労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ロジテムトランスポート 
事件番号  中労委平成24年(不再)第62号 
再審査申立人  ロジテムトランスポート株式会社(以下「会社」) 
再審査被申立人  全日本建設交運一般労働組合千葉県本部千葉合同支部(以下「支部」) 
再審査被申立人  全日本建設交運一般労働組合千葉県本部千葉合同支部ロジテムトランスポート分会(以下「分会」。支部と併せて「組合」ともいう。) 
命令年月日  平成26年4月2日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、①分会の組合員(以下「組合員」)及び組合に対し、36協定に係る指示書、弁明書の提出を求める業務指示書及び通知書(以下「業務指示書等」)の計19通を発出したことが労組法第7条第3号の不当労働行為に、②チェックオフの実施、年次有給休暇の申請方法等に関する組合との団体交渉に誠実に応じないことが、同条第2号の不当労働行為にそれぞれ当たるとして、組合から千葉県労委に対して、救済を申し立てた事案である。
2 千葉県労委は、①組合員に対して業務指示書等を発出することにより、組合の組合活動に支配介入してはならないこと、②チェックオフの実施及び有給休暇を取得しやすい環境をつくることに関する団体交渉において、回答の理由や根拠を具体的に示すなどして組合の理解を得るべく誠実に対応しなければならないこと、③上記①及び②に関する文書交付及び掲示を命じ、その余の救済申立てを棄却したところ、会社は、これを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文  1 本件再審査申立てを棄却する。
2 初審命令主文第1項中「服務指導の趣旨が不明確な」を「平成23年3月30日から同年6月10日までの間に発出した指示書、業務指示書及び通知書と同趣旨の」に訂正する。 
判断の要旨  1 会社が、組合員及び組合に対し、業務指示書等を発出したことは、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか。(争点①)
 計19通の業務指示書等が発出された当時の労使関係として、①こうした業務指示書等は、分会が結成されて間もない第1回団交から第4回団交までの間にその大半が発出されていること、②分会の結成以前には、会社がこの種の業務指示書を全く発出してこなかったにもかかわらず、組合員にのみ発出されたこと、③会社は、第2回目の団体交渉を二度にわたり延期し、第2回団交が行われたのは、第1回団交から約4か月後であったこと、④計19通の業務指示書等のうち、最初に発出された23年3月30日付け指示書の日付は労使双方が本件あっせん案を受諾した当日であり、その翌々日の4月1日から、一連の業務指示書等が発出され始めていること、⑤分会結成当時42名いた分会の組合員が、結果的に、本件再審査審問終結時には31名に減少する状況があったこと等を総合的に勘案すれば、会社が、計19通の業務指示書等を発出したことは、専ら組合員を動揺させ、組合活動をけん制し、萎縮させる目的であったと推認せざるを得ず、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たる。
2 会社が、発出する業務指示書等の多くを組合員の各自宅に郵送したことは、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか。(争点②)
 会社が、以前には例のない業務指示書等を組合員の各自宅に前触れもなく郵送すれば、しかも会社の業務を妨害した等の内容であればなおさら、これを受け取った組合員だけでなく、その家族に対しても、組合活動を行うことにより、会社から問題視され、何らかの不利益な扱いを受けるのではないか等の不安を抱かせるものであったことは容易に想定し得るところである。
 にもかかわらず、会社が、あえて業務指示書等を組合員の各自宅に郵送したことは、専ら組合員を動揺させ、組合活動をけん制し、萎縮させるためのものであったと推認せざるを得ず、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たる。
3 チェックオフの実施に関する団体交渉における会社の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるか。(争点③)
 会社が、2回目以降の団体交渉において、第1回団交において回答をした方向と異なる結論に至った経緯や事情、理由等について、具体的に分かりやすく説明し、組合の理解と納得を得ようと努めた形跡がうかがわれないのであるから、チェックオフの実施に関する団体交渉における会社の対応は、不誠実であったといわざるを得ず、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
4 有給休暇の申請方法に関する団体交渉における会社の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるか。(争点④)
 会社が、第4回団交において、従前の団体交渉において会社側が示した、有休申請用紙を作成する旨の回答の方向とは異なる結論に至った経緯や事情、理由等について、具体的に分かりやすく説明し、組合の理解と納得を得ようとしたわけではないのであるから、有給休暇の申請方法に関する団体交渉における会社の対応は、不誠実であったといわざるを得ず、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
千労委平成23年(不)第5号 一部救済 平成24年11月12日
 
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