概要情報
事件番号・通称事件名 |
中労委平成9年(不再)第43号 エッソ石油(CBC等非組合員化)不当労働行為再審査事件 |
再審査申立人 |
組合 |
再審査被申立人 |
会社 |
命令年月日 |
平成28年9月7日 |
命令区分 |
棄却・却下 |
重要度 |
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事案概要 |
1 会社が、① 会社において非労働組合員の範囲とされていたチーフ・ビジネス・カウンセラー(CBC)及びCBCと同クラスの職位(CBC相当職)に多数の従業員を昇格させ、これにより組合の組織対象者を大幅に減少させたこと、② CBC及びCBC相当職の昇格基準を明らかにせず、昇格基準について組合と協議しなかったことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事案である。
2 初審大阪府労委は、本件申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てた。
組合は、本件再審査において、会社が、組合員A1をCBC相当職に昇格させなかったことが不当労働行為であるとして、追加救済申立てを行った。 |
主文 |
1 本件再審査申立てを棄却する。
2 組合員A1のCBC相当職への昇格に関する本件追加救済申立てを却下する。
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判断の要旨 |
1 CBC及びCBC相当職への昇格による組合員対象者の減少について
組合と会社との間には、別組合との間の非労働組合員の範囲に関する労働協約と同旨の労働協約ないし合意は存在せず、上記別組合との間の労働協約の効力は組合には及ばないのであるから、会社が、その従業員を、別組合との労働協約上非労働組合員となるCBC及びCBC相当職に昇格させることは、組合の組合員の範囲には何らの影響を及ぼさないといえるのであって、会社が組合が自主的に決定すべき組合員の範囲を事実上にせよ一方的に制限するなどしたような事情がある場合を除いては、不当労働行為を問擬することはできないといわなければならない。
そこで、こうした観点から検討すると、CBC及びCBC相当職への昇格によって、本来ならば組合に加入するはずであった者が組合に加入せず、あるいは加入しなくなる可能性があったとする事情は、本件証拠上認められないし、CBC及びCBC相当職への昇格により組合からの脱退を余儀なくされた組合員が存在したとか、CBC及びCBC相当職にある者が組合への加入を妨げられた等の事実も認められない。また、会社が、CBC及びCBC相当職に多数の従業員を昇格させたことが、組合と会社との団体交渉その他の組合活動に影響を及ぼすおそれがあったとも認められない。
以上のとおり、会社が、会社において非労働組合員の範囲とされているCBC及びCBC相当職に多数の従業員を昇格させたことは、これにより組合の組織に関する自主性を侵害し、または侵害するおそれがあったものとはいえず、組合が自主的に決定すべき組合員の範囲を事実上にせよ制限するなどした事情は認められないから、労組法第7条第3号の支配介入に該当するということはできない。 2 昇格基準についての協議を行わないこと等について
会社は、団体交渉において、組合の求めに応じ、CBC及びCBC相当職の昇格基準を一応ながら示したといえる一方、組合は、それ以降の団体交渉において、CBC及びCBC相当職の昇格基準について会社に対し更に具体的な回答を求めることはしていない状況が続き、また、個別の組合員の具体的な業績や経験等に照らして、CBC又はCBC相当職への不昇格等を問題とし、組合と会社との間で交渉事項としていた事実も認められない
以上に加え、会社は、団体交渉において、CBC及びCBC相当職を労働組合有資格者とすることができない理由についてその都度説明していることや、組合の組合員がCBC及びCBC相当職に昇格した場合も念頭に、CBC及びCBC相当職の会社における処遇や労働条件等について、組合の要求に即して説明していることを併せ考慮すれば、会社の上記対応が団体交渉を拒否したものとまでいうことはできず、労組法第7条第2号及び同条第3号の不当労働行為は成立しない。 3 組合員A1の不昇格について
会社が組合員A1をCBC相当職に昇格させなかったことについては、初審における救済申立ての対象となった事実とは全く別個の事実であり、「初審において請求した範囲」(労委規則第54条第1項)を超えていることは明らかであることに加えて、本件追加救済申立てについては労組法第27条第2項の申立期間を徒過したものであることもまた明らかである。
よって、その余の点について判断するまでもなく、組合員A1のCBC相当職への昇格に関する追加救済申立ては労委規則第33条第1項第3号又は第54条第1項の規定により却下を免れない。 |
掲載文献 |
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