概要情報
事件名 |
タカサゴ |
事件番号 |
都労委平成23年不第60号 |
申立人 |
日本労働評議会 |
被申立人 |
株式会社タカサゴ |
命令年月日 |
平成25年12月17日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
①一時金に関する団交において経営資料の開示についての合意があったか、②合意がある場合に、その後も被申立人会社が労働協約を締結しなかったことが不誠実な団交に当たるか、③昇給及び一時金に関する団交において書面による経営資料の開示をしなかったことが不誠実な団交に当たるかが争われた事案である。
東京都労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 経営資料の開示に関する合意の有無及び被申立人会社が労働協約を締結しなかったことが不誠実な団交に当たるかについて
申立人組合は、平成22年1月20日の団交において、会社の顧問Y2の「従来どおりの経営資料を開示する」旨の発言を巡り、「従来どおり」の意味はY2が初めて出席した21年11月4日の団交において、会社の説明により配付経営資料を従業員に開示していた事実は知り得たのであるから、これを念頭に置いて発言したものであるとして、この配付経営資料を開示する合意をしたと主張する。
しかし、認定した事実によれば、Y2は過去に開示された資料がどのようなものかを具体的に認識して発言しているのではないことが窺える。同人が説明又は開示する項目として明言したのは、売上高と営業利益のみであることが明らかであり、それ以外の項目や開示する書面の内容についての発言はしなかった。したがって、Y2の上記発言のみに依拠した上で、組合主張の原価の内訳を詳細に記載した配付経営資料のような経営資料の開示を合意したとの組合の主張は採用できない。
以上のとおり、組合主張の経営資料の開示についての合意があったことは認められないのであるから、会社がかかる合意に基づく労働協約を締結しないことは、不当労働行為に当たらない。
2 団交において会社が書面による経営資料の開示をしなかったことが不誠実な団交に当たるかについて
組合は、組合が団交において昇給及び一時金等のために具体的な資料の提示を要求しても、会社は口頭での説明に終始し、具体的な資料の提示が一切ないことが誠実交渉義務に違反すると主張する。
しかし、認定した事実によれば、会社は団交において、会社回答額の根拠である必要な経営数字を明らかにした上で説明を行っており、会社が書面による開示をしないことにより何らかの支障を来して団交の進展が妨げられたというような事情は認められない。
また、組合は分会の結成当初から財務諸表の公開を強く求め、昇給や一時金よりも、経営状況の説明や経営資料の開示そのものに重点を置いているとみられてもやむを得ないような言動も認められるなど、資料と交渉事項との関係が必ずしも明確ではないのであるから、組合が求めている資料は昇給及び一時金の団交において必要な範囲を越えた要求であるといわざるを得ない。
したがって、会社が書面により経営資料を開示しなかったことをもって、不誠実な団交であるとまではいえない。 |
掲載文献 |
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