概要情報
事件名 |
大阪府労委平成24年(不)第68 号 |
事件番号 |
大阪府労委平成24年(不)第68 号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
Y株式会社 |
命令年月日 |
平成26年2月3日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が組合員Dに対し、年次有給休暇の申請を不受理としたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 組合員Dに係る有給休暇の申請に対し、被申立人会社が就業規則を恣意的に運用したかについて
認定した事実によれば、①会社における有給休暇の申請については、社員である本人が行うこととされており、傷病の場合に社員の家族からされる電話連絡による申請を除いて、本人でない者からの申請は認められていなかったこと、②Dに係る平成24年9月4日分及び同月12日分の有給休暇の申請は申立人組合からファクシミリでなされたもので、当該申請に係る文書の発信者はDではないことなどが認められる。そして、当該申請に際して、以前、本人でない者からの申請又は休暇願の事後提出が認められたことのある傷病、葬儀等の場合のような事情が存していたと認めるに足る事実の疎明はない。
これらのことからすれば、組合からの申請については、会社の就業規則の規定に反するものであったと解するのが相当であり、Dに係る上記の申請を会社が認めなかったことは、会社が就業規則及び従前の運用に沿った対応をしたことによるものといえ、労基法上の問題の有無はともかくとして、組合が主張するように就業規則を通常とは異なり厳格に解釈して恣意的に運用したものとはいえない。
なお、会社が当該申請を認めなかったことについて、会社から組合への対応状況をみると、会社は一貫して就業規則どおりの適用がなされるべきと述べており、最終的にやむを得ない事情のない限り、社員である本人から行われるべきであると説明している。加えて、会社はDが同月5日から7日まで及び同月10日に勤務に就かないことについては職務免除として扱うこととするなど組合に対して配慮していると思料される。これらのことを考慮すると、会社が就業規則を恣意的に運用したとする組合の主張を採用することはできない。
2 会社はDが組合に加入して会社と交渉し、確認書を交わすなどしたことに対するいわば報復のため有給休暇の申請を認めなかったのかについて
組合の主張する確認書の作成や会社の業務部長の発言は、会社がDに係る有給休暇の申請を認めなかった後に行われたものであり、また、確認書の作成過程において会社が報復を企図するような事情を窺うこともできないのであるから、確認書を交わすなどしたことによって申請を認めなかったものとみることはできない。その他、会社が組合からの申請を認めなかったことが組合を嫌悪あるいは警戒したことによる対応であると認めるに足る事実の疎明はない。
3 結論
以上のとおりであるから、Dに係る24年9月5日分及び同月12日分の有給休暇の申請に対する会社の対応は、組合員であるが故に行われた不利益取扱いに当たるとはいえず、労組法7条1号に該当する不当労働行為であると認めることはできない。 |
掲載文献 |
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