概要情報
事件番号・通称事件名 |
中労委平成29年(不再)第18号
南大阪第一交通不当労働行為再審査事件 |
再審査申立人 |
X労働組合(「組合」) |
再審査被申立人 |
Y株式会社(「会社」) |
命令年月日 |
令和元年10月2日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は,会社が、①「身元保障書並びに誓約書就業規則確認書制服貸与保証金誓約書」等に署名・捺印を求めたこと、②新賃金制度を導入したこと、③C1組合及びC2組合の結成に関与したこと、④組合からの団体交渉を拒否したこと、⑤組合員から組合費等をチェック・オフし、他の組合に渡したことが不当労働行為に当たるとして救済申立てがあった事件である。
2 初審大阪府労働委員会(以下「大阪府労委」)は,上記①、④及び⑤が不当労働行為であると認め、チェック・オフした金員相当額の返還及び文書手交を命じ、その余の救済申立てを棄却したところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。
3 中労委は本件再審査の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 本件再審査申立ての適法性について
本件再審査を申し立てた組合はAを執行委員長とする組合であり、Aは組合の代表者であって、本件再審査申立ては組合の代表権を有するAによってされたもので、適法である。
2 C1組合の結成に会社が関与したか否か等について
Cらは、新賃金制度に強硬に反対するAら執行部の姿勢に同調せず、会社が新賃金制度実施に伴う労働条件の変更を緩和する措置として、前執行部が会社に求めてほぼ合意していたスタート協力金を受領するなどのため、C1組合を結成し、組合を脱退したものと推認することができる。よって、C1組合が会社の関与により結成されたとは認めることができず、組合に対する支配介入に該当しないから、C1組合の結成に関して会社の不当労働行為は成立しない。
3 新賃金制度導入・実施に係る支配介入の成否について
会社は、過半数組合となったC1組合との間で新賃金制度の導入について合意が成立し、同合意に基づいて新賃金制度を実施したものであり、新賃金制度実施に至る経緯等からみて、新賃金制度実施に不自然な点があるとはいえず、また、組合の弱体化を意図してされたものとも認められないことから、新賃金制度を導入・実施したことは組合に対する支配介入に当たるということはできず、会社の不当労働行為は成立しない。
4 C2組合の結成に会社が関与したか等について
会社がC2組合に対して便宜を図っている事実は認められるものの、その事情のみをもって、会社がC2及びその同調者に働き掛けをしたものと推認することはできず、また、何らかの働き掛けをしたことを認めるに足りる的確な証拠もない。したがって、C2組合が会社の関与により結成されたとは認めることができず、組合に対する支配介入に該当しないから、C2組合の結成に関して会社の不当労働行為は成立しない。 |
掲載文献 |
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