労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  高宮学園(15年団交) 
事件番号  東京都労委 平成15年(不)第101号 
申立人  労働組合東京ユニオン 
被申立人  学校法人高宮学園 
命令年月日  平成17年 1月18日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  (1)申立外A学園が、被申立人学園に出向していた組合員X1を解雇したことに関して組合の申入れた両学園に対する団体交渉申入れを拒否し、また、誠意をもって応じなかったこと、(2)両学園が、「重大な労働条件の変更については今後事前に組合との団体交渉を行う」旨書面で確約することを拒否したことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、学園に対し、(1)組合員の解雇等に関する団体交渉拒否の禁止及び誠実団交応諾、(2)文書交付を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人学校法人高宮学園は、申立人労働組合東京ユニオンが、X1ほか組合員の解雇や 懲戒処分等に関する団体交渉を申し入れたときは、個人的な問題であり団体交渉事項ではな いとして拒否してはならず、誠意をもって応じなければならない。

2 被申立人学園は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。

               記

                        年 月 日
労働組合東京ユニオン

 執行委員長  X2  殿

                        学校法人高宮学園

                        理事長 Y1

 当学園が、貴組合からの平成15年7月16日付及び同月23日付けの団体交渉申入れに応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
 (注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)

3 被申立人学園は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければなら ない。
4 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  2130 雇用主でないことを理由
4910 事業廃止に伴う新経営者
学園は、本件団体交渉の議題の対象となっている組合員X1は旧T学園の従業員であって学園に在籍したこともなく、同人を解雇したのも旧T学園であって、学園はX1の解雇に関して団体交渉を応諾すべき義務のある地位にないから、被申立人としての適格がないと主張するが、旧T学園は平成16年4月1日に学園を存続法人として学園と合併するまでも、学園の理事長は旧T学園の理事を兼務し、旧T学園の理事長は学園の法人統括本部長を兼務しており、両学園は代々木ゼミナールグループの構成員の一員となって、学園が代々木ゼミナールグループ全体の人事・労務管理を統括し、団体交渉では代々木ゼミナールグループとして交渉団を組んで組合との交渉に応じていたのであるから、旧T学園が有していた被申立人としての地位はそのまま学園が引き継いでいるというべきであって、学園の主張は失当とされた例。

2130 雇用主でないことを理由
4910 事業廃止に伴う新経営者
旧T学園に在籍して学園に出向していた組合員X1に対し、懲戒処分を前提とした自宅待機命令がなされたことから組合が旧T学園及び学園に申し入れた団体交渉の目的は、団体交渉において解雇理由に係る事実関係を明らかにすることにより、X1に対する処分の発令を止める、あるいは処分を撤回させることにあったと考えられるが、学園は、X1の個人的な問題であるから応じないと述べていることからすると、学園には当初からX1の問題を組合と協議する意思がなかったものと認められること、また、X1に対する懲戒解雇処分発令後に行われた団体交渉では、学園が事後的にX1の懲戒解雇処分となった事実関係を説明したに過ぎず、解雇処分の撤回ないし保留はしないと一貫して述べていたため、組合は団体交渉による解決は難しい面があると判断してその後団体交渉を申し入れていないこともやむを得ないとみられることを併せ考えると、学園が組合の申入れたX1に対する自宅待機命令等を議題とする団体交渉に応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるとされた例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
組合と学園の間では、組合員に対する不利益処分や不利益変更が発令される以前におけるいわゆる事前の団体交渉を行うこと自体、合意に達しているわけではなく、また、このことを書面で確約しなかったことによる組合の存在意義の低下、あるいはその具体的なおそれについて、組合は何ら疎明していないのであるから、学園が本件「事前の団体交渉」について書面での確約をしなかったことが、直ちに支配介入に当たるとはいえないとされた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成17年(不再)第6号 一部変更 平成18年3月15日
東京地裁平成18年(行ウ)第204号 棄却 平成19年2月15日
 
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