労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東井運輸 
事件番号  大阪地労委 平成14年(不)第60号 
申立人  全日本運輸産業労働組合大阪府連合会 
申立人  東井運輸労働組合 
被申立人  東井運輸有限会社 
命令年月日  平成16年11月30日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、組合員に対し、(1)配車を差別したこと、(2)退職を強要したこと、(3)組合からの脱退を迫ったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、会社に対し、(1)組合執行委員長X1に対し、取得免許を同じくする他の従業員と均衡を失しない程度の長距離輸送への配車、(2)文書手交を命じ、申立人らの損害金の支払を求める申立ては却下、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人東井運輸労働組合執行委員長X1に対し、取得免許を同じくする他の従業員と均衡を失しない程度に長距離輸送への配車をしなければならない。
2 被申立人は、申立人らに対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
          記
全日本運輸産業労働組合大阪府連合会
 執行委員長 X7 様
東井運輸労働組合
 執行委員長 X1 様
              東井運輸有限会社
               代表取締役 Y1
 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
          記
 東井運輸労働組合執行委員長X1氏に対し、平成14年2月及び同年6月以降、長距離輸送への配車を全くなくしたこと
3 申立人らの損害金の支払を求める申立ては、却下する。
4 申立人らのその他の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
組合委員長X1に対する配車差別については、経営状況の厳しさだけでは説明できず、会社は、労基署から是正勧告があったとして、就労時間を週40時間にしたが、当該就労時間でも長距離輸送の配車は可能であり、さらに、C商会からの出入禁止を求める文書は同人の同商会への配車がなくなった後であり、また、同人の就業態度についても、組合員を含む他の従業員に比し特段に悪かったという疎明もなく、他方、同人は組合の中心的な役割を担い、積極的な組合活動と、会社との数回の団交を行ったことが認められることから、会社の同人に対し長距離輸送への配車を全くなくした行為は、労働組合法7用1号及び3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1302 就業上の差別
副委員長X2、書記長X3、組合員X4、組合員X5及び組合員X6に対する配車差別については、X2の長距離輸送への配車回数及び賃金減少は会社全体の運送収入減少の影響を相当受けているとみることができること、また、X3について必ずしも同人の賃金が著しく減少したとみることはできないこと等その他会社が5名の組合員に対して、5名が組合員であること又は組合活動を行ったことを理由に配車差別を行ったとする疎明はなく、これらの点に係る組合の申立ては棄却するとされた例。

1604 その他
2623 脱退届け作成・提出強要
2625 非組合員化の言動
X3ら組合員8名に対する退職強要及び組合脱退強要等については、組合らは、会社が組合員に対し、退職や組合脱退を強要し、従業員に対し組合への加入を妨害したと主張するが、8名について、いずれも、会社が組合脱退を強要したとか、組合加入や組合活動を妨害するために退職強要を行ったと判断することはできず、この点に係る組合らの申立ては棄却するとされた例。

5005 損害賠償の請求
5147 その他
損害金の支払については、組合らは、組合員の減少による組合費の減少等の損害金を支払うよう請求するが、労働委員会による救済は、直接的にかつ事実上、団結権に対する損害そのものを除去し、もって正常な労使関係の回復を図ろうとするものであるので、損害賠償の観点からすると金銭面の請求は、不当労働行為救済制度になじまないと判断せざるを得ず、この点における組合らの請求は却下するとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献   
評釈等情報   

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