概要情報
事件番号・通称事件名 |
兵庫県労委平成30年(不)第6号
不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X1組合(「組合」)・X2(個人)・X3(個人) |
被申立人 |
Y法人(「法人」) |
命令年月日 |
令和2年7月9日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、法人がX2准教授及びX3助教を、それぞれ、平成30年4月1日をもってC短期大学の教授ないし講師に昇任させなかったこと(「本件不昇任決定」)が、X2准教授らに対する不利益取扱い及び組合に対する支配介入に該当するとして、救済申立てがあった事案である。
兵庫県労働委員会は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
(争点)法人が平成30年4月1日付けで、X2准教授を教授に昇任させなかったこと、及びX3助教を講師に昇任させなかったことは、X2准教授及びX3助教に対する不利益取扱い及び組合に対する支配介入に該当するか。
1 大学の人事は、大学の自治のうちの最も基本的かつ重要な事項であることからすると、大学は、人事について広範な裁量権を有しており、この点に関する大学の決定は、最大限尊重されるべきである。そして、教授会は、大学の自治を担う中心的な組織であり、また、教育研究能力等について専門的・個別的判断を行う機関であることからすると、教授会は、教員の教育研究業績の評価についての裁量権を有しているものと解するのが相当である。そうすると、X2准教授らを昇任させなかったことが、不当労働行為意思に基づくものであるかどうかの判断に当たっては、教授会ないしは教授会における教育研究能力の評価を基にしてなされた法人の決定判断が合理性を欠き、裁量権の逸脱といえるかどうかを判断基準とするのが相当と考えられる。
2 X2准教授らの昇任の可否の決定判断において、裁量権の逸脱があったとは認められない。よって、本件不昇任決定が、不当労働行為意思に基づくものであるとは認められないので、本件不昇任決定が、組合員であるが故の不利益取扱いであるとは認められない。
3 本件不昇任決定に至るまでの労使関係をみると、法人が組合を嫌悪していたことを推認させる事情は認められるものの、これらの事情は、組合らが本件において救済を求める内容とは直接的な関係はなく、本件不昇任決定がなされた過程に、裁量権の逸脱があったとの事情が認められない以上、本件不昇任決定が、X2准教摂らが組合員であることや、X2准教授らの組合活動を理由とするものであったとは認められない。
したがって、本件不昇任決定が、組合員であること、ないしは正当な組合活動をしたことを理由とした不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるとはいえない。 |
掲載文献 |
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