言、御礼を申し上げたいと思います。14頁に いろいろな開催状況が書いてありますが、5月12日以来12回ということで、これを拝見 しますと1ヵ月に2回やったケースが5月、6月、10月、11月ということで、先生方に は大変お忙しいなかスケジュールを割いていただき、ありがとうございました。また労 災保険料率を全般的にメリット、料率の設定、それから業種区分と、幅広くご議論いた だきまして、本日、この報告書をまとめていただき本当にありがとうございました。  今後は、先ほど申し上げましたような手順で進めさせていただければと思います。ま た次期料率改定に向けて、私ども、この方向で進めるように改定方針などを作成してい きたいと思います。本当に限られた時間でございましたけれども、ご検討いただきまし たご尽力に対して感謝申し上げたいと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。座長の不手際で大変ご迷惑をおかけしたと思いますが、審 議の進行にご協力をいただきまして誠にありがとうございました。今日はこれで終了と いうことでございます。いま部長からもお話がありましたように昨年の5月以来、大変 長期にわたり、またタイトなスケジュールにもかかわらず、ご協力いただきまして本当 にありがとうございました。これでこの検討会を終了させていただきます。 照会先  労働基準局労災補償部労災管理課労災保険財政数理室  電話:03−5253−1111(代表) (内線5454,5455)