概要情報
事件名 |
JR東日本(本社安全キャラバン) |
事件番号 |
東京都労委平成20年(不)第50号 |
申立人 |
東日本旅客鉄道労働組合 |
被申立人 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
命令年月日 |
平成23年5月24日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合が組合員6名に対する懲戒解雇処分の撤回を求める署名行動を実施していたところ、被申立人会社の2事業所で開催された「本社安全キャラバン」において、会社の常務取締役が挨拶の中で当該懲戒解雇処分に言及した上で「社長がやったこと、会社がやったことに対して自分は違うぞと言うんであれば、それなりの覚悟を持ってやっていただきたい」などと発言したことは組合運営への支配介入に当たるか否かが争われた事件である。
東京都労委は、申立てを棄却した。
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命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
常務取締役の発言内容を文脈に沿って理解する限り、「覚悟」というやや不穏当な用語を用いてはいるものの、不利益取扱いを示唆したとまではいえず、発言の態様も組合員に不当な圧力を加えるものであったとは認められないのであり、直接発言を聞いた一部の組合員に何らかの発言の影響がみられるとしても、その影響は、組合活動を萎縮させる程度には至っていなかったといえる。
そして、上記を前提に、常務発言を全体として捉えれば、そこから推認し得る会社の意図は、浦和電車区事件の発生した大宮支社管内で行われるキャラバンにおいて、職場規律維持の重要性と懲戒解雇処分の正当性を強く訴えることにあったのであり、署名活動への言及もその延長線上でなされた一般的な注意喚起にとどまるものであったとみることができる。
本件常務発言は、「覚悟」という言葉を用いたことにつきやや思慮を欠いた面がなくはないものの、全体としてみれば、当該労使関係において許容され得る意見表明の範囲を超えるものであるとはいえず、したがって、同発言は組合運営に対する支配介入とはいえない。 |
掲載文献 |
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